JPH06112529A - 有機薄膜発光ダイオード素子 - Google Patents

有機薄膜発光ダイオード素子

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JPH06112529A
JPH06112529A JP28404092A JP28404092A JPH06112529A JP H06112529 A JPH06112529 A JP H06112529A JP 28404092 A JP28404092 A JP 28404092A JP 28404092 A JP28404092 A JP 28404092A JP H06112529 A JPH06112529 A JP H06112529A
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JP
Japan
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light emitting
thin film
organic thin
intramolecular hydrogen
emitting diode
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JP28404092A
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English (en)
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Chihaya Adachi
千波矢 安達
Shogo Saito
省吾 斎藤
Tetsuo Tsutsui
哲夫 筒井
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01SDEVICES USING THE PROCESS OF LIGHT AMPLIFICATION BY STIMULATED EMISSION OF RADIATION [LASER] TO AMPLIFY OR GENERATE LIGHT; DEVICES USING STIMULATED EMISSION OF ELECTROMAGNETIC RADIATION IN WAVE RANGES OTHER THAN OPTICAL
    • H01S5/00Semiconductor lasers
    • H01S5/30Structure or shape of the active region; Materials used for the active region
    • H01S5/36Structure or shape of the active region; Materials used for the active region comprising organic materials

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  • Led Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 励起状態での分子内水素原子移動反応の結果
生じる第2の励起状態から発光する特異的発光特性を有
する分子内水素移動型蛍光材料を、発光材料として用い
た有機薄膜発光ダイオード素子及び有機薄膜発光レーザ
ーダイオード素子を提供する。 【構成】 陽極及び陰極と、これらの間に挾まれた一層
または複数層の有機化合物層から構成され、該有機化合
物層に、励起状態での分子内水素原子移動反応を伴う水
素移動型蛍光材料を含有させたことを特徴とする有機薄
膜発光ダイオード素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電極から注入された電
荷の再結合に由来するエネルギーを有機蛍光物質の励起
状態からのエネルギーに変換することにより、従来の白
熱灯、蛍光灯、無機化合物半導体発光ダイオードに代わ
り、面状発光を実現しうる有機薄膜発光ダイオード素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、発光ダイオードとしては、I
II−V族及びII−VI族の化合物半導体のp−n接
合を用いたものが知られており、高輝度、高性能の発光
素子として利用されている。しかし、この様な化合物半
導体を用いた発光ダイオードは無機化合物の単結晶を用
いるため、製造コストが高い、面状発光を取り出せな
い、発光色に制限があるなどの問題を残している。
【0003】有機化合物を用いて、例えば、アントラセ
