JPH06134525A - 薄肉溶接管の成形方法 - Google Patents

薄肉溶接管の成形方法

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JPH06134525A
JPH06134525A JP31120492A JP31120492A JPH06134525A JP H06134525 A JPH06134525 A JP H06134525A JP 31120492 A JP31120492 A JP 31120492A JP 31120492 A JP31120492 A JP 31120492A JP H06134525 A JPH06134525 A JP H06134525A
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metal strip
roll
stand
edge
breakdown
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JP31120492A
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Tomotaka Hayashi
智隆 林
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エッジ座屈の発生原因である成形途中の金属
帯に作用する長手方向の曲げモーメントを許容範囲内に
おさめることにより、金属帯のロール成形時に金属帯エ
ッジに座屈が発生するのを防止する。 【構成】 金属帯Hのエッジ部E,Eを拘束しないブレ
ークダウンロール3,3…の設定高さと、クラスタロー
ル4,4…またはフィンパスロール5の設定高さとを成
形途中の金属帯ボトム位置が下記条件を満たすように設
定する。 i=2〜Nに対して {1−(lEi/lE0i )}・Li-1 2 /12π2 2 <1

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鍛接管・電縫管等の金属
管、特に肉厚(t)/外径(D)が1.6 %以下の薄肉の
溶接管を成形する場合に好適な、金属帯を連続的にロー
ル成形し製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属帯から連続的に溶接管を製造するに
はロール成形法が用いられる。図4は従来のロール成形
法により金属帯から連続的に溶接管を製造する工程を示
す模式的斜視図であり、図中Hは金属帯である。巻回さ
れた金属帯Hはアンコイラ1からレベラー2へ送給さ
れ、レベラー2により平坦矯正された後ロール成形機へ
送られる。ロール成形機は水平ロールであるブレークダ
ウンロール3,3…、竪ロールであるクラスタロール
4,4…及び水平ロールであるフィンパスロール5,5
…を備えている。
【0003】各ロールは対になっており、金属帯Hはこ
こで、その両側縁部、即ち図5に示す如くエッジ部E,
Eが上方に移動するようにロール成形され、互いに対向
させるべく円筒状に順次曲成される。このエッジ部E,
Eと相対する部分がボトム部Bとなる。その後金属帯H
は、例えば誘導加熱コイル7などの加熱手段にて両エッ
ジ部が加熱され、スクイズロール6,6により側圧を与
えながら溶接部が凝固される。
【0004】以上のごとき溶接管製造ラインにおいて金
属帯Hをロール成形機で円筒状に成形するとき、エッジ
部E,Eは長手方向に延伸されるが、金属帯の幅中央
部、即ちボトム部Bはほとんど延伸されない。従って肉
厚(t)と外径(D)との比率(t/D×100)が略 1.6
%以下の薄肉溶接管をロール成形にて製造する時、エッ
ジ部E, E及びボトム部Bとの長手方向の延伸量に差が
出るため図6に示した如く金属帯Hのエッジ部Eに座屈
が発生して波状部が形成される。従って溶接の段階で突
き合せ部が不揃いとなって溶接できなくなるという問題
点があった。
【0005】この対策として従来提案されている方法に
は、例えば特公昭64-4853 号に開示されている局部圧延
方式による鋼帯の予歪付加方法がある。これは金属帯H
の曲成過程において金属帯Hのボトム部Bに対し、エッ
