JPH0614221Y2 - 画像記録担体用カセツテ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は画像記録担体用カセッテに関し、一層詳細に
は、例えば、蓄積性螢光体シートあるいはＸ線フイルム
等の画像記録担体を遮光状態で保持するカセッテを垂直
方向から挿入して強制的にその先端部を開蓋して開口部
を画成し、この開口部から画像記録担体を自重により落
下せしめて画像読取部あるいは現像部等に供給するよう
構成した画像記録担体用カセッテに関する。

最近、蓄積性螢光体（輝尽性螢光体）を用いて被写体の
放射線透過像を得る放射線画像記録再生システムが開発
され、特に、医療分野において広汎に普及しつつある。
ここで、蓄積性螢光体とは、放射線（Ｘ線、α線、β
線、γ線、電子線、紫外線等）を照射すると、この放射
線エネルギの一部を蓄積し、後に、可視光等の励起光を
照射することにより、蓄積されたエネルギに応じた輝尽
発光を示す螢光体を言う。前記の放射線画像記録再生シ
ステムはこの蓄積性螢光体を利用したもので、人体等の
放射線画像情報を一旦蓄積性螢光体からなる層を有する
シートに記録し、この蓄積性螢光体シートをレーザ光等
の励起光で走査して輝尽発光光を生じさせ、得られた輝
尽発光光を光電的に読み出して画像信号を得、この画像
信号に基づき、写真感光材料等の記録材料、ＣＲＴ等に
可視像として出力させるものである。

そこで、この蓄積性螢光体シートに記録された放射線画
像情報を輝尽発光光を得て読み出す放射線画像情報読取
装置の一例を第１図に示し、その構造並びに機能を次に
説明する。

レーザ光源２から発せられた一定強度のレーザ光４を、
ガルバノメータミラー６に入射せしめ、このガルバノメ
ータミラー６によって、ガルバノメータミラー６の下方
に置かれた輝尽性螢光体シートＡの幅方向にレーザ光が
主走査（矢印ａ方向の走査）するように、レーザ光を偏
向して蓄積性螢光体シートＡに照射する。蓄積性螢光体
シートＡは、例えば、エンドレスベルト装置８に吸着さ
れて、上記主走査方向と略直行する矢印ｂ方向へ搬送さ
れ副走査が行われ、このようにすることによって、蓄積
性螢光体シートＡの全面に亘ってレーザ光４による二次
元的走査が行われる。

レーザ光４による走査に従って、前記レーザ光４の照射
された蓄積性螢光体シートＡの個所は、そこに蓄積記録
された画像情報に応じて輝尽発光し、この発光光が蓄積
性螢光体シートＡ近傍において主走査線に平行に入射端
面９が形成された透明な導光性シート10に入る。この導
光性シート10は蓄積性螢光体シートＡ近くに位置する前
端部12が平面状に形成されると共に、後端側に向かって
次第に円筒状になるように形成され、その後端部14にお
いて略円筒状となって射出端面上に設けられた光電子増
倍管（フォトマルチプライヤ）と係合している。このた
め、入射端面９から入った輝尽発光光は後端部14に集め
られ、輝尽発光光を選択的に透過するフィルタ（図示せ
ず）を介してフォトマルチプライヤ18に伝えられる。フ
ォトマルチプライヤ18において、輝尽発光光は電気信号
に変換され、得られた電気信号は画像情報読取回路20に
送られて処理された後、例えば、ＣＲＴ22に可視像とし
て出力せしめられたり、磁器テープ24に記録されたり、
あるいは直接写真感光材料等にハードコピーとして記録
されたりする。

以上のような構成において、従来、放射線画像情報が蓄
積記録可能な状態のシートＡは遮光状態でカセッテに収
納され、前記カセッテを介して画像情報を有する放射線
を照射し、該シートに放射線画像が蓄積記録される。こ
の後、該シートはカセッテ内に収納された状態で画像読
取装置に装填され、カセッテから取り出されて画像読取
操作に回付される。ここで、従来の画像読取装置におい
ては、カセッテから前記シートを取り出し、画像読取部
に搬送するために、例えば、吸着盤を含むシート取出手
段が採用されてきた。然しながら、この場合、吸着盤の
みならず、この吸着盤を変位させる移動機構が必要とさ
れ、さらにこの移動機構によって吸着盤を所望の軌跡通
りに変位させるために、特別に制御系を必要とする。従
って、機構自体が複雑化し、さらにまた、画像を読み取
るために好適な方向からシートを導入するために搬送系
を配設しなければならない等、全体として装置を大型化
する要素が極めて大きい。この結果、病院等において、
狭小なスペースを有効に活用しようとする時、この画像
読取装置が空間を大きく占有し、さらにまた、シートＡ
の取出機構の定期的保守点検を必要とする等の煩雑さが
指摘されている。