ン単結晶内で電子とホールの再結合を起こし、発光を取
り出す研究が報告されているが(J.Chem.Phy
s.,38,p204,1962)、有機化合物の単結
晶に陽極と陰極を取り付けた素子では駆動電圧が高く、
発光効率も低かった。後に、真空蒸着により作製した2
層積層有機薄膜を用いることで、高性能の有機薄膜発光
ダイオードが作製できることが示された(Appl.P
hys.Lett.,51,913,1987)。この
様な有機薄膜を用いる発光ダイオードは、面状発光が得
られる、低駆動電圧で発光する、可視領域全域をカバー
できる多様な発光色の素子が作製できるなどの大きな特
徴を有している。
【0004】上記有機薄膜発光ダイオードの素子構成
は、陽極/有機化合物薄膜からなる発光層/陰極の構成
を基本とするが、この構成にホール輸送層や電子輸送層
を加えたもの、例えば、陽極/ホール輸送層/電子輸送
性発光層/陰極、陽極/ホール輸送性発光層/電子輸送
層/陰極、陽極/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/
陰極のような有機薄膜積層型の素子構成で高性能の発光
ダイオードが実現できることが知られている。
【0005】発光層に用いることができる有機化合物と
しては、固体で強い蛍光を有し、電子もしくはホールを
選択的に輸送する、あるいは電子とホールの両方を輸送
できる性質をもつことが必要であるとされている。電子
輸送性をもつ発光材料としては、8−キノリノールのア
ルミニウム錯体がすぐれていることが示されている(A
ppl.Phys.Lett.,51,913(198
7))。また、これ以外にも多くの蛍光色素類が発光層
材料として使用可能であることが示されてきている。
【0006】また、発光層中に蛍光物質を微量ドープす
ることで、ホスト発光材料で発生した励起エネルギーを
エネルギー移動の作用で受け取って励起状態を生じ、発
光中心として機能する発光材料も知られている(J.A
ppl.Phys.,65,3610(1989))。
この様に、発光性ドーパントとして使用する発光材料
は、素子の発光効率を上げる、発光色を変化させるとい
う機能を担うことができる。
【0007】しかし、上記の発光層薄膜として用いる発
光材料、発光性ドーパントとして用いる発光材料共に、
まだ研究は浅く、これらの発光材料を用いて作製する発
光素子には、発光効率の向上、発光色の多様性の追求、
素子の長期安定性の実現、新機能の表現など多くの課題
が残されており、そのために新規発光材料の探索が必要
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な従
来の有機薄膜発光素子が抱える諸課題を解決し、特異な
分子内水素移動型蛍光材料を発光材料として用いた有機
薄膜発光ダイオード素子、及び有機薄膜発光レーザーダ
イオード素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、陽極
(ホール注入電極)及び陰極(電子注入電極)と、これ
らの間に挟まれた一層または複数層の有機化合物層より
構成される有機薄膜発光ダイオード素子において、前記
有機化合物層に含まれ、素子からの発光を取り出す機能
を担う有機蛍光物質が励起状態での分子内水素原子移動
反応を伴う分子内水素移動型蛍光を示す化合物であるこ
とを特徴とする有機薄膜発光ダイオード素子が提供さ
れ、また、前記分子内水素移動型蛍光を示す化合物が、
一層または複数層の有機層に0.01モル%から5モル
%ドープされた状態で含まれることを特徴とする前記有
機薄膜発光ダイオード素子が提供され、また、前記分子
内水素移動型蛍光を示す化合物が、5〜6員複素環遷移
状態を形成しうる化合物であることを特徴とする前記有
機薄膜発光ダイオード素子が提供され、更にまた、前記
の有機薄膜発光ダイオードの構成において、分子内水素
移動型蛍光を示す化合物を発光層(活性層)に用い、か
つ光共振構造を有する有機薄膜発光レーザーダイオード
素子が提供される。
【0010】本発明者らは、上記課題を解決するための
発光材料の化学構造を発光特性の関係について鋭意検討
した結果、分子内水素移動型蛍光材料、即ち、励起状態
で分子内水素原子移動反応を起こした結果生じる分子種
の励起状態から発光が起こるという特異的な発光特性を
有する一群の蛍光性有機化合物を発光材料に用いて作製
した有機薄膜発光素子が上記課題に対して有効であるこ
とを見い出し本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明は新規の分子内水素移動型蛍
光材料を発光層薄膜ないしは発光層中にドープされた発
光材料として使用した新規の有機薄膜発光素子を提供す
