JPH06101590A - 二流体噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の二流体噴射弁の目的は燃料噴射系本
来の噴射特性を損うことなく安定した着火と良好な混合
気形成が得られ小形で実用的な二流体噴射弁を提供する
ことである。 【構成】 本発明の二流体噴射弁は、内燃機関のシリン
ダ内に直接燃料及び燃料と異なる流体を同時に噴射する
ための燃料通路と異種流体通路をそれぞれ有し燃料噴射
ポンプから送られる圧力波により燃料通路に設けたニー
ドル弁が開閉し燃料を噴射する二流体噴射弁において、
噴射弁内の異種流体の通路にニードル弁を設け、該ニー
ドル弁を燃料側ニードル弁のリフトを利用して直接駆動
し燃料噴射期間に略同期して異種流体を噴射するよう構
成したことを特徴とする燃料油圧利用自動弁方式であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は内燃機関（特にディーゼ
ル機関）に関する。

【０００２】

【従来の技術】通常のディーゼル機関では燃料を高圧で
シリンダ内に噴射することによって燃料の微粒化と空気
との混合を図っているが、燃料噴霧領域の混合気濃度の
分布即ち燃料過濃領域、理論混合領域及び燃料過薄領域
の形成に起因した煙、ＮＯ_X 、ＨＣ等の生成が多いとい
う弱点があり、これを打開する手段として従来より空
気、蒸気、不活性ガス或は水等の燃料とは異る流体を燃
料と同時に噴射することによって、燃料微粒化と噴流領
域での混合を強力に促進する二流体噴射方式が試みられ
ている。従来例の二流体噴射弁を図２, ３によって説明
する。図２は従来例の蒸気噴射式二流体噴射装置の概略
図、図３は従来例の蒸気噴射式二流体噴射弁の断面図で
ある。この従来例は異種流体として水蒸気を用いてい
る。

【０００３】図において１５は蒸気噴射式燃料弁、０１
３は燃料噴射ポンプ、０１１は燃料カムでローラ０１２
を介して燃料噴射ポンプ０１３を駆動する。０１２はロ
ーラで燃料カム０１１に接する。１４は噴射管で燃料噴
射ポンプ０１３と蒸気噴射式燃料弁１５を連通する。１
５１は燃料噴孔で蒸気噴射式燃料弁１５の先端部にあけ
られた孔である。１５３は燃料油路で蒸気噴射式燃料弁
１５に設けられ噴射管１４と燃料噴孔１５１を連通す
る。１５２は燃料弁ニードルで燃料油通路１５３の途中
に設けられている。１５４は燃料弁ばねで燃料弁ニード
ル１５２を下へ押して燃料油路１５３を遮断している。
燃料弁ニードル１５２は燃料油路１５３の燃料油圧力に
よって開かれる。１５７は外筒で蒸気噴射式燃料弁１５
の先端部の最も外側に設けられている。

【０００４】１５６は蒸気溜で燃料噴孔１５１の外側の
外筒１５７の内側の空間である。２４５は蒸気噴孔で外
筒１５７に燃料噴孔１５１の中心線上にあけられた燃料
噴孔１５１より大きめの孔である。２５は蒸気管で蒸気
噴射式燃料弁１５に接続されている。２４３は蒸気通路
で蒸気管２５と蒸気溜１５６を連通する。２４は蒸気管
制弁で蒸気通路２４３の途中に設けられ燃料油の圧力で
開くようになっている。１５５は管制弁油路で燃料通路
１５３と蒸気管制弁２４を連通する。蒸気管制弁２４は
蒸気通路２４３を垂直に横切って設けられたシリンダと
之に嵌合したばねで付勢された弁体で構成されている。
２４１は蒸気管制弁体で前記シリンダ内を摺動する。２
４２は蒸気管制弁ばねで押しばねで蒸気管制弁体２４１
の外側端面を押圧している。蒸気管制弁体２４１に周方
向に全周にわたり深い溝が切られている。前記シリンダ
の内側端面に管制弁油路１５５が開口し蒸気管制弁２４
と燃料油路１５３とを連通している。２１は高圧水ポン
プで蒸気管２５が連結されている。２２はエンジン排気
ヒータで蒸気管２５に設けられている。２３は電気ヒー
タで蒸気管２５のエンジン排気ヒータ２２と蒸気管制弁
２４の間に設けられている。

