JPH0610334B2 - 高融点・高沸点・高硬度物質の硼化薄膜形成方法 - Google Patents

高融点・高沸点・高硬度物質の硼化薄膜形成方法

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JPH0610334B2
JPH0610334B2 JP19935785A JP19935785A JPH0610334B2 JP H0610334 B2 JPH0610334 B2 JP H0610334B2 JP 19935785 A JP19935785 A JP 19935785A JP 19935785 A JP19935785 A JP 19935785A JP H0610334 B2 JPH0610334 B2 JP H0610334B2
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、基板に対する密着性に優れ、かつ形成され
る高融点・高沸点・高硬度物質の硼化膜の結晶形および
結晶粒径をコントロールできる高融点・高沸点・高硬度
物質の硼化薄膜形成方法に関する。
<従来の技術> 高融点・高沸点・高硬度物質の硼化膜は硬度が高く、か
つ化学的に安定である上、半導体としての特性を有する
ため、研磨工具の刃物表面の被膜や、半導体薄膜として
高い利用性に注目されている。
この種高融点・高沸点・高硬度物質の硼化物は結晶形が
複雑な上、単結晶か多結晶であるかによって、つまり結
晶粒径の違いによって基材に対する密着性や薄膜の特性
も違ってくるので、目的に応じた結晶形や結晶粒径のも
のを適宜形成することが必要である。
従来から、この種高融点・高沸点・高硬度物質の硼化薄
膜形成方法として、真空加熱蒸着法,電子ビーム加熱蒸
着法,RFスパッタ法,化学気相堆積法(以下、「CV
D法」という)などの方法が知られている。
<発明が解決しようとする問題点> しかし、上述した従来の高融点・高沸点・高硬度物質の
硼化薄膜形成方法は、基板と被膜間の密着性がわるく、
剥離したり、不均一性を生じやすく、また薄膜の結晶純
度や結晶形をコントロールすることができなかった。
上述の薄膜形成方法によっても、例えば硼化チタン膜の
ように基板を約400℃以上にすると結晶性のものが得
られることが知られている。また、オランダにおいて発
行された学術雑誌「固体薄膜(原文著書名:Thin Solid
Films)」第124巻(1958年)pp.101〜10
7においてウルフ ジャンソン(ULFJANSSON)およ
びジャン−オットーカルソン(JAN-OTTO CARLSSON)
氏執筆の報告“温度範囲1300−1500Kおよび減
圧下における炭化硼素の化学気相堆積(原文題名:Chem
icalVapourDepositionofBoron-Carvidesin the Tempera
ture range 1300-1500 k and at a reduced Pressur
e)”において、温度1300−1500K(華氏)におい
てCVD法で基板に結晶性炭化硼素膜が形成したことを
報告している。
しかし、これら結晶性の硼化チタン膜や炭化硼素膜の形
成は、いずれも基板を高温に加熱する必要があり、その
ための高融点・高沸点・高硬度物質の硼化膜形成装置の
保守が必要であり、しかも薄膜形成の生産能率を著しく
阻害する欠点があった。
また、上述した高融点・高沸点・高硬度物質の硼化膜形
成の他に、高エネルギーのイオンビームで高融点・高沸
点・高硬度物質の硼化物をターゲットとしてスパッタリ
ングするイオンビームスパッタ法も考えられるが、高融
点・高沸点・高硬度物質の硼化物ターゲットの絶縁性が
高く、照射したイオンビームの電荷がターゲットに蓄積
されて表面電荷を生じ、イオンの入射を阻害する傾向が
あった。
この発明は、上述した従来の高融点・高沸点・高硬度物
質の硼化薄膜形成方法の欠点を除去するためになされた
ものであって、低温において基板上に、密着性に優れ、
かつ結晶形および結晶粒径をコントロールしながら薄膜
形成できる高融点・高沸点・高硬度物質の硼化薄膜形成