るものである。前記の分子内水素移動型蛍光材料の構造
式の例を下記表1に例示するが、本発明で発光材料に用
いる分子内水素移動型蛍光材料はこれらの構造式のもの
に限定されるものではない。下記表1中の構造式で、R
1からR8で示される置換基は、水素原子、ハロゲン原
子、炭素数1から6の直鎖状並びに分岐アルキル基、水
酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ
基、ジフェニルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、トリフ
ルオロメチル基、炭素数1が6の直鎖並びに分岐アルキ
ル鎖をもつアルコキシル基、アルキル置換フェニル基、
アンスリル基である。
【0012】
【表1−(1)】
【0013】
【表1−(2)】
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。始めに分
子内水素移動型蛍光を示す化合物の特異な発光挙動をP
T−1に例示した3−ヒドロキシフラボンを例に取り表
2に基づいて説明する。表2に示すように安定分子種で
あるI型の3−ヒドロキシフラボンにその吸収極大波長
350nm付近の光を照射すると、I型の分子種の励起
状態(5員複素環遷移状態)が生成する。このI型の励
起状態はそれ自体から発光するより短い時間で励起状態
での分子内水素原子移動反応を起こし、II型の励起状
態へと変化する。II型の励起状態は比較的安定であ
り、数ナノ秒の蛍光寿命をもち、極大波長525nmの
蛍光を発光し、そのII型の基底状態へ変化する。II
型の基底状態はI型に比べて不安定であり、速やかに基
底状態での分子内水素原子移動反応を起こして、I型の
基底状態へと変化する。この様な経路をたどることで、
もともとI型で存在する3−ヒドロキシフラボンは、光
吸収はI型の分子種で起こし、発光はII型の分子種で
生じ、そして最終的には安定なI型へと戻る。図1はこ
の現象をエネルギー状態で示したものである。例示した
他の分子内水素移動型蛍光材料も3−ヒドロキシフラボ
ンと極めて類似の挙動を示すことが知られている。な
お、通常の有機化合物の蛍光は基底状態で存在する化学
種の励起状態そのものから生じるので、本発明の分子内
水素移動型蛍光材料とは明確に区別される。
【0015】
【表2】
【0016】この様に特異な性質を示す分子内水素移動
型蛍光材料を発光層材料に用いることにより有機薄膜発
光ダイオードを形成することができる。すなわち、電子
とホールの再結合エネルギーで直接、あるいは、電子と
ホールの再結合エネルギーを一旦通常の蛍光性化合物の
励起状態に変換した励起エネルギーで、基底状態で安定
種を取る分子内水素移動型化合物を励起できる。この場
合も、発光層からの発光は分子内水素原子移動反応を起
こして生じた励起状態の不安定種から起こる。
【0017】有機薄膜発光ダイオードの素子構成は従来
から知られている有機薄膜発光ダイオードと同一であ
る。まず、発光層を構成する分子内水素移動型蛍光材料
が電子輸送性である場合は、ホール輸送層と組み合わせ
た2層型構成とする。即ち、ホール注入電極として機能
する電極、例えばインジウム−スズ酸化物薄膜(以下I
TOと略称する)をコートしたガラス基板上に100Å
から3000Å、好ましくは200Åから1500Åの
厚さのホール輸送層を形成する。ホール輸送層を構成す
るホール輸送性材料としては、例えば、表3のHT−1
からHT−4に例示したようなイオン化電位が小さく、
ホール移動度が大きな化合物の薄膜が用いられる。ホー
ル輸送層の上部に、発光層として、分子内水素移動型蛍
光材料を100Åから3000Å、好ましくは200Å
から1500Åの厚さに形成する。最後に、電子注入電
極としてMgAg合金、Al、In、LiAg合金など
の仕事関数の値が小さい金属薄膜を電子注入電極として
形成する。この様にして作製した素子にITO電極を通
して明るい発光を取り出すことができる。
【0018】次に、発光層を構成する分子内水素移動型
蛍光材料がホール輸送性であれば、素子構成は、陽極/
分子内水素移動型発光材料層/電子輸送層/陰極とす
る。電子輸送層を構成する電子輸送性材料としては、表
4中のET−1からET−4に例示した様な電子親和力
が比較的大きく、電子移動度が大きな化合物が選択され
る。また、分子内水素移動型発光材料を20Åから80
0Åの厚さ形成して発光層として用い、この発光層を電
子輸送層とホール輸送層で挟んだ素子構成も利用でき
る。また、従来から用いられている通常の発光材料を発
光層とする素子に0.01モル%から5モル%、好まし
くは0.1モル%から2.0モル%の分子内水素移動型
発光材料をドープした素子でも前記と同様の分子内水素
