JPH1016103A - 複合材の製造方法及びマット状複合材 - Google Patents

複合材の製造方法及びマット状複合材

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JPH1016103A
JPH1016103A JP18865096A JP18865096A JPH1016103A JP H1016103 A JPH1016103 A JP H1016103A JP 18865096 A JP18865096 A JP 18865096A JP 18865096 A JP18865096 A JP 18865096A JP H1016103 A JPH1016103 A JP H1016103A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂をマット状の補強繊維で補強し
た高品質の複合材を敏速且つ容易に成形することを可能
とする成形材料として使用可能なマット状の複合材を製
造する方法、並びに、熱可塑性樹脂をマット状の補強繊
維で補強した高品質のシート状複合材を敏速且つ容易に
製造することを可能とする方法の提供を目的とする。 【解決手段】 多数本の連続した補強繊維で形成した繊
維束の外周を予め熱可塑性樹脂でコーティングした樹脂
被覆糸を作り、これを切断して短糸とし、その短糸を散
布、堆積させてマット状とし、このマット状体を加熱、
或いは加圧し短糸同志を接合させ、または、熱可塑性樹
脂を溶融してシート状複合材とする複合材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維補強熱可塑性
樹脂の成形材料或いは成形品である複合材の製造方法に
関し、また、繊維と熱可塑性樹脂との複合材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、産業資材分野の用途に用いら
れる熱可塑性樹脂として、機械的、耐衝撃性が要求され
る際には、熱可塑性樹脂をガラス繊維等の補強繊維で強
化した複合材である繊維補強熱可塑性樹脂が用いられて
いる。ここで、樹脂を補強する補強繊維の形態には複数
種類のものがあり、その1例として、多数本の連続した
補強繊維を集束して形成したストランドを適当な長さに
切断し、それをマット状としたチョップドストランドマ
ットを用いたものがある。
【0003】熱可塑性樹脂をチョップドストランドマッ
トで補強した複合材を製造する方法としては、次のもの
が知られている。 チョップドストランドマットを熱可塑性樹脂フイル
ムと積層し、全体を加熱、加圧して樹脂を溶融し、チョ
ップドストランドマットに含浸させる方法。 チョップドストランドマットを製造する際或いは複
合材の成形の際に、樹脂パウダーを散布し、その樹脂パ
ウダーを含んだチョップドストランドマットを加熱、加
圧して樹脂を溶融し、チョップドストランドマットに含
浸させる方法。 補強繊維のチョップドストランドと熱可塑性樹脂の
チョップドストランドを混合してチョップドストランド
マットを作成し、そのチョップドストランドマットを加
熱、加圧して樹脂を溶融し、補強繊維のチョップドスト
ランドマットに含浸させる方法。 上記〜の方法でチョップドストランドマットに
樹脂を含浸させたシートを作成し、それを成形材料(ス
タンパブルシート)として、再度加熱し、加圧して所望
形状に成形する方法。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のチョップドストランドマットで補強した熱可塑
性樹脂の複合材の製造方法には次のような問題点があっ
た。
【0005】補強繊維のチョップドストランドマットと
樹脂フイルムを積層して成形する方法では、チョップド
ストランドマットに対する樹脂の含浸が困難であり、特
に、補強繊維のストランド同志の交点への樹脂含浸が困
難であるため、樹脂の含浸に時間がかかり、生産性が悪
かった。また、補強繊維のチョップドストランドマット
に樹脂パウダーを散布して成形する方法或いは補強繊維
と熱可塑性樹脂のチョップドストランドを混合して成形
する方法では、補強繊維のチョップドストランドマット
の内部に樹脂が存在しているため、幾分か樹脂の含浸は
容易となるが、依然として、満足すべき程には含浸速度
が改良されていない。更に、補強繊維の含有率を上げる
と流動性が極端に悪化し、含浸が一層困難となり、また
補強繊維を樹脂が覆わないなどの問題が生じる。このた
め、補強繊維の含有率は体積含有率で30%程度が限度
であった。しかも、チョップドストランドマットの厚さ
が大きい場合には樹脂の含浸が一層困難で、例えば、2
mmを越えるような厚いシートを一度に成形すること
は、実質的には不可能であり、このため予め薄いチョッ
プドストランドマットに樹脂を含浸させた薄いシートを
製造し、それを積層するという方法を取らざるを得ず、
生産性が悪かった。
【0006】更に、チョップドストランドマットは、短
く切断したストランドをランダムに散布、堆積して製造
するが、その際、ストランドの切断時にストランドの分
繊や毛羽だちが生じ、毛羽だったストランド同志が絡み
合ったりするため均一に散布することが難しく、このた
め、マット内におけるストランドの密度むらが大きい。
このため、このチョップドストランドマットに樹脂フイ
ルムを重ねる等によって、樹脂を均一に付与して成形し
た複合材においても、補強繊維の分布むらが大きく、従
って、補強繊維の含有率や厚みが場所によって大きくば
らつき、品質むらとなっていた。更に、チョップドスト
ランドマットに樹脂パウダーを散布する方法では、上記
したチョップドストランドマット自体における密度むら
に加えて、樹脂パウダーの保持むらも大きく、このた
め、複合材中における補強繊維の分布むらが一層大きく
なり、補強繊維の含有率や厚みが場所によって一層大き
くばらつき、品質むらが大きかった。また、補強繊維チ
ョップドストランドと熱可塑性樹脂繊維チョップドスト
ランドとを混合してチョップドストランドマットを作成
して成形する方法でも、補強繊維と熱可塑性樹脂繊維の
