JPH0610600Y2 - 偏向ヨ−ク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本考案はテレビジョン受像機における偏向ヨークに関す
る。

（ロ）従来の技術 従来の偏向ヨークにおいて、水平偏向能率を向上させる
ため実開昭61-157253号公報(HOIJ29/76)の如く磁性体片
を用いる方法がある。即ち、第４図に示す如く、コイル
セパレータ(1)の後方拡大部(2)付近のネック部(2a)にシ
ート状のけい素鋼板よりなる磁性体(3)がネック部（2
a）の形状に沿って貼着されている。そして、この磁性
体(3)により水平偏向コイル（図示省略）のネック部付
近の水平偏向磁界が増強され水平偏向能率が向上するの
である。

しかしながら、上述の磁性体(3)はけい素鋼板であるた
め発熱量が多いという欠点がある。

また、磁性体(3)はネック部に沿うように円弧状に形成
されているため、垂直偏向コイル(4)による垂直偏向磁
界にも影響を及ぼすため第５図の如くコンバーゼンスパ
ターンはＲ、Ｂラスターに対してＧラスターが大きくず
れたものとなってしまう。

（ハ）考案が解決しようとする問題点 本考案は上述の点に鑑み為されたものであり、磁性体の
発熱量が少なく、ミスコンバーゼンスの発生が少なく、
且つ水平偏向能率を向上させることが可能な偏向ヨーク
を提案するものである。

（ニ）問題点を解決するための手段 本考案は水平偏向磁界を増強する磁性体を棒状の焼結フ
ェライトで構成してなる。

（ホ）作用 上述の手段により、水平偏向磁界には影響を与えること
なく水平偏向感度が向上する。

（ヘ）実施例 以下、図面に従い本考案の一実施例を説明する。

第１図は本実施例における偏向ヨークの磁性体取付前の
側面図であり、コイルセパレータ(10)の後方拡大部(11)
の側面には第１磁性体取付部(12)が形成されている。こ
の第１磁性体取付部(12)は対向する一対の第１狭持壁(1
2a)(12a)、この第１狭持壁よりは対向間隔が若干狭い第
２挟持壁(12b)(12b)、この第１及び第２狭持壁を夫々連
結する第３狭持壁(12c)(12c)及び断面半円状の突起(12
d)より構成される。

また、前記後方拡大部(11)の側面には押え板(13a)(13a)
及び位置決め突起(13b)(13b)より構成される第２磁性体
取付部(13)が形成されている。

また、(14)は垂直偏向コイル(4)(4)が巻回されたコア
(5)(5)を押圧し位置決めするコア押圧部材であり、コア
側と反対側の部分は前記第１磁性体取付部(12)と共働し
て後述する第１磁性体を保持する。

次に本実施例に用いる磁性体の取付けについて第２図及
び第３図に従い説明する。

まず、本実施例に用いられる磁性体は、３種類ある。本
実施例の特徴である第１磁性体(6)(6)は通常のフェライ
トコアに使用される焼結フェライトを棒状に形成したも
のであり、その寸法は５×9.2×35mmである。また、第
２磁性体(7)(7)及び第３磁性体(8)(8)はけい素鋼板S-23
（板厚0.5mm)を夫々、長方形及びコ字状に形成したもの
である。取付けはまず、第３磁性体(8)を第１狭持壁(12
a)(12a)間に挿入する。この状態において前記第３磁性
体(8)は第１狭持壁(12a)(12a)、突起(12d)及び第３狭持
壁(12c)(12c)により若干湾曲した状態で保持される。

次に、第１磁性体(6)を第３狭持壁(12c)(12c)間に挿入
する。この状態において、第１磁性体(6)は前記第３磁
性体(8)、第３狭持壁(12c)(12c)及びコア押圧部材(14)
により保持される。

次に、第２磁性体(7)を前記後方拡大部(11)側面と押え
板(13a)との間に挿入すると共に位置決め突起(13b)に当
接せしめて、位置固定する。

上述の如く第１〜第３磁性体(6)(7)(8)を仮保持した
後、これらの上から接着剤を塗布し、強固に固定する。

次に、前記第１〜第３磁性体の作用について説明する。

第１磁性体(6)は水平偏向磁界を増強して水平偏向能率
を向上せしめる。一方、第１磁性体(6)は棒状であるた
め水平偏向磁界への影響は極めて小さい。よって、第５
図の従来例の如くＧラスターの大きなずれは発生せず、
Ｒ、Ｇ、Ｂ各ラスターは略一致するが、若干Ｇラスター
の左右が縮む。

第２磁性体(7)は前記第１磁性体片(6)のＧラスターの左
右の縮みを補正するものであり、Ｇラスターの左右を広
げる様作用する。しかしながら、この第２磁性体(7)を
用いるとＧラスターの上下が若干縮むことになる。

第３磁性体(8)は前記第２磁性体(7)によるＧラスターの
上下の縮みを補正するものであり、Ｇラスターの上下を
広げる様作用する。

また、従来のけい素鋼板(S-23)を円弧状に形成した磁性
体では125℃にまで温度上昇していたが、本実施例の第
１磁性体(6)は焼結フェライトであるため75℃までにし
か温度は上昇しなかった。

尚、第２及び第３磁性体(7)(8)はけい素鋼板で形成して
いるが、これは第１磁性体(6)の作用を補正するもので
あり、偏向磁界（特に水平偏向磁界）に与える影響は第
１磁性体(6)に比して非常に小さいため温度上昇はほと
んど無視できる。

更に、本実施例の偏向ヨークを25インチのブラウン管に
適用した場合、磁性体を使用しなかった偏向ヨークに比
べて水平偏向能率が約6.7％（画面上で10mm）向上し
た。

更に、第１磁性体の取付けはコア押圧部材を利用して行
なわれるため、取付機構が簡単となる。

（ト）考案の効果 上述の如く本考案に依れば、水平偏向能率を向上させる
ための磁性体による発熱量が少なく且つ、ミスコンバー
ゼンスの発生が少ない偏向ヨークを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例における偏向ヨークの磁性体
取付前の側面図、第２図は同取付後の側面図、第３図は
第２図のＡ−Ａ′断面図、第４図は従来の偏向ヨークの
側面図、第５図はコンバーゼンスパターンを示す図であ
る。 (1)(10)…コイルセパレータ、(2)(11)…後方拡大部、
(4)…垂直偏向コイル、(5)…コア、(6)(7)(8)…第１〜
第３磁性体、(12)(13)…第１、第２磁性体取付部、(14)
…コア押圧部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】コイルセパレータの内側に配置されたくら
   型の水平偏向コイルと、前記コイルセパレータの外側に
   コアを介して配置されるトロイダル型の垂直偏向コイル
   とを有する偏向ヨークにおいて、 前記コイルセパレータの後方拡大部付近に取付けられ、
   水平偏向磁界を増強する棒状の焼結フェライトから成る
   第１磁性体と、前記コイルセパレータの後方拡大部に取
   付けられ、Ｇラスターの左右の縮みを補正するけい素鋼
   板から成る第２磁性体と、前記第１磁性体に近接配置さ
   れ、Ｇラスターの上下縮みを補正する第３磁性体とを備
   えることを特徴とする偏向ヨーク。