移動型発光材料からの発光を効率よく取り出せる。ホス
ト材料として用いることができる発光材料の例、EM−
1からEM−4を表5に例示する。
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】
【表5】
【0022】次に、分子内水素移動型発光材料を用いた
発光素子の応用例として、有機薄膜レーザーダイオード
があげられる。分子内水素移動型蛍光材料では、光吸収
の極大波長と蛍光発光の極大波長とに大きな差があるた
め(ストークスシフトが非常に大きい)、吸収スペクト
ルと発光スペクトルに全く重なりがないという特徴をも
っている。このことは、レーザー発振のための誘導放出
の条件実現を有利にする。
【0023】ここで有機薄膜発光ダイオード素子を基礎
にして、これに陽極及び陰極、もしくは素子の端面が光
反射能を有する共振器構造を付加すれば、レーザー発振
が可能であることを計算により示す。例として、陽極/
ホール輸送層(500Å)/分子内水素移動型蛍光材料
からなる発光層(100Å)/電子輸送層(500Å)
/陰極の素子構成のガラス基板上に形成された素子を挙
げる(図2の(a))。この様な100Åの厚さの発光
層を有する有機薄膜3層積層素子が高輝度の発光が可能
なことは、例えば、Appl.Phys.Lett.,
57,531(1990)に示されている。
【0024】発光層の部分(レーザー発振のための活性
層部分)を取り出して図2の(b)に示す。活性層の厚
さを1、素子の大きさをd×dとすると、活性層の体積
Vはd21であり、活性層が分子内水素移動型蛍光材料
の一つである3−ヒドロキシフラボンの薄膜で構成され
ているとすると、単位体積当りの励起状態にある発光中
心の生成速度Γ(個/cm3/s)は下記(1)(数
1)で与えられる。
【数1】 ここでeは電気素量(1.60×10-19C)である。
電流量子効率は、0.01〜0.025であることが知
られているので(J.Appl.Phys.,65,3
610(1989)))、η=0.02と取る。1=1
00Å=10-6cmとしているので、Γは電流密度Jの
関数として下記(2)式で与えられる。
【数2】 Γ=1.25×1023J(個/cm3・s) ────(2)
【0025】次に、励起状態と基底状態に存在する発光
中心の数を4準位モデルで計算する。図3の(a)に示
す様に4つの準位を設定する。準位0は図1の(a)の
I型の基底状態に相当する。準位1はII型の基底状態
に、準位2はIIの励起状態に、準位3はI型の励起状
態に相当する。発光は準位2から準位1への変化の際に
起こる。簡単のために、0→3への電流励起(速度
Γ)、3→2の励起状態での分子内水素原子移動(緩和
時間τ32)、2→1の発光過程(発光寿命τ21)、
1→0の基底状態ての分子内水素原子移動(緩和時間τ
10)を考え、他の副次的な過程は省略する。定常状態
近似を用いて計算すると各準位、0、1、2、3の状態
にある分子数は下記(3)〜(6)式の様になる。 N1=Г・τ10 ────(3) N2=Г・τ21 ────(4) N3=Г・τ32 ────(5) N0=N−N1−N2−N3 ────(6)
【0026】3−ビドロキシフラボンのτ10、τ2
1、τ32は実測値がある(Chem.Phys.Le
tt.,127,336(1986)。τ21=4n
S、τ32=40pS、τ10=30pSである。他の
分子内水素移動蛍光材料での分子内水素移動の緩和時間
の実測値には1ピコ秒以下の例も報告されているので、
一般にτ21>>τ10、τ32は満たされている。J
=1A/cm2の場合を例にとり、各準位の存在分子数
を計算してみると、N1=3.7×1012、N2=5.
0×1012、N3=5.0×1012となる。N>>N
1、N2、N3であるので、N0=N=2.5×1021
となる。N2/N1は約130であり、反転分布が発生
していることがわかる。反転分布している発光中心の密
度△N=N2−N1は下記(7)式で与えられる。
【数7】 △N=5.0×1014J ────(7)
【0027】ここで、基底状態0と励起状態1の2準位
系(通常の有機蛍光材料で振動準位を考慮にいれない場
合に相当)と比較してみる。図3の(b)に示す2準位
系を1A/cm2の電流で励起し、τ10を4nSとす
ると、N1=5×1014となり、N0=2.5×1021
であるので、N1/N2=2×10-7となり、さらに駆
動電流を増加させたとしても反転分布にはいたらないこ
とがわかる。但し、各準位に振動準位が存在することを
考慮に入れると若干この条件は緩和される。以上で分子
内水素移動型蛍光材料を使えば、励起に要する電流密度
の大小にほとんど関係なく、容易に反転分布を形成でき
