JPH061163A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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Publication number
JPH061163A
JPH061163A JP4184364A JP18436492A JPH061163A JP H061163 A JPH061163 A JP H061163A JP 4184364 A JP4184364 A JP 4184364A JP 18436492 A JP18436492 A JP 18436492A JP H061163 A JPH061163 A JP H061163A
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JP
Japan
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shift
throttle valve
engine
gear
valve opening
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Pending
Application number
JP4184364A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasunori Nakawaki
康則 中脇
Kojiro Kuramochi
耕治郎 倉持
Yasuhiko Higashiyama
康彦 東山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
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Publication of JPH061163A publication Critical patent/JPH061163A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アクセルOFF状態で自動変速機がエンジン
ブレーキの作用する低速段へダウンシフトされる際に、
変速時間を短縮するためにエンジン出力を増大させる制
御において、車両の運転状態に拘らず適度にエンジン出
力を増大させるようにする。 【構成】 ステップST1で変速の種類および車速に基
づいて変速前の駆動力と略等しいかやや小さい駆動力が
得られるような基準スロットル弁開度TA20 をデータ
マップから算出し、ステップST2〜ST6で、エンジ
ン冷却水温,EGR作動状態,A/T油温,エアコン作
動状態に基づく補正を加えて、ダウンシフト時にスロッ
トル開き制御を行う際のスロットル弁開度TA2を設定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動変速機の変速制御装
置に係り、特に、アクセルが略OFF状態でダウンシフ
トを行う際の変速制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複数の変速段を有する自動変速機を備え
たオートマチック車両が多用されているが、このような
オートマチック車両においては、下り坂等でアクセルを
OFF状態としても十分なエンジンブレーキ力が得られ
ない場合、運転者がオーバードライブスイッチをOFF
操作したり、シフトレバーをDレンジからSレンジ、L
レンジへ切り換えたりしてダウンシフトを行わせること
により、エンジンブレーキ力を増大させている。また、
アクセルOFF状態で車両の加速度が負以外であったり
車速が一定時間増加し続けたりした場合には、自動的に
ダウンシフトしてエンジンブレーキ力を増大させる自動
エンジンブレーキ制御を行うことも、例えば特開昭62
−246650号公報や特開昭61−103044号公
報等に開示されている。
【0003】ところで、このようにアクセルOFF状態
時にエンジンブレーキ力を増大させるためのダウンシフ
トが行われる場合、ダウンシフトでは自動変速機の変速
比が大きくなるため、それだけエンジンの回転速度を上
昇させる必要がある。この場合、かかるエンジンブレー
キ時にはスロットル弁は通常閉じているため、ダウンシ
フト後の変速段を達成するための低速段側の摩擦係合装
置、例えば油圧クラッチやブレーキのトルク伝達によっ
てアウトプット側のトルクがエンジン側へ伝達されるこ
とにより、エンジンの回転速度が上昇させられることに
なる。このため、変速時間が長くなり油圧クラッチやブ
レーキの摩擦エネルギー量が大きくなって摩擦材の寿命
が低下するとともに、エンジン回転速度の上昇に伴うイ
ナーシャトルクが車両の制動トルクとなって現れ、一時
的にエンジンブレーキ力が増大して変速ショックを生じ
るという問題があった。また、自動変速機の油圧制御等
により油圧クラッチやブレーキの伝達トルクを急増させ
ると、エンジン回転速度が速やかに上昇して変速時間は
短くなるものの、制動トルクが急増して変速ショックが
一層大きくなる。
【0004】これに対し、本願出願人は、先に出願した
平成3年特許願第357758号において、アクセルO
FF状態時にダウンシフトする際にはエンジン出力増大
手段により一時的にスロットル弁を開いてエンジン出力
を上昇させ、これによりエンジン回転速度を高めて、制
動トルクの増加に伴う変速ショックを抑制しながらダウ
ンシフトに要する変速時間を短縮することを提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記アクセ
ルOFF状態時のダウンシフトの際のエンジン回転速度
の上昇幅は、変速の種類すなわち変速比の変化量や車速
によって異なるため、スロットル弁の開き量すなわちエ
ンジン出力を増大させる際の制御量が一定であると、エ
ンジン出力の増大量が大き過ぎてエンジンブレーキ力が
低下したりエンジン駆動状態となったり、或いはエンジ
ン出力の増大量が小さ過ぎて十分な変速時間短縮効果が
得られなかったりするなど、意図した効果が充分に得ら
れない場合がある。また、同じスロットル弁開度であっ
ても、例えばEGR(排気ガス再循環装置)の作動状態
やエンジン冷却水温によるエンジンフリクショントルク
変化によりエンジン出力は変化するし、自動変速機内の
作動油の油温(A/T油温)によるオイルポンプ駆動ト
ルクやトルクコンバータ,A/T入力軸のフリクション
トルクの変化、エアコン,オルタネータ等の補機駆動ト
ルク変化などにより、エンジンおよびA/T入力軸の回
転吹上げに要するトルクは変化するため、この点も変速
時間短縮効果等にばらつきを生じる一因となっていた。
【0006】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、車両の作動状態に拘
らず常に適度なエンジン出力の増大制御が行われるよう
にすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めには、変速の種類や車速などの車両の作動状態に応じ
てスロットル弁の開き量などエンジン出力を増大制御す
る際の制御量を設定するようにすれば良く、本発明は、
図1のクレーム対応図に示すように、(a)複数の変速
段を有する自動変速機と、(b)アクセルが略OFF状
態で前記自動変速機がエンジンブレーキの作用する低速
段へダウンシフトされる際にエンジン出力を増大させる
エンジン出力増大手段とを備えた自動変速機の変速制御
装置において、(c)前記エンジン出力増大手段によっ
てエンジン出力を増大させる際の制御量を、車両の作動
状態に基づいて設定する制御量設定手段を有することを
特徴とする。
【0008】
【作用および発明の効果】このような自動変速機の変速
制御装置においては、エンジン出力増大手段によってエ
ンジン出力を増大させる際の制御量が、車両の作動状態
に基づいて制御量設定手段により設定され、その制御量
に従ってエンジン出力が増大させられる。このため、車
両の作動状態に影響されることなく常に適度なエンジン
出力の増大制御を行うことが可能となり、一時的な制動
力増大や車両加速等による変速ショックを抑制しつつ、
確実に変速時間を短縮して摩擦係合装置の寿命を向上さ
せることができるようになる。なお、上記制御量の設定
に際して考慮すべき車両の作動状態としては、ダウンシ
フト時のエンジン回転速度変化に直接影響する変速の種
類や車速は勿論であるが、エンジンの発生トルク自体に
影響するエンジン冷却水温やEGRの作動状態、トルク
コンバータやA/T入力軸のフリクショントルクに影響
するA/T油温、或いはエアコン等の補機類の作動状態
についても考慮することが望ましい。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0010】図2において、ガソリンエンジン10の燃
焼室12内には、エアクリーナ14,エアフローメータ
16,吸気通路18,スロットル弁20,バイパス通路
22,サージタンク24,インテークマニホルド26,
および吸気弁28を介して空気が吸入されるとともに、
その空気には、インテークマニホルド26に設けられた
燃料噴射弁30から噴射される燃料ガスが混合されるよ
うになっている。エアフローメータ16は吸入空気量を
測定するもので、その吸入空気量を表す信号をエンジン
制御用コンピュータ32に出力する。スロットル弁20
はエンジン10に吸入される空気量を連続的に変化させ
るもので、スロットル制御用コンピュータ35から供給
されるスロットル制御信号DTAに従ってスロットル弁
開度θが制御されるようになっているとともに、そのス
ロットル弁20にはスロットルポジションセンサ36が
設けられて、スロットル弁開度θを表すスロットル弁開
度信号Sθをエンジン制御用コンピュータ32、トラン
スミッション制御用コンピュータ34、およびスロット
ル制御用コンピュータ35に出力する。バイパス通路2
2はスロットル弁20と並列に配設されているととも
に、そのバイパス通路22にはアイドル回転数制御弁3
8が設けられており、エンジン制御用コンピュータ32
によってアイドル回転数制御弁38の開度が制御される
ことにより、スロットル弁20をバイパスして流れる空
気量が調整されてアイドル時のエンジン回転数が制御さ
れる。燃料噴射弁30も、エンジン制御用コンピュータ
32によってその噴射タイミングや噴射量が制御され
る。なお、上記エアフローメータ16の上流側には吸入
空気の温度を測定する吸気温センサ40が設けられ、そ
の吸気温を表す信号をエンジン制御用コンピュータ32
に出力する。
【0011】エンジン10は、吸気弁28,排気弁4
2,ピストン44,および点火プラグ46を備えて構成
されており、点火プラグ46は、エンジン制御用コンピ
ュータ32によって制御されるイグナイタ48からディ
ストリビュータ50を介して供給される高電圧によって
点火火花を発生し、燃焼室12内の混合ガスを爆発させ
てピストン44を上下動させることによりクランク軸を
回転させる。吸気弁28および排気弁42は、クランク
軸の回転に同期して回転駆動されるカムシャフトにより
開閉されるようになっているとともに、エンジン制御用
コンピュータ32によって制御される図示しない可変バ
ルブタイミング機構により、カムシャフトとクランク軸
との回転位相が変更されて開閉タイミングが調整される
ようになっている。そして、燃焼室12内で燃焼した排
気ガスは、排気弁42からエキゾーストマニホルド5
4,排気通路56,触媒装置58を経て大気に排出され
る。エンジン10にはエンジン冷却水温THWを測定す
