JPH06138035A - 炭素膜の検査方法および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

炭素膜の検査方法および磁気記録媒体の製造方法

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JPH06138035A
JPH06138035A JP28857992A JP28857992A JPH06138035A JP H06138035 A JPH06138035 A JP H06138035A JP 28857992 A JP28857992 A JP 28857992A JP 28857992 A JP28857992 A JP 28857992A JP H06138035 A JPH06138035 A JP H06138035A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭素膜の物理的特性に高い信頼性をもって対
応する指標に基づいて膜質評価が可能な炭素膜の検査方
法およびこの検査方法を検査工程に利用した磁気記録媒
体の製造方法を実現すること。 【構成】 磁気記録媒体の保護膜たるDLC膜に対し
て、可視域のレーザ光を照射してラマンスペクトルを測
定し、1550cm-1付近の蛍光の強度IF と、この蛍
光強度をベースラインとしたときの1550cm-1付近
のラマン光のピーク強度IR との強度比(IF /IR
を求める。ここで、IF /IR が20未満であって2を
越える値であるときに、磁気記録媒体を良品と判定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素膜の評価方法および
磁気記録媒体の製造方法に関し、とくに、ダイヤモンド
結合およびグラファイト結合が混在する炭素膜、いわゆ
るダイヤモンドライクカーボン膜(以下、DLC膜とい
う。)にレーザ光を照射したときに発せられる蛍光の強
度に基づく炭素膜の評価技術に関する。
【0002】
【従来の技術】DLC膜と称せられる炭素膜は、ダイヤ
モンド結合とグラファイト結合とが混在した構造にある
ため、グラファイト的な平坦性および低摩擦係数を有す
るとともに、ダイヤモンド的な高硬度をも備えている。
また、DLC膜は、反応性スパッタ法,プラズマCVD
法,イオンビームデポジション法など、各種の方法で成
膜できること、温度が250℃以下の低温雰囲気中で成
膜できること、化学的に安定であることなどから、各種
材料の保護膜や機能性薄膜としての利用が期待されてい
る。とりわけ、ハードディスク装置においては、CSS
方式(コンタクトスタートストップ方式)が採用され
て、磁気記録媒体の表面と記録ヘッドとが接触動作を繰
り返すため、DLC膜は、磁気記録媒体の表面側に形成
されて物理的な衝撃などから磁気記録媒体を保護する保
護層としての利用が期待される。
【0003】このようなDLC膜については、マクロ的
には非晶質の炭素膜であって水素を多量に含有すること
などが知られているが、DLC膜の特性、たとえば、機
械的性質(硬さ、潤滑特性)や光学的性質(光学的バン
ドギャップ、電気特性)は、成膜方法および成膜条件に
よって大きな変化を示すため、その膜構造と膜特性との
関連性を水素濃度などの面から把握する取り組みが行わ
れている。たとえば、特開平2−71422号公報にお
いては、波長が514.5nmのAr+ レーザを照射し
たときに得られるラマンスペクトルにおいて、図11に
示すように、DLC膜の結合電子がsp2 結合とsp3
結合の混在状態にあることに起因して得られる1350
cm-1および1540cm-1のピークA,Bをもつラマ
ンバンドの強度比からDLC膜を特徴付ける方法が開示
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、DLC
膜の構造と特性との関連性は複雑であるため、ラマンス
ペクトル解析における2つのラマンバンドの強度比から
