JPH06122504A - 熱分解窒化ほう素容器 - Google Patents

熱分解窒化ほう素容器

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JPH06122504A
JPH06122504A JP5152016A JP15201693A JPH06122504A JP H06122504 A JPH06122504 A JP H06122504A JP 5152016 A JP5152016 A JP 5152016A JP 15201693 A JP15201693 A JP 15201693A JP H06122504 A JPH06122504 A JP H06122504A
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木村昇
Kenji Ito
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 本発明は剥離強度が強く、熱伝導率が低くて
温度分布コントロース性もよいことから、III-V族化合
物半導体単結晶引上げ用大型のルツボまたは真空蒸着、
分子線エピタキシー用のルツボなどに有用される熱分解
窒化ほう素容器の提供を目的とするものである。 【構成】 本発明の熱分解窒化ほう素容器は密度が1.90
〜2.05g/cm3 であることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱分解窒化ほう素容器、
特にはIII-V族化合物半導体単結晶育成時に使用する大
型のルツボ、または真空蒸着もしくは分子線エピタキシ
ー(MBE)などに使用するAl溶解用ルツボなどに適
した熱分解窒化ほう素容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】III-V族化合物半導体単結晶、例えばG
aAs単結晶やInP単結晶の引き上げには、成分元素
の揮発を防ぐために液体封止チョクラルスキー法(LE
C法)が採用されており、このLEC法では従来から石
英ルツボなどが使用されているが、この場合には結晶中
にSiが不純物として混入するという問題があることか
ら、通常はCrをドープして引き上げを行なうという方
法が採られている。
【0003】しかし、このCrをドープすると絶縁性が
低下するために、このものはIC用基板として適さない
ものとなるので、これについては最近ノンドープの半導
体基板を得るために、それがIII-V族化合物で高純度の
ものが得られ、単結晶中に混入しても不純物レベルを形
成しない熱分解窒素ほう素(以下PBNと略記する)を
使用するということも提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このPBNは
層状の表面剥離が生じ易いために10〜15回の引き上げが
寿命とされていて、この寿命が短いことからGaAs単
結晶の工業的な量産に大きな障害となっており、これに
ついてはまた積層表面方向の熱伝導率が大きく、熱良伝
体であることから大型容器では容器内の温度分布コント
ロールが難しいという欠点があるが、これは従来公知の
PBNが密度が 2.1〜2.2 で理論密度2.25に近い高配向
度のものであることに起因するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような不
利、欠点を解決したPBN容器に関するものであり、こ
れは密度が1.90〜2.05g/cm3 であることを特徴とするも
のである。すなわち、本発明者らは表面剥離し難く、長
寿命で積層表面方向の熱伝導率が低いために、温度分布
コントロール性もよいPBN容器を開発すべく種々検討
した結果、これについてはハロゲン化ほう素、例えばB
Cl3 とアンモニアとを真空条件下に高温で反応させる
PBN製造条件を検討し、これをBCl3 1モルとNH
3 3モルとを1〜10Torrの真空下に 1,800〜1,900 ℃で
反応させると密度が1.90〜2.05g/cm3 のものとして得る
ことができ、このものは表面剥離性、熱伝導率、温度分
布コントロール性のよいものになるということを見出す
と共に、これについてはそのものの配向度がX線回折I
(002)/I(100) のピーク強度比(積層表面/積層成長
面)で5〜50のものとすることがよいことを確認して本
発明を完成させた。以下これをさらに詳述する。
【0006】
【作用】本発明はPBN容器に関するもので、これは密
度が1.90〜2.05g/cm3 であることを特徴とするものであ
るが、このものは剥離強度が大きく、熱伝導率も低く、
容器内の温度分布のコントロール性もよいので、III-V
族化合物半導体単結晶育成用の大型ルツボや真空蒸着
用、分子エピタキシー(MBE)用のAl溶解用ルツボ
などに好適に使用し得るという有利性をもつものとされ
る。
【0007】本発明はPBN容器に関するもので、この
PBNがハロゲン化ほう素、例えば三塩化ほう素(BC
3 )とアンモニア(NH3 )とを高真空下、高温で反
応させ、この反応生成物をカーボン基体上に析出させる
