JPH0613077B2 - 衣類乾燥機の糸屑捕集器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、衣類乾燥機の糸屑捕集器に係り、さらに詳細
には、フイルタによる糸屑の捕集機能を高効率的に維持
することに加えて、フイルタ面上に堆積した糸屑の取除
き作業を簡便におこなうことのできる、衣類乾燥機用糸
屑捕集器の改良に関するものである。

〔従来の技術〕

衣類乾燥機を用いて衣類を乾燥させる場合、衣類からは
糸屑が発生する。

この糸屑を取り除くべく、従来から、衣類を収納して回
転駆動されるドラムの温風排気側に位置して、糸屑捕集
器を設置するようにしている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかして、従来一般に採用されている糸屑捕集器にあつ
ては、当該捕集器に糸屑が堆積して風の通りが悪くな
り、乾燥性能が低下するのを防止することを目的とし
て、衣類乾燥機使用の都度、糸屑捕集器の掃除をおこな
うようにしている。

しかしながら、前記従来一般に採用の衣類乾燥機用糸屑
捕集器にあつては、糸屑捕集器の掃除を忘れ、糸屑がた
まつたままで運転されると、風の通りが悪くなり、ドラ
ム内が異状に温度上昇する不具合を生じる。

ところで、近時、フイルタ面をセルフクリーニングす
る、いわゆるセルフクリーニング方式の衣類乾燥機用糸
屑捕集器も提案されているが、セルフクリーニング方式
の糸屑捕集器にあつては、衣類がフイルタ面を直接的に
擦るため、フイルタの網目から糸屑が押し出される状態
となつて、当該フイルタを通り抜けてしまい、フイルタ
の裏側に糸屑が堆積して、糸屑捕集器としての機能を十
分に果せない憾みがある。

以上の点を考慮して、本発明者等は、先に、フイルタ面
上に位置して、糸屑フイルタと衣類との直接的な接触を
防止するフイルタ・衣類摩擦防止用リブ材を設置した糸
屑捕集器を提案し（特開昭61−115598号公報参照）、こ
れによれば、フイルタの網目から糸屑が押し出される状
態となつて、フイルタを通り抜けてしまい、フイルタの
裏側に糸屑が堆積して、糸屑捕集器としての機能を十分
に果せないといつた従来技術の問題点を解決することが
できる。

しかしながら、本発明者等が先に提案した前記の衣類乾
燥機用糸屑捕集器にあつては、糸屑フイルタとフイルタ
・衣類摩擦防止用リブ材とが一体的に構成されているた
め、糸屑捕集器の掃除に際し、前記リブ材の狭い隙間内
（リブとリブとの間）に溜つた糸屑が取りにくく、その
作業に手間取るという問題が新たに発生することが分つ
た。

本発明は、以上の点を考慮してなされたものであつて、
その目的とするところは、フイルタによる糸屑の捕集機
能を高効率的に維持することに加えて、フイルタ面上に
堆積した糸屑の取除き作業を簡便におこなうことのでき
る、性能・保守作業性のいずれの点でもすぐれた、改良
された衣類乾燥機用糸屑捕集器を提供しようとするもの
である。

〔問題点を解決するための手段〕

前記目的は、衣類を収納して回転駆動されるドラムの温
風排気側に設置され、衣類より発生する糸屑を捕集する
衣類乾燥機の糸屑捕集器において、糸屑を捕える網状の
糸屑フィルタと、このフィルタ面上に位置して、ドラム
の内側に向けて高さを有し、かつ衣類の回転方向に沿つ
て設けられ、さらに前記糸屑フイルタに対して着脱自在
に取り付けられた、糸屑フィルタと衣類との摩擦作用を
防止するフィルタ・衣類摩擦防止用リブ材と、前記リブ
材に対向する部分を開口し、この開口縁とフィルタ・衣
類摩擦防止用リブ材との間に糸屑通過用の間隙を有し、
前記開口部以外は、前記糸屑フィルタとの間で糸屑を溜
める容積を有して、前記糸屑フィルタならびにフィルタ
・衣類摩擦防止用リブ材を収容する糸屑収集箱とを備え
ることによつて達成される。

〔作用〕

以上の構成において、糸屑を捕える網状フイルタの面上
に取り付けられたフイルタ・衣類摩擦防止用リブ材は、
衣類が直接的にフイルタ面を擦るのを防止し、ひいては
フイルタの網目から糸屑が押し出される状態となつて、
当該フイルタを通り抜けてしまい、フイルタの裏側に糸
屑が堆積するといつた不具合が生じるものではない。ま
た、前記構成において、フイルタ面上における糸屑の堆
積は、前記リブ材の高さ以上とはならず、リブ材よりも
高く堆積しようとする糸屑は、後述のごとく、衣類の動
きによつて容量一定の糸屑収集箱に収集され、したがつ
て糸屑捕集器を通過するフイルタ通過風量の低下は、一
定の糸屑堆積量、すなわち前記リブ材の高さを上限とし
て、それ以上は低下しない。これに加えて、本発明によ
れば、前記リブ材を、糸屑フイルタに対して着脱自在に
取り付けたことにより、糸屑捕集器の掃除に際し、リブ
材の狭い隙間内に溜つた糸屑の取除き作業を、リブ材を
糸屑フイルタから取外した状態で容易におこなうことが
できる。

