JPH06125777A - オリゴヌクレオチドプライマー、およびこれを用いた非a非 b型肝炎ウイルスの高感度検出方法 - Google Patents

オリゴヌクレオチドプライマー、およびこれを用いた非a非 b型肝炎ウイルスの高感度検出方法

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JPH06125777A
JPH06125777A JP3247120A JP24712091A JPH06125777A JP H06125777 A JPH06125777 A JP H06125777A JP 3247120 A JP3247120 A JP 3247120A JP 24712091 A JP24712091 A JP 24712091A JP H06125777 A JPH06125777 A JP H06125777A
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virus
hepatitis
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Hiroaki Okamoto
宏明 岡本
Tetsuo Nakamura
徹雄 中村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、非A非B型(NANB)肝炎ウイル
スを遺伝子レベルで高感度に検出する方法と、これに用
いるオリゴヌクレオチドプライマーを提供することを目
的とする。 【構成】本発明は、NANB肝炎ウイルスRNAに特異
的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチド#32Aおよ
び/または#36をプライマーとして用いてNANB肝
炎ウイルスを高感度に検出する方法であり、オリゴヌク
レオチドプライマーのペアを用い、NANB肝炎ウイル
スRNAのcDNAをPCRにより増幅させて該ウイル
スRNAを検出し、あるいは該ペアを2組用いてcDN
Aの増幅を2回行うことによっても行うことができる。
さらに、本発明はNANB肝炎ウイルスの検出に供する
ことのできる上記オリゴヌクレオチドプライマーの発明
である。 【効果】本発明の方法は、NANB肝炎ウイルスを遺伝
子レベルで高感度に検出することができ、また、本発明
のオリゴヌクレオチドプライマーは、NANB肝炎ウイ
ルスの高感度検出に供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オリゴヌクレオチド
と、これを用いて非A非B型肝炎ウィルス(以下「NA
NB肝炎ウイルス」と略記する)を遺伝子レベルで高感
度に検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ウイルスに由来する肝炎には、既にウイ
ルス本体のDNAやRNAがつきとめられ、その診断法
や予防法が確立したものとしてB型肝炎、A型肝炎、D
型肝炎、E型肝炎がある。しかし、主として血液を介し
て感染する肝炎で上記の分類に属さない、非A非B型肝
炎(以下「NANB肝炎」という)については、世界の
多くの研究者がその原因ウィルスを捜してきたにもかか
わらずウイルス本体の解明はなされていなかった。
【0003】1988年になってカイロン社は、NAN
B型肝炎の原因ウイルスとして、C型肝炎ウイルス(以
下「HCV」と略記する)と命名したRNAウイルスゲ
ノムのクローン化に成功したとして、その塩基配列を発
表した。そしてこれを基にHCV抗体の測定系を開発
し、現在輸血血液のスクリーニングや患者の診断に用い
られ始めている。このHCV抗体の測定系はNANB肝
炎との関連性がたしかに一部認められる。しかし、キャ
リアや慢性肝炎の捕捉率が約70%にすぎないこと、ま
た急性期の抗体検出ができないこと等の重大な問題点が
残されており、カイロン社の前記開発によってもNAN
B肝炎への対処は依然として解決されていない。 他
方、B型肝炎ウイルスの検出法は既に確立されている。
このため日本においては輸血後肝炎の95%以上がNA
NB肝炎であり、年間約28万例の発症が推定されてい
る。NANB肝炎の経過は不良であり、大部分の例はキ
ャリア化して慢性肝炎に進展すると予測される。又、か
なり高率に10〜20数年にかけて肝硬変へ、さらに肝
癌へ進むことから、一日も早いウイルス本体の解明及び
診断薬の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記カイロン社のHC
V抗体検出キットでは診断できないNANB肝炎が多数
存在すること、さらに本発明者らの研究により日本のN
ANB肝炎ウイルスがカイロン社の解明したHCVとは
塩基配列において相当異なることが明らかになったこと
から、特異性、感度においてさらに優れたNANB肝炎
診断法の開発が不可欠である。 本発明の目的は、NA
NB肝炎ウイルスを遺伝子レベルで高感度に検出する方
法と、これに用いるオリゴヌクレオチドプライマーを提
供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、NANB
肝炎ウイルスの遺伝子本体の解明を目的として、ヒトお
よびチンパンジーキャリアの血清より、NANB肝炎ウ
イルスのRNAを単離し、ウイルスの非コード領域を含
む遺伝子領域全体をカバーするcDNAをクローン化し
てその塩基配列を決定した。その結果、本発明者らは、
NANB肝炎ウイルスのうち非常に保存性の高い領域
と、ウイルス株間で変異が多い領域とが存在することを
解明し、これにもとづいて本発明を完成した。
【0006】本発明の要旨は次の通りである。本発明の
NANB肝炎ウイルスRNAは次のようにして得て、そ
の塩基配列を決定した。ヒト及びチンパンジー血漿より
2種の検体を得た。HC−J1は日本人供血者に由来
し、HCV抗体陽性と判定された検体より得られた。他
方、HC−J4はNANB肝炎の感染性を確認したチン
パンジーから得た検体に由来するが、しかしこれはカイ
ロン社の前記HCV抗体では(−)のものであった。こ
の2種の検体血漿よりRNAを抽出した。さらに各RN
A間の塩基配列の相同性を調べ、実施例に示すように抽
出RNAの5′末側の約2500の塩基配列、これらの
非コード領域、および構造蛋白質をコードする領域に関
して研究を成就し、本発明を完成するに至った。
【0007】実施例1に示すように、HC−J1株、H
C−J4株由来のRNAはいずれも5′末端より341
個のヌクレオチドよりなる5′非翻訳領域を有し、これ
