JPH06106553A - 粉末成形用熱可塑性エラストマーパウダー組成物、それを用いる粉末成形方法及びその成形体 - Google Patents

粉末成形用熱可塑性エラストマーパウダー組成物、それを用いる粉末成形方法及びその成形体

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JPH06106553A
JPH06106553A JP25968892A JP25968892A JPH06106553A JP H06106553 A JPH06106553 A JP H06106553A JP 25968892 A JP25968892 A JP 25968892A JP 25968892 A JP25968892 A JP 25968892A JP H06106553 A JPH06106553 A JP H06106553A
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敏郎 五十嵐
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寿恵治 篠原
Masayuki Tatsumi
雅之 辰巳
Tadashi Hikasa
忠 日笠
Hiroaki Tsumadori
浩昭 妻鳥
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Abstract

(57)【要約】 【構成】熱可塑性エラストマーパウダー100重量部に
対して、平均粒子径30μm以下の微細な熱可塑性樹脂
粉体を0.05〜20重量部含有することを特徴とする
粉末成形用熱可塑性エラストマーパウダー組成物。 【効果】本発明のエラストマーパウダー組成物は、長期
間保存しても優れた粉体流動性を示す。更に、該パウダ
ー組成物を使用すれば、軽量性、クリーン性にも優れた
成形体を製造し得るのみならず粉末成形を長時間連続で
実施しても均一な肉厚でしかもピンホール等のない成形
体を製造し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉末成形用の熱可塑性
エラストマーパウダー組成物、それを用いる粉末成形法
及びその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】自動車内
装材、例えばインストルメントパネル、コンソールボッ
クス、アームレスト、ヘッドレスト、ドアトリム等の表
皮材として、可塑剤を含む塩化ビニルパウダー組成物の
粉末成形体が使用されている。しかしながら、該成形体
は、軽量性に劣るのみならず廃車時の焼却処分により酸
性物質を発生し、大気汚染、酸性雨等を惹起しクリーン
性に劣るという塩化ビニル由来の欠点、更には自動車の
窓ガラス内面に曇りを生ぜしめる等の可塑剤由来の欠点
があり、満足し得るものではない。
【0003】本発明者等は、かかる塩化ビニルパウダー
組成物の欠点を改善すべく検討を加え、既に、粉末成形
用のオレフィン系熱可塑性エラストマーパウダーを提案
している(特願平3-199579号、特願平3-199589号) 。そ
の後、検討を続けたところ、熱可塑性エラストマーパウ
ダーは粉砕直後には良好な粉体流動性を示すが、長時間
放置中にパウダー同士が凝集して粉末成形に必要な粉体
流動性を示さなくなるという問題が生じた。
【0004】さらに、パウダーを加熱した金型に触れさ
せることによりパウダー同士を熱融着させ、熱融着しな
かったパウダーは粉体供給ボックスに戻すという粉末ス
ラッシュ成形法を実施した場合は、熱融着しなかったパ
ウダーが繰り返し実施により、徐々に温められて粉体供
給ボックス内で蓄熱し、次第にパウダー同士が凝集して
粉体流動性が悪化する結果、長時間連続して実施するに
つれて、欠肉及びピンホールを有する成形体が生産され
るという問題が生じた。
【0005】かかる状況下に、本発明者らは、熱可塑性
エラストマーパウダーを用いる粉末成形について種々検
討を重ねた結果、熱可塑性エラストマーパウダーと特定
量の微細な熱可塑性樹脂粉体からなるパウダー組成物が
長期間保存しても良好な粉体流動性を示すことを見出す
とともに、該パウダー組成物を使用すれば、例えば粉末
スラッシュ成形法で長時間連続実施しても欠肉、ピンホ
ール等のない成形体が製造し得ることを見出し、さらに
種々の検討を加えて本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記(A)の熱可塑性エラストマーパウダー 100重量部に
対して、平均粒子径30μm以下の微細な熱可塑性樹脂粉
体を0.05〜20重量部含有することを特徴とする粉末成形
用熱可塑性エラストマーパウダー組成物、それを用いる
粉末成形方法及びその成形体を提供するものである。 (A)エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリ
オレフィン系樹脂との組成物からなる熱可塑性エラスト
マーのパウダーまたはエチレン・α−オレフィン系共重
合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との部分架橋型組成物
からなる熱可塑性エラストマーのパウダーであって、25
0 ℃における周波数1ラジアン/秒での複素動的粘度η
* (1) が 1.5×105 ポイズ以下であり、かつ上記複素動
的粘度η* (1) と周波数100 ラジアン/秒での複素動的
粘度η* (100) とを用いて次式で算出されるニュートン
粘性指数nが0.67以下である熱可塑性エラストマーパウ
ダー。 n={logη* (1) −logη* (100) }/2
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いるエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとして
は、例えば、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチ
レン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム等のオレ
フィンを主成分としたゴムが挙げられる。非共役ジエン
としては、例えば、ジシクロペンタジエン、エチリデン
ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジ
エン、メチレンノルボルネン等が挙げられる。
【0008】α−オレフィン系共重合体ゴムのなかで
は、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネンゴ
ム(以下EPDMと称する)が好ましく、これを用いる
と、耐熱性、引張特性等に優れた成形体が得られる。
【0009】エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム
のムーニー粘度(ASTM D-927-57Tに準じて100 ℃で測定
したムーニー粘度(ML1+4 100 ℃))は、通常130 以
上350 以下、好ましくは 200以上 300以下である。ま
た、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、これ
にパラフィン系プロセスオイル等の鉱物油系軟化剤を添
加し、油展オレフィン系共重合体ゴムの形で使用するこ
ともできる。この場合には溶融流動性が向上するのみな
らず成形体の柔軟性が向上するので好ましい。鉱物油系
軟化剤の添加量は、エチレン・α−オレフィン系共重合
体ゴム 100重量部あたり、通常120 重量部以下、好まし
くは30〜 120重量部である。
【0010】また熱可塑性エラストマーを構成する他の
成分であるポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピ
レン、プロピレンとエチレンの共重合体、プロピレンと
プロピレン以外のα−オレフィンの共重合体が好ましく
用いられる。特に、プロピレンとブテンとの共重合体樹
脂を用いることにより、成形体の硬度を下げることも可
能である。ポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレー
ト(MFR、JIS K-7210に準拠し、230 ℃、2.16kg荷重
で測定)が、20g /10分未満の場合は粉末成形時にパウ
ダー同士が溶融付着し難くなり成形体の強度が低下する
ので、通常20g /10分以上のものが使用される。好まし
くは50g /10分以上である。
【0011】本発明における熱可塑性エラストマーは、
上記のようなエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム
とポリオレフィン系樹脂との組成物、または該組成物を
動的架橋した部分架橋型組成物であるが、エチレン・α
−オレフィン系共重合体ゴムとオレフィン系樹脂の比率
は、重量比で通常5:95〜80:20であることが好まし
い。部分架橋型組成物を製造するに当たっては、架橋剤
として有機過酸化物が通常用いられる。有機過酸化物と
しては、ジアルキルパーオキサイドが好ましく用いられ
る。また、ビスマレイミド化合物などの架橋助剤の存在
下、ごく少量の有機過酸化物を用いて動的架橋すること
が好ましく、この場合エチレン・α−オレフィン系共重
合体ゴムを適度に架橋し耐熱性を持たせると同時に、高
流動性が得られる。 架橋剤は、エチレン・α−オレフ
ィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との合計量
100 重量部あたり、通常1.5 重量部以下、好ましくは0.