る水温センサ60が設けられており、そのエンジン冷却
水温THWを表す信号STHWをエンジン制御用コンピ
ュータ32およびトランスミッション制御用コンピュー
タ34に出力するようになっているとともに、エキゾー
ストマニホルド54には排気ガス中の酸素濃度を検出す
る酸素センサ62が設けられており、その酸素濃度を表
す信号をエンジン制御用コンピュータ32に出力する。
また、ディストリビュータ50にはクランク軸の回転に
同期してパルスを発生する回転角センサ51が設けられ
ており、そのパルス信号すなわちエンジン回転速度NE
を表すエンジン回転速度信号SNEをエンジン制御用コ
ンピュータ32およびトランスミッション制御用コンピ
ュータ34に出力する。エンジン10にはまた、エキゾ
ーストマニホルド54から排気ガスを導いてスロットル
弁20付近へ再循環させるEGR(排気ガス再循環装
置)64が設けられており(管路の図示省略)、エンジ
ン制御用コンピュータ32からのEGR制御信号DEG
Rが供給されて有害ガス(NOx )の低減制御が行われ
るようになっている。このEGR制御信号DEGRは、
トランスミッション制御用コンピュータ34にも供給さ
れるようになっている。
【0012】上記エンジン制御用コンピュータ32,ト
ランスミッション制御用コンピュータ34,スロットル
制御用コンピュータ35は、何れもCPU,RAM,R
OM,入出力インタフェース回路,A/Dコンバータ等
を備えて構成されており、RAMの一時記憶機能を利用
しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号
処理を行うもので、トランスミッション制御用コンピュ
ータ34には、上記各信号の他、エアコンスイッチ66
からのアエコンのON,OFFを表すアエコン信号S
A、パターンセレクトスイッチ70から選択パターンを
表すパターン信号SP、ブレーキランプスイッチ72か
らブレーキが踏込み操作されたことを表すブレーキ信号
SB、オーバードライブスイッチ74からO/D変速段
までの変速許可を表すO/D信号SO、アクセル操作量
センサ76からアクセルペダルの操作量Acを表すアク
セル操作量信号SAcがそれぞれ供給されるようになっ
ている。アクセル操作量信号SAcはエンジン制御用コ
ンピュータ32およびスロットル制御用コンピュータ3
5にも供給される。上記パターンセレクトスイッチ70
は、動力性能を重視した変速マップによって自動変速機
78の変速制御を行うパワーパターン、燃費を重視した
変速マップによって変速制御を行うエコノミーパターン
など、予め定められた複数の走行パターンの中から運転
者が好みの走行パターンを選択操作するものである。ま
た、ブレーキランプスイッチ72はブレーキペダルの近
傍に配設され、ブレーキペダルが踏込み操作されたか否
かによってON,OFFが切り換えられるON−OFF
スイッチ等により構成されている。
【0013】自動変速機78は、例えば図3に示すよう
にトルクコンバータ110,第1変速機112,および
第2変速機114を備えて構成されている。トルクコン
バータ110のポンプ翼車は前記エンジン10のクラン
ク軸118に連結されており、タービン翼車は入力軸1
20を介して第1変速機112のキャリヤ122に連結
されている。第1変速機112は、サンギヤ124,リ
ングギヤ126,およびキャリヤ122に回転可能に配
設されてサンギヤ124,リングギヤ126と噛み合わ
されているプラネタリギヤ128から成る遊星歯車装置
を含んで構成されており、サンギヤ124とキャリヤ1
22との間にはクラッチC0 および一方向クラッチF0
が並列に設けられ、サンギヤ124とハウジング130
との間にはブレーキB0 が設けられている。
【0014】第2変速機114は、サンギヤ132,一
対のリングギヤ134,136,キャリヤ138に回転
可能に配設されてサンギヤ132,リングギヤ134と
噛み合わされているプラネタリギヤ140,およびキャ
リヤ142に回転可能に配設されてサンギヤ132,リ
ングギヤ136と噛み合わされているプラネタリギヤ1
44とから成る複合型の遊星歯車装置を含んで構成され
ており、リングギヤ136と前記第1変速機112のリ
ングギヤ126との間にはクラッチC1 が設けられ、サ
ンギヤ132とリングギヤ126との間にはクラッチC
2 が設けられ、サンギヤ132とハウジング130との
間にはブレーキB1 と、直列に配設された一方向クラッ
チF1 およびブレーキB2 とが並列に設けられ、キャリ
ヤ138とハウジング130との間にはブレーキB3
よび一方向クラッチF2 が並列に設けられている。ま
た、リングギヤ134およびキャリヤ142は出力軸1
46に一体的に連結されており、その出力軸146は差
動歯車装置等を介して駆動輪に連結されている。
【0015】上記クラッチC0 〜C2 およびブレーキB
0 〜B3 (以下、特に区別しない場合にはクラッチC,
ブレーキBという)は、多板式のクラッチやバンドブレ
ーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油
圧式摩擦係合装置であり、その油圧アクチュエータに
は、油圧制御回路150から作動油が供給されるように
なっている。油圧制御回路150は多数の切換バルブ等
を備えており、トランスミッション制御用コンピュータ
34からの信号に従ってソレノイドS1,S2,および
S3の励磁,非励磁がそれぞれ切り換えられることによ
り、油圧回路が切り換えられて上記クラッチCおよびブ
レーキBが選択的に係合制御され、図4に示されている
ように前進4段のうちの何れかの変速段が成立させられ
る。かかる図4におけるソレノイドの欄の「○」印は励
磁、「×」印は非励磁を意味し、クラッチおよびブレー
キの欄の「○」印は係合、「×」印は解放を意味する。
シフトポジションの「D」,「S」,「L」は運転席の
シフトレバーの操作レンジであり、「D(ドライブ)」
レンジでは1stからO/Dまでの4段で変速制御が行
われ、「S(セカンド)」レンジでは1stおよび2n
dの2段で変速制御が行われ、「L(ロー)」レンジで
は1st変速段に固定される。変速比(入力軸120の
回転速度/出力軸146の回転速度)は、1stで最も
大きく、2nd,3rd,O/Dとなるに従って小さく
なり、3rdの変速比は1.0である。また、「D」レ
ンジでは、3rdおよびO/Dでエンジンブレーキが作
用し、1stおよび2ndでは一方向クラッチF2 ,F
1 の作用によりエンジンブレーキが効かないが、「S」
レンジの2ndおよび「L」レンジの1stでは、ソレ
ノイドS3が励磁されることによりエンジンブレーキが
作用するようになっている。なお、図示は省略するが、
シフトレバーが「R(リバース)」レンジへ操作される
と、油圧制御回路150のマニュアルシフトバルブが切
り換えられて後進変速段が成立させられる。
【0016】かかる自動変速機78には、一対の回転速
度センサ80および82が配設されている。回転速度セ
ンサ80は入力軸120すなわちトルクコンバータ11
0のタービン翼車の回転速度NT を検出するもので、回
転速度センサ82は出力軸146の回転速度NO を検出
するものであり、それぞれその回転速度NT ,NO を表
す回転速度信号SNT ,SNO をトランスミッション制
御用コンピュータ34に出力する。また、油圧制御回路
150にはニュートラルスタートスイッチ84が配設さ
れており、シフトレバー操作によって切り換えられるマ
ニュアルシフトバルブの位置から前記「D」,「S」,
「L」,「R」等のシフトレンジを検出して、そのシフ
トレンジを表すシフトレンジ信号SRをトランスミッシ
ョン制御用コンピュータ34に出力する。油圧制御回路
150にはまた、作動油の油温(A/T油温)THOを
検出する油温センサ86が設けられ、そのA/T油温T
HOを表す油温信号STHOをトランスミッション制御
用コンピュータ34に出力するようになっている。
【0017】なお、上記制御用コンピュータ32,3
4,35間では必要な情報が授受されるようになってお
り、前記スロットル弁開度信号Sθやエンジン回転速度
信号SNE,冷却水温信号STHW,アクセル操作量信
号SAcは、少なくとも何れかの制御用コンピュータ3
2,34,または35に供給されるようになっておれば
良い。また、例えばステアリングホイールの操舵角、路
面の勾配、排気温度など、自動車の運転状態を表す他の
種々の信号を取り込んで、エンジン制御や自動変速機7
8の変速制御,スロットル制御に利用することも可能で
ある。
【0018】そして、上記エンジン制御用コンピュータ
32は、前記吸入空気量やスロットル弁開度θ,エンジ
ン回転速度NE,エンジン10の冷却水温THW,吸入
空気温度,排気通路56内の酸素濃度,アクセル操作量
Acなどに応じて、例えば必要なエンジン出力を確保し
つつ燃費や有害排出ガスを低減するように予め定められ
たデータマップや演算式などに基づいて、前記燃料噴射
弁30による燃料ガスの噴射量や噴射タイミング、イグ
ナイタ48による点火時期、アイドル回転数制御弁38
によるアイドル回転数、可変バルブタイミング機構によ
る吸排気弁28,42の開閉タイミング、およびEGR
64による排気ガス再循環などを制御する。トランスミ
ッション制御用コンピュータ34は、スロットル弁開度
θ,エンジン回転速度NE,パターン信号SPが表す選
択パターン,ブレーキ信号SBが表すブレーキ操作の有
無,O/D信号SOが表すO/D変速段への変速の可
否,アクセル操作量Ac,自動変速機78の出力軸回転
速度NO などに基づいて、ソレノイドS1,S2,およ
びS3の励磁,非励磁をそれぞれ切り換えることにより
自動変速機78の変速段を切換制御する。トランスミッ
ション制御用コンピュータ34はまた、トルクコンバー
タ110のロックアップクラッチについても、油圧制御
回路150に設けられた図示しないソレノイドをデュー
ティ制御することにより、完全係合かスリップ状態か解
放かを切り換えるようになっているとともに、スロット
ル制御用コンピュータ35にスロットル指令信号SQを
出力してスロットル弁20のスロットル弁開度θを制御
するようになっている。スロットル制御用コンピュータ
35は、基本的に上記スロットル指令信号SQに従って
スロットル弁開度θを制御するためのスロットル制御信
号DTAを出力するようになっている。
【0019】以下、上記トランスミッション制御用コン
ピュータ34による変速制御およびスロットル制御につ
いて、図5〜図9のフローチャートを参照しつつ具体的
に説明する。図5乃至図7のフローチャートは自動変速
機78の変速段を切り換える変速制御に関するもので、
図8および図9のフローチャートはスロットル制御に関
するものであり、それぞれ8〜32msec程度のサイ
クルタイムで繰り返し実行される。
【0020】先ず、図5のステップSA1では、シフト
レンジ信号SRに基づいて現在「D」レンジか否かを判
断し、「D」レンジでない場合には図6のステップSA
13以下を実行するが、「D」レンジの場合にはステッ
プSA2以下を実行する。ステップSA2では、O/D
信号SOに基づいてO/D変速段までの変速が可能か否
かを判断し、O/D信号SOがOFFすなわちO/D変
速段が禁止されている場合には、ステップSA3におい
て現在O/D変速段か否かを判断する。現在の変速段
は、前記ソレノイドS1,S2,S3を励磁する励磁信
号の出力状態によって判断されるようになっている。こ
こで、現在O/D変速段であることは、O/D変速段で
走行中にオーバードライブスイッチ74がOFF操作さ
れたことを意味し、この場合にはステップSA11にお