両チョップドストランドの混合が困難で、補強繊維のチ
ョップドストランドの分布がきわめて不均一となり、や
はり複合材中における補強繊維の分布むらが一層大きく
なり、補強繊維の含有率や厚みが場所によって一層大き
くばらつき、品質むらが大きくなっていた。
【0007】本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、熱可塑性樹脂をマット状の補強繊維で補強
した高品質の複合材を敏速且つ容易に成形することを可
能とする成形材料として使用可能なマット状の複合材を
製造する方法、並びに、熱可塑性樹脂をマット状の補強
繊維で補強した高品質のシート状の複合材を敏速且つ容
易に製造することを可能とする方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記したチョ
ップドストランドマットを用いた従来の製造方法におけ
る問題点を解決するため、多数本の連続した補強繊維で
形成した繊維束の外周をあらかじめ熱可塑性樹脂でコー
ティングして樹脂被覆糸を作り、これを短く切断して短
糸とし、その短糸を散布、堆積させてマット状としたも
のを複合材の製造に用いることを特徴とする。
【0009】このように、あらかじめ樹脂被覆糸を作っ
ておくと、補強繊維に対する被覆樹脂量を均一にコント
ロールしておくことにより、補強繊維糸の長手方向にお
ける補強繊維の含有率を均一にでき、この樹脂被覆糸で
作ったマット状のものでは、補強繊維の含有率が均一に
なる。更に、樹脂被覆糸は表面を樹脂が覆っているため
平滑であり、この樹脂被覆糸の短糸を散布、堆積させて
マット状のものを作ると、短糸をきわめて均一な密度に
散布、堆積させることができ、従って、得られたマット
状のものでは補強繊維の密度、含有率が共にきわめて均
一となっている。更に、このマット状のものを加熱、加
圧して成形すると、各短糸では補強繊維を熱可塑性樹脂
が包囲しているため、樹脂が補強繊維に敏速に含浸し、
しかも短糸の交点にも樹脂が存在しているため、含浸し
にくい補強繊維同志の交点が存在しておらず、このため
含浸が良好に行われる。かくして、熱可塑性樹脂をマッ
ト状の補強繊維で強化した複合材を敏速に成形して得る
ことができると共に、得られた複合材中では樹脂含浸が
確実で且つ補強繊維の含有率及び分布が均一となってお
り、高強度、高品質の繊維補強熱可塑性樹脂成形体を得
ることができる。
【0010】更に、本発明者等は、上記した樹脂被覆糸
のマット状のものが成形材料としてのみならず、吸音
材、断熱材等の他の用途にも好適に使用可能であること
も見出した。従って、本発明は、多数本の繊維で形成さ
れた繊維束の外周に熱可塑性樹脂をコーティングしてな
る樹脂被覆糸をマット状に形成してなるマット状複合材
をも提供する。このマット状複合材では、繊維束が樹脂
で被覆されているため、繊維束として、毛羽立ったり、
粉塵の発生しやすいガラス繊維等の無機繊維を用いた場
合でも、毛羽立ったり、粉塵が発生したりすることがな
く、取り扱い性が良い。また、樹脂被覆糸内には、繊維
束のみならず空気層も存在しているため、優れた断熱効
果、吸音効果を有しており、従って、このマット状複合
材は断熱効果、吸音効果に優れている。特に、繊維束と
して断熱性の良いガラス繊維を用いれば、更に断熱効果
の良いマットが得られる。また、被覆樹脂として耐熱性
の良いPPS樹脂やPEEK樹脂を用いれば、耐熱性の
良い断熱材、吸音材として使用可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施の形態は、多
数本の連続した補強繊維で形成された繊維束の外周に熱
可塑性樹脂をコーティングして樹脂被覆糸を作成し、こ
れを短く切断して短糸とし、その短糸をランダムに散
布、堆積させてマット状とし、且つその短糸同志の交点
を接合させてマット状複合材とすることを特徴とする複
合材の製造方法である。この方法で製造されたマット状
複合材は、通常、成形材料として使用される。
【0012】また、本発明の第二の実施の形態は、多数
本の連続した補強繊維で形成された繊維束の外周に熱可
塑性樹脂をコーティングして樹脂被覆糸を作成し、これ
を短く切断して短糸とし、その短糸をランダムに散布、
堆積させてマット状とし、その後、このマット状のもの
を加圧、加熱して、熱可塑性樹脂を溶融し、シート状複
合材とすることを特徴とする複合材の製造方法である。
この方法で製造されたシート状複合材は、成形材料とし
て使用されてもよいし、或いは製品として使用されても
よい。
【0013】本発明に用いる補強繊維としては、ガラス
繊維、炭素繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ポリエチ
レン繊維等の有機繊維、更にボロン繊維、アルミナ繊維
等の金属繊維等を挙げることができるが、特に、これら
に限定されるものではなく、また、これらの補強繊維を
2種以上併用してもよく、その場合更に効果を引き出す
ことも可能である。これらの補強繊維は、連続繊維を多
数本集束して形成された繊維束の形態で使用され、繊維
束の形態は、多数本の連続繊維フィラメントを集束した
ストランド、複数のストランドを更にまとめたロービン
グ、多数本の連続繊維フィラメントを単に集めたトウ、
或いはこれらに適当に撚りを加えたヤーンであってもよ
い。繊維束を構成する補強繊維のフィラメント径、フィ
ラメント数等は、この樹脂被覆糸から製造する繊維補強
熱可塑性樹脂成形品に要求される物性や成形時の条件等
に応じて定められる。具体的には、補強繊維がガラス繊
維や炭素繊維の場合には、フィラメント径は5〜20μ
m程度に、フィラメント数は200〜12000本程度
に定められる。フィラメント本数は少ないほうが均一
性、含浸性が高まるが、コスト高となるので、高品質の
成形品を得る場合は、ガラス繊維の場合で200〜20
00本程度が望ましく、また、アラミド繊維の場合に
は、フィラメント径が10〜14μm程度、フィラメン
ト本数が200〜2000本程度が好ましい。
【0014】本発明に用いられる熱可塑性樹脂の素材と
