JPH06121690A - チロシンキナーゼ陰性trkB - Google Patents

チロシンキナーゼ陰性trkB

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JPH06121690A
JPH06121690A JP3130401A JP13040191A JPH06121690A JP H06121690 A JPH06121690 A JP H06121690A JP 3130401 A JP3130401 A JP 3130401A JP 13040191 A JP13040191 A JP 13040191A JP H06121690 A JPH06121690 A JP H06121690A
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JP
Japan
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sequence
dna
tyrosine kinase
trkb
nucleic acid
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JP3130401A
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English (en)
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Mariano Barbacid
マリアーノ・バーバシッド
Rudiger Klein
ルーディーガー・クレイン
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Bristol Myers Squibb Co
ER Squibb and Sons LLC
Original Assignee
Bristol Myers Squibb Co
ER Squibb and Sons LLC
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Publication date
Application filed by Bristol Myers Squibb Co, ER Squibb and Sons LLC filed Critical Bristol Myers Squibb Co
Publication of JPH06121690A publication Critical patent/JPH06121690A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/82Translation products from oncogenes

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  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質の全
部または一部をコードするDNA配列、該配列を含有す
る発現ベクター、該ベクターを含有する宿主細胞および
該DNA配列またはその対応RNA配列の検出方法を提
供する。 【構成】 チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質の全
部または一部をコードする核酸配列を含むことを特徴と
する単離核酸分子および該配列の検出法、該配列を含有
する発現ベクター、該発現ベクターで形質転換またはト
ランスフェクションされた宿主細胞、およびチロシンキ
ナーゼ陰性trkBタンパク質の全部または一部からなる
ポリペプチド分子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チロシンキナーゼ陰性
trkBタンパク質の全部または一部をコードする核酸配
列、とりわけDNA配列、該DNA配列を含有する発現
ベクター、該発現ベクターを含有する宿主細胞、および
該DNA配列またはその対応RNA配列の検出方法に関
する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
年、癌遺伝子の存在が知られている。癌遺伝子とは、あ
る種の宿主細胞中に存在したときに、そのタンパク質産
物により該細胞を癌発現型に形質転換し得る遺伝子とし
て広く定義されている。一方、癌原遺伝子とは、「活性
化」されて癌遺伝子を生じ得る正常遺伝子として広く定
義されている。最初に発見された癌遺伝子は、ある種の
癌ウイルスの形質転換遺伝子であった。その後、癌遺伝
子は種々の真核細胞中にも存在することが発見された。
これら癌遺伝子の中には、trkとして示されるものが含
まれる。
【0003】trk遺伝子座は最初にヒト結腸癌腫におい
て同定され、経膜ドメインおよび触媒ドメインを非筋肉
トロポミオシン遺伝子に由来する配列の一部に融合させ
る染色体転移により癌遺伝子として活性化されたもので
あった[マーチン−ザンカ(Martin−Zanca)ら、Nature
19、743〜748(1986)]。トロポミオシン以
外の活性化配列を含む別のtrk癌遺伝子は、遺伝子導入
アッセイの間に得られた[コズマ(Kozma)ら、EMBO J.
、147〜154(1988);オスカム(Oskam)ら、P
roc.Natl.Acad.Sci.、2964〜2968(198
8)]。trk癌原遺伝子はチロシンプロテインキナーゼ活
性を有する細胞表面レセプターをコードしており、三叉
神経の神経節およびある種の後根神経節で特に発現され
る。
【0004】trk癌原遺伝子に関連する遺伝子であってt
rkBと称される遺伝子は、マウスの脳cDNAライブラ
リーから最近単離された[クライン(Klein,R.)ら、EMBO
J.、3701〜3709(1988)]。このtrkB癌原
遺伝子もまた、チロシンプロテインキナーゼ活性を有す
る細胞表面レセプターをコードする。これら遺伝子の両
方の変異対立遺伝子(癌遺伝子)は、ともに悪性トランス
フォーメーションを引き起こし得る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このtrkB遺
伝子が、触媒チロシンキナーゼドメインを欠いた第二の
細胞表面レセプターをコードしているという驚くべき発
見を包含している。このタンパク質を「チロシンキナー
ゼ陰性trkBレセプター」と称する。
【0006】本発明は、チロシンキナーゼ陰性trkBタ
ンパク質の全部または一部をコードする核酸配列を含む
単離核酸分子に関する。好ましくは、核酸分子はDNA
(デオキシリボ核酸)分子であり、核酸配列はDNA配列
である。さらに好ましいのは、実質的に図2および図3
に示すヌクレオチド配列の全部または一部を有するDN
A配列である。
【0007】本発明はさらに、チロシンキナーゼ陰性tr
kBタンパク質をコードするDNA配列の全部または一
部を含有する発現ベクターにも関する。本発明はさら
に、チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質をコードす
るDNA配列の全部または一部を含有する発現ベクター
で形質転換またはトランスフェクションした原核または
真核宿主細胞にも関する。本発明はまた、チロシンキナ
ーゼ陰性trkBタンパク質の全部または一部をコードす
る核酸配列の検出方法に関する。本発明はまた、チロシ
ンキナーゼ陰性trkBタンパク質の全部または一部を含
むポリペプチド分子に関する。
【0008】本発明は、チロシンキナーゼ陰性trkBタ
ンパク質の全部または一部をコードする核酸配列を含む
単離核酸分子に関する。好ましくは、核酸分子はDNA
分子であり、核酸配列はDNA配列である。さらに好ま
しいのは、実質的に図2および図3に示すヌクレオチド
配列の全部または一部を有するDNA配列、またはこの
DNA配列に相補的なDNA配列である。本明細書にお
いて「チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質」とは、チ
ロシンプロテインキナーゼ触媒ドメインを欠いたtrkB
タンパク質を意味する。
【0009】本発明のDNA配列は、現在のところ好ま
しい配列がマウスのcDNA(相補的DNA)から単離さ
れているが、種々の採取源から単離することができる。
産生されたタンパク質分子の正確なアミノ酸配列は、最
初のDNA配列により変わる。
【0010】本発明のDNA配列は、当業者によく知ら
れた種々の方法を用いて得ることができる。下記の少な
くとも3種の基本的な方法を用いることができる。 (1)所望の配列を含有するゲノムDNAからの二本鎖
DNA配列の単離; (2)DNA配列の化学的合成;および (3)DNA配列によりコードされるmRNA(メッセ
ンジャーRNA)の酵素的逆転写により二本鎖DNA配
列をインビトロ合成し、ついで該DNA配列を単離する
こと。
【0011】上記最後の方法にはmRNAに相補的なD
NAの生成が関与しており、一般にcDNA法と呼ばれ
ている。チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質の全部
または一部をコードするcDNA配列を単離するため、
mRNA(その幾つかはチロシンキナーゼ陰性trkBタン
パク質の全部または一部をコードするDNA配列により
コードされている)の逆転写によりプラスミド−保持c
DNAライブラリーを作製する。
【0012】これらcDNAライブラリーは、当該技術
分野で公知の種々の方法を用いて作製することができ
る。たとえば、mRNAの二本鎖cDNAコピーは、ま
ず逆転写酵素を用いて得られる。「粘着」末端を生成した
後(たとえば、EcoRIなどの制限エンドヌクレアー
ゼで消化することにより)、この粘着末端を有する二本
鎖cDNAを約2倍モル過剰のファージベクターDN
A、たとえばλgt10またはλgt11DNA(該D
NAもまたEcoRIなどの制限エンドヌクレアーゼで
消化されていて粘着末端を有し、cDNAが挿入される
