JPH0611363B2 - 微生物凝集剤の生産方法及び有用物回収方法 - Google Patents

微生物凝集剤の生産方法及び有用物回収方法

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JPH0611363B2
JPH0611363B2 JP4850690A JP4850690A JPH0611363B2 JP H0611363 B2 JPH0611363 B2 JP H0611363B2 JP 4850690 A JP4850690 A JP 4850690A JP 4850690 A JP4850690 A JP 4850690A JP H0611363 B2 JPH0611363 B2 JP H0611363B2
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microbial flocculant
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隆一郎 倉根
令 鈴木
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Shimizu Construction Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ロードコッカス・エリスロポレス(旧名
ノカルディア・エリスロポレス)KR−S−1株(FERM
3530号)に代表されるように、凝集剤生産能力を有する
ロードコッカス属またはノカルディア属の微生物を培養
する微生物凝集剤の生産方法及び有用物回収方法に関す
るものである。
本凝集剤の利用分野は、農畜水産関連分野及び食品加工
分野に適用される。
〔従来の技術〕
従来、濁水処理剤、土木浚渫水処理剤として、無機系凝
集剤(鉄、アルミニウム等の金属塩が主成分)、高分子
系凝集剤(ポリアクリルアミド等の合成高分子凝集剤を
主成分とする)が使用されてきた。これらの凝集剤は、
凝集能力が高いために多く用いられているが、アルミニ
ウム等の金属またはアクリルアミド等の合成高分子化合
物よりなっているため、生物毒性、環境汚染などの面か
ら問題が指摘されている。
また、これらの問題を改良した凝集剤として、生物由来
の高分子化合物(例えば、海草から抽出されるポリアル
ギン酸、寒天等)が使用されることもあるが、コストが
高いことから利用用途が限られている。さらに、最近で
は、カニ、エビの殻から抽出されるキトサンが生物分解
性が良く、環境汚染の恐れがない凝集剤として注目され
ているが、キトサンを溶かす際のpHの問題(塩酸等の酸
を使用)、さらには製造過程のアルカリ処理、分離精
製、粉末化といった処理が必要なため、コスト的に高い
という問題点がある。
一方、以前から、ある種の微生物が分泌する物質が各種
の懸濁物等に対して凝集活性を示すことが知られていた
が、そのような微生物凝集剤の一つとして、ロードコッ
カス・エリスロボレス(旧名 ノカルディア・エリスロ
ポレス)KR−S−1株(FERM 3530号)が分泌する凝集
活性成分が発見されている。なお、旧名ノカルディア・
エリスロポレスは、1980年に国際微生物命名規約委員会
より、ロードコッカス・エリスロポレスに再整理・再分
類されている。
ロードコッカス・エリスロポレス(KR−S−1株が分泌
する凝集活性成分は、工業技術院微生物工業技術研究所
で発見され、特公昭56−39633号公報(微生物凝
集剤NOC−1の製造方法:特許1096062号)にNOC
−1として開示されたものであって、生産性、凝集能
力、生物分解性に優れ、かつ、病原性や毒性のない凝集
活性成分であることが明らかにされている。例えば、N
OC−1の凝集活性は、無機物(カオリン、活性炭、石
炭等)、有機汚濁排水(ヘドロ、豚尿、甘草排水等)、
微生物(大腸菌、酵母、活性汚泥等)などの様々な物質
または排水に対して効果があることが知られており、凝
集剤として優れている。
上記の微生物凝集剤NOC−1に関する特許としては、
上記の特公昭56−39633号(微生物凝集剤NOC
−1の製造方法)がある他、NOC−1の生産を目的と
する培地に関するものとして、特開昭62−19528
8号(微生物凝集剤の生産増強方法)、特願昭61−2