しては、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、芳
香族ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン
系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテ
ルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェ
ニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙
げられるが、特にこれらに限定されるものではなく、ま
た、これらの熱可塑性樹脂を2種類以上併用してもよ
い。なお、熱可塑性樹脂には、通常一般に用いられる着
色剤や充填剤、安定剤、難燃剤、帯電防止剤、結晶化剤
当を適宜添加することができる。
【0015】本発明では上記したように、まず、繊維束
の外周に熱可塑性樹脂をコーティングして樹脂被覆糸を
作成する。このコーティングは、以下に示す方法及び装
置で実施することができる。ただし、本発明はこの方法
に限定されるものではない。
【0016】図2はコーティング装置の1例を示す概略
側面図、図1はそのコーティング装置のクロスヘッドダ
イの概略断面図、図3はそのクロスヘッドダイの樹脂吐
出部分の概略断面図、図4は図3のA−A矢視図であ
る。1は多数本の補強繊維で形成された繊維束、2はそ
の繊維束1を供給する給糸装置、3は樹脂を溶融して押
し出すためのスクリュー式押出機、4は繊維束1の外周
に樹脂をコーティングするためのクロスヘッドダイ、5
は樹脂被覆糸、6は熱可塑性樹脂冷却槽、7は巻取装置
である。
【0017】クロスヘッドダイ4は、中央に繊維束1を
通過させる繊維用穴10を、その周囲に溶融樹脂を通す
円筒状通路11を有しており、その下端に環状の吐出口
12が形成されている。繊維用穴10は繊維束1をゆる
く通過させることができるような寸法に作られている。
例えば、繊維束1を円形断面とした時の直径が1mm程
度の場合、繊維用穴10の内径は2〜6mm程度に定め
られる。吐出口12は繊維束1を通過させる繊維用穴1
0から間隔を開けて配置されており、従って吐出口12
から吐出された後の溶融樹脂14が圧力フリーの状況下
で繊維束1の外周に接触可能となっている。繊維用穴1
0の吐出口12との間隔はあまり大きくなると、吐出口
12から円形断面で吐出された樹脂14が繊維束1に接
触するまでに時間がかかり、必要な接着力を得られない
場合が生じるので、通常は2mm以下に選定され、好ま
しくは1mm程度に選定される。
【0018】次に、上記装置を用いて繊維束1にコーテ
ィングを行い、樹脂被覆糸を製造する方法を説明する。
まず、熱可塑性樹脂ペレットをスクリュー式押出機3の
ホッパー3aに投入し、シリンダ部3bで加熱溶融さ
せ、スクリューによりクロスヘッドダイ4に導入させ
る。クロスヘッドダイ4に導入された溶融樹脂14は円
筒状通路11を通り、下端の環状の吐出口12から筒状
に吐出される。一方、繊維束1は給糸装置2から引き出
され、クロスヘッドダイ4の中央の繊維用穴10内を下
方に走行しており、従って、吐出口12から吐出された
樹脂14は走行中の繊維束1を取り囲んだ状態となって
いる。吐出口12から吐出された樹脂14は、表面張力
や冷却による収縮、更には下方に引っ張られることによ
って縮径し、繊維束1の外周に接触すると共にその部分
の連続繊維に接着する。かくして、繊維束1の周りに樹
脂14が被覆コーティングされる。このコーティングに
よって形成された樹脂被覆糸5は、その後、熱可塑性樹
脂冷却槽6を通ることで冷却され、巻取装置7で巻き取
られる。
【0019】以上のコーティング動作において、熱可塑
性樹脂は吐出口12から吐出され、圧力が解放された状
態で即ち圧力フリーの状態で繊維束1の外周に接触す
る。このため、繊維束1に接触した樹脂14が内部の連
続繊維間に含浸することはあまりない。かくして、熱可
塑性樹脂被膜が繊維束1の外周に位置する連続繊維のみ
に接着した構造の樹脂被覆糸が製造される。ここで、補
強繊維束1の外周に位置する連続繊維とそれを取り囲ん
だ熱可塑性樹脂被膜との良好な接着を確保するには、吐
出口12から吐出された溶融樹脂14があまり冷却固化
しない状態で繊維束1に接触することが望ましく、この
ため、吐出された溶融樹脂14を吐出口12の直下5〜
30mmの間で繊維束1に接触させることが良い。ま
た、熱可塑性樹脂の吐出温度条件としては、熱可塑性樹
脂の融点より30〜60°C程度高い温度とするのが良
い。また、その時の溶融樹脂の粘度は10000ポイズ
以下が望ましい。
【0020】上記の方法で製造される樹脂被覆糸5にお
ける補強繊維の含有率は、クロスヘッドダイ4を通過す
る繊維束1の走行速度と吐出口12からの熱可塑性樹脂
の吐出流量によって定まる。そして、この走行速度並び
に吐出流量は容易に一定にコントロール可能であるの
で、これを一定にコントロールすることにより、長手方
向における補強繊維の含有率を均一とした樹脂被覆糸を
得ることができる。
【0021】本発明に用いる樹脂被覆糸中の補強繊維の
体積含有率(補強繊維と樹脂との体積の和に対する補強
繊維の体積割合)は、その樹脂被覆糸を用いて製造する
繊維補強熱可塑性樹脂成形品に要求される補強繊維の体
積含有率に応じて定められるものであり、通常は、30
〜70%程度に設定され、好ましくは、40〜65%で
ある。この体積含有率が30%未満の場合、補強繊維量
が少なくなって、最終製品に目的の物性(強度)を得る
ことが困難となる。一方、70%を越えると、樹脂分が
少なくなるためコーティングが困難となって、補強繊維
束の外周の被覆されない部分が多くなり、コーティング
工程よりも後の工程で毛羽だちが多くなって作業性が損
なわれ、また、最終製品を成形した際に補強繊維が製品
の表面に露出して外観を悪くするばかりでなく、強度の
低下を生じやすい。このため、上記した含有率が好まし
い。
【0022】本発明に用いる樹脂被覆糸は、繊維束を熱