ことなくライゲートされるのを防ぐためホスファターゼ
処理されている)にライゲートする。ついで、このライ
ゲーション混合物を感染性ファージ粒子中にインビトロ
パッケージングし、宿主細胞中に形質転換する。λgt
10によるライブラリーに対しては適当な宿主細菌は大
腸菌C600hflAであり、λgt11によるライブ
ラリーに対しては適当な宿主細菌は大腸菌Y1088で
ある。
【0013】cDNAライブラリーが得られたら、これ
をスクリーニングして、チロシンキナーゼ陰性trkBタ
ンパク質の全部または一部をコードするDNA配列を含
有するバクテリオファージプラークまたは細菌コロニー
を同定する。
【0014】たとえば、チロシンキナーゼ陰性trkBタ
ンパク質の全部または一部をコードする標的cDNA中
に存在する配列と重複する標識一本鎖DNAプローブ配
列を、変性して一本鎖にしたcDNAのクローニングコ
ピーに対して行うDNA/DNAハイブリダイゼーショ
ン法に用いることができる。cDNAライブラリーをこ
のような方法でスクリーニングするならば、実質的にあ
らゆるベクター(たとえばλgt10)を用いることがで
きる。
【0015】cDNAライブラリーはまた、イムノブロ
ット法を用いてチロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質
の全部または一部をコードするcDNAについてスクリ
ーニングすることもできる。ライブラリーをこの方法で
スクリーニングする場合は、適当な大腸菌発現ベクター
を用いなければならない。そのような方法の一つとし
て、適当なベクターは、目的ペプチドの切片(すなわ
ち、チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質の全部また
は一部)を高度発現性の安定な大腸菌タンパク質に融合
させた融合タンパク質の発現に基づいている。たとえ
ば、チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質の全部また
は一部をコードするクローニング配列をβ−ガラクトシ
ダーゼのコード配列に融合させた発現ベクターであるλ
gt11を用いることができる。
【0016】イムノブロット法またはハイブリダイゼー
ション法のいずれかに適した典型的なスクリーニング法
の一つにおいては、cDNAライブラリーをまずアガロ
ースプレート上に広げ、ついで、これらクローンをフィ
ルターメンブラン、たとえばニトロセルロースメンブラ
ンに移す。ついで、これらクローンにDNAプローブを
ハイブリダイズさせるかまたは抗体を結合させて、チロ
シンキナーゼ陰性trkBタンパク質の全部または一部を
コードするcDNAを含有するクローンを同定する。
【0017】本発明のDNA配列は、本発明に従って種
々の仕方で用いることができる。たとえば、本発明のD
NA配列は、他のcDNAをスクリーニングするための
DNAプローブとして、またはチロシンキナーゼ陰性tr
kBに関連するタンパク質をコードする他のDNA配列
をハイブリダイゼーションにより選択するためのゲノム
DNAライブラリーとして用いることができる。
【0018】本発明のDNA配列はまた、種々の変異を
調製するのに用いることもできる。そのような変異は、
縮重しているか(すなわち、変異の結果、変異コドンに
よってアミノ酸配列が変化しない)、または縮重してい
ない(すなわち、変異の結果、変異コドンによってアミ
ノ酸配列が変化する)。本発明のポリペプチドを調製ま
たは使用するに際して両タイプの変異が有利である。た
とえば、これら変異により、高レベルの産生、容易な精
製が可能となり、また別の制限エンドヌクレアーゼ認識
部位が得られる。そのような変異は本発明の範囲に包含
される。
【0019】本発明はさらに、チロシンキナーゼ陰性tr
kBタンパク質の全部または一部をコードするDNA配
列を含有する発現ベクターに関する。これら発現ベクタ
ーは、実質的に図2および図3に示すヌクレオチド配列
を有するDNA配列の全部または一部を含有するのが好
ましい。さらに好ましいのは、チロシンキナーゼ陰性tr
kBタンパク質の全部または一部をコードするDNA配
列に機能的に連結した1または2以上の制御DNA配列
を含有する発現ベクターである。本明細書において「機
能的に連結した」とは、制御DNA配列が、チロシンキ
ナーゼ陰性trkBタンパク質の全部または一部をコード
するDNA配列の複製および/または発現を指令するこ
とができることをいう。
【0020】本発明に利用できる発現ベクターは、しば
しば「プラスミド」の形態にあり、これは、そのベクター
形において染色体に結合していない環状二本鎖DNAル
ープをいう。しかしながら、本発明は、同等の機能を有
し、その後に当該技術分野で知られるようになった他の
形態の発現ベクターも包含する。
【0021】本発明に有用な発現ベクターは、一般に、
複製開始部位、所定DNA配列の前部(すなわち、上流)
に位置するプロモーター、およびそれに続いてチロシン
キナーゼ陰性trkBタンパク質の全部または一部をコー
ドするDNA配列、複製終止配列および残りのベクター
を含んでいる。発現ベクターにはまた、当該技術分野で
知られた他のDNA配列、たとえば、発現産物の安定性
を付与する安定性リーダー配列、発現産物を分泌させる
分泌リーダー配列、構造遺伝子の発現を調節する(たと
えば、生育培地中に栄養物を存在させるまたは存在させ
ないことによって)制御配列、形質転換宿主細胞中での
表現型選択を可能にするマーキング配列、および制限エ
ンドヌクレアーゼによる開裂部位を提供する配列なども
含んでいてよい。
【0022】使用した実際の発現ベクターの特性は、使
用しようとする宿主細胞と適合するものでなければなら
ない。たとえば、哺乳動物の細胞系でクローニングを行
う場合には、発現ベクターは哺乳動物細胞のゲノムから
単離したプロモーター(たとえば、マウスメタロチオネ
インプロモーターなど)、またはこれら哺乳動物細胞中
で生育するウイルスから単離したプロモーター(たとえ
ば、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーターなど)を含
有していなければならない。
【0023】本発明の発現ベクターは、本発明のDNA
配列の複製を少なくとも指令することができなければな
らず、該DNA配列の発現も指令できるのが好ましい。
適当な複製開始部位としては、たとえば、大腸菌ベクタ
ーpBR322の複製開始部位などが挙げられる。適当
なプロモーターとしては、たとえば、トリレトロウイル
ス(たとえば、ラウス肉腫ウイルスなど)または哺乳動物
レトロウイルス(たとえば、モロニー肉腫ウイルスなど)
のLTR、DNAウイルスSV40の初期領域、および
メタロチオネインやチミジンキナーゼなどのある種の細
胞遺伝子のプロモーターなどが挙げられる。
【0024】適当な終止配列としては、たとえば、DN
AウイルスSV40などのポリ(A)配列が挙げられる。
選択マーカーとしては、細菌のneo遺伝子およびgp
t遺伝子が最も適している。一般に、pBR322に由
来するベクター、たとえば、pUC18およびpUC1
9を用いることができる。これらはすべて当該技術分野
で知られており、市販されている。
【0025】特に好ましいのは、下記で記載するpFR
K42と称する発現ベクター(チロシンキナーゼ陰性trk
Bタンパク質をコードするDNA配列を含有する)、ま
たはpFRK42の同定特性を有する発現ベクターであ
る。pFRK42を含有する宿主細胞(大腸菌株DH5)
は、ブダペスト条約の下、アメリカン・タイプ・カルチ
ャー・コレクション(ロックビル、メリーランド)に19
90年4月18日に受託番号68309で寄託してあ
る。
【0026】所望コード配列および制御配列を含有する
適当な発現ベクターは、当該技術分野で知られた標準的
な組換えDNA法[該技術の多くはマニアチス(Maniati
s,T.)らの「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラト
リー・マニュアル(MolecularCloning:A Laboratory Man
ual)」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリ
ー、コールドスプリングハーバー、NY(1982)に記
載されている]を用いて構築することができる。単離し
たプラスミドまたはDNA断片は、開裂し、調整し、再
ライゲートして所望の発現ベクターを形成する。
【0027】プラスミドまたはDNA断片の開裂は、た
とえば、適当な反応条件下で1種または2種以上の制限
酵素で処理することにより行うことができる。適当な制
限酵素は市販されており、その例としては、たとえば、
BalI、EcoRI、BamHIおよびXhoIなど
が挙げられる。適当な緩衝液、基質の量および特定の制
限酵素に対する反応時間および温度などの適当な反応条
件は当該技術分野で知られており、一般に該酵素の製造
業者により指定される。一般に、約1μgのプラスミド
またはDNA断片を約20μlの緩衝液中の約1単位の
酵素とともに用いる。37℃で約1時間のインキュベー
ション時間が一般的である。
【0028】プラスミドまたはDNA断片の調整は、当
該技術分野で知られた種々の方法で行うことができる。
たとえば、平滑末端を有するDNA分子が必要な場合
は、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントを用
いることができる。この酵素は市販されており、適当な
反応条件は当該技術分野で知られており、通常、製造業
者により指定される。DNA調製物を約10単位のクレ
ノウフラグメントで約15℃にて約15分間処理するの
が一般的である。
【0029】プラスミドまたはDNA断片のライゲーシ
ョンもまた、当該技術分野で知られた種々の方法により
行うことができる。たとえば、バクテリオファージT4
からのDNAリガーゼを用いることができる。この酵素