72583号(微生物による可溶性色素の脱色方法)な
どがある。
ところで、通常、微生物の培養、および微生物による発
酵生産に使用する培地は、その微生物の栄養源として、
炭素源、窒素源、無機塩類(ミネラル)、ビタミン・ホ
ルモン等の微量有機化合物が含まれている。これらのう
ちのある成分は、通常、酵母エキス、カゼイン、カザミ
ノ酸、ペプトン、牛肉エキス等を培地に添加することに
より、に供給される。表1に示すように、NOC−1生
産用として従来からよく用いられてきた各培地(培地1
ないし培地4)においても、(有機)窒素源、ビタミン
・ホルモン源として酵母エキスが添加されている。
しかし、上記の酵母エキス、カゼイン、カザミノ酸、ペ
プトン、牛肉エキス等を使用した場合は、これらの物質
が大変高価である為に培養コストが高くなるという問題
があり、微生物凝集剤NOC−1の実用化上、コスト的
に大きなネックとなっていた。
表2は、特願昭63−245183号(微生物凝集剤の
生産増強培地と生産増強方法)に開示されるロードコッ
カス属またはノカルディア属に属する微生物凝集剤生産
菌を培養する培地(培地5、6)であって、栄養源とし
て、水産加工排水または牛血液を添加したものである。
前記培地5、6によって微生物凝集剤NOC−1の生産
増強が行なわれることから、酵母エキス、カゼイン、カ
ザミノ酸、ペプトン、牛肉エキス等に換えて農畜水産関
連排水または廃棄物(例えば、水産加工排水や家畜血
液)を利用して、微生物凝集剤生産菌の培養コストを低
減することができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、農畜水産関連排水または廃棄物の利用によっ
て、微生物凝集剤生産菌の培養コストを低減することが
できるが、排水や廃棄物及び培養を行った微生物凝集剤
を含む培地の保管及び運搬等の取り扱いが必要になる。
これら排水、廃棄物、微生物凝集剤を含む培地は、変質
や異臭の発生が起こりやすいので保管することが困難で
あり、また、排水はほとんどが水分であるため運搬にコ
ストがかかり、管理が厄介といった問題点がある これらの問題点の解決方法として、排水や廃棄物から培
養に有効な成分の分離抽出や、微生物凝集剤を含む培地
からの凝集成分の分離精製があるが、工程が複雑になる
と共にコストがかかるという問題点がある。また、分離
後の培養液からでる菌体等の廃棄物や排水の処理が必要
となる。さらに、分離抽出の際に各種の溶媒や薬品を使
用しなければならず、溶媒等を含む排水の処理も必要と
なりコストが嵩むという問題点があり実用的ではない。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、微
生物凝集剤の生産に有効な廃棄物が排出される場所の近
傍で微生物凝集剤の生産を行うことにより、変質や異臭
の発生を起こし易い排水や廃棄物の扱いを容易にするこ
とを目的としており、さらに、上記の生産方法で得た微
生物凝集剤を、上記排水や廃棄物の処理と、排水や廃棄
物からの有用物質の回収に適用することにより、微生物
凝集剤を含む培地の管理や取扱の簡便化を図ると共に、
凝集成分の分離精製操作を不要とすることを目的として
いる。
〔課題を解決するための手段〕
この発明の微生物凝集剤の生産方法は、ロードコッカス
属またはノカルディア属に属する微生物凝集剤生産菌を
培養して微生物凝集剤を生産する微生物凝集剤の生産方
法であって、家畜もしくは魚類等の血液成分を含む排
水、または家畜もしくは魚類等の血液成分を含む加工残
渣が排出される場所の近傍に培養施設を設けておき、こ
の培養施設に前記血液成分を含む排水、または血液成分
を含む加工残渣の一部を送出して、この排水または加工
残渣を用いて前記生産菌用の培地を調製し、この培地を
用いて前記生産菌を培養して微生物凝集剤を生産するも
のである。
ここう言う血液成分を含む排水または血液成分を含む加
工残渣とは、魚類の加工工程や家畜(家畜動物と家畜鳥
類を含む)の屠畜、畜肉の加工工程で発生する排水や加
工残渣等の廃棄物などである。
また、この発明の排水の処理方法は、ロードコッカス属
またはノカルディア属に属する微生物凝集剤生産菌の前
記生産方法により生産された微生物凝集剤を含む培養液