いて次変速段として「3rd」を設定する。上記ステッ
プSA2の判断がNOすなわちO/D変速段が許容され
ている場合、或いはステップSA2の判断がYESであ
っても現在O/D変速段でなくステップSA3の判断が
NOで且つ現在3rdでもなくステップSA4の判断が
NOの場合には、続いてステップSA5を実行する。ス
テップSA5では、現在の変速段がO/D変速段である
か否かを判断し、O/D変速段でない場合には、ステッ
プSA6以下を実行してアップシフトを行うか否かを判
断する。
【0021】ステップSA6では、予め定められたアッ
プシフトマップをサーチし、シフトアップ車速Vuを求
める。アップシフトマップは、図10において実線で示
されているように、アクセル操作量Acおよび車速Vに
基づいて変速の種類毎に予め定められており、アクセル
操作量Acが小さく車速Vが大きくなる程高速段側へア
ップシフトするようになっている。シフトアップ車速V
uは、アクセル操作量Acに基づいてアップシフトマッ
プに従って求められ、次のステップSA7において、前
記回転速度信号SNO が表す出力軸回転速度NO に対応
する現在の車速Vと上記シフトアップ車速Vuとを比較
し、アップシフトを行うか否かを判断する。すなわち、
V≦Vuであればアップシフトを行う必要はなく、ステ
ップSA8において現在の変速段が1stであるか否か
を判断し、1stであればダウンシフト判断を行う必要
がないため図7のステップSA28以下を実行するが、
V>Vuの場合には、ステップSA11において次変速
段として現在の変速段よりも高速段側の変速段を設定す
る。この場合に、現在の変速段が例えば2ndであって
も、3rdへの変速判断が為された後実際に3rdへの
変速段の切換えが行われる前にアクセル操作量Acが急
激に小さくなるなどして「3→O/D」アップシフト線
を超えた場合には、O/D変速段が設定される。ステッ
プSA6では現在のアクセル操作量Acから総てのアッ
プシフト線に関するシフトアップ車速Vuを求め、ステ
ップSA7ではその各々のシフトアップ車速Vuと現在
の車速Vとを比較してアップシフトの変速判断を行うの
である。
【0022】前記ステップSA4の判断がYESの場
合、ステップSA5の判断がYESの場合、或いはステ
ップSA8の判断がNOの場合には、ステップSA9以
下を実行してダウンシフトを行うか否かを判断する。ス
テップSA9では、予め定められたダウンシフトマップ
をサーチし、シフトダウン車速Vdを求める。ダウンシ
フトマップは、図10において破線で示されているよう
に、アクセル操作量Acおよび車速Vに基づいて変速の
種類毎に予め定められており、アクセル操作量Acが大
きく車速Vが小さくなる程低速段側へダウンシフトする
ようになっている。シフトダウン車速Vdは、アクセル
操作量Acに基づいてダウンシフトマップに従って求め
られ、次のステップSA10において、出力軸回転速度
O に対応する現在の車速Vと上記シフトダウン車速V
dとを比較し、ダウンシフトを行うか否かを判断する。
すなわち、V>Vdであればダウンシフトを行う必要は
なく、図7のステップSA28以下を実行するが、V≦
Vdの場合には、ステップSA11において次変速段と
して現在の変速段よりも低速段側の変速段を設定する。
この場合に、現在の変速段が例えばO/Dであっても、
3rdへの変速判断が為された後実際に3rdへの変速
段の切換えが行われる前にアクセル操作量Acが急激に
大きくなるなどして「2←3」ダウンシフト線を超えた
場合には、2nd変速段が設定される。ステップSA9
では現在のアクセル操作量Acから総てのダウンシフト
線に関するシフトダウン車速Vdを求め、ステップSA
10ではその各々のシフトダウン車速Vdと現在の車速
Vとを比較してダウンシフトの変速判断を行うのであ
る。
【0023】「D」レンジでない場合に実行する図6の
ステップSA13では、「S」レンジか否かを判断し、
「S」レンジの場合には、ステップSA14およびSA
15において、ソレノイドS1,S2,S3を励磁する
励磁信号の出力状態から現在の変速段がO/Dまたは3
rdであるか否かを判断するとともに、O/Dまたは3
rdの場合にはステップSA16で次変速段として2n
dを設定する。現在の変速段がO/Dでも3rdでもな
い場合には、ステップSA17において現在の変速段が
2ndであるか否かを判断し、2ndの場合には、ステ
ップSA18において前記図10の「1←2」ダウンシ
フト線から現在のアクセル操作量Acに基づいてシフト
ダウン車速Vdを求めるとともに、ステップSA19に
おいて現在の車速Vがシフトダウン車速Vdより大きい
か否かを判断し、V≦VdであればステップSA20で
次変速段として1stを設定する。2ndでない場合、
すなわち現在1st変速段である場合には、上記ステッ
プSA17に続いてステップSA21を実行し、前記図
10の「1→2」アップシフト線から現在のアクセル操
作量Acに基づいてシフトアップ車速Vuを求めるとと
もに、ステップSA22において現在の車速Vがシフト
アップ車速Vu以下か否かを判断し、V>Vuであれば
前記ステップSA16で次変速段として2ndを設定す
る。
【0024】現在「S」レンジでない場合には、前記ス
テップSA13に続いてステップSA23を実行し、
「L」レンジか否かを判断する。そして、「L」レンジ
の場合には、ステップSA24,SA25,SA26に
おいて現在の変速段がO/D,3rd,または2ndで
あるか否かを判断し、O/D,3rd,または2ndの
場合にはステップSA27において次変速段として1s
tを設定する。
【0025】上記ステップSA8,SA10,SA1
9,SA22の判断がYES、或いはステップSA26
の判断がNOの場合、すなわち現在の変速段を維持する
場合には、続いて図7のステップSA28を実行し、フ
ラグF1およびフラグF2をそれぞれ「0」とした後、
ステップSA29において現変速段を維持するようにソ
レノイドの励磁信号を出力する。また、ステップSA1
1,SA16,SA20,またはSA27において次変
速段が設定された場合には、続いて図5のステップSA
12を実行し、変速タイミング時間T1を設定する。こ
の変速タイミング時間T1は、変速判断が為された後実
際に変速段を切り換えるために変速出力を行う(図7の
ステップSA34)までの遅れ時間で、短時間で複数段
の変速が行われること(多重変速)を防止するために設
けられたものであり、予め一定値が設定されても良い
が、アップシフトかダウンシフトか、或いはどの変速段
からどの変速段への変速かといった変速の種類に応じ
て、それぞれ異なる時間が設定されるようにしても良
い。また、変速判断時のアクセル操作量Acや車速V、
変速段などに応じてマップや演算式等により設定される
ようにすることもできる。
【0026】ステップSA12において変速タイミング
時間T1が設定されると、続いて図7のステップSA3
0を実行する。ステップSA30では、フラグF1が
「0」か否かを判断し、F1が「0」でない場合にはス
テップSA32以下を実行するが、F1=0の場合には
ステップSA31においてタイマTaをリセットした
後、ステップSA32を実行してフラグF1を「1」に
する。フラグF1は、現変速段を維持する場合に実行す
る前記ステップSA28において「0」とされるため、
次変速段が設定された最初のサイクルでは「0」であ
り、タイマTaは次変速段が設定された後の経過時間を
計時することになる。
【0027】次のステップSA33では、タイマTaの
計時内容が前記変速タイミング時間T1を経過したか否
かを判断し、変速タイミング時間T1を経過するとステ
ップSA34において、前記ステップSA11,SA1
6,SA20,またはSA27で設定された次変速段を
成立させるためのソレノイドの励磁信号を出力する。ま
た、ステップSA35では、上記ステップSA34の変
速出力で成立させられる次変速段がエンジンブレーキの
作用する低速段か否かを、上記励磁信号の出力状態から
判断し、エンジンブレーキの作用する低速段である場合
にはステップSA36でフラグF2を「1」とし、そう
でない場合にはステップSA37でフラグF2を「0」
とする。上記エンジンブレーキの作用する低速段への変
速としては、例えばオーバードライブスイッチ74のO
FF操作に伴うO/Dから3rdへの変速、Dレンジか
らSレンジまたはLレンジへのシフトレバー切り換え操
作に伴う2ndまたは1stへの変速等がある。
【0028】次に、図8のスロットル制御について説明
すると、先ずステップSB1においてフラグF3が
「1」か否かを判断し、F3=1の場合にはステップS
B11を実行し、そうでない場合にはステップSB2を
実行する。ステップSB11ではアクセル操作量Acが
5%程度以下のアクセルOFF状態か否かを判断し、ア
クセルOFF状態の場合にはステップSB8以下を実行
するが、アクセルOFF状態でない場合には、ステップ
SB12においてフラグF3を「0」とした後、ステッ
プSB13において、スロットル弁開度θをアクセル操
作量Acに応じて制御する。このスロットル制御では、
アクセル操作量信号SAcが表すアクセル操作量Acに
基づいて、予め定められたマップまたは演算式からスロ
ットル弁開度TA(Ac)を求め、そのスロットル弁開
度TA(Ac)を目標スロットル弁開度TA* に設定す
るとともに、その目標スロットル弁開度TA* を表すス
ロットル指令信号SQをスロットル制御用コンピュータ
35に出力する。スロットル制御用コンピュータ35
は、フィードバック制御等によりスロットル弁20の実
際のスロットル弁開度θを上記スロットル指令信号SQ
が表す目標スロットル弁開度TA* 、すなわちTA(A
c)と一致させるように、スロットル制御信号DTAを
スロットル弁20に出力する。
【0029】前記ステップSB2ではフラグF2が
「1」、すなわちエンジンブレーキが作用する低速段へ
のダウンシフトか否かを判断し、F2=1の場合にはス
テップSB3を実行するが、そうでない場合にはステッ
プSB12以下を実行する。ステップSB3では、上記
ステップSB11と同様にアクセルOFF状態か否かを
判断し、アクセルOFF状態でない場合にはステップS
B12以下を実行するが、アクセルOFF状態の場合に
はステップSB4以下を実行する。したがって、このス
テップSB4以下の各ステップは、前記ステップSA3
4においてエンジンブレーキが作用する低速段へダウン
シフトするための変速出力が為され、且つアクセルOF
F状態の場合、言い換えればエンジンブレーキ力を増大
するためにオーバードライブスイッチ74やシフトレバ
ーのマニュアル操作でダウンシフトが行われる場合に実
行されることになる。
【0030】ステップSB4ではフラグF3を「1」と
し、これにより次のサイクルからはステップSB1に続
いてステップSB11が実行されるようになる。また、
ステップSB5では、上記ダウンシフトに際してエンジ
ン出力を増大させるためのスロットル弁開度TA2が、
例えば図9のフローチャートにより車両の作動状態に基
づいて設定される。
【0031】図9のステップST1では、ダウンシフト
する変速の種類および現在の車速Vに基づいて、ダウン
シフト前の変速段においてスロットル弁20が全閉の時
の駆動力(この場合は負で制動力として作用する)と略
同じか少し小さい駆動力、すなわちエンジンブレーキ力
が略同じか少し大きくなる駆動力が、ダウンシフト後の
変速段においても得られるような基準スロットル弁開度
TA20 を、例えば図11に示されているような予め記
憶されたデータマップからマップ補間により算出する。