の判定では、たとえば、DLC膜の成膜条件のうち、ス
パッタガスとして用いたAr/CH4 混合ガスのガス比
を変化させた場合には、その潤滑特性や硬度などの物理
的特性が変化するにもかかわらず、2つのラマンバンド
の強度比は、いずれの条件で成膜した場合もほぼ2:1
であって差異が認められず、DLC膜の膜質を規定する
指標としては信頼性が充分でないという問題点がある。
【0005】以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、
炭素膜の物理的特性に高い信頼性をもって対応する指標
に基づいて膜質評価が可能な炭素膜の検査方法およびこ
の検査方法を検査工程に利用した磁気記録媒体の製造方
法を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る炭素膜の検査方法において講じた手段
は、炭素膜に対して可視域のレーザ光を照射したときに
発せられる蛍光の強度を測定し、この蛍光強度に基づい
て、炭素膜の膜質を検査することである。
【0007】ここで、炭素膜の膜厚の影響を受けること
なく炭素膜を検査可能とする目的に、炭素膜に対して可
視域のレーザ光を照射したときに発せられるラマン光の
強度を測定し、このラマン光強度と蛍光強度との比に基
づいて、炭素膜の膜質を検査することが好ましい。
【0008】また、本発明に係る検査方法については、
磁気記録媒体の製造方法において、磁気記録媒体の表面
側に形成した炭素膜に対して可視域のレーザ光を照射し
たときに発せられる蛍光の強度を測定し、この蛍光強度
が所定の値以上であったときに磁気記録媒体を良品と判
定する検査工程として利用できる。
【0009】ここで、炭素膜の厚さにかかわらず、磁気
記録媒体のCSS特性(コンタクトスタートストップ特
性)を規定可能なように、前記の検査工程においては、
磁気記録媒体の表面側に形成した炭素膜に対して可視域
のレーザ光を照射したときに発せられる1550cm-1
付近の蛍光の強度およびこの蛍光強度をベースラインと
したときの1550cm-1付近のラマン光のピーク強度
を測定し、蛍光強度をIF とし、ラマン光のピーク強度
をIR としたときに、IF /IR で求められる値が20
未満であって2を越える値であるときに、磁気記録媒体
を良品と判定することが好ましい。なお、本発明におい
て、ピーク位置などについては、±約10cm-1位の変
動を有する。
【0010】
【作用】本発明に係る炭素膜の検査方法においては、た
とえば、磁気記録媒体の表面側にスパッタガスとして用
いたAr/CH4 混合ガスのガス比を種々の値に変えて
成膜した炭素膜に対して、可視域のレーザ光として、波
長が514.5nmのAr+ レーザを照射すると、図2
(a)ないし図2(c)に示すとおり、1350cm-1
および1540cm-1のピークをもつラマンスペクトル
が得られる。ここで、従来のように、2つのピークのラ
マンバンドの強度比に基づいて、DLC膜の膜質を評価
しようにも、その値には変化がみられず、Ar/CH4
混合ガスのガス比による膜質の変化を把握することはで
きない。これに対して、Ar/CH4 混合ガス中のCH
4 ガス濃度を高い条件に設定するにつれて、ベースライ
ンに相当する蛍光強度は上昇しており、この蛍光強度か
ら、Ar/CH4 混合ガスのガス比による膜質の変化、
たとえば、摩擦特性や硬度などの物理的特性を把握する
ことができ、磁気記録媒体の製造方法においては、炭素
膜の保護膜としての良否を数値的に簡単に検査すること
ができる。また、レーザ光の照射によってDLC膜から
発せられるラマン光および蛍光の測定は、磁気記録媒体
に対する非破壊試験であって、大気中で室温に保持した
まま行うことができるので、この検査方法を製造工程に
組み込むのも容易である。
【0011】
【実施例】つぎに、図面を参照して、本発明の実施例に
ついて説明する。
【0012】〔実施例1〕まず、本発明の実施例1とし
て、可視域のレーザ光を照射したときに発せられる蛍光
