JPH06135691A - 重量バランス検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 移動式クレーンの転倒防止や、車両の荷台等
の傾きを防止するための重量バランス検出装置に関し、
重量バランスを検出して転倒防止に寄与することを目的
とする。 【構成】 感圧センサ２，３が検出した、構造物１の異
なる少なくとも２点における圧力に基づき、処理手段４
が、構造物１の重量バランス状態を検出する。この構造
物１の重量バランス状態を、表示手段５が視覚的に表示
する。構造物１の運転者は、この表示手段５に表示され
た構造物１の重量バランス状態から、構造物１の転倒可
能性を的確に判断することができる。また、改善手段
が、構造物の重量バランス状態を検出した処理手段から
の出力に基づき、構造物の重量バランスを改善するよう
にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は移動自在な構造物の重量
バランスの不均衡を検出する重量バランス検出装置に関
し、特に移動式クレーンの転倒防止や、車両の荷台等の
傾きを防止するための重量バランス検出装置に関する。

【０００２】建設工事現場等で移動式クレーンが転倒す
る事故が発生したり、また、積み荷の偏りのためにトラ
ックが転倒する事故が発生したりするが、そうした事故
を回避するための装置として本発明を提案する。

【０００３】

【従来の技術】一般に、移動式クレーン、特にトラック
クレーンにあっては、アウトリガー（張り出し支持脚）
によって台車を地面に４点で支持した上で作業が行われ
ている。

【０００４】こうしたトラッククレーンでは、従来、転
倒防止の安全装置が設けられており、それによれば、例
えば、台車からのアウトリガーの張り出し量、ブームの
長さ等に応じて、台車が転倒する可能性のある吊り下げ
重量の限度値が予め決められ、吊り下げ重量が、この限
度値の例えば８０％になると警報が鳴り、９０％になる
とクレーンの作動が強制的に停止されるようになってい
た。

【０００５】また、トラックの積み荷の偏りに関して
は、トラック運転者等の経験や感覚的な判断に頼ってい
た。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、トラッククレ
ーンにあって、転倒に関連するパラメータは、アウトリ
ガーの張り出し量、ブームの長さ、ブームの傾き、吊り
下げ重量、転倒防止用バランス重りの位置と重量、ブー
ムや台車の自重、さらには、台車旋回時の吊り下げ荷物
の慣性力等があり、これらのパラメータのうちの変数パ
ラメータの各数値に応じて、転倒する条件を正確に算出
することは現実的には難しく、したがって、上記限度値
はかなり安全度を見込んだ値となっていた。

【０００７】一方、周囲の状況によっては、アウトリガ
ーを十分張り出せないような作業現場もあり、そうした
場合に、オペレータは、上記限度値がかなり安全度を見
込んだ値となっている点に着目して、アウトリガーの僅
かな張り出し量のまま、上記警報や強制停止を行う安全
装置の作動を解除して運転するようなことがあった。こ
うした運転では、転倒をオペレータが感覚的に察知する
しか方法がなく、不幸にして転倒に至ることもあった。

【０００８】また、トラックの転倒に関しては、単に積
み荷の偏りだけでなく、カーブでのトラックの走行速度
との関連でとらえねばならず、この場合、転倒を予測す
るには複雑な計算を必要とし、現実的ではなかった。

【０００９】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、重量バランスを検出して転倒防止に寄与する
ことを図った重量バランス検出装置を提供することを目
的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明では上記目的を達
成するために、重量バランス検出装置が、図１に示すよ
うに、移動自在な構造物１の異なる少なくとも２点に配
置された感圧センサ２，３と、各感圧センサ２，３から
の出力を処理して、構造物１の重量バランス状態を検出
する処理手段４と、処理手段４からの出力に基づき、構
造物１の重量バランス状態を視覚的に表示する表示手段
５とを備える。