ジ部E, Eよりも大きい伸び変形を予め与えておき、金
属帯Hの曲成過程で生ずる金属帯Hのボトム部Bとエッ
ジ部E, Eとの延伸量の差を低減するというものであ
る。したがってエッジ部E, Eにおける縁波及び座屈の
発生が防止できる。
【0006】次に本発明者は特開平4-84626 号で溶接管
の成形方法を提案した。この方法は金属帯Hに対して軸
方向に張力を加え、ブレークダウンロール3,3…にお
いて、金属帯のエッジ部E,Eとボトム部Bとの成形時
における延伸量が等しくなるように圧延しながら成形す
るというものである。また一方、別の対策として、例え
ば特開昭63-295022 号に開示されたものがある。これは
成形ロールの設定位置を規定して金属帯Hのエッジ部
E, Eとボトム部Bとの長手方向の伸び歪差を減少する
というものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記局部圧延方式では
付加する必要がある予歪量が大きくなるためt/Dが小
さい管では予歪を付加した時点で、この予歪によってエ
ッジ座屈が発生するという問題が生じる。また特開平4-
84626 号に開示されている方法では圧延量を調整する必
要があるため、同一外径の場合でも数種類のロールが必
要であり、ロール費用及びロール取り替えの段取り時間
を多く必要とする。また特開昭63-295022号に開示され
ている方法についても金属帯Hのエッジ部E, Eとボト
ム部Bとの長手方向の伸び歪の発生原因が明確になって
いないため、スタンド間隔及び成形材料の形状が考慮さ
れていないという問題があった。すなわち該方法で規定
されているのはロールの設定基準のみであり、必ずしも
一般適用されるものではなかった。
【0008】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、金属帯エッジに付加される歪量σE が金属帯エ
ッジ座屈応力σcrよりも小さくなるようにロールの位置
を設定することにより従来の装置に改造を加えること無
く、エッジ座屈を生じさせずに金属帯をロール成形する
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る薄肉溶接管
の成形方法は、金属帯をブレークダウンロール,クラス
タロール及びフィンパスロールに通して順次円筒状に成
形して溶接を行う金属管の成形方法において、金属帯の
エッジ部を拘束しないブレークダウンロールの設定高さ
とクラスタロールまたはフィンパスロールの設定高さと
を、成形途中の金属帯のボトム位置が下記条件を満たす
ように設定することを特徴とする。 i=2〜Nに対して {1−(lEi/lEOi )}・Li-1 2 /12π2 2 <1 但し、 i :金属帯のエッジを拘束しないブレークダウンス
タンドを1番目とした最終N番目までのスタンド順 Li :i−1番目のスタンドとi番目のスタンドとの
間の距離 Hi :i番目のスタンドで設定された金属帯のボトム
位置 H0,i :i番目のスタンド位置において、ロールで金属
帯を拘束しなかった場合に相当する金属帯のボトム位置 t :金属帯の肉厚 lEOi :i−1番目のロールで金属帯を拘束しなかった
場合のi−2からi番目までのスタンド間においてエッ
ジを直線近似した金属帯長さ lEOi =√{(Hi-1 −Hi-2 2 +Li-1 2 }+√
{(Hi −H0,i-1 2 +Li 2 } lEi :i−2からi番目までのスタンド間で金属帯を
拘束した場合においてエッジを直線近似した金属帯長さ lEi=√{(Hi −Hi-2 2 +(Li-1 +Li 2
【0010】
【作用】金属帯のエッジ部を拘束しないブレークダウン
ロールの設定高さと、クラスタロールまたはフィンパス
ロールの設定高さとを、本発明の式を満足するように設
定することにより金属帯エッジに付加される歪量σE
金属帯のエッジ座屈応力σcrよりも小さくすることがで
きる。従って金属帯をロール成形する時、本発明の式を
用いて各ロールの設定高さを決めることにより、従来装
置に改造を加えることなく、エッジ座屈を生じさせない
ように金属帯をロール成形することができる。
【0011】