という方法で作られることはよく知られているところで
あるが、このPBNの密度と配向度との間には図1に示
した関係があり、その配向度をX線回折におけるI(002)
/I(100)のピーク強度比(積層表面/積層成長面)で5
〜50となるようにすれば、アルキメデス法により求めた
密度を1.90〜2.05g/cm3 とすることができことが見出さ
れ、このPBNの配向度、密度はこの反応温度、反応圧
力によって決まることから、このPBNの製造に当って
はBCl3 1モルとNH3 3モルとを真空度が1〜10To
rr、好ましくは1〜5Torrで 1,800〜 1,900℃、好まし
くは 1,800〜 1,850℃という条件で反応させればよいと
いうことが判った。
【0008】このようにして作られたPBN容器はそれ
が密度1.90〜2.05g/cm3 のもであることから、スタッド
法で求めた剥離強度が強いものとなり、この剥離強度は
密度の小さいほうが強いものとなるが、この密度と剥離
強度との関係については図2に示したとおりの結果が得
られており、例えば密度が1.90g/cm3 では剥離強度が12
5kg/cm2 となり、密度が2.05g/cm3 では剥離強度が50kg
/cm2となるので、このものは例えばこれをIII-V族化合
物半導体単結晶引上げルツボとして使用ときの1回の平
均減量が 0.2g/回となって、30回以上使用することがで
きる長寿命のものになるという有利性が与えられる。
【0009】また、このPBN容器はこれが密度1.90〜
2.05g/cm3 のものとされることからこれはレザーフラッ
シュ法で求めた積層表面方向の熱伝導率も低いものとな
り、この熱伝導率も密度の小さいほど熱伝導率の低いも
のとなるが、この密度と熱伝導率との関係については図
3に示したような結果が得られており、密度が1.90g/cm
3 では熱伝導率が 20w/m・kとなり、密度が2.05g/cm3
は熱伝導率が 50w/m・kとなるので、この範囲で実用性の
すぐれたものになるという有利性が与えられる。
【0010】なお、このPBN容器はこれが密度が1.90
〜2.05g/cm3 のものとなると温度分布コントロール性の
よいものとなるが、この密度が1.85g/cm3 のように1.90
g/cm3より小さいものであるとクラックが発生し易く、
短寿命となり、この密度が2.15g/cm3 のように2.05g/cm
3 より大きいものであると熱伝導度が高くなり、均熱化
傾向が強くなって、温度分布コントロール性がわるくな
るということが判かった。
【0011】すなわち、配向度が5以下で密度が1.90g/
cm3 以下のPBNからなるPBN容器は積層表面方向で
の引張り強度が弱くなり、したがって容器として安定に
長期間使用することができず、配向度が50以上で密度が
2.05g/cm3 以上のPBNからなるPBN容器では異方性
が強くなって面剥離強度が低下し、容器としての寿命が
短いものとなるが、配向度が5〜50で密度が1.90〜2.05
g/cm3 のPBNからなるPBN容器は剥離強度が強く、
熱伝導率も低く、温度分布コントロール性もよくなるの
で、III-V族化合物半導体の引上げ用の大型ルツボまた
は真空蒸着、分子線エピタキシー用のルツボとして使用
した時に作業性がよく、長寿命なものになるという有利
性が与えられる。
【0012】
【実施例】つぎに本発明の実施例、比較例をあげるが、
例中におけるライフテスト法、ルツボライフ、配向度、
剥離強度、単結晶収率、温度分布コントロール性はつぎ
の方法による結果を示したものである。
【0013】(ライフテスト法およびルツボライフ)P
BN容器中に200gのB23 を入れ、1,100 ℃まで昇温
して1時間保持したのち自然放冷した。これによると、
23 は1時溶けて再び固化するが、このときB2
3 は熱収縮してPBN容器内面を剥離するので、この内
面剥離後メタノールに10時間浸漬して付着しているB2
3 を除去したのち、乾燥し、重量を測定してこれを重
量減少量とし、またこの際容器の底にクラックが生ずる
までの回数を求めてルツボライフとした。 (配向度)積層表面(a面)および積層成長面(c面)
のX線回析のピーク強度I 002、I 001を図4(a)、
(b)から測定し、下記の式により求める。
【0014】(剥離強度の測定法)図6(a)に示した
約6mmφの円盤に引張り棒を取りつけた鉄製の釘状の治
具(スタッド)1を熱分解窒化ほう素板2に2液型エポ
キシ樹脂接着剤(アラルダイト)3で約10μmの厚さに
張りつけ、80℃×1時間加熱して接着し、ついで室温で
図6(b)に示したようにこのスタッド1をオートグラ
フによって引上げ、窒化ほう素板2が剥離したときの値
を読み取り、これを5つのサンプルについて行なってそ
の平均値をスタッドの円盤の面積で除して剥離強度(kg
/cm2)とした。 (単結晶収率)容器を用いてLEC法により常法の条件
によって約6"φのGaAsの単結晶の引上げを行ない、
その際得られたブールの単結晶化率を求めて収率(%)
とした。
【0015】(温度分布コントロール性)図4の(a)
に示したようにPBN容器1を不活性ガス雰囲気に1気