また、従来のＸ線フイルムを用いて放射線画像記録を行
うシステムにおいても、カセッテ内に遮光状態で未露光
Ｘ線フイルムが収納され、Ｘ線フイルムにカセッテ内に
収納した状態で画像情報を有する放射線を照射して、該
Ｘ線フイルムに放射線画像の露光記録が行われる。この
後、該Ｘ線フイルムはカセッテ内に収納された状態で自
動現像機に装填され、ここでカセッテから取り出されて
現像処理が行われる。この自動現像装置においても、従
来、Ｘ線フイルムをカセッテから取り出す際には前述し
た画像読取装置と同様に吸着盤を用いたシート取出手段
が採用されており、画像読取装置と同様に機構が複雑と
なり、コストが高騰すると共に装置全体が大きくなると
いう欠点がある。

本考案は前記の不都合を悉く解消するためになされたも
のであって、カセッテ自体の構造を簡素化し、しかも、
このカセッテを当該カセッテ内に収納された蓄積性螢光
体シートあるいはＸ線フイルム等の画像記録担体に所定
の処理を行う装置において、シートの取出機構を簡略化
し、さらにまた、画像読取装置を構成して筐体内部に配
設される搬送系の一層の簡略化を達成することが可能な
画像記録担体用カセッテを提供することを目的とする。

前記の目的を達成するために、本考案は画像記録担体収
納保持する筐体の一端部に前記画像記録担体に所定の処
理を施す装置に導出するための開口部を画成し、前記開
口部を一方の幅広な側壁部から延在して他方の幅広な側
壁部に至る板状体で遮光閉塞し、前記板状体の一部を筐
体外部から押圧して前記開口部を開成して画像記録担体
を筐体外部に導出するよう構成することを特徴とする。

次に、本考案に係るカセッテについて好適な実施態様を
挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。

第２図並びに第３図において、参照符号30は本考案に係
るカセッテを示し、このカセッテ30は下端部に開口部32
を画成した筐体34からなる。筐体34は一方の側壁36aと
他方の側壁36bとからなり他方の側壁36bにはその下端部
近傍に孔部38a、38bを形成しておく。なお、この場合、
好適には金属製の弾性力に富む板体40を前記一方の側壁
36aから他方の側壁36bの下端部に至るように挿入配置
し、この板体40により前記開口部32を閉塞するよう構成
している。

そこで、以上のように構成されるカセッテ30を垂直方向
から挿入して、その内部に遮光状態で保持されるフイル
ムＡをその自重によって落下させる画像読取装置につい
て第４図を参照して以下に説明する。

画像読取装置50はその上部に上方に指向して開口するカ
セッテ挿入用開口部52を含む筐体54を有する。実質的に
カセッテ挿入用開口部52は、この場合、底部に長手方向
に延在する溝56を画成したケーシング58からなり、前記
ケーシング58の上部に前記溝56と連通するようにカセッ
テ挿入用開口部52が画成されている。なお、ケーシング
58の一方の側壁部には第２図に示すソレノイド60a、60b
から突出するピン部材62a、62bが貫通してカセッテ30の
他方の側壁部36bに穿設された孔部38a、38bに進入するた
めの孔部64a、64bが形成されている。なお、溝56の下方
は前記シートＡを画像読取装置側へと導出するためにシ
ート落下穴66が画成されている。

そこで、前記シート落下穴66の下方には一組の上方に拡
開するガイド板68a、68bが設けられ、これらのガイド板6
8a、68bの下方には第１の搬送系70と第２の搬送系72とが
配設されている。第２搬送系72は前記第１搬送系70に摺
接すると共に、その下端部は水平方向に延在して画像読
取部に臨む。画像読取部は既に第１図において詳細に説
明した構成を採用している。従って、第１図において示
す参照符号と同一の参照符号は同一の構成要素を示し、
その詳細な説明は省略する。