の強度を測定し、この蛍光強度に基づいて、結晶Si基
板の表面側に形成したDLC膜の膜質を検査する方法に
ついて説明する。
【0013】まず、カーボン焼結体をターゲットとし、
Ar/CH4 混合ガスまたはAr/H2 混合ガスを流し
ながら、DCスパッタ法により、結晶Si基板の上にD
LC膜を形成する。そのときのガス圧は0.6Pa、流
量は5sccm、基板温度は250℃である。ここで、
DLCの成膜条件のうち、Ar/CH4 混合ガスのガス
比を0から1までの範囲で変えた種々の条件で、膜厚が
1000〜2500ÅのDLC膜を結晶Si基板の上に
形成する。同様に、Ar/H2 混合ガスのガス流量比を
0から1までの範囲で変えた種々の条件で、膜厚が10
00〜2500ÅのDLC膜を結晶Si基板の上に形成
する。
【0014】つぎに、結晶Si基板の上に形成した各D
LC膜について、波長が514.5nmのAr+ レーザ
光を照射し、ラマンスペクトルを測定する。そのうちの
基本的なラマンスペクトルを図1に示す。また、図2
(a)ないし(c)には、Ar/CH4 混合ガスのガス
比を0から1までの範囲で条件を変えたDLC膜に対す
る1800cm-1〜1000cm-1のラマンスペクトル
を示してあり、それらのうち、図2(a)はCH4 ガス
濃度が10%の条件で成膜したDLC膜のラマンスペク
トル、図2(b)はCH4 ガス濃度が30%の条件で成
膜したDLC膜のラマンスペクトル、図2(c)はCH
4 ガス濃度が50%の条件で成膜したDLC膜のラマン
スペクトルである。さらに、図3(a)ないし(c)に
は、Ar/CH4 混合ガスのガス比を0から1までの範
囲で条件を変えたDLC膜に対する6000cm-1〜1
00cm-1のラマンスペクトルを示してあり、それらの
うち、図3(a)はCH4 ガス濃度が10%の条件で成
膜したDLC膜のラマンスペクトル、図3(b)はCH
4 ガス濃度が30%の条件で成膜したDLC膜のラマン
スペクトル、図3(c)はCH4 ガス濃度が50%の条
件で成膜したDLC膜のラマンスペクトルである。な
お、これらのスペクトルのうち、520cm-1の鋭いピ
ークPSiは、結晶性Si基板からのラマン光のピークで
あり、ピークPcは、DLC膜からのラマン光のピーク
である。このピークPc には、図2(a)ないし(c)
に明確に現れているように、1350cm-1および15
40cm-1のピークPc1,Pc2が含まれている。また、
ラマンスペクトルにおけるベースラインは、蛍光に起因
するものであり、図1において、そのピークにおける蛍
光強度をIF で示してある。これらのスペクトルの特徴
点については、Ar/H2 混合ガス中で成膜した場合も
同様であるため、そのラマンスペクトルについては、そ
の図示を省略する。
【0015】これらの図において、従来の評価方法のよ
うに、2つのラマンバンドにおけるピークPc2,Pc1
強度比に基づいて、各スペクトルを比較すると、いずれ
の条件で成膜したDLC膜のスペクトルにおいても、ピ
ークPc2,Pc1の強度比が約2:1であり、差異が認め
られない。これに対して、本例の評価方法の特徴点であ
る蛍光に起因するベースラインの高さに基づいて、各ス
ペクトルを比較すると、CH4 ガスの流量比が高い条件
で成膜する程、蛍光に起因するベースラインが高くなる
傾向を有する。ここで、各ピークPSi,Pc ,Pc1,P
c2の強度およびベースラインの強度IF は、いずれもD
LC膜の膜厚の影響が含まれている。
【0016】そこで、1540cm-1のピークPc2の強
度および蛍光強度IF を、それぞれDLC膜の膜厚で割
った値を求め、それとAr/CH4 混合ガスまたはAr
/H2 混合ガスのガス比との関係を図4に示してある。
【0017】図4において、実線11はAr/CH4
合ガス中で成膜したDLC膜のラマン光のピークPc2
強度IR をその膜厚で割った値との関係、実線12はA
r/H2 混合ガス中で成膜したDLC膜のラマン光のピ
ークPc2の強度IR をその膜厚で割った値との関係、実
