JPH0611134Y2 - スタンピング成形用シ−ト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はスタンピング成形に使用する成形材料に関す
る。

〔従来の技術〕

熱可塑性樹脂を長繊維マツト状物に含浸一体化してなる
シート状組成物がスタンパブルシートとして知られてい
る。スタンパブルシートの成形は、加熱溶融したシート
を加熱された一対の型の間に供給し加圧して賦型する方
法によりなされる。従来知られているシートは平板状で
あり、成形に際しては型の面積に出来るだけ近い大きさ
に切断して型へ供給して賦形される。これは、小さい面
積で供給した場合は、賦形時に材料が型の全体に充填さ
れるために長い距離を流れる必要を生じ、その結果、組
成中の繊維状補強材が流れ方向に並んで機械物性の不均
一や強度物性の低い部分を生じ易くなるのを防ぐためで
ある。また、平板状のシートは加熱炉で加熱溶融したの
ちに取出す際、溶融した樹脂が下部のネツト等の台に粘
着し作業性が良くない。更に賦形する形状がリブやボス
部分を有する場合には、型上に供給されたシート内の繊
維状補強材の多くは該部分に対して直角方向に配置する
ため該部分への繊維の均一流入が困難であり機械的性質
が充分に得られない。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案の目的は、上記の欠点を解決し、シートの供給面
積が少なく流動距離が長くても均一な繊維状補強材の分
散状態が得られ、加熱溶融時にも粘着面積が少ないため
に取扱い作業性に優れ、リブやボス形状を有する部分へ
も繊維状補強材が流入し易く機械的性質が良好な成形物
を与えるスタンピング成形用シートを提供することにあ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案者らは上記目的を達成するため鋭意検討した結
果、スタンピング成形用シートとして、従来の平板状シ
ートの替りに凹凸形状を有するシートを用いることによ
り、作業性が向上しリブやボス部分への繊維の流入が改
善されることを見い出し本考案を完成するに至つた。

すなわち、本考案は、熱可塑性樹脂と繊維状補強材とか
らなる複合体であって、表裏面が共に凹凸の繰り返し形
状を有することによりその投影面積が縮小されているこ
とを特徴とするスタンピング成形用シートである。本考
案によるスタンピング成形用シートは、第１図に示すご
とく波型の凹凸形状を有するものである。尚、参考のた
め従来のスタンピング成形材料を第２図に示した。

成形時に供給されるべき材料は、型を充填するに充分な
量が必要であり、成形される形状に近い面積で供給され
るが、本考案による凹凸形状を有する材料においては、
同一投影面積でも実質の表面積は大きいために、従来よ
り少い投影面積で供給することが可能であり、また従来
と同等の投影面積で供給した場合には更により一層成形
物形状に近い表面積となるがために成形時の流動により
生じる成形物中の繊維状補強材の分布の不均一を少なく
することができる。また成形前に熱可塑性樹脂が溶融す
るまで加熱し型に供給するが、従来のものでは平板状で
あるがために下部の台に溶融した樹脂が粘着して取扱い
が困難であつた。しかるに本考案の凹凸形状の場合は加
熱溶融時にも接触面積が少なく粘着が著るしく少なく取
扱い作業性に優れる。更に型へ供給した場合には、熱可
塑性樹脂の軟化点以下の温度である型からの冷却を受け
るが、型面との接触面積が少なく従来の形状に比較して
温度の低下が少なく成形時の加圧による流動が容易とな
る。

また、成形品の形状がリブやボス部分を有する場合に
は、型に供給されたスタンピング成形用シート中の繊維
が、従来の平板状では第３図に示すように該部分への流
入を困難にしていた。それに比し、本考案の場合には第
４図に示したごとく、凹凸形状を有するためシート中の
繊維状補強材が型に対して適度の角度をもつて存在する
ので、該補強材はリブ、ボス部分へ流入しやすい状態と
なり、該部に容易に繊維状補強材がはいり込むので該部
に必要な機械的強度を与えることができる。

本考案のスタンピング成形用シートは例えば、熱可塑性
樹脂を繊維状物質に加熱、加圧して一体化する工程で、
上下に互にかみ合う凹凸部分を有するローラー又はベル
ト状物の間を通過することにより得ることができるが、
本質的に得られるスタンピング成形用シートに凹凸形状
を賦与させることができる方法であれば特に制限される
ものではない。