【０００５】次に前記従来例の作用を説明する。図３に
示す従来例は燃料と水蒸気を同時に噴射する蒸気噴射式
燃料弁である。噴射管１４から燃料油路１５３を通して
燃料噴孔１５１に至る高燃料は燃料弁ニードル１５２に
よって自動的に管制される。高圧水ポンプ２１は水を蒸
気管２５へ圧送し、エンジン排気ヒータ２２が前記水を
予熱し、電気ヒータ２３が加熱して前記水は水蒸気にな
り蒸気管２５を通って蒸気管制弁２４に至る。燃料を噴
射するときは燃料油路１５３の燃料の圧力が高くなり之
が管制弁油路１５５を通って蒸気管制弁２４に達し蒸気
管制弁体２４１を蒸気管制弁ばね２４２の力に抗して摺
動させて前記蒸気管制弁体２４１の円周方向溝を蒸気通
路２４３に一致させて蒸気管制弁２４を開き高圧高温の
水蒸気を蒸気噴孔２４５から噴出させる。これと同時に
高圧燃料は燃料弁ニードル１５２を押し上げて燃料噴孔
１５１から噴出する。

【０００６】蒸気噴孔２４５は燃料噴孔１５１より孔径
を大きめに形成されているので、燃料噴射と同時に蒸気
も噴出し燃料と蒸気が混合しながら噴出する。この結果
燃料は蒸気の熱を受けるとともに高速蒸気流によって微
粒化が促進される。さらに蒸気噴出エネルギを増加させ
ることによって貫徹力も増加し、乱流混合エネルギが増
大でき燃焼室内の空気との混合が良好となる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】前記従来技術には次の
欠点がある。従来例の蒸気通路に設けられた管制弁の開
閉は燃料の油圧を利用して居り、基本的には燃料噴射と
同期しているが燃料と蒸気の噴射始め及び終了の時期は
一意的にきまるものでなく、燃料弁までと蒸気管制弁ま
での燃料通路の長さの関係により燃料弁と蒸気管制弁の
開閉の時期関係は変化し、燃料弁の開弁時期よりも早い
時期に蒸気管制弁が開弁し燃料の噴射よりも早く蒸気が
噴出することがあり得る。この場合燃料噴孔から噴出し
た燃料はその直後から蒸気により強力に分散され、燃料
が希薄になりすぎ着火不良を起すことになる。これを防
ぐためには燃料油通路の分岐部から蒸気管制弁までの長
さを燃料弁までの通路長さよりも長くする必要があるが
構造上から非常に困難である。

【０００８】また燃料通路を分岐してその先に蒸気管制
弁を設けているため、蒸気管制弁の作動は直接的に燃料
の噴射特性に影響を及ぼし、特に燃料噴射終了時の噴射
の切れが悪化し燃料供給特性上の悪化を招く結果となっ
ている。さらに燃料弁内に従来のような管制弁を設ける
ことは、構造が複雑になるとともに小形化が困難にな
り、特にＮＯ_X , ＰＭ等の排ガスが問題となる小形無過
給エンジンへの適用を困難にしている。

【０００９】本発明の目的は前記従来技術の欠点を解消
し燃料噴射系本来の噴射特性を損うことなく安定した着
火と良好な混合気形成が得られる小形で実用的な二流体
噴射弁を提供することである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の二流体噴射弁は
内燃機関のシリンダ内に直接燃料及び燃料と異なる流体
を同時に噴射するための燃料通路及び異種流体通路それ
ぞれ有し、燃料噴射ポンプから送られる圧力波により燃
料通路途中に設けたニードル弁が開閉し燃料を噴射する
二流体噴射弁において、噴射弁内の異種流体通路にニー
ドル弁を設け、該ニードル弁を燃料側ニードル弁のリフ
トを利用して直接駆動し、燃料噴射期間に略同期して異
種流体を噴射するように構成したことを特徴とする燃料
圧利用自動弁方式である。

【００１１】

【作用】本発明の構成において、燃料通路と異種流体通
路は完全に独立に構成され燃料噴射系の持つ本来の特性
が維持でき、また燃料と異種流体のそれぞれを確実に密
封するために設けられた燃料側ニードル弁と異種流体側
ニードル弁の間のクリアランスにより、燃料油圧により
まず燃料側ニードル弁が開弁し燃料噴射が開始し少量の
燃料が噴射された後、燃料側ニードルが異種流体側ニー
ドルに接触して押し上げることにより異種流体の噴射が
開始される。燃料噴射期間中は常に異種流体側ニードル
は燃料側ニードルによって押し上げられているため、異
種流体の噴射が継続し、噴射終了時は前記クリアランス
分だけ早く異種流体側ニードルが閉じるため燃料の噴射
終了よりも稍早く異種流体の噴射が終了する。このよう
に燃料側ニードルの動きを機械的に利用して異種流体側
ニードルを駆動することにより燃料噴射開始よりもやや
遅く異種流体の噴射を開始し燃料噴射中は異種流体の噴
射を継続しかつ燃料噴射終了よりやや早く異種流体の噴
射を終了するというように燃料噴射特性を維持するとと
もに燃料の噴射と異種流体の噴射の時間的関係を一意的
に決定する作用を行なう。