線13はAr/CH4 混合ガス中で成膜したDLC膜の
蛍光強度IF をその膜厚で割った値との関係、実線14
はAr/H2 混合ガス中で成膜したDLC膜の蛍光強度
F をその膜厚で割った値との関係を示す。
【0018】この図に示すように、蛍光に起因するベー
スラインの強度(蛍光強度IF )を膜厚で割った値(実
線13,14)で比較すると、成膜条件のうち、Ar/
CH4 混合ガスまたはAr/H2 混合ガスにおけるガス
比によって差が明確であることに加えて、Ar/CH4
混合ガスとAr/H2 混合ガスとの差も明確である。
【0019】そして、各条件で成膜したDLC膜につい
て、その物理的膜質と、蛍光に起因するベースラインの
強度(蛍光強度IF )を膜厚で割った値とは、相関性を
有することが確認されている。それ故、蛍光に起因する
ベースラインの強度(蛍光強度IF )を膜厚で割った値
は、DLC膜の物理的膜質を検査するのに適しており、
その信頼性も高い。これに対して、DLC膜のラマン光
のピークPc2の強度IRをその膜厚で割った値(実線1
1,12)においては、成膜条件による差が小さく、L
DC膜の指標としては、成膜条件のうちのスパッタガス
の種類やガス成分比に起因する膜質の差までは評価でき
ない。
【0020】さらに、Ar/CH4 混合ガスを用いて成
膜したDLC膜と、Ar/H2 混合ガスを用いて成膜し
たDLC膜との差異を検討するために、図3(a)ない
し(c)に示す結晶Si基板からのSiのラマンピーク
強度を基準に、波長が514.5nmの入射レーザ光に
対するDLC膜の吸収係数α(cm-1)を求め、それと
Ar/CH4 混合ガスまたはAr/H2 混合ガスのガス
比との関係を図5に示す。
【0021】図5において、実線21はAr/CH4
合ガス中で成膜したDLC膜の入射レーザ光に対する吸
収係数と成膜条件との関係を示し、実線22はAr/H
2 混合ガス中で成膜したDLC膜の入射レーザ光に対す
る吸収係数と成膜条件との関係を示す。
【0022】これらの図に示すように、スパッタガスの
種類やガス比などの成膜条件によって、入射レーザ光に
対するDLC膜の吸収係数が変化していることを示して
おり、蛍光に起因するベースラインの強度(蛍光強度I
F )を膜厚で割った値に対応して、DLC膜の物理的膜
質が変化しているとの結果は、入射レーザ光に対するD
LC膜の吸収係数αの変化からも支持される。
【0023】なお、DLC膜の吸収係数αの算出は、以
下のようにして行う。
【0024】まず、図6に示すように、DLC膜の膜厚
をdcm、入射レーザ光の試料面法線となす角度をA、
ラマン光検出方向の試料面法線となす角度をB、入射光
強度をI0 とすると、DLC膜を成膜前の結晶Si基板
から得られるSiのラマン光強度I′Siは、以下の式
(1) で表される。
【0025】
【数1】
【0026】ここで、RSiは、結晶性Si基板における
膜厚や測定光学系もよらない固有のラマン光強度であ
る。
【0027】これに対して、DLC膜を成膜した後の結
晶Si基板から得られるSiのラマン光強度ISiは、ラ
マン光に対するDLC膜の吸収係数をβ(cm-1)とす
ると、以下の式(2) で表される。
【0028】
【数2】
【0029】ただし、DLC膜での反射は無視できるも
のとして扱ってある。
【0030】ここで、入射レーザ光とラマン光とは波長
が近いため、β≒αと近似すると、式(2)は以下の式
(3) で表される。
【0031】
【数3】
【0032】このようにして求めた吸収係数α(c
-1)をガス比に対してプロットしたものが、図5であ
る。
【0033】つぎに、DLC膜の吸収係数αとラマン測
定によって求めた蛍光強度との関係を図7に示す。この
図において、縦軸は、蛍光のピーク強度IF とラマン光
のピーク強度IR との比(IF /IR )である。この図
において、蛍光強度IF とラマン光強度IR との比(I
F /IR )を用いたのは、以下の理由に基づく。
【0034】図8において、DLC膜の深さがx(c