可塑性樹脂でコーティングしたものであるが、そのコー
ティングの際、熱可塑性樹脂が繊維束の外周のみに留ま
らず、一部の熱可塑性樹脂は繊維束内に含浸してゆく。
この含浸は或る程度は許容され、且つ後工程である成形
工程における樹脂の含浸を早めるので望ましいものであ
るが、過度になると好ましくない。通常、樹脂被覆糸に
おける、熱可塑性樹脂の繊維束に対する含浸度は、繊維
束のフィラメント総本数の断面積の70%以下に設定さ
れる。これは、この含浸度が70%を越えると、樹脂被
覆糸が剛直となり、ハンドリングが悪くなって製造上の
トラブルが多くなるため、及び70%を越える含浸度を
得るためには生産性がかなり低下して好ましくないため
である。樹脂被覆糸における熱可塑性樹脂の繊維束内へ
の含浸度は、繊維束に対する樹脂コーティングの運転条
件によって或る程度は制御可能であり、例えば、繊維束
1の走行速度を低下させたり、樹脂の吐出温度を高くし
て粘度を低下させたりすることにより、含浸度を大きく
できる。また、繊維束を樹脂で被覆した直後において、
その樹脂被覆糸をニップローラで挟み付けて圧縮する等
の加工を加えることによっても含浸率を高めることがで
きる。
【0023】また、樹脂被覆糸において、内部の補強繊
維束は樹脂によって完全に覆われていることが望ましい
が、多少被覆されない部分があっても差し支えない。具
体的には、熱可塑性樹脂が繊維束の周方向の長さの90
%以上を覆っていることが好ましい。樹脂によって覆っ
た部分が90%未満であると、コーティング工程よりも
後の工程で毛羽だちが多くなって作業性が損なわれ、ま
た、最終製品を成形した際に補強繊維が製品の表面に露
出して外観を悪くするばかりでなく、その部分は含浸不
良となりやすく、強度の低下を生じやすい。
【0024】本発明は上述のように、樹脂被覆糸を作成
した後、これを短く切断して短糸とし、その短糸をラン
ダムに散布、堆積させてマット状としている。ここで、
短糸の長さとしては、10〜60mmに設定することが
好ましい。これは、この長さが10mmよりも短い場合
は、補強繊維による補強効率が低下し、60mmよりも
長い場合はその短糸を均一に分散させて均一な密度のマ
ットを製造することが困難となるためである。また、そ
の短糸の長さが15〜40mmであれば、より好まし
い。本発明に使用する樹脂被覆糸の断面形状は何ら限定
されず、円形でも偏平形状でも良い。
【0025】短糸をランダムに散布、堆積させてマット
状とする際には、短糸を極力均一に散布し、均一な密度
のマット状とする。この際、短糸は外周面が熱可塑性樹
脂で被覆されているため、ガラス繊維などの補強繊維の
みの場合に比べて、短糸の分繊や毛羽立ちがなく、表面
が滑りやすいために均一な散布が容易である。ここで、
前記したマット状に作ったものの中における短糸の密度
の均一さは、これを成形して作成した繊維補強熱可塑性
樹脂成形品の中における補強繊維の分散の均一さに影響
し、従って成形品中における強度分布に影響しているの
で、できる限り均一であることが望ましい。
【0026】短糸を散布、堆積させてマット状とする方
法としては、公知の方法を適宜使用可能であり、例え
ば、切断装置で切断して作成した短糸を単に、移動中の
ネット等の堆積面上に落下させ、堆積させる方法、短糸
を空間内で空気などによって飛翔させ、ネット等の堆積
面上に堆積させる方法、短糸を液状流体内で攪拌し、浮
遊させた後に、ネット等の堆積面上に堆積させる方法等
を用いることができる。また、生産量が少量の場合に
は、短糸を手で適当な面の上に散布、堆積させてもよ
い。なお、このマット状のものを作成するに際し、樹脂
被覆糸の短糸に加えて、少量の補強繊維或いは熱可塑性
樹脂繊維を加える等の変更を行ってもよい。
【0027】以上のように単に短糸を散布、堆積させて
作成したマット状のものは、短糸同志の絡み合いが少な
いために、ばらけやすく、取り扱いにくい。そこで、本
発明の第一の実施の形態では、このマット状のものの短
糸同志の交点を適当な手段で接合することにより、ばら
けにくくなったマット状複合材を製造する。短糸同志の
交点の接合方法としては、適当なバインダーを用いても
よいが、短糸外周面が熱可塑性樹脂であるので、それを
用いて接合することが好ましい。すなわち、短糸を散
布、堆積させて作ったマット状のものを加熱し、短糸の
交点同志を熱融着させて接合させる。これにより、ばら
けにくいマット状複合材を製造できる。また、短糸同志
を熱融着等によって接合させる際、マット状のものの全
体を加圧してもよく、これにより短糸の密度の大きい、
空隙の少ないマット状複合材を得ることができる。ここ
で、マット状複合材の厚さ、空隙率等の仕様は、その使
用目的に応じて適当に定めるものであるが、成形材料と
して使用する場合には、厚さは、好ましくは1〜10m
mに、一層好ましくは2〜5mmに定められ、空隙率
は、好ましくは20〜60%に定められる。厚さ及び空
隙率が上記の範囲を越えて大きくなると、断熱効果が大
きくなって加熱が困難となり、従って成形動作が困難と
なり、一方、厚さが上記範囲よりも低くなると生産効率
が低下する。また、空隙率を上記範囲よりも低くする
と、マット状複合材の製造時に加圧時間を長く必要とし
マット状複合材の生産性が低下する。このため、上記の
範囲が好適である。
【0028】かくして、得られたマット状複合材は、マ
ット状であるので適度な軟らかさを備えており、樹脂被
覆糸の短糸がランダムに且つ均一な密度で分散配置され
た構成となっている。このマット状複合材は、主として
成形材料として使用される。例えば、このマット状複合
材を単体で或いは複数枚を積層して、所望の型内に装着
し、加熱、加圧することにより、樹脂を溶融して補強繊
維内に含浸させ、繊維補強熱可塑性樹脂成形品を作るこ
とができる。
【0029】ここで、成形材料であるマット状複合材は
軟らかいので、型なじみ性が良く、このため立体形状の
成形に好適に使用できる。また、各短糸では熱可塑性樹
脂が補強繊維を取り囲んで存在しているため、加熱、加
圧による含浸の際、溶融した樹脂の流れる距離が短くて