圧で肉厚10mmの等方性緻密質カーボンサセプター2内に
納め、これをその外側から内径190mm φのカーボン製ヒ
ーター3で容器内の中心温度が 1,400℃になるように加
熱し、そのときヒーター3とPBN容器1との位置関係
xを操作し、PBN容器内面の温度(開口部付近TO
底部側部TB )の差を調べた。
【0016】実施例1〜3、比較例1〜4 外熱型減圧CVD装置内に 150mmφ×200mmHの円筒状の
カーボン型をセットし、ここにBCl3 1モルとNH3
3モルを導入し、1〜5Torrの圧力に 1,800〜1,850 ℃
で反応させて内径 150mmφ、長さ 200mm、厚さ1mmのP
BN容器を作り、そのものの密度、配向度、剥離強度、
熱伝導度、ルツボライフ、GaAsの単結晶収率をしら
べたところ、表1に示したとおりの結果が得られた。
【0017】しかし、比較のためにこの反応条件を圧力
を15Torrとし、1,780℃で反応させた場合(比較例1)
および圧力は 0.5Torrとしたが温度を 1,920〜 1,950℃
として反応させた場合(比較例2〜4)において得られ
た内径 150mmφ、長さ 200mm、厚さ1mmのPBN容器の
密度、配向度、剥離強度、熱伝導度、ルツボライフおよ
びGaAsの単結晶収率をしらべたところ、表1に併記
したとおりの結果が得られた。なお、表1から密度と配
向度の関係、密度と剥離強度との関係、および密度と熱
伝導率との関係をしらべたところ、図1、図2、図3に
示すとおりの結果が得られた。
【0018】
【表1】
【0019】また、このようにして得られたPBN容器
についてのライフテストを行なったところ、実施例1〜
3のものは平均減少量が 0.2g/回〜 0.3g/回で寿命も30
回以上であったけれども、比較例1のものは2回目でク
ラックが入って以下使用不能となり、比較例2〜4のも
のは平均減少量が 0.7g/回と多くなり、7回目〜12回目
にクラックが発生した。
【0020】なお、このようにして得たPBN容器につ
いての温度分布コントロール性をしらべたところ、図4
(b)に示したように実施例1〜3(図中の)および
比較例1(図中の)のものは最大温度差が大きいため
に温度分布コントロールは容易であったが、比較例2〜
4のもの(図中の)は好ましい最大温度差が容器の大
きさによって異なり、容器が大きく大きくなると最大温
度差が小さくなるために均熱化傾向が強くなり、温度コ
ントロールは難しくなるということが確認された。ただ
し、比較例1の場合はルツボライフが2回と小さいもの
であった。
【0021】
【発明の効果】本発明はPBN容器に関するもので、こ
れは前記したように密度が1.90〜2.05g/cm3 であること
を特徴とするものであるが、このものは配向度が5〜50
であり、剥離強度が50〜125kg/cm2 と大きく、熱伝導率
も 50w/m・k以下であり、加熱時における容器内の最大温
度差が制御されるので、III-V族化合物半導体単結晶の
大型育成用ルツボや真空蒸着または分子線エピタキシー
などに使用するルツボとして有用とされるという有利性
をもつものになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のPBN容器の密度と配向度との関係
グラフを示したものである。
【図2】 本発明のPBN容器の密度と積層成長方向の
剥離強度との関係グラフを示したものである。
【図3】 本発明のPBN容器の密度と積層表面方向の
熱伝導率との関係グラフを示したものである。
【図4】 (a)はPBN容器の温度分布コントロール
性を調査する装置の縦断面、(b)は実施例、比較例で
得られたPBN容器の温度分布コントロール性のグラフ
を示したものである。
【図5】 (a)は(a面)のX線回析チャート、
(b)は(c面)のX線回析チャートのグラフの一例を
示したものである。
【図6】 剥離強度の測定方法を示したものである。
【符号の説明】
1…PBN容器、 2…カーボンサセプター、3
…カーボン製ヒーター。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C30B 15/10 H01L 21/203 M 8422−4M

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密度が1.90〜2.05g/cm3 であることを特徴
    とする熱分解窒化ほう素容器。
  2. 【請求項2】配向度がX線回折[I(002)/I(100)]のピ
    ーク強度比(積層表面/積層成長面)で5〜50である請
    求項1に記載した熱分解窒化ほう素容器。
  3. 【請求項3】剥離強度が50〜125kg/cm2 である請求項1
    に記載した熱分解窒化ほう素容器。
  4. 【請求項4】積層表面方向の熱伝導率が 50w/m・k以下で
    ある請求項1に記載した熱分解窒化ほう素容器。
  5. 【請求項5】加熱時における容器内の最大温度差が制御
    されている請求項1に記載した熱分解窒化ほう素容器。
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