は市販されており、適当な反応条件は当該技術分野で知
られており、通常、製造業者により指定される。一般
に、等モル量の所望のDNA分子を、DNA0.5μg
当たり約10単位のT4DNAリガーゼで処理する。
【0030】本発明はさらに、チロシンキナーゼ陰性tr
kBタンパク質の全部または一部をコードするDNA配
列を含有する発現ベクターを包含する宿主細胞にも関す
る。この宿主細胞は、好ましくは、実質的に図2および
図3に示すヌクレオチド配列を有するDNA配列の全部
または一部を含有する発現ベクターを包含する。さらに
好ましいのは、チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質
の全部または一部をコードするDNA配列の複製および
/または発現を指令することができ、該DNA配列に機
能的に連結した、1種または2種以上の制御DNA配列
を含有する発現ベクターを包含する宿主細胞である。適
当な宿主細胞としては、原核細胞および真核細胞の両方
が含まれる。適当な原核細胞としては、たとえば、大腸
菌細胞が挙げられる。適当な真核細胞としては、たとえ
ば、マウスのBALB3T3細胞およびNIH3T3細
胞、ラットのRAT−2細胞およびRAT−4細胞、ハ
ムスターのCHO細胞、およびヒトのHeLa細胞およ
びHOS細胞などが挙げられる。
【0031】宿主細胞として特に好ましいのは、NIH
3T3細胞などのマウス細胞である。発現ベクターの宿
主細胞中への導入は、当該技術分野で知られた種々の方
法により行うことができる。たとえば、宿主細胞の発現
ベクターでのトランスフェクションは、リン酸カルシウ
ム沈殿法により行うことができる。しかしながら、宿主
細胞中へ発現ベクターを導入するための他の方法、たと
えば、エレクトロポレーション、核注入法またはプロト
プラスト融合法などを用いることもできる。
【0032】発現ベクターが適当な宿主細胞中に導入さ
れたら、所望のポリペプチド(本発明の場合はチロシン
キナーゼ陰性trkBタンパク質の全部または一部を含有
するポリペプチド分子)の大量の発現が可能な条件下で
宿主細胞を培養する。そのようなポリペプチドは、チロ
シンキナーゼ陰性trkBタンパク質の特性、たとえば悪
性トランスフォーメーションに果す役割などの研究に有
用である。
【0033】チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質の
全部または一部をコードするDNA配列を有する発現ベ
クターを含有する宿主細胞は、下記4つの一般的方法の
1または2以上により同定することができる。(a)DN
A−DNAハイブリダイゼーション;(b)マーカー遺伝
子機能の存在または不在;(c)宿主細胞中のチロシンキ
ナーゼ陰性trkB mRNA転写物の産生により測定され
る転写レベルの評価;および(d)免疫学的な遺伝子産物
の検出。
【0034】上記第一の方法では、チロシンキナーゼ陰
性trkBタンパク質の全部または一部をコードするDN
A配列の存在は、該DNA配列に相補的なプローブを用
いたDNA−DNAハイブリダイゼーションにより検出
することができる。
【0035】上記第二の方法では、組換え発現ベクター
宿主系は、ある種のマーカー遺伝子機能(たとえば、チ
ミジンキナーゼ活性、抗生物質耐性など)の存在または
不在に基づいて同定および選択することができる。マー
カー遺伝子は、チロシンキナーゼ陰性trkBコード配列
を制御するのに使用したプロモーターと同じまたは異な
るプロモーターの制御下に、チロシンキナーゼ陰性trk
Bタンパク質の全部または一部をコードするDNA配列
と同じプラスミド中に置くことができる。誘導または選
択に応答してマーカー遺伝子が発現されれば、チロシン
キナーゼ陰性trkBタンパク質の全部または一部をコー
ドするDNA配列が発現されたことを示している。
【0036】第三の方法では、チロシンキナーゼ陰性tr
kB mRNA転写物の産生は、ハイブリダイゼーション
アッセイにより評価することができる。たとえば、該R
NA配列に相補的なプローブを用いたノーザンブロッテ
ィング法によりポリアデニル化RNAを単離分析するこ
とができる。別法として、全核酸を宿主細胞から抽出
し、そのようなプローブに対するハイブリダイゼーショ
ンについてアッセイすることもできる。
【0037】第四の方法では、チロシンキナーゼ陰性tr
kBタンパク質の全部または一部の発現は、たとえばウ
エスタンブロッティング法により免疫学的に評価するこ
とができる。本発明の発現ベクター、プラスミドまたは
DNA分子のDNA配列は、当該技術分野で知られた種
々の方法により決定することができる。たとえば、サン
ガー(Sanger)らのProc.Natl.Acad.Sci.USA74、546
3〜5467(1977)に記載されたチェインターミネ
ーター法、またはProc.Natl.Acad.Sci.USA74、560
〜564(1977)に記載されたマクサム−ギルバート
法などを用いることができる。
【0038】もちろん、すべての発現ベクターおよびD
NA制御配列が本発明のDNA配列を同じように首尾よ
く発現できるわけではないことを理解すべきである。宿
主細胞についても、すべての宿主細胞が同じ発現系に対
して同じように首尾よく機能するわけではない。しかし
ながら、当業者であれば、不当な実験を行うことなく、
また本発明の範囲から離れることなく、発現ベクター、
DNA制御配列および宿主細胞を選択することができる
であろう。
【0039】本発明はまた、チロシンキナーゼ陰性trk
Bタンパク質の全部または一部をコードする核酸配列の
検出法にも関し、該方法は、該核酸配列の少なくとも一
部に特異的に結合する検出可能なマーカーに該核酸配列
を接触させ、ついで、かくして結合したマーカーを検出
することを特徴とする。結合マーカーの存在は目的核酸
配列の存在を示す。
【0040】好ましくは、目的核酸配列は、実質的に図
2および図3に示すヌクレオチド配列の全部または一部
を有するDNA配列である。また、該DNA配列がゲノ
ムDNA配列である方法が好ましい。該DNA配列を含
有するDNA試料は、当業者によく知られた種々のDN
A単離法を用いて単離することができる。たとえば、組
織からゲノムDNA試料を単離するには、該DNAを単
離しようとする組織を迅速に凍結乾燥し、この組織を破
砕して容易に消化可能な小片とし、破砕した組織をプロ
テイナーゼKとドデシル硫酸ナトリウムの溶液中に入
れ、ついで殆どの細胞タンパク質が変性するまで、得ら
れた溶液をインキュベートする。ついで、この消化物を
フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで連
続抽出することにより脱タンパクし、エタノール沈殿に
より回収し、ついで乾燥し緩衝液中に再懸濁する。
【0041】核酸配列がRNA配列である方法も好まし
い。好ましくは、RNA配列はmRNA配列である。R
NA配列が組織試料の細胞中に位置している方法もまた
好ましい。該RNA配列を含有するRNA試料は、当業
者によく知られた種々のRNA単離法を用いて単離する
ことができる。たとえば、培養細胞からRNA試料を単
離するには、培地を含まない細胞を洗浄し、ついで該細
胞を4Mグアニジニウム溶液中に入れて溶解する。この
溶解液を20ゲージの針で吸い取ることにより、得られ
た溶液の粘度を下げる。CsCl2段階密度勾配により
RNAをペレット化し、この密度勾配から上澄み液を注
意深く除き、DNAおよびタンパク質による汚染から目
的RNA(ペレット中に含まれる)を完全に分離させる。
【0042】チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質の
全部または一部をコードする核酸配列を検出するのに有
用な検出可能なマーカーとしてはチロシンキナーゼ陰性
trkBタンパク質の全部または一部をコードするDNA
配列の少なくとも一部に相補的なヌクレオチド配列を有
する標識DNA配列(標識cDNA配列を含む)が挙げら
れる。
【0043】上記検出可能なマーカーはまた、チロシン
キナーゼ陰性trkBタンパク質の全部または一部をコー
ドするDNA配列の少なくとも一部に相補的なヌクレオ
チド配列を有する標識センスRNA配列または標識アン
チセンスRNA配列であってよい。
【0044】本発明の検出可能なマーカーは、32Pや35
Sなどの一般に用いられる放射性標識で標識してあって
よいが、ビオチンなどの他の標識を用いることもでき
る。これら検出可能なマーカーを標識するため、当業者
によく知られた種々の方法を用いることができる。たと
えば、DNA配列およびRNA配列は、ランダムプライ
マー法を用い32Pまたは35Sで標識することができる。
【0045】適当な検出可能なマーカーが得られたら、
当業者によく知られた種々の方法を用いて検出可能なマ
ーカーを目的試料に接触させることができる。たとえ
ば、当該技術分野で知られた標準的な方法を用いてDN
A−DNAハイブリダイゼーション、RNA−RNAハ
イブリダイゼーションおよびDNA−RNAハイブリダ
イゼーションを行うことができる。チロシンキナーゼ陰
性trkBタンパク質の全部または一部をコードするDN
A配列をゲノムDNA中に検出するための典型的なDN
A−DNAハイブリダイゼーション法においては、まず
ゲノムDNAを公知方法を用いて単離し、ついで1種ま
たは2種以上の制限酵素で消化する。得られたDNA断
片をアガロースゲル上で分離し、その場で変性させる。
プレハイブリダイゼーションを行って非特異的なハイブ
リダイゼーションを減少させた後、上記固定化DNA断
片に放射性標識核酸プローブをハイブリダイズさせる。
ついで、フィルターを洗浄して未結合または弱く結合し
たプローブを除去し、ついでオートラジオグラフィーに
かけて該プローブとハイブリダイズしたDNA断片を同
定する。
【0046】結合した検出可能なマーカーの存在は、当
業者によく知られた種々の方法を用いて検出することが
できる。たとえば、検出可能なマーカーが放射性標識さ
れている場合はオートラジオグラフィーを用いることが