よく、このため、確実且つ敏速な含浸が得られ、しか
も、含浸の困難な補強繊維同士の交点においても、被覆
樹脂が補強繊維間に存在しているため、この部分での含
浸不良を生じることがない。
【0030】更に、マット状複合材を構成している各短
糸内では、予め補強繊維の周囲が一定量の樹脂で被覆さ
れていて補強繊維と樹脂の比率が一定であり、このた
め、マット状複合材のどの部分をとっても補強繊維と樹
脂の比率はほぼ一定の割合となっている。即ち、補強繊
維の体積含有率の場所によるばらつきはきわめて小さい
範囲内に抑えられている。このようにマット状複合材内
における補強繊維の体積含有率のばらつきが極めて小さ
く抑えられているので、そのマット状複合材内に短糸が
均等に分散していることとあいまって、このマット状複
合材を成形して得られた成形品中においても、補強繊維
の体積含有率のばらつきをきわめて小さい範囲内に抑え
ることができる。例えば、マット状複合材からシートを
成形した場合、得られたシートにおける補強繊維の体積
含有率のばらつきを、補強繊維の種類や補強繊維の含有
率の水準によっても異なるが、おおよそ±1.5%の範
囲におさめることができる。なお、ここで用いた体積含
有率のばらつきとは、シートを5g程度の大きさに5箇
所以上切り取り、JIS K7052に従って計測した
体積含有率の最大値と最小値から求めたものである。こ
のように、本発明のマット状複合材から作った成形品で
は補強繊維の含有率の場所によるばらつきを小さい範囲
内に抑えることができるため、樹脂の含浸度に場所によ
るばらつきが少なく、補強繊維の分布を均一にすること
ができるのとあいまって、成形品中の強度むらを少なく
することができる。
【0031】また、マット状複合材内の各短糸における
補強繊維の体積含有率が、成形品における補強繊維の体
積含有率となるので、高補強繊維含有率の短糸を用いる
ことにより、高補強繊維含有率の成形品を得ることがで
き、例えば、補強繊維の体積含有率が70%の樹脂被覆
糸の短糸を用いることにより、補強繊維の体積含有率が
70%の繊維補強熱可塑性樹脂成形品の製造が可能であ
る。かくして、上記したマット状複合材を用いることに
より、含浸性が良く、強度特性の優れた、強度むらの少
ない繊維補強熱可塑性樹脂成形品を生産性良く製造する
ことができる。
【0032】上記したマット状複合材は、最終形状をし
た繊維補強熱可塑性樹脂成形品の製造に用いるのみなら
ず、スタンパブルシート等の成形材料を作るためにも使
用可能である。すなわち、このマット状複合材を加熱、
加圧し、樹脂を溶融して補強繊維に含浸させて平坦なシ
ートとし、それをスタンパブルシート等の成形材料とし
て使用することもできる。この場合においても、補強繊
維が均一に分散した、且つ含浸性のよいシートを敏速に
得ることができ、また、得られたシートは樹脂の含浸が
良いので、それを用いて高品質の成形品を成形できる。
【0033】更に、上記したマット状複合材は、成形材
料として使用する場合に限らず、マットとしての特性を
利用した用途、例えば、断熱材、吸音材等としても使用
可能である。なお、このような用途に使用する場合に
は、短糸を構成する繊維(熱可塑性樹脂で被覆された繊
維)は、補強繊維として作用するものではないので、必
ずしも強度は必要なく、使用目的に応じて適当なものを
用いればよい。ただし、耐熱性を要求されるような用途
には、補強繊維としても有用なガラス繊維などの無機繊
維を用いることが好ましい。また、この用途の場合に
は、マットを構成する糸は短糸に限らず、連続した樹脂
被覆糸をそのまま用いてマット状複合材としてもよい。
【0034】上記した本発明の第一の実施の形態では、
短糸を散布、堆積してマット状とし、且つその短糸の交
点同志を接合することでマット状複合材を製造したが、
本発明の第二の実施の形態では、短糸を散布、堆積して
マット状とした後、そのマット状のものを加圧、加熱
し、熱可塑性樹脂を溶融させて補強繊維に含浸させ、シ
ート状複合材を製造することを特徴とする。
【0035】この場合においても、前記した第一の実施
の形態の場合と同様に、加圧、加熱してシート状とする
対象のマット状のものが、補強繊維を熱可塑性樹脂で被
覆した短糸で構成されているので、加熱、加圧による含
浸の際、溶融した樹脂の流れる距離が短くてよく、この
ため、確実且つ敏速な含浸が得られ、しかも、含浸の困
難な補強繊維同士の交点においても、あらかじめ補強繊
維間に被覆樹脂が存在しているため、この部分での含浸
不良を生じることがない。更に、マット状のものでは短
糸が均一な密度となるように分布しており、且つ各短糸
内では補強繊維の含有率が一定であるので、これを加
熱、加圧して得たシート状複合材内における補強繊維の
密度及び含有率も均一であり、均一な品質の且つ均一な
厚さのものを得ることができる。また、各短糸における
補強繊維の体積含有率が、得られたシート状複合材にお
ける補強繊維の体積含有率となるので、高補強繊維含有
率の短糸を用いることにより、高補強繊維含有率のシー
ト状複合材を得ることができる。かくして、この実施の
形態では、含浸性が良く、強度特性の優れたシート状複
合材を生産性良く製造することができる。
【0036】上記の手順で得たシート状複合材は、その
まま最終製品すなわち成形板として使用することもでき
るし、スタンパブルシート等の成形材料として使用する
こともできる。このシート状複合材を最終製品として使
用する場合には、樹脂を確実に含浸させ、且つ内部に空
気の残留しない状態即ちボイドのない状態とすることが
好ましく、このため、十分な加熱、加圧時間を取ること
が好ましい。一方、成形材料として使用する場合には、
二次成形時に完全な含浸並びに脱泡を行うことができる
ので、シート状複合材自体には、多少含浸の不十分な部
分とか、気泡などが残留した形態でもよく、このため、
加熱、加圧時間を適宜短縮して生産性を上げるようにし
てもよい。このように、マット状のものを加熱、加圧し
てシート状複合材を製造する際の成形の程度は種々変更
可能であり、使用目的に応じて適宜定めればよい。シー
