JPH0611745B2 - 芳香族イソシアナ−ト類の製造法 - Google Patents

芳香族イソシアナ−ト類の製造法

Info

Publication number
JPH0611745B2
JPH0611745B2 JP60100391A JP10039185A JPH0611745B2 JP H0611745 B2 JPH0611745 B2 JP H0611745B2 JP 60100391 A JP60100391 A JP 60100391A JP 10039185 A JP10039185 A JP 10039185A JP H0611745 B2 JPH0611745 B2 JP H0611745B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
palladium
reaction
compound
catalyst
recovered
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP60100391A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS61260049A (ja
Inventor
夘三治 高木
薫 井上
圭一 池田
柳一郎 津村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP60100391A priority Critical patent/JPH0611745B2/ja
Publication of JPS61260049A publication Critical patent/JPS61260049A/ja
Publication of JPH0611745B2 publication Critical patent/JPH0611745B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は芳香族ニトロ化合物と一酸化炭素から主触媒と
してパラジウム化合物を用いて芳香族イソシアナート類
を直接合成する方法に関する。
さらに詳しくは主触媒として用いられるパラジウム触媒
を実質的に損失することなく循環使用する芳香族イソシ
アナートの直接製造方法に関する。
芳香族イソシアナート類は、ポリウレタン原料として実
用上極めて有用な物質であり、中でもトリレンジイソシ
アナートは最も大規模に生産されている。
〔従来の技術〕
芳香族ニトロ化合物と一酸化炭素を高温高圧下に貴金属
化合物を主成分とする適当な触媒の存在下に式(1)に従
って反応させて、 Ar(NO2)n+3nCO→Ar(NCO)n+2nCO2…(1) 芳香族イソシアナートを直接合成する方法は公知であり
(例えば特開昭50−52044 ,特公昭48−43110 あるいは
特公昭49−16412 など。)、パラジウム化合物を主触媒
とする種々な触媒系も多数提案されている。しかしなが
らパラジウムが非常に高価であるために、イソシアナー
トの収率が良い触媒系であることは勿論、それ以外に触
媒を実質的に回収または再使用するということが極めて
重要な課題となっている。
主触媒の回収あるいは回収触媒の再使用についていくつ
かの試みが報告されている。例えば特公昭57−14340 で
はジクロロビス(ピリジン)パラジウムの存在下に(1)
式によりジニトロトルエン(以下DNTと略記する。)
を反応させてトリレンジイソシアナート(以下TDIと
略記する。)を得ており、反応後に触媒錯体中のパラジ
ウムの55.6%が触媒活性のない金属状パラジウムに変化
しているので、反応液にピリジンの塩酸塩を加え酸素で
酸化させて金属状パリジウムを1%以下まで減少させた
後触媒を回収し、再使用する方法を提示している。この
方法でのTDIの収率は23%にすぎず、ジクロロビス
(ピリジン)パラジウムの使用量はDNTに対し2.55モ
ル%、パラジウム1g原子当りのTDI生成モル数(以
下TDI/Pd生成率と略記する。)は9.0である。
また特公昭48−43344 では塩化第一パラジウムピリジン
複合体と三酸化モリブデンからなる触媒系を用いジフェ
ニルカーボネートの存在下にDNTを反応させ、反応液
からろ別したフィルターケーキを熱溶媒で抽出し冷却後
析出させてろ過する方法で塩化第一パラジウムピリジン
複合体の84.0%を回収している。この方法でのTDI収
率は56.8%で、パラジウム触媒の対DNT使用量は21.7
モル%と大きく、TDI/Pd生成率はわずかに2.6であ
り、また触媒の回収率も低い。
また特公昭56−40712 では、4-ビニルピリジン、スチレ
ンおよびジビニルベンゼンを重合させて得られた不溶性