できる。使用した標識に応じて、分光測定法などの他の
検出法を用いることもできる。
【0047】本発明はさらに、チロシンキナーゼ陰性tr
kBタンパク質の全部または一部を含むポリペプチド分
子に関し、該ポリペプチド分子は実質的に図2および図
3に示すアミノ酸配列の全部または一部を有するのが好
ましい。さらに好ましいのは、実質的に図2および図3
に示すアミノ酸の全部または一部に対する相同性が少な
くとも90%であるアミノ酸配列を有するポリペプチド
である。糖付加されたチロシンキナーゼ陰性trkBタン
パク質の全部または一部を含むポリペプチド分子もまた
好ましい。
【0048】本明細書において同定されるアミノ酸は、
ずべて天然のL体である。標準的なポリペプチド命名法
[J.Biol.Chem.243、3557〜3559(1969)]
に従い、アミノ酸の略語は下記対応表に示す通りであ
る。
【0049】
【0050】
【0051】本明細書中のアミノ酸配列は、すべて左か
ら右への方向が通常のアミノ末端からカルボキシル末端
への方向である式によって示してある。
【0052】本発明のポリペプチドは、当業者に知られ
た方法により、合成手段、すなわちその成分アミノ酸か
らの化学合成により得ることができる。たとえば、ヒュ
ートン(Houghton)らのProc.Natl.Acad.Sci.82、51
35(1985)に記載された固相法を用いることができ
る。チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質の全部また
は一部をコードするDNA配列を発現する原核または真
核宿主細胞中で産生させるか、またはチロシンキナーゼ
陰性trkBタンパク質の全部または一部をコードするD
NA配列によりコードされるmRNAをインビトロ翻訳
することによりポリペプチドを得るのが好ましい。
【0053】たとえば、図2および図3に示すDNA配
列を化学的に合成し、適当な発現ベクター中に挿入し、
今度は該発現ベクターを用いて適当な宿主細胞を形質転
換することができる。ついで、得られた組換え体宿主細
胞を培養してチロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質を
産生させることができる。これら手段によるポリペプチ
ドの製造法は当該技術分野で知られており、本明細書中
に記載する。
【0054】上記で得られたポリペプチドは、種々のタ
ンパク質精製法を用い、ある程度まで単離精製すること
ができる。たとえば、イオン交換クロマトグラフィー、
ゲル濾過クロマトグラフィーおよびイムノアフィニティ
ークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー法を用
いることができる。
【0055】本発明のポリペプチドは、広範囲の種々の
用途に使用することができる。たとえば、本発明のポリ
ペプチドは、該ポリペプチドに結合するポリクローナル
抗体またはモノクローナル抗体を公知方法で調製するの
に用いることができる。これら抗体は、今度は、イムノ
アッセイ法、たとえばラジオイムノアッセイ法や酵素イ
ムノアッセイを用い、試料(たとえば、細胞試料や組織
試料など)中の本発明のポリペプチドを検出するのに用
いることができる。これら抗体はまた、本発明のポリペ
プチドを精製するためのアフィニティークロマトグラフ
ィーに使用し、種々の採取源から単離することができ
る。
【0056】本発明のポリペプチドは、決定されたDN
A配列およびそれから導き出されたアミノ酸配列により
定められる。遺伝コードの縮重のため、図2および図3
に示した同じアミノ酸配列をコードする他のDNA配列
を用いて本発明のポリペプチドを製造することもでき
る。加えて、これらDNA配列およびアミノ酸配列の対
立遺伝子変異が天然に存在し、また当該技術分野で知ら
れた方法を用いて意図的に導入することができることも
理解すべきである。これら変異は、全配列中の1または
2以上のアミノ酸の相違により、すなわち該配列中の1
または2以上のアミノ酸の欠失、置換、挿入、逆位また
は付加により示される。そのようなアミノ酸置換は、た
とえば、関与する残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、
親水性および/または両親媒性などの類似性に基づいて
起こる。
【0057】たとえば、負に荷電したアミノ酸としては
アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられ、正に荷
電したアミノ酸としてはリジンおよびアルギニンが挙げ
られ、親水性値が類似の非電荷の極性ヘッド基または非
極性ヘッド基を有するアミノ酸としては以下のものが挙
げられる;ロイシン、イソロイシン、バリン;グリシ
ン、アラニン;アスパラギン、グルタミン;セリン、ス
レオニン;フェニルアラニン、チロシン。
【0058】他の態様としては、上記ポリペプチドの塩
およびエステル、並びに上記ポリペプチドの前駆体、た
とえばメチオニン、N−ホルミルメチオニンおよびリー
ダー配列などのN−末端置換を有する前駆体が挙げられ
る。そのような態様はすべて本発明の範囲に含まれる。
【0059】つぎに実施例に基づいて本発明をさらに詳
しく説明するが、本発明はこれらに限られるものではな
い。実施例1 チロシンキナーゼ陰性trkB cDNAクローンの単離:
チロシンキナーゼ陰性trkB cDNAクローンの単離
は、成体マウスの脳cDNAライブラリー[シトリ(Citr
i,Y.)ら、Nature326、42〜47(1987)]を、tr
kB遺伝子の細胞外領域の部分に対応するチロシンプロ
テインキナーゼ陽性trkB cDNAクローンからゲル電
気泳動により精製した207bp DNA断片[クライン
(Klein,R.)らのEMBO J.、3701〜3709(198
9)に記載されたtrkB cDNAクローンであるpFR
K43のヌクレオチド1181〜1387]とハイブリ
ダイズさせることにより行った。ハイブリダイゼーショ
ンは、クラインらのEMBO J.、3701〜3709(1
989)に記載の方法に従って行った。
【0060】8つの組換えファージの5'末端および3'
末端のヌクレオチド配列を分析したところ、これらのう
ちの4つのファージの3'末端にはpFRK43とは関
係のない配列が含まれていることがわかった。これら新
規なcDNAクローンのうち最も長いもの(2.5kb
p)を、マニアチスらの上記文献に記載された標準法に
従いpBluescript[ストラタジーン、ラジョラ(La Joll
a)、CA]中にサブクローニングした。
【0061】簡単に説明すると、この組換えファージD
NA(600ng)を制限エンドヌクレアーゼEcoRI
(60単位;ベーリンガー・マンハイム、インディアナ
ポリス、IN)で37℃にて2時間消化した。2.5kb
のEcoRI cDNA断片を、臭化エチジウム(0.5
μg/ml)を含有する1%アガロースゲルでの電気泳
動によりファージDNAから分離した。この2.5kb
EcoRI cDNA断片を含むアガロースブロックを
ゲルから切り出し、このcDNAを透析管内での電気泳
動によりアガロースから電気溶離した(electroelute
d)。このcDNA断片を透析管からピペットで移し、
「エルチップ(elutip)」カラムを通して清浄にし、エタノ
ール沈殿し、トリス/EDTA緩衝液中に再懸濁した。
種々のモル比のcDNA断片およびEcoRI線状化pB
luescript KS M13−プラスミドDNA(ストラタジ
ーン)をT4DNAリガーゼ(ベセスダ・リサーチ・ラブ
ズ、ガイセルスバーグ、MD)の存在下、15℃で20
時間インキュベートすることにより幾つかのライゲーシ
ョン反応を行った。
【0062】ついで、得られたプラスミド(pFRK4
2と称する)をコーエン(Cohen,S.N.)らのProc.Natl.Aca
d.Sci.USA69、2110(1972)に記載の方法に従
ってコンピテント大腸菌(菌株DH5)細胞を形質転換す
るのに用いた。ついで、形質転換細胞をアンピシリンコ
ーティングアガープレート上にプレーティングした。組
換えDH5細胞から「ミニプレプ(Miniprep)」DNAを調
製し、EcoRI制限分析に供した。アガロース電気泳
動後に上記2.5kb cDNAの存在により視覚化され
るpFRK42を含有する陽性DH5細胞を、大スケー
ルのプラスミドDNAを調製するため1リットルの液体
培地中で成育させた。二本鎖DNA、合成オリゴヌクレ
オチドおよび修飾T7DNAポリメラーゼ[シークエナ
ーゼ(Sequenase)、ユナイテッド・ステイツ・バイオケ
ミカルズ、クリーブランド、OH]を用い、チェインタ
ーミネーター法(サンガーら、上記文献参照)によりpF
RK42を完全なヌクレオチド配列分析に供した。
【0063】図2および図3に示すように、このcDN
Aクローンは2489bpからなり、そのうちヌクレオ
チド1〜1394はpFRK43に存在するものと同一
である。これら配列は、gp145trkB(pFRK43
チロシンキナーゼ陽性cDNAクローンによりコードさ
れるタンパク質に糖付加した形態のもの)の推定シグナ
ルペプチド(ヌクレオチド1〜93)、細胞外ドメイン
(ヌクレオチド94〜1287)、経膜領域(ヌクレオチ
ド1288〜1359)および細胞質ドメインの最初の
12のアミノ酸残基に対応する。
【0064】pFRK42とpFRK43 cDNAク
ローン間の相同性は、ヌクレオチド1395(pFRK
43中のヌクレオチド1906)で突然に終了する。p
FRK42の独特の配列は、pFRK43との相違の開
始点からちょうど33ヌクレオチド下流にあるインフレ
ームの終止コドン(TAG)を示す。残りのヌクレオチド
(1432〜2484位)は、3'非コード配列を示す。
これらの配列には、3つの推定ポリアデニル化シグナル
(ヌクレオチド1815〜1821、2413〜241
8および2445〜2451)、および基本となるTC
TATCTA配列が何度も繰り返し現れる約200bp
