JPH0611780Y2 - 両面印刷機における印刷用紙の裏面傷防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、両面印刷機における印刷用紙の裏面傷防止装
置に関する。

〔従来の技術〕

従来、両面印刷機における搬送機構は、両面印刷された
紙をチェーングリッパーにて咥えて搬送して排紙台に排
紙するようにしてなり、紙の天地方向の寸法に適応でき
る様、紙の進行方向へ移動調整可能としたバックガイド
を紙の搬送工程中に設置してなるものが知られている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来のバックガイドは、そのペーパーガイドが紙の
進行方向へ平行に帯状の鉄板、あるいは平ベルト、ワイ
ヤー状のもの等で形成されているので、両面印刷された
紙が搬送される場合、印刷紙裏面にペーパーガイドによ
ってひっかき傷や擦り傷等が多数入り、又、吸引車は固
定式である為、裏面印刷した場合、印刷イメージから外
れた位置に当該吸引車が当接することはほとんど不可能
である為、紙を吸引しブレーキをかけた場合、吸引口の
傷が印刷物に生じる等、印刷物の商品価値を著しく低下
させることとなる問題点がある。

本考案は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みて
なされたもので、その目的とするところは、バッグガイ
ドフレームの紙通過面に、外周へ多数箇の鋭角突部を有
するホイールを軸支し、紙の進行に応じて軽く回転させ
ることでもって、ほとんど問題とならない程度の点状の
傷にして紙をガイドするようにすると共に、上記ホイー
ル及び吸引車を印刷イメージに合わせて紙の幅方向へ移
動可能に構成することによって、裏面印刷に入る傷を可
能な限り少なくすることができて印刷物の品質向上を図
り得るようにすると共に、印刷する絵柄や印刷用紙の選
択等の限定範囲がほとんどなくなり、両面印刷の印刷範
囲を拡大でき、かつ高速運転においても印刷紙を整然と
搬送及び排紙できるようにした両面印刷機における印刷
用紙の裏面傷防止装置を提供しようとするものである。

〔課題を解決する為の手段〕

上記目的を達成する為に、本考案における両面印刷機に
おける印刷用紙の裏面傷防止装置は、両面印刷された印
刷紙の搬送工程中に配設されるバックガイドフレームの
印刷紙通過面に、外周へ多数箇の鋭角突部を設けたホイ
ールを複数箇、印刷紙の幅方向へ移動可能にして、かつ
印刷紙進行方向へ回転自在に軸支すると共に、狭幅の紙
接触面に複数箇の吸引口を有する吸引車を所要数箇印刷
紙の幅方向へ移動可能にして、かつその周速を印刷紙搬
送スピードの略1/2程度に減速して回転可能なるよう軸
支し、該吸引車の回転軸には直径が吸引車のそれよりも
僅かに小さく、かつ外周に多数箇の鋭角突部を設けた回
転自在なホイールを複数箇印刷紙の幅方向へ移動可能に
取付けてなるものである。

〔作用〕

上記のように構成された印刷用紙の裏面傷防止装置は、
両面印刷された印刷紙がチェーングリッパーに咥えら
れ、搬送される過程で当該印刷紙はバッグガイドフレー
ムの紙通過面に設けた複数箇のホイールにガイドされ
る。

上記ホイールは印刷紙の進行に応じて軽く回転される
が、その外周に設けた多数の鋭角突部によってほとんど
問題とならない程度の点状の傷にして印刷紙をガイドす
る。

次に印刷紙は、周速が印刷紙搬送スピードの略1/2に減
速された吸引車により吸引されながら排紙テーブル上に
搬送されるが、チェーングリッパーが適当な位置まで来
て印刷紙を離すと、その時点より吸引車で印刷紙にブレ
ーキがかかり、搬送スピードより減速されて吸引車の回
転に同期し、印刷紙は排紙テーブルに送り込まれる。

上記吸引車と同軸に設けたホイールによって印刷紙は吸
引車に引っ張られながらガイドされるが、吸引車の間隔
が広い場合、印刷紙が吸引車間でたれ下がるのをホイー
ルが防止するので印刷紙はフラット状態で排紙テーブル
に搬出される。

又上記各ホイール及び吸引車は印刷紙の幅方向へ移動可
能であるから、印刷物に応じて、これらの横方向位置を
変えて印刷イメージのない部分をガイドすることができ
る。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例について図面を参照して説明す
る。