図11のデータマップは、予め実験的に求められた図1
2に示すようなデータに基づいて、変速前の変速段でス
ロットル弁20が全閉の時の駆動力が変速後も得られる
スロットル弁開度を変速の種類および車速毎に求めたも
のである。図12のデータは、図13に示す出力特性を
有するエンジンを備えた車両において、自動変速機78
の変速段がO/D(トータルギヤレシオ=2.890
5)、ギヤ伝達効率が0.855、タイヤ有効半径が
0.306mの場合のもので、例えば車速が80km/
hでアクセルOFF状態の場合の駆動力は、点Bで示す
ように−300N程度である。そして、例えばO/D変
速段から3rd変速段にダウンシフトされる場合には、
3rdの場合の図12に相当するデータにおいて上記駆
動力、すなわち−300Nと略同じか少し小さい駆動力
が80km/hの車速で得られるスロットル弁開度の値
が基準スロットル弁開度TA20 となる。図11の「O
/D→3rd」変速時の基準スロットル弁開度TA231
〜TA23nは、このようにして車速V1 〜Vn 毎に定め
られており、「3rd→2nd(S3 ON)」変速時
の基準スロットル弁開度TA221〜TA22nも、2nd
変速段の駆動力データを用いて上記と同様に設定されて
いる。図示は省略するが、O/D変速段からエンジンブ
レーキが作用する2nd変速段への変速や3rd変速段
からエンジンブレーキが作用する1st変速段への変速
など、他のダウンシフトについても、上記と同様に基準
スロットル弁開度TA20 が求められてマップが作成さ
れている。この基準スロットル弁開度TA20 は、同じ
変速の種類では車速が大きい程大きくなり、同じ車速で
あれば高速段側におけるダウンシフトの場合より低速段
側におけるダウンシフトの場合の方が大きくなる。
【0032】ステップST2〜ST5では、ステップS
T1で算出された基準スロットル弁開度TA20 を基準
として、エンジン10自体の出力トルクや自動変速機7
8への入力トルクに影響を与える車両の作動状態に基づ
いてそれぞれ補正を加え、最終的なスロットル弁開度T
A2を設定する。すなわち、スロットル弁20の開き制
御によるエンジン10やA/T入力軸120の回転吹上
げ量は、スロットル弁開度θが一定であったとしても、
エンジン冷却水温THW,A/T油温THOの高低、E
GR64の排気ガス再循環状態、エアコンの駆動状態な
どによって様々な影響を受けて変化する。例えば、エン
ジン発生トルクは、エンジン冷却水温THWの高低によ
るエンジンフリクショントルクの変化やEGR64の作
動状態によって変化するし、実際にA/T入力軸120
の回転速度NT の上昇に寄与するトルクは、A/T油温
THOの高低によるオイルポンプ駆動トルクやA/T入
力軸120,トルクコンバータ110のフリクショント
ルクの変化、エアコン等の補機類の作動状態によって変
化するのである。そして、これ等の変化に伴って駆動力
も変化し、変速前後の駆動力が略等しくなるスロットル
弁開度TA2も変化してしまうのである。
【0033】ステップST2〜ST5は、このような車
両各部の作動状態に拘らず常に変速前後の駆動力が略等
しくなるスロットル弁開度TA2を求めるためのもの
で、冷却水温信号STHW,EGR64への制御信号D
EGR,油温信号STHO,エアコン信号SAに基づい
て、エンジン冷却水温THW,EGR64の作動状態,
A/T油温THO,エアコンの作動状態に応じてそれぞ
れ予め実験やシミュレーション等により定められた図示
しないデータマップや演算式から補正係数や補正量を求
め、基準スロットル弁開度TA20 を順次補正して補正
スロットル弁開度TA21 ,TA22 ,TA23 ,TA
4 をそれぞれ算出し、ステップST6において最終の
補正スロットル弁開度TA24 をスロットル弁開度TA
2として設定する。基準スロットル弁開度TA20 を求
めるための前記図12の駆動力データは、エンジン冷却
水温THWおよびA/T油温THOがそれぞれ予め定め
られた基準温度で、EGR64およびエアコンがそれぞ
れ非作動時の場合のものであり、ステップST2,ST
4における補正係数や補正量は、それぞれ基準温度と実
際のエンジン冷却水温THW,A/T油温THOとの偏
差に基づいて、エンジン冷却水温THW,A/T油温T
HOが基準温度より低い場合にはスロットル弁開度TA
2が大きくなるように定められている。また、ステップ
ST3,ST5における補正係数や補正量は、それぞれ
EGR64,エアコンの作動時にはスロットル弁開度T
A2が大きくなるように定められている。
【0034】図8に戻って、ステップSB6では、スロ
ットル弁開度θの変更タイミング時間T2を設定する。
このスロットル弁開度変更タイミング時間T2は、前記
ステップSA34においてダウンシフトの変速出力が為
されてからスロットル弁20を開き制御するまでの遅れ
時間であり、ダウンシフトの際に解放される高速段側の
クラッチCやブレーキBに滑りが生じ始めるタイミング
に合わせてエンジン回転速度NEが上昇するように、現
在のエンジン回転速度NEおよびA/T油温THOをパ
ラメータとして予め実験やシミュレーション等によって
設定された図14のデータマップからマップ補間により
算出される。この場合に、A/T油温THOが高い程作
動油の粘性抵抗は低くなり、ドレーンやアプライに要す
る時間が短くなるとともに、変速出力が為されたのち高
速段側のクラッチCやブレーキBに滑りが生じ始めるま
での遅れ時間は短くなるため、スロットル弁開度変更タ
イミング時間T2はA/T油温THOが高い程小さな値
となる。また、エンジン回転速度NEが高い程、スロッ
トル弁20を開き制御したのち実際にエンジン10がそ
の回転速度NEまで吹き上がるまでの遅れ時間は長くな
るため、スロットル弁開度変更タイミング時間T2はエ
ンジン回転速度NEが高い程小さな値となる。
【0035】ここで、O/D変速段から3rd変速段へ
ダウンシフトする際のタイムチャートである図15を参
照しつつ、上記スロットル弁開度変更タイミング時間T
2について具体的に説明する。先ず、時間t1において
ステップSA34で変速出力が為され、ソレノイドS2
がON(励磁)されると、油圧制御回路150のバルブ
が切り換えられることにより、O/D→3rdダウンシ
フトの際に解放されるO/D変速段の摩擦係合装置であ
るブレーキB0 の係合油圧PB0が低下させられるととも
に、O/D→3rdダウンシフトの際に係合させられる
3rd変速段の摩擦係合装置であるクラッチC0 の係合
油圧PC0が上昇させられる。時間t2は上記係合油圧P
B0の低下に伴ってブレーキB0 が滑り始めた時間で、時
間t4は、スロットル弁20がアクセル操作量Acに対
応して全閉状態の場合に、クラッチC0 のトルク伝達に
よってアウトプット側のトルクがエンジン10側へ伝達
されることにより、エンジン回転速度NEが実線で示さ
れているように上昇させられ、自動変速機78のアウト
プット側とインプット側の回転速度がダウンシフト後の
変速比に応じて同期することによりクラッチC0 が完全
係合させられた時間であり、この時間t2からt4まで
の時間(t4−t2)が変速時間である。
【0036】本実施例では、上記変速時に一時的にスロ
ットル弁20を開いてエンジン回転速度NEを上昇させ
ることにより、上記変速時間を短縮するのであるが、時
間t2よりも前や時間t4よりも後にエンジン回転速度
NEが上昇すると、駆動力が増加して車両加速を生じる
ため、車両加速を生じることなく変速時間の短縮効果を
得るためには、少なくとも上記時間t2からt4までの
間にエンジン回転速度NEが上昇するように、上記スロ
ットル弁開度変更タイミング時間T2を定める必要があ
る。その場合に、ソレノイド出力時間t1から摩擦係合
装置の滑り開始時間t2までの遅れ時間はA/T油温T
HOによって変動する一方、スロットル弁20の開き制
御からエンジン回転速度NEが上昇するまでの遅れ時間
はエンジン回転速度NEによって変動するため、それ等
をパラメータとして変更タイミング時間T2は設定され
る。なお、本実施例では、ダウンシフトの際に解放され
る高速段側の摩擦係合装置、例えば上記O/D→3rd
ダウンシフトではブレーキB0 、の滑り始めと略同時に
エンジン回転速度NEが上昇し始めるように、上記変更
タイミング時間T2を求めるための図14のマップは定
められている。また、図15における回転速度NC0は、
クラッチC0 のハウジング、言い換えれば第1変速機1
12におけるサンギヤ124の回転速度である。
【0037】次のステップSB7ではタイマTbがリセ
ットされ、ステップSA34において変速出力された後
の経過時間を計測する。すなわち、このステップSB7
は、ステップSA34で変速出力が為されてステップS
A36でフラグF2が「1」とされることにより始めて
実行されるとともに、以後のサイクルではステップSB
1,SB11に続いてステップSB8以下が実行される
ため、タイマTbは、ダウンシフトの変速出力時を計測
開始時点として以後の経過時間を計測することになるの
である。ステップSB8では、上記タイマTbの計時内
容が変更タイミング時間T2に達したか否かを判断し、
変更タイミング時間T2に達するまではステップSB1
3においてスロットル弁開度θをアクセル操作量Acに
対応するスロットル弁開度TA(Ac)、すなわち略全
閉となるように制御する。タイマTbの計時内容が変更
タイミング時間T2に達すると、ステップSB9におい
て、次式(1)を満足するか否かにより変速が終了した
か否かを判断する。すなわち、図7のステップS34で
変速出力が為されてソレノイドS1,S2,S3の励
磁,非励磁が切り換えられると、自動変速機78のクラ
ッチCやブレーキBに滑りが生じ始め、タービン回転速
度NT および出力軸回転速度NO の回転速度比が変速
後、すなわち変速出力後の現在の変速段の変速比iと略
一致することにより変速は終了するため、それ等の回転
速度NT ,NO ,および現変速段の変速比iが次式
(1)を満足するようになれば、変速は終了したことに
なる。なお、かかる(1)式は、回転速度NT ,NO
検出誤差等を考慮して所定の幅をもって満足するように
定められている。
【0038】
【数1】 NT ≒NO ×i ・・・(1)
【0039】そして、上記ステップSB9の判断がYE
Sとなるまで、言い換えれば変速が終了するまで、ステ
ップSB10において前記スロットル弁開度TA2を目
標スロットル弁開度TA* に設定し、その目標スロット
ル弁開度TA* を表すスロットル指令信号SQをスロッ
トル制御用コンピュータ35に出力することにより、ス
ロットル弁20の実際のスロットル弁開度θがスロット
ル弁開度TA2となるように制御する。
【0040】このように本実施例では、エンジンブレー
キ力を増大するためにオーバードライブスイッチ74や
シフトレバーのマニュアル操作でダウンシフトが行われ
る際に、ダウンシフト後においてもダウンシフト前と略
同じ駆動力が得られるスロットル弁開度TA2までスロ
ットル弁20が開き制御されるため、駆動輪側からのト
ルク伝達と相俟ってエンジンブレーキ力を略一定に維持
しつつエンジン回転速度NEが速やかに高められる。こ
れにより、エンジン10等のイナーシャトルクによる一
時的な制動力増大やエンジンブレーキ力の低下に伴う車
両加速等に起因する変速ショックを抑制しつつ変速時間
が短縮され、クラッチCやブレーキBの摩擦材の寿命が
向上する。特に、本実施例では上記スロットル弁開度T
A2が、変速の種類および車速Vに基づいて算出された
基準スロットル弁開度TA20 を元に、エンジン冷却水
