JPH06108300A - 低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH06108300A JP26178792A JP26178792A JPH06108300A JP H06108300 A JPH06108300 A JP H06108300A JP 26178792 A JP26178792 A JP 26178792A JP 26178792 A JP26178792 A JP 26178792A JP H06108300 A JPH06108300 A JP H06108300A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 最終製品板厚とした方向性電磁鋼用冷延板表
面にエッチングレジストを塗布したのち、エッチング処
理を施して線状溝を形成し、その後、脱炭焼鈍、ついで
最終仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法におい
て、冷延板をロール表面に巻き掛けして、該冷延板形状
の矯正下にエッチングレジストの塗布行う。 【効果】 歪取り焼鈍による鉄損の劣化のない工業的に
安定した低鉄損の方向性電磁鋼板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、変圧器その他の電気
機器の鉄心に用いて好適な低鉄損方向性電磁鋼板の有利
な製造方法に関するものである。方向性電磁鋼板は主と
して変圧器の鉄心材料として用いられ、その磁気特性が
良好であることが要求される。特に鉄心として使用した
場合のエネルギー損失すなわち鉄損が低いことが重要で
ある。
【0002】
【従来の技術】そこで従来から鉄損を低減させるため
に、結晶方位を(110) 〔 001〕方位により高度に揃える
こと、Si含有量を上げそれによって鋼板の電気抵抗を増
加させること、不純物を低減させること、そして板厚を
薄くすることなどが種々試みられてきた。その結果、板
厚が 0.23mm 以下の鋼板では、鉄損W17/50 (磁束密度
1.7 T , 50Hz )が 0.9W/Kg以下のものが製造されるよ
うになった。しかしながら、冶金学的な方法ではこれ以
上の大幅な鉄損の改善は期待できない。
【0003】近年、鉄損の大幅な低減を達成する手段と
して人為的に磁区を細分化する方法が種々試みされるよ
うになった。その中で現在工業化されている方法として
は、特公昭57−2252号公報の方向性電磁鋼板の鉄損特性
改善方法に提案開示されているような仕上げ焼鈍済みの
鋼板表面にレーザーを照射する方法がある。しかしなが
らこの方法は、鉄損低減に効果があるとはいうものの、
歪取り焼鈍によって鉄損の劣化をきたすという欠点があ
り、歪取り焼鈍を必須とする巻鉄心用としては用いられ
ない。
【0004】一方、歪取り焼鈍が可能な技術として特公
昭62−54873 号公報の低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方
法には、仕上げ焼鈍済の鋼板にレーザーや機械的手段に
よって局所的に絶縁被膜を除去したのち、被膜除去部を
酸洗する方法やナイフなどにより機械的に直接地鉄まで
けがくなどの方法により、線状の溝を局所的に形成した
のち、溝を充填するようにりん酸系の張力付与被膜処理
を施す方法が、また特公昭62−53579 号公報の低鉄損一
方向性電磁鋼板の製造方法には、仕上げ焼鈍済の鋼板に
90〜220 Kg/mm2の荷重で地鉄部分に深さ5μm 超の溝を
形成したのち、750 ℃以上の温度で加熱処理する方法が
提案開示されている。
【0005】これらの方法はいずれも、仕上焼鈍済みの
鋼板表面に線状の溝を導入するものであるが、前者の方
法では、被膜の厚みや光吸収率の違いから常に安定して
被膜を除去することが困難なため、安定した溝が形成で
きず、とくに機械的に直接けがく場合には溝周辺にかえ
りを生じるため占積率の低下を招くという問題があり、
一方後者の方法には、一定の深さの溝を得るための荷重
の調製が難しいという問題があった。また、これらの方
法のように仕上げ焼鈍済みの鋼板に溝を導入する場合に
は、溝導入により被膜が損傷するため、絶縁被膜の再塗
布を必要とする場合が多く、占積率の低下及びコストの
無用の増加を招く。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明者は他の1名