に続いて構造蛋白質をコードする領域(1149塩基)
が続き、さらに非構造蛋白質をコードする領域を含め、
2540箇のヌクレオチドを有する。この知見にもとづ
き、配列番号3および4記載のポリヌクレオチドを得
た。
【0008】ヨーロッパ公開特許第388232号(カ
イロン社)に示されたHCVの配列と比較すると、本発
明者が解明した上記ヌクレオチド配列は、非コード領域
を含む5′末端側2477塩基に関してJ1、J4の各
株ではそれぞれ95.2%、80.5%の相同性を有す
る。このことより、HC−J1株はカイロン社が同定し
たウイルス株に比較的近縁でアメリカ型ウイルスである
のに対して、J4株はこれとはやや異なり、日本型ウイ
ルスであることが示唆された。
【0009】本発明者らはウイルスを、特異性、感度と
もに高い検出能力を示すポリメラーゼチェインリアクシ
ョンより検出するために、配列番号3および4記載のc
DNAに基づくプライマー、および配列番号1および2
記載のプライマーを用いる非A非B型肝炎ウイルス検出
方法を確立した。本発明者らが解明した2株のウイルス
RNAの5′非コード領域はいずれも341塩基からな
り、塩基配列の保存性が非常に高い。例えば、塩基配列
の差異は、HC−J1とHC−J4では8塩基のみであ
った。2株のウイルスRNAは、上記以外の領域におい
ては株種間の変異が激しいことを考慮すると、5′非コ
ード領域において塩基配列が非常によく保存されている
ことは驚くべきことである。またコード領域の中でもA
TGに続く上流部分では比較的変異が少ない。したがっ
て、これらの領域に由来する配列番号1(#32A)お
よび/または配列番号2(#36)のオリゴヌクレオチ
ドをプライマーとして使用すれば、NANB肝炎ウイル
スRNAをその株間によって左右されることなく、すな
わち株種をとわずに高感度に検出できることを見いだし
た。
【0010】前記各知見にもとづいて、本発明者らはN
ANB肝炎ウイルスを遺伝子レベルで高感度に検出する
のに用いる好適なオリゴヌクレオチドプライマーとし
て、配列番号1および2記載の塩基配列を有する下記オ
リゴヌクレオチドを見出し、これらを全て合成して本発
明を完成した。これら各オリゴヌクレオチドは、いずれ
もプライマーとして用いることができる。本発明のオリ
ゴヌクレオチドプライマーの塩基配列、センス:アンチ
センスの別は次のとおりである。 #32A(配列番号1;+) #36(配列番号2;−) 本発明においては、#32A、#36ともプライマーと
してNANB肝炎ウイルスの検出のために用いることが
できる(請求項第1項)。
【0011】本発明は、NANB肝炎ウイルスRNAに
特異的なオリゴヌクレオチドを使用する限り、株間の変
異に由来する少数の置換を含むオリゴヌクレオチドに対
しても適用され、これらもまた本発明の範囲に包含され
る。
【0012】PCR法を利用してNANB肝炎ウイルス
を検出するのに際し、本発明のプライマーペア#32A
と#36とを組み合わせて使用することにより、さらに
好ましい効果を得ることができる(請求項第2項)。
【0013】また、本発明は、オリゴヌクレオチドプラ
イマー#32Aを用いてNANB肝炎ウイルスを高感度
に検出する方法の発明である(請求項第3項)。
【0014】さらに、本発明は、オリゴヌクレオチドプ
ライマーのペア#32Aと#36を用いて、NANB肝
炎ウイルスRNAのcDNAをポリメラーゼチエインリ
アクションにより増幅させて該ウイルスRNAを高感度
に検出する方法ならびにその検出系の発明である(請求
項第4項)。
【0015】その際、オリゴヌクレチオドペアを2組用
いてcDNAの増幅を2回行うことはNANB肝炎ウイ
ルスの検出を高感度に行うために好適である。
【0016】
【作用】上記したように、本発明の方法はNANB肝炎
ウイルスを遺伝子レベルで高感度に検出することがで
き、また、本発明のオリゴヌクレチオドプライマーはN
ANB肝炎ウイルスの高感度検出に供することができ
る。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について述べるが、も
とより本発明がこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0018】実施例1 NANB型肝炎ウイルスの5′末端塩基配列及びアミノ
酸配列を次のようにして決定した。 (1)RNA抽出 日本人供血者の血漿から得た、HCV抗体陽性(オーソ
・ダイアグノスティック・システムズ株式会社のオーソ
HCVAbELISAテストによる)と判定された検体
(HC−J1)およびNANB型肝炎の感染性を確認し
たチンパンジーから得た、HCV抗体(−)の検体(H
C−J4)より、次のようにしてRNAを抽出した。
1.8mlの血漿に1mlのトリス塩酸緩衝液(10m
M、pH8.0)を加え、68×10rpmで1時間
遠心した。得られたペレットに200mM NaCl、
10mM EDTA、2%(w/v)ドデシル硫酸ナト
リウム(SDS)と1mg/mlのプロテナーゼKを含
むトリス塩酸緩衝液(50mM、pH8.0)を加え、
60℃1時間加温し、フェノール/クロロホルムで抽出
した後、エタノール沈殿を行い、RNAを得た。
【0019】(2)cDNA合成 HC−J1血漿より抽出したRNAを70℃で1分間加
温し、これを鋳型として10ユニットの逆転写酵素(c
DNA Synthesis SystemPlus,
Amersham Japan)及びオリゴヌクレオチ
ドプライマー(20マー)20pmolを加えて42
℃、1.5時間反応させcDNAを得た。プライマーと
してはヨーロッパ特許出願第8831022.5号に示
されたHCVの塩基配列を参照して合成した#8(5′
−GATGCTTGCGGAAGCAATCA−3′)
を用いた。
【0020】(3)ポリメラーゼチェインリアクション
(PCR)によるcDNAの増幅は次のように行った。
DNAサーマルサイクラー(Perkin−Elmer
・Cetus)に、Gene Amp DNA増幅試薬
キット(Perkin−Elmer・Cetus)を用
い、Saikiらの方法(Science 239、4
87−491.1988)によって35サイクルのcD
NA増幅を行った。
【0021】(4)cDNAライブラリーの構築による
J1、J4、各5′末端側塩基配列の決定 cDNAライブラリーを用いたHC−J1、HC−J4
ゲノムの5′末端側の塩基配列解析は図1、図2に示す
ように、cDNAをバクテリオファージλgt10に挿
入して得たクローンの解析及びcDNAをPCRにて増