のポリマーとジクロロビス(ピリジン)パラジウムとを
接触させて得られた不溶性高分子パラジウム触媒を主触
媒としてDNTを反応させ、反応液から触媒をろ別して
反復使用する方法を提示している。この触媒でのTDI
収率は0.7%、1回の反応における触媒パラジウムの対
DNT使用量は0.04グラム原子/モル、TDI/Pd生成
率は0.2である。この不溶性主触媒を反応液よりろ別
し、洗浄および乾燥後再使用すると1.9%の収率でT
DIが得られたことが示されている。この方法は主触媒
の回収は比較的容易ではあるが、固定化されたパラジウ
ムの触媒活性は低い。
以上のべたように従来の反復使用ないしは回収再使用を
目的とした触媒ないし触媒系では触媒の使用量が多すぎ
るとか、回収に繁雑な操作が必要であるとか、さらには
目的とする芳香族イソシアナートの収率が低いという問
題点がある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的は、高活性で、反応により失活せず、しか
も主触媒のパラジウム化合物の回収率が高い触媒系を用
い、回収せられたパラジウム化合物を主触媒として反復
使用する芳香族イソシアナートの直接製造法を提供する
ことにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは前記目的を達成するため鋭意検討した結果
本発明を完成した。すなわち本発明は 芳香族ニトロ化合物と一酸化炭素とを高温高圧下に反応
させて芳香族イソシアナートを製造する方法において、
含窒素複素環式化合物の存在下に、主触媒としてパラジ
ウム化合物、助触媒として1,3-ジケトン化合物が配位し
たバナジウムのキレート化合物とリンの塩化物または酸
塩化物とを用い、溶媒として芳香族炭化水素または塩素
化芳香族炭化水素を用いて反応を行ない、反応終了後に
析出しまたは析出せしめて回収されるパラジウム化合物
を主触媒として循環使用することを特徴とする芳香族ニ
トロ化合物と一酸化炭素とから芳香族イソシアナートを
製造する方法である。
本発明に原料として用いられる芳香族ニトロ化合物は、
芳香族モノおよびポリニトロ化合物であり、イソシアナ
ート基およびこれと反応しない置換基を含んでいてもよ
い。代表例としては、例えばニトロベンゼン、o−,m
−およびp−ニトロトルエン、o−ニトロ−p−キシレ
ン、ニトロメシチレン、1−クロロ−2−ニトロベンゼ
ン、1,2-ジクロロ−4-ニトロベンゼン、1-ブロモ−4-ニ
トロベンゼン、1-フルオロ−4-ニトロベンゼン、1-トリ
フルオロメチル−4-ニトロベンゼン、o−,m−および
p−ニトロフエニルイソシアナート、o−およびp−ニ
トロアニソール、o−およびp−ニトロフエネトール、
ニトロベンズアルデヒド、ニトロベンゾイルクロリド、
メチルニトロベンゾアート、ニトロベンゼンスルホニル
クロリド、ニトロベンゾニトリル、2-イソシアナト−4-
ニトロトルエン、2-ニトロ−4-イソシアナトトルエン、
2-イソシアナト−6-ニトロトルエン、ニトロナフタレ
ン、5-ニトロナフチルイソシアナート、ニトロアントラ
セン、(4-イソシアナトフエニル)(4′−ニトロフエ
ニル)メタン、m−ジニトロベンゼン、2,4-ジニトロト
ルエン、2,6-ジニトロトルエン、α,α′−ジニトロ−
p−キシレン、ジニトロメシチレン、1-クロロ−2,4-ジ
ニトロベンゼン、2,4−ジニトロアニソール、1,5-ジニ
トロナフタレン、4,4′−ジニトロビフエニル、3,3′−
ジメチル−4,4′−ジニトロビフエニル、ビス(p−ニ
トロフエニル)メタン、ビス(p−ニトロフエニル)エ
ーテル、ビス(p−ニトロフエニル)チオエーテル、ビ
ス(p−ニトロフエニル)スルホン、トリニトロベンゼ
ンなどが挙げられる。
これらの中でも特にニトロベンゼン、2,4-および2,6-ジ
ニトロトルエン、1,2-ジクロロ−4-ニトロベンゼン、1,
5-ジニトロナフタレン、ビス(p−ニトロフェニル)メ
タンなどは実用的に望ましく用いられる。
本発明の方法における含窒素複素環式化合物としては例
えば、ピロール、N-メチルピロール、ピラゾール、イミ
ダゾール、トリアゾール、ピリジン、α−,β−または
γ−ピコリン、4-フエニルピリジン、4-ビニルピリジ
ン、2-フルオロピリジン、2-クロロピリジン、3-クロロ
ピリジン、2-ブロモピリジン、3-ヒドロキシピリジン、
2-メトキシピリジン、α−ピコリンアルデヒド、α−ピ
コリン酸メチルエステル、α−ピコリンアミド、2,6-ジ
メチルピリジン、2-メチル−4-エチルピリジン、2-クロ
ロ−4-メチルピリジン、2,6-ジシアノピリジン、5,6,7,
8-テトラヒドロキノリン、5,6,7,8-テトラヒドロイソキ