6 重量部以下用いられ、有機過酸化物は、0.2 重量部以
下、好ましくは0.1 重量部以下、より好ましくは0.07重
量部以下用いられる。
【0012】動的架橋は、一軸混練押出あるいは二軸混
練押出等の連続混練押出することによる方法が好適であ
る。二軸混練押出による場合は、剪断速度<103sec-1
押出架橋を行なうとエチレン・α−オレフィン系共重合
体ゴムの分散粒子径が大きくなり本発明の粘度条件を実
現することが難しくなるので、剪断速度≧103sec-1で連
続押出架橋を行なうことが好ましい。本発明における熱
可塑性エラストマーは、250 ℃、周波数1ラジアン/秒
で測定した複素動的粘度η* (1) が1.5 ×105 ポイズ以
下、好ましくは1.0 ×105 ポイズ以下である。1.5 ×10
5 ポイズを超えると該エラストマーのパウダーは、金型
面上で溶融流動しなくなり、加工時の剪断速度が1sec
-1以下の非常に低い粉末成形法では成形ができなくな
る。
【0013】また、250 ℃、周波数1ラジアン/秒で測
定した複素動的粘度η* (1) と周波数100 ラジアン/秒
で測定した複素動的粘度η* (100) とを用いて次式で算
出されるニュートン粘性指数nが0.67以下、好ましくは
0.60以下である。 n={logη* (1) −logη* (100) )}/2 ニュートン粘性指数nが0.67を超えると、仮に周波数1
ラジアン/秒で測定した複素動的粘度η* (1) が1.5 ×
105 ポイズ以下であっても、複素動的粘度の周波数依存
性が大きくなり、粉末成形のように成形時の賦形圧力が
1kg/cm2 以下と非常に小さい成形法では溶融したエラ
ストマーパウダー粒子同士の熱融着が不完全になり機械
的物性の低い成形体しか得られない。
【0014】本発明において、熱可塑性エラストマー組
成物として部分架橋型組成物を用いる場合は、未架橋の
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムあるいはエチレ
ン−α−オレフィン共重合体樹脂を、エラストマー100
重量部に対し50重量部以下ブレンドして使用し、成形体
の柔軟性をより向上させることもできる。この場合のα
−オレフィンは、プロピレン及びブテン等が単独または
併用して用いられる。特にエチレン含有量が40〜90重量
%、好ましくは70〜85重量%のエチレン−プロピレン共
重合体ゴムでML1+4 100 ℃が50以下のものが好まし
い。本発明における熱可塑性エラストマーパウダーを含
むパウダー組成物は、上記のような熱可塑性エラストマ
ー組成物を、例えばガラス転移温度以下の低温で粉砕す
ることにより製造される。その平均粒子径は通常100 μ
m〜300 μmである。
【0015】本発明の熱可塑性エラストマーパウダー組
成物は、上記のような熱可塑性エラストマーパウダーの
他に特定量の微細な熱可塑性樹脂粉体を含有する点に特
徴を有するものであるが、かかる微細な粉体としては、
その平均粒子径が30μm以下、より好ましくは、0.01〜
10μmのものが使用される。 ここで平均粒子径が30μ
mを超えると長期保存において良好な粉体流動性を維持
し続けることができない。
【0016】かかる微細な粉体としては、例えば、ホモ
ポリプロピレン、プロピレン- エチレンランダム共重合
体、プロピレン- エチレンブロック共重合体、プロピレ
ン-ブテンランダム共重合体、プロピレン- エチレン-
ブテン三元共重合体等のポリプロピレン系樹脂、高圧法
ポリエチレン、低圧法ポリエチレン、鎖状低密度ポリエ
チレン、エチレン- 酢酸ビニル共重合体、エチレン- メ
タクリル酸共重合体、エチレン- アクリル酸エステル-
無水マレイン酸三元共重合体、エチレン- グリシジルメ
タクリレート共重合体、エチレン- グリシジルメタクリ
レート- 酢酸ビニル三元共重合体、エチレン- グリシジ
ルメタクリレート- メタクリレート三元共重合体、エチ
レン- α- オレフィン共重合体、変成ポリオレフィン、
塩素化ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニル- 酢酸ビニル共重合体、塩素化
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル- エチレン- 酢酸ビニ
ル共重合体、ポリ塩化ビニル- ウレタン共重合体、アク
リロニトリル- ブタジエン- スチレン共重合体、メタク
リル酸メチル- ブタジエン- スチレン共重合体、スチレ
ン- ブタジエン- スチレンブロック共重合体、アクリロ
ニトリル- スチレン共重合体、スチレン- ジビニルベン
ゼン共重合体等のビニル系樹脂などの微細な粉体が挙げ
られる。これらは2種以上混合して用いることもでき
る。またこれらの樹脂粉末の中では、ポプロピレン系、
ポリエチレン系などのポリオレフィン系樹脂粉末が好ま
しく使用される。
【0017】本発明における微細な熱可塑性樹脂粉体
は、そのメルトフローレート(MFR、JIS K-7210に準
拠し、190 ℃又は230 ℃、2.16kg荷重で測定)が、3g/
10分以上であり、タイラー標準篩の32メッシュを全重量
の95%が通過する粒径であることが好ましい。また、微
細な粉体の含量は、熱可塑性エラストマーパウダー100
重量部に対して、0.05〜20重量部であり、好ましくは0.
