JPH06101626A - 熱制御機構を有するアクチュエータ - Google Patents

熱制御機構を有するアクチュエータ

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JPH06101626A
JPH06101626A JP4247822A JP24782292A JPH06101626A JP H06101626 A JPH06101626 A JP H06101626A JP 4247822 A JP4247822 A JP 4247822A JP 24782292 A JP24782292 A JP 24782292A JP H06101626 A JPH06101626 A JP H06101626A
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JP
Japan
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temperature
shape
shape memory
memory material
actuator
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Application number
JP4247822A
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English (en)
Inventor
Noriyoshi Yamauchi
則義 山内
Takamasa Isobe
隆昌 磯部
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Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 形状記憶材料を利用したコンパクト且つ安全
で、しかも消費電力の少ないアクチュエータの提供。 【構成】 形状記憶材料にて形成された部分を含む作動
部材30と、この作動部材に接するかまたは近接して配
置され、形状記憶材料にて形成された部分の温度を、そ
の変態温度を通過するようにして上昇または下降させる
ための熱電素子20と、この熱電素子への通電を行なう
電源供給手段と、前記の温度を検知してその温度信号を
発生する温度センサ50と、この温度センサからの温度
信号に応答して電源供給手段から熱電素子への通電を制
御するための電源供給制御手段とを備える。 【効果】 形状記憶材料の形状変化を起こさせる熱源と
して熱電素子を使用するので、加熱及び冷却のコンパク
ト化が達成されると同時に、温度センサと制御部とを付
与したので、加熱及び冷却がそれぞれ過度にならないよ
うにすることができ、供給電力を必要最小に近い範囲で
のコントロールが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、開閉装置、移動装置、
その他の駆動装置の駆動源として使用されるようなアク
チュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ある種の金属合金や有機高分子材料で
は、その材料によって定まる変態温度以下で、外力によ
って一旦変形された形状が、変態温度以上に加熱される
と元の形状に回復するという現象が知られている。更に
は、変態温度付近の温度を境にして、それよりも高温側
と低温側に対してその形状が可逆的に変化する、いわゆ
る二方向性の材料もある。これらの材料は、形状記憶合
金、あるいは形状記憶樹脂として知られており、近年そ
の利用法の開発が活発になってきた材料である。
【0003】一般的には、その形状記憶材料の組成およ
び製造法によって、あらかじめ設定された変態温度以下
で、バイアス力等の外力によって変形されている材料
が、外部の温度変化によって変態温度以上に加熱された
時に、高温で形状記憶されていた元の形状に復元しよう
とする現象を利用するものである。
【0004】応用例として、油送用等のパイプ継手に利
用する場合には、通常使用される温度以下の変態温度を
有する形状記憶合金を、その変態温度以下でパイプの継
手部分で容易に位置合わせできるように変形させてお
き、位置合わせ組み付け後に、外部温度がその変態温度
以上である通常の使用温度に達した時に、元の形状がパ
イプ径よりも僅かに小さい径である場合に、その形状復