m)の位置のdxの部分からのラマン光強度をdIR
すると、ラマン光強度dIR は以下の式で表される。
【0035】
【数4】
【0036】従って、DLC膜のラマン光強度IR は、
以下の式で表される。
【0037】
【数5】
【0038】ここで、kは比例定数、I0 は入射光強
度、dはDL膜の膜厚、α,βは入射レーザ光およびラ
マン光に対するDLC膜の吸収係数であり、Rc は、膜
厚や測定光学系もよらないDLC膜固有のラマン光強度
である。
【0039】一方、蛍光の強度IF についても、ほぼ同
様に考えることができるので、固有の蛍光強度をFc
すると、蛍光の強度IF は、以下の式で表される。
【0040】
【数6】
【0041】ここで、DLC膜の蛍光ピーク波長とラマ
ン光の波長は近いため、 β=β′ と近似すると、
【0042】
【数7】
【0043】従って、実測値IF /IR は、DLC膜の
膜厚や測定方法によらないそのDLC固有の値、すなわ
ち、そのDLC膜の膜質を特徴付ける値になると考えら
れる。一方、図7に示すように、Ar /CH4 混合ガス
を使用した場合およびAr/H2 混合ガスを使用した場
合のいずれの場合においても、IF /IR と吸収係数α
とは同一の曲線で示される。それ故、DLC膜の吸収係
数αは、膜厚や測定方法によらない固有の値であって、
DLC膜の膜質を特徴付ける値であることから、IF
R は、DLC膜の膜質を特徴づけるのに適した指標で
ある。
【0044】なお、蛍光強度IF の設定方法について
は、蛍光のピーク強度を採用する代わりに特定の波数ま
たは波長における蛍光強度で評価することもできる。ま
た、DLC膜のラマンバンドにおけるベースラインの高
さで蛍光強度を設定することもできる。
【0045】〔実施例2〕つぎに、実施例2に係る固定
ディスク用の磁気記録媒体の製造方法として、実施例1
に係るDLC膜の検査方法を磁気記録媒体の良否を検査
する工程に採用した磁気記録媒体の製造方法ついて説明
する。
【0046】図9において、磁気記録媒体1は、アルミ
ニウム基板2の表面側にテクスチャー処理の施されたN
i−Pめっき層3と、その表面側にスパッタ形成された
Cr層4および磁性層(Co−Cr−Ta)5と、その
表面側に形成された保護膜としてのDLC膜6と、その
表面側に形成されたフッ化カーボンオイル層7とを有す
る。ここで、DLC膜6は、CSS方式のハードディス
ク装置において、磁気記録媒体1の最表面と記録ヘッド
との接触動作の繰り返しによって発生する物理的な衝撃
などから磁気記録媒体1を保護する目的に形成されてい
る。従って、DLC膜6の潤滑特性や硬度などは、磁気
記録媒体1の信頼性を支配する要素であるため、本例の
製造方法においては、DLC膜6の膜質を製造工程にお
いて検査し、磁気記録媒体1の良否の判定および前工程
へのフィードバックを行うことに特徴を有する。
【0047】まず、本例の磁気記録媒体1の製造方法に
おいては、アルミニウム基板2の表面にNi−Pめっき
処理を施してNi−Pめっき層3を形成した後に、Ni
−Pめっき層3の表面側にテープポリッシュによりテク
スチャー処理を行う。
【0048】つぎに、Ni−Pめっき層3の表面側にC
r層4および磁性層5をスパッタ形成する。
【0049】つぎに、その表面側に、Ar/CH4 混合
ガスまたはAr/H2 混合ガスを用いたDCスパッタ法
によりDLC膜6を形成する。
【0050】つぎに、DLC膜6に対する検査工程を行
う。この検査工程においては、実施例1と同様に、波長
が514.5nmのAr+ レーザ光にてレーザラマン分
光測定を行って、蛍光の強度とラマン光の強度とを測定
する。そのラマンスペクトルの代表的なものを図10に
示す。そして、図10に示すラマンスペクトルから求め
た蛍光の強度IF に基づいて、DLC膜6の膜質を検査
する。なお、本例においては、蛍光の強度IF として
は、1550cm-1付近の蛍光強度を採用している。ま
た、DLC膜6の膜厚の影響が及ばないように、蛍光の
強度IF とラマン光強度IR との強度比(IF /IR