【発明の原理】溶接管のロール成形では、図4に示すよ
うに金属帯Hはブレークダウンロール3,3…からクラ
スタロール4,4…を経由してフィンパスロール5,5
…へ挿入されて成形が行われるが、このときブレークダ
ウンロール3,3…の全スタンドで金属帯Hの全幅を成
形することが、エッジ座屈の発生を防止する上で好まし
い。しかしクラスタロール4,4…へ進入する直前の金
属帯Hの成形形状は図9に示すように金属帯Hのエッジ
部E,Eが成形された金属帯Hの水平方向最大径部を通
る垂線S,Sよりも内側(最大半径の中心側)に位置す
る。このためブレークダウン上ロールで金属帯Hのエッ
ジ部E,Eまでを拘束することが不可能である。したが
って金属帯Hをボトム部B及びエッジ部E,Eと共に成
形するブレークダウンロール3,3…は初段のブレーク
ダウンロール3,3…から数段までになり、その後、上
下ロールで圧延されるのは金属帯中央部のみとなる。
【0012】ブレークダウンロール3,3…で金属帯H
のエッジ部E,Eまでを拘束して成形を行う場合、金属
帯Hのエッジ位置は、そのスタンドのロールにより位置
を決められ、変化することができない。したがってこの
場合にはエッジ座屈が発生するかどうかは単スタンドに
おけるエッジ圧延又はスタンド間のエッジ部の軌跡長さ
とボトム部の軌跡長さとの差により決定される。ところ
が金属帯Hのエッジ部E,Eを拘束しないロールを有す
るブレークダウンスタンド以降のブレークダウンロール
3,3…での金属帯Hの成形においてはエッジ座屈が発
生する位置直後のロールの設定高さが適正でないことが
エッジ座屈発生の原因であることがモデル装置を用いて
詳細に検討を重ねた結果判明した。エッジ座屈が発生す
る位置直後のロールの設定高さが適正位置よりも高い場
合、例えば図1に示すように金属帯Hの状態はエッジ座
屈が発生する位置以降の部位を持ち上げた場合と等しく
なり、エッジ座屈が発生する位置以降の金属帯Hの長手
方向に反時計まわりの曲げモーメントMが作用すること
になる。その結果、エッジ部E,Eに座屈が発生する。
【0013】このことを具体的に説明する。記号の意味
は次のとおりである。 i :金属帯Hのエッジ部E,Eを拘束しないブレー
クダウンスタンドを1番目とした最終N番目までのスタ
ンド順 i+1:金属帯Hのエッジ部E,Eを拘束しないブレー
クダウンスタンドを1番目としたスタンドから1つだけ
下流側にあるスタンド i−1:金属帯Hのエッジ部E,Eを拘束しないブレー
クダウンスタンドを1番目としたスタンドから1つだけ
上流側にあるスタンド Li :i−1番目のスタンドとi番目のスタンドとの
間の距離 Hi :i番目のスタンドで設定された金属帯Hのボト
ム位置 Li-1 :i−1スタンドとi−2スタンドとの間の距離 Hi-1 :i−1スタンドで設定された金属帯Hのボトム
位置 H0,i :i番目のスタンド位置においてロールで金属帯
Hを拘束しなかった場合に相当する金属帯Hのボトム位
置 H0,i-1 :i番目のスタンドよりも1つだけ上流にある
スタンド位置において、ロールで金属帯Hを拘束しなか
った場合に相当する金属帯Hのボトム位置
【0014】図1に示すように金属帯Hのエッジ部E,
Eを拘束しない3つのスタンド、すなわちiスタンド,
i+1スタンド及びi+2スタンドの各スタンドにおけ
るロールの設定高さが適正な場合は金属帯Hのエッジ位
置は破線のごとくである。しかしi+1スタンドでのロ
ールがiスタンドにおけるロールよりも適正範囲を越え
る高さにある場合は実線で示すごとくになり、iスタン
ド直後におけるP点以降の金属帯Hのエッジ部E,Eに
長手方向に反時計まわりの曲げモーメントMが作用す
る。つまり金属帯Hの下流側を持ち上げた場合と等しく
なる。このときiスタンド直後におけるP点において金
属帯Hのエッジ部E,Eに歪量σE が付加されるが、i
スタンドにおけるロール及びi+1スタンドにおけるロ
ールの高さが適正でない場合、金属帯Hのエッジ部E,
Eに付加される歪量σE が金属帯Hのエッジ座屈応力σ
crよりも大きくなる。このためiスタンド直後における
P点において座屈が発生する。
【0015】前記曲げモーメントMとエッジ座屈との関