幅して得られたクローンの解析結果の両者を併せて決定
した。図1、図2はNANB型肝炎ウイルスゲノムの
5′末端を制限酵素切断部位とともに示し、使用するプ
ライマーの位置も示す。図中、実線はバクテリオファー
ジλgt10のライブラリーによるクローンで塩基配列
を決定した範囲を、点線はPCRによるクローンで塩基
配列を決定した範囲を示す。HC−J1のnt454〜
2109の1656塩基は前記プライマー#8から得た
cDNAをλgt10ファージベクター(Amersh
am)に挿入して得られたクローンφ41により決定し
た。つぎにこのシークエンスをもとに合成した、nt8
24〜843の新しいプライマー#25(5′−TCC
CTGTTGCATAGTTCACG−3′)を用い
て、HC−J4のcDNAライブラリーから順次4つの
cDNAクローンφ60、φ61、φ66、φ75を得
て、上流のnt18〜843の塩基配列を決めた。HC
−J4について、さらに上流の5′末端を特定するため
にnt246〜265のアンチセンスプライマー#36
(5′−AACACTACTCGGCTAGCAGT−
3′)を用いてcDNAを合成したのち、ターミナルデ
オキシヌクレオチジルトランスフェラーゼによりcDN
Aの5′末端にdA付加を行い、2段階のone−Si
dedPCR増幅を行った、すなわち、1回目はオリゴ
dTプライマー(20−mer)とnt188〜207
のアンチセンスプライマー#48(5′−GTTGAT
CCAAGAAAGGACCC−3′)を用いて35サ
イクルのPCR増幅を行い、2回目はそのPCR産物を
鋳型にしてオリゴdTプライマー(20−mer)とn
t140〜160のアンチセンスプライマー#109
(21−mer;5′−ACCGGATCCGCAGA
CCACTAT−3′)を用いて30サイクルのPCR
を行った。得られたPCR産物をM13ファージベクタ
ーにサブクローニングした。完全長の5′末端配列を有
すると考えられる6個の独立したクローン、C896
2、C8968、C8970、C8974、C903
4、C9036が得られ、nt1〜17の塩基配列を決
定した。
【0022】一方HC−J1の上流のシークエンスは、
nt18〜843についてはプライマー#44(5′−
GGCGACACTCCACCATGAAT−3′)と
#25(5′−TCCCTGTTGCATAGTTCA
CG−3′)を用いたPCRによって得られたクローン
C2503、C2508、及びC2510によって決め
られた。さらに上流の5′末端は、HC−J4と同様の
方法により得られた16個のクローン、C8931、C
8932、C8935、C8937、C8942、C8
944、C8949、C8950、C8951、C89
54、C8955、C9023、C9026、C903
0、C9031、C9032を用いて、nt1〜37の
塩基配列を決めた。次にHC−J1の5′末端側下流の
塩基配列を決定するため、プライマー#148(5′−
TGCACCTGGATGAACTCAAC−3′)と
#146(5′−AGTAGCATCATCCACAA
GCA−3′)を用いて30サイクルのPCRを行っ
た。得られたクローンのC11444、C11450、
C11451によりnt1984〜2560の塩基配列
を決定した。一方、HC−J4のnt738〜1900
までの下流シークエンス1163塩基はプライマー#3
0(5′−CTCATGGGGTACATTCCGCT
−3′)と#42(5′−TCGGTCGTCCCCA
CCACAAC−3′)を用いたPCRによって得られ
た3つのクローンC2821、C3173、C3192
によって決められた。さらにHC−J4の下流の塩基配
列を決定するため、プライマー#57(5′−TATT
GCTTCACCCCAAGCCC−3′)と#146
(5′−AGTAGCATCATCCACAAGCA−
3′)を用いて30サイクルのPCRを行った。得られ
たクローンC11462、C11463、C11464
によりnt1860〜2560の塩基配列を決定した。
以上の解析結果により、HC−J1、HC−J4は5′
末端側にそれぞれ配列番号3、4に示す塩基配列を有す
るものと決定した。
【0023】実施例2 5′非翻訳領域及びコア蛋白質コード領域に基づいたプ
ライマーの合成及び測定系の確立 (1)オリゴヌクレオチドプライマーの合成 実施例1で決定したHC−J1とHC−J4株の5′翻
訳領域及びコア蛋白質コード領域の塩基配列に基づき、
オリコヌクレオチドプライマー(20マー)を合成し
た。また、ヨーロッパ特許出願第88310922.5
号に示されたHCVの塩基配列を参照してオリゴヌクレ
オチドプライマーも合成した。合成は380BDNA合
成機(Applied Biosystems Jap
an)を用いて行った。合成したプライマーは#3、
4、5、6、9、10、11、12、16、17、2
1、22、23、25、32A、33、34、35、3
6、48であり、各プライマーについて、5′−末端よ
りの位置、塩基配列を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】(2)検体からのNANB肝炎ウイルスR
NAの抽出 血漿1mlをTL−100(ベックマン)遠心機で90
Krpm15分遠心分離し、得られたペレットを、20
0mM NaCl、10mMEDTA、2%(W/V)
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、トリス塩酸(50
mM、pH8.0)、1mg/mlプロティンナーゼK
を含む溶液に溶解し、60℃で1時間加温した。等量の
フェノール/クロロホルム溶液を用いて2回抽出後、エ
タノール沈澱を−20℃で3時間以上かけて行った。沈
澱物は、70%エタノールで遠心洗浄し、真空乾燥の後
5μlの蒸留水に溶解した
【0026】(3)cDNAの合成 (2)において1mlの血漿から抽出したRNAを、7
0℃で1分間変性させ、氷上で急冷し、cDNA合成に
供した。逆転写は、各々100pmolのアンチセンス
プライマー#5、6、11、12、16、17、25、
35、36、48に10nmolの4種のデオキシリボ
ヌクレオチド3リン酸(Takara)、10unit
のRNase阻害剤(Takara)、10unitの
Avian myeloblastosis viru
s逆転写酵素(ベーリンガーマンハイム)を加え、10
ulのトリス−塩酸(50mMpH8.4)、8mM
MgCl、30mM KCl、1mMdithiot
hreitol溶液中で、42℃90分反応させてcD