方法を提供しようとするものである。
<問題点を解決するための手段> 本発明者等は、遺贈の目的を達成すべく種種実験を重ね
る過程において、硼化チタンや炭化硼素ターゲットをイ
オンビームでスパッタリングする代りに、硼化チタンや
炭化硼素膜の導電性と関係なく、薄膜の構成原子に影響
を与えることができる高速原子線を硼化チタンや炭化硼
素のスパッタ膜を被膜する基板面に照射すれば、その照
射条件により、被着した硼化チタンや炭化硼素膜の結晶
性,密着性をコントロールできることを知り、この発明
を完成することができた。
すなわち、この発明は高速原子線で高融点・高沸点・高
硬度物質の硼化物ターゲットをスパッタリングして基板
上に高融点・高沸点・高硬度物質の硼化スパッタ膜を被
着させると共に、基板の高融点・高沸点・高硬度物質の
硼化スパッタ膜被着面に高速原子線を照射することによ
り高融点・高沸点・高硬度物質の硼化膜の結晶形および
結晶粒径をコントロールしながら被膜形成することを特
徴とするものである。
この発明において基板上に被膜形成する高融点・高沸点
・高硬度物質の硼化膜の結晶形および結晶粒径のコント
ロールは、高融点・高沸点・高硬度物質の硼化物ターゲ
ットを高速原子線でスパッタリンクして基板上に当該高
融点・高沸点・高硬度物質の硼化スパッタ膜を被着させ
ると共に、基板の高融点・高沸点・高硬度物質の硼化ス
パッタ膜被着面に加速電圧および通電電流をコントロー
ルしながら高速原子線を照射することにより行われ、基
板上に被着した高融点・高沸点・高硬度物質の硼化スパ
ッタ物質の構成原子の配列状態,結晶性に影響を及ぼす
程度のエネルギーを有する高速にすることが好ましく、
通常の原子線ではエネルギーが小さすぎ、一般には数キ
ロエレクトロンボルト程度のものが好ましく数十キロエ
レクトロンボルト以上の高速原子線では薄膜の結晶性を
損うので好ましくない。
また、照射する高速原子線の種類としては、薄膜を形成
する高融点・高沸点・高硬度物質の硼化物と反応しな
い、窒素,アルゴン,クセノン,ヘリウム,ネオンなど
の不活性原子や、当該高融点・高沸点・高硬度物質の硼
化スパッタ膜物質を構成する原子のうちの一を使用する
ことが望ましい。
また、この発明の高融点・高沸点・高硬度物質の硼化物
ターゲットは硼化モリブデン,硼化タングステン,硼化
ニオブ,硼化タンタル,硼化チタン,硼化鉄および炭化
硼素からなる群のうちから選んだ一種からなるものであ
る。
このように、この発明は従来の高融点・高沸点・高硬度
物質の硼化薄膜形成方法と異なり、高融点・高沸点・高
硬度物質の硼化物ターゲットおよび基板に照射する粒子
線が高速原子線であり、ターゲットおよび基板表面の表
面電位に影響されることなく高速原子線を、ターゲット
および基板表面へ入射させることが可能であること、基
板での結晶性の高融点・高沸点・高硬度物質の硼化膜形
成温度が低温で行うことができること、得られた硼化膜
の基板に対する密着性が高いことが特徴である。
<作 用> この発明にかかる高融点・高沸点・高硬度物質の硼化薄
膜形成方法は、以上のように構成されており、その機構
は必ずしも明らかではないが、基板に対する密着性の向
上,薄膜の結晶性はつぎのような過程によりコントロー
ルできるものと思われる。
イ 基板に対する密着性の向上: 薄膜形成の初期段階では、高融点・高沸点・高硬度物質
の硼化物ターゲットからスパッタされた硼素原子3およ
び高融点・高沸点・高硬度物質原子2は、基板照射用の
高速原子線とした放射された原子4との衝突による反跳
で第1図に示すごとく基板1内に侵入する(第1図の黒
丸は基板物質構成原子)。
また、高融点・高沸点・高硬度物質の原子2自身も基板
1内に注入され、基板と高融点・高沸点・高硬度物質の
硼化薄膜間境界が不明瞭となり、境界層が消滅し基板に
対する密着性が向上する。
ロ 薄膜の結晶性の改善: 基板照射用の高速原子線放射源より第1図に示すように
基板1の高融点・高沸点・高硬度物質の硼化スパッタ膜
被着面に放射されたたとえばアルゴンの高速原子線1個
がE=1(キロエレクトロンボルト)のエネルギーをも
っているとすると、この高速原子は107(K)の等価