ト状複合材の空隙率は5%以下が好ましく、3%以下が
一層好ましい。
【0037】短糸からなるマット状のものを加熱、加圧
してシート状複合材を成形する方法としても公知の方法
を適宜使用可能であり、例えば、熱プレスによりバッチ
式で行う方法、ダブルベルトプレスを用いて連続的に行
う方法、熱ロールにより連続的に行う方法等を挙げるこ
とができる。
【0038】本発明の第二の実施の形態によって製造さ
れたシート状複合材を成形材料として使用する場合も、
そのシート状複合材の中には補強繊維が均一に分散して
おり、且つ各補強繊維束が樹脂で囲まれているので、容
易且つ敏速に成形して所望形状の成形品を得ることがで
き、しかも、得られる成形品における補強繊維の分散が
均一で、高品質のものを得ることができる。更に、補強
繊維の含有率の高い成形品を得ることもできる。
【0039】なお、このシート状複合材を成形材料とし
て使用する場合、或いは第一の実施の形態において製造
したマット状複合材を成形材料として使用する場合、単
体で使用する場合に限らず、積層して使用することも可
能であり、しかも、積層する際には、シート状複合材の
みを、或いはマット状複合材のみを積層する場合に限ら
ず、シート状複合材とマット状複合材を一緒に積層する
とか、他の成形材料、例えば樹脂フイルム、シート状或
いはマット状の補強材等と一緒に積層する等の変更を行
ってもよい。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではな
い。
【0041】〔実施例1〕ガラス繊維束(540te
x、13μm×1600本)にナイロン樹脂を被覆した
樹脂被覆糸(ガラス繊維の体積含有率45%、樹脂の含
浸率約10%)を作成し、これを平均繊維長20mmに
切断して短糸とした。この短糸を850g、プレス金型
の平坦な凹部(長さ400mm×幅400mm×深さ3
0mm)内に、手で均一となるように且つランダムに散
布してマット状に堆積し、これを成形温度270°C、
成形圧力10kgf/cm2 、加圧時間10分の条件で
予備成形した。これにより、厚さ3mmのシート状複合
材を得た。
【0042】得られたシート状複合材は、表面が平滑で
且つガラス繊維が確実に樹脂で覆われていた。このシー
ト状複合材の断面を切断して顕微鏡で観察したところ、
内部に気泡が残っているものの、ガラス繊維束内及びガ
ラス繊維束同志の交点には確実に樹脂が含浸していた。
更に、このシート状複合材におけるガラス繊維の体積含
有率の場所によるばらつきを測定したところ、約±1.
0%の範囲内に入っていた。また、このシート状複合材
を成形材料とし、これを二次加工した。すなわち、この
シート状複合材を400°Cの遠赤外ヒーターで3分間
プレヒートし、半径50mm、厚さ2mmの120°C
に設定した凹凸金型に挿入し、半球を成形し、評価し
た。その結果を表1に示す。
【0043】〔実施例2〕ガラス繊維束(540te
x、13μm×1600本)にナイロン樹脂を被覆した
樹脂被覆糸(ガラス繊維の体積含有率45%、樹脂の含
浸率約50%)を作成し、これを平均繊維長20mmに
切断して短糸とした。この短糸を850g、プレス金型
の平坦な凹部(長さ400mm×幅400mm×深さ3
0mm)内に、手で均一となるように且つランダムに散
布してマット状に堆積し、これを成形温度270°C、
成形圧力10kgf/cm2 、加圧時間10分の条件で
予備成形した。これにより、厚さ3mmのシート状複合
材を得た。
【0044】得られたシート状複合材は、実施例1の場
合と同様に、表面が平滑で且つガラス繊維が確実に樹脂
で覆われていた。このシート状複合材の断面を切断して
顕微鏡で観察したところ、内部に気泡が残っているもの
の、ガラス繊維束内及びガラス繊維束同志の交点には確
実に樹脂が含浸していた。更に、このシート状複合材に
おけるガラス繊維の体積含有率の場所によるばらつき
は、約±1.0%の範囲内に入っていた。また、このシ
ート状複合材を成形材料とし、これを二次加工した。す
なわち、このシート状複合材を400°Cの遠赤外ヒー
ターで3分間プレヒートし、半径50mm、厚さ2mm
の120°Cに設定した凹凸金型に挿入し、半球を成形
し、評価した。その結果を表1に示す。
【0045】〔実施例3〕ガラス繊維束(540te
x、13μm×1600本)にナイロン樹脂を被覆した
樹脂被覆糸(ガラス繊維の体積含有率45%、樹脂の含
浸率約70%)を作成し、これを平均繊維長20mmに
切断して短糸とした。この短糸を850g、プレス金型
の平坦な凹部(長さ400mm×幅400mm×深さ3
0mm)内に、手で均一となるように且つランダムに散
布してマット状に堆積し、これを成形温度270°C、
成形圧力10kgf/cm2 、加圧時間10分の条件で
予備成形した。これにより、厚さ3mmのシート状複合
材を得た。
【0046】得られたシート状複合材は、実施例1の場
合と同様に、表面が平滑で且つガラス繊維が確実に樹脂
で覆われていた。このシート状複合材の断面を切断して
顕微鏡で観察したところ、内部に気泡が残っているもの
の、ガラス繊維束内及びガラス繊維束同志の交点には確
実に樹脂が含浸していた。更に、このシート状複合材に
おけるガラス繊維の体積含有率の場所によるばらつき
は、約±1.0%の範囲内に入っていた。また、このシ
ート状複合材を成形材料とし、これを二次加工した。す
なわち、このシート状複合材を400°Cの遠赤外ヒー
ターで3分間プレヒートし、半径50mm、厚さ2mm
の120°Cに設定した凹凸金型に挿入し、半球を成形
し、評価した。その結果を表1に示す。
【0047】〔実施例4〕ガラス繊維束(540te
x、13μm×1600本)にナイロン樹脂を被覆した
樹脂被覆糸(ガラス繊維の体積含有率30%、樹脂の含
浸率約70%)を作成し、これを平均繊維長20mmに
切断して短糸とした。この短糸を750g、プレス金型
の平坦な凹部(長さ400mm×幅400mm×深さ3
0mm)内に、手で均一となるように且つランダムに散
布してマット状に堆積し、これを成形温度270°C、
成形圧力10kgf/cm2 、加圧時間10分の条件で