とともに上記のような欠点がなく、また工業的に容易
に、かつ安定して低鉄損材料を提供する方法を種々検討
した結果、特開平4−88121 号公報の低鉄損電磁鋼板の
製造方法において最終冷間圧延後、鋼板表面に連続又は
非連続の線状の非塗布部領域を残存させてエッチングレ
ジストを塗布・焼付けたのち、エッチング処理を施して
鋼板表面に線状溝を形成することにより鉄損を低減させ
る方法を提案開示した。この方法により低鉄損材料を工
業的に容易に生産することが可能になった。しかるに、
その後、生産を進めて行く中で得られた製品特性にバラ
ツキがあることが問題点として生じてきた。
【0007】そこで、このバラツキの原因を鋭意調査・
解析した結果、溝形状が板幅方向でばらつくこと、そし
て、そのバラツキは鋼板の形状不良によるエッチングレ
ジスト塗布状態の不良によることをつき止めた。衆知の
通り、最終冷延板は圧延による歪が残留していて板形状
は必ずしも平坦でない。このため、線状非塗布部領域を
残存させるエッチングレジスト塗布時に幅 100〜200 μ
m の線状非塗布部領域が狭くなったり、場所によって完
全に塗りつぶれてしまうという状態があった。
【0008】したがって、この発明は、上記のエッチン
グレジスト塗布の問題点を有利に解決し、バラツキのな
い均一な製品特性を有する低鉄損方向性電磁鋼板の製造
方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の問題点を解決する
ため、まず鋼板に張力を付加し、その張力増加による鋼
板形状の改善を試みたが大きな効果は得られなかった。
しかし、その後の実験・検討により、鋼板をロール表面
に巻き掛けしてエッチングレジストを塗布する方法が有
効であることを新たに見出しこの発明を達成したもので
ある。
【0010】すなわち、この発明の要旨は、最終製品板
厚まで冷間圧延を施した方向性電磁鋼用冷延板表面にエ
ッチングレジストを塗布したのち、エッチング処理を施
して該冷延板表面に線状溝を形成し、しかるのち該レジ
ストを除去し、その後、脱炭焼鈍、ついで最終仕上焼鈍
を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、冷延板をロ
ール表面上に巻き掛けして、該冷延板形状の矯正下にエ
ッチングレジストの塗布を行うことを特徴とする低鉄損
方向性電磁鋼板の製造方法(第1発明)であり、
【0011】第1発明において、冷延板形状の矯正を、
巻き掛け角5°以上で行うもの(第2発明)であり、第
1又は第2発明において、冷延板に張力を付加しながら
エッチングレジストを塗布するもの(第3発明)であ
る。
【0012】
【作用】この発明をさらに詳しく以下に説明する。ま
ず、この発明の基礎となった実験結果について述べる。
方向性電磁鋼板は一般につぎに述べるような工程で製造
される。すなわち方向性電磁鋼板用スラブを熱間圧延
し、その後必要に応じて熱延板焼鈍を行ったのち、1回
又は中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延により最終製
品板厚とし、その後脱炭焼鈍についで最終仕上げ焼鈍を
施したのち、通常上塗コーティングを施して製品とす
る。
【0013】さて、上記の製造工程中、板厚 0.23mm に
圧延した最終冷延板のコイル全長にわたり、その表面に
アルキド系樹脂を主成分とするエッチングレジストイン
キをグラビアオフセット印刷により、非塗布部領域が圧
延方向と直角な方向に幅:0.2mm 、圧延方向の間隔:3
mmで連続した直線状に残存するように塗布したのち、温
度: 200℃、時間:30秒間で焼付けた。
【0014】エッチングレジストの塗布に際しては、冷
延板をロール表面に巻き掛けして行い、図1に示すロー
ル表面への巻き掛け角θを0°から 200°まで変化させ
た。また、このとき冷延板には 1.5Kgf/mm2 の張力を付
加した。
【0015】なお、図1は冷延板のロール表面への巻き
掛けとグラビアオフセット印刷機によるエッチングレジ
ストの塗布例を示す説明図で、1は冷延板、2はバック
アップロール、3はグラビアロール、4はゴム転写ロー
ル、5はシメシロール、6及び7はドクターナイフであ
る。
【0016】このようにして塗布したエッチングレジス
トを詳細に観察したことろ、巻き掛け角θが10°以上の
場合には板幅方向全体にわたってエッチングレジストは
ほぼ均等に塗布され非塗布部領域が正しく残存している
のに対し、θが10°より小さい場合には板幅方向でエッ