温THWおよびA/T油温THOの高低,EGR64や
エアコンの作動状態を考慮して、それ等の作動状態に拘
らず変速前後の駆動力が略等しくなる値に設定されるた
め、変速ショックを抑制しつつ変速時間を短縮する効果
が安定して得られるようになる。前記図15の回転速度
に関して一点鎖線で示されているグラフは本実施例のも
のであり、時間t3は本実施例の変速終了時間である。
【0041】なお、前記油圧制御回路150のライン油
圧PLは一般にスロットル弁開度θに応じて制御される
ようになっており、上記のようにスロットル弁20が開
き制御されるとライン油圧PLが高められ、それに伴っ
てクラッチCやブレーキBの係合油圧も高くなるため、
低速段側のクラッチCやブレーキBが急激に完全係合さ
せられることにより、変速時間が一層短くなる。しか
し、その場合には大きな変速ショックを生じ易いため、
本実施例では上記ステップSB10におけるスロットル
弁20の開き制御時には、スロットル弁20が全閉の場
合の低い油圧レベルにライン油圧PLを制御するように
なっている。
【0042】この実施例では、トランスミッション制御
用コンピュータ34による一連の信号処理のうちステッ
プSB5、すなわち図9のステップST1〜ST6を実
行する部分が、車速Vに対応する出力軸回転速度NO
検出する回転速度センサ82やエンジン冷却水温THW
を検出する冷却水温センサ60、EGR64を制御する
制御信号DEGRを出力するエンジン制御用コンピュー
タ32、A/T油温THOを検出する油温センサ86、
エアコンの作動状態を表すエアコンスイッチ66等と共
に制御量設定手段を構成しており、スロットル弁開度T
A2はダウンシフト時にエンジン出力を増大させる際の
制御量に相当する。また、ステップSB10を実行する
部分は、スロットル制御用コンピュータ35およびスロ
ットル弁20と共にエンジン出力増大手段を構成してい
る。
【0043】次に、本発明の他の実施例を説明する。以
下の実施例は、「D」レンジが選択されている場合にス
ロットル制御やダウンシフトによって自動的にエンジン
ブレーキ力を増大する自動エンジンブレーキ制御を行う
場合で、「D」レンジにおいても図21に括弧付きで示
されているように、ソレノイドS3を励磁することによ
りエンジンブレーキが作用する1st変速段,2nd変
速段が成立させられるようになっている。また、前記パ
ターンセレクトスイッチ70によって選択できる走行パ
ターンとして、前記パワーパターン,エコノミーパター
ン等の他に、下り坂などで自動的にエンジンブレーキ力
を増大させる「自動エンジンブレーキパターン」が設け
られている。
【0044】図16および図17は自動変速機78の変
速制御に関するフローチャートで、図18乃至図20は
スロットル制御に関するフローチャートであり、前記実
施例と同様に8〜32msec程度のサイクルタイムで
繰り返し実行される。図16のステップS1以下は、自
動変速機78の変速段を切り換えるか否かの変速判断を
行う部分で、ステップS40がNOの場合、すなわちフ
ラグF3が「1」でない場合に実行される。フラグF3
は、図18のステップSS1〜SS5の条件を総て満足
して自動エンジンブレーキ制御が実行される場合に図1
9のステップSS14またはSS19において「1」と
され、ステップSS1〜SS5の条件の何れか1つでも
満たさない場合にはステップSS6において「0」とさ
れるもので、ステップS1以下は自動エンジンブレーキ
制御を行っていない通常の変速制御の場合に実行され
る。
【0045】ステップS1では、前記O/D信号SOに
基づいてO/D変速段までの変速が可能か否かを判断
し、O/D信号SOがOFFすなわちO/D変速段が禁
止されている場合には、ステップS2において現在O/
D変速段か否かを判断する。現在の変速段は、前記ソレ
ノイドS1,S2,S3を励磁する励磁信号の出力状態
によって判断され、現在O/D変速段である場合には、
ステップS14においてフラグF2を「1」とした後、
ステップS15において次変速段として「3rd」を設
定する。上記ステップS1の判断がNOすなわちO/D
変速段が許容されている場合、或いはステップS1の判
断がYESであっても現在O/D変速段でなくステップ
S2の判断がNOで且つ現在3rdでもなくステップS
3の判断がNOの場合には、続いてステップS4を実行
する。ステップS4では、現在の変速段がO/D変速段
であるか否かを判断し、O/D変速段でない場合にはス
テップS5およびステップS6において、前記実施例に
おけるステップSA6およびSA7と同様にしてアップ
シフトを行うか否かを判断する。そして、アップシフト
を行わない場合には、ステップS8において現在の変速
段が1stであるか否かを判断し、1stであればステ
ップS9においてフラグF1を「0」として一連の変速
判断を終了するが、アップシフトする場合には、ステッ
プS7においてフラグF1を「1」とした後、ステップ
S15において次変速段として現在の変速段よりも高速
段側の変速段を設定する。
【0046】前記ステップS3の判断がYESの場合、
ステップS4の判断がYESの場合、或いはステップS
8の判断がNOの場合には、ステップS10およびS1
1において、前記実施例におけるステップSA9および
SA10と同様にしてダウンシフトを行うか否かを判断
する。そして、ダウンシフトを行わない場合には、ステ
ップS13においてフラグF2を「0」として一連の変
速判断を終了するが、ダウンシフトする場合には、ステ
ップS12においてフラグF2を「1」とした後、ステ
ップS15において次変速段として現在の変速段よりも
低速段側の変速段を設定する。
【0047】前記ステップS40がYESの場合、すな
わち自動エンジンブレーキ制御が実行されている場合に
は、ステップS40に続いてステップS41を実行し、
フラグF5が「0」か否かを判断する。フラグF5は、
図18のステップSS1〜SS5の条件を総て満足して
自動エンジンブレーキ制御が実行され、且つブレーキが
踏み込まれている場合に、図19のステップSS23に
おいて「1」とされ、そうでない場合にはステップSS
6またはSS12において「0」とされるもので、フラ
グF5=0の場合にはステップS42を実行し、フラグ
F5=1の場合にはステップS45を実行する。ブレー
キ踏込み時に実行されるステップS45では、予め定め
られたエンジンブレーキ時のダウンシフトマップをサー
チし、エンジンブレーキ時のシフトダウン車速Vedを
求める。このエンジンブレーキ時のダウンシフトマップ
は、前記図10において破線で示されている通常のダウ
ンシフトマップと同様に、アクセル操作量Acおよび車
速Vに基づいて変速の種類毎に予め定められているが、
通常のダウンシフトマップよりも高車速側へずれていて
ダウンシフトし易くなっている。シフトダウン車速Ve
dは、アクセル操作量Acに基づいてそのエンジンブレ
ーキ時のダウンシフトマップに従って求められ、次のス
テップS46において、出力軸回転速度NO に対応する
現在の車速Vと上記シフトダウン車速Vedとを比較
し、ダウンシフトを行うか否かを判断する。すなわち、
V>Vedであればダウンシフトを行う必要はなく、ス
テップS44においてフラグF2を「0」として変速判
断を終了するが、V≦Vedの場合には、ステップS4
7においてフラグF2を「1」とした後、ステップS4
8において次変速段として現在の変速段よりも低速段側
の変速段を設定する。ここで設定する変速段はエンジン
ブレーキが作用するもので、2ndまたは1stでは図
21において括弧付きで示されている変速段が設定され
る。この場合に、現在の変速段が例えばO/Dであって
も、3rdへの変速判断が為された後実際に3rdへの
変速段の切換えが行われる前に車速Vが急激に減少して
「2←3」ダウンシフト線を超えた場合には、2nd変
速段が設定される。ステップS45では現在のアクセル
操作量Acから総てのダウンシフト線に関するシフトダ
ウン車速Vedを求め、ステップS46ではその各々の
シフトダウン車速Vedと現在の車速Vとを比較してダ
ウンシフトの変速判断を行うのである。
【0048】ブレーキが踏込み操作されていない場合に
実行されるステップS42では、フラグF4が「1」か
否かを判断する。フラグF4は、自動エンジンブレーキ
制御においてエンジンブレーキ力を増大するためにダウ
ンシフトを行う場合に図20のステップR8で「1」と
され、そのダウンシフトの変速出力が為された場合に図
17のステップS31で「0」とされるもので、F4=
0であればステップS44においてフラグF2を「0」
として変速判断を終了し、F4=1であればステップS
43を実行する。ステップS43では、次変速段として
エンジンブレーキが作用する次の低速段、すなわち2n
dまたは1stの場合には図21において括弧付きで示
されている変速段を設定する。
【0049】そして、上記ステップS15,S43,ま
たはS48において次変速段が設定されると、ステップ
S16において変速タイミング時間T1が設定される。
この変速タイミング時間T1は、変速判断が為された後
実際に変速段を切り換えるために変速出力を行う(ステ
ップS30)までの遅れ時間で、短時間で複数段の変速
が行われること(多重変速)を防止するとともに、下り
坂でエンジンブレーキを効かせるためにアクセルペダル
が速やかに放された場合にO/D変速段へのアップシフ
ト判断が為されても、実際にアップシフトを行う前にア
クセル操作量Acが略零となった時には、O/D変速段
へのアップシフトを禁止するために設けられたもので、
予め一定値が設定されても良いが、アップシフトかダウ
ンシフトか、或いは自動エンジンブレーキ制御における
ダウンシフトか等の変速の種類に応じてそれぞれ異なる
時間が設定されるようにしても良い。また、変速判断時
のアクセル操作量Acや車速V、変速段などに応じてマ
ップや演算式等により設定されるようにすることもでき
る。
【0050】次に、実際に変速段を切り換える図17の
フローチャートについて説明する。かかる図17は、図
16の変速判断に従ってアップシフトおよびエンジンブ
レーキ力を増大するためのダウンシフトを実行する部分
で、ステップS20では前記フラグF1が「1」か否
か、すなわちアップシフトの変速判断が為されたか否か
を判断する。フラグF1が「1」の場合にはステップS
21以下の各ステップを実行するが、そうでない場合に
はステップS33を実行する。ステップS33ではフラ
グF4が「1」か否か、すなわちエンジンブレーキ力増
大のためのダウンシフトか否かを判断し、フラグF4が
「1」の場合にはステップS21以下の各ステップを実
行するが、そうでない場合には直ちにステップS32を
実行し、タイマTaをリセットして終了する。
【0051】ステップS21ではシフトレンジ信号SR
が表すシフトレンジが「D」であるか否かを判断し、ス
テップS22では前記パターン信号SPが表す走行パタ
ーンが「自動エンジンブレーキパターン」であるか否か
を判断し、ステップS23では回転速度信号SNO が表
す出力軸回転速度NO に対応する車速Vが予め定められ
た下限車速V1より大きいか否かを判断し、ステップS
24では上記車速Vが予め定められた上限車速V2以下
か否かを判断し、ステップS25ではアクセルがOFF
すなわちアクセル操作量信号SAcが表すアクセル操作
量Acが略零か否か、具体的には検出誤差などを考慮し
て5%程度以下か否かを判断し、ステップS26では前
記ステップS15で設定された次変速段がO/D変速段
か否かを判断する。上記下限車速V1および上限車速V
