JPH06138035A - 炭素膜の検査方法および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
炭素膜の検査方法および磁気記録媒体の製造方法Info
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- JPH06138035A JPH06138035A JP28857992A JP28857992A JPH06138035A JP H06138035 A JPH06138035 A JP H06138035A JP 28857992 A JP28857992 A JP 28857992A JP 28857992 A JP28857992 A JP 28857992A JP H06138035 A JPH06138035 A JP H06138035A
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Abstract
応する指標に基づいて膜質評価が可能な炭素膜の検査方
法およびこの検査方法を検査工程に利用した磁気記録媒
体の製造方法を実現すること。 【構成】 磁気記録媒体の保護膜たるDLC膜に対し
て、可視域のレーザ光を照射してラマンスペクトルを測
定し、1550cm-1付近の蛍光の強度IF と、この蛍
光強度をベースラインとしたときの1550cm-1付近
のラマン光のピーク強度IR との強度比(IF /IR )
を求める。ここで、IF /IR が20未満であって2を
越える値であるときに、磁気記録媒体を良品と判定す
る。
Description
磁気記録媒体の製造方法に関し、とくに、ダイヤモンド
結合およびグラファイト結合が混在する炭素膜、いわゆ
るダイヤモンドライクカーボン膜(以下、DLC膜とい
う。)にレーザ光を照射したときに発せられる蛍光の強
度に基づく炭素膜の評価技術に関する。
モンド結合とグラファイト結合とが混在した構造にある
ため、グラファイト的な平坦性および低摩擦係数を有す
るとともに、ダイヤモンド的な高硬度をも備えている。
また、DLC膜は、反応性スパッタ法,プラズマCVD
法,イオンビームデポジション法など、各種の方法で成
膜できること、温度が250℃以下の低温雰囲気中で成
膜できること、化学的に安定であることなどから、各種
材料の保護膜や機能性薄膜としての利用が期待されてい
る。とりわけ、ハードディスク装置においては、CSS
方式(コンタクトスタートストップ方式)が採用され
て、磁気記録媒体の表面と記録ヘッドとが接触動作を繰
り返すため、DLC膜は、磁気記録媒体の表面側に形成
されて物理的な衝撃などから磁気記録媒体を保護する保
護層としての利用が期待される。
には非晶質の炭素膜であって水素を多量に含有すること
などが知られているが、DLC膜の特性、たとえば、機
械的性質(硬さ、潤滑特性)や光学的性質(光学的バン
ドギャップ、電気特性)は、成膜方法および成膜条件に
よって大きな変化を示すため、その膜構造と膜特性との
関連性を水素濃度などの面から把握する取り組みが行わ
れている。たとえば、特開平2−71422号公報にお
いては、波長が514.5nmのAr+ レーザを照射し
たときに得られるラマンスペクトルにおいて、図11に
示すように、DLC膜の結合電子がsp2 結合とsp3
結合の混在状態にあることに起因して得られる1350
cm-1および1540cm-1のピークA,Bをもつラマ
ンバンドの強度比からDLC膜を特徴付ける方法が開示
されている。
膜の構造と特性との関連性は複雑であるため、ラマンス
ペクトル解析における2つのラマンバンドの強度比から
の判定では、たとえば、DLC膜の成膜条件のうち、ス
パッタガスとして用いたAr/CH4 混合ガスのガス比
を変化させた場合には、その潤滑特性や硬度などの物理
的特性が変化するにもかかわらず、2つのラマンバンド
の強度比は、いずれの条件で成膜した場合もほぼ2:1