チングレジストの塗布が不均等になっていたり、塗布さ
れたエッチングレジストがつぶされて非塗布部領域の幅
が狭くなったり、非塗布部領域が塗りつぶされていると
ころが見られた。
【0017】上記によりエッチングレジストを塗布した
鋼板に電解エッチングを施すことにより幅:0.2mm 、深
さ : 20 μm を目標とする線状の溝を形成し、ついで有
機溶剤中に浸漬してエッチングレジストを除去した。こ
こに、電解エッチングはNaCl電解浴を用い電流密度 : 1
0 A/dm2 、時間 : 20 秒間で処理した。電解エッチン
グ終了後、各コイルの板幅方向10ケ所、長手方向20ケ所
にわたり、形成された溝の幅及び深さを粗度計を用いて
測定した。
【0018】かかる溝形成処理を施した冷延板に脱炭焼
鈍についで最終仕上焼鈍を施し、これらの仕上げ焼鈍板
に上塗りコーティングを施して製品とした。
【0019】かくして得られた製品板からエプスタイン
試片を切り出し歪取り焼鈍を施したのち磁気特性を測定
した。これらの測定結果として、図2にエッチングレジ
スト塗布時の冷延板のロール表面への巻き掛け角θと鉄
損W17/50 及び溝形状のばらつきの関係を示す。ここで
鉄損W17/50 は、磁束密度 : 1.7T、周波数:50Hz に
おける測定値であり、溝幅、深さのばらつきは200 個の
測定点から算出した。また、図2には同一コイルから採
取した溝形成処理を施さなかった部分の鋼板の特性もあ
わせ示してある。
【0020】図2より、溝形成処理を施した鋼板は溝形
成処理を施さなかった鋼板にくらべ、いずれも鉄損は著
しく低減している。そして、エッチングレジスト塗布時
に冷延板をロール表面に巻き掛けした場合は、ロール表
面に巻き掛けしない場合(巻き掛け角:0°の場合)に
くらべ鉄損はさらに低減し、巻き掛け角が10°以上では
鉄損W17/50 で 0.03 W/Kg以上の低減が得られている。
【0021】このとき得られた鋼板の溝形状は、前記し
たように板幅方向全体にわたってエッチングレジストが
均等に塗布され非塗布部が正しく残存していた巻き掛け
角が10°以上の場合には、板幅方向全体にわたりほぼ均
等な溝が形成されており、溝幅、深さのばらつきも小さ
いのに対し、巻き掛け角が10°未満の場合には溝幅が不
均一になったり、場所によっては溝がなくなっている部
分が発生し、それらの発生頻度は巻き掛け角が小さくな
るにしたがって多くなることが確認された。
【0022】以上のように、冷延板をロール表面に巻き
掛けした状態でエッチングレジストを塗布することによ
り、形状の良好でない最終の冷延板表面への均等な塗布
が行えるようになり、従来にも増して低鉄損の電磁鋼板
を安定して製造できることが明らかとなった。
【0023】なお、最終冷延板への溝形成処理により鉄
損が減少する理由は明確ではないが、局所的な溝が仕上
げ焼鈍雰囲気中で好ましい影響を与えたことや製品での
磁区細分化効果をもたらしたためと推定される。
【0024】つぎにこの発明の限定条件及び好適条件な
どについて具体的に述べる。この発明においては、最終
冷延板をロール表面に巻き掛けした状態で該冷延板表面
にエッチングレジストの塗布を行うことを必要とする。
なお、当然のことながらエッチングレジストは、連続又
は非連続の線状の非塗布部領域を残して塗布される。か
くすることにより、エッチングレジスト塗布時の鋼板の
形状は矯正され正しく安定したエッチングレジストの塗
布ができ、エッチング後には良好な線状溝が得られるこ
とになる。また、巻き掛けの際の巻き掛け角は5°以
上、好ましくは10°以上とすることが肝要であるが、同
時に冷延板に張力を付加することはさらに効果的であ
る。ただし、単に張力を付加するだけでは冷延板の形状
を十分に矯正することができなく、安定したエッチング
レジストの塗布はできない。
【0025】エッチングレジストの塗布方法について
は、グラビアオフセット印刷、オフセットロールを用い
ないグラビア印刷、平版オフセット印刷、スクリーン印
刷等の方法があるが、コイルへの連続印刷が容易なこ
と、ロールの摩耗が少なく常に安定した印刷面が得られ
ることなどからグラビアオフセット印刷が最も適してい
る。
【0026】エッチングレジストとして使用するインキ
は、アルキド系、エポキシ系、ポリエチレン系等の樹脂
を主成分とするインキが好適である。
【0027】エッチングレジスト塗布後、樹脂を硬化さ
せるために焼付けを行うが、焼付けはインキに含まれて