る。
【0028】次にレーザー発振のもう一つの条件であ
る、誘導放出の利得と共振器の損失を計算して、レーザ
ー発振に必要な励起電流密度を求める。誘導放出の利得
Gは、△Nと誘導放出の断面積、σsを用いて下記
(8)式で与えられる。
【数8】 G=△N・σs ────(8) 誘導放出断面積はレーザー色素の実験値を参考にして
((J.Appl.Phys.,42,1917(19
71))、σs=2×10-16cm2と見積ることができ
る。共振器中の有効活性層の長さをL、共振器両端面の
反射率をR1、R2、活性層のパワー吸収損失係数をK
とするレーザー発振条件は下記(9)式で与えられる。
【数9】 GL>−1/2(In(R1・R2)+In(K))────(9) 分子内水素移動型蛍光材料の場合、ストークスシフトが
大きいので、発光波長では活性層は透明性に優れ、K〜
1としてよい。
【0029】ここで光の取り出し方向が電極面に平行な
場合と垂直な場合の2つのケースを考える。 「ケース1」(光路を電極面と平行に取り、導波路モー
ドで発光を取り出す場合)光路を膜面に平行にとる場
合、活性層の長さは素子のサイズに取れるが、端面の加
工は困難であるので、R1、R2は大きく取れない。R
1=R2=50%としておく。(9)式の左辺、右辺を
それぞれ求めると、 左辺=0.01J ────(10) 右辺=0.7 ────(11) 従って、J=100A/cm2の電流密度で励起すれ
ば、誘導放出の利得が損失を上回りレーザー発振が可能
となる。J=100A/cm2の電流密度は1mm×1
mmサイズの素子に1Aの電流を流すことに相当する。
パルス幅1μs、duty比1/1000、1KHzの
矩形波パルスで駆動すれば安定に駆動できる。この条件
で消費される電力は、通常の有機薄膜発光ダイオードを
J=100mA/cm2で連続駆動するときと同一であ
る。
【0030】「ケース2」 (電極に垂直に半透明電極を通して発光を取り出す場
合)この場合、L=10nm=10-6cm、K=1、R
1、R2=98%と取ることができる。 左辺=10-7J ────(10) 右辺=2×10-2 ────(11) 利得が損失を上回るためには、電流密度J=2×105
A/cm2が必要となる。この値はケース1の約200
0倍であり、実現は困難であると考えられる。
【0031】しかし、ここで注意すべきことは、以上の
計算はマクロなサイズの共振器の古典的な理論に基づく
ものであることである。レーザー共振器のサイズが発振
波長のオーダーとなると量子論的な微小共振器効果が発
現することが知られている。発光方向を電極面に垂直に
取るとき、ここで取り扱う素子の共振器長(電極間距
離)は発光波長よりも小さく、明らかに微小共振器の効
果が期待できることがわかる。微小共振器を利用すれ
ば、レーザー発振のしきいエネルギーを大幅に数桁にわ
たって低下させることができることが報告されている
(応用物理、39巻、p1204(1990年))。こ
の微小共振器による発振しきいエネルギー低下のために
は、発振波長、媒体の屈折率、電極の光学定数などを考
慮して共振器を設定する必要がある。こうして、発振し
きいエネルギーを数桁減少させることで、ケース1の場
合と同程度の励起電流条件でこの場合もレーザー発振で
きる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
する。 実施例1 ガラス基板上に2mm×2mmの大きさにパターン化し
たITO透明電極上に、ホール輸送性材料としてHT−
1を用い500Åの厚さに真空蒸着することによりホー
ル輸送層を形成した。その上部に真空を破らずに連続的
に分子内水素移動型蛍光材料、PT−7(R3=t−B
u、R4=H)を500Åの厚さに真空蒸着することに
より発光性電子輸送層を形成した。最後に上部電極とし
てMgAg合金を共蒸着により形成した。得られた素子
にITO電極側をプラスとする直流電圧を印加したとこ
ろ、明るい室内でも十分観測できる明るい緑色発光が得
られた。発光の極大波長は510nmであった。
【0033】実施例2 実施例1と同様の条件で、分子内水素移動型蛍光材料と
して、PT−13(R5、R6=H)を使用して素子を
作製した。得られた素子にITO電極側をプラスとする
直流電圧を印加したところ、明るい室内でも十分観測で
きる明るい緑色発光が得られた。発光の極大波長は68
0nmであった。
【0034】実施例3 ITO電極上に実施例1と同様にホール輸送性材料とし
てHT−1を用い500Åのホール輸送層を形成した。
次に、発光性ホスト材料としてのEM−3とドーパント
としての分子内水素移動型蛍光材料PT−1を共蒸着に
より500Åの厚さに蒸着した。PT−1の濃度が1.