予備成形した。これにより、厚さ3mmのシート状複合
材を得た。
【0048】得られたシート状複合材は、実施例1の場
合と同様に、表面が平滑で且つガラス繊維が確実に樹脂
で覆われていた。このシート状複合材の断面を切断して
顕微鏡で観察したところ、内部に気泡が残っているもの
の、ガラス繊維束内及びガラス繊維束同志の交点には確
実に樹脂が含浸していた。更に、このシート状複合材に
おけるガラス繊維の体積含有率の場所によるばらつき
は、約±1.0%の範囲内に入っていた。また、このシ
ート状複合材を成形材料とし、これを二次加工した。す
なわち、シート状複合材を400°Cの遠赤外ヒーター
で3分間プレヒートし、半径50mm、厚さ2mmの1
20°Cに設定した凹凸金型に挿入し、半球を成形し、
評価した。その結果を表1に示す。
【0049】〔実施例5〕ガラス繊維束(540te
x、13μm×1600本)にナイロン樹脂を被覆した
樹脂被覆糸(ガラス繊維の体積含有率60%、樹脂の含
浸率約10%)を作成し、これを平均繊維長20mmに
切断して短糸とした。この短糸を950g、プレス金型
の平坦な凹部(長さ400mm×幅400mm×深さ3
0mm)内に、手で均一となるように且つランダムに散
布してマット状に堆積し、これを成形温度270°C、
成形圧力10kgf/cm2 、加圧時間10分の条件で
予備成形した。これにより、厚さ3mmのシート状複合
材を得た。
【0050】得られたシート状複合材は、表面が平滑で
且つガラス繊維が確実に樹脂で覆われていた。このシー
ト状複合材の断面を切断して顕微鏡で観察したところ、
内部に気泡が残っているものの、ガラス繊維束内及びガ
ラス繊維束同志の交点には確実に樹脂が含浸していた。
更に、このシート状複合材におけるガラス繊維の体積含
有率の場所によるばらつきは、約±1.0%の範囲内に
入っていた。また、このシート状複合材を成形材料と
し、これを二次加工した。すなわち、このシート状複合
材を400°Cの遠赤外ヒーターで3分間プレヒート
し、半径50mm、厚さ2mmの120°Cに設定した
凹凸金型に挿入し、半球を成形し、評価した。その結果
を表1に示す。
【0051】〔比較例1〕ガラス繊維束(540te
x、13μm×1600本)を平均繊維長20mmに切
断したチョップドストランドと、ナイロン繊維束(66
0tex、20μm×150本)を平均繊維長20mm
に切断したチョップドストランドとを用意し、これをガ
ラス繊維の体積含有率が45%になるように混合しなが
ら、トータルで850gを、プレス金型の平坦な凹部
(長さ400mm×幅400mm×深さ40mm)内
に、手で均一となるように且つランダムに散布してマッ
ト状に堆積し、これを成形温度270°C、成形圧力1
0kgf/cm2 、加圧時間10分の条件で予備成形し
た。しかしながら、この場合にはガラス繊維に対する樹
脂の含浸が少なく、シート状に成形できなかった。
【0052】〔比較例2〕比較例1と同じガラス繊維の
チョップドストランドと、ナイロン繊維のチョップドス
トランドとを、ガラス繊維の体積含有率が45%になる
ように混合しながら、トータルで850gを、プレス金
型の平坦な凹部(長さ400mm×幅400mm×深さ
40mm)内に、手で均一となるように且つランダムに
散布してマット状に堆積し、これを成形温度270°
C、成形圧力10kgf/cm2 、加圧時間60分の条
件で予備成形した。これにより、厚さ3mmのシート状
複合材を得た。
【0053】得られたシート状複合材には、ガラス繊維
と樹脂が局在化したところが多く見られた。このシート
材の断面を切断して顕微鏡で観察したところ、気泡が多
く存在しており、しかも、ガラス繊維束内及びガラス繊
維束同志の交点に樹脂の含浸不良の部分が多く見られ
た。更に、このシート状複合材におけるガラス繊維の体
積含有率の場所によるばらつきを測定したところ、約±
6.0%もあった。また、このシート状複合材を成形材
料とし、これを二次加工した。すなわち、このシート状
複合材を400°Cの遠赤外ヒーターに3分間プレヒー
トし、半径50mm、厚さ2mmの120°Cに設定し
た凹凸金型に挿入し、半球を成形し、評価した。その結
果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】なお、表1において、シート状複合材の製
造における「GF分散」とは、短糸をランダムに散布し
て均一なマット状に堆積させる際の作業性を示してお
り、良好な側から、◎、〇、△、×の順番で示してい
る。また、二次加工における「流動性」とは金型内部で
の複合材の流れを示すものであり、〇は良好を、×は不
良を示している。「圧迫強度」は、成形品を押しつぶす
時の押力で、JIS T8101に準じて測定してい
る。外観も、〇は良好を、×は不良を示している。
【0056】上記した実施例1〜5、比較例1、2の説
明及び表1から良く分かるように、実施例1〜5では比
較的容易に短糸を均一に散布できたが、比較例では散布
が困難であった。これは、ガラス繊維のチョップドスト
ランドが滑りにくいためである。また、実施例1〜5の
うちでは実施例1が特に容易であり、実施例3では若干
困難であった。これは、実施例1では短糸内における樹
脂の含浸が少ないため、短糸に柔軟性があり、一方、実
施例3では樹脂の含浸が多いため、短糸が硬くなってお
り、この短糸の柔軟性が作業性に影響していると思われ
る。また、シート状複合材におけるガラス繊維の体積含
有率のばらつきは、実施例1〜5ではきわめて小さい
が、比較例2ではかなり大きくなっている。これは、比
較例2において、ガラス繊維のチョップドストランドと
ナイロン繊維のチョップドストランドとの混合がかなり
不均一となっていたためと思われる。
【0057】二次加工の際の流動性は、比較例2ではき
わめて劣っている。これは、シート状複合材内にガラス
繊維同志が接触する交点が多数存在しており、この部分
が滑らないので賦形性が悪くなったためと思われる。ま
た、この比較例2のものは外観も悪くなっている。これ
に対し、実施例1〜5では、ガラス繊維に対する含浸が