NAを合成した。得られたcDNAは、フェノール/ク
ロロホルムで抽出により精製した。
【0027】(4)PCRによる増幅 DNA thermal cycler(Perkin
−Elmer Cetus)とDNA amplifi
cation reagentキット(Perkin−
Elmer Cetus)を用い、通常の方法(Sai
ki et al 1988)でPCRによる増幅を行
った。反応サイクルは、変性(94℃1分間)、プライ
マーのアニール(55℃1分30秒)および、プライマ
ーの伸長(72℃3分間)の工程であり、これを35回
繰り返した。反応生成物を1−1、5%Nusieve
と1−1、5%Seakemの混合アガロースゲル(F
MC社)で電気泳動し。臭化エチジウムの染色の後、紫
外線照射でバンドを確認した。
【0028】(5)2次PCRによる増幅 最初の1組のプライマー(#32Aと#36)によるP
CRで得たPCR産物を、必要に応じさらに2回目のP
CR増幅にかける。プライマーとしては、最初の1組の
プライマーの内側プライマー(たとえば#33と#4
8)を選択し、PCR産物5μlについて、30サイク
ル繰り返した。#33、#48の塩基配列は表1に示す
とおりである。反応条件は変性(94℃、1分)アニー
ル(55℃、1.5分)及び伸長(72℃、2分)であ
り、得られたPCR産物を電気泳動にかけ、(4)と同
様にして解析した。
【0029】実施例4 PCRによるNANB型肝炎ウイルスの検出系に用いる
のに有効なプライマー対の選択 既に、anti−HCV陽性と判定された10検体、す
なわち日本人供血者の血漿検体No、1,3,5,7,
9及びNANB肝炎患者の血清検体No2,4,6,
8,10に対して、1対のプライマーを用いたPCRの
結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】ターゲットとする塩基配列領域は、ヨーロ
ッパ特許出願第88310922.5号に示されたHC
V非構造蛋白質NS5から2領域、NS3から2領域、
NS1から上流にまたがる領域の2領域、そして、本発
明者らが明らかにしたコア領域の2領域、5′非翻訳領
域から2領域の計10領域に対してPCR増幅を試み
た。その結果、5′非翻訳領域よりのプライマー対であ
る#32A/#36,#33/#48及びコア領域より
のプライマー対である#23/#25を用いた場合、1
0サンプル全てについて、それぞれ3領域の242b
p、145bp、そして377bpの予測されたサイズ
のNANB cDNAバンドを検出できた。しかし、他
の7領域では、HCV RNAの存在が確認されていな
がら、10サンプル中2〜9検体が、増幅されたのみで
あった。このことから、広範囲なHCVのRNA検出を
行うプライマーの対として、本発明のプライマーである
5′非翻訳領域からの#32A/#36及び#33/#
48と、コア領域の#23/#25が効率的であると結
論づけられた。NANB肝炎ウイルスRNAの検出に
は、1次PCRのみで十分な場合もあるが、より感度を
上げるにはさらに2次PCRを行うのが好ましい。例え
ば#36プライマーでcDNA合成を行った後、#36
と#32AによるPCR増幅(1次PCR)を行い、2
42bpの予想バンドが認められない検体については、
PCR増幅RNAを鋳型として#33と#48のプライ
マーで再増幅(2次PCR)を行った。(ダブルPC
R)
【0032】実施例4 慢性肝炎患者10検体とALTの正常な供血者血清12
検体について、PCRによるRNA検出を実施した。結
果は、表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】NANB型32検体はあらかじめanti
−HCVを測定した結果、陽性20検体、陰性12検体
であった。B型患者10検体と正常な供血者12検体は
いずれもanti−HCV陰性であった。NANB型3
2検体のうち、anti−HCV(+)の20検体は、
1次PCRで15例、2次PCRで5例と100%RN
A検出ができた。anti−HCV(−)とされた12
例についても1次PCRで7例、2次PCRで4例と、
92%RNA検出が可能であった。また、B型の10例
及び供血者12例はいずれも2次PCRまで行ったが、
陰性であった。このデータより、NANB型ウイルスR
NA検出系として、オリゴヌクレオチドプライマー#3
2Aおよび/または#36を用いた本発明のPCR法が
すぐれており、特に2次PCRまで行うダブルPCR法
によれば、非常に高感度(NANB検体のほぼ全部にあ
たる96.9%を検出)で特異性の高い検出法となるこ
とが確認された。
【0035】実施例5 cDNA/ダブルPCR法によるNANB肝炎ウイルス
の検出感度 本発明のcDNA/ダブルPCR法による、NANB型
肝炎ウイルスRNAの検出感度について以下に述べる。
結果は表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】感染価のわかっている血漿10CID/
mlを用い、10倍希釈列を作製し、同じ測定をそれぞ
れ3回行った。1次PCRでは3回の測定中2回で10
0CID/mlまで、残りの1回で10CID/mlま
で予測される242bpのバンドの検出が確認された。
2次PCRを行うことにより、2回の測定で10CID
/mlまで、1回の測定で1CID/mlまで予測され
た145bpのバンドが認められた。又、1CID/m
l以下の希釈及び陰性血漿では、全くバンドは観察され
なかった。NANB型肝炎患者の平均力価は、血漿当た
り102〜4CID/mlと考えられており、NANB
型肝炎患者の診断の上で、臨床上有効な検出感度をもっ
ていると確認された。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、NANB肝炎ウイルス
に特異的で高感度の検出法に提供できる。したがって、
肝炎患者の正確な診断あるいは供血のスクリーニングに
よる輸血後肝炎の防止に重要な役割を果たすことができ
る。
【図面の簡単な説明】
NANB肝炎ウイルスの塩基配列決定の方法を示す図。
【図1】は、HC−J1株。
【図2】は、HC−J4株。図中、実線はバクテリオフ
ァージλgt10のライブラリーによるクローンで塩基
配列を決定した範囲、点線はPCRによるクローンで塩
基配列を決定した範囲を示し、クローン名を線の横に示
した。
【配列表】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オリゴヌクレオチド