のストリーク(streak)が含まれる。
【0065】これらの結果は、pFRK42が476ア
ミノ酸の長さのポリペプチド(分子質量53,185ダル
トン)のみをコードし得ることを示している。この推定
ポリペプチドの1〜465残基はgp145trkBのもの
と同一である。これらの残基は、全細胞外ドメインおよ
び経膜ドメインを包含している。しかしながら、pFR
K42の産物は23残基の短い細胞質ドメインを有して
おり、そのうち少なくとも11残基がこの分子に独特な
ものである。それゆえ、pFRK42の予測される産物
には、gp145trkB中に存在するチロシンプロテイン
キナーゼ触媒ドメインが欠けている。
【0066】実施例2 成体マウス組織中のtrkB転写物のノーザンブロッティ
ング分析:チロシンキナーゼ陰性pFRK42 cDN
AクローンがtrkB転写物の忠実なコピーであるかどう
かを決定するため、ポリA含有RNAを脳、肝臓および
肺組織から単離し、このクローンの特異的領域に対応す
る短い(250bp〜370bp)DNA断片をプローブ
として用いたノーザンブロッティングに供した。
【0067】RNAの単離およびノーザンブロッティン
グ分析は、マニアチスらの上記文献の記載に従って行っ
た。プローブは、複製連鎖反応(PCR)法を用い、pF
RK42またはpFRK43 cDNA配列の増幅によ
り得た。各PCR反応混合物(100μl)は、50mM
KCl、10mMトリス(pH8.3)、1.5mM Mg
Cl2および0.1%ゼラチン(w/v)中に鋳型DNA、
各200μMのATP、CTP、GTPおよびTTP、
センスおよびアンチセンスアンプリマー(amplimers)お
よびTaq DNAポリメラーゼ(2.5単位)を含んでい
た。
【0068】プローブAについては、使用した鋳型はp
FRK43DNA(2ng)であり、使用したセンスアン
プリマーは5'−CCGCTAGGATCCGGTGT
ACTGAGCCTTCTC−3'の配列を有する#P
010−1(3μM)であり、使用したアンチセンスアン
プリマーは5'−CCTGGAGGATCCTGAGC
CACATGATGTCGC−3'の配列を有する#P
011−1(3μM)であった。
【0069】プローブEについては、使用した鋳型はp
FRK42DNA(2mg)であり、使用したセンスアン
プリマーは5'−GCTGGATCCGTGGTGCT
TGTTGCCTG−3'の配列を有する#P004−
0(3μM)であり、使用したアンチセンスアンプリマー
は5'−TCACTTGGATCCTATATTTGA
ACTATTGTA−3'の配列を有する#P005−
1(3μM)であった。
【0070】プローブKについては、使用した鋳型はp
FRK42DNA(2ng)であり、使用したセンスアン
プリマーは5'−GTCATAGCTAAGCTTAA
GTGCACACTAAAAGTC−3'の配列を有す
る#P033−0(3μM)であり、使用したアンチセン
スアンプリマーは5'−GGACAGGATCCTAA
TTCCCTATATGCATATAC−3'の配列を
有する#P034−0(3μM)であった。
【0071】プローブDについては、使用した鋳型はp
FRK43DNA(5ng)であり、使用したセンスアン
プリマーは5'−CTGGGATCCGCTATCGA
ACAATGAGG−3'の配列を有する#P003−
1(4.5μM)であり、使用したアンチセンスアンプリ
マーは5'−AAGGGATCCGTCGTGTAGG
CCAGTCTG−3'の配列を有する#P002−0
(4.5μM)であった。
【0072】プローブHについては、使用した鋳型はp
FRK43DNA(2ng)であり、使用したセンスアン
プリマーは5'−CACATTGGATCCGCACA
TCAAGAGACACAA−3'の配列を有する#P
014−2(3μM)であり、使用したアンチセンスアン
プリマーは5'−GGTCGGGATCCACACAG
ACACCGTAGAACT−3'の配列を有する#P
015−1(3μM)であった。
【0073】プローブGについては、使用した鋳型はp
FRK43DNA(1ng)であり、使用したセンスアン
プリマーは5'−TGAGGATCCCACCGATA
TCGATATTCGTGCC−3'の配列を有する#
P008−1(3μM)であり、使用したアンチセンスア
ンプリマーは5'−GCTGCCGGATCCAGTC
AGTCGGAGTGCGTG−3'の配列を有する#
P009−0(3μM)であった。
【0074】ついで、下記熱サイクルプログラムを用い
て複製連鎖反応を行った。 セグメント1:試料を94℃に30秒間以上加熱する。 セグメント2:試料を94℃で1分間インキュベートす
る。 セグメント3:試料を45℃に1分間以上冷却する。 セグメント4:試料を45℃で2分間インキュベートす
る。 セグメント5:試料を72℃に30秒間以上加熱する。 セグメント6:試料を72℃で5分間インキュベートす
る。
【0075】セグメント1〜6からなる上記熱サイクル
を、各サイクルの後でセグメント6を自動的に10秒間
延ばしながら25回繰り返した。25のすべてのサイク
ルを終了した後、試料を72℃でさらに7分間インキュ
ベートし、ついでさらに分析するため4℃で保存した。
増幅させたDNAを標準的な分子生物学的方法(マニア
チスらの上記文献参照)に従い、アガロースゲル電気泳
動により分析し、ゲル精製し、フェノール/クロロホル
ム抽出し、エタノール沈殿させた。
【0076】32P−標識αdCTP(デュポン、ウイル
ミントン、DE)の存在下で「ニック」トランスレーショ
ンキット(アマーシャム、アーリントンハイツ、IL)を
用い、各DNA(100ng)を標識した。組み込まれな
かったヌクレオチドは、「エルチップ」カラム(シュライ
ヒャー&シュエル)を用いたアフィニティークロマトグ
ラフィーによりプローブから分離した。ハイブリダイゼ
ーションは、高ストリンジェンシー(stringency)条件
(5×SSC[SSC=35.06g/l NaCl、1
7.65g/l クエン酸ナトリウム、pH7.0]、50
%ホルムアミド、1×デンハルト溶液および10%デキ
ストランサルフェート中、42℃)下で48時間行っ
た。ハイブリダイズしたフィルターを60℃にて30分
間、2×SSC、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SD
S)(3回)中および0.1×SSC、0.1%SDS(1
回)中で洗浄し、増感スクリーンの助けを借りてコダッ
クX−OMATフィルムに1〜4日間暴露した。各レー
ンに負荷したRNAの量は、[32P]標識したβ−アクチ
ンプローブへのハイブリダイゼーションにより制御し
た。
【0077】図4に示すように、trkB産物の細胞外ド
メインのアミノ末端をコードする配列に対応するDNA
断片(ヌクレオチド119〜490)であるプローブA
は、9.0kb、8.2kb、8.0kb、5.5kb、
2.5kbおよび2.0kbという少なくとも6つの別個
の脳mRNAを認識した。これら転写物のうちの4つ
(8.2kb、8.0kb、2.5kbおよび2.0kbの
転写物を含む)はまた、低レベルではあるが肺組織にお
いても認められた。肝臓組織ではtrkB発現は認められ
なかった。
【0078】上記各転写物は、gp145trkBコード配
列のほとんどを含有するpFRK43由来cDNAプロ
ーブを用いて以前に同定されている。対照的に、同じR
NAブロットをプローブE(チロシンキナーゼ陰性pF
RK42cDNA(ヌクレオチド1454〜1711)に
特異的な配列に由来するDNA断片)とハイブリダイズ
させた場合には、8.2kb、8.0kb、2.5kbお
よび2.0kbのtrkB転写物を同定することができた。
繰り返しモチーフ領域から下流に位置するpFRK42
特異的配列(ヌクレオチド2119〜2460)に由来す
る第二のDNA断片(プローブK)では、長い8.2kb
および8.0kbの転写物のみが認識された。
【0079】これらの観察結果は、pFRK42 cD
NAクローンがこれら2つの転写物の一つに由来してい
ること、および1815〜1821(図2および図3参
照)位に位置するAATTAAA配列が、短いチロシン
キナーゼ陰性2.5kbおよび2.0kb転写物を生成す
るのに利用されるポリアデニル化シグナルとして働くこ
とを示唆している。
【0080】どのtrkB転写物がチロシンプロテインキ
ナーゼ触媒ドメイン(チロシンキナーゼ陽性転写物)をコ
ードする配列を含有しているかを決定するため、さらに
2つのプローブ、すなわちプローブH(pFRK43中
のヌクレオチド2089〜2343)およびプローブD
(pFRK43中のヌクレオチド2767〜3057)を
上記PCR法により調製した。図4に示すように、これ
らpFRK43特異的プローブの両方とも9.0kbお
よび5.5kb転写物(pFRK42特異的なEプローブ
にハイブリダイズしなかった2つのmRNA種)を有効
に認識した。これらチロシンキナーゼ特異的プローブ
(HおよびD)の両方とも、pFRK42に由来するプロ
ーブEおよびKにハイブリダイズした4つのチロシンキ
ナーゼ陰性転写物を認識することはできなかった。
【0081】これらの結果は、trkB遺伝子座が2つの
クラスの転写物をコードし得ることを示している。その
うちの一つは古典的なチロシンプロテインキナーゼ細胞
表面レセプターであるgp145trkBをコードし、他の
一つは細胞質領域(チロシンキナーゼ触媒ドメインを含
む)の殆どを欠いた関連分子の合成を指令している。
【0082】これらtrkB mRNAをpFRK43中に
存在する5'非コード配列に由来するプローブ(プローブ
G、pFRK43のヌクレオチド171〜506)を用
いてノーザンブロッティング分析したところ、チロシン
キナーゼ陰性trkB転写物における多様性がさらに明ら
かにされた。図4に示すように、プローブGはチロシン
キナーゼ陽性の9.0kbおよび5.5kb転写物並びに
チロシンキナーゼ陽性の8.2kbおよび2.5kb m
RNAを認識した。しかしながら、8.0kbおよび2.