【００１１】また、処理手段４は、各感圧センサ２，３
からの出力を処理して、構造物１の重量バランス値を検
出し、表示手段５へ出力する検出手段４ａと、重量バラ
ンス値の基準値を記憶する基準値記憶手段４ｂと、検出
手段４ａが検出した重量バランス値を基準値記憶手段４
ｂが記憶している基準値と比較し、警報を発生する警報
手段４ｃとから成る。

【００１２】さらに、構造物の異なる少なくとも２点に
配置された各感圧センサと、各感圧センサからの出力を
処理して、構造物の重量バランス状態を検出する処理手
段と、処理手段からの出力に基づき、構造物の重量バラ
ンスを改善する改善手段とを有することを特徴とする重
量バランス検出装置が、提供される。

【００１３】

【作用】以上の構成により、図１において、感圧センサ
２，３が検出した、構造物１の異なる少なくとも２点に
おける圧力に基づき、処理手段４が、構造物１の重量バ
ランス状態を検出する。この構造物１の重量バランス状
態を、表示手段５が視覚的に表示する。構造物１の運転
者は、この表示手段５に表示された構造物１の重量バラ
ンス状態から、構造物１の転倒可能性を的確に判断する
ことができる。

【００１４】また、処理手段４では、検出手段４ａが、
各感圧センサ２，３からの出力を処理して、構造物１の
重量バランス値を検出し、表示手段５に出力するととも
に、基準値記憶手段４ｂが重量バランス値の基準値を記
憶しておき、警報手段４ｃが、検出手段４ａが検出した
重量バランス値を基準値記憶手段４ｂが記憶している基
準値と比較し、転倒に関する警報を発生するようにす
る。

【００１５】さらに、改善手段が、構造物の重量バラン
ス状態を検出した処理手段からの出力に基づき、構造物
の重量バランスを改善するようにする。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図２はトラッククレーンに装着された重量バラン
ス検出装置の構成を示すブロック図である。トラックク
レーンの車体１０の４箇所にフィルム状感圧センサ１
１，１２，１３，１４を装着する。これらの感圧センサ
１１，１２，１３，１４は、加えられた圧力に応じて異
なる電圧を出力したり、あるいは、加えられた圧力に応
じて抵抗値を変えるフィルム状の素子であり、この素子
を、トラッククレーンの４つのアウトリガー（図示せ
ず）の周辺の、各アウトリガーに加わる荷重を検出でき
る位置に設ける。具体的な設置位置に関しては、図３お
よび図４を参照して後述する。

【００１７】感圧センサ１１，１２，１３，１４の出力
は、処理装置１５に送られ、差算出部１５ａに入力され
る。差算出部１５ａは、感圧センサ１１，１２，１３，
１４からの出力値、すなわち各アウトリガーに加わる荷
重に相当する値、のうちの最低値を探し、この最低値に
対する各差値を算出し、比較部１５ｂへ送る。これらの
差値は、車体１０の各アウトリガー位置間の重量バラン
スを示している。すなわち、４つのアウトリガーに均等
に荷重が加わっていれば、４つの差値はいずれも零値を
示し、一方、４つのアウトリガーに加わる荷重が不均等
になり、トラッククレーンの車体１０が転倒に至る直前
にはこれらの差値が非常に大きな値を示す。

【００１８】基準部１５ｃは、標準状態における差値を
基準値として保持している。基準値として、２種類用意
されており、第１は、メーカ出荷時に設定されるもので
あり、第２は、アウトリガーが引き出され、安定設置さ
れたときの各差値の初期値に所定値を加えたものであ
る。後者は、トラッククレーンの車体１０が斜面に設置
されたり、特殊な設置にある場合を考慮したものであ
る。

【００１９】上記第１の、メーカ出荷時に設定される基
準値は、リセットスイッチ１５ｈによって呼び出され、
第２の、初期値に所定値を加えることによって得られる
基準値は、セットスイッチ１５ｇによって呼び出され
る。