2は、エンジンブレーキのための特別な制御を行う車速
範囲を定めたもので、下限車速V1は例えば20km/
h程度に設定され、上限車速V2は例えば110km/
h程度に設定される。そして、上記ステップS21〜S
26のうち1つでもNOの場合には、ステップS28に
おいて、前記ステップS15で設定された次変速段のス
テップS27による変更を無しとするが、ステップS2
1〜S26の判断が総てYESの場合には、ステップS
27において次変速段を「3rd」に変更する。なお、
上記ステップS26は、ステップS15で設定された次
変速段がO/Dか否かを判断するもので、ステップS2
7で次変速段がO/Dから3rdに変更された後のサイ
クルでも、ステップS26の判断はYESとなる。
【0052】ステップS29では、タイマTaの計時内
容が前記変速タイミング時間T1以上か否かを判断す
る。変速タイミング時間T1となるまでは上記ステップ
S20以下を繰り返すが、変速タイミング時間T1に達
するとステップS30を実行し、前記ソレノイドS1,
S2,およびS3の励磁,非励磁を切り換えて自動変速
機78の変速段を前記ステップS15またはS43で設
定された次変速段、或いはステップS27で変更された
3rd変速段に切り換える。その後、ステップS31に
おいてフラグF1を「0」とするとともにフラグF4を
「0」とし、ステップS32においてタイマTaをリセ
ットする。
【0053】ここで、前記ステップS6においてO/D
変速段へのアップシフト判断が為されても、ステップS
30において実際に変速段が切り換えられるまでの間、
すなわち変速判断が為されてから変速タイミング時間T
1が経過するまでの間に、アクセルOFFを含むステッ
プS21〜S26の条件を総て満足した場合には、次変
速段が3rdに変更されるため、下り坂などでこれ以上
の増速を嫌って運転者がアクセルを放した場合には、ア
クセル操作量Acの減少に伴ってアップシフトの変速判
断が為されてもO/D変速段への実際の変速が防止さ
れ、O/D変速段への変速に伴うエンジンブレーキ力の
低下が良好に回避される。例えば、図10の点Aの状態
で2nd走行の場合に運転者がアクセルを放すと、「2
→3」アップシフト線および「3→O/D」アップシフ
ト線をよぎってアクセル操作量Acは零となるため、ス
テップS6では最終的に2ndからO/Dへの変速判断
が為されるとともに、ステップS15では次変速段とし
てO/D変速段が設定されるが、「2→3」アップシフ
ト判断が為されてから変速タイミング時間T1を経過す
る前にアクセル操作量Acが零になると、「3→O/
D」アップシフト線をよぎって次変速段がO/Dとなっ
ても、ステップS27において次変速段が3rdに変更
されるため、O/D変速段までアップシフトされること
はないのである。
【0054】なお、アクセルが一旦OFFとなっても、
変速タイミング時間T1に達する前に再び踏込み操作さ
れた場合には、ステップS25の判断がNOとなり、ス
テップS28において次変速段がステップS15で設定
されたO/Dとされるが、このようにアクセルが踏込み
操作される場合には、運転者はそれ程エンジンブレーキ
力を必要としているわけではないので、O/D変速段ま
でアップシフトしても差支えない。ステップS29の判
断をステップS20とS21との間に挿入し、変速タイ
ミング時間T1を経過した時の運転状態に基づいてステ
ップS21以下の判断を実行し、変速段の切換えが行わ
れるようにしても良い。
【0055】また、アクセルの戻し速度が比較的遅く、
変速タイミング時間T1内にアクセルOFFとならない
場合にも、ステップS15で設定された通りの変速が実
行されるが、この場合も運転者はそれ程エンジンブレー
キ力を必要としていないと考えられるので、O/D変速
段までアップシフトしても問題はない。言い換えれば、
運転者がエンジンブレーキ力を必要とする場合には、ア
クセルペダルを速やかに放すようにすれば良く、エンジ
ンブレーキ力をそれ程必要としない惰性走行等を希望す
る場合にはアクセルペダルをゆっくりと放せば良いので
ある。
【0056】次に、図18〜図20のスロットル制御に
ついて説明すると、先ず、図18のステップSS1〜S
S5においてシフトレンジ,走行パターン,車速V,お
よびアクセル操作量Acに関し前記ステップS21〜S
25と同じ判断を行い、総ての条件を満たす場合にはス
テップSS8以下の自動エンジンブレーキ制御を実行す
るが、何れか1つでもNOの場合には、図19のステッ
プSS6においてフラグF3を「0」とするとともにフ
ラグF5を「0」とし、ステップSS7において通常の
スロットル制御を行う。ステップSS7の通常のスロッ
トル制御は、前記実施例におけるステップSB13と同
じ内容で、アクセル操作量信号SAcが表すアクセル操
作量Acに基づいて、予め定められたマップまたは演算
式からスロットル弁開度TA(Ac)を求め、そのスロ
ットル弁開度TA(Ac)を目標スロットル弁開度TA
* に設定するとともに、その目標スロットル弁開度TA
*を表すスロットル指令信号SQをスロットル制御用コ
ンピュータ35に出力することにより、スロットル弁2
0の実際のスロットル弁開度θが上記スロットル弁開度
TA(Ac)と一致するように制御する。
【0057】上記ステップSS1〜SS5の条件を総て
満足する場合に実行するステップSS8では、フラグF
3が「1」であるか否かを判断するが、このフラグF3
は前記ステップSS6において「0」とされるため、ス
テップSS8が最初に実行される時には「0」であり、
続いてステップSS10を実行し、その時の車速Vを目
標車速Vmに設定する。フラグF3は、図19のステッ
プSS14またはSS19において「1」とされるた
め、以後のサイクルではステップSS8の判断はYES
となり、ステップSS9を実行する。ステップSS9で
は、目標車速Vmから予め定められた一定値Vfを差し
引いた車速(Vm−Vf)とその時の車速Vとを比較
し、V>(Vm−Vf)であれば図19のステップSS
11以下を実行するが、V≦(Vm−Vf)であれば再
びステップSS10を実行し、目標車速Vmをその時の
車速Vに変更した後ステップSS11以下を実行する。
上記一定値Vfは、図20のステップR2およびR4に
おけるスロットル弁開度θのフィードバック制御による
車速Vの変動を考慮して、そのスロットル制御に伴う車
速Vの変動によってはステップSS9の判断がNOとな
ることはないが、ブレーキの踏込み操作によって車速V
が比較的大きく低下した場合にはステップSS9の判断
がNOとなり、ステップSS10で目標車速Vmが変更
されるように定められている。
【0058】図19のステップSS11では、前記ブレ
ーキ信号SBに基づいてブレーキが踏込み操作されてい
るか否かを判断し、ブレーキOFFすなわち踏込み操作
されていない場合にはステップSS12以下を実行する
が、運転者が更に減速を希望してブレーキが踏込み操作
されるとステップSS11の判断はNOとなり、ステッ
プSS22およびSS23を実行する。ステップSS2
2では、エンジンブレーキ力を増大させるために目標ス
ロットル弁開度TA* を0とし、その目標スロットル弁
開度TA* を表すスロットル指令信号SQをスロットル
制御用コンピュータ35に出力することにより、スロッ
トル弁20を全閉とする。また、ステップSS23では
フラグF5を「1」とし、前記図16のステップS45
以下が実行されるようにする。自動エンジンブレーキ制
御の開始当初、すなわちアクセルOFFとなった最初の
サイクルでは通常ブレーキOFFであり、ステップSS
11の判断はYESとなってステップSS14またはS
S19においてフラグF3が「1」とされ、前記図16
においてはステップS41以下のエンジンブレーキ時の
各ステップが実行される。
【0059】ブレーキOFF時に実行するステップSS
12ではフラグF5を「0」とし、ステップSS13で
はフラグF1が「1」か否か、すなわち前記ステップS
6でアップシフトの変速判断が為されたか否かを判断す
る。フラグF1=1の場合には、ステップSS14にお
いてフラグF3を「1」とした後、ステップSS15に
おいて、前記ステップSS7と同様の通常のスロットル
制御を行う。また、アップシフトの変速判断が為されて
いない場合や、アップシフトの変速出力が為されて前記
図17のステップS31でフラグF1が「0」とされた
場合には、ステップSS13の判断はNOとなり、ステ
ップSS16においてフラグF6が「0」か否かを判断
する。フラグF6は、エンジンブレーキ力を増大するた
めにダウンシフトを行う際に図20のステップR8にお
いて「1」とされるもので、フラグF6=0の場合に
は、ステップSS17においてフラグF3が既に「1」
であるか否かを判断する。フラグF3=1の場合には、
ステップSS18において変速中でないか否かを、例え
ば回転速度NT ,NO ,および現在の変速段の変速比i
が前記(1)式を満足するか否かによって判断する。
(1)式を満足する場合は変速中でなく、(1)式を満
足しない場合は変速中である。なお、エンジンブレーキ
力を増大するためのダウンシフト時には、ステップSS
16に続いてステップSS24以下が実行されるため、
上記ステップSS18では実質的にアップシフト時の変
速中か否かが判断される。
【0060】上記ステップSS18の判断がYESの場
合、すなわち変速中でない場合にはステップSS21の
自動エンジンブレーキスロットル処理ルーチンを実行す
るが、変速中の場合にはステップSS20を実行する。
また、自動エンジンブレーキ制御の最初のサイクルでフ
ラグF3が「1」でなく、ステップSS17の判断がN
Oの場合には、ステップSS19においてフラグF3を
「1」とした後ステップSS20を実行し、前記ステッ
プSS7と同様の通常のスロットル制御を行う。
【0061】ステップSS21の自動エンジンブレーキ
スロットル処理ルーチンは、実際の車速Vが前記図18
のステップSS10で設定された目標車速Vmを超えな
いように、この実施例では車速Vが目標車速Vmと略一
致するようにスロットル弁開度θをフィードバック制御
するもので、具体的には図20のフローチャートに従っ
て実行される。かかる図20のステップR1では、スロ
ットル弁開度信号Sθが表す実際のスロットル弁開度θ
が予め定められた判断値θ1より小さいか否かを判断す
る。判断値θ1は5%程度以下の小さな値で、スロット
ル弁開度θが略全閉であることを表すアイドル信号等を
用いて判断することもできる。そして、θ≧θ1の場
合、すなわちスロットル弁開度θを閉じることによりエ
ンジンブレーキ力を増大させることができる場合には、
ステップR2を実行し、目標車速Vmと現在の車速Vと
の偏差に応じて、車速Vを目標車速Vmと略一致させる
ためのスロットル弁開度TA1(%)をフィードバック
制御の演算式に従って算出する。
【0062】次のステップR3では、現在の変速段およ
び目標車速Vmに基づいて、平坦地走行であれば目標車
速Vmを維持できるスロットル弁開度、すなわち走行抵
抗を見込んだ駆動力が零となるスロットル弁開度TAm
(%)を、例えば図22に示されている予め記憶された
データマップからマップ補間により算出し、上記スロッ
トル弁開度TA1がスロットル弁開度TAmよりも小さ
いか否かを判断する。図22のデータマップは、前記図
12に示す駆動力データに基づいて、駆動力が走行抵抗
と一致するスロットル弁開度を変速段および車速毎に求
めたものである。例えば車速が80km/hの場合のス
ロットル弁開度TAm(%)は、平坦地における走行抵
抗と一致する点Cのスロットル弁開度(角度)が約7.
