JPH06100603A - カチオン化澱粉の製造方法 - Google Patents

カチオン化澱粉の製造方法

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JPH06100603A
JPH06100603A JP27663592A JP27663592A JPH06100603A JP H06100603 A JPH06100603 A JP H06100603A JP 27663592 A JP27663592 A JP 27663592A JP 27663592 A JP27663592 A JP 27663592A JP H06100603 A JPH06100603 A JP H06100603A
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starch
water
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mixed solvent
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JP27663592A
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Tetsuo Sasano
鉄夫 笹野
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Shikibo Ltd
Shikishima Boseki KK
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Shikibo Ltd
Shikishima Boseki KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 少量の溶媒を使用することとして、僅かに湿
った状態で澱粉等をカチオン化して良質のカチオン化澱
粉を容易に得られるようにしようとする。 【構成】 水と低級アルコールとの混合物を溶媒とし、
クリシジル基を含んだ4級アンモニウム化合物をカチオ
ン化剤として、まず澱粉等を少量の上記溶媒中で僅かに
湿った状態で塩基性化合物により処理し、次いで上記カ
チオン化剤を加えてカチオン化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、澱粉又はヒドロキシ
アルキル化澱粉を僅かに湿った状態でカチオン化して、
カチオン化澱粉を製造する方法に関するものである。さ
らに詳述すれば、この発明は、澱粉又はヒドロキシアル
キル化澱粉を少量の混合溶媒の存在下にグリシジル基を
含んだ4級アンモニウム化合物を反応させて、カチオン
化澱粉を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】澱粉は、冷水に溶解しないが温水に溶解
して粘稠な溶液を形成する。また、ヒドロキシアルキル
化澱粉は、冷水にも温水にも溶解して粘稠な溶液を形成
する。従って、澱粉とヒドロキシアルキル化澱粉は、増
粘剤、洗剤、捺染用糊剤、サイジング剤等として使用さ
れる。ところが、これらの水溶液は、透明性に劣る上に
不安定であるという欠点を持っていた。不安定であると
云うのは、その水溶液がpH又は温度の変化によって粘
度を大きく変えたり、多価金属イオンに出会うとゲル化
したりするからである。
【0003】そこで、上述の欠点を改良するために、澱
粉又はヒドロキシアルキル化澱粉(以下、これを合わせ
て澱粉等という)をカチオン化してカチオン澱粉として
使用することとなった。澱粉等をカチオン化するには幾
つかの方法が知られている。その方法は大別すると、有
機溶媒法、水媒法及び乾式法の3つとなる。そのうち、
有機溶媒法は、溶媒として主に低級アルコールのような
親水性有機溶剤を大量に用い、この中に澱粉等を分散さ
せてスラリとし、スラリ状態でカチオン化剤によりカチ
オン化する方法である。また、水媒法は、溶媒として大
量の水を用い、水中に澱粉等を分散させてスラリとする
か、又は水中に澱粉等を溶解させて糊液とし、この状態
でカチオン化する方法である。乾式法は、少量の水又は
有機溶剤を用いて澱粉等を僅かに湿った状態としてカチ
オン化剤によりカチオン化する方法である。
【0004】有機溶媒法は、米国特許第4031307
号明細書及び特公昭60−11921号公報に記載され
ている。このうち、上記米国特許明細書は、ポリガラク
トマンナンを大量の低級アルコール中に分散させてスラ
リとし、これに苛性アルカリを加えて上記ポリガラクト