を求め、この強度比(IF /IR )からDLC膜6の良
否を判定する。
【0051】ここで、蛍光の強度IF とラマン光強度I
R との強度比(IF /IR )と、DLC膜6の保護膜と
しての良否との関係については、以下の関係があること
が実験結果より判明している。すなわち、DLC膜6の
形成条件として、Ar/CH4 混合ガスのガス比、ガス
流量、ガス圧などを変えて、磁気記録媒体1の保護膜と
してのDLC膜6を形成し、この表面側にフッ化カーボ
ンオイル層7を形成する前に、DLC膜6に対して可視
域のレーザ光を照射し、DLC膜6から発せられる15
50cm-1付近の蛍光の強度IF およびこの蛍光強度I
F をベースラインとしたときの1550cm-1付近のラ
マン光のピーク強度IR を測定したところ、DLC膜6
からの蛍光の強度IF とラマン光強度IR との強度比
(IF /IR )が以下の条件を満たすDLC膜6におい
て、製造後の磁気記録媒体1のCSS特性の特性が良好
であることが確認されている。
【0052】2 < IF /IR < 10 従って、検査工程においては、DLC膜6に対して可視
域のレーザ光を照射したときに発せられる蛍光の強度I
F とラマン光強度IR との強度比(IF /IR)が20
未満であって2を越える値であるときに、磁気記録媒体
1を良品と判定する。
【0053】しかる後に、DLC膜6の表面側にスピン
コート法を利用してフッ化カーボンオイル層7を形成
し、磁気記録媒体1を製造する。
【0054】以上のとおり、本例に係る磁気記録媒体の
製造方法においては、蛍光強度とラマン光強度との強度
比から、DLC膜6の膜質を検査しているので、製造後
の磁気記録媒体1の信頼性が向上するとともに、DLC
膜6の成膜工程へのフィードバックを行うことができ
る。
【0055】なお、実施例1および実施例2のいずれに
おいても、可視域の入射レーザ光として、波長が51
4.5nmのAr+ レーザを利用したが、これに限ら
ず、波長が488nmのAr+ レーザ光、He−Neレ
ーザ光またはKr+ レーザ光など、他の可視域のレーザ
光を利用することもできる。
【0056】また、蛍光およびラマン光に対する測定装
置としては、レーザラマン分光装置の他に、フォトルミ
ネッセンスの測定装置なども利用できる。
【0057】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に係る炭素膜の検
査方法においては、可視域のレーザ光を炭素膜に照射し
たときに得られる蛍光の強度に基づいて、炭素膜の評価
を行うことに特徴を有するため、以下の効果を奏する。
磁気記録媒体の保護膜などとしてDLC膜をスパッタ法
などで形成したときに、そのスパッタガスの種類によっ
て潤滑特性などが変化しても、2つのラマンピークの強
度比は変化しないのに対して、蛍光強度の強度は変化す
る。それ故、蛍光強度を指標として炭素膜を評価するこ
とによって、DLC膜の検査を簡単な方法でしかも非破
壊で行うことができる。
【0058】ここで、蛍光強度に加えて、ラマン光強度
も測定して、それらの強度の比からDLC膜を評価した
場合には、ラマン光強度と蛍光強度との比には膜厚が影
響を及ぼさないので、容易に検査を行うことができ、た
とえば、磁気記録媒体の製造方法においては、その値に
よって、磁気記録媒体の良否を判定することができるの
で、成膜条件へのフィードバックや検査工程として利用
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るDLC膜の評価方法に
おいて、DLC膜に対して波長が514.5nmのAr
+ レーザ光を照射したときに得られるラマンスペクトル
である。
【図2】本発明の実施例1に係るDLC膜の評価方法に
おいて測定した1800cm-1〜1000cm-1のラマ
ンスペクトルのうち、(a)はスパッタガス(Ar/C
4 混合ガス)中のCH4 ガス濃度が10%の条件で成
膜したDLC膜のラマンスペクトル、(b)はそのCH