4゜であるから、これを全開の80゜に対して%に換算
すると、(7.4/80)×100=9.3となる。す
なわち、図22のデータマップにおいて、O/D変速段
で車速80km/hの場合のスロットル弁開度TA
45は、具体的には9.3%であり、このようにしてO/
D変速段における各車速のスロットル弁開度TA41〜T
47は求められている。3rd変速段およびエンジンブ
レーキが作用する2nd変速段,1st変速段について
も、上記O/D変速段の場合と同様にしてスロットル弁
開度TA31〜TA37,TA21〜TA27,TA11〜TA17
が求められている。このスロットル弁開度TAmは、図
12のデータから明らかなように車速が大きい程大きく
なり、同じ車速であれば変速比が大きい低速の変速段程
大きくなる。なお、図22の2nd変速段,1st変速
段はエンジンブレーキが作用する場合、すなわちソレノ
イドS3がONとなる変速段である。
【0063】そして、TA1<TAmであれば、ステッ
プR4においてスロットル弁開度TA1を目標スロット
ル弁開度TA* に設定し、その目標スロットル弁開度T
*を表すスロットル指令信号SQをスロットル制御用
コンピュータ35に出力することにより、スロットル弁
20の実際のスロットル弁開度θがスロットル弁開度T
A1となるように制御する。これ等のステップR2,R
3,R4が繰り返し実行されることにより、車速Vが目
標車速Vmと略一致するようにスロットル弁開度θが速
やかに制御され、アクセルOFF時の目標車速Vmまた
はブレーキ踏込み操作による車速Vの低下に伴って変更
された目標車速Vmで車両が走行するエンジンブレーキ
力が得られる。この実施例では、車速Vを目標車速Vm
と略一致させるようにスロットル弁開度θをフィードバ
ック制御しているため、路面勾配の変化に拘らず車速V
が目標車速Vmと略一致するようにエンジンブレーキ力
が増減させられ、急勾配から緩い勾配となった場合にエ
ンジンブレーキの効きすぎで車速Vが運転者の意に反し
て低下することが防止される。
【0064】一方、TA1≧TAmの場合にはステップ
R3の判断はNOとなり、ステップR5においてスロッ
トル弁開度TAmを目標スロットル弁開度TA* に設定
し、その目標スロットル弁開度TA* を表すスロットル
指令信号SQをスロットル制御用コンピュータ35に出
力することにより、スロットル弁20の実際のスロット
ル弁開度θがスロットル弁開度TAmとなるように制御
する。これは、上記のように路面勾配の変化に拘らず車
速Vが目標車速Vmと略一致するようにエンジンブレー
キ力が増減させられるため、下り坂から登り坂となった
場合でもスロットル弁開度θが開かれて車速Vが目標車
速Vmに維持されるが、このようなエンジンブレーキ制
御では、運転者は登り坂では車速Vが低下するものと思
っているのが普通であり、平坦地走行であれば目標車速
Vmを維持できるスロットル弁開度TAmをフィードバ
ック制御によるスロットル弁開度TA1の上限としたの
である。これにより、下り坂および平坦地では目標車速
Vmが維持されるが、登り坂ではその勾配に応じて車速
Vは目標車速Vmよりも低下することとなり、運転者の
意図通りの走行制御が為されるようになる。
【0065】スロットル弁20が略全閉となり、上記ス
ロットル制御ではエンジンブレーキ力を増大させること
ができなくなると、前記ステップR1の判断はYESと
なり、ステップR6以下を実行する。ステップR6では
現在の車速Vが目標車速Vmよりも大きいか否かを判断
し、V>Vmの場合はステップR8以下を実行するが、
V≦Vmの場合、すなわちスロットル弁20の全閉によ
るエンジンブレーキ作用で減速している場合において
は、ダウンシフトを行う必要がないことから、続くステ
ップR7において、目標スロットル弁開度TA* に0が
設定される。しかし、目標車速Vmを超えて加速してい
る場合には、ステップR8でエンジンブレーキ力を増大
させるためにダウンシフトを指示するフラグF4を
「1」とするとともに、そのダウンシフト時のスロット
ル制御を表すフラグF6を「1」とする。フラグF4が
「1」とされることにより前記図16のステップS43
が実行されるようになり、フラグF6が「1」とされる
ことにより前記図19のステップSS24以下が実行さ
れるようになる。また、ステップR9では、前記図8の
ステップSB5と同様に図9のフローチャートにより、
ダウンシフトする変速の種類および現在の車速Vに基づ
いて、変速前の駆動力と略同じか少し小さい駆動力、言
い換えればエンジンブレーキ力が略同じか少し大きくな
る駆動力が変速後においても得られるような基準スロッ
トル弁開度TA20 を図11のデータマップからマップ
補間により算出するとともに、エンジン冷却水温TH
W,EGR64の作動状態,A/T油温THO,エアコ
ンの作動状態に基づいて基準スロットル弁開度TA20
を順次補正して最終的なスロットル弁開度TA2を設定
する。
【0066】続いて、ステップR10ではスロットル弁
開度変更タイミング時間T2を設定する。スロットル弁
開度変更タイミング時間T2は、前記ステップS30に
おいてダウンシフトの変速出力が為された時間を基準と
して、実際にスロットル弁20を開き制御するまでの遅
れ時間で、ダウンシフトによって解放される高速段側の
前記クラッチCやブレーキBに滑りが生じ始めるタイミ
ングに合わせてエンジン回転速度NEが上記スロットル
弁開度TA2に対応して上昇するように、現在のエンジ
ン回転速度NEおよびA/T油温THOをパラメータと
して予め実験やシミュレーション等によって設定された
前記図14のデータマップからマップ補間により算出さ
れる。
【0067】ステップR8でフラグF6が「1」とされ
ると、以後のサイクルでは図19におけるステップSS
16の判断がNOとなり、ステップSS24を実行す
る。ステップSS24では、前記ステップS30におい
てダウンシフトのための変速出力が為されて次のステッ
プS31においてフラグF4が「0」とされたか否かを
判断し、F4=0となるまではステップSS25におい
てタイマTbをリセットし、F4=0になるとステップ
SS26以下を実行する。ステップSS25においてタ
イマTbがリセットされることにより、タイマTbはフ
ラグF4が「0」とされた時、言い換えればダウンシフ
トの変速出力が為された時を起点として経過時間を計測
することになり、ステップSS26では、そのタイマT
bの計時内容が前記スロットル弁開度変更タイミング時
間T2以上か否かを判断する。そして、タイマTbの経
時内容が変更タイミング時間T2に達すると、ステップ
SS27においてスロットル弁開度TA2を目標スロッ
トル弁開度TA* に設定し、その目標スロットル弁開度
TA* を表すスロットル指令信号SQをスロットル制御
用コンピュータ35に出力することにより、スロットル
弁20の実際のスロットル弁開度θがスロットル弁開度
TA2となるように制御する。また、次のステップSS
28では、ダウンシフトの変速出力が為された後の現在
の変速段の変速比i、および回転速度NT ,NO に基づ
いて前記(1)式から変速が終了したか否かを判断し、
変速が終了するとステップSS29においてフラグF6
を「0」とする。これにより、以後のサイクルではステ
ップSS16に続いてステップSS17以下が実行され
るようになる。なお、上記ステップSS27でスロット
ル弁20の開き制御が行われても、油圧制御回路150
のライン油圧PLはスロットル全閉時と略同じ油圧に調
圧される。
【0068】このように本実施例では、エンジンブレー
キ力を増大するためにアクセルOFF時にダウンシフト
が行われる際に、ダウンシフト後の駆動力がダウンシフ
ト前の駆動力と略同じか少し小さくなるスロットル弁開
度TA2までスロットル弁20が開き制御されるため、
変速ショックを抑制しつつエンジン回転速度NEが速や
かに高められて変速時間が短縮され、クラッチCやブレ
ーキBの摩擦材の寿命が向上する。特に、本実施例では
上記スロットル弁開度TA2が、変速の種類や車速V、
エンジン冷却水温THW、A/T油温THO、EGR6
4やエアコンの作動状態に基づいて、それらの作動状態
に影響されることなく常に変速前後の駆動力が略等しく
なる値に設定されるため、変速ショックを抑制しつつ変
速時間を短縮する効果が安定して得られるようになる。
【0069】本実施例では、トランスミッション制御用
コンピュータ34による一連の信号処理のうちステップ
R9、すなわち図9のステップST1〜ST6を実行す
る部分が、水温センサ60や油温センサ86、エアコン
スイッチ66等と共に制御量設定手段を構成しており、
スロットル弁開度TA2はエンジン出力を増大させる際
の制御量に相当する。また、ステップSS27を実行す
る部分は、スロットル制御用コンピュータ35,スロッ
トル弁20と共にエンジン出力増大手段を構成してい
る。
【0070】図23は、本実施例の自動エンジンブレー
キ制御により、8%の下り坂において車速55km/h
の時に3rd変速段から2nd変速段へダウンシフトが
行われた場合の各部の回転速度変化や駆動トルク変化等
を示すタイムチャートであり、駆動トルクの増加等を生
じることなく約0.69secで変速が終了している。
【0071】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明したが、本発明は更に別の態様で実施すること
もできる。
【0072】例えば、前記実施例ではスロットル弁20
の開き制御によってエンジン出力を増大させるようにな
っていたが、オルタネータなどのエンジン補機を利用し
たりアイドル回転数制御弁38を開き制御したりしてエ
ンジン出力を増大させることもできる。
【0073】また、前記実施例では、変速の種類および
車速Vに基づいて算出された基準スロットル弁開度TA
0 を元に、エンジン冷却水温THW,EGR64の作
動状態,A/T油温THO,エアコンの作動状態に基づ
いて補正を加えることよりスロットル弁開度TA2が設
定されるようになっていたが、上記のパラメータのうち
のいくつかが省略されても良いし、エンジン10自体の
出力トルクや自動変速機78への入力トルクなどに影響
を与える他のパラメータを用いてスロットル弁開度TA
2が設定されても良い。スロットル弁開度TA2の設定
に際しては、前記実施例のように基準スロットル弁開度
TA20 を順次補正する以外に、ファジー推論などを用
いることも可能である。
【0074】また、前記実施例では変速前後の駆動力が
略等しくなるスロットル弁開度TA2が設定されるよう
になっていたが、クランク軸118やトルクコンバータ
110等のイナーシャ分を考慮して所定値ΔTAを加算
したり、エンジン回転が吹き上がるまでは一時的に大き
く開くようにしたりしても良い。前記スロットル弁開度
ATmと同様に、変速後の変速段で駆動力が0となるス