温度Tは次の関係式で表わされる。
E=K・T(エレクトロン・ボルト) ただし、ここにKはボルツマン定数を表わす。
このようなエネルギーをもった原子が基板に照射される
と、高融点・高沸点・高硬度物質の硼化スパッタ膜の表
層は局所的に、短時間に加熱され温度上昇するので結晶
化が促進されるものと思われる。
また、この高速原子線は基板に対し斜め入射するので、
その運動エネルギーにより基板に被着する硼素原子およ
び高融点・高沸点・高硬度物質の構成原子の基板面内の
横方向マイグレーション(migration=移動)を促し、
結晶化に影響を与えるものと考えられる。
<実 施 例> つぎに、この発明の代表的な実施例を挙げて、この説明
の具体的内容について説明する。
[実 施 例 1] 第2図〜第3図はこの発明の高融点・高沸点・高硬度物
質の硼化薄膜形成方法に使用する炭化硼素薄膜形成装置
の概略構成を示し、第2図はこの発明の炭化硼素薄膜形
成に使用する装置の炭化硼素ターゲット衝撃用高速原子
線源および基板面照射用高速原子線源の概略構成図、第
3図は第2図に示す高速原子線源の構造を示す拡大図で
ある。
また、第4図は高速原子源から引き出されるビームの中
性化率測定装置の構成図、第5図は第3図に示す高速原
子線源から引き出される粒子線の中性化のために加える
偏向電圧対コレクタ電流の特性図、第6図(a)(b)はそれ
ぞれ基板に形成された炭化硼素薄膜(BC)が単結晶
および多結晶構造のものであることを示す電子回折写
真、第7図は基板面に高速原子線を照射しないで得られ
た炭化硼素薄膜の結晶構造を示す電子回折写真である。
第2図に示す装置は、図示しない排気系によって真空排
気される真空槽(非図示)内に組み込まれており、ター
ゲット衝撃用高速原子源7、基板面照射用高速原子線源
10、炭化硼素ターゲット6、薄膜形成用基板1とから
なり、各高速原子線源7,10には、ビーム放射口直後
に偏向電極11,12が設置させている。
基板面照射用高速原子線源7の役割は、主に炭化硼素
薄膜の結晶性のコントロール、基板に対する炭化硼素
薄膜の密着性向上を目的として使用される。
高速原子線源は、いかなる形式のものでもこだわるもの
ではないが、第3図に示すような構造のものが安価・簡
便かつ効率良く高速原子を取り出すことができる。
第3図に、この発明の一実施例にかかる高速原子線源装
置を示す。同図に示されるように、中空な円柱体である
カソードケースの両端面がカソード15,16となると
共にこのカソード15,16が接地される一方、カソー
ド16にはガス導入口17が設けられている。カソード
ケースの内部には、その中央における上方及び下方に各
々丸棒状をなすアノード18が配置され、外部に設けら
れた電源30に接続している。一方、カソード15の中
央には原子線引き出し口19が設けられ、この原子線引
き出し口19に円筒状をなす中性化機構21が直結され
ている(第4図参照)。
上記構成を有する本実施例の高速原子線源装置は次の様
に使用する。
まず、ガス導入口17からカソードケース内に不活性ガ
ス又は活性ガスを導入して10-1Torr〜10-3Torr程度と
し、カソード15,16に対してアノード18を数10
0Vから数kVの高電位に保持する。すると、アノード
18、カソード15,16間でグロー放電が生起する一
方、この時カソード15,16から放出された電子がア
ノード18へ向けて加速し、2本のアノード18の中間
を通り越して反対側のカソード16,15へ達して速度
を失い、さらにアノード18へ向けて加速されて上述し
た振舞を繰り返す。いわゆるバルクハウゼン−クルツの
振動と名づけられる高周波振動がアノード18を中心と
してカソード15,16間で行われることとなり、この
ように振動する電子がガス分子と衝突して、効果的にプ
ラズマが形成されることとなる。形成されるプラズマ中
のプラスイオンはカソード15,16に引き付けられて
加速し、原子線引き出し口19を通って円筒状をなす中
性化機構21に入射することとなる。入射した原子線が
中性化機構21内における側壁に衝突すると、側壁から