係について検討した結果次のことが判明した。 金属帯Hを曲がり梁に近似したものと考えた場合の
金属帯Hの曲げモーメントとエッジ座屈との関係は、金
属帯エッジ部E,Eを拘束していないロールを単純支持
する(モーメント支持無)という条件で、スタンドに対
する金属帯Hの位置及び角度を算出した結果と一致す
る。 金属帯Hを曲げる時には、その支点となるロール位
置で金属帯Hの長手方向に反時計まわりの曲げモーメン
トが発生するため、図7の様に金属帯Hのエッジ部E,
Eがボトム部Bに対して長手方向に圧縮され、その結果
エッジ座屈を引き起こす。
【0016】上記の関係に基づいてエッジ座屈応力σcr
を求める。まず座屈の式であるが、これは図7のエッジ
圧縮状態を図8に示すようにエッジ部分のみを取り出し
て以下のように近似する。単純梁での座屈を考えるとエ
ッジ座屈応力σcrは次の式で求められる。 σcr=π2 E/(L/K)2 …(1) K:断面二次半径=√(I/A) A:金属帯の断面積 L:金属帯長さ=スタンド間距離 E:ヤング率(又は係数)
【0017】座屈断面を図8に示すようにエッジ部E,
Eのみ取り出した平板であると仮定すると I=B・t3 /12 …(2) A=B・t …(3) I:断面二次モーメント B:座屈対象材料幅 t:金属帯肉厚 (1) 式に(2) 式及び(3) 式を代入するとエッジ座屈応力
σcrが求まる。 σcr=12π2 Et2 /L2 …(4)
【0018】金属帯Hを図3のようにi+2スタンド上
において非拘束で置かれている状態(H0,i+2 )から、
そのボトム部Bを拘束した状態(Hi+2 )にした場合、
金属帯Hのボトム部Bは図3の太線で示したようにな
り、このためエッジ部E,Eには座屈が発生する。ボト
ム部Bを拘束することでエッジ部E,Eに長手方向の圧
縮力が加わるが、その時にエッジ部E,Eにかかる歪量
σE は次のようにして求められる。 無拘束時のエッジ部E,Eの金属帯長さ lE0i =l1
+l2 拘束時のエッジ部E,Eの金属帯長さ lEi =l3 但し、 l1 =√{(Hi-1 −Hi-2 2 +Li-1 2 } l2 =√{(H0,i −Hi 2 +Li 2 } l3 =√{(Hi −Hi-2 2 +(Li-1 +Li 2
【0019】これよりエッジ部E, Eに与えられる歪量
εは ε=1−(lEi/lE0i ) …(5) エッジ部E, Eにかかる歪量σE は σE =E・ε …(6) 金属帯Hが座屈を起こさない条件は σcr>σE …(7) 式(4),(5),(6),(7) を整理して {1−(lEi/lE0i )}・Li-1 2 /12π2 2 <1 …(8) この(8) 式の範囲でロールの高さを設定すれば、金属帯
Hのエッジ部E, Eに付加される歪量σE が金属帯Hの
エッジ座屈応力σcrよりも小さくなり、従来装置に改造
を加えることなくエッジ座屈を生ぜしめずに金属帯Hを
ロール成形することができる。
【0020】本発明が適用できるロールスタンドは下記
のように限定される。 金属帯Hのエッジ部E, Eを拘束したロールでは、
金属帯Hが本発明の適用が必要になるような変形をしな
いため、エッジ位置拘束のないロールでのみ本発明が適
用できる。 ブレークダウンロール初段が金属帯Hのエッジ部
E, Eを拘束しないような場合でも本発明は成立し、こ
の場合は初段スタンドがi=1となる。 金属帯Hのエッジ部E,Eを拘束するスタンドが、
エッジ部E,Eを拘束しないスタンドの間に存在する場
合、金属帯Hのエッジ部E,Eを拘束するスタンドの前
後の部分において本発明が適用できる。 金属帯Hのエッジ部E,Eを拘束するロールとし
て、図10に示すようにブレークダウンスタンド間に配置
されるガイドロール8,8…がある。しかしブレークダ
ウンロール成形初期におけるガイドロール8,8は図10
に示すとおり、金属帯Hのエッジ部E, Eを拘束してい
ない場合 (図10(a))が多い。エッジ部E, Eを拘束して
いる場合 (図10(b))は、エッジ部拘束成形スタンドとし
て扱う必要がある。図10(a) のようにエッジ部E, Eを
拘束していない場合は本発明の設定条件に対して材料変
形挙動に影響を与えないため、当該成形スタンドの存在