と、これを用いて非A非B型肝炎ウィルス(以下「NA
NB肝炎ウイルス」と略記する)を遺伝子レベルで高感
度に検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ウイルスに由来する肝炎には、既にウイ
ルス本体のDNAやRNAがつきとめられ、その診断法
や予防法が確立したものとしてB型肝炎、A型肝炎、D
型肝炎、E型肝炎がある。しかし、主として血液を介し
て感染する肝炎で上記の分類に属さない、非A非B型肝
炎(以下「NANB肝炎」という)については、世界の
多くの研究者がその原因ウィルスを捜してきたにもかか
わらずウイルス本体の解明はなされていなかった。
【0003】1988年になってカイロン社は、NAN
B型肝炎の原因ウイルスとして、C型肝炎ウイルス(以
下「HCV」と略記する)と命名したRNAウイルスゲ
ノムのクローン化に成功したとして、その塩基配列を発
表した。そしてこれを基にHCV抗体の測定系を開発
し、現在輸血血液のスクリーニングや患者の診断に用い
られ始めている。このHCV抗体の測定系はNANB肝
炎との関連性がたしかに一部認められる。しかし、キャ
リアや慢性肝炎の捕捉率が約70%にすぎないこと、ま
た急性期の抗体検出ができないこと等の重大な問題点が
残されており、カイロン社の前記開発によってもNAN
B肝炎への対処は依然として解決されていない。他方、
B型肝炎ウイルスの検出法は既に確立されている。この
ため日本においては輸血後肝炎の95%以上がNANB
肝炎であり、年間約28万例の発症が推定されている。
NANB肝炎の経過は不良であり、大部分の例はキャリ
ア化して慢性肝炎に進展すると予測される。又、かなり
高率に10〜20数年にかけて肝硬変へ、さらに肝癌へ
進むことから、一日も早いウイルス本体の解明及び診断
薬の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記カイロン社のHC
V抗体検出キットでは診断できないNANB肝炎が多数
存在すること、さらに本発明者らの研究により日本のN
ANB肝炎ウイルスがカイロン社の解明したHCVとは
塩基配列において相当異なることが明らかになったこと
から、特異性、感度においてさらに優れたNANB肝炎
診断法の開発が不可欠である。 本発明の目的は、NA
NB肝炎ウイルスを遺伝子レベルで高感度に検出する方
法と、これに用いるオリゴヌクレオチドプライマーを提
供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、NANB
肝炎ウイルスの遺伝子本体の解明を目的として、ヒトお
よびチンパンジーキャリアの血清より、NANB肝炎ウ
イルスのRNAを単離し、ウイルスの非コード領域を含
む遺伝子領域全体をカバーするcDNAをクローン化し
てその塩基配列を決定した。その結果、本発明者らは、
NANB肝炎ウイルスのうち非常に保存性の高い領域
と、ウイルス株間で変異が多い領域とが存在することを
解明し、これにもとづいて本発明を完成した。
【0006】本発明の要旨は次の通りである。本発明の
NANB肝炎ウイルスRNAは次のようにして得て、そ
の塩基配列を決定した。ヒト及びチンパンジー血漿より
2種の検体を得た。HC−J1は日本人供血者に由来
し、HCV抗体陽性と判定された検体より得られた。他
方、HC−J4はNANB肝炎の感染性を確認したチン
パンジーから得た検体に由来するが、しかしこれはカイ
ロン社の前記HCV抗体では(−)のものであった。こ
の2種の検体血漿よりRNAを抽出した。さらに各RN
A間の塩基配列の相同性を調べ、実施例に示すように抽
出RNAの5′末側の約2500の塩基配列、これらの
非コード領域、および構造蛋白質をコードする領域に関
して研究を成就し、本発明を完成するに至った。
【0007】実施例1に示すように、HC−J1株、H
C−J4株由来のRNAはいずれも5′末端より341
個のヌクレオチドよりなる5′非翻訳領域を有し、これ
に続いて構造蛋白質をコードする領域(1149塩基)
が続き、さらに非構造蛋白質をコードする領域を含め、
2540箇のヌクレオチドを有する。この知見にもとづ
き、配列番号3および4記載のポリヌクレオチドを得
た。
【0008】ヨーロッパ公開特許第388232号(カ
イロン社)に示されたHCVの配列と比較すると、本発
明者が解明した上記ヌクレオチド配列は、非コード領域
を含む5′末端側2477塩基に関してJ1、J4の各
株ではそれぞれ95.2%、80.5%の相同性を有す
る。このことより、HC−J1株はカイロン社が同定し
たウイルス株に比較的近縁でアメリカ型ウイルスである
のに対して、J4株はこれとはやや異なり、日本型ウイ
ルスであることが示唆された。
【0009】本発明者らはウイルスを、特異性、感度と
もに高い検出能力を示すポリメラーゼチェインリアクシ
ョンより検出するために、配列番号3および4記載のc
DNAに基づくプライマー、および配列番号1および2
記載のプライマーを用いる非A非B型肝炎ウイルス検出
方法を確立した。本発明者らが解明した2株のウイルス
RNAの5′非コード領域はいずれも341塩基からな
り、塩基配列の保存性が非常に高い。例えば、塩基配列
の差異は、HC−J1とHC−J4では8塩基のみであ
った。2株のウイルスRNAは、上記以外の領域におい
ては株種間の変異が激しいことを考慮すると、5′非コ
ード領域において塩基配列が非常によく保存されている
ことは驚くべきことである。またコード領域の中でもA
TGに続く上流部分では比較的変異が少ない。したがっ
て、これらの領域に由来する配列番号1(#32A)お
よび/または配列番号2(#36)のオリゴヌクレオチ
ドをプライマーとして使用すれば、NANB肝炎ウイル
スRNAをその株間によって左右されることなく、すな
わち株種をとわずに高感度に検出できることを見いだし
た。
【0010】前記各知見にもとづいて、本発明者らはN
ANB肝炎ウイルスを遺伝子レベルで高感度に検出する
のに用いる好適なオリゴヌクレオチドプライマーとし
て、配列番号1および2記載の塩基配列を有する下記オ
リゴヌクレオチドを見出し、これらを全て合成して本発
明を完成した。これら各オリゴヌクレオチドは、いずれ
もプライマーとして用いることができる。本発明のオリ
ゴヌクレオチドプライマーの塩基配列、センス:アンチ
センスの別は次のとおりである。 #32A(配列番号1;+) #36(配列番号2;−) 本発明においては、#32A、#36ともプライマーと
してNANB肝炎ウイルスの検出のために用いることが
できる(請求項第1項)。