本実施態様のカセッテとこのカセッテを利用する画像読
取装置は基本的には以上のように構成されるものであ
り、次に、その作用並びに効果について説明する。

放射線画像情報が記録されてカセッテ30に遮光状態で、
すなわち、板体40が開口部32を閉塞した状態で収納され
ている蓄積性螢光体シートＡはカセッテ挿入用開口部52
の内部に筐体34の下端部を挿入して装填される。すなわ
ち、ケーシング58に画成される開口部52を介してカセッ
テ30の下端部が溝56の下端部に到達するまで挿入される
と筐体34の下端部に形成された孔部38a、38bが孔部64a、6
4bを介してソレノイド60a、60bの夫々のピン部材62a、62b
に臨むことになる。

そこで、このように状態において、前記ソレノイド60a、
60bを同期的に付勢すると、このソレノイド60a、60bから
突出するピン部材62a、62bは孔部64a、64bを介して孔部38
a、38bに到達し、この孔部38a、38bを貫通するピン部材62
a、62bは他方の側壁36bに遮光状態で圧接する板体40の下
端部を強く押圧する。この結果、開口部32が開成され、
結局、蓄積性螢光体シートＡはこの開口部32を介してガ
イド板68a、68bに指向して落下する。このようにして、
落下する蓄積性螢光体シートＡは、次いで、第１搬送ベ
ルト70、第２搬送ベルト72によって捕捉され、この搬送
ベルト70、72の搬送作用下に画像読取部方向へと移送さ
れる。すなわち、エンドレスベルト装置８によって蓄積
性螢光体シートＡは副走査方向へと移送され、この時、
レーザ光源２からレーザ光４が照射されると、前記レー
ザ光４は回動するガルバノメータミラー６によって主走
査方向へと走査され、前記蓄積性螢光体シートＡにその
蓄積された放射線画像情報に則して輝尽発光光を生じせ
しめる。そして、輝尽発光光は導光性シート10を介して
フォトマルチプライヤ18に至り、光信号が電気的信号に
変換されて、例えば、ＣＲＴ22に直接に、若しくは、磁
器テープ24等の記録装置に保存されるに至る。

本考案は以上のようにカセッテ30を垂直方向から挿入し
て、その自重によってカセッテ30内に収納されている蓄
積性螢光体シートを取り出すように構成している。従っ
て、従来技術と異なり、特に、搬送系を複雑とすること
なく、開蓋取出機構を簡単にする効果が得られる。しか
も、搬送系も簡単な構成で済むために、廉価に製造出来
ると共に、装置の全体としての小型化が一層促進する効
果が得られる。このことは、狭小な空間を効果的に利用
出来るということを意味するに他ならない。

さらにまた本考案によれば、以上のように極めて簡単な
構成で画像情報が記録された蓄積性螢光体シートＡを遮
光状態に保持することが出来る。しかも、これを画像の
読み取りに利用しようとする時、カセッテからは蓄積性
螢光体シートＡが自重によって落下し、画像読取部の方
に指向して搬送させることが可能となるために、取り扱
いに簡便でしかも吸着盤等を利用する取出装置とは異な
り故障等の心配も引き起こされることがない。

以上、本考案について好適な実施態様を挙げて説明した
が、本考案はこの実施態様に限定されるものではなく、
例えば、画像読取に代えて放射線画像が記録されたＸ線
フイルムをカセッテから取り出し現像する場合にも利用
することが出来る等、本考案の要旨を逸脱しない範囲に
おいて種々の改良並びに設計の変更が可能なことは勿論
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術に係る蓄積性螢光体シートを利用した
画像読取部の概略説明図、第２図は本考案に係るカセッ
テの斜視説明図、第３図は第２図に示すカセッテの部分
縦断面図、第４図は本考案に係るカセッテを装填する画
像読取装置の概略縦断説明図である。 30…カセッテ、32…開口部 34…筐体、36a、36b…側壁 38a、38b…孔部、40…板体 50…画像読取装置、52…開口部 54…筐体、50…溝 60a、60b…ソレノイド 62a、62b…ピン部材、64a、64b…孔部 66…フイルム落下穴、68a、68b…ガイド板 70、72…搬送系

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】画像記録担体を収納保持する筐体の一端部
   に前記画像記録担体に所定の処理を施す装置に導出する
   ための開口部を画成し、前記開口部を一方の幅広な側壁
   部から延在して他方の幅広な側壁部に至る板状体で遮光
   閉塞し、前記板状体の一部を筐体外部から押圧して前記
   開口部を開成して画像記録担体を筐体外部に導出するよ
   う構成することを特徴とする画像記録担体用カセッテ。
2. 【請求項２】実用新案登録請求の範囲第１項記載のカセ
   ッテにおいて、板状体は金属製弾性体からなる画像記録
   担体用カセッテ。