ノリン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、ベンゾ
キノリン、ベンゾイソキノリン、フエナントリジン、ピ
リダジン、ピリミジン、ピラジン、シンノリン、キナゾ
リン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、フエ
ナジンなどが挙げられる。
これらの含窒素複素環式化合物の使用量は、主触媒たる
パラジウム化合物に対し、通常1から500倍モル、好ま
しくは2から100倍モルの範囲である。
本発明の方法における主触媒のパラジウム化合物とは、
パラジウムのハロゲン化物、硝酸塩、有機カルボン酸
塩、キレート類、あるいはカルボニル,アルキル,オレ
フィン,π−アリル,あるいは前記含窒素複素環式化合
物などの配位子を含む錯体などであって、例えば塩化パ
ラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、塩化パ
ラジウム酸ナトリウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウ
ム、パラジウムアセチルアセトナート、ジクロロ(シク
ロオクタ−1,5-ジエニル)パラジウム、ビス(π−アリ
ルパラジウムクロリド)、パラジウムのジベンジリデン
アセトン錯体、ジクロロビス(ピリジン)パラジウム、
ジブロモビス(キノリン)パラジウム、ジクロロビス
(ピコリン)パラジウムなどが挙げられる。更には本発
明の方法により反応液より回収されたパラジウム化合物
も挙げられる。
これらのパラジウム化合物の使用量は、原料のニトロ基
に対して0.01から10モル%、好ましくは0.01から1.0
モル%である。
本発明の方法における助触媒としての1,3-ジケトン化合
物が配位したバナジウムのキレート化合物とは一般式R
COCHR″COR′(但しR,R′とR″は脂肪族、脂環族
または芳香族の1価有機基であり、R″は水素またはハ
ロゲン原子でもよい。)で示される1,3-ジケトンから成
る少なくとも1種のキレート結合を含有するバナジウム
のキレート化合物である。具体的には、例えばトリス
(2,4-ペンタンジオナト)バナジウム、トリス(1,1-ジ
クロロ−2,4-ペンタンジオナト)バナジウム、トリス
(1,1,1-トリフルオロ−2,4-ペンタンジオナト)バナジ
ウム、トリス(エチルアセトアセタト)バナジウム、ト
リス(1-フェニル−1,3-ブタンジオナト)バナジウム、
トリス(3-クロロ−2,4-ペンタンジオナト)バナジウ
ム、ビス(2,4-ペンタンジオナト)オキソバナジウム、
ビス(3H,3H-ヘキサフルオロ−2,4-ペンタンジオナト)
オキソバナジウム、ビス(1-シクロヘキシル−1,3-ブタ
ンジオナト)オキソバナジウム、ビス(1-フェニル−1,
3-ブタンジオナト)オキソバナジウム、ビス{1-(p−
クロロフェニル)−1,3-ブタンジオナト}オキソバナジ
ウム、ビス{1,1,1-トリフルオロ−4-(2-チエニル)−
2,4-ブタンジオナト}オキソバナジウム、ビス(1,3-ジ
フェニル−1,3-プロパンジオナト)オキソバナジウム、
ビス{1-フェニル−3-(2-フリル)−1,3-プロパンジオ
ナト}オキソバナジウム、ビス{1-フェニル−3-(2-チ
エニル)−1,3-プロパンジオナト}オキソバナジウム、
ビス{1-(2-フリル)−3-(2-チエニル)−1,3-プロパ
ンジオナト}オキソバナジウム、ビス(3-クロロ−2,4-
ペンタンジオナト)オキソバナジウム、ビス(3-ブロモ
−2,4-ペンタンジオナト)オキソバナジウム、ビス(3-
メチル−2,4-ペンタンジオナト)オキシバナジウム、ジ
クロロ(2,4-ペンタンジオナト)オキソバナジウム、ク
ロロビス(2,4-ペンタンジオナト)オキソバナジウムな
どの多種のキレート化合物が挙げられる。
これらのバナジウムのキレート化合物の適当な使用量は
主触媒パラジウム化合物の使用量によって異るが、通常
パラジウム化合物に対して0.01から50倍モル、好ましく
は0.1から5倍モルの範囲が用いられる。
本発明の方法における助触媒の第2成分であるリンの塩
化物または酸塩化物とは、三塩化リン、五塩化リン、塩
化ホスホリル、塩化ピロホスホリルなどが挙げられる。
これらの化合物の使用量は通常、主触媒のパラジウム化
合物に対して0.1から100倍モル、好ましくは1から10倍
モルの範囲が用いられる。
本発明の方法における溶媒は、原料、触媒系、および生
成物を充分に溶解し、これらに対して不活性な液体であ
れば全て有効ではあるが、原料、生成物、含窒素複素環
式化合物および助触媒成分は溶解し、主触媒のパラジウ
ム化合物は反応温度では充分に溶解するが、反応後冷却