【００２０】比較部１５ｂは、差算出部１５ａからの４
つの差値を、基準部１５ｃからの基準値とそれぞれ比較
し、基準値を超えた各超過量を判定部１５ｅへ送る。メ
モリ１５ｄは、基準部１５ｃを経て比較部１５ｂから送
られる、過去に転倒に至らなかった最大の超過量を記憶
するものである。この値は、現在の記憶値よりも大きい
値が比較部１５ｂから送られると更新されるようにす
る。

【００２１】これらの記憶された最大の超過量は、セッ
トスイッチ１５ｉがオンのとき、基準部１５ｃを経て警
報部１５ｆに送られる。警報部１５ｆは、任意に設定さ
れる警報発生値を記憶しており、セットスイッチ１５ｉ
がオフのときは、判定部１５ｅへこの任意に設定された
警報発生値を送るが、セットスイッチ１５ｉがオンのと
きは、判定部１５ｅへ上記最大の超過量を警報発生値と
して送る。なお、警報部１５ｆは、後述の判定部１５ｅ
からの指示により、警報をオペレータに向け発する機能
を備えている。

【００２２】判定部１５ｅは、比較部１５ｂから送られ
た各超過量が零である標準状態時には、後述の図５に示
す画面の表示をＣＲＴ表示装置１６に行わせ、一方、超
過量のいずれかが零でないときは、各超過量を警報部１
５ｆからの警報発生値と比較し、超過量のいずれもが警
報発生値に至っていない注意状態時には、例えば、後述
の図６に示すような画面の表示をＣＲＴ表示装置１６に
行わせ、また、超過量のいずれかが警報発生値に至って
いる警報状態時には、例えば、後述の図７に示すような
画面の表示をＣＲＴ表示装置１６に行わせるとともに、
警報部１５ｆに警報発生を指示する。

【００２３】ＣＲＴ表示装置１６は、オペレータの近く
に設置されたカラー表示が可能なＣＲＴ画面表示装置で
ある。図３は、感圧センサの具体的な設置位置を示す第
１の例であり、（Ａ）はアウトリガー付近の斜視図であ
り、（Ｂ）は（Ａ）の矢印Ｃ方向から見た側面図であ
る。図中、アウトリガーの構成は、トラッククレーンの
車体に固定された水平保持部２１と、この水平保持部２
１内を水平方向に移動する水平移動部２２と、この水平
移動部２２内を垂直方向に移動する垂直移動部２３と、
この垂直移動部２３の下端に固定され、地面と接する接
地部２４とから成る。そして、水平保持部２１から水平
方向に延びたアーム部材２５と、水平移動部２２から水
平方向に、かつ、アーム部材２５の長さ方向に垂直にな
るように延びたアーム部材２６とを設け、アーム部材２
５の、アーム部材２６に対向する位置に、アーム部材２
６から常時、加圧されるように、感圧センサ２７を設け
る。すなわち、水平移動部２２が水平保持部２１内を移
動してどの位置にあっても、感圧センサ２７が、常時、
アーム部材２６から加圧されているようにする。

【００２４】以上に示した感圧センサ以外の他の感圧セ
ンサに関しても、同様な構成の設置を行う。このような
構成により、アウトリガーに荷重がかかると、アーム部
材２５がアーム部材２６に押しつけられ、感圧センサ２
７がその荷重に応じた出力値を出力する。

【００２５】図４は、感圧センサの具体的な設置位置を
示す第２の例であり、一部に断面図を含むアウトリガー
付近の側面図である。図中、水平移動部３１と、垂直移
動部３２と、接地部３３とから成るアウトリガーの垂直
移動部３２に、感圧装置３４を設ける。感圧装置３４の
構成は、一端が垂直移動部３２に固定され、他端が円筒
状をなす本体部３４ａと、この本体部３４ａの円筒内を
摺動し、一端が閉じた円筒部３４ｂと、本体部３４ａの
円筒内の中央に配置された感圧センサ３４ｃと、本体部
３４ａの円筒内でこの感圧センサ３４ｃを両側から挟む
ように配置されたスプリング３４ｄ，３４ｅとから成
る。