ロットル弁開度をTA2として設定することも可能であ
るなど、少なくともエンジン駆動状態とならない範囲で
適宜設定することができる。
【0075】また、前記実施例ではスロットル弁開度θ
がスロットル制御用コンピュータ35によって制御され
る車両について説明したが、スロットル弁20がアクセ
ルペダルに機械的に連結されて開閉される車両にも本発
明は適用可能である。自動変速機78の構成や変速段の
数についても適宜変更できる。
【0076】また、前記実施例ではアクセル操作量Ac
が5%程度以下の略完全なアクセルOFF状態でダウン
シフトが行われる際にスロットル弁20を開き制御する
ようになっていたが、アクセルが完全なOFF状態でな
くても駆動トルクが負のエンジンブレーキ時であれば、
スロットル弁20を開き制御することにより本発明の効
果を得ることができる。駆動トルクが負か否かは、例え
ばエンジン回転速度NEとトルクコンバータ110のタ
ービン回転速度NT とを比較すること等によって検出で
きる。
【0077】また、前記実施例ではステップSA34ま
たはステップS30の変速出力時を計測開始時点とし、
タイマTbにより経過時間が計測されてスロットル弁2
0を開き制御するタイミングが制御されるようになって
いたが、例えばステップSA11,SA16,SA2
0,SA27,またはステップR8などのダウンシフト
を行う旨の変速判断が為された時を計測開始時点として
経過時間を計測し、スロットル弁20を開くタイミング
を制御することも可能で、その場合には変速タイミング
時間T1を考慮してスロットル弁開度変更タイミング時
間T2が設定される。
【0078】また、前記実施例ではステップSB6また
はステップR10においてスロットル弁開度変更タイミ
ング時間T2を求めるための図14のマップが、ダウン
シフトの際に解放される高速段側の摩擦係合装置の滑り
始めと略同時にエンジン回転速度NEが上昇し始めるよ
うに定められていたが、少なくとも上記滑り始めから低
速段側の摩擦係合装置の完全係合時までの間にエンジン
出力が増大するように定められておれば良い。タイマT
bを用いることなく、高速段側の摩擦係合装置の滑りを
回転速度センサや油圧センサ等により検出してスロット
ル弁20の開き制御を行うこともできる。
【0079】また、前記実施例では油圧制御回路150
のA/T油温THOおよびエンジン回転速度NEに基づ
いてスロットル弁開度変更タイミング時間T2が設定さ
れるようになっていたが、何れか一方だけを用いたり、
これとは別のパラメータを用いたりしてスロットル弁開
度変更タイミング時間T2が設定されても良い。
【0080】また、前記第2実施例ではパターンセレク
トスイッチ70により自動エンジンブレーキパターンが
選択されていることを条件としてステップSS8以下の
自動エンジンブレーキ制御が実行されるようになってい
るが、パワーパターンなど他の走行パターンが選択され
た場合に自動エンジンブレーキ制御を行うようにした
り、走行パターンの種類に拘らず自動エンジンブレーキ
制御が実行されるようにしたりすることもできる。エン
ジンブレーキ制御用のスイッチを、パターンセレクトス
イッチ70とは別に独立に配設することも勿論可能であ
る。
【0081】また、前記第2実施例では自動エンジンブ
レーキ制御を行う条件としてステップSS3およびSS
4の車速制限が設けられていたが、かかる車速制限は必
ずしも必須でないとともに、車速制限の範囲は適宜定め
られる。自動エンジンブレーキ制御を行う条件として別
の条件が加えられても良い。
【0082】また、前記第2実施例では車速Vの低下に
伴ってステップSS9の判断がNOとなる毎にステップ
SS10が実行され、目標車速Vmがその時の車速Vに
従って順次変更されるようになっていたが、上記ステッ
プSS9を省略し、ブレーキ解除時の車速Vによって目
標車速Vmを変更するようにしたり、ブレーキON時に
目標車速Vmを車速Vに基づいて逐次更新するようにし
たりしても差支えない。
【0083】また、前記第2実施例では図17のステッ
プS27において次変速段が3rdに変更されても、変
速タイミング時間T1に達する前にアクセルが踏込み操
作されると、ステップS28で次変速段がO/Dに戻さ
れるが、ステップS27で次変速段が3rdに変更され
た場合には、変速タイミング時間T1に達する前でも直
ちにステップS30を実行して変速出力するようにして
も良い。
【0084】また、前記第2実施例ではアクセルOFF
時やブレーキ解除時の車速Vがそのまま目標車速Vmと
されるようになっていたが、目標車速Vmは完全に車速
Vと一致させる必要はなく、測定誤差等を考慮して車速
Vに所定値を加算或いは減算するなどして目標車速Vm
が設定されるようにしても良い。
【0085】また、前記第2実施例では車速Vを目標車
速Vmに一致させるようにスロットル弁開度θをフィー
ドバック制御していたが、スロットル弁開度θを予め定
められた一定量ΔTAずつ増減させるようにしたり、車
速Vが目標車速Vmを超えないようにスロットル弁開度
θを一定量ΔTAずつ小さくするようにしたりするな
ど、他の制御方法を用いることも可能である。前記ステ
ップSS9の一定値Vfは、このスロットル弁開度θの
制御に伴う車速Vの変動等を考慮して定められる。加速
度が負となるようにエンジンブレーキ力を制御するなど
他の自動エンジンブレーキ制御にも本発明は同様に適用
され得る。
【0086】また、前記実施例ではエンジン制御用コン
ピュータ32,トランスミッション制御用コンピュータ
34,およびスロットル制御用コンピュータ35が別体
に構成されていたが、それ等を単一のコンピュータにて
構成することも可能である。
【0087】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレーム対応図である。
【図2】本発明の一実施例である変速制御装置を備えた
自動変速機およびエンジン等の構成を説明する図であ
る。
【図3】図2の自動変速機の構成を説明する図である。
【図4】図2の実施例における各シフトレンジの変速段
とそれを成立させるためのソレノイドの励磁、クラッチ
およびブレーキの係合状態を示す図である。
【図5】図6および図7と共に図2の自動変速機の変速
段を切り換える変速制御の作動を説明するフローチャー
トである。
【図6】図5および図7と共に図2の自動変速機の変速
段を切り換える変速制御の作動を説明するフローチャー
トである。
【図7】図5および図6と共に図2の自動変速機の変速
段を切り換える変速制御の作動を説明するフローチャー
トである。
【図8】図2のエンジンのスロットル弁開度を制御する
作動を説明するフローチャートである。
【図9】図8のステップSB5および図20のステップ
R9の内容を説明するフローチャートである。
【図10】図2の自動変速機の変速段を切り換える変速
マップの一例である。
【図11】図9のステップST1において変速前後の駆
動力が略同じとなる基準スロットル弁開度TA20 を算
出する際に用いられるデータマップの一例である。
【図12】図11のデータマップを作成するための基本
データである。
【図13】図12の基本データを得るために用いたエン
ジンの出力特性を示すデータである。
【図14】図8のステップSB6においてスロットル弁
開度変更タイミング時間T2を設定する際に用いられる
データマップの一例である。
【図15】図2の自動変速機をO/D変速段から3rd
変速段へダウンシフトする際の各部の油圧や回転速度変
化を示すタイムチャートである。
【図16】本発明の他の実施例において自動変速機の変
速段を切り換えるか否かの変速判断を行う作動を説明す
るフローチャートである。
【図17】図16の実施例において自動変速機の変速段
を切り換える変速制御の作動を説明するフローチャート
である。
【図18】図19と共に図16の実施例においてエンジ
ンのスロットル弁開度を制御する作動を説明するフロー
チャートである。
【図19】図18と共に図16の実施例においてエンジ
ンのスロットル弁開度を制御する作動を説明するフロー
チャートである。
【図20】図19の自動エンジンブレーキスロットル処
理ルーチンの内容を説明するフローチャートである。
【図21】図16の実施例における各シフトレンジの変
速段とそれを成立させるためのソレノイドの励磁、クラ
ッチおよびブレーキの係合状態を示す図である。
【図22】図20のステップR3においてスロットル弁
開度TAmを算出する際に用いられるデータマップの一
例である。
【図23】図16の実施例において3rd変速段から2
nd変速段へダウンシフトが行われる際の各部の回転速
度や駆動トルク等の変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
10:エンジン 20:スロットル弁 35:エンジン制御用コンピュータ 34:トランスミッション制御用コンピュータ 35:スロットル制御用コンピュータ 60:水温センサ 64:EGR 66:エアコンスイッチ 78:自動変速機 82:回転速度センサ 86:油温センサ TA2:スロットル弁開度(制御量) ステップSB5,R9:制御量設定手段 ステップSB10,SS27:エンジン出力増大手段

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の変速段を有する自動変速機と、ア
    クセルが略OFF状態で前記自動変速機がエンジンブレ
    ーキの作用する低速段へダウンシフトされる際にエンジ
    ン出力を増大させるエンジン出力増大手段とを備えた自
    動変速機の変速制御装置において、 前記エンジン出力増大手段によってエンジン出力を増大
    させる際の制御量を、車両の作動状態に基づいて設定す
    る制御量設定手段を有することを特徴とする自動変速機
    の変速制御装置。
JP4184364A 1992-06-17 1992-06-17 自動変速機の変速制御装置 Pending JPH061163A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6432025B1 (en) * 1999-04-30 2002-08-13 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Apparatus for increasing vehicle drive power source output upon accelerator redal operation during vehicle coasting with automatic transmission in released state
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