した際にはパラジウム化合物を固体として析出させる
か、あるいは少し濃縮したり貪溶媒を加えれば析出させ
る程度の溶解力のものが好ましい。かかる溶媒として
は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベ
ンゼンなどの芳香族炭化水素ありはクロロベンゼン、o
−ジクロロベンゼンなどの塩素置換の芳香族炭化水素が
あげられる。これらは必要によっては2種以上の化合物
の混合物であっても、またより溶解力の大きな他種の溶
媒との混合物であっても構わない。
これらの溶媒の使用量は特に制限はないが通常は溶媒中
の芳香族ニトロ化合物の濃度が3〜50重量%の範囲にな
るように使用される。
反応原料として消費される一酸化炭素の量は化学量論的
には式(1)に従つてニトロ基1モル当り3モルであり、
同時に2モルの二酸化炭素が副生される。実際に反応器
内に仕込まれる一酸化炭素の使用量は、芳香族ニトロ化
合物の濃度、触媒の使用量、反応器の形式、反応温度、
反応圧力などによってその適当量が異なるが、最低限反
応器内のニトロ基量に対し3倍モルは必要であり、通常
は5から100倍モル、望ましくは7から20倍モルの範囲
である。
反応温度は100〜250℃、望ましくは150〜230℃の範囲が
用いられる。
反応圧力は10〜1000kg/cm2、通常は50〜500kg/cm2
範囲が用いられる。
反応時間は通常0.5〜10時間の範囲であり、前記諸条件
の選択に応じて実用的な最適時間がこの範囲内で決定さ
れる。
反応は回分式、半連続式または連続式で実施することが
できる。通常は芳香族ニトロ化合物を溶剤に溶かした溶
液と触媒各成分は反応に先立ち混合して、または別々に
反応器内へ供給される。反応器は一酸化炭素まで反応圧
力に加圧され且つ反応温度に保たれる。連続式では連続
的に反応器内の二酸化炭素混合気体が排出され、一酸化
炭素が圧入される。
所定時間を経過した反応混合物は、冷却されて気液分離
される。
反応液は、使用した触媒成分、溶媒の種類および使用量
などにより、均一溶液であったり、一部または大部分の
パラジウム化合物が析出していたり、また少量の助触媒
成分が一緒に固体となっている場合もある。
大部分のパラジウム化合物が析出している場合には、こ
れをろ別し、少量の溶媒で洗浄したのち乾燥させる。
均一溶液であったり、析出量が充分でない場合には析出
操作を行う。析出操作としては冷却、濃縮、貧溶媒の添
加などで充分であるが、その程度は場合による。また当
初均一であった反応液でも、長時間放置、かきまぜある
いは窒素でバブリングすると、多量のパラジウム化合物
を析出する場合もある。かくして得られた固体をろ別し
少量の溶媒で洗浄後乾燥させる。液温および操作温度は
通常40℃以下であるが、より好ましくは10゜から30℃の
範囲である。温度が高いと溶解度が増しパラジウム化合
物の固体として回収率が低下する。低すぎると溶媒、生
成物、副生成物の凝固も起る。
回収パラジウム化合物は、当初の反応に使用したパラジ
ウム化合物と同一である場合も、そうでない場合もあり
得る。また回収パラジウム化合物とともに少量の助触媒
成分や副生成物などが析出して混入してくる場合もあ
る。これらは抽出などの操作で分離することは可能では
あるが、特別に必要でない限り回収パラジウム化合物と
ともに反応に戻してもさしつかえない。
回収したパラジウム化合物の洗浄に用いる溶媒は、反応
の溶媒として前述したものの他、例えばヘキサン、ヘプ
タン、シクロヘキサンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化
水素などが用いられる。
かくして得られた回収パラジウム化合物は、実施例で示
すように、主触媒としての活性はもとのまま維持されて
いる。
ここに回収されたパラジウム化合物はそのまゝ次の反応
の主触媒として使用するか、または必要な場合には損失
分に見合う新規なパラジウム化合物を追加して次の反応
の主触媒として使用する。この操作を繰返すことにより
主触媒のリサイクルプロセスが成立する。
反応液のろ液からは蒸留あるいは抽出といった常用の方
法により、生成物である芳香族イソシアナート類を分離
する。
〔実施例〕
本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。
実施例−1 (初回反応) 500mlオートクレーブに2,4-ジニトロトルエン(以下2,4
-DNTと略称する)15.00g(0.082モル)、ジクロロビ
ス(キノリン)パラジウム245.6mg(0.564ミリモ
ル、パラジウムとして60.0mg)、ビス(2,4-ペンタ
ジオナト)オキソバナジウム〔VO(acac)〕を149.