を排水に添加し、固形物を分離するものである。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明す
る。
この実施例の微生物凝集剤の生産方法及び排水処理方法
は、まず、第1図に示すように水産加工工場1に、魚類
2を加工工程3に搬入する。この加工工程3において、
魚類2を水産加工製品4に加工する際に発生する排水5
を排水処理施設6に送出する。次に、この排水の一部を
排水処理施設6内に設けられた培養施設7に送出し、他
の排水を固形物分離工程8に送る。微生物産生凝集剤培
養生産工程9において、培養施設7に送出された排水5
を用いて微生物凝集剤生産用の培地を調製し、この培地
を用いて前記生産菌を培養して微生物凝集剤を生産す
る。
次に、微生物産生凝集剤培養工程9において、培養され
た培養液10を固形物分離工程8で他の排水に添加し、こ
の排水を静置して固形物を分離する。この固形分離物11
には、生物毒性や環境汚染などの可能性のある無機系凝
集剤や高分子系凝集剤が含まれていないので、餌料、飼
料(回収有効成分)12として利用することができる。
そして、固形物分離工程8から出た排水は、活性汚泥法
による2次処理13に送られる。この2次処理において浄
化された水は放流14され、余剰汚泥15は、廃棄物16とし
て処理される。
以下、魚の缶詰を生産している水産加工工場の排水を栄
養源に利用して微生物産生凝集剤の生産菌ロードコッカ
ス・エリスロポレスKR−S−1株を培養して微生物産生
凝集剤を生産し、更にこの培養液を利用して排水から可
溶性蛋白質(有用回収物)の回収を行った結果を説明す
る。
(1)微生物凝集剤の生産方法 使用した排水の水質を表3に、培地の組成を表4に示し
た。
微生物凝集剤生産菌の培養は小形ジャーを使用し、表5
に示す培養条件で行った。
(2)有用物回収方法 水産加工排水からの有用物回収は次のように行った。
まず、容量500mlのメスシリンダーに水産加工排水を
450mlとって、pHを8.5に合わせた後、この水産加
工排水に10%濃度の塩化カルシウム10mlと、上記の
培養条件で培養した培地25mlと、蒸留水15mlとを加
えた、これを攪拌して5分間放置した後に、上澄みと沈
澱物を別けて回収した。
(3)沈澱回収物の分析結果 水産加工排水を処理した凝集沈澱物の分析結果を表6に
示した。
表6に示すように窒素含有量から計算した粗蛋質量は4
4%と高い値を示した。
我が国における飼料動向とみると、特に濃厚餌料に添加
しなければならない蛋白成分が絶対的に不足しており、
現在は発酵法により生産したアミノ酸を混合して配合し
ている例が多い。本願で示されたように、NOC−1に
よる、例えば水産加工排水の沈澱凝集物は優れた蛋白成
分であり、(添加用)飼料(蛋白)成分として申し分な
い。かつ、排水または廃棄物として処理しなければなら
ないものから有用物を回収利用できることは利すること
が大きいと考えられる。
以上説明したように、この実施例の微生物凝集剤の生産
方法及び排水処理方法によれば、微生物凝集剤生産菌の
培養施設を水産加工工場の排水処理施設内に設けたこと
により、排水や廃棄物の運搬及び保管の必要がないの
で、コストを削減することができる。
従って、排水や廃棄物の保管を行わないので、排水や廃
棄物の保管に伴う異臭の発生及び排水や廃棄物の変質の
恐れが無くなる。
また、前記培養施設が排水や廃棄物の発生源と近いた
め、生産した微生物凝集剤を直ちに使用できるので、微
生物凝集剤の保管が不要になる。
従って、微生物凝集剤を含む培養液の保管を行わないの
で、異臭の発生や培養液の変質等の恐れが無くなる。
また、微生物凝集剤を精製せずに培養液のまま使用する
ことができるの大幅にコストを削減する事ができる。
さらに、微生物凝集剤に培養に用いた排水や廃棄物の成
分は、その工場で発生する排水や廃棄物の成分と同様で
ある。そこで、微生物凝集剤を分離精製することなく培
地のまま添加しても排水や廃棄物の成分の変化が少な
く、既存の排水処理方法や廃棄物処理方法を利用でき
る。
また、微生物凝集剤を分離することなく培地のまま利用
しても回収有用物の成分の変化が小さいので、回収有用
物の品質が安定する。
さらに表6の結果から、粗蛋白質量が44%と高い値を
示したことで、微生物凝集剤を精製せずに培養液のまま