第２図は、表面２色刷り、裏面１色刷りを行なう両面印
刷機を示す。

図示のように、裏面ユニットの圧胴１と同軸に設けたス
プロケット２と、排紙テーブル３の上方部位に軸支した
スプロケット４に、複数箇のグリッパー５…を有するチ
ェーン６が巻掛けされ、上記スプロケット２により駆動
され、表面ユニットで表面印刷されて、その圧胴７から
裏面ユニットの圧胴１、ゴム胴８間で裏面印刷された印
刷紙ａはチェーングリッパー５に咥えられ、排紙テーブ
ル３に排紙されるよう形成されている。

上記チェーングリッパー５が排紙テーブル３まで印刷紙
ａを搬送する工程中には、バックガイドフレーム９が、
第１図に示した如く、印刷機の両フレーム10、11間にあ
って印刷紙ａのサイズ及び排紙テーブル３に応じて前後
方向（第２図において左右方向）へ移動調整可能に配設
されている。

上記両フレーム10、11の内側にあって、前後方向へ平行
に、かつ回転自在にして軸方向移動を阻止した状態で架
設した両送りネジ軸12、13に、上記バックガイドフレー
ム９の両側に固定した送りナット14、15が螺合され、上
記両送りネジ軸12、13が、上記フレーム11、12に架設した
回転軸16と歯車伝達機構17で連結され、該回転軸16の回
転に連動する送りネジ軸12、13に沿って、上記バックガ
イドフレーム９は前後方向へ移動調整可能に形成されて
いる。

上記バックガイドフレーム９の印刷紙通過面には、印刷
紙ａの裏面に接触し、該印刷紙ａを保持しながら回転す
る複数箇のホイール18…が、上記バックガイドフレーム
９の印刷紙幅方向にあって、前後方向へ適宜間隔毎に架
設した複数本（図示例では４本）の支軸19…に夫々所要
数箇（図示例では２箇）づつ軸方向へ移動調整可能に外
装支承されている。

上記ホイール18…は、第４図(イ)、(ロ)に明示した如く薄
肉の円盤部材の外周に、略鋸刃形状をした鋭角突部18ａ
…が多数箇形成させてあるが、この鋭角突部18ａは、印
刷紙ａの通過に合わせて該印刷紙ａの裏面に接触し、印
刷紙ａを保持しながら回転するようにして、かつ印刷紙
ａにほとんど問題とならない程度の点状の傷がつく程度
に形成されている。

上記ホイール18…は、第３図に明示した如くテーパ孔20
ａを有して、その径小孔端側周壁に所要数箇の切欠き20
ｂを軸方向へ設けた筒状ホルダー20の径大孔端側外周に
溝20ｃを設け、該溝20ｃに嵌着して外装させてあり、当
該筒状ホルダー20における周壁の弾性を利用して上記支
軸19にホイール18は軸方向へ移動可能に保持させてあ
る。

又、上記バックガイドフレーム９の前端部には回転軸21
が印刷紙ａの幅方向へ架設され、該回転軸21には可能な
限り狭幅に形成した印刷紙接触部22ａの外周へ多数箇の
吸引口22ｂ…を設けた吸引車22が当該吸引車22に螺挿し
たスライドキー24を回転軸21の軸方向へ長く設けたキー
溝に係嵌して軸方向へ移動調整可能に固定されている。

上記バックガイドフレーム９の一側には、上記チェーン
６に係合して回転するスプロケット25が固定軸26に支承
され、該スプロケット25と一体に回転可能に設けたプー
リー27と、上記回転軸21に固定したプーリー28にタイミ
ングベルト29を巻掛けすることにより、上記チェーング
リッパー５による印刷紙ａの搬送スピードの略1/2程度
に減速されて上記吸引車22が回転駆動されるよう形成さ
れている。

上記吸引車22と吸引ノズル30はボールベアリング31を介
して一体化させてある。

即ち、上記吸引ノズル30の一端は固定軸26にボルト32に
て固定され、これにより吸引車22は横方向に位置決め固
定され、上記ボルト32を緩めることで吸引ノズル30と一
体に吸引車22は印刷紙ａの幅方向へ移動可能となる。