元力が働き、強固にパイプを締め付けて継ぎのばして行
く方法がある。
【0005】また、一種のアクチュエータとして利用す
る場合には、形状記憶材料の形状回復への復元力を利用
して、設定温度以上になった時に開く窓、あるいは、出
火時の高温で自動的に開く消火用スプリンクラーの弁等
に利用される。さらには、金属合金による形状記憶材料
では、直接通電加熱によって変態温度以上に温度を上昇
させて、その形状復元力を利用するロボット装置なども
開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】現在利用され、また応
用法として開発されている場合の多くは、変態温度近傍
の温度を境として、高温側および低温側への温度変換
は、外部環境温度を利用する方法であり、且つ積極的な
温度制御を行なう場合には、合金材料では直接通電によ
る加熱を行なうか、もしくは高温水に接触させるか等の
方法によって、その形状記憶材料を、その変態温度より
も高温状態にし、一方、変態温度よりも低温状態を与え
る場合には、自然の外部温度がその温度になるまで待つ
か、あるいは冷水に接触させる等の方法がとられる。
【0007】しかしながら、積極的に温度制御を行なう
場合、温水あるいは冷水が用意されていなければならな
かったり、多くの場合、機構的にみてコンパクトな構成
とすることが困難である。加熱する場合には、直接通電
とかコンパクトな外部ヒーターの利用によってコンパク
トな構成を得ることは困難である。また、直接通電によ
る加熱の場合は、加温という点でみれば簡単かつ確実な
方法ではあるが、形状記憶材料と他の部分との全体にわ
たる電気絶縁を確保しなければならないという機構上の
問題が生じやすい。
【0008】その上、直接通電とか外部ヒータを利用す
る場合でも、できるだけ、そのための消費電力を少なく
することが、近年の電力事情からみても、また、それら
通電素子や外部ヒータ等の耐久性の上からも、要望され
るのに対して、従来、この種のアクチュエータでは、そ
の点の考慮もなされていなかった。
【0009】本発明の目的は、前述したような従来技術
の問題点を克服し、形状記憶材料を利用したコンパクト
且つ安全で、しかも消費電力の少なくてすむようなアク
チュエータを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によるアクチュエ
ータは、少なくとも形状記憶材料にて形成された部分を
含む作動部材と、該作動部材に接するかまたは近接して
配置され、前記少なくとも形状記憶材料にて形成された
部分の温度を、その変態温度を通過するようにして上昇
または下降させるための熱電素子と、該熱電素子への通
電を行なう電源供給手段と、前記少なくとも形状記憶材
料にて形成された部分の温度を検知してその温度を表わ
す温度信号を発生する温度センサと、該温度センサから
の温度信号に応答して前記電源供給手段から前記熱電素
子への通電を制御するための電源供給制御手段とを備え
ることを特徴とする。
【0011】
【実施例】次に、添付図面に基づいて、本発明の実施例
について本発明をより詳細に説明する。
【0012】本発明によれば、形状記憶材料を利用して
アクチュエータを構成するのに、その形状記憶材料の特
性を有効に利用するために温度を与える手段として、熱
電変換素子を使用し、しかも、その形状記憶材料を必要
以上に加熱したり冷却したりしないように形状記憶材料
の温度を検知して、その検知温度に従って熱電変換素子
への通電を制御する。すなわち、本発明の基本的原理
は、アクチュエータの作動部材の少なくとも一部を構成
する形状記憶材料の温度付与必要部分に接し、または近
接して熱電素子を設置し、その熱電素子に直流電流を通
じることによって生じる熱電素子の温度変化が、その形
状記憶材料への熱供給源となり、その形状記憶材料の温
度付与必要部分の温度も変化せしめる結果として、その
形状記憶材料の特性を発揮させ、しかも、形状記憶材料
の温度を検知する温度センサを設けて、形状記憶材料の
特性を発揮させるに充分な温度以上にその形状記憶材料
を加熱したり冷却したりしないように、熱電素子への通
電を制御しようとするところにある。
【0013】ここで、本発明に必要な熱電素子は、すで
に種々の分野に応用されており、例えば、p型およびn
型半導体の組み合わせによるペルチェ効果を利用した、
いわゆる電子冷却用素子として、高出力電子部品の昇温