を無視する。また前記クラスタロール4,4…の場合は
該クラスタロール4,4…を保持するスタンドの前後の
部分において本発明が適用できる。 フィンパスロール5は金属帯Hを周方向に拘束する
のでエッジ部E,Eが拘束される。このためフィンパス
ロール5はエッジ部E,Eを拘束するロールに該当す
る。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体
的に説明する。図2は薄肉溶接管のロール成形機を示す
模式的斜視図である。図中1はアンコイラ、2はレベラ
ー、3はブレークダウンロール、4はクラスタロール、
5はフィンパスロールを示している。金属帯Hはアンコ
イラ1から引き出され、レベラー2に給送されて平坦矯
正された後、ブレークダウンロール3,3…、クラスタ
ロール4,4…、フィンパスロール5の順に構成されて
いる成形ロールへ送られる。
【0022】金属帯Hは前記成形ロールを通過する過程
で金属帯Hのエッジ部E,Eが相対向するように湾曲せ
しめられたオープンパイプOPに成形された後、フィンパ
スロール5で所定の外形に成形される。前記薄肉溶接管
の成形ロール機において、ブレークダウンロール3,3
…、クラスタロール4,4…の各ロールの設定高さを変
更した場合の金属帯Hのエッジ座屈の発生状況について
24例の試験を実施した。成形に用いた金属帯Hは幅163m
m 、肉厚0.5mm の低炭素鋼で強度はTS =163nPaであ
る。
【0023】また説明に使用する記号の意味は次のとお
りである。 Hi :i番目のスタンドで設定された金属帯Hのボト
ム位置 Hi-1 :i−1スタンドで設定された金属帯Hのボトム
位置 Hi-2 :i−2スタンドで設定された金属帯Hのボトム
位置 H0,i-1 :i番目のスタンドよりも1つだけ上流にある
スタンド位置において、ロールで金属帯Hを拘束しなか
った場合に相当する金属帯Hのボトム位置 Li :i−1番目のスタンドとi番目のスタンドとの
間の距離 Li-1 :i−1スタンドとi−2スタンドとの間の距離
【0024】本発明の実施例に使用する各ロールの各部
寸法及び各ロールスタンド間の距離を図11及び表1に示
す。各スタンドは図2の如くロール成形機の最上流から
下流に向かってブレークダウンスタンドB1・B2・B3・B
4, クラスタスタンドC1・C2・C3、フィンパススタンドF
1の順に並んでおり、ブレークダウンスタンドB1・B2・B
3・B4はブレークダウンロール3,3…を、クラスタス
タンドC1・C2・C3はクラスタロール4,4…を、またフ
ィンパススタンドF1はフィンパスロール5をそれぞれ保
持している。試験方法は次のとおりである。
【0025】
【表1】
【0026】ブレークダウンスタンドB2・B3における金
属帯Hのボトム位置を様々に変えてこのときのHi ,H
i-1 ,Hi-2 ,H0,i-1 ,Li ,Li-1 を実測した。同
時にブレークダウンスタンドB1−B2間における金属帯H
のエッジ部E, E座屈発生状況を確認した。一方、前記
測定したHi ,Hi-1 ,Hi-2 ,H0,i-1 ,Li ,L
i-1 の値から(8) 式を演算する。そして演算結果と座屈
発生との対応状況とを調べて(8) 式を満足した場合にエ
ッジ座屈が発生せず、満足しない場合にはエッジ座屈が
発生することを確認した。
【0027】またブレークダウンスタンドB4・クラスタ
スタンドC1における金属帯Hのボトム位置を種々に変更
してブレークダウンスタンドB2−B3間及びブレークダウ
ンスタンドB3−B4間における金属帯Hのエッジ座屈の発
生状況及び演算結果についても確認するが、これも上記
と同じ方法で実施した。結果は表2,表3の如くであ
り、本発明の式を満足した場合にはエッジ座屈が発生せ
ず、満足しない場合にはエッジ座屈が発生した。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】以上の結果から薄肉溶接管製造時における
金属帯Hのロール成形において、金属帯Hのエッジ部
E,Eに付加される歪量σE が金属帯Hのエッジ座屈応
力σcrよりも小さくなるように、つまり本発明の式を満
足するようにロールの高さを設定して、この高さで金属