であって差異が認められず、DLC膜の膜質を規定する
指標としては信頼性が充分でないという問題点がある。
炭素膜の物理的特性に高い信頼性をもって対応する指標
に基づいて膜質評価が可能な炭素膜の検査方法およびこ
の検査方法を検査工程に利用した磁気記録媒体の製造方
法を実現することにある。
に、本発明に係る炭素膜の検査方法において講じた手段
は、炭素膜に対して可視域のレーザ光を照射したときに
発せられる蛍光の強度を測定し、この蛍光強度に基づい
て、炭素膜の膜質を検査することである。
なく炭素膜を検査可能とする目的に、炭素膜に対して可
視域のレーザ光を照射したときに発せられるラマン光の
強度を測定し、このラマン光強度と蛍光強度との比に基
づいて、炭素膜の膜質を検査することが好ましい。
磁気記録媒体の製造方法において、磁気記録媒体の表面
側に形成した炭素膜に対して可視域のレーザ光を照射し
たときに発せられる蛍光の強度を測定し、この蛍光強度
が所定の値以上であったときに磁気記録媒体を良品と判
定する検査工程として利用できる。
記録媒体のCSS特性(コンタクトスタートストップ特
性)を規定可能なように、前記の検査工程においては、
磁気記録媒体の表面側に形成した炭素膜に対して可視域
のレーザ光を照射したときに発せられる1550cm-1
付近の蛍光の強度およびこの蛍光強度をベースラインと
したときの1550cm-1付近のラマン光のピーク強度
を測定し、蛍光強度をIF とし、ラマン光のピーク強度
をIR としたときに、IF /IR で求められる値が20
未満であって2を越える値であるときに、磁気記録媒体
を良品と判定することが好ましい。なお、本発明におい
て、ピーク位置などについては、±約10cm-1位の変
動を有する。
とえば、磁気記録媒体の表面側にスパッタガスとして用
いたAr/CH4 混合ガスのガス比を種々の値に変えて
成膜した炭素膜に対して、可視域のレーザ光として、波
長が514.5nmのAr+ レーザを照射すると、図2
(a)ないし図2(c)に示すとおり、1350cm-1
および1540cm-1のピークをもつラマンスペクトル
が得られる。ここで、従来のように、2つのピークのラ
マンバンドの強度比に基づいて、DLC膜の膜質を評価
しようにも、その値には変化がみられず、Ar/CH4
混合ガスのガス比による膜質の変化を把握することはで
きない。これに対して、Ar/CH4 混合ガス中のCH
4 ガス濃度を高い条件に設定するにつれて、ベースライ
ンに相当する蛍光強度は上昇しており、この蛍光強度か
ら、Ar/CH4 混合ガスのガス比による膜質の変化、
たとえば、摩擦特性や硬度などの物理的特性を把握する
ことができ、磁気記録媒体の製造方法においては、炭素
膜の保護膜としての良否を数値的に簡単に検査すること
ができる。また、レーザ光の照射によってDLC膜から
発せられるラマン光および蛍光の測定は、磁気記録媒体
に対する非破壊試験であって、大気中で室温に保持した
まま行うことができるので、この検査方法を製造工程に
組み込むのも容易である。
ついて説明する。
て、可視域のレーザ光を照射したときに発せられる蛍光
の強度を測定し、この蛍光強度に基づいて、結晶Si基
板の表面側に形成したDLC膜の膜質を検査する方法に
ついて説明する。
Ar/CH4 混合ガスまたはAr/H2 混合ガスを流し
ながら、DCスパッタ法により、結晶Si基板の上にD
LC膜を形成する。そのときのガス圧は0.6Pa、流
量は5sccm、基板温度は250℃である。ここで、
DLCの成膜条件のうち、Ar/CH4 混合ガスのガス
比を0から1までの範囲で変えた種々の条件で、膜厚が
1000〜2500ÅのDLC膜を結晶Si基板の上に
形成する。同様に、Ar/H2 混合ガスのガス流量比を
0から1までの範囲で変えた種々の条件で、膜厚が10
00〜2500ÅのDLC膜を結晶Si基板の上に形成
する。
LC膜について、波長が514.5nmのAr+ レーザ
光を照射し、ラマンスペクトルを測定する。そのうちの