1 〜10重量部であり、更に好ましくは0.1 〜4重量部で
ある。含量が0.05重量部未満では、長期保存において良
好な粉体流動性を維持し続け難く、20重量部を超えると
粉体流動性が低下するのみならず粉体粒子間の熱融着強
度の充分に大きな成形体が得られない場合もある。熱可
塑性エラストマーパウダーに微細な粉体を含有させる方
法としては、微細な粉体が均一に分散する方法であれば
特に限定されるものではなく、例えば、加熱用ジャケッ
トのついたブレンダーや高速回転型ミキサー等を使用し
てブレンドする方法等が挙げられる。中でも、スーパー
ミキサーのように剪断力を加えることにより粉体の互着
を防止して均一に分散させる方法が好ましい。また、粉
体同士が熱融着しない範囲で加熱しながら添加してもよ
い。
【0018】また本発明のエラストマーパウダー組成物
は、内部添加離型剤を含有することもできる。内部添加
離型剤としては、メチルポリシロキサン化合物が好まし
く、エラストマーパウダー組成物100 重量部あたり2重
量部以下含有することが効果的である。この場合の添加
時期は粉末化前後のいずれでもよい。この場合のメチル
ポリシロキサン化合物としては、25℃における粘度が20
センチストークス以上であれば良いが、好ましくは50〜
5000センチストークスである。粘度が大きくなりすぎる
と、離型剤としての効果が減少する。また、内部添加離
型剤が2重量部より多くなると、エラストマーパウダー
間の熱融着を阻害し、機械的物性に劣った成形体しか得
られず、しかも、金型表面に内部添加離型剤がブリード
し、金型が汚染され好ましくない。
【0019】さらに本発明のエラストマーパウダー組成
物は、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカ
ン系、フォスファイト系、アミン系またはアミド系安定
剤のような安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止
剤、金属石けん、ワックス等の滑剤、アゾ系、フタロシ
アン系、スレン系、染色レーキ系等の有機顔料、酸化チ
タン等の酸化物系、クロモ酸モリブデン酸系、硫化物セ
レン化合物系、フェロシアン化物系、カーボンブラック
等の無機顔料、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウ
ム、炭酸カルシウム等の充填剤なども必要量含有するこ
とができる。かかるエラストマーパウダー組成物は、粉
体流動性に優れるのみならず、低剪断速度かつ低圧力
下、金型から供給される熱で容易に溶融し得るので、粉
末成形法、例えば流動浸漬、静電塗装、粉末溶射、粉末
回転成形、粉末スラッシュ成形等の成形方法用の組成物
として優れており、なかでも粉末スラッシュ成形法(特
開昭58-132507 号公報 )用の組成物として優れている。
粉末成形するに当たり、金型の加熱方式は、特に制限さ
れるものではなく、例えば、ガス加熱炉方式、熱媒体油
循環方式、熱媒体油または熱流動砂内への浸漬方式ある
いは高周波誘導加熱方式等が挙げられる。
【0020】
【発明の効果】本発明のエラストマーパウダー組成物
は、長期間保存しても優れた粉体流動性を示す。更に、
該パウダー組成物を使用すれば、長時間連続で粉末成形