いる溶剤、水等が蒸発する程度の温度で十分であり、通
常100 ℃以上の温度で行われる。
【0028】エッチングレジストの塗布・焼付けに引続
いて行うエッチングは、電解エッチング、化学エッチン
グのいずれでもよい。電解エッチングの場合、NaCl水溶
液や KCl水溶液等の電解浴中で電流密度:1〜 100A/
dm2 の範囲で実施することが好ましい。これは電流密度
が低すぎると十分なエッチング効果が得られなく、高過
ぎるとエッチング時にレジストを損傷させる恐れがある
ためである。化学エッチングの場合は、FeCl3 、HNO3
H2SO4 、H3PO4 等やそれらの混合液が好適に用いられ
る。
【0029】なお、これらのエッチング方法において、
工業的に安定した効果を得るためにはエッチングレジス
トを傷めやすい化学エッチング方法よりも電流密度のコ
ントロールが容易な電解エッチングの方がより適してい
る。
【0030】エッチング後のエッチングレジストの除去
方法は、アルカリあるいは有機溶剤が適している。
【0031】このようにして形成する溝の形状は、不連
続の線状でもよいが、連続した線状の方が望ましい。こ
の線状溝は、幅:5〜300 μm 、深さ : 100μm 以下、
好ましくは5〜50μm とし、溝間隔 :3〜30mmとするこ
とが適当である。また、線状溝の方向は、圧延方向と直
角な方向が最もよいが、その直角方向に対し 30 °以下
の範囲内であればほぼ同等の効果が得られる。
【0032】なお、上記線状溝の形成は、通常鋼板の片
面だけで十分であるが、両面に施しても効果を有するこ
とは云うまでもない。
【0033】さらに、この発明を適用した方向性電磁鋼
板の製造について述べる。この発明において、方向性電
磁鋼板用素材の成分組成については特に限定されるもの
ではなく、例えばC:0.01〜0.08wt%、Si : 2.0〜4.0
wt%を含み、かつ、インヒビターとして MnSe , MnS ,
AlN , BN 等のうち1種又は2種以上を少量含む組成が
有利に適合する。なお、インヒビター成分としては上記
以外に Sb,Sn , Bi 等を含むものもこの発明に適合す
る。
【0034】通常、上記の好適成分組成に調製された鋼
スラブを熱間圧延し、その後必要に応じて熱延板焼鈍を
行ったのち、1回又は中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間
圧延により最終製品板厚とする。
【0035】この最終製品板厚とした冷延板表面に上に
述べた方法によりエッチングレジストの塗布、焼付け、
エッチングを順次施したのち、エッチングレジストを除
去し、その後脱炭焼鈍を施し、さらに焼鈍分離剤を塗布
して最終仕上げ焼鈍を行う。
【0036】かかる仕上げ焼鈍後、焼鈍分離剤を除去
し、必要に応じて上塗りコーティング塗布を行って製品
とするが、この発明の効果は上塗りコーティングの有無
にかかわらず発揮される。
【0037】以上のようにして製造した鋼板は安定して
極めて低い鉄損値を示し、その値は歪取り焼鈍後も保持
されるため巻鉄心用材料として安定して使用することが
できる。また、一般に歪取り焼鈍を必要としない積鉄心
用として使用してもよいのは云うまでもない。
【0038】
【実施例】
実施例1 インヒビターとして AlN , MnSe を含む 3.2%けい素鋼
の熱間圧延板を中間焼鈍をはさむ2回の冷間圧延により
0.23mm 厚まで圧延し、この冷延板表面にグラビアオフ
セット印刷によるエッチングレジスト塗布後、電解エッ
チングを施すことにより線状の溝を形成した。エッチン
グレジスト塗布に際しては鋼板をロール表面に巻き掛け
て塗布し、巻き掛け角を5°,10°, 30°, 90° , 180
°の5条件とし、ロール表面に巻き掛けしない場合と比
較した。エッチングレジストインキはエポキシ系樹脂を
主成分とするインキを用い、電解エッチングは Nacl 電
解浴中で電流密度: 10A/dm2、時間: 30 秒間の処理を
施した。以上の処理による溝形成は圧延方向に対し直角
方向とし溝幅:約 0.2mm、深さ:約20μm 、溝間隔:3
mmで連続的な線状に形成されるようにした。
【0039】エッチング処理後の鋼板はアルカリ液中に
浸漬することによりエッチングレジストを除去したのち
脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍し更に上塗りコーティングを施
した。
【0040】このように処理して得られた製品からエプ