〔実施例〕

以下、本発明を、図面の一実施例にもとづいて説明する
と、第１図は本発明の要部である糸屑捕集器３２の縦断
側面図、第２図は糸屑捕集器３を備えた衣類乾燥機の縦
断側面図、第３図（ａ）〜（ｃ）はいずれも糸屑捕集器
３の構成部材を分解して単体で示し、第３図（ａ）は糸
屑収集箱３−２の正面図、第３図（ｂ）はフイルタ・衣
類摩擦防止用リブ材３−３の正面図、第３図（ｃ）は糸
屑フイルタ３−１の正面図、第３図（ｄ）は前記糸屑フ
イルタ３−１〜リブ材３−３を一体に組み合せた糸屑捕
集器３の正面図、第４図は第３図（ｄ）のイ−イ線に沿
う拡大断面図である。

また、第５図（ａ）および（ｂ）はいずれも本発明捕集
器３によつて衣類Ａの糸屑Ｂを捕集している状態の説明
図、第６図（ａ）は第５図（ａ）の部分拡大図、第６
（ｂ）は第５図（ｂ）の部分拡大図である。

さらに、第７図（ａ）は従来一般に採用されている衣類
乾燥機用糸屑捕集器のフイルタ通過風量−糸屑通過量変
化特性線図、第７図（ｂ）はセルフクリーニング方式を
採用する従来形衣類乾燥機用糸屑捕集器のフイルタ通過
風量−糸屑通過量変化特性線図、第７図（ｃ）は本発明
捕集器３を用いた場合のフイルタ通過風量−糸屑通過量
変化特性線図である。

しかして、図示実施例において、糸屑捕集器３は、衣類
乾燥機のドラムサポート１６に着脱自在に固定されるも
のである。

まず、第２図において、外枠１と、外枠ベース４と、吸
気口８−１を有する裏蓋８とにより構成される箱体内に
は、ドラムサポート１６が設けられており、ドラムサポ
ート１６は、外枠１に装着されたスライダ１６−１を有
する。ヒータ支持台９−２を介してヒータ９−１を収納
したヒータケース９には、ドラム受１０が取り付けられ
ており、このドラム受１０を介し、ヒータ９−１との間
に断熱板１７を設けたドラム１５が回転自在に支持され
ている。

２はドラム１５内への衣類の出入れをおこなうドアであ
り、ドア２は、外枠１に開閉自在に取り付けられてい
る。１１はトツプカバーで、トツプカバー１１には、制
御部１３を設置したパネル部１２が取り付けられてい
る。

５は送風機で、送風機５は、モータ５−１，フアン５−
２を具備し、ダクト６を介して、ドラムサポート１６に
継がれ、運転時、裏蓋８の吸気口８−１より外気を吸入
し、この外気を、ヒータ９−１により温めて、ドラム１
５内に導き、衣類の乾燥をおこなつた後、ドラムサポー
ト１６の排気口１６−２，ダクト６，排気管７を経由し
て、機体外へ排気するよう構成されている。

そして、糸屑捕集器３は、ドラム１５を通過した風を、
ドラムサポート１６の排気口１６−２の手前で一時的に
遮るような形となり、風の中に含まれる、衣類より発生
する糸屑を捕集する。

また、１４はベルトである。

糸屑捕集器３の詳細を示す第１図，第３図，第４図にお
いて、当該糸屑捕集器３は、糸屑フイルタ３−１，糸屑
収集箱３−２およびフイルタ・衣類摩擦防止用リブ材３
−３を重ね合せた構成であり、糸屑フイルタ３−１〜フ
イルタ・衣類摩擦防止用リブ材３−３は、それぞれ着脱
自在に取り付けられている。

そして、糸屑フイルタ３−１は、枠体３−１−１とフイ
ルタ３−１−２とを、例えば一体モールド成形で構成
し、フイルタ３−１−２面上には、当該フイルタ３−１
−２面よりも所定の高さｈを有するフイルタ・衣類摩擦
防止用リブ材３−３が設置されている。