しても均一な肉厚でしかもピンホール等のない成形体を
製造し得るのみならず、軽量性、クリーン性にも優れた
成形体を製造し得る。また、本発明の成形体は、例えば
家電用品、事務用品、いす、家具等の表皮材、特に自動
車のインストルメントパネル表皮、コンソールボック
ス、アームレスト、ドアトリム等のカバーリング材料と
して使用し得る。
【0021】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。なお、実施例、比較例における熱可塑性エラスト
マーパウダー組成物及びパウダーの動的粘弾性、粉体性
状及び成形性は次の方法により行なった。
【0022】熱可塑性エラストマー組成物の動的粘弾性 レオメトリックス社製ダイナミックアナライザーRDS-77
00型を用い、振動周波数1ラジアン/秒及び 100ラジア
ン/秒での動的粘弾性を測定し、複素動的粘度η* (1)
及びη* (100)を算出した。なお、測定は平行平板モー
ドで行ない、印加歪みは5%、サンプル温度は250℃で
測定した。また、η* (1) とη* (100)の結果をもとに
次式でニュートン粘性指数nを算出した。 n={logη* (1) −logη* (100)}/2
【0023】パウダーの粉体流動性 25℃雰囲気下でエラストマーパウダー組成物を1ケ月放
置した。そのエラストマーパウダー組成物100ml をJIS
K-6721のかさ比重測定装置の漏斗に入れ、ダンパーを引
き抜いてパウダーが落下し始めてから全パウダーが落下
し終わるまでの時間(秒数)を測定した。 時間の短い
ほど粉体流動性のよいことを示す。
【0024】パウダーの成形性(粉末成形性) エラストマーパウダー組成物500 gを表面温度が 250℃
に加熱された大きさ30cm×30cm、厚さ3mmのニッケル電
鋳シボ板にふりかけ14秒間付着させた後、該エラストマ
ーパウダー組成物の未溶着粉末を排出させ、パウダー溶
着シボ板を雰囲気温度 280℃の加熱炉中で60秒間加熱溶
融させた。金型上でのパウダーの融合状態及び金型を70
℃に水冷後脱型して得られた成形シートの性状から次の
判定基準で粉末成形性の評価を行なった。 ◎:パウダー組成物が互いに十分融合し、得られた成形
シートの引張強度は十分強い。 ○:パウダー組成物が互いに十分融合し、得られた成形
シートの引張強度は強い。 △:パウダー組成物が互いに融合するが、得られた成形
シートの引張強度は低くもろい。 ×:パウダー組成物が互いに融合せず、パウダー組成物
のままで金型上に存在する。 ◎と○は最終製品まで加工できるが、△と×は最終製品
まで加工できない。
【0025】参考例1 EPDM(ML1+4 100 ℃=242 、プロピレン含量=28
重量%、ヨウ素価=12)100 重量部あたり鉱物油系軟化
剤(出光興産製、登録商標ダイアナプロセスPW─380
)100 重量部を添加した油展EPDM(ML1+4 100
℃=53)40重量部と、プロピレン─ブテンランダム共重
合体樹脂(ブテン含量=24重量%、MFR=90g/10
分)60重量部及び架橋助剤(住友化学製、登録商標スミ
ファインBM─ビスマレイミド化合物)0.4 重量部をバ
ンバリーミキサーを用いて10分間混練した後、押出機を
用いてペレット状の架橋用のマスターバッチ(以下M.