基本的なラマンスペクトルを図1に示す。また、図2
(a)ないし(c)には、Ar/CH4 混合ガスのガス
比を0から1までの範囲で条件を変えたDLC膜に対す
る1800cm-1〜1000cm-1のラマンスペクトル
を示してあり、それらのうち、図2(a)はCH4 ガス
濃度が10%の条件で成膜したDLC膜のラマンスペク
トル、図2(b)はCH4 ガス濃度が30%の条件で成
膜したDLC膜のラマンスペクトル、図2(c)はCH
4 ガス濃度が50%の条件で成膜したDLC膜のラマン
スペクトルである。さらに、図3(a)ないし(c)に
は、Ar/CH4 混合ガスのガス比を0から1までの範
囲で条件を変えたDLC膜に対する6000cm-1〜1
00cm-1のラマンスペクトルを示してあり、それらの
うち、図3(a)はCH4 ガス濃度が10%の条件で成
膜したDLC膜のラマンスペクトル、図3(b)はCH
4 ガス濃度が30%の条件で成膜したDLC膜のラマン
スペクトル、図3(c)はCH4 ガス濃度が50%の条
件で成膜したDLC膜のラマンスペクトルである。な
お、これらのスペクトルのうち、520cm-1の鋭いピ
ークPSiは、結晶性Si基板からのラマン光のピークで
あり、ピークPcは、DLC膜からのラマン光のピーク
である。このピークPc には、図2(a)ないし(c)
に明確に現れているように、1350cm-1および15
40cm-1のピークPc1,Pc2が含まれている。また、
ラマンスペクトルにおけるベースラインは、蛍光に起因
するものであり、図1において、そのピークにおける蛍
光強度をIF で示してある。これらのスペクトルの特徴
点については、Ar/H2 混合ガス中で成膜した場合も
同様であるため、そのラマンスペクトルについては、そ
の図示を省略する。
うに、2つのラマンバンドにおけるピークPc2,Pc1の
強度比に基づいて、各スペクトルを比較すると、いずれ
の条件で成膜したDLC膜のスペクトルにおいても、ピ
ークPc2,Pc1の強度比が約2:1であり、差異が認め
られない。これに対して、本例の評価方法の特徴点であ
る蛍光に起因するベースラインの高さに基づいて、各ス
ペクトルを比較すると、CH4 ガスの流量比が高い条件
で成膜する程、蛍光に起因するベースラインが高くなる
傾向を有する。ここで、各ピークPSi,Pc ,Pc1,P
c2の強度およびベースラインの強度IF は、いずれもD
LC膜の膜厚の影響が含まれている。
度および蛍光強度IF を、それぞれDLC膜の膜厚で割
った値を求め、それとAr/CH4 混合ガスまたはAr
/H2 混合ガスのガス比との関係を図4に示してある。
合ガス中で成膜したDLC膜のラマン光のピークPc2の
強度IR をその膜厚で割った値との関係、実線12はA
r/H2 混合ガス中で成膜したDLC膜のラマン光のピ
ークPc2の強度IR をその膜厚で割った値との関係、実
線13はAr/CH4 混合ガス中で成膜したDLC膜の
蛍光強度IF をその膜厚で割った値との関係、実線14
はAr/H2 混合ガス中で成膜したDLC膜の蛍光強度
IF をその膜厚で割った値との関係を示す。
スラインの強度(蛍光強度IF )を膜厚で割った値(実
線13,14)で比較すると、成膜条件のうち、Ar/
CH4 混合ガスまたはAr/H2 混合ガスにおけるガス
比によって差が明確であることに加えて、Ar/CH4
混合ガスとAr/H2 混合ガスとの差も明確である。
て、その物理的膜質と、蛍光に起因するベースラインの
強度(蛍光強度IF )を膜厚で割った値とは、相関性を
有することが確認されている。それ故、蛍光に起因する
ベースラインの強度(蛍光強度IF )を膜厚で割った値
は、DLC膜の物理的膜質を検査するのに適しており、
その信頼性も高い。これに対して、DLC膜のラマン光
のピークPc2の強度IRをその膜厚で割った値(実線1
1,12)においては、成膜条件による差が小さく、L
DC膜の指標としては、成膜条件のうちのスパッタガス