【００２６】以上に示した感圧センサ以外の他の感圧セ
ンサに関しても、同様な構成の設置を行う。このような
構成により、アウトリガーに荷重がかかると、円筒部３
４ｂが本体部３４ａの円筒内に、スプリング３４ｄ，３
４ｅを縮めながら嵌入する。これにより、感圧センサ３
４ｃは、スプリング３４ｄ，３４ｅから加圧され、その
加圧量に応じた出力値を出力する。

【００２７】図５は、重量バランスが標準状態にあると
きにＣＲＴ表示装置１６に表示される画面を示す図であ
る。すなわち、図２の差算出部１５ａから出力された４
つの差値が、基準部１５ｃからの基準値以下であって、
比較部１５ｂから判定部１５ｅに送られた各超過量が零
であるとき、ＣＲＴ表示装置１６に表示される画面４０
は、図５のように表示される。表示４１はトラッククレ
ーンの平面を表し、表示４２はトラッククレーンの正面
を表し、表示４３はトラッククレーンの側面を表してい
る。表示４１における数値は、感圧センサが設置されて
いる位置での各超過量を表している。

【００２８】図６は、重量バランスが注意状態にあると
きにＣＲＴ表示装置１６に表示される画面の一例を示す
図である。すなわち、超過量のいずれかが零でなく、か
つ、超過量のいずれもが警報発生値に至っていないと
き、ＣＲＴ表示装置１６に表示される画面４５は、図６
のように表示される。この画面に表示される３つの表示
図形の意味は、図５のそれと同じであるが、図にハッチ
ングを付して示した、超過量が零より大きい感圧センサ
設置部は、橙色または黄色で表示するようにして、重量
バランスが崩れつつあることを示し、注意をオペレータ
に促す。

【００２９】図７は、重量バランスが警報状態にあると
きにＣＲＴ表示装置１６に表示される画面の一例を示す
図である。すなわち、超過量のいずれかが警報発生値に
至ったとき、ＣＲＴ表示装置１６に表示される画面５０
は、図７のように表示される。この画面に表示される３
つの表示図形の意味は、図５のそれと同じである。表示
５１では、警報発生値に至った超過量「５０．００」を
赤色の点滅表示（ブリンク表示）で表すとともに、その
感圧センサ設置部（ハッチング部）は赤色で表示する。
そして、表示５２のように、トラッククレーンの転倒を
示す破線の図柄を実線の図柄に付加する。これにより、
危険状態にあることをオペレータに視覚的にも訴えるよ
うにする（勿論、この際には警報部１５ｆが警報を発生
している）。

【００３０】なお、図７では、トラッククレーンの転倒
を示す破線の図柄を、表示５２に上向きに付加して示し
ているが、超過量が警報発生値に達した感圧センサ設置
部が、他の位置の場合には、その位置に応じて、表示５
２に下向きに、あるいは表示５３に左または右向きに付
加される。

【００３１】上記実施例では、感圧センサをトラックク
レーンの車体の４か所に設置したが、必ずしも４か所に
設置する必要はない。しかし、少なくとも２か所に設置
する必要はある。

【００３２】つぎに、図８は、重量バランス検出装置が
搭載されたトラックの車輪部を示す、一部に断面を含む
正面図である。トラックの車輪６１の車軸６２は、軸受
６３、調節可能なサスペンション部６４、およびセンサ
部６５を経てボディ６６と連結している。サスペンショ
ン部６４は、内部圧力を外部から制御できる油圧ダンパ
で構成され、このサスペンション部６４とボディ６６と
の間に、フィルム状の感圧センサから成るセンサ部６５
が挟まれて設置される。