十分に行われているため、流動性が良く、良好な外観の
成形品を得ることができると共に、その圧迫強度も大き
くなっている。特に、実施例3では圧迫強度が大きい
が、これは、短糸における樹脂含浸が進んでいたため、
成形で得たシート状複合材における含浸の程度の他のも
のに比べて進んでいたためと思われる。
【0058】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明は、多数
本の連続した補強繊維で形成された繊維束の外周に熱可
塑性樹脂をコーティングして樹脂被覆糸を作成し、これ
を短く切断して短糸とし、その短糸をランダムに散布、
堆積させてマット状とし、且つその短糸同志の交点を接
合させてマット状複合材を製造する構成したことによ
り、短糸を良好に且つ均一に分散させてマット状とする
ことができ、補強繊維が均一に分散され、補強繊維のコ
ンテントむらが小さく、且つ補強繊維の樹脂に対する含
有率が均一なマット状複合材を容易に製造できるという
効果を有している。また、樹脂被覆糸における補強繊維
の含有率を高めておくことにより、補強繊維の含有率の
高いマット状複合材も容易に製造できるという効果も有
している。
【0059】更に、この発明の方法で得られたマット状
複合材は、補強繊維が樹脂被覆されているため、補強繊
維が露出する部分はほとんどなく、このため、毛羽立ち
やすくまた破損しやすいガラス繊維などを補強繊維とし
て用いた場合でも、毛羽立ちや破損がなく、きわめて取
り扱い易く、また、適度な柔軟性を有しているため型な
じみ性が良い。しかも、このマット状複合材を加熱、加
圧して成形することにより、溶融した樹脂で補強繊維を
敏速に含浸でき、また、短糸の交点にも樹脂が始めから
存在しているため、補強繊維同志の交点に含浸不良を生
じるということがなく、このため、樹脂含浸が確実で且
つ補強繊維の含有率及び分布が均一な、高強度、高品質
の繊維補強熱可塑性樹脂成形品を生産性良く得ることが
できる。また、そのマット状複合材における補強繊維の
含有率を高めておくことにより、例えば、補強繊維が体
積含有率で80%程度というような高含有率の繊維補強
熱可塑性樹脂成形品を製造することも可能である。この
ように、本発明の製造方法によって得られたマット状複
合材は、繊維補強熱可塑性樹脂成形品のための成形材料
としてきわめて好適に使用できるという効果を有してい
る。
【0060】また、本発明は、多数本の連続した補強繊
維で形成された繊維束の外周に熱可塑性樹脂をコーティ
ングして樹脂被覆糸を作成し、これを短く切断して短糸
とし、その短糸をランダムに散布、堆積させてマット状
とし、その後、このマット状のものを加圧、加熱して、
熱可塑性樹脂を溶融し、シート状複合材を製造するとい
う構成としたことにより、樹脂中に補強繊維が均一に分
散され且つ樹脂が補強繊維中に良好に含浸した繊維補強
熱可塑性樹脂成形シートを生産性良く製造することがで
き、また、補強繊維の含有率をきわめて高くした成形シ
ートを製造することもできるという効果を有している。
また、本発明方法によって製造されたシート状複合材
は、そのまま製品シートとして使用できる他、スタンパ
ブルシート等の成形材料としても使用でき、成形材料と
して使用した時には、容易に、樹脂含浸が確実で且つ補
強繊維の含有率及び分布が均一な、高強度、高品質の繊
維補強熱可塑性樹脂成形品を生産性良く得ることができ
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いる樹脂被覆糸を製造するた
めのコーティング装置の1例のクロスヘッドダイを示す
概略断面図
【図2】そのコーティング装置の概略側面図
【図3】そのクロスヘッドダイの樹脂吐出部分の概略断
面図
【図4】図3のA−A矢視図
【符号の説明】
1 繊維束 2 給糸装置 3 スクリュー式押出機 4 クロスヘッドダイ 5 樹脂被覆糸 6 熱可塑性樹脂冷却槽 7 巻取装置 10 繊維用穴 11 円筒状通路 12 吐出口 14 樹脂

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数本の連続した補強繊維で形成された
    繊維束の外周に熱可塑性樹脂をコーティングして樹脂被
    覆糸を作成し、これを短く切断して短糸とし、その短糸
    をランダムに散布、堆積させてマット状とし、且つその
    短糸同志の交点を接合させてマット状複合材とすること
    を特徴とする複合材の製造方法。
  2. 【請求項2】 多数本の連続した補強繊維で形成された
    繊維束の外周に熱可塑性樹脂をコーティングして樹脂被
    覆糸を作成し、これを短く切断して短糸とし、その短糸
    をランダムに散布、堆積させてマット状とし、その後、
    このマット状のものを加圧、加熱して、熱可塑性樹脂を
    溶融し、シート状複合材とすることを特徴とする複合材
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記樹脂被覆糸における補強繊維の体積
    含有率が30〜70%であり、この樹脂被覆糸を切断し
    て作った短糸の長さが10〜60mmであることを特徴
    とする請求項1又は2記載の複合材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記樹脂被覆糸における熱可塑性樹脂の
    繊維束に対する含浸度が、繊維束のフィラメント総本数
    の断面積の70%以下であり、且つその熱可塑性樹脂が
    前記繊維束の周方向の長さの90%以上を覆っているこ
    とを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の
    複合材の製造方法。
  5. 【請求項5】 多数本の繊維で形成された繊維束の外周
    に熱可塑性樹脂をコーティングしてなる樹脂被覆糸をマ
    ット状に形成してなるマット状複合材。
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