抑制用、レーザーダイオードの定温維持用等に用いら
れ、あるいはその熱電能を利用した熱電発電素子として
は、放射性元素を熱源としたもので、惑星間探査衛星の
電源としても用いられ、又、化石燃料を熱源としたもの
では、砂漠等の遠隔地に設置する無人の無線中継器用電
源等にも用いられているものでよい。
【0014】本発明において使用する熱電素子について
簡単に述べれば、その典型的な構造は、通常、添付図面
の図1に略示するごとくである。この熱電素子の一単位
10は、図1に示すように、n型半導体11およびp型
半導体12を一対としたものであるが、実用的には、こ
れら単位熱電素子10を複数個組み合わせて一つの熱電
素子として使用している。単位熱電素子10の端面に
は、それぞれ電極13および14が形成されており、さ
らに、伝熱体17および18が施されている。導電端子
15および16には、直流電源19が接続されるように
なっている。ここですでに公知のごとく、導体端子15
と導体端子16との間に、直流電源19にて直流電圧を
印加して電流iを流すと、その電流の方向によって、熱
電素子10の、例えば、伝熱体18の面18Aが加熱さ
れたり、冷却されたりする。このとき、反対側の伝熱体
17の面17Aは、熱的に面18Aとは逆の現象を呈す
る。本発明は、このような熱電素子に直流電流を通じる
ことによって生じる熱電素子の発熱および冷却効果を、
形状記憶材料の熱付与源として、形状記憶材料の形状回
復力を制御し、あるいは形状変化を制御するものであ
る。
【0015】先ず、本発明のアクチュエータの基本構造
となる具体的構造例について、図2および図3を参照し
て説明する。図2に示すように、この構造例のアクチュ
エータは、例えば、Ni−Ti系形状記憶合金のような
形状記憶材料で形成されたバー状の作動部材30と、こ
の作動部材30の固定端部31の両側に接するように配
置された1対の熱電素子10および20と、作動部材3
0の自由端32に一端を接続したバイアスバネ40と、
熱電素子10への通電制御手段を構成する直流電源19
と、熱電素子20への通電制御手段を構成する直流電源
29とを備えている。
【0016】熱電素子10および20は、図1に関して
説明したような従来構成のものでよく、例えば、Bi2
Te3 −Sb2 Te3 系熱電素子で構成される。熱電素
子10の伝熱体18の面18Aが作動部材30の固定端
部31の一方の側面に接しており、熱電素子20の伝熱
体28の面28Aが作動部材30の固定端部31の他方
の側面に接している。形状記憶材料にて形成された作動
部材30の固定端部31は、熱電素子10および20の
伝熱体の面18Aおよび28Aが接している部分まで
は、それら熱電素子10および20と共に固定されてい
る。ここで、熱電素子10および20は、極性が等しい
面18Aおよび28Aが、形状変化部分Pに近接してい
るものとする。
【0017】作動部材30を構成する形状記憶材料の形
状記憶材料の形状回復温度をAfとすれば、Af<T1
なる温度T1での形状が図2の如く直線状に伸びている
ものとする。また、一方、変態温度をMsとすれば、T
2<Msなる温度T2での形状が図3の如く、バイアス
バネ40の偏移力Fによって変形されているものとす
る。但し、このとき、Ms<Af、変態時の強度<バネ
の力F<形状回復力、である。
【0018】すなわち、温度T1については、Af<T
1の状態が図2に示す状態であり、温度T2について
は、T2<Msの状態が図3に示す状態である。ところ
で、熱電素子10および20は、前述の如く、形状変化
部分Pに近接して配置されており、直流電流による発
熱、あるいは冷却効果を示す面は、それら熱電素子10
および20ともに、作動部材30に接する面18Aおよ
び28Aがその極性を等しくするようになっている。
【0019】次に、図2および図3に示すように、基本
的に形状記憶材料と熱電素子とで構成されたものの、本
発明に関わる基本的作用について例示する。
【0020】(作用例1)
【0021】図2における外界温度T1がAf<T1で
あり、熱電素子10および20には電圧がかかていない
時、形状記憶材料の作動部材30は、図2のように直線
状に伸びた状態にある。ここで、各熱電素子10および
20に直流電圧を印加し、電圧印加方向は、各熱電素子
10および20が作動部材30に接する面18Aおよび
28Aを冷却するような方向(例えば、図2で電流iの