5mg(0.564ミリモル)、塩化ホスホリルを86.5mg(0.56
4ミリモル)、キノリンを4.91gおよびo−ジクロロベ
ンゼン195.0gを仕込んだ。パラジウム化合物の対2,4-D
NT使用量は0.68モル%である。一酸化炭素20kg/cm2
で2回オートクレーブ内を置換した後に160kg/cm2まで
加圧装入した。かきまぜながら約30分で220℃に昇温し
た。この温度で3時間反応させたのち、室温まで冷却し
放圧し、反応液をとり出した。オートクレーブ内を20ml
のo−ジクロロベンゼンで洗い反応液に加えた。この反
応液をガスクロマトグラフィー(15%シリコンDC550/
ガスクロムQ、ビフェニル内部標準法、以下同様。)で
分析した。この反応液はDNTを含まず、2,4-トリレン
ジイソシアナート(以下2,4-TDIと略記する。)9.37
g(0.054モル)と、2-ニトロ−4-イソシアナトトルエン
(以下2N4ITと略記する。)が0.49g(0.003モ
ル)、4-ニトロ−2-イソシアナトトルエン(以下4N2
ITと略記する。)が1.13g(0.006モル)が含まれてい
た。
2,4-DNTの転化率は100%であり、2,4-TDI、2N
4ITおよび4N2ITの収率はそれぞれ65.4%、3.3
%および7.7%であった。TDI/Pd生成率は95.4であ
った。
この反応液は当初固体をほとんど含まないが、窒素雰囲
気で1日静置しておいたところ固体が析出して来た。室
温でろ過し、約20mlのo−ジクロロベンゼンで2回洗浄
し減圧乾燥した。803.1mgの回収主触媒が得られた。原
子吸光スペクトル分析によりパラジウムが54.48mg含ま
れている。これは最初に仕込んだジクロロビス(キノリ
ン)パラジウムに含まれるパラジウムの90.8%に相当す
る。
(再使用反応) 初回反応の回収パラジウム化合物に、分析値より計算し
た未回収パラジウム相当量を新規のジクロロビス(キノ
リン)パラジウムで追加して再使用反応を行った。すな
わち初回の反応におけるジクロロビス(キノリン)パラ
ジウムの代りに、回収ポロジウム化合物790.2mg(パラ
ジウムとして53.60mg、0.504ミリモル)とジクロロビス
(キノリン)パラジウム26.2mg(パラジウムとして6.40
mg、0.060ミリモル)を用いて、初回の反応のパラジウ
ム量と同じにした以外は全て初回の反応と同様にした。
2,4-DNTの転化率100%であり2,4-TDI、2N4I
Tおよび4N2ITの収率はそれぞれ68.1%、2.1%お
よび5.4%であった。TDI/Pd生成率は99.5であっ
た。
かくの如く、回収主触媒は同等の活性を示した。
比較例−1 実施例−1の初回の反応において、キノリンを使用しな
かった以外は全て実施例−1と同様にしたところ、2,4-
DNTの転化率は15.2%で2,4-TDI、2N4ITおよ
び4N2ITの収率はそれぞれ0.1%、3.4%および5.9
%であった。
反応後反応液に黒色の固体が沈殿しており、かきまぜ棒
および温度測定用の管の壁には金属状パラジウムが認め
られた。
比較例−2 実施例−1においてビス(2,4-ペンタンジオナト)オキ
ソバナジウムを使用しなかった以外は全て実施例−1と
同様にしたところ2,4-DNTの転化率96.2%、2,4-TD
I、2N4ITおよび4N2ITの収率はそれぞれ20.1
%、17.6%および43.2%と反応成績は大きく低下した。
実施例−2 (初回反応) 2のオートクレーブを用い、全ての仕込み量を実施例
−1と初回の反応の4倍とした以外は全て実施例−1と
同様に行った。ジクロロビス(キノリン)パラジウムの
正確な使用量は983.1mg(2.257ミリモル、パラジウムと
して240.1mg)である。2,4-DNTの転化率100%であり
2,4-TDI、2N4ITおよび4N2ITの収率はそれ
ぞれ65.8%、3.0%および12.3%であった。TDI/Pd
生成率は96.1であった。反応液を冷却放圧してから70分
後に常温でろ過し洗浄乾燥後、仕込みのパラジウム量の
41.9%の回収主触媒〔回収主触媒(A)とする。〕が1.