【００１２】

【実施例】実施例を図１によって説明する。図１は実施
例の断面図である。図において、０１は燃料噴孔で燃料
弁の先端に設けられている。０３は外筒で燃料弁の先端
の外側に設けられている。０２は異種流体噴孔で外筒０
３に燃料噴孔０１の中心線上にあけられた孔である。０
４は燃料側ニードルで燃料弁の中心線上に設けられてい
る。０５は異種流体側ニードルで燃料側ニードル０４と
中心線を同じくして設けられている。０７は燃料弁チッ
プで燃料噴孔０１があけられている。０８はホルダで燃
料弁の本体をなし中空で燃料弁チップ０７が取付けられ
ている。０９は燃料側のばねで押しばねで燃料側ニード
ル０４を下へ押圧している。１０は異種流体側ばねで異
種流体側ニードル０５を下へ押圧している。０６は押し
棒で燃料側ニードル０４と異種流体側ニードル０５の間
に隙間をあけて設けられている。１１は燃料油通路でホ
ルダ０８内にあけられ外へ通じている。１２は異種流体
通路でホルダ０８に設けられ外へ通じている。１３はば
ね受けで燃料弁側ニードル０４の上端に設けられ押し棒
０６との間に隙間が設けられ、ばね０９の下を受けてい
る。

【００１３】次に前記実施例の作用を説明する。図示し
ない燃料噴射ポンプから送られた圧力波が燃料通路１１
を通って燃料側ニードル０４に達すると前記圧力波は燃
料側ニードル０４を押し上げ燃料油通路１１が燃料噴孔
０１に通じ燃料噴孔０１から燃料の噴射が始まる。燃料
側ニードル０４がさらに上昇しばね受１３が押し棒０６
に衝突すると異種流体側ニードル０５が上昇し異種流体
通路１２が外筒０３の内側に通じ図示しない加圧された
異種流体が異種流体噴孔０２を通って前記燃料とともに
噴出する。図示しない燃料噴射ポンプから圧力波が供給
されている間、即ち燃料噴射期間中は燃料側ニードル０
４と異種流体側ニードル０５は押し上げられて居り燃料
と異種流体の同時噴射が継続する。

【００１４】図示しない燃料噴射ポンプからの圧力波の
供給が終了すると燃料油通路１１内の燃料油圧が低下
し、燃料側ニードル０４に働く圧力が下って燃料側ニー
ドル０４が下降し、之に接して押し棒０６と異種流体側
ニードル０５が下降し異種流体側ニードル０５が隙間分
だけはやく着座して異種流体の噴射が止り、その後燃料
側ニードルが着座して燃料の噴射が終了する。

【００１５】

【発明の効果】本発明は前記のとおり構成されているの
で二流体噴射において、異種流体の噴射に関係のない燃
料噴射系本来の燃料噴射特性を維持することができ、良
好な燃料噴霧形成が得られると同時に、異種流体の噴射
開始に先だって少量の燃料を噴射することにより安定し
た着火性能が得られ、且二流体噴射特有の高度な微粒化
と混合気形成特性を得ることができ、排煙、ＮＯ_X がき
わめて少く燃焼効率の高い燃焼が得られる。又本発明の
構成は、燃料側ニードルと異種流体側ニードルを同軸上
に構成することにより、構造が簡単で小形化が可能であ
り小形無過給ディーゼル機関にも適用が可能である。よ
って本発明は燃料噴射系本来の噴射特性を損うことなく
安定した着火と良好な混合気形成が得られる小形で実用
的な二流体噴射弁を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の縦断面図。

【図２】従来例の蒸気噴射式二流体噴射装置の概略図。

【図３】従来例の蒸気噴射式二流体噴射弁の縦断面図。

【符号の説明】

０１…燃料噴孔、０２…異種流体噴孔、０３…外筒、０
４…燃料側ニードル、０５…異種流体側ニードル、０６
…押し棒、０８…ホルダ、１１…燃料油通路、１２…異
種流体通路。

フロントページの続き (72)発明者 中島 政吉 長崎県長崎市深堀町５丁目717番１号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関のシリンダ内に直接燃料及び燃
   料と異なる流体を同時に噴射するための燃料通路（１
   １）及び異種流体通路（１２）をそれぞれ有し、燃料噴
   射ポンプから送られる圧力波により燃料通路途中に設け
   たニードル弁（０４）が開閉し燃料を噴射する二流体噴
   射弁において、噴射弁内の異種流体通路（１２）にニー
   ドル弁（０５）を設け、該ニードル弁（０５）を燃料側
   ニードル弁（０４）のリフトを利用して直接駆動し燃料
   噴射期間に略同期して異種流体を噴射するよう構成した
   ことを特徴とする燃料圧利用自動弁方式の二流体噴射
   弁。