4 ガス濃度が30%の条件で成膜したDLC膜のラマン
スペクトル、(c)はそのCH4 ガス濃度が50%の条
件で成膜したDLC膜のラマンスペクトルである。
【図3】本発明の実施例1に係るDLC膜の評価方法に
おいて測定した6000cm-1〜100cm-1のラマン
スペクトルのうち、(a)はスパッタガス(Ar/CH
4 混合ガス)中のCH4 ガス濃度が10%の条件で成膜
したDLC膜のラマンスペクトル、(b)はそのCH4
ガス濃度が30%の条件で成膜したDLC膜のラマンス
ペクトル、(c)はそのCH4 ガス濃度が50%の条件
で成膜したDLC膜のラマンスペクトルである。
【図4】本発明の実施例1に係るDLC膜の評価方法に
おいて、ラマンスペクトルから求めたラマン光強度/膜
厚および蛍光強度/膜厚と、スパッタガスに用いたAr
/CH4 混合ガスまたはAr/H2 混合ガスにおけるガ
ス比との関係を示すグラフ図である。
【図5】本発明の実施例1に係るDLC膜の検査方法に
おいて、入射レーザ光に対するDLC膜の吸収係数と、
スパッタガスに用いたAr/CH4 混合ガスまたはAr
/H2 混合ガスにおけるガス比との関係を示すグラフ図
である。
【図6】本発明の実施例1に係るDLC膜の検査方法に
おいて、その基本的な原理を説明するための説明図であ
る。
【図7】本発明の実施例1に係るDLC膜の検査方法に
おいて、入射レーザ光に対するDLC膜の吸収係数と、
蛍光強度/ラマン光強度との関係を示すグラフ図であ
る。
【図8】本発明の実施例1に係るDLC膜の検査方法に
おいて、強度比を採用したことの原理を説明するための
説明図である。
【図9】磁気記録媒体の構造を示す模式図である。
【図10】本発明の実施例2に係る磁気記録媒体の製造
方法において、その検査工程で得らたラマンスペクトル
である。
【図11】従来のDLC膜の評価方法を説明するための
ラマンスペクトルである。
【符号の説明】
1・・・磁気記録媒体 2・・・アルミニウム基板 3・・・Ni−Pめっき層 4・・・Cr層 5・・・磁性層 6・・・DLC膜 7・・・フッ化カーボンオイル層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素膜に対して可視域のレーザ光を照射
    したときに発せられる蛍光の強度を測定し、この蛍光強
    度に基づいて、前記炭素膜の膜質を検査することを特徴
    とする炭素膜の検査方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記炭素膜に対して
    可視域のレーザ光を照射したときに発せられるラマン光
    の強度を測定し、このラマン光強度と前記蛍光強度との
    比に基づいて、前記炭素膜の膜質を検査することを特徴
    とする炭素膜の検査方法。
  3. 【請求項3】 磁気記録媒体の表面側に形成した炭素膜
    に対して可視域のレーザ光を照射したときに発せられる
    蛍光の強度を測定し、この蛍光強度が所定の値以上であ
    ったときに前記磁気記録媒体を良品と判定する検査工程
    を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 磁気記録媒体の表面側に形成した炭素膜
    に対して可視域のレーザ光を照射したときに発せられる
    1550cm-1付近の蛍光の強度およびこの蛍光強度を
    ベースラインとしたときの1550cm-1付近のラマン
    光のピーク強度を測定し、前記蛍光強度をIF とし、前
    記ラマン光のピーク強度をIR としたときに、IF /I
    R で求められる値が20未満であって2を越える値であ
    るときに、磁気記録媒体を良品と判定する検査工程を有
    することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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