【0011】本発明は、NANB肝炎ウイルスRNAに
特異的なオリゴヌクレオチドを使用する限り、株間の変
異に由来する少数の置換を含むオリゴヌクレオチドに対
しても適用され、これらもまた本発明の範囲に包含され
る。
【0012】PCR法を利用してNANB肝炎ウイルス
を検出するのに際し、本発明のプライマーペア#32A
と#36とを組み合わせて使用することにより、さらに
好ましい効果を得ることができる(請求項第2項)。
【0013】また、本発明は、オリゴヌクレオチドプラ
イマー#32Aを用いてNANB肝炎ウイルスを高感度
に検出する方法の発明である(請求項第3項)。
【0014】さらに、本発明は、オリゴヌクレオチドプ
ライマーのペア#32Aと#36を用いて、NANB肝
炎ウイルスRNAのcDNAをポリメラーゼチエインリ
アクションにより増幅させて該ウイルスRNAを高感度
に検出する方法ならびにその検出系の発明である(請求
項第4項)。
【0015】その際、オリゴヌクレチオドペアを2組用
いてcDNAの増幅を2回行うことはNANB肝炎ウイ
ルスの検出を高感度に行うために好適である。
【0016】
【作用】上記したように、本発明の方法はNANB肝炎
ウイルスを遺伝子レベルで高感度に検出することがで
き、また、本発明のオリゴヌクレチオドプライマーはN
ANB肝炎ウイルスの高感度検出に供することができ
る。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について述べるが、も
とより本発明がこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0018】実施例1 NANB型肝炎ウイルスの5′末端塩基配列及びアミノ
酸配列を次のようにして決定した。 (1)RNA抽出 日本人供血者の血漿から得た、HCV抗体陽性(オーソ
・ダイアグノスティック・システムズ株式会社のオーソ
HCVAbELISAテストによる)と判定された検体
(HC−J1)およびNANB型肝炎の感染性を確認し
たチンパンジーから得た、HCV抗体(−)の検体(H
C−J4)より、次のようにしてRNAを抽出した。
1.8mlの血漿に1mlのトリス塩酸緩衝液(10m
M、pH8.0)を加え、68×10rpmで1時間
遠心した。得られたペレットに200mM NaCl、
10mM EDTA、2%(w/v)ドデシル硫酸ナト
リウム(SDS)と1mg/mlのプロテナーゼKを含
むトリス塩酸緩衝液(50mM、pH8.0)を加え、
60℃1時間加温し、フェノール/クロロホルムで抽出
した後、エタノール沈殿を行い、RNAを得た。
【0019】(2)cDNA合成 HC−J1血漿より抽出したRNAを70℃で1分間加
温し、これを鋳型として10ユニットの逆転写酵素(c
DNA Synthesis SystemPlus,
Amersham Japan)及びオリゴヌクレオチ
ドプライマー(20マー)20pmolを加えて42
℃、1.5時間反応させcDNAを得た。プライマーと
してはヨーロッパ特許出願第8831022.5号に示
されたHCVの塩基配列を参照して合成した#8(5′
−GATGCTTGCGGAAGCAATCA−3′)
を用いた。
【0020】(3)ポリメラーゼチェインリアクション
(PCR)によるcDNAの増幅は次のように行った。
DNAサーマルサイクラー(Perkin−Elmer
・Cetus)に、Gene Amp DNA増幅試薬
キット(Perkin−Elmer・Cetus)を用
い、Saikiらの方法(Science 239、4
87−491.1988)によって35サイクルのcD
NA増幅を行った。
【0021】(4)cDNAライブラリーの構築による
J1、J4、各5′末端側塩基配列の決定 cDNAライブラリーを用いたHC−J1、HC−J4
ゲノムの5′末端側の塩基配列解析は図1、図2に示す
ように、cDNAをバクテリオファージλgt10に挿
入して得たクローンの解析及びcDNAをPCRにて増
幅して得られたクローンの解析結果の両者を併せて決定
した。図1、図2はNANB型肝炎ウイルスゲノムの
5′末端を制限酵素切断部位とともに示し、使用するプ
ライマーの位置も示す。図中、実線はバクテリオファー
ジλgt10のライブラリーによるクローンで塩基配列
を決定した範囲を、点線はPCRによるクローンで塩基
配列を決定した範囲を示す。HC−J1のnt454〜
2109の1656塩基は前記プライマー#8から得た
cDNAをλgt10ファージベクター(Amersh
am)に挿入して得られたクローンφ41により決定し
た。つぎにこのシークエンスをもとに合成した、nt8
24〜843の新しいプライマー#25(5′−TCC
CTGTTGCATAGTTCACG−3′)を用い
て、HC−J4のcDNAライブラリーから順次4つの
cDNAクローンφ60、φ61、φ66、φ75を得
て、上流のnt18〜843の塩基配列を決めた。HC
−J4について、さらに上流の5′末端を特定するため
にnt246〜265のアンチセンスプライマー#36
(5′−AACACTACTCGGCTAGCAGT−
3′)を用いてcDNAを合成したのち、ターミナルデ
オキシヌクレオチジルトランスフェラーゼによりcDN
Aの5′末端にdA付加を行い、2段階のone−si
dedPCR増幅を行った、すなわち、1回目はオリゴ
dTプライマー(20−mer)とnt188〜207
のアンチセンスプライマー#48(5′−GTTGAT
CCAAGAAAGGACCC−3′)を用いて35サ
イクルのPCR増幅を行い、2回目はそのPCR産物を
鋳型にしてオリゴdTプライマー(20−mer)とn
t140〜160のアンチセンスプライマー#109
(21−mer;5′−ACCGGATCCGCAGA
CCACTAT−3′)を用いて30サイクルのPCR
を行った。得られたPCR産物をM13ファージベクタ
ーにサブクローニングした。完全長の5′末端配列を有
すると考えられる6個の独立したクローン、C896
2、C8968、C8970、C8974、C903
4、C9036が得られ、nt1〜17の塩基配列を決
定した。
【0022】一方HC−J1の上流のシークエンスは、
nt18〜843についてはプライマー#44(5′−
GGCGACACTCCACCATGAAT−3′)と
#25(5′−TCCCTGTTGCATAGTTCA
CG−3′)を用いたPCRによって得られたクローン
C2503、C2508、及びC2510によって決め
られた。さらに上流の5′末端は、HC−J4と同様の
方法により得られた16個のクローン、C8931、C