帯Hを成形することにより、従来装置に改造を加えるこ
と無くエッジ座屈を生じさせないように金属帯Hをロー
ル成形することができる。
【0031】
【発明の効果】以上の如く本発明にあっては、薄肉の溶
接管を製造する過程で、金属帯を連続的にロール成形す
る場合、金属帯のエッジ部に付加される歪量σE が金属
帯のエッジ座屈応力σcrよりも小さくなるようなロール
の設定高さを求めることができる。従って、本発明式に
より求めた高さの範囲にロールを設定することにより、
エッジ座屈を発生させずに金属帯をロール成形できる。
また本発明は従来の装置にも適用でき、しかも装置を改
造する必要がなく、エッジ座屈を発生させずに金属帯の
ロール成形が可能である等本発明は優れた効果を奏する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】座屈発生の原因を説明する模式図である。
【図2】本発明の実施例の説明に用いるロール成形機を
示す模式的斜視図である。
【図3】座屈発生の原因を説明する説明図である。
【図4】薄肉溶接管を成形する従来の方法を示す模式的
斜視図である。
【図5】ロール成形途中の金属帯の形状を示す模式的斜
視図である。
【図6】エッジ座屈発生の状態を示す模式的斜視図であ
る。
【図7】エッジ部が長手方向に圧縮された状態を示す模
式的斜視図である。
【図8】エッジ部のみを取り出して圧縮状態を示す斜視
図である。
【図9】ブレークダウンロールにおける金属帯の成形状
況を示す平面図である。
【図10】ブレークダウンロールのガイドロールを示す
平面図である。
【図11】ブレークダウンロール,クラスタロール,フ
ィンパスロールのそれぞれのRと角度及び各ロールスタ
ンド間の距離を示す説明図である。
【符号の説明】
1 アンコイラ 2 レベラー 3 ブレークダウンロール 4 クラスタロール 5 フィンパスロール 6 スクイズロール 7 誘導加熱コイル 8 ガイドロール H 金属帯 E エッジ部 B ボトム部 P 座屈発生点 t 肉厚 D 外径 S 垂線

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属帯をブレークダウンロール、クラス
    タロール及びフィンパスロールに通して順次円筒状に成
    形して溶接を行う、金属管の成形方法において、金属帯
    のエッジ部を拘束しないブレークダウンロールの設定高
    さと、クラスタロールまたはフィンパスロールの設定高
    さとを、成形途中の金属帯のボトム位置が下記条件を満
    たすように設定することを特徴とする薄肉溶接管の成形
    方法。 i=2〜Nに対して {1−(lEi/lEOi )}・Li-1 2 /12π2 2 <1 但し、 i :金属帯のエッジを拘束しないブレークダウンス
    タンドを1番目とした最終N番目までのスタンド順 Li :i−1番目のスタンドとi番目のスタンドとの
    間の距離 Hi :i番目のスタンドで設定された金属帯のボトム
    位置 H0,i :i番目のスタンド位置において、ロールで金属
    帯を拘束しなかった場合に相当する金属帯のボトム位置 t :金属帯の肉厚 lEOi :i−1番目のロールで金属帯を拘束しなかった
    場合のi−2からi番目までのスタンド間においてエッ
    ジを直線近似した金属帯長さ lEOi =√{(Hi-1 −Hi-2 2 +Li-1 2 }+√
    {(Hi −H0,i-1 2 +Li 2 } lEi :i−2からi番目までのスタンド間で金属帯を
    拘束した場合においてエッジを直線近似した金属帯長さ lEi=√{(Hi −Hi-2 2 +(Li-1 +Li 2
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999054068A1 (fr) * 1998-04-17 1999-10-28 Nakata Mfg. Co., Ltd. Procede et structure de moulage de tuyaux
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