の種類やガス成分比に起因する膜質の差までは評価でき
ない。
膜したDLC膜と、Ar/H2 混合ガスを用いて成膜し
たDLC膜との差異を検討するために、図3(a)ない
し(c)に示す結晶Si基板からのSiのラマンピーク
強度を基準に、波長が514.5nmの入射レーザ光に
対するDLC膜の吸収係数α(cm-1)を求め、それと
Ar/CH4 混合ガスまたはAr/H2 混合ガスのガス
比との関係を図5に示す。
合ガス中で成膜したDLC膜の入射レーザ光に対する吸
収係数と成膜条件との関係を示し、実線22はAr/H
2 混合ガス中で成膜したDLC膜の入射レーザ光に対す
る吸収係数と成膜条件との関係を示す。
種類やガス比などの成膜条件によって、入射レーザ光に
対するDLC膜の吸収係数が変化していることを示して
おり、蛍光に起因するベースラインの強度(蛍光強度I
F )を膜厚で割った値に対応して、DLC膜の物理的膜
質が変化しているとの結果は、入射レーザ光に対するD
LC膜の吸収係数αの変化からも支持される。
下のようにして行う。
をdcm、入射レーザ光の試料面法線となす角度をA、
ラマン光検出方向の試料面法線となす角度をB、入射光
強度をI0 とすると、DLC膜を成膜前の結晶Si基板
から得られるSiのラマン光強度I′Siは、以下の式
(1) で表される。
膜厚や測定光学系もよらない固有のラマン光強度であ
る。
晶Si基板から得られるSiのラマン光強度ISiは、ラ
マン光に対するDLC膜の吸収係数をβ(cm-1)とす
ると、以下の式(2) で表される。
のとして扱ってある。
が近いため、β≒αと近似すると、式(2)は以下の式
(3) で表される。
m-1)をガス比に対してプロットしたものが、図5であ
る。
定によって求めた蛍光強度との関係を図7に示す。この
図において、縦軸は、蛍光のピーク強度IF とラマン光
のピーク強度IR との比(IF /IR )である。この図
において、蛍光強度IF とラマン光強度IR との比(I
F /IR )を用いたのは、以下の理由に基づく。
m)の位置のdxの部分からのラマン光強度をdIR と
すると、ラマン光強度dIR は以下の式で表される。
以下の式で表される。
度、dはDL膜の膜厚、α,βは入射レーザ光およびラ
マン光に対するDLC膜の吸収係数であり、Rc は、膜
厚や測定光学系もよらないDLC膜固有のラマン光強度
である。
様に考えることができるので、固有の蛍光強度をFc と
すると、蛍光の強度IF は、以下の式で表される。
ン光の波長は近いため、 β=β′ と近似すると、
膜厚や測定方法によらないそのDLC固有の値、すなわ
ち、そのDLC膜の膜質を特徴付ける値になると考えら
れる。一方、図7に示すように、Ar /CH4 混合ガス
を使用した場合およびAr/H2 混合ガスを使用した場
合のいずれの場合においても、IF /IR と吸収係数α
とは同一の曲線で示される。それ故、DLC膜の吸収係
数αは、膜厚や測定方法によらない固有の値であって、
DLC膜の膜質を特徴付ける値であることから、IF /
IR は、DLC膜の膜質を特徴づけるのに適した指標で
ある。
は、蛍光のピーク強度を採用する代わりに特定の波数ま
たは波長における蛍光強度で評価することもできる。ま
た、DLC膜のラマンバンドにおけるベースラインの高
さで蛍光強度を設定することもできる。
ディスク用の磁気記録媒体の製造方法として、実施例1
に係るDLC膜の検査方法を磁気記録媒体の良否を検査
する工程に採用した磁気記録媒体の製造方法ついて説明
する。
ニウム基板2の表面側にテクスチャー処理の施されたN
i−Pめっき層3と、その表面側にスパッタ形成された
Cr層4および磁性層(Co−Cr−Ta)5と、その
表面側に形成された保護膜としてのDLC膜6と、その
表面側に形成されたフッ化カーボンオイル層7とを有す
る。ここで、DLC膜6は、CSS方式のハードディス
ク装置において、磁気記録媒体1の最表面と記録ヘッド