8932、C8935、C8937、C8942、C8
944、C8949、C8950、C8951、C89
54、C8955、C9023、C9026、C903
0、C9031、C9032を用いて、nt1〜37の
塩基配列を決めた。次にHC−J1の5′末端側下流の
塩基配列を決定するため、プライマー#148(5′−
TGCACCTGGATGAACTCAAC−3′)と
#146(5′−AGTAGCATCATCCACAA
GCA−3′)を用いて30サイクルのPCRを行っ
た。得られたクローンのC11444、C11450、
C11451によりnt1984〜2560の塩基配列
を決定した。一方、HC−J4のnt738〜1900
までの下流シークエンス1163塩基はプライマー#3
0(5′−CTCATGGGGTACATTCCGCT
−3′)と#42(5′−TCGGTCGTCCCCA
CCACAAC−3′)を用いたPCRによって得られ
た3つのクローンC2821、C3173、C3192
によって決められた。さらにHC−J4の下流の塩基配
列を決定するため、プライマー#57(5′−TATT
GCTTCACCCCAAGCCC−3′)と#146
(5′−AGTAGCATCATCCACAAGCA−
3′)を用いて30サイクルのPCRを行った。得られ
たクローンC11462、C11463、C11464
によりnt1860〜2560の塩基配列を決定した。
以上の解析結果により、HC−J1、HC−J4は5′
末端側にそれそれ配列番号3、4に示す塩基配列を有す
るものと決定した。
【0023】実施例2 5′非翻訳領域及びコア蛋白質コード領域に基づいたプ
ライマーの合成及び測定系の確立 (1)オリゴヌクレオチドプライマーの合成 実施例1で決定したHC−J1とHC−J4株の5′翻
訳領域及びコア蛋白質コード領域の塩基配列に基づき、
オリコヌクレオチドプライマー(20マー)を合成し
た。また、ヨーロッパ特許出願第88310922.5
号に示されたHCVの塩基配列を参照してオリゴヌクレ
オチドプライマーも合成した。合成は380BDNA合
成機(Applied Biosystems Jap
an)を用いて行った。合成したプライマーは#3、
4、5、6、9、10、11、12、16、17、2
1、22、23、25、32A、33、34、35、3
6、48であり、各プライマーについて、5′−末端よ
りの位置、塩基配列を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】(2)検体からのNANB肝炎ウイルスR
NAの抽出 血漿1mlをTL−100(ベックマン)遠心機で90
Krpm15分遠心分離し、得られたペレットを、20
0mM NaCl、10mMEDTA、2%(W/V)
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、トリス塩酸(50
mM、pH8.0)、1mg/mlプロティンナーゼK
を含む溶液に溶解し、60℃で1時間加温した。等量の
フェノール/クロロホルム溶液を用いて2回抽出後、エ
タノール沈澱を−20℃で3時間以上かけて行った。沈
澱物は、70%エタノールで遠心洗浄し、真空乾燥の後
5μlの蒸留水に溶解した。
【0026】(3)cDNAの合成 (2)において1mlの血漿から抽出したRNAを、7
0℃で1分間変性させ、氷上で急冷し、cDNA合成に
供した。逆転写は、各々100pmolのアンチセンス
プライマー#5、6、11、12、16、17、25、
35、36、48に10nmolの4種のデオキシリボ
ヌクレオチド3リン酸(Takara)、10unit
のRNase阻害剤(Takara)、10unitの
Avian myeloblastosis viru
s逆転写酵素(ベーリンガーマンハイム)を加え、10
gのトリス−塩酸(50mMpH8.4)、8mM M
gCl、30mM KCl、1mM dithiot
hreitol溶液中で、42℃90分反応させてcD
NAを合成した。得られたcDNAは、フェノール/ク
ロロホルムで抽出により精製した。
【0027】(4)PCRによる増幅 DNA thermal cycler(Perkin
−Elmer Cetus)とDNA amplifi
cation reagent キット(Perkin
−Elmer Cetus)を用い、通常の方法(Sa
iki etal 1988)でPCRによる増幅を行
った。反応サイクルは、変性(94℃1分間)、プライ
マーのアニール(55℃1分30秒)および、プライマ
ーの伸長(72℃3分間)の工程であり、これを35回
繰り返した。反応生成物を1−1、5%Nusieve
と1−1、5%Seakemの混合アガロースゲル(F
MC社)で電気泳動し。臭化エチジウムの染色の後、紫
外線照射でバンドを確認した。
【0028】(5)2次PCRによる増幅 最初の1組のプライマー(#32Aと#36)によるP
CRで得たPCR産物を、必要に応じさらに2回目のP
CR増幅にかける。プライマーとしては、最初の1組の
プライマーの内側プライマー(たとえば#33と#4
8)を選択し、PCR産物5gについて、30サイクル
繰り返した。#33、#48の塩基配列は表1に示すと
おりである。反応条件は変性(94℃、1分)アニール
(55℃、1.5分)及び伸長(72℃、2分)であ
り、得られたPCR産物を電気泳動にかけ、(4)と同
様にして解析した。
【0029】実施例4 PCRによるNANB型肝炎ウイルスの検出系に用いる
のに有効なプライマー対の選択 既に、anti−HCV陽性と判定された10検体、す
なわち日本人供血者の血漿検体No.1,3,5,7,
9及びNANB肝炎患者の血清検体No.2,4,6,
8,10に対して、1対のプライマーを用いたPCRの
結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】ターゲットとする塩基配列領域は、ヨーロ
ッパ特許出願第88310922.5号に示されたHC
V非構造蛋白質NS5から2領域、NS3から2領域、
NS1から上流にまたがる領域の2領域、そして、本発
明者らが明らかにしたコア領域の2領域、5′非翻訳領
域から2領域の計10領域に対してPCR増幅を試み
た。その結果、5′非翻訳領域よりのプライマー対であ
る#32A/#36,#33/#48及びコア領域より
のプライマー対である#23/#25を用いた場合、1
0サンプル全てについて、それぞれ3領域の242b
p、145bp、そして377bpの予測されたサイズ
のNANB cDNAバンドを検出できた。しかし、他