611g得られた。ろ液に窒素ガスを吹き込んでバブリング
を約10時間つづけたところ更に固体が析出しろ過後、仕
込みのパラジウム量の47.2%分の回収主触媒〔回収主触
媒(B)とする。〕が1.574g更に得られた。合計で89.3
%の回収率となった。ろ液中には濃度約30ppm(重量ベ
ース)のパラジウムが未回収で残存していた。
回収主触媒(A)および(B)を元素分析、赤外吸収ス
ペクトル、X線回折で分析したところ、主成分はジクロ
ロビス(キノリン)パラジウムそのものであり、微量の
バナジウムおよびリンも含まれていた。イソシアナート
基の吸収はほとんどないが炭素、水素、窒素の含量が多
く、イソシアナート以外の副生した含窒素化合物が含ま
れていることが判る。
(再使用反応) 回収主触媒(A)と(B)を一部づつとり、回収された
重量比で混合した。主触媒としてこの混合物903.2mg
(パラジウムとして60.0mg)を用い、新規なパラジウム
化合物は使用しないで、その他は全て実施例−1の初回
の反応と同様にして500mlのオートクレーブで反応させ
た。2,4-DNT転化率は100%であり、2,4-TDI、2
N4ITおよび4N2ITの収率はそれぞれ64.0%、4.
1%および10.2%でありTDI/Pd生成率は93.5であっ
た。回収主触媒は同等の活性を示している。
実施例−3 実施例−1の初回の反応と全く同様にして250.2gの反応
液を得た。約100℃、40ないし50mmHgの減圧下で反応液
を濃縮し、123.5gの留分を除去した。濃縮液を窒素雰囲
気下に室温で半日かきまぜた後固体をろ過し、20mlのo
−ジクロロベンゼンで2回、20mlのヘキサンで1回洗浄
後、減圧乾燥した。固体1.123gが得られ、パラジウムが
56.28mg含まれており、その回収率は93.8%であった。
この回収固体1.101g(0.519ミリモル、パラジウムとし
て55.18mg)を用い、パラジウムの不足分は新たなジク
ロロビス(キノリン)パラジウム19.7mg(0.045ミリモ
ル、パラジウムとして4.81mg)を加えて、他は全て実施
例−1の再使用反応と同様にして反応させた。2,4-DN
Tの転化率は100%であり2,4-TDI、2N4ITおよ
び4N2ITの収率はそれぞれ64.2%、3.6%および8.5
%でありTDI/Pd生成率は93.7であり、回収主触媒は
同等の活性を示した。
実施例−4 実施例−1の初回反応におけるジクロロビス(キノリ
ン)パラジウムの代りに塩化パラジウム、キノリンの代
りにイソキノリン、ビス(2,4-ペンタンジオナト)オキ
ソバナジウムの代りにクロロビス(2,4-ペンタンジオナ
ト)オキソバナジウム〔VOCl(acac)〕、塩化ホス
ホリルの代りに五塩化リンを用い、o−ジクロロベンゼ
ンを20重量%含むトルエンを溶媒として、その他は全て
実施例−1の初回反応と同様にして反応させた。
2,4-DNTの転化率100%、2,4-TDI、2N4ITお
よび4N2ITの収率はそれぞれ54.1%、6.2%および1
5.3%であった。TDI/Pd生成率は79.0であった。反
応液を約10時間窒素ガスでバブリングした後、翌日、室
温でろ過した。トルエン20mlで洗浄後乾燥し、1.012gの
固体が回収されパラジウムとして56.32mgが含まれてい
た。回収率は93.9%である。この回収パラジウム化合物
1.001g(0.524ミリモル、パラジウムとして55.71mg)を
用い、パラジウムの不足分は塩化パラジウム7.15mg(0.