【００３３】こうした感圧センサの設置が４つの車輪付
近で行われる。そして、４つの感圧センサからの出力値
に基づき、ボディ６６の傾きや、重量バランスの不均衡
を検出し、その検出結果に応じて各サスペンション部の
油圧を調節して、ボディ６６の傾きを直したり、重量バ
ランスの不均衡を是正したりする。

【００３４】これにより、カーブ走行によっても、トラ
ックの転倒は防止される。上記実施例はトラックに対し
て本発明を適用した場合で説明したが、本発明は乗用車
等に対しても適用できる。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように本発明では、転倒に
関する多数のパラメータによる複雑な計算をせずに、転
倒に直接的に関連する重量バランスを、加圧センサによ
り検出することにより、転倒の危険性を正確に簡単に知
ることができ、したがって、転倒の危険性を視覚的に段
階的に表示することで、トラッククレーン等の転倒防止
に大きく寄与することが可能となる。

【００３６】また、重量アンバランスに応じて、バラン
スを改善するので、積み荷の偏りに伴うトラックの転倒
を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の原理説明図である。

【図２】トラッククレーンに装着された重量バランス検
出装置の構成を示すブロック図である。

【図３】感圧センサの具体的な設置位置を示す第１の例
であり、（Ａ）はアウトリガー付近の斜視図であり、
（Ｂ）は（Ａ）の矢印Ｃ方向から見た側面図である。

【図４】感圧センサの具体的な設置位置を示す第２の例
であり、一部に断面図を含むアウトリガー付近の側面図
である。

【図５】重量バランスが標準状態にあるときにＣＲＴ表
示装置に表示される画面を示す図である。

【図６】重量バランスが注意状態にあるときにＣＲＴ表
示装置に表示される画面の一例を示す図である。

【図７】重量バランスが警報状態にあるときにＣＲＴ表
示装置に表示される画面の一例を示す図である。

【図８】重量バランス検出装置が搭載されたトラックの
車輪部を示す、一部、断面を含む正面図である。

【符号の説明】

１ 構造物 ２ 感圧センサ ３ 感圧センサ ４ 処理手段 ４ａ 検出手段 ４ｂ 基準値記憶手段 ４ｃ 警報手段 ５ 表示手段

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 移動自在な構造物（１）の重量バランス
   の不均衡を検出する重量バランス検出装置において、 構造物（１）の異なる少なくとも２点に配置された各感
   圧センサ（２，３）と、 前記各感圧センサ（２，３）からの出力を処理して、前
   記構造物（１）の重量バランス状態を検出する処理手段
   （４）と、 前記処理手段（４）からの出力に基づき、前記構造物
   （１）の重量バランス状態を視覚的に表示する表示手段
   （５）と、 を有することを特徴とする重量バランス検出装置。
2. 【請求項２】 前記処理手段（４）は、前記各感圧セン
   サ（２，３）からの出力を処理して、前記構造物（１）
   の重量バランス値を検出し、前記表示手段（５）へ出力
   する検出手段（４ａ）と、重量バランス値の基準値を記
   憶する基準値記憶手段（４ｂ）と、前記検出手段（４
   ａ）が検出した重量バランス値を前記基準値記憶手段
   （４ｂ）が記憶している基準値と比較し、警報を発生す
   る警報手段（４ｃ）とから成るように構成したことを特
   徴とする請求項１記載の重量バランス検出装置。
3. 【請求項３】 前記基準値記憶手段（４ｂ）は、前記検
   出手段（４ａ）が検出する重量バランス値の極限値を基
   準値として記憶するように構成したことを特徴とする請
   求項２記載の重量バランス検出装置。
4. 【請求項４】 移動自在な構造物の重量バランスの不均
   衡を検出する重量バランス検出装置において、 構造物の異なる少なくとも２点に配置された各感圧セン
   サと、 前記各感圧センサからの出力を処理して、前記構造物の
   重量バランス状態を検出する処理手段と、 前記処理手段からの出力に基づき、前記構造物の重量バ
   ランスを改善する改善手段と、 を有することを特徴とする重量バランス検出装置。