本考案に用いることのできる熱可塑性樹脂としては、例
えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレ
ート等のポリエステル樹脂、ナイロン６、ナイロン６
６、ナイロン１２等のポリアミド樹脂、ポリプロピレ
ン、ポリメチルペンテン、ポリエチレン等のポリオレフ
イン樹脂、ポリサルフオン、ポリアリルサルフオン、ポ
リエーテルサルフオン等の芳香族ポリサルフオン系樹
脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性
ポリフエニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹
脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ＡＢＳ樹脂、ア
クリル樹脂、ポリウレタン樹脂等が例示されるがこれら
の樹脂に限定されるものではない。本考案において好ま
しい熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポ
リカーボネート、ポリフエニレンサルフアイドが挙げら
れる。特に好ましい熱可塑性樹脂はポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ルである。これらの樹脂は、単体、変性もしくはブレン
ドして用いてもさしつかえなく、特性付与の為に充填材
や添加剤例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、銅害防止
剤、難燃剤、着色剤、内部離型剤、滑剤、帯電防止剤等
を添加することができる。熱可塑性樹脂を使用する形態
としてはシート状にして用いるのが好ましいが、繊維状
補強材の含浸が容易になる形態で用いればよく、形態に
限定されるものではない。

本考案に用いる繊維状補強材としては、例えばガラス繊
維、スチール繊維、ステンレス繊維、銅繊維、カーボン
繊維、セラミツクス繊維等の無機繊維、ウイスカー、ナ
イロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アクリ
ル繊維、アラミド繊維、ポリオキシベンゾイル繊維等の
合成有機繊維、レイヨン繊維、ポリアセテート繊維等の
半合成有機繊維、綿、絹、麻、毛等の天然有機繊維を単
独または混合して使用することができる。

本考案において、好ましい繊維状補強材はガラス繊維で
ある。

本考案において、該繊維状補強材は実質的に集束して用
いるが集束剤の種類に制限はなく、繊維および熱可塑性
樹脂の種類に応じて選択すれば良く、集束剤が悪影響を
及ぼす場合は集束しない繊維を用いるか、一度マツトに
した後に焼成、溶解等の処理により集束剤を除いてもよ
く、熱可塑性樹脂との密着性を良くする為に各種表面処
理を施すこともできる。例えば、ストランド同志をから
み合わせてマツト状にする方法としては実質的に集束さ
れ、適当な厚さに切断された繊維をからみ合いが起る程
度に開繊し、結合剤を使用しないでマツト状にする方法
であればどんな方法でもよく、例えば集束し、適当な長
さに切断した繊維を開繊機、ビーター等でゆるやかに開
繊し、空気形成、浮遊法等によりマツト状にする方法が
挙げられる。

本考案において、使用する繊維状補強材の径および繊維
長は特に制限はないが、通常、径２μ〜３０μ、繊維長
６mm〜１００mmのものがよく使用される。

上記、繊維状補強材において、その表面は、使用する熱
可塑性樹脂との接着に適した表面処理剤で処理されてい
ることが好ましい。

本考案において、スタンピング成形用シートを構成する
熱可塑性樹脂と繊維状補強材の配合割合は特に限定され
ないが、好ましくは熱可塑性樹脂80〜20重量％、繊維状
補強材20〜80重量％程度で使用される。

〔考案の効果〕

本考案のスタンピング成形用シートは、従来の平板状の
シートに比して、流動性が向上し、しかもリブやボス等
の細部へも繊維状補強材が流入しやすくなつている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるスタンピング成形用シートの断面
図である。 第２図は従来のスタンピング成形用シート、第３図はリ
ブ部８を有する型１に従来のスタンピング成形用シート
９が供給された状態、第４図は本発明によるスタンピン
グ成形用シート１０が供給された状態を示す。 １，10……本考案によるスタンピング成形用シート ２，５……熱可塑性樹脂 ３，６……繊維状補強材 ４，９……従来の平板状スタンピング成形用シート ７……成形型 ８……リブ部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】熱可塑性樹脂と繊維状補強材とからなる複
   合体であって、表裏面が共に凹凸の繰り返し形状を有す
   ることにより その投影面積が縮小されていることを特
   徴とするスタンピング成形用シート。