040ミリモル、パラジウムとして4.29mg)で補って、他
は全て初回の反応と同様にして反応させたところ、2,4-
DNTの転化率100%、2,4-TDI、2N4ITおよび
4N2ITの収率はそれぞれ56.5%、4.8%および14.4
%であり、TDI/Pd生成率82.5であった。初回反応と
同等の成績が得られた。
〔発明の効果〕
本発明の方法によると、触媒系が極めて効果的であるた
めに目的とする芳香族イソシアナートを高収率で、しか
もパラジウムの使用量当り高収量で製造できる上に、パ
ラジウムの化合物が反応液から容易に且つ高収率で回収
され、しかもその活性が維持されているので、そのまゝ
主触媒として循環使用でき、極めて工業上有利に芳香族
イソシアナートを製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07B 61/00 300

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ニトロ化合物と一酸化炭素とを高温
    高圧下に反応させて芳香族イソシアナートを製造する方
    法において、含窒素複素環式化合物の存在下に、主触媒
    としてパラジウム化合物、助触媒として1,3-ジケトン化
    合物が配位したバナジウムのキレート化合物とリンの塩
    化物または酸塩化物とを用い、溶媒として芳香族炭化水
    素または塩素化芳香族炭化水素を用いて反応を行ない、
    反応終了後に析出しまたは析出せしめて回収されるパラ
    ジウム化合物を主触媒として循環使用することを特徴と
    する芳香族ニトロ化合物と一酸化炭素とから芳香族イソ
    シアナートを製造する方法。
JP60100391A 1985-05-14 1985-05-14 芳香族イソシアナ−ト類の製造法 Expired - Lifetime JPH0611745B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60100391A JPH0611745B2 (ja) 1985-05-14 1985-05-14 芳香族イソシアナ−ト類の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60100391A JPH0611745B2 (ja) 1985-05-14 1985-05-14 芳香族イソシアナ−ト類の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS61260049A JPS61260049A (ja) 1986-11-18
JPH0611745B2 true JPH0611745B2 (ja) 1994-02-16

Family

ID=14272693

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60100391A Expired - Lifetime JPH0611745B2 (ja) 1985-05-14 1985-05-14 芳香族イソシアナ−ト類の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0611745B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007254292A (ja) * 2006-03-20 2007-10-04 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd ジフェニルスルホンジイソシアネートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS61260049A (ja) 1986-11-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4186269A (en) Process for producing an aromatic urethane
US3674827A (en) Preparation of aromatic isocyanates
JPH0611745B2 (ja) 芳香族イソシアナ−ト類の製造法
US4469882A (en) Process for the production of aromatic carbamates
US3923850A (en) Preparation of aromatic isocyanates
US4629804A (en) Process for preparation of urethanes
US5091571A (en) Process for preparing N,N'-disubstituted urea
US3654279A (en) Complex of the formula pdl(co)x2 where l is heteroaromatic nitrogen compound and x is a halide
JPS6318939B2 (ja)
JPS61191660A (ja) 芳香族イソシアナ−トの製法
JPS6318576B2 (ja)
US3657308A (en) Catalytic carbonylation of aromatic nitro compounds in the presence of organic carbonates
US3781321A (en) Preparation of aromatic isocyanates
JPS585903B2 (ja) 芳香族イソシアネ−トの製法
JPS6160825B2 (ja)
JPH0124784B2 (ja)
JPS6160826B2 (ja)
JPS60193958A (ja) 芳香族ウレタンの製造方法
JPS60193959A (ja) 芳香族ウレタンの製造方法
JPH0529349B2 (ja)
JPS61191662A (ja) 芳香族イソシアナ−トの製造方法
JPH0374358A (ja) 芳香族ウレタンの製造方法
JPS5811942B2 (ja) 芳香族ウレタンの精製方法
JPS6342614B2 (ja)
JPS6115868B2 (ja)