スタイン試片を採取し、歪取焼鈍ののち磁気特性を測定
した。結果を同一コイルから採取した溝形成処理を施さ
ない部分の試片とあわせて表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】ここに、W17/50 は 1.7T,50Hzでの鉄
損、B8 は磁化力 800A/m における磁束密度を示す。
【0043】表1より、線状溝のない比較例にくらべ、
エッチングレジストの塗布に際し、ロール表面に巻き掛
けしなかった比較例の鉄損は大幅に低下しているが、こ
の発明に従いロール表面に巻き掛けした適合例はさらに
低い鉄損を示している。
【0044】実施例2 インヒビターとして AlN , MnSe , Sbを含む 3.3%けい
素鋼の熱間圧延板を中間焼鈍をはさむ2回の冷間圧延に
より 0.18mm 厚まで圧延し、この冷延板表面にグラビア
オフセット印刷によるエッチングレジスト塗布後、電解
エッチングを施すことにより線状の溝を形成した。エッ
チングレジストの塗布に際しては冷延板をロール表面に
巻き掛けして塗布し、巻き掛け角を5°,10°, 30°,
90° , 180°の5条件とし、ロール表面に巻き掛けしな
い場合と比較した。また、この時、同時に冷延板に 10K
g/mm2 の張力を付加した。エッチングレジストの塗布、
電解エッチング、溝形成及び溝形成後の処理などは実施
例1と同様の方法で行った。このようにして得られた製
品の磁気特性を表2に示す。
【0045】
【表2】 表2より、線状溝のない比較例にくらべ、エッチングレ
ジストの塗布に際し、ロール表面に巻き掛けしなかった
比較例の鉄損は大幅に低下しているが、この発明に従い
ロール表面に巻き掛けした適合例はさらに低い鉄損を示
している。
【0046】
【発明の効果】この発明は、最終製品板厚まで冷間圧延
した方向性電磁鋼用冷延板表面に、エッチングレジスト
を塗布したのち、エッチング処理を施して線状溝を形成
する工程を含む低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法におい
て、冷延板をロール表面に巻き掛けして、該冷延板形状
の矯正下にエッチングレジストの塗布を行うものであっ
て、この発明によれば、工業的に安定した従来に優る低
鉄損の方向性電磁鋼板を得ることができ、しかもかかる
鋼板は歪取り焼鈍による鉄損の劣化がないので、積鉄
心、巻鉄心共に使用でき、変圧器の効率向上に大きく寄
与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷延板のロール表面への巻き掛けとグラビアオ
フセット印刷機によるエッチングレジスト印刷例を示す
説明図である。
【図2】エッチングレジスト塗布時の冷延板のロール表
面への巻き掛け角θと鉄損W17 /50 の関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 冷延板 2 バックアップロール 3 グラビアロール 4 ゴム転写ロール 5 シメシロール 6,7 ドクターナイフ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最終製品板厚まで冷間圧延を施した方向
    性電磁鋼用冷延板表面にエッチングレジストを塗布した
    のち、エッチング処理を施して該冷延板表面に線状溝を
    形成し、しかるのち該レジストを除去し、その後、脱炭
    焼鈍、ついで最終仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造
    方法において、 冷延板をロール表面上に巻き掛けして、該冷延板形状の
    矯正下にエッチングレジストの塗布を行うことを特徴と
    する低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 冷延板形状の矯正が、巻き掛け角5度以
    上である請求項1に記載の低鉄損電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 冷延板に張力を付加しながらエッチング
    レジストを塗布することを特徴とする請求項1又は2に
    記載の低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法。
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