B.と称する)とした。このM.B.100 重量部に対
し、有機過酸化物(三建化工製、登録商標サンペロック
スAPO、2,5-ジメチル−2,5-ジ(t−ブチルペルオキ
シノ)ヘキサン)0.04重量部を添加し、2軸混練機(日
本製鋼所製、登録商標TEX─44)を用いて 220℃で動
的架橋を行ない、エラストマー組成物ペレットを得た。
このペレットを液体窒素を用いて−100 ℃の温度に冷却
後、冷凍粉砕を行ない複素動的粘度η* (1) が7×103
ポイズ、ニュートン粘性指数nが 0.39 である熱可塑性
エラストマーパウダーを得た。
【0026】実施例1 参考例1で得られた熱可塑性エラストマーパウダー100
重量部に、微細なポリプロピレン(三晶株式会社製 ラ
ンコワックス PP-1362-D、平均粒径 3.5μm)10重量部を
スーパーミキサーを用いて25℃、500 rpmで10分間混
練して熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。こ
の組成物を用いて、粉体性状及び成形性の評価を行なっ
た。評価結果を表1に示した。
【0027】実施例2 実施例1において、ポリプロピレンを低密度ポリエチレ
ン( MFR=75g/10分、平均粒径 3μm) 10 重量部に代え
た以外は、実施例1と同様に実施して粉末成形用の熱可
塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表
1に示した。
【0028】実施例3〜4 実施例2において、低密度ポリエチレンの使用量を1及
び3重量部に代えた以外は、実施例2と同様に実施して
粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得
た。評価結果を表1に示した。
【0029】実施例5 実施例2において、低密度ポリエチレンとして、平均粒
径 6μm のものを10重量部用いる以外は、実施例2と同
様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダ
ー組成物を得た。 評価結果を表1に示した。
【0030】実施例6 実施例2において、低密度ポリエチレンとして、平均粒
径10μm のものを3重量部用いる以外は、実施例2と同
様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダ
ー組成物を得た。 評価結果を表1に示した。
【0031】実施例7 実施例1において、ポリプロピレンの代わりに架橋ポリ
スチレン(住友化学社製 ファインパール PB-3006E)
10重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して粉末
成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。
評価結果を表1に示した。
【0032】実施例8 実施例1において、ポリプロピレンの代わりにペースト
用塩化ビニル(住友化学社製PxQLT 平均粒径 1.2μm)
1.5重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して粉
末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得
た。評価結果を表1に示した。
【0033】実施例9 実施例1において、ポリプロピレンの代わりにペースト
用塩化ビニル(住友化学社製 平均粒径 0.08 μm)1.5
重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して粉末成
形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評
価結果を表1に示した。
【0034】比較例1 実施例1において、ポリプロピレンを用いない以外は、
実施例1と同様に実施して熱可塑性エラストマーパウダ
ー組成物を得た。 評価結果を表1に示した。
【0035】比較例2 実施例2において、低密度ポリエチレンを30重量部用い
た以外は、実施例1と同様に実施して熱可塑性エラスト
マーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0036】比較例3 実施例1において、ポリプロピレンの代わりにアクリル
架橋ビーズ(住友化学社製 スミペックス-B XC-01、平
均粒径 35 μm) 10 重量部用いた以外は、実施例1と同
様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダ
ー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0037】比較例4 参考例1において、油展EPDMを70重量部用い、プロ
ピレン─ブテンランダム共重合体樹脂をプロピレン─エ
チレンランダム共重合体樹脂(エチレン含量=3重量
%、MFR=1.2 g/10分)30重量部に代える以外は参
考例1と同様に実施して熱可塑性エラストマーパウダー