との接触動作の繰り返しによって発生する物理的な衝撃
などから磁気記録媒体1を保護する目的に形成されてい
る。従って、DLC膜6の潤滑特性や硬度などは、磁気
記録媒体1の信頼性を支配する要素であるため、本例の
製造方法においては、DLC膜6の膜質を製造工程にお
いて検査し、磁気記録媒体1の良否の判定および前工程
へのフィードバックを行うことに特徴を有する。
おいては、アルミニウム基板2の表面にNi−Pめっき
処理を施してNi−Pめっき層3を形成した後に、Ni
−Pめっき層3の表面側にテープポリッシュによりテク
スチャー処理を行う。
r層4および磁性層5をスパッタ形成する。
ガスまたはAr/H2 混合ガスを用いたDCスパッタ法
によりDLC膜6を形成する。
う。この検査工程においては、実施例1と同様に、波長
が514.5nmのAr+ レーザ光にてレーザラマン分
光測定を行って、蛍光の強度とラマン光の強度とを測定
する。そのラマンスペクトルの代表的なものを図10に
示す。そして、図10に示すラマンスペクトルから求め
た蛍光の強度IF に基づいて、DLC膜6の膜質を検査
する。なお、本例においては、蛍光の強度IF として
は、1550cm-1付近の蛍光強度を採用している。ま
た、DLC膜6の膜厚の影響が及ばないように、蛍光の
強度IF とラマン光強度IR との強度比(IF /IR )
を求め、この強度比(IF /IR )からDLC膜6の良
否を判定する。
R との強度比(IF /IR )と、DLC膜6の保護膜と
しての良否との関係については、以下の関係があること
が実験結果より判明している。すなわち、DLC膜6の
形成条件として、Ar/CH4 混合ガスのガス比、ガス
流量、ガス圧などを変えて、磁気記録媒体1の保護膜と
してのDLC膜6を形成し、この表面側にフッ化カーボ
ンオイル層7を形成する前に、DLC膜6に対して可視
域のレーザ光を照射し、DLC膜6から発せられる15
50cm-1付近の蛍光の強度IF およびこの蛍光強度I
F をベースラインとしたときの1550cm-1付近のラ
マン光のピーク強度IR を測定したところ、DLC膜6
からの蛍光の強度IF とラマン光強度IR との強度比
(IF /IR )が以下の条件を満たすDLC膜6におい
て、製造後の磁気記録媒体1のCSS特性の特性が良好
であることが確認されている。
域のレーザ光を照射したときに発せられる蛍光の強度I
F とラマン光強度IR との強度比(IF /IR)が20
未満であって2を越える値であるときに、磁気記録媒体
1を良品と判定する。
コート法を利用してフッ化カーボンオイル層7を形成
し、磁気記録媒体1を製造する。
製造方法においては、蛍光強度とラマン光強度との強度
比から、DLC膜6の膜質を検査しているので、製造後
の磁気記録媒体1の信頼性が向上するとともに、DLC
膜6の成膜工程へのフィードバックを行うことができ
る。
おいても、可視域の入射レーザ光として、波長が51
4.5nmのAr+ レーザを利用したが、これに限ら
ず、波長が488nmのAr+ レーザ光、He−Neレ
ーザ光またはKr+ レーザ光など、他の可視域のレーザ
光を利用することもできる。
置としては、レーザラマン分光装置の他に、フォトルミ
ネッセンスの測定装置なども利用できる。
査方法においては、可視域のレーザ光を炭素膜に照射し
たときに得られる蛍光の強度に基づいて、炭素膜の評価
を行うことに特徴を有するため、以下の効果を奏する。
磁気記録媒体の保護膜などとしてDLC膜をスパッタ法
などで形成したときに、そのスパッタガスの種類によっ
て潤滑特性などが変化しても、2つのラマンピークの強
度比は変化しないのに対して、蛍光強度の強度は変化す
る。それ故、蛍光強度を指標として炭素膜を評価するこ
とによって、DLC膜の検査を簡単な方法でしかも非破
壊で行うことができる。
も測定して、それらの強度の比からDLC膜を評価した
場合には、ラマン光強度と蛍光強度との比には膜厚が影
響を及ぼさないので、容易に検査を行うことができ、た