更に、上記回転軸21にあって、左右の吸引車22、22の間
には、外周に多数箇の鋭角突部33ａ…を設けた所要数箇
（図示例では２箇）のホイール33…が回転軸21に沿って
印刷紙ａの幅方向へ移動調整可能に支承されている。

上記ホイール33…は、第５図(イ)、(ロ)に示した如く上記
ホイール18と同様に多数の鋭角突部33ａ…が外周に設け
てあり、第３図に示したと同様に形成されたホルダー34
に固定され、該ホルダー34を回転軸21に嵌挿することで
当該回転軸21に移動可能に支承されている。

このホイール33…は、上記吸引車22、22の間隔を広くし
た場合、印刷紙ａが吸引車22、22間でたれ下がり、高速
時に整然とした排紙ができなくなるのを防止すると共
に、印刷紙ａが吸引車22…に引っ張られながら当該印刷
紙ａをガイドし、可能な限りフラットな状態で排紙テー
ブル３に搬出させる為に設けられている。

尚、第１図において35はバキュームホース用ニップル、
36は排紙テーブル３に積載される印刷紙ａの後端をガイ
ドするバックガイドプレートを夫々示す。

〔考案の効果〕

本考案は、以上説明したように構成されているので、両
面印刷機において、バックガイドフレーム９の印刷紙ａ
通過面に軸支した複数箇のホイール18…が印刷紙ａの進
行に応じて回転されることで印刷紙ａをガイドするの
で、当該印刷紙ａの裏面には上記ホイール18…の鋭角突
部18ａ…によりほとんど問題とならない程度の点状の傷
が付くだけであり、又上記ホイール18…は印刷物に応じ
て印刷紙ａの幅方向へ位置を変えて印刷イメージのない
場所に移動することも可能であるから、印刷品質の向上
に効果的であるばかりでなく、従来例の如く裏面印刷部
に傷が入る為、印刷する絵柄の選択、あるいは印刷用紙
の選択等、限定条件がかなりあったものが、本案ではそ
の限定範囲がほとんどなくなり、両面印刷の印刷範囲の
拡大に顕著な効果が期待できる。

又、吸引車22…とホイール33…を同軸上へ印刷紙ａの幅
方向へ移動可能としたので、該吸引車22の回転速度を、
チェーングリッパー５による印刷紙ａの搬送スピードの
略1/2程度に減速し、該吸引車22…で印刷紙ａを吸引
し、ブレーキをかけた場合、当該吸引車22…の位置を印
刷イメージに合わせて移動することにより、吸引口22ｂ
の傷が印刷物に生じることがなくなり、又上記ホイール
33…により吸引車22、22間での印刷紙ａの紙尻のたれ下
がりもなくなり、従って、高速運転においても印刷紙ａ
を整然と排紙テーブル３に排出できる等の効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る両面印刷機における印刷用紙の裏
面傷防止装置の実施例を示すバックガイドフレーム部分
の平面図、第２図は同バックガイドフレーム部を含む排
紙部の側面図、第３図は同実施例におけるホイールのホ
ルダーを示す縦断側面図、第４図(イ)、(ロ)、第５図(イ)、
(ロ)は同実施例における各ホイールの各正面図と各側面
図である。 ａ……印刷紙、９……バックガイドフレーム、18、33…
…ホイール18a、33a……鋭角突部、21……回転軸、22…
…吸引車、22ａ……紙接触面、22ｂ……吸引口

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】両面印刷された印刷紙ａの搬送工程中に配
   設されるバッグガイドフレーム９の印刷紙通過面に、外
   周へ多数箇の鋭角突部18ａ…を設けたホイール18を複数
   箇、印刷紙の幅方向へ移動可能にして、かつ印刷紙進行
   方向へ回転自在に軸支すると共に、狭幅の紙接触面22ａ
   に複数箇の吸引口22ｂ…を有する吸引車22を所要数箇印
   刷紙の幅方向へ移動可能にして、かつその周速を印刷紙
   搬送スピードの略1/2程度に減速して回転可能なるよう
   軸支し、該吸引車の回転軸21には直径が吸引車のそれよ
   りも僅かに小さく、かつ外周に多数箇の鋭角突部33ａ…
   を設けた回転自在なホイール33を所要数箇印刷紙の幅方
   向へ移動可能に取付けてなることを特徴とする両面印刷
   機における印刷用紙の裏面傷防止装置。