を得た。このものは、η* (1) が1.9 ×105 ポイズ、ニ
ュートン粘性指数nが 0.69 であった。次いで、これを
用いて、実施例3と同様に実施して熱可塑性エラストマ
ーパウダー組成物を得た。 結果を表1に示した。
【0038】
【0039】実施例10 実施例3で得られた熱可塑性エラストマーパウダー組成
物を、図1〜図3に示すステンレス製の角型容器(粉末
供給ボックス)に4kg投入した。この角型容器は 600mm
×220mm の長方形の開口部1を有し、深さが 210mmであ
り、一軸回転装置3に取り付けたものである。一方、図
1に示す粉末供給ボックスの開口部1と、同じ大きさの
開口部4を有する、図4〜図6に示すニッケル電鋳金型
を 300℃のガス炉中で予備加熱した。この金型は、厚さ
3mmであり、内面がなわ目模様5及び皮しぼ模様6の施
された複雑形状を有するものである。金型の表面温度が
250℃になった時点で、直ちに加熱された金型をその
開口部4(600mm ×220mm)が下向きになるように上記
粉末供給ボックスの開口部1に合わせて置き、双方の開
口部のまわりに取り付けられている外枠を密着させ、ク
リップ2で固定し一体化した。すぐに毎分30回転の速度
で、時計方向に2回転及び毎分30回転の速度で逆時計方
向に2回転した。その後、時計方向及び逆時計方向に1
回づつ約120度の角度まで揺動し複雑形状部に付着した
過剰の粉を払い落とした。
【0040】金型の開口部4が下向きの状態で回転及び
揺動操作を止め、粉末供給ボックスから金型を取り外し
280 ℃の加熱炉中で1分間後加熱したのち、水冷し、成
形皮膜を脱型した。成形皮膜は、重量150 g、厚み0.9
〜1.1mm の欠肉のない、なわ目模様、皮しぼ模様が忠実
に再現され、複雑形状の金型の細部まで十分に再現され
た肉厚の均一性に優れたピンホールのない製品が得られ
た。
【0041】容器には、3.8kg の異物の混入のないエラ
ストマーパウダー組成物が回収された。この回収エラス
トマーパウダー組成物に未使用のエラストマーパウダー
組成物を追加して4kgとし、同様の操作で成形を実施し
たところ、外観及び肉厚均一性に優れた製品が同様に得
られた。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】粉末供給ボックスの平面図である。
【図2】粉末供給ボックスの立面図である。
【図3】粉末供給ボックスの側面図である。
【図4】金型の平面図である。
【図5】金型の立面図である。
【図6】金型の側面図である。
【符号の説明】
1・・・開口部 2・・・クリ
ップ 3・・・一軸回転装置(ハンドル) 4・・・開口
部 5・・・金型内なわ目模様部 6・・・金型
内皮しぼ模様部
フロントページの続き (72)発明者 日笠 忠 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内 (72)発明者 妻鳥 浩昭 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(A)の熱可塑性エラストマーパウダ
    ー 100重量部に対して、平均粒子径30μm以下の微細な
    熱可塑性樹脂粉体を0.05〜20重量部含有することを特徴
    とする粉末成形用熱可塑性エラストマーパウダー組成
    物。 (A)エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリ
    オレフィン系樹脂との組成物からなる熱可塑性エラスト
    マーのパウダーまたはエチレン・α−オレフィン系共重
    合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との部分架橋型組成物
    からなる熱可塑性エラストマーのパウダーであって、25
    0 ℃における周波数1ラジアン/秒での複素動的粘度η
    * (1) が 1.5×105 ポイズ以下であり、かつ上記複素動
    的粘度η* (1) と周波数100 ラジアン/秒での複素動的
    粘度η* (100) とを用いて次式で算出されるニュートン
    粘性指数nが0.67以下である熱可塑性エラストマーパウ
    ダー。 n={logη* (1) −logη* (100) }/2
  2. 【請求項2】微細な熱可塑性樹脂粉体が、ポリプロピレ
    ン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ビニル系樹脂から選ば
    れる少なくとも1種の微細粉体である請求項1記載の組
    成物。
  3. 【請求項3】請求項1記載の粉末成形用熱可塑性エラス
    トマーパウダー組成物を用いることを特徴とする粉末成
    形法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の粉末成形用熱可塑性エラス
    トマーパウダー組成物を用いて製造してなる成形体。
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