方向)であり、かつ、その結果、面18Aおよび28A
が充分冷却され、そこからの吸熱によって作動部材30
の形状変化部Pも、その温度T2がT2<Ms(変態温
度)になれば、図2の状態から変形して、バイアスバネ
40の力によって図3に示すような形状になる。
【0022】(作用例2)
【0023】外界温度T2がT2<Msであり、熱電素
子10および20には電圧がかかっていない時、作動部
材30は、その形状変化部Pがバイアスバネ40によっ
て図3のように変形した状態にある。ここで、各熱電素
子10および20に直流電圧を印加し、電圧印加方向
は、各熱電素子10および20が作動部材30に接する
面18Aおよび28Aを加熱するような方向、すなわ
ち、前述の「作用例1」とは反対方向であり、かつ、そ
の結果、面18Aおよび28Aが充分加熱され、そこか
らの熱伝導によって作動部材30の形状変化部Pも、そ
の温度T1がAf(形状回復温度)<T1になれば、図
3の状態から、バイアスバネ40の力に抗して形状回復
がおこり、いわば本来の形状である図2に示すような直
線状に伸びた形状になる。
【0024】(作用例3)
【0025】さらに、本発明における基本的作用例とし
て、作動部材30を形成する形状記憶材料が、加熱と冷
却に対して自発的な形状変化を示すような、いわゆる二
方向性形状記憶材料である場合について述べる。ここ
で、図2と、図3におけるバイアスバネ40は、無いも
のとする。この場合に、作動部材30は、例えば、Af
<T1なる温度T1の時、図2に示すような直線状に伸
びた形状をとるものとし、かつ、T2<Msなる温度T
2の時、図3に示すように、形状変化部Pにて曲がった
形状をとるものとする。
【0026】前述したように、熱電素子10および20
の面18Aおよび28Aを加熱、あるいは冷却するよう
に、その方向を変えて直流電圧を印加し、その作動部材
30の形状変化部Pの温度がそれぞれT1あるいはT2
となるようにすれば、作動部材30の形状は、バイアス
バネが無い場合でも、電流の向きを変えるだけで、可逆
的にそれぞれ図2、あるいは図3に示す形状をとること
ができるようになる。
【0027】(作用例4)
【0028】前述の「作用例3」と同様に、作動部材3
0を形成する形状記憶材料が二方向性形状記憶材料であ
る場合で、前述の「作用例3」とは反対に、Af<T1
なる温度T1の時、図3のように形状変化部Pにて曲が
った形状をとり、かつ、T2<Msなる温度T2の時、
図2のように形状変化部Pは、直線状の形状をとるよう
に、あらかじめ加工が施されている場合、熱電素子10
および20の面18Aおよび28Aを加熱、あるいは冷
却するようにその方向を変えて直流電圧を印加し、作動
部材30の形状変化部Pの温度がそれぞれT1、あるい
はT2となるようにすれば、その作動部材30の形状
は、バイアスバネ40が無い場合も、電流の向きを変え
るだけで、可逆的に変化させることができるが、この場
合は、前述の「作用例3」とは逆に、高温時(T1)に
図3のように形状変化部Pにて曲がった状態をとり、低
温時(T2)に図2のように形状変化部Pが直線状の状
態をとるものである。
【0029】前述したように、本発明のアクチュエータ
の基本構造では、アクチュエータとして動作する形状記
憶材料の形状変化部に接して、または近接して配置され
た熱電素子に直流電流を通じ、その電流方向によってそ
の熱電素子が形状記憶材料に接し、又は近接する側の面
を、発熱又は吸熱させることによりその形状記憶材料の
形状変化を制御するというものである。ここで、熱電素
子の一方の面を必要以上に発熱又は吸熱させることは、
使用電力をも必要以上に消費することになり、省エネル
ギー的にも耐久性の上からも望ましくないと考えられ
る。従って、必要最小限の電力にて必要温度範囲を維持
させることが望ましい。
【0030】本発明は、前述した如く、必要温度範囲を
維持するために、図2および図3に示し前述したような
基本構造のものに対して、温度制御の必要な部分に温度
センサを配置し、その温度信号を受けて、熱電素子に対
して必要最小限の電力を与えるための制御回路を設ける
ものである。
【0031】図4は、本発明の一実施例としてのアクチ
ュエータの構成を示す概略図である。図4の実施例のア
クチュエータは、図2と比較すると明らかなように、図
2の基本構造のものに、温度センサ50を配置し、この
温度センサ50からの温度信号により通電手段を制御す