とえば、磁気記録媒体の製造方法においては、その値に
よって、磁気記録媒体の良否を判定することができるの
で、成膜条件へのフィードバックや検査工程として利用
できる。
おいて、DLC膜に対して波長が514.5nmのAr
+ レーザ光を照射したときに得られるラマンスペクトル
である。
おいて測定した1800cm-1〜1000cm-1のラマ
ンスペクトルのうち、(a)はスパッタガス(Ar/C
H4 混合ガス)中のCH4 ガス濃度が10%の条件で成
膜したDLC膜のラマンスペクトル、(b)はそのCH
4 ガス濃度が30%の条件で成膜したDLC膜のラマン
スペクトル、(c)はそのCH4 ガス濃度が50%の条
件で成膜したDLC膜のラマンスペクトルである。
おいて測定した6000cm-1〜100cm-1のラマン
スペクトルのうち、(a)はスパッタガス(Ar/CH
4 混合ガス)中のCH4 ガス濃度が10%の条件で成膜
したDLC膜のラマンスペクトル、(b)はそのCH4
ガス濃度が30%の条件で成膜したDLC膜のラマンス
ペクトル、(c)はそのCH4 ガス濃度が50%の条件
で成膜したDLC膜のラマンスペクトルである。
おいて、ラマンスペクトルから求めたラマン光強度/膜
厚および蛍光強度/膜厚と、スパッタガスに用いたAr
/CH4 混合ガスまたはAr/H2 混合ガスにおけるガ
ス比との関係を示すグラフ図である。
おいて、入射レーザ光に対するDLC膜の吸収係数と、
スパッタガスに用いたAr/CH4 混合ガスまたはAr
/H2 混合ガスにおけるガス比との関係を示すグラフ図
である。
おいて、その基本的な原理を説明するための説明図であ
る。
おいて、入射レーザ光に対するDLC膜の吸収係数と、
蛍光強度/ラマン光強度との関係を示すグラフ図であ
る。
おいて、強度比を採用したことの原理を説明するための
説明図である。
方法において、その検査工程で得らたラマンスペクトル
である。
ラマンスペクトルである。
Claims (4)
- 【請求項1】 炭素膜に対して可視域のレーザ光を照射
したときに発せられる蛍光の強度を測定し、この蛍光強
度に基づいて、前記炭素膜の膜質を検査することを特徴
とする炭素膜の検査方法。 - 【請求項2】 請求項1において、前記炭素膜に対して
可視域のレーザ光を照射したときに発せられるラマン光
の強度を測定し、このラマン光強度と前記蛍光強度との
比に基づいて、前記炭素膜の膜質を検査することを特徴
とする炭素膜の検査方法。 - 【請求項3】 磁気記録媒体の表面側に形成した炭素膜
に対して可視域のレーザ光を照射したときに発せられる
蛍光の強度を測定し、この蛍光強度が所定の値以上であ
ったときに前記磁気記録媒体を良品と判定する検査工程
を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項4】 磁気記録媒体の表面側に形成した炭素膜
に対して可視域のレーザ光を照射したときに発せられる
1550cm-1付近の蛍光の強度およびこの蛍光強度を
ベースラインとしたときの1550cm-1付近のラマン
光のピーク強度を測定し、前記蛍光強度をIF とし、前
記ラマン光のピーク強度をIR としたときに、IF /I
R で求められる値が20未満であって2を越える値であ
るときに、磁気記録媒体を良品と判定する検査工程を有
することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP4288579A JP2988158B2 (ja) | 1992-10-27 | 1992-10-27 | 炭素膜の検査方法および磁気記録媒体の製造方法 |
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JP2988158B2 (ja) | 1999-12-06 |
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