0モル%となるように蒸着速度を調整した。上部電極を
実施例1と同様に形成した。得られた素子にITO電極
側をプラスとする直流電圧を印加したところ、明るい室
内でも十分観測できる明るい青緑色発光が得られた。発
光の極大波長は520nmであり、発光はPT−1に由
来していることが確かめられた。
【0035】実施例4 ITO電極上に実施例1と同様にホール輸送層としてH
T−1を500Å形成した。次に、発光性ホスト材料と
してのEM−3とドーパントとしての分子内水素移動型
蛍光材料PT−15(R7=H)を共蒸着により500
Åの厚さ蒸着した。PT−15の濃度は1.0モル%と
なるように蒸着速度を調整した。次に電子輸送層とし
て、ET−3を400Åの厚さ、最後に上部電極を実施
例1と同様に真空蒸着により形成した。得られた素子に
ITO電極側をプラスとする直流電圧を印加したとこ
ろ、明るい室内でも十分観測できる明るい緑色発光が得
られた。発光の極大波長は530nmであり、発光はP
T−15に由来していることが確かめられた。
【0036】実施例5 ITO電極上に実施例1と同様にホール輸送層としてH
T−1を500Å形成した。次に、発光性ホスト材料と
してのEM−1とドーパントとしての分子内水素移動型
蛍光材料PT−9(R5、R6=H)を共蒸着により5
00Åの厚さ蒸着した。PT−9の濃度が1.0モル%
となるように蒸着速度を調整した。次に電子輸送層とし
て、ET−3を400Åの厚さ、最後に上部電極を実施
例1と同様に真空蒸着により形成した。得られた素子に
ITO電極側をプラスとする直流電圧を印加したとこ
ろ、明るい室内でも十分観測できる明るい赤橙色発光が
得られた。発光の極大波長は620nmであり、発光は
PT−9に由来していることが確かめられた。
【0037】
【発明の効果】本発明の有機薄膜発光ダイオード素子
は、前記特異的発光特性を有する分子内水素移動型蛍光
材料を発光材料として用いたことにより、低電圧の印加
で高輝度発光を得ることができ、その構成も簡単であ
り、容易に製造することができる。また、この発光素子
では青色から赤色に渡る広範な発光色の発光を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3−ヒドロキシフラボンを例として、分子内水
素移動型蛍光材料の光ないしは電子的励起から発光に至
り、元の分子種が回復するまでの過程のエネルギー状態
を模式図で説明したものである。
【図2】(a)は計算に用いた有機ダイオードの素子構
造の模式図である。(b)はダイオードの素子構造から
発光層(活性層)の部分を抜き出して図示したものであ
る。
【図3】(a)は分子内水素移動型蛍光材料を活性層に
用いた場合の4準位状態のモデル図である。(b)は参
考のために示した通常の蛍光材料の場合の2準位状態の
モデル図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極(ホール注入電極)及び陰極(電子
    注入電極)と、これらの間に挟まれた一層または複数層
    の有機化合物層より構成される有機薄膜発光ダイオード
    素子において、前記有機化合物層に含まれ、素子からの
    発光を取り出す機能を担う有機蛍光物質が励起状態での
    分子内水素原子移動反応を伴う分子内水素移動型蛍光を
    示す化合物であることを特徴とする有機薄膜発光ダイオ
    ード素子。
  2. 【請求項2】 前記分子内水素移動型蛍光を示す化合物
    が、一層または複数層の有機層に0.01モル%から5
    モル%ドープされた状態で含まれることを特徴とする請
    求項1記載の有機薄膜発光ダイオード素子。
  3. 【請求項3】 前記分子内水素移動型蛍光を示す化合物
    が、5〜6員複素環遷移状態を形成しうる化合物である
    ことを特徴とする請求項1記載の有機薄膜発光ダイオー
    ド素子。
  4. 【請求項4】 前記請求項1、請求項2、請求項3の有
    機薄膜発光ダイオードの構成において、分子内水素移動
    型蛍光を示す化合物を発光層(活性層)に用い、かつ光
    共振構造を有する有機薄膜発光レーザーダイオード素
    子。
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