るようにした以外、図2および図3に関して説明したも
のと同じ構造で同じように作動するものであるので、そ
れら同じ部分については繰り返し詳述しない。
【0032】次に、図4のアクチュエータの構成および
作動について、特に、温度センサ50による通電制御の
部分について詳述する。図4に示されるように、温度セ
ンサ50は、作動部材30を形成する形状記憶材料の形
状変化部Pに接するようにして配置されている。ここ
で、作動部材30を形成する形状記憶材料の温度が形状
回復温度Af以上であるとき、図4のように、作動部材
30は、バイアスバネ40の偏移力Fに抗して直線的に
伸びているものとし、温度を変態終了温度Ms以下まで
下げていったとき、その作動部材30は、バイアスバネ
40の偏移力Fによって、形状変化部Pにおいて、図3
のように曲げられるものとする。このとき、前述したよ
うに、形状記憶材料とバイアスバネとの関係は、変態時
の強度<バイアスバネの力<形状回復力、である。
【0033】次に、本発明における温度センサ50の作
用について詳述する。熱電素子10および20に通電す
る電流の向きが形状記憶材料の形状変化部を冷却する方
向へ、すなわち、熱電素子が形状記憶材料の形状変化部
に対して近接側である面を冷却する方向へ、熱電素子に
電流を通じ、その結果、形状変化部Pの温度が変態終了
温度Ms以下になった場合には、バイアスバネ40によ
ってその形状変化部Pは曲げられるが、その必要温度条
件Msになった後は、本発明によれば、その温度よりも
高温にはならない程度に熱電素子10および20に電力
を供給するのみとし、それにより、必要以上に過度の低
温(≪Ms)にはならないようにする。すなわち、形状
記憶材料の形状変化部Pに接して配置した温度センサ5
0からの温度信号により、熱電素子10および20に供
給する電力を必要最小限に制御するのである。
【0034】前述した場合は、変態終了温度以下に冷却
してその形状記憶材料をバイアスバネの力で変形させた
ものであるが、逆に、このアクチュエータの周囲温度が
低くて、熱電素子への電力供給がなくても形状変化部が
前述の温度Ms以下であって、その形状変化部も当然バ
イアスバネによって曲げられている時に、アクチュエー
タとしての必要上、その形状変化部の曲がりを直線状に
伸ばし、かつ維持しようとする場合には、熱電素子10
および20には、前述した場合とは反対向きに電流を通
じ、その形状変化部に対しての近接側である面を加熱し
て、形状回復温度Af以上にしなければならない。この
ような場合には、温度設定をして温度センサ50からの
温度信号が温度Af以上を示すまで上昇した後、必要以
上には高温(Af≪)にならないように、温度センサ5
0からの信号によって、熱電素子10および20への電
力供給を必要最小限に制御することになる。
【0035】すなわち、本発明においては、温度設定を
可能とすると同時に、設定温度に対してその温度を最低
温度とする場合と、最高温度とする場合との、両方の場
合での制御が可能な制御回路を設け、かつ、温度検知の
ための温度センサ50を必要部分に配置することによっ
て、少ない消費エネルギーの下でアクチュエータを動作
させるようにしている。
【0036】図5は、図4に示したアクチュエータの温
度センサ50による熱電素子10および20への電力供
給の制御回路の詳細を示している。図5に示すように、
熱電素子10および20によって加熱または冷却される
作動部材30の形状変化部に接して配置された温度セン
サ50からのその形状変化部の温度を表わす温度信号
は、リード線51を通して、増幅器52に加えられる。
制御部60は、必要に応じて最高温度、または最低温度
としての温度を設定する。温度センサ50からの温度信
号は、増幅器52を通して制御部60に入力される。そ
して、温度センサ50からの温度信号は、制御部60に
おける設定温度と比較され、形状記憶材料の形状変化部
を冷却、または加熱するための熱電素子10および20
への電力供給を制御するための制御信号が、その制御部
60から出力される。
【0037】さらに、具体的に例示すれば、次のように
作動する。すなわち、アクチュエータの周囲温度が高く
て形状記憶材料の形状回復温度Af以上であり、形状記
憶材料30は、バイアスバネ40に抗して、図4の如
く、直線的に伸びている時、必要により形状記憶材料3
0をバイアスバネ40によって曲げなければならない場