用いても十分な凝集効果を有する。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように、本発明により次のような効
果を奏することができる。
(1)家畜もしくは魚類等の血液成分を含む排水、または
家畜もしくは魚類等の血液成分を含む加工残渣が排出さ
れる場所の近傍に培養施設を設けておき、この培養施設
に前記家畜もしくは魚類等の血液成分を含む排水、また
は家畜もしくは魚類等の血液成分を含む加工残渣の一部
を送出して、この排水または加工残渣を用いて前記生産
菌用の培地を調製し、この培地を用いて前記生産菌を培
養して微生物凝集剤を生産することにより、排水や加工
残渣運搬及び保管の手間とコストを削減刷ることができ
ると共に、排水や加工残渣の保管に伴う異臭の発生や、
排水や加工残渣の変質の恐れが無くなる。
(2)また、培養施設が排水や加工残渣の発生源と近いた
め、生産した微生物凝集剤を直ちに使用できるので、微
生物凝集剤の保管が不要になると共に、微生物凝集剤を
含む培養液の保管に伴う異臭の発生や培地の変質等の恐
れが無くなる。
(3)微生物凝集剤を含む培養液を排水に添加して、排水
の固形物を分離できるので、培養液を精製して微生物凝
集剤を分離する必要がないので、手間とコストを削減す
ることができる。
(4)微生物凝集剤の培養に排水処理を行う工場で発生し
た排水や加工残渣を使用すれば、培養液中の排水の成分
と排水処理を行う排水の成分が同様となるので、微生物
凝集剤を分離精製することなく培養液のまま添加しても
排水や加工残渣の成分の変化が少なく、既存の排水処理
方法や加工残渣処理方法を利用できる。
(5)また、微生物凝集剤を分離することなく培養液のま
ま利用しても回収有用物質の成分の変化が小さいので、
回収有用物の品質が安定する。
(6)排水または加工残渣として処理しなければならない
ところからの有用物の回収は、資源的にもコスト的にも
環境的にその波及効果も大きいものがある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例を示す図面であって、微生物
凝集剤の生産方法及び排水処理方法の概略図である。 1……水産加工工場、5……排水、7……培養施設、9
……微生物産生凝集剤培養生産工程、10……培養液、11
……分離固形物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12P 1/04 C12R 1:01) 7804−4B (C12P 1/06 C12R 1:365) 7804−4B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロードコッカス属またはノカルディア属に
    属する微生物凝集剤生産菌を培養して微生物凝集剤を生
    産する微生物凝集剤の生産方法であって、家畜もしくは
    魚類等の血液成分を含む排水、または家畜もしくは魚類
    等の血液成分を含む加工残渣が排出される場所の近傍に
    培養施設を設けておき、この培養施設に前記血液成分を
    含む排水、または血液成分を含む加工残渣の一部を送出
    して、この排水または加工残渣を用いて前記生産菌用の
    培地を調製し、この培地を用いて前記生産菌を培養して
    微生物凝集剤を生産することを特徴とする微生物凝集剤
    の生産方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の排水または加工残渣が水産
    加工または家畜屠蓄、蓄肉加工工程で発する血液成分を
    含むものであることを特徴とする微生物凝集剤の生産方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2記載の微生物凝集
    剤生産菌による生産方法により生産された微生物凝集剤
    を含む培養液を排水に添加し、固形物を分離することを
    特徴とする有用物回収方法。
JP4850690A 1990-02-28 1990-02-28 微生物凝集剤の生産方法及び有用物回収方法 Expired - Lifetime JPH0611363B2 (ja)

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