0kbのチロシンキナーゼ陰性mRNAはこのプローブ
にはハイブリダイズしなかった(図4参照)。
【0083】これらの結果から、異なるアミノ末端配列
を有する第三のタイプのレセプター様分子もまたtrkB
遺伝子座によりコードされている可能性が提起される。
別の考え方として、異なるプロモーターが、単一タンパ
ク質欠失チロシンプロテインキナーゼ配列の発現を指令
しているのかもしれない(図4参照)。
【0084】実施例3 チロシンキナーゼ陰性cDNAクローンによりコードさ
れた産物の同定:これらチロシンキナーゼ陰性trkB転
写物によりコードされる産物を同定するため、MSV
(モロニー肉腫ウイルス)LTR制御配列とSV40のポ
リアデニル化シグナルによりフランキングされたマルチ
プルクローニング部位を含む哺乳動物発現ベクターであ
るpMEXneo中にpFRK42 cDNAをサブク
ローニングした[マーチン−ザンカら、Mol.Cell.Biol.
:24〜33(1989)]。加えて、pMEXneo
は、SV40初期プロモーターにより駆動される細菌n
eo遺伝子(抗生物質のネオマイシンに対する耐性を生
じさせる)を含んでいる。得られたプラスミドpFRK
47を用いてNIH3T3をトランスフェクションし、
得られたG418耐性コロニー免疫沈降分析に供した。
【0085】NIH3T3細胞のトランスフェクショ
ン、G418耐性コロニーの選択、代謝標識、免疫沈
降、およびSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)分析は、マーチン
−ザンカらのMol.Cell.Biol.、24〜33(1989)
の記載に従って行った。増感スクリーンの助けを借り、
ゲルをコダックX−OMATフィルムに3日間に暴露し
た。ウエスタンブロッティング分析[ハーロウ(Harlow,
E.)ら、アンチボディーズ:ア・ラボラトリー・マニュ
アル(Antibodies:A Laboratory Manual)、コールド・ス
プリング・ハーバー・ラボラトリー、コールドスプリン
グハーバー、NY(1988)参照]のため、SDS−P
AGEにかける前に粗製の脳抽出物からtrkB特異的タ
ンパク質を免疫沈降させ、ニトロセルロースフィルター
上にブロッティングし、再びそれぞれの抗血清を用いて
インキュベートし、125I−プロテインA(5.6μCi
/μg;トリス緩衝食塩水10ml当たり5μCi)お
よびコダックX−OMATフィルム(6時間)を用いて視
覚化した。
【0086】ウエスタンブロッティングは以下のように
して行った。脳1gを1%トリトンX−100、0.1
%ドデシル硫酸ナトリウム、50μM NaPO4(pH
7.0)、0.5%デオキシコール酸ナトリウムおよびプ
ロテアーゼインヒビターアプロチニンおよびフェニルメ
チルスルホニルフルオリドを含有する免疫沈降溶解緩衝
液(7.5ml)中でホモジナイズすることにより、成体
Balb/cマウス脳抽出物を調製した。この溶解液を
3000rpm、4℃で15分間遠心分離にかけ、つい
で20,000rpm、4℃で45分間高スピード遠心
分離にかけることにより有機堆積物から清澄化した。こ
の上澄み液(500μl)を、チロシンキナーゼ陽性gp
145trkBのチロシンキナーゼドメインかまたはチロシ
ンキナーゼ陰性gp145trkB(pFRK42チロシン
キナーゼ陰性cDNAクローンによりコードされるタン
パク質に糖付加した形態のもの)のカルボキシ末端アミ
ノ酸残基のいずれかを認識する抗血清(10μl)ととも
に0℃で一夜インキュベートした。
【0087】抗原抗体複合体をプロテインA−セファロ
ースビーズにより沈殿させ、溶解緩衝液(プロテアーゼ
インヒビターを含まない)で3回洗浄し、免疫沈降した
タンパク質を8%スラブゲルを用いたSDS−PAGE
により分離した。ついで、半乾燥ウエスタンブロッティ
ング装置[アメリカン・バイオメトリックス(American B
iometrics,Inc.)ヘイウオード、CA]を用い、タンパク
質をニトロセルロース紙上にブロッティングした。ニト
ロセルロースをtrkB特異的抗血清とインキュベートす
る前に、5%ウシ血清アルブミンおよび1%卵アルブミ
ン(チロシンキナーゼ陽性−特異的抗血清の場合)かまた
は0.2%ツイーン20(チロシンキナーゼ陰性−特異的
抗血清の場合)のいずれかを含有するトリス緩衝食塩水
(TBS)中でニトロセルロースをインキュベートするこ
とにより特異的結合部位をブロッキングした(試薬はす
べてシグマ・ケミカル、セントルイス、MOより入
手)。
【0088】ニトロセルロースをTBS中で10分間、
4回洗浄し、ついでブロッキング溶液中の125−標識プ
ロテインA(デュポン社製)(5.6μCi/μg;TBS
10ml当たり5μCi)とともに室温にて60分間イ
ンキュベートし、再びTBS中で4回洗浄した。ニトロ
セルロースを乾燥し、コダックX−OMATフィルムに
6時間暴露した。
【0089】図5に示すように、pFRK42によりコ
ードされると予測されたポリペプチドのカルボキシ末端
に位置する13のアミノ酸残基(464〜476位)に対
して向けられた抗体は、見かけの分子量が95,000
ダルトンの糖タンパク質(gp95trkB)を特異的に認識
した。この分子のポリペプチド骨格は、ツニカマイシン
処理細胞の免疫沈降により決定されるように57,00
0ダルトンであった。このポリペプチドのサイズは、p
FRK42産物の導き出されたアミノ酸配列から予測さ
れる分子質量(53,185ダルトン)とよく対応する。
【0090】この抗血清は、チロシンキナーゼ陽性gp
145trkB分子を認識することができなかった。同様
に、gp145trkBのカルボキシ末端ドメインに対して
産生された抗血清または全gp145trkBチロシンキナ
ーゼドメインを包含する細菌により合成されたポリペプ
チド(残基547〜821)に対して産生された抗血清
は、チロシンキナーゼ陰性gp95trkB糖タンパク質を
沈殿させなかった。
【0091】つぎに、チロシンキナーゼ陽性gp145
trkBおよびチロシンキナーゼ陰性gp95trkBの両分子
の脳組織中の存在をウエスタンブロッティング分析によ
り調べた。gp145trkBは、細菌により合成されたtr
kBチロシンプロテインキナーゼドメインに対して産生
された抗血清により認識された。同様に、チロシンキナ
ーゼ陰性gp95trkB分子は、その13アミノ酸カルボ
キシ末端ドメインに対して産生された抗血清を用いて脳
組織中に同定することができた。
【0092】これらの結果は、trkB遺伝子座が2つの
異なる神経性の糖タンパク質をコードしており、これら
糖タンパク質はそれらの導き出されたアミノ酸配列に基
づいて同一の細胞外および経膜ドメインを有しているが
チロシンプロテインキナーゼ触媒領域が存在しているか
(gp145trkB)存在していないか(gp95trkB)が異
なっているだけであることを示している。脳中で検出さ
れたチロシンキナーゼ陰性gp95trkBタンパク質は、
NIH3T3細胞中で発現された同タンパク質よりもS
DS−PAGE中でわずかに速く移動した。この観察
は、生理環境中でのgp95trkBの糖付加は繊維芽細胞
中における糖付加とは異なっていることを示唆してい
る。
【0093】実施例4 インシチュハイブリダイゼーション:つぎに、成体マウ
ス脳におけるtrkBレセプターの発現を調べた。この目
的のため、4週齢マウスの一連の冠状縫合切片のインシ
チュハイブリダイゼーション分析を下記の3つの独立の
プローブを用いて行った。(i)チロシンキナーゼ陽性m
RNAおよびチロシンキナーゼ陰性mRNAの両方に存