原子線衝撃により生じた二次電子と結合して中和し、高
速原子線となる。また、イオン線が中性化機構21の側
壁に衝突する際に電荷変換を行い、高速原子線となるこ
ともある。さらにバルクハウゼン−クルツの振動を行っ
ている電子が速度零となるカソード15付近で、イオン
に結合してこれを中和し、高速原子を作ることとなる。
このような主なメカニズムにより、イオン線が高速原子
線となって中性化機構21から真空中へ放射されること
となる。
なお、中性化機構21の材質としては、二次電子放射比
が高く、かつスパッタ率が小さなものが望しい。二次電
子放射比が高ければ、イオンと再結合して高速原子とす
る確率が大きくなり、中性化機構構成原子による汚染を
防ぐことができるからである。本実施例では、二次電子
放射比が0.5程度と高く、かつスパッタ率が0.1程
度と低い焼結グラファイトにより中性化機構21を構成
した。また、本実施例では、アノード18として2本の
棒状のものを使用したが、バルクハウゼン−クルツの振
動をする原子やカソード15に向って加速するイオンの
障害とならなければ、円環状その他の形状のものを使用
することができる。更に、本実施例では粒子線引き出し
口22及び中性化機構21はカソード15のみに設けら
れていたが、これに限らず双方のカソード15,16に
設けても良い。
つぎに、本実施例の高速原子線源から放射される粒子線
について実測した中性化率について説明する。中性化率
とは高速原子線源装置にArガスを導入した場合に線源
から引き出されるイオン源,高速原子線からなる粒子線
中における高速原子線の割合をいう。
中性化率の実測には第4図に示す装置を使用した。同図
に示されるように、中性化機構21の出口側においては
二枚のスリット25,26が平行に設置されると共にこ
れらスリット25,26の間における上方および下方に
平行平板型の偏向電極27,28を配置してなるもので
あり、偏向電極27,28に印加される電圧Vdを変化
させて、コレクタ29に流れる電流iを測定できるよう
になっている。ここで粒子線中に電子が含まれていない
と仮定すれば中性化率Rnoは次式(1)で表わされる。
ただし、Noはコレクタに流入する高エネルギ粒子のイ
オン電流換算値、 N+はコレクタに流入するイオンビーム電流値、 δは二次電子放射比、 ioは偏向電圧Vd=0の時のコレクタ電流、 idは偏向電圧を印加した時のコレクタ電流の飽和値で
ある。
第5図に、中性化率測定装置における偏向電圧Vd対コ
レクタ電流iの変化の状態を示すと、いずれの作動条件
においてもio≒idであり、これを(1)式に入れるとR
no≒1となる。
すなわち、この発明によれば、中性化率がほぼ100%
の高速原子線を引き出すことができる。
つぎに、上述した装置似よる炭化硼素薄膜形成方法につ
いて説明する。
まず、図示しない排気系を作動して真空槽(非図示)内
を1×10-7〜1×10-8Torr程度の真空にして、図
示外のガス供給源からガス導入管17を通してアルゴン
ガスをターゲット用高速原子線源7内に導き、線源内を
10-1〜10-2Torr程度のガス圧にする。ついで、高
速原子線源7のアノードトカソード間に数キロボルトの
高電圧を印加して放電をおこさせると、ビーム放出口1
9のグラファイトメッシュ越しにアルゴン高速原子線が
中性化機構21を通ってターゲット6に向かって照射さ
れる。この結果、照射されたアルゴン高速原子の衝撃に
よって、ターゲット6の表面から炭化硼素粒子がスパッ
タされ、薄膜形成用基板1上面に炭化硼素スパッタ膜2
0が被着する。
上述のターゲット用高速原子線源7の作動と同時に、基
板用高速原子線源10側のガス導入口を通して図示外の
ガス供給源から高速原子線源10内へArガスを入れア
ノードとカソード間に数100ボルトから数キロボルト
の高電圧を加えて放電を生起させるとともに、偏向電極
11に電圧を加えて、ビーム放出口、中性化機構を通っ
て引きだされる全粒子中のほぼ100%が高速原子線と
なっているArビーム中の極く一部の荷電粒子を除去す
る。これにより完全に100%のアルゴンの高速原子が
薄膜形成用基板1上の炭化硼素スパッタ膜20上に照射