の7領域では、HCV RNAの存在が確認されていな
がら、10サンプル中2〜9検体が、増幅されたのみで
あった。このことから、広範囲なHCVのRNA検出を
行うプライマーの対として、本発明のプライマーである
5′非翻訳領域からの#32A/#36及び#33/#
48と、コア領域の#23/#25が効率的であると結
論づけられた。NANB肝炎ウイルスRNAの検出に
は、1次PCRのみで十分な場合もあるが、より感度を
上げるにはさらに2次PCRを行うのが好ましい。例え
ば#36プライマーでcDNA合成を行った後、#36
と#32AによるPCR増幅(1次PCR)を行い、2
42bpの予想バンドが認められない検体については、
PCR増幅RNAを鋳型として#33と#48のプライ
マーで再増幅(2次PCR)を行った。(ダブルPC
R)
【0032】実施例4 慢性肝炎患者10検体とALTの正常な供血者血清12
検体について、PCRによるRNA検出を実施した。結
果は、表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】NANB型32検体はあらかじめanti
−HCVを測定した結果、陽性20検体、陰性12検体
であった。B型患者10検体と正常な供血者12検体は
いずれもanti−HCV陰性であった。NANB型3
2検体のうち、anti−HCV(+)の20検体は、
1次PCRで15例、2次PCRで5例と100%RN
A検出ができた。anti−HCV(−)とされた12
例についても1次PCRで7例、2次PCRで4例と、
92%RNA検出が可能であった。また、B型の10例
及び供血者12例はいずれも2次PCRまで行ったが、
陰性であった。このデータより、NANB型ウイルスR
NA検出系として、オリゴヌクレオチドプライマー#3
2Aおよび/または#36を用いた本発明のPCR法が
すぐれており、特に2次PCRまで行うダブルPCR法
によれば、非常に高感度(NANB検体のほぼ全部にあ
たる96.9%を検出)で特異性の高い検出法となるこ
とが確認された。
【0035】実施例5 cDNA/ダブルPCR法によるNANB肝炎ウイルス
の検出感度 本発明のcDNA/ダブルPCR法による、NANB型
肝炎ウイルスRNAの検出感度について以下に述べる。
結果は表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】感染価のわかっている血漿10CID/
mlを用い、10倍希釈列を作製し、同じ測定をそれぞ
れ3回行った。1次PCRでは3回の測定中2回で10
0CID/mlまで、残りの1回で10CID/mlま
で予測される242bpのバンドの検出が確認された。
2次PCRを行うことにより、2回の測定で10CID
/mlまで、1回の測定で1CID/mlまで予測され
た145bpのバンドが認められた。又、1CID/m
l以下の希釈及び陰性血漿では、全くバンドは観察され
なかった。NANB型肝炎患者の平均力価は、血漿当た
り102〜4 CID/mlと考えられており、NAN
B型肝炎患者の診断の上で、臨床上有効な検出感度をも
っていると確認された。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、NANB肝炎ウイルス
に特異的で高感度の検出法に提供できる。したがって、
肝炎患者の正確な診断あるいは供血のスクリーニングに
よる輸血後肝炎の防止に重要な役割を果たすことができ
る。
【0039】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to genomic RNA 特徴を決定した方法:E 配列(#32A) CTGTGAGGAA CTACTGTCTT
【0040】配列番号:2 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to genomic RNA 特徴を決定した方法:E 配列(#36) AACACTACTC GGCTAGCAGT
【0041】配列番号:3 配列の長さ:2540 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to genomic RNA 特徴を決定した方法:E 配列
【0042】配列番号:4 配列の長さ:2540 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to genomic RNA 特徴を決定した方法:E 配列
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】NANB肝炎ウイルスの塩基配列決定の方法を
示す図。HC−J1株。
【図2】NANB肝炎ウイルスの塩基配列決定の方法を
示す図。HC−J4株。図中、実線はバクテリオファー
ジλgt10のライブラリーによるクローンで塩基配列
を決定した範囲、点線はPCRによるクローンで塩基配
列を決定した範囲を示し、クローン名を線の横に示し
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/53 D 8310−2J 33/569 L 9015−2J 33/576 Z 9015−2J

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号1記載の塩基配列を有するオリゴ
    ヌクレオチドプライマー#32A
  2. 【請求項2】配列番号1記載のオリゴヌクレオチドプラ
    イマー#32Aと配列番号2記載のオリゴヌクレオチド
    プライマー#36からなるプライマーペア。
  3. 【請求項3】配列番号1記載のオリゴヌクレオチドプラ
    イマー#32Aを用いて非A非B型肝炎ウイルスを高感
    度に検出する方法。
  4. 【請求項4】配列番号1および配列番号2記載のプライ
    マーペア#32A・#36を有する非A非B型肝炎ウイ
    ルス検出系。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002083948A1 (en) * 2001-04-12 2002-10-24 Biocore Co., Ltd. Oligonucleotide chip composition for analyzing hepatitis c virus (hcv) genotype and detecting method thereof
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