在するpFRK42のヌクレオチド670〜1152か
らなるすべてのtrkB転写物(チロシンキナーゼ陽性およ
びチロシンキナーゼ陰性の両方)を同定するtrkB panプ
ローブ、(ii)チロシンキナーゼ陽性mRNA特異的プロ
ーブ(pFRK43のヌクレオチド2767〜3057)
および(iii)チロシンキナーゼ陰性mRNA特異的プロ
ーブ(pFRK42のヌクレオチド1454〜171
1)。これらプローブは、上記PCR法により調製し
た。
【0094】インシチュハイブリダイゼーションは、本
質的にホーガン(Hogan,B.L.M.)らのマニピュレイティン
グ・ザ・マウス・エンブリオ(Manipulating the Mouse
Embryo)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラト
リー、コールドスプリングハーバー、NY(1986)に
記載の方法に、クラインらのEMBO J.、3701〜3
709(1989)に記載の変法を加味して行った。
【0095】プローブDおよびプローブEを実施例2に
記載と同様にして得た。これらcDNA断片を、マニア
チスらの上記文献の記載に従ってpGEM−3Zベクタ
ー[プロメガ(Promega)、メジソン、WI]中にサブクロ
ーニングした。簡単に説明すると、上記cDNAを制限
エンドヌクレアーゼBamHIで消化し、BamHIで
線状にしたベクタープラスミドとライゲートした。DH
5細胞の形質転換、ミニプレプDNAの分析および大ス
ケールのプラスミドDNAの調製は、実施例1と同様の
方法で行った。ヌクレオチド配列の決定は、T7プライ
マーおよび修飾T7DNAポリメラーゼ(ユナイテッド
・ステイツ・バイオケミカルズ)を用い、実施例1と同
様にして行った。[35S]標識一本鎖アンチセンスcRN
Aプローブを合成するため、すべてのプラスミドをHi
ndIII消化により線状にし、T7RNAポリメラー
ゼを用いてインビトロ転写した。
【0096】図6aは脳の切片であり、錐体細胞層およ
び歯状回を含む海馬のアンモン角を示している。この切
片をtrkB panプローブにハイブリダイズさせたとき、
錐体細胞層および歯状回を形成するニューロンの密充填
細胞体はtrkB転写物の高い発現を示した(図6b)。こ
れら転写物の性質を確認するため、隣接切片をチロシン
キナーゼ陽性mRNA特異的プローブおよびチロシンキ
ナーゼ陰性mRNA特異的プローブとハイブリダイズさ
せた。図6cおよびdに示すように、チロシンキナーゼ
陽性プローブのみが、成体マウスの脳のこの特定切片に
おいて特異的trkB転写物を認識することができた。
【0097】海馬に加えて、trkB panプローブはまた
側脳室および第三脳室の脈絡膜そうにもハイブリダイズ
した。これらの切片にチロシンキナーゼ陽性mRNA特
異的プローブがハイブリダイズしたとき、発現は観察さ
れなかった(図7bおよびf参照)。これとは対照的に、
チロシンキナーゼ陰性プローブは強い陽性シグナルを示
した(図7dおよびh参照)。興味深いことに、脳室の輪
郭を描く組織(上衣)は検出可能なレベルのtrkB転写物
を発現しなかったので、チロシンキナーゼ陰性trkB転
写物は脈絡膜そう中に局在し隣接構造には存在しないも
のと思われる(図7H)。これらの結果は、2つのクラス
のtrkB転写物(チロシンキナーゼ陽性およびチロシンキ
ナーゼ陰性)が成体マウス脳内の機能的に識別される構
造中に異なって発現されていることを示している。
【0098】図7に示すように、チロシンキナーゼ陰性
trkB転写物の発現は、脈絡膜そう構造に限定されてい
る(少なくとも前脳において)ように思われる。脈絡膜そ
うは、血液供給と脳脊髄液との間の活性関門(active ba
rrier)として重要な役割を果していることが知られてい
る。それゆえ、血液/脳関門中の推定リガンドの能動輸
送において非触媒gp95trkB分子が役割を果している
ことは可能である。そのようなリガンドは脳脊髄液中に
運ばれたときに、脳皮質のニューロンおよび海馬の錐体
細胞層で主として発現されるチロシンキナーゼ陽性gp
145trkBレセプターを活性化するのかもしれない。
【0099】つぎに、図面について説明を加える。図1
〜図3は、trkB遺伝子のチロシンキナーゼ陰性cDN
AクローンであるpFRK42のヌクレオチド配列分析
を示す。図1は、模式図であり、太いバーは推定開始コ
ドン(ATG)および終止コドン(TAG)でフランキング
されたコード配列を表す。予測されたシグナルペプチド
(SP、ダブルハッチングした囲)ドメインおよび経膜
(TM、濃い囲)ドメインを示してある。以前に特徴付け
されたtrk cDNAクローン中に存在しない配列につい
ては陰影をつけてある。他の記号は、システイン残基
(黒丸)および推定リガンド結合ドメインの共通N−グリ
コシル化部位(逆三角形)を示す。
【0100】図2および図3は、pFRK42 cDN
A挿入物のヌクレオチド配列およびそれから導かれるア
ミノ酸配列である。推定シグナルペプチド(アミノ酸残
基1〜31)は囲みで強調してある。推定リガンド結合
ドメインのシステイン残基(アミノ酸残基32〜429)
は丸で囲んである。共通N−グリコシル化部位は下に囲
みを引いてある。推定経膜領域(アミノ酸残基430〜
453)は下に無地の棒を引いてある。3'非コード領域
のポリアデニル化モチーフ[AAT(T)AAA]には下線
を引いてある。チロシンキナーゼ陽性trkB cDNAク
ローンpFRK43と配列の相違する点は垂直の矢印で
示してある。
【0101】図4は、成体マウス組織におけるtrkB転
写物の分子分析である。上の図は、成体マウスの脳(B
r)、肝臓(Li)および肺(Lu)組織から単離したポリ
A含有RNAのノーザンブロッティング分析を示す。[
32P]標識プローブとして、プローブA(pFRK42の
ヌクレオチド119〜490);プローブE(pFRK4
2のヌクレオチド1454〜1711);プローブK(p
FRK42のヌクレオチド2119〜2460);プロ
ーブD(pFRK43のヌクレオチド2767〜305
7);プローブH(pFRK43のヌクレオチド2089
〜2343);およびプローブG(pFRK43のヌクレ
オチド171〜506)が含まれる。
【0102】それぞれのtrkB転写物の移動は矢印で示
してある。それらのサイズは、サッカロミセス・セレビ
シエ(S.cerebisiae)28S(3.4kb)および18S
(1.8kb)および大腸菌23S(2.9kb)および16
S(1.6kb)リボソームRNAを含むRNAサイズ標
準に関するそれらの相対的電気泳動移動度から計算し
た。下の図は、ノーザンブロッティング分析から導き出
された異なるtrkB mRNA種の模式図である。太い棒
はコード配列を表す。細い棒は5'および3'の非コード
配列を表す。推定シグナルペプチド(SP)ドメイン、経
膜(TM)ドメインおよびチロシンプロテインキナーゼ
(TK)ドメインは水平の矢印で示してある。チロシンキ
ナーゼ陽性trkB mRNA種に特異的な配列(右から左
へのハッチング)およびチロシンキナーゼ陰性trkB m
RNA種に特異的な配列(左から右へのハッチング)も示
してある。各プローブの位置および長さは水平の線で示
してある。垂直の矢印は、2.5kbおよび2.0kbの
チロシンキナーゼ陰性転写物の推定ポリアデニル化部位
を示す。
【0103】図5は、チロシンキナーゼ陽性trkB cD
NAクローンおよびチロシンキナーゼ陰性trkB cDN
AクローンでトランスフェクションしたNIH3T3細
胞中で発現されたtrkBタンパク質の同定を示す。左:
pFRK44[pFRK43(クラインらのEMBO J.