されスパッタ膜20と基板1の密着性,結晶性を制御し
て改善することができる。
上述の方法で基板1上に被着した炭化硼素薄膜の電子回
折写真を、第6図に示す。第6図の(a)では、基板用高
速原子線源10から放射したアルゴン原子のエネルギー
は約1キロエレクトロンボルトであり、第6図の(b)で
は基板用高速原子線源10から放射したアルゴン原子の
エネルギーを約1.5キロエレクトロンボルトとしたも
のである。第6図(a)では、スポットパタンが観察され
炭化硼素の単結晶膜となっている。第6図(b)では、明
瞭なデバイリングパタン(Debye ring-pattern)が観察
され、炭化硼素の多結晶膜であることがわかる。
一方、炭化硼素膜スパッタ時の条件(炭化硼素ターゲッ
トを約3キロエレクトロンボルトのアルゴン高速原子で
衝撃は、上述の第6図の場合と同じであるが、、炭化硼
素スパッタ膜被着時に基板用高速原子線源を動作させ
ず、アルゴン高速原子線を基板1上の炭化硼素スパッタ
膜20上に照射しない場合に得られる炭化硼素薄膜の電
子回折写真が第7図に示す。ハローパターンが観測され
る大部分は無定形・非晶質の炭化硼素膜が形成されてい
ることがわかる。
[実 施 例 2] 第2図のターゲット6に炭化硼素を用いる代りに硼化チ
タン(TiB2)を用い、基板1上に被着させたスパッ
タ膜20が炭化硼素に代り硼化チタン膜となる以外は、
実施例1の場合と同様の薄膜形成装置および方法によ
り、アルゴン原子を高速で硼化チタンターゲットをスパ
ッタリングすると同時に、基板1の硼化チタンスパッタ
膜非着面にもアルゴン原子を高速で入射させて、基板上
に厚さ0.2μの硼化チタン薄膜を形成させた。
得られた硼化チタン薄膜の電子回折写真を第8図に示
す。第8図の(a)は基板用高速原子線源10(第2図参
照。)から放射するアルゴン原子のエネルギーが約1キ
ロエレクトロンボルトとした場合に形成された硼化チタ
ンの電子回折写真であり、第8図の(b)は1.5キロエ
レクトロンボルトの場合の電子回折写真である。
第8図(a)の電子回折写真ではスポットパターンが観察
され、形成した硼化チタン薄膜が単結晶であることがわ
かる。また、第8図(b)の電子回折写真では明瞭なデバ
イ環が現われており、この場合の硼化チタン薄膜は多結
晶であることを示している。
一方、硼化チタン膜スパッタ時の硼化チタンターゲット
をスパッタリングする高速アルゴン原子線の励起条件は
上述の場合と同じであるが、基板の硼化チタンスパッタ
膜被着側に高速アルゴン原子線を照射しない場合の硼化
チタン膜の電子回折写真は第9図のごとくハローパター
ンが現われ、形成された硼化チタン薄膜は無定形、非結
晶質のものであることを示している。
上記実施例においては基板上に炭化硼素薄膜および硼化
チタン薄膜を形成する方法に示したが、これらの炭化硼
素,硼化チタンと同様の性質の高融点・高沸点・高硬度
物質の硼化物質である硼化モリブデン,硼化タングステ
ン,硼化ニオブ,硼化タンタルおよび硼化鉄の場合も同
様の方法で薄膜形成することができる。
また、上記実施例においては形成する硼化薄膜の結晶
形、結晶粒径のコントロールは基板面(硼化物スパッタ
膜被着面)に照射する高速原子線の放射電圧や電流をコ
ントロールすることによって行う例を示したが、これら
に限らず高速原子線による高融点・高沸点・高硬度物質
の硼化物ターゲットのスパッタリング速度をコントロー
ルして行ってもよく、また、上記基板用高速原子線の放
射電圧・電流および高速原子線による高融点・高沸点・
高硬度物質の硼化物ターゲットのスパッタリング速度の
うちの少くとも一をコントロールすることによって行う
ことができる。
<発明の効果> 以上の説明から明らかなように、この発明の高融点・高
沸点・高硬度物質の硼化薄膜形成方法は、 無電荷性の高速原子線で高融点・高沸点・高硬度物
質の硼化物ターゲットおよび基板上面を表面電位に影響
を得けることなくスパッタリングし、また基板面に入射
させることができる。
また、高融点・高沸点・高硬度物質の硼化物ターゲ
ットを高速原子線でスパッタリングすると同時に、基板