また、糸屑収集箱３−２には、そのほぼ中央部に所定の
開口面積を有する開口部が形成されており、この開口部
の周囲部分は、糸屑フイルタ３−１との間に所定の容積
を有するよう、当該糸屑フイルタ３−１を覆う構成とな
つている。そして、糸屑収集箱３−２の開口部３−２−
１の縁と、リブ材３−３の先端とは、所定のギヤツプｇ
を有している。

ここで、所定の高さｈというのは、衣類がフイルタ３−
１−２面を摩擦することを防止する最低限の高さであ
り、これは、そのリブを設けるピツチにより変化する。
また、所定の開口面積というのは、衣類乾燥機の通風を
阻害することのない開口面積であり、所定の容積という
のは、糸屑捕集器に捕集される糸屑の捕集容量を指し、
所定のギヤツプｇについては後述する。

一方、フイルタ・衣類摩擦防止用リブ材３−３は、その
各リブを、ドラム１５の回転方向とほぼ平行するように
一致させ、ドラム１５の回転に伴う衣類の動きの妨げと
ならないように構成されている。

本発明は以上のごとき構成よりなり、次に、前記第１図
〜第４図を参照しつつ、第５図〜第７図にもとづいて、
糸屑捕集器３を備えた衣類乾燥機の動作系を下記する。

衣類乾燥機を運転すると、ドラム１５の回転により衣類
Ａが撹拌され、衣類Ａ同士の摩擦により、糸屑Ｂが発生
する。また、衣類Ａの洗濯時に発生した糸屑も多量に存
在する。

そして、前記したごとき糸屑Ｂは、乾燥運転時に衣類Ａ
より離れ、送風機５により風下側へ移動し、遂には、糸
屑捕集器３の糸屑フイルタ３−１に捕集される（第５図
（ａ），第６図（ａ））。

衣類乾燥機の運転が進行するにつれて、糸屑Ｂの堆積量
は、フイルタ・衣類摩擦防止用リブ材３−３の高さｈを
超え、したがつて前記リブ材３−３の高さｈを超えた糸
屑Ｂは、衣類Ａの動きＰ（ドラム１５の回転方向に一
致：第３図（ｄ），第６図（ａ），第６図（ｂ））によ
つて移動せしめられ、糸屑収集箱３−２の外周部に溜め
られる（第５図（ｂ），第６図（ｂ））。

すなわち、前記構成によれば、糸屑収集箱３−２の外周
部と、糸屑フイルタ３−１とによつて形成される空間容
積分、糸屑の捕集が可能となり、例えば前記空間の容積
を、あらかじめ乾燥運転１０回分とか、２０回分とかに
定めておけば、その頻度での糸屑捕集器３の掃除をおこ
なえばよいことになり、衣類乾燥機を使用の都度掃除す
る必要はなくなる。

また、前記構成によれば、フイルタ・衣類摩擦防止用リ
ブ材３−３の高さｈ分に相当する糸屑しか、フイルタ３
−１−２面上には堆積しないので、糸屑による通風抵抗
の増大を常に一定値以下に抑えることができる。そし
て、万一、糸屑捕集器３の掃除を忘れた場合には、糸屑
フイルタ３−１と糸屑収集箱３−２とで構成される空間
に糸屑が入り切れなくなり、ドラム１５側に洩れること
になるが、前述のごとく、通風抵抗の増大は一定値以下
に抑えられるため、ドラム１５内における異状温度上昇
の問題は未然に防止される。なお、糸屑のドラム１５側
への洩れは、運転終了後、糸屑が衣類に付着した状態と
なるが、これは、使用者に対し、糸屑捕集器３の掃除の
必要を喚起させることになる。

さらに、前記構成によれば、フイルタ３−１−２面上よ
りも高さｈを有するフイルタ・衣類摩擦防止用リブ材３
−３の存在により、フイルタ３−１−２面を直接衣類で
摩擦することはなく、フイルタ３−１−２の網目から糸
屑が押し出される状態となつて、当該フイルタ３−１−
２を通り抜けてしまい、フイルタの裏側に糸屑が堆積す
るものではない。

これに加えて、本発明によれば、前記リブ材３−３を、
糸屑フイルタ３−１に着脱自在に取り付けたことによ
り、糸屑捕集器３の掃除に際し、リブ材３−３の狭い隙
間内に溜つた糸屑の取除き作業を、リブ材３−３を糸屑
フイルタ３−１から取外した状態で容易におこなうこと
ができる。