3701〜3709(1989)参照)のチロシンキナー
ゼ陽性cDNA挿入物を有するpMEXneo由来発現
プラスミド]でトランスフェクションしたNIH3T3
細胞(クローン38〜923)の[35S]−メチオニン標識
細胞抽出物を、(a)ペプチド(NH2−KGFVLFHK
IPLDG−COOH)(抗血清を産生させるのに使用)
(10μg)の存在下、または(b)該ペプチドの不在下
で、チロシンキナーゼ陽性trkBレセプター様タンパク
質[クラインらのEMBO J.、3701〜3709(19
89)参照]のカルボキシ末端配列に対応するペプチドに
対して産生させたウサギ抗血清を用いて免疫沈殿させ
た。
【0104】右:pFRK47[pFRK4チロシンキ
ナーゼ陰性cDNA挿入物を有するpMEXneo誘導
体]でトランスフェクションしたNIH3T3細胞(クロ
ーンB24〜76)の[35S]−メチオニン標識細胞抽出
物を、(c)競合ペプチド(10μg)の存在下、または
(d)該ペプチドの不在下で、推定チロシンキナーゼ陰性
trkBタンパク質(図1)の13カルボキシ末端アミノ酸
残基に対応するペプチドに対して産生させたウサギ抗血
清を用いて免疫沈殿させた。
【0105】平行培養は、ツニカマイシン(10μg/
ml)の不在下で(−)、存在下で(+)と代謝的に標識し
た。糖付加trkB産物(gp145およびgp95)およ
び糖付加していないtrkB産物(p93およびp57)の
移動を矢印で示す。これらtrkBタンパク質の分子量
は、ミオシン(200,000)、ホスホリラーゼB(9
2,500)、アルブミン(69,000)および卵アルブ
ミン(43,000)を含む分子量標準に対する相対的電
気泳動移動度から導いた。
【0106】図6は、成体マウス脳の海馬領域でのtrk
B発現を示す。Aは冠状縫合切片の明画面であり、アン
モン角(Ah)および歯状回(DG)を示している。B、C
およびDは、panプローブ(pFRK42のヌクレオチド
670〜1152)(b)、チロシンキナーゼ陽性特異的
プローブD(pFRK43のヌクレオチド2767〜3
057)(c)およびチロシンキナーゼ陰性特異的プロー
ブE(pFRK42のヌクレオチド1454〜1711)
(d)を含むtrkB特異的アンチセンスcRNAプローブ
に対してインシチュハイブリダイゼーションした後の、
パネル(a)に示した切片の暗画面(b)および隣接する切
片の暗画面(c)(d)である。
【0107】図7は、成体マウス脳の脈絡膜そうでのtr
kB発現を示す。パネル(a)、(c)、(e)および(g)は
冠状縫合切片の明画面であり、側脳室(LV)、第三脳室
(3V)、および第三脳室の乳頭様陥凹(MR3)を示して
いる。パネル(b)、(d)、(f)および(h)は、上記チロ
シンキナーゼ陽性特異的プローブD(パネル(b)および
(f))およびチロシンキナーゼ陰性特異的プローブE(パ
ネル(d)およびパネル(h))に対してインシチュハイブ
リダイゼーションした後の対応する暗画面を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 pFRK42のヌクレオチド配列の模式図。
【図2】 pFRK42のヌクレオチド配列およびそれ
から導かれるアミノ酸配列。
【図3】 pFRK42のヌクレオチド配列およびそれ
から導かれるアミノ酸配列。
【図4】 成体マウス組織から単離したポリA含有RN
Aのノーザンブロッティング分析結果を示す写真および
該結果から導かれた異なるtrkB mRNA種の模式図。
【図5】 チロシンキナーゼ陽性trkB cDNAクロー
ンおよびチロシンキナーゼ陰性trkB cDNAクローン
でトランスフェクションしたNIH3T3細胞で発現さ
れたtrkBタンパク質のウエスタンブロッティング分析
結果を示す写真。
【図6】 成体マウス脳の海馬領域でのtrkB発現を示
す組織写真。
【図7】 成体マウス脳の脈絡膜そうでのtrkB発現を
示す組織写真。
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正内容】
【0107】図7は、成体マウス脳の脈絡膜そうでのtr
kB発現を示す。パネル(a)、(c)、(e)および(g)は
冠状縫合切片の明画面であり、側脳室(LV)、第三脳室
(3V)、および第三脳室の乳頭様陥凹(MR3)を示して
いる。パネル(b)、(d)、(f)および(h)は、上記チロ
シンキナーゼ陽性特異的プローブD(パネル(b)および
(f))およびチロシンキナーゼ陰性特異的プローブE(パ
ネル(d)およびパネル(h))に対してインシチュハイブ
リダイゼーションした後の対応する暗画面を示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 pFRK42のヌクレオチド配列の模式図。
【図2】 pFRK42のヌクレオチド配列およびそれ
から導かれるアミノ酸配列。
【図3】 pFRK42のヌクレオチド配列およびそれ
から導かれるアミノ酸配列。
【図4】 成体マウス組織から単離したポリA含有RN
Aのノーザンブロッティング分析結果を示す電気泳動写
真および該結果から導かれた異なるtrkB mRNA種の
模式図。
【図5】 チロシンキナーゼ陽性trkB cDNAクロー
ンおよびチロシンキナーゼ陰性trkB cDNAクローン
でトランスフェクションしたNIH3T3細胞で発現さ
れたtrkBタンパク質のウエスタンブロッティング分析
結果を示す電気泳動写真。
【図6】 成体マウス脳の海馬領域でのtrkB発現を示
す生物の形態写真。
【図7】 成体マウス脳の脈絡膜そうでのtrkB発現を
示す生物の形態写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12Q 1/68 A 7823−4B //(C12N 9/12 C12R 1:91) (72)発明者 ルーディーガー・クレイン アメリカ合衆国ニュージャージー州プレイ ンズボロ、リンデン・レイン・サウス28番

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質
    の全部または一部をコードする核酸配列を含むことを特
    徴とする単離核酸分子。
  2. 【請求項2】 該分子がDNA分子であり、核酸配列が
    DNA配列である請求項1に記載の核酸分子。
  3. 【請求項3】 DNA配列が実質的に図2および図3に
    示すヌクレオチド配列を有する、請求項2に記載のDN
    A分子。
  4. 【請求項4】 DNA配列が実質的に図2および図3に
    示すヌクレオチド配列の一部を有する、請求項2に記載
    のDNA分子。
  5. 【請求項5】 DNA配列が図2および図3に示すヌク
    レオチド1〜1429に対応するヌクレオチド配列を有
    する、請求項4に記載のDNA分子。
  6. 【請求項6】 請求項3、4または5に記載のDNA配
    列に相補的なDNA配列を有するDNA分子。
  7. 【請求項7】 チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質
    の全部または一部をコードするDNA配列を含有する発
    現ベクター。
  8. 【請求項8】 チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質
    の全部または一部をコードするDNA配列の複製および
    /または発現を指令することができ、該DNA配列に機
    能的に連結した、1または2以上の制御DNA配列を含
    有する、請求項7に記載の発現ベクター。
  9. 【請求項9】 チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク質
    の全部または一部をコードするDNA配列が、実質的に
    図2および図3に示すヌクレオチド配列を有する、請求
    項7に記載の発現ベクター。
  10. 【請求項10】 チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク
    質の全部または一部をコードするDNA配列が、実質的
    に図2および図3に示すヌクレオチド配列の一部を有す
    る、請求項7に記載の発現ベクター。
  11. 【請求項11】 pFRK42と称する請求項9に記載
    の発現ベクター。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の発現ベクターの同
    定特性を有する発現ベクター。
  13. 【請求項13】 請求項7に記載の発現ベクターで形質
    転換またはトランスフェクションされた原核または真核
    宿主細胞。
  14. 【請求項14】 請求項8、9、10、11または12
    に記載の発現ベクターで形質転換またはトランスフェク
    ションした原核または真核宿主細胞。
  15. 【請求項15】 哺乳動物細胞である請求項13に記載
    の宿主細胞。
  16. 【請求項16】 哺乳動物細胞がNIH3T3細胞であ
    る請求項15に記載の宿主細胞。
  17. 【請求項17】 チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク
    質の全部または一部を含むポリペプチド分子の製造方法
    であって、該ポリペプチドの発現が可能な条件下で請求
    項13に記載の宿主細胞を培養することを特徴とする方
    法。
  18. 【請求項18】 チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク
    質の全部または一部をコードする核酸配列の検出法であ
    って、該核酸配列の少なくとも一部に特異的に結合する
    検出可能なマーカーに該核酸配列を接触させ、ついで該
    結合したマーカーを検出することにより該核酸配列の存
    在を検出することを特徴とする方法。
  19. 【請求項19】 核酸配列がDNA配列である請求項1
    8に記載の方法。
  20. 【請求項20】 核酸配列がRNA配列である請求項1
    8に記載の方法。
  21. 【請求項21】 DNA配列が実質的に図2および図3
    に示すヌクレオチド配列を有する、請求項19に記載の
    方法。
  22. 【請求項22】 DNA配列が実質的に図2および図3
    に示すヌクレオチド配列の一部を有する、請求項19に
    記載の方法。
  23. 【請求項23】 検出可能なマーカーが、該核酸配列の
    少なくとも一部に相補的なヌクレオチド配列である、請
    求項18に記載の方法。
  24. 【請求項24】 相補的ヌクレオチド配列が、cDNA
    配列、RNA配列、センスRNA配列またはアンチセン
    スRNA配列から選ばれたものである、請求項23に記
    載の方法。
  25. 【請求項25】 検出可能なマーカーが放射性同位元素
    で標識されたものである、請求項18に記載の方法。
  26. 【請求項26】 オートラジオグラフィーで検出を行う
    請求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 DNA配列がゲノムDNA配列である
    請求項19に記載の方法。
  28. 【請求項28】 RNA配列がメッセンジャーRNA配
    列である請求項20に記載の方法。
  29. 【請求項29】 RNA配列が、組織試料の細胞中に位
    置する、請求項20に記載の方法。
  30. 【請求項30】 チロシンキナーゼ陰性trkBタンパク
    質の全部または一部を含むことを特徴とする、単離ポリ
    ペプチド分子。
  31. 【請求項31】 請求項2に記載のDNA配列によりコ
    ードされた単離ポリペプチド分子。
  32. 【請求項32】 実質的に図2および図3に示すアミノ
    酸配列を有する、請求項30に記載のポリペプチド分
    子。
  33. 【請求項33】 実質的に図2および図3に示すアミノ
    酸配列の一部を有する、請求項30に記載のポリペプチ
    ド分子。
  34. 【請求項34】 請求項32または33に記載のアミノ
    酸配列に対して少なくとも約90%の相同性を有するポ
    リペプチド分子。
  35. 【請求項35】 糖付加されている請求項30に記載の
    ポリペプチド分子。
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