に高融点・高沸点・高硬度物質の硼化スパッタ膜の被着
面に高速原子線を照射することにより当該スパッタ膜を
局所的に加熱できるので、当該スパッタ膜の結晶化を促
がし、かつ高速原子線の照射エネルギーを変えることに
より、基板上に形成される高融点・高沸点・高硬度物質
の硼化薄膜の単結晶膜や多結晶が容易に得られる。
基板に対する高融点・高沸点・高硬度物質の硼化膜
の密着性を向上させることができる。
得られる薄膜は硬度が大きく、高融点・高沸点・高
硬度物質の硼化膜であり、化学的にきわめて安定であ
る。
この発明の薄膜形成方法によると、結晶性、結晶粒
径がコントロールでき、再現性に優れた高融点・高沸点
・高硬度の硼化薄膜が実現できるので、半導体部品,機
構部品,研磨工具の刃物表面など多くの分野への適用が
可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による高融点・高沸点・高硬度物質の
硼化薄膜形成方法による薄膜形成機構説明のための模式
図、第2図は実施例の炭化硼素薄膜形成に使用する装置
の炭化硼素ターゲット衝撃用高速原子線源および基板面
照射用高速原子線の概略構成図、第3図は第2図に示す
高速原子線源の構造を示す拡大図、第4図は高速原子線
源から引き出されるビームの中性化率測定装置の構成
図、第5図は高速原子線源から引き出されるビーム中性
化のために加える偏向電圧対コレクタ電流の関係を示す
特性図、第6図(a)(b)はいずれもこの発明の一実施例の
方法により基板上に形成された炭化硼素薄膜の結晶構造
を示す電子回折写真、第7図は基板面に高速原子線を照
射しないときに得られる炭化硼素薄膜の結晶構造を示す
電子回折写真、第8図(a)(b)はいずれもこの発明の他の
実施例により基板上に形成された硼化チタン薄膜の結晶
構造を示す電子回折写真、第9図は基板面に高速原子線
を照射しないときに得られる硼化チタン薄膜の結晶構造
を示す電子回折写真である。 図 面 中、 1は薄膜形成用基板、 6は高融点・高沸点・高硬度物質の硼化物ターゲット、 7はターゲット衝撃用高速原子線源、 10は基板面照射用高速原子線源、 14は高速原子線、 20は高融点・高沸点・高硬度物質の硼化スパッタ膜。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高速原子線で高融点・高沸点・高硬度物質
    の硼化物ターゲットをスパッタリングして基板上に高融
    点・高沸点・高硬度物質の硼化スパッタ膜を被着させる
    と共に、基板の高融点・高沸点・高硬度物質の硼化スパ
    ッタ膜被着面に高速原子線を照射することにより高融点
    ・高沸点・高硬度物質の硼化膜の結晶形および結晶粒径
    をコントロールしながら被膜形成することを特徴とする
    高融点・高沸点・高硬度物質の硼化薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】前記高融点・高沸点・高硬度物質の硼化物
    ターゲットは硼化モリブデン,硼化タングステン,硼化
    ニオブ,硼化タンタル,硼化チタン,硼化鉄および炭化
    硼素からなる群から選んだ一種であることを特徴とする
    特許請求の範囲第(1)項記載の高融点・高沸点・高硬度
    物質の硼化薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】前記高速原子線による高融点・高沸点・高
    硬度物質の硼化物ターゲットによるスパッタリング速
    度、基板の高融点・高沸点・高硬度物質の硼化スパッタ
    膜被着面に照射する高速原子線の放射電圧および電流の
    うちの少くとも一をコントロールすることによって基板
    面に形成させる高融点・高沸点・高硬度物質の硼化薄膜
    の結晶形および結晶粒径をコントロールすることを特徴
    とする特許請求の範囲第(1)項記載の高融点・高沸点・
    高硬度物質の硼化薄膜形成方法。
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