合には、その形状記憶材料の形状変化部Pを、その変態
終了温度Ms以下まで冷却する必要がある。このとき、
制御部60に入力する設定温度は、Ms−αであり、制
御条件は、T≦(Ms−α)となる。ここで、 α;アクチュエータの使用環境及びシステムの時定数に
より設定する T;温度センサ50により検知される温度 である。
【0038】この設定条件の下で、Tが(Ms−α)よ
り高温になれば、制御部60からの信号は、直流電源1
9および29を含む電源供給部70のスイッチ71を、
熱電素子10および20が形状記憶材料30の形状変化
部Pを冷却できるような通電の向きとなるような位置へ
投入させることにより、熱電素子10および20への電
力供給を開始させる。その結果として、T≦(Ms−
α)となるまで冷却されれば、制御部60からの信号
は、スイッチ71を開くことにより、熱電素子10およ
び20への電力供給を終了させる。このように、熱電素
子10および20に供給される電力の断続が繰り返され
ながら、形状記憶材料30の形状変化部Pは、目的どお
りバイアスバネ40によって曲がったままの状態を維持
することができるものである。そして、このような供給
電力のコントロールによって、必要最小限の電力消費と
することができるのである。
【0039】また、温度制御条件をT≦(Ms−α)の
かわりに(Ms−β)≦T≦(Ms−α)としてもよ
い。ただし、α<βである。このとき、温度Tは、ほぼ
(Ms−β)と(Ms−α)の間で維持される。さら
に、制御部60における制御法としては、PID制御法
により熱電素子に対する供給電力量を連続的に増減させ
ることもできる。
【0040】以上の例は、冷却時の場合であるが、逆
に、加熱時の場合は、すなわち、形状記憶材料の形状回
復時の形状にせしめ、かつ維持するためには、その温度
制御条件を(Af+α)≦T、あるいは、(Af+α)
≦T≦(Af+β)とする。ただし、α<βである。
【0041】なお、温度センサ50としては、金属熱電
対やNTCサーミスタなど、目的、コストに応じて具体
的設計時に選択できる。また、形状記憶材料の形状変化
部を冷却する場合と加熱する場合とは、当然ながら、熱
電素子に供給する電力、すなわち、印加する直流電圧の
方向を逆向きにしなければならない。
【0042】本発明によって温度センサを設けた構成例
について前述した例は、作動部材30を形成する形状記
憶材料が、形状の記憶状態としては、温度の高低に関し
て一方向性を有する場合であった。すなわち、前述した
「作用例1」や「作用例2」の場合のように、あらかじ
め記憶処理された形状は、その材料によって決まるある
温度Afより低い温度で、かつその材料によって決まる
ある温度Af以上にてその形状が回復され、またはその
形状への回復力が働き、一方、温度Afより低い温度
で、かつその材料によって決まるある温度Ms以下にて
結晶変態が終了する結果として、形状回復時よりも極端
にその強度が低い状態となるものであり、このため、前
述の温度Ms以下では外部からのバイアス力によって容
易に変形されるものである。
【0043】しかし、前述した「作用例3」や「作用例
4」におけるように、形状記憶材料には温度の高低に関
して、いわゆる二方向性を有するものも知られている。
すなわち、前述の温度Af以上で形状を回復するととも
に、前述の温度Ms以下にてもあらかじめ条件付けられ
た形状、しかも温度Af以上の温度時に示す形状とは別
の形状を示す材料、及びその形状へ向かう力が生じる材
料もある。このような材料は、通常、一方向性材料に、
前述の温度Ms以下の温度にて強加工処理を施して得ら
れる。そして、当然ながら、本発明は、このような二方
向性を有する形状記憶材料を作動部材として用いる場合
にも適応するものである。
【0044】以上、本発明の基本的作用について述べた
が、本発明の本質は、形状記憶材料が有する形状回復
力、形状変化特性を発揮させ、かつ利用するために与え
る温度付与の方法として、熱電変換素子の直流電圧印加
による発熱及び冷却効果を用いるというものである。従
って、本発明の本質の範囲内で様々な具体的利用方法が
選択され、形状記憶材料としては、前述の説明にて例示
したような形状記憶合金のほかに、形状記憶樹脂として
の有機高分子材料などが利用でき、熱電変換素子として
は、同じく前述の説明にて例示したBi2 Te3 −Sb
2 Te3 系熱電素子のほかに、さまざまな熱電変換素子