しかして、第７図には、衣類の量，運転時間，フイルタ
面積等の条件を一致させて、従来一般に採用されている
糸屑捕集器に関するものを（ａ）に、セルフクリーニン
グ方式を採用する従来形糸屑捕集器に関するものを
（ｂ）に、本発明の糸屑捕集器３に関するものを（ｃ）
に示し、第７図（ａ）〜（ｃ）において、フイルタの通
過風量変化は縦軸実線に、また糸屑通過量変化は縦軸一
点鎖線に、さらに運転サイクルは横軸に示し、本発明の
糸屑捕集器３によれば、第７図（ｃ）に示すように、フ
イルタ３−１−２は、長期にわたつて高い通過風量を維
持しており、これとは反対に、フイルタ３−１−２の糸
屑通過量は、長期にわたつて低い値に抑えられているこ
とが分る。なお、既述した糸屑収集箱３−２の中央開口
縁とフイルタ・衣類摩擦防止用リブ材３−３先端との間
の間隙ｇは、衣類の動きにより移動せしめられる糸屑が
通過しやすく、反面、ハンカチ、くつ下等の細かな衣類
の侵入を防ぐような間隙に調整されている。

また、前記実施例においては、ドラムサポート１６に対
し、糸屑捕集器３を着脱自在に固定した構成について例
示したが、糸屑捕集器３をドラム１５側に取り付けるよ
うにしてもよく、ただし、その場合、ダクト６等の関連
部分には、若干設計変更をほどこす必要がある。

〔発明の効果〕

本発明は以上のごときであり、図示実施例の説明からも
明らかなように、本発明によれば、フイルタによる糸屑
の捕集機能を高効率的に維持することに加えて、フイル
タ面上に堆積した糸屑の取除き作業を簡便におこなうこ
とのできる、性能・保守作業性のいずれの点でもすぐれ
た、改良された衣類乾燥機用糸屑捕集器を得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は本発明の要部
である糸屑捕集器３の縦断側面図、第２図は糸屑捕集器
３を備えた衣類乾燥機の縦断側面図、第３図（ａ）〜
（ｃ）はいずれも糸屑捕集器３の構成部材を分解して単
体で示し、第３図（ａ）は糸屑収集箱３−２の正面図、
第３図（ｂ）はフイルタ・衣類摩擦防止用リブ材３−３
の正面図、第３図（ｃ）は糸屑フイルタ３−１の正面
図、第３図（ｄ）は前記糸屑フイルタ３−１〜リブ材３
−３を一体に組み合せた糸屑捕集器３の正面図、第４図
は第３図（ｄ）のイ−イ線に沿う拡大断面図、第５図
（ａ）および（ｂ）はいずれも本発明捕集器３によつて
衣類Ａの糸屑Ｂを捕集している状態の説明図、第６図
（ａ）は第５図（ａ）の部分拡大図、第６図（ｂ）は第
５図（ｂ）の部分拡大図、第７図（ａ）は従来一般に採
用されている衣類乾燥機用糸屑捕集器のフイルタ通過風
量−糸屑通過量変化特性線図、第７図（ｂ）はセルフク
リーニング方式を採用する従来形衣類乾燥機用糸屑捕集
器のフイルタ通過風量−糸屑通過量変化特性線図、第７
図（ｃ）は本発明捕集器３を用いた場合のフイルタ通過
風量−糸屑通過量変化特性線図である。 ３……糸屑捕集器、３−１……糸屑フイルタ、３−２…
…糸屑収集箱、３−３……フイルタ・衣類摩擦防止用リ
ブ材、１５……ドラム。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鍛治 信一 茨城県日立市東多賀町１丁目１番１号 株 式会社日立製作所多賀工場内 (56)参考文献 特開 昭58−75598（ＪＰ，Ａ) 実公 昭55−41199（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】衣類（Ａ）を収納して回転駆動されるドラ
   ム（１５）の温風排気側に配置され、衣類（Ａ）より発
   生する糸屑（Ｂ）を捕集する衣類乾燥機の糸屑捕集器に
   おいて、 糸屑（Ａ）を捕える網状の糸屑フィルタ（３−１）と、 このフィルタ（３−１）面上に位置して、ドラム（１
   ５）の内側に向けて高さ（ｈ）を有し、かつ衣類（Ａ）
   の回転方向に沿って設けられ、さらに前記糸屑フィルタ
   （３−１）に対して着脱自在に取り付けられた、糸屑フ
   ィルタ（３−１）と衣類（Ａ）との摩擦作用を防止する
   フィルタ・衣類摩擦防止用リブ材（３−３）と、 前記リブ材（３−３）に対向する部分を開口し、この開
   口縁とフィルタ・衣類摩擦防止用リブ材（３−３）との
   間に糸屑通過用の間隙（ｇ）を有し、前記開口部以外
   は、前記糸屑フィルタ（３−１）との間で糸屑（Ｂ）を
   溜める容積を有して、前記糸屑フィルタ（３−１）なら
   びにフィルタ・衣類摩擦防止用リブ材（３−３）を収容
   する糸屑収集箱（３−２）と を備えることを特徴とする衣類乾燥機の糸屑捕集器。