を利用することが可能である。また、利用する目的に応
じて形状記憶材料の形状回復温度と変態温度を選択し、
かつ、その形状記憶材料の温度特性にあわせて、それと
組み合わせる熱電素子の発熱量、あるいは冷却能力を選
択することができる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、形状記憶材料の形状回
復力、あるいは形状変化特性を利用する様々な駆動シス
テムや各種応用分野において、その熱源として熱電素子
を使用することによって、加熱及び冷却のコンパクト化
が達成されると同時に、温度センサと制御部とを付与し
たので、加熱および冷却がそれぞれの場合に過度になら
ないようにすることができ、供給電力を必要最小に近い
範囲でのコントロールが可能となり、省エネルギー効果
を達成することができ、また、各素子の耐久性も増すこ
とができる。
【0046】また、本発明のアクチュエータは、コンパ
クトにまとめることができるので、従来スペース的に設
置が困難であった場所にも駆動部として設置することが
でき、さらにまた、雑音源にもなりやすい回転モーター
に代えて、コンパクト化を兼ねて雑音源とはならない駆
動部としも使用できるなど、様々かつ有益な応用が可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクチュエータにおいて使用する熱電
変換素子の例を説明するための概略図である。
【図2】本発明のアクチュエータの基本構造となる具体
的構造例のある状態における構成および作用を説明する
ための概略図である。
【図3】本発明のアクチュエータの基本構造となる具体
的構造例の別の状態における構成および作用を説明する
ための概略図である。
【図4】本発明の一実施例としてのアクチュエータの構
成を示す概略図である。
【図5】図4に示したアクチュエータの温度センサによ
る熱電素子への電力供給の制御回路の詳細を示す図であ
る。
【符号の説明】
10 熱電素子 11 n型半導体 12 p型半導体 13 電極 14 電極 15 導電端子 16 導電端子 17 伝熱体 17A 面 18 伝熱体 18A 面 19 直流電源 20 熱電素子 28 伝熱体 28A 面 29 直流電源 30 作動部材 31 固定端部 32 自由端 P 形状変化部 40 バイアスバネ 50 温度センサ 51 リード線 52 増幅器 60 制御部 70 電源供給部 71 スイッチ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも形状記憶材料にて形成された
    部分を含む作動部材と、該作動部材に接するかまたは近
    接して配置され、前記少なくとも形状記憶材料にて形成
    された部分の温度を、その変態温度を通過するようにし
    て上昇または下降させるための熱電素子と、該熱電素子
    への通電を行なう電源供給手段と、前記少なくとも形状
    記憶材料にて形成された部分の温度を検知してその温度
    を表わす温度信号を発生する温度センサと、該温度セン
    サからの温度信号に応答して前記電源供給手段から前記
    熱電素子への通電を制御するための電源供給制御手段と
    を備えることを特徴とするアクチュエータ。
  2. 【請求項2】 前記形状記憶材料は、金属合金系または
    有機高分子系である請求項1記載のアクチュエータ。
  3. 【請求項3】 前記温度センサは、前記少なくとも形状
    記憶材料にて形成された部分の形状変化部に直接接し、
    又は該形状変化部の温度を実質的に検知できる位置に配
    置される請求項1または2記載のアクチュエータ。
JP4247822A 1992-09-17 1992-09-17 熱制御機構を有するアクチュエータ Pending JPH06101626A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019003439A (ja) * 2017-06-15 2019-01-10 ホーチキ株式会社 熱感知器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019003439A (ja) * 2017-06-15 2019-01-10 ホーチキ株式会社 熱感知器

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