マンナンをアルカリ処理したのち、これにカチオン化剤
としてハロゲン化アルキル4級アンモニウム塩を加え、
反応させてハロゲン化アルカリを離脱させてカチオン化
ポリガラクトマンナンを得る方法を記載している。しか
し、この方法は、大量の低級アルコールを用いる必要が
あり、従って大型の反応容器が必要とされ、また大量の
ハロゲン化アルカリを除かなければならないために、実
施が煩瑣になるという欠点を持っていた。また特公昭6
0−11921号公報は、上に述べたと同じような方法
を記載しているが、そこでは原料として澱粉を用い、溶
媒として水とアルコールとの混合溶媒を用い、カチオン
化剤としてグリシジル基を含んだ4級アンモニウム化合
物を用いている、という点が異なるだけで、矢張り大量
の溶媒を用いているために、大型の反応容器が必要とさ
れる、という欠点を持っていた。
【0005】水媒法は、米国特許第2,876,217
号明細書、特公昭46−25875号、特開昭47−1
961号公報に記載されている。このうち、米国特許第
2,876,217号明細書は、澱粉を大量の苛性アル
カリ水溶液中に分散し、これにハロヒドリン基又はグリ
シジル基を含んだ4級アンモニウム化合物の水溶液を加
えて反応させ、カチオン化澱粉を得ている。しかし、こ
の方法では大量の水が必要とされ、また澱粉が水に溶解
して粘稠な糊液を形成するので、撹拌が容易でなく、従
って均一なカチオン澱粉を得ることが容易でない、とい
う欠点があった。特公昭46−25875号及び特開昭
47−1961号公報の教える方法も、上記米国特許明
細書の教える方法と殆ど同じであって、同様な欠点を持
っていた。
【0006】乾式法は、特開昭48−93684号及び
特公昭59−41646号公報に記載されている。この
うち、前者は澱粉に対し溶媒として40−100重量%
の水を使用するだけだと記載しているので、有機溶媒は
使用されないこととなり、この中で澱粉をアルカリ処理
することとしているので、アルカリ処理が不均一とな
り、従ってこれをカチオン化して得られた製品は均質の
ものとなり得なかった。また、後者は溶媒として水とア
ルコールとを別々に用い、まずアルカリとアルコールと
を加えて澱粉をアルカリ処理したのち、これにカチオン
化剤と水とを加え、水とアルコールとの合計量を澱粉量
の90重量%以下にしてカチオン化する方法を記載して
いる。ところが、この方法は、水とアルコールとを別々
に加えることとしているので煩瑣である上に、カチオン
化剤としてハロゲン化アルキル4級アンモニウム化合物
を用いることとしているので、大量のハロゲン化アルカ
リが副生することとなり、従ってハロゲン化アルカリの
除去に煩瑣な手間を要する、という欠点を持っていた。
【0007】上述のように、従来の澱粉等のカチオン化
方法は、何れも欠点を持っていた。要約すれば、有機溶
媒法と水媒法とは、何れも大量の有機溶媒又は水の使用
を必要とし、従って大型の反応容器を必要とするという
欠点を持っていた。乾式法は、このような欠点を持たな
い代わりに、反応を均一に行い難いので、均質の製品が
得られない、という欠点を持っていた。その上に、カチ
オン化剤としてハロゲン化4級アンモニウム化合物を用
いた場合には、副生物を除去するのに手間を要するとい
う欠点が加わった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上述のよ
うな欠点のない澱粉等のカチオン化方法を提供しようと
するものである。すなわち、上述の乾式法のように少量
の溶媒を用いることとして、僅かに湿った状態で澱粉等
をカチオン化し、しかも副生物の除去が容易で、均質な
カチオン化澱粉が得られるような方法を提供しようとす
るものである。
【0009】
【課題解決のための手段】この発明者は、色々な溶媒の
存在下に色々なカチオン化剤を用いて澱粉等をカチオン
化することを試みた。その結果、水と低級アルコールと
の混合溶媒を用いると、澱粉等を膨潤状態に維持でき、
従って少量の溶媒の存在下に澱粉等をカチオン化するに
適した状態にすることができることを見出した。また、
その際、カチオン化剤としてグリシジル基を含んだ4級
アンモニウム化合物を用いると、他の4級アンモニウム
化合物、例えばハロゲン化アルキル4級アンモニウム化
合物を用いるよりも、効率よくカチオン化することがで
きることを見出した。
【0010】そのためには、澱粉等100重量部に対
し、その中に含まれている水分も含めて水の量を4−4
0重量部とし、低級アルコールの量を5−50重量部と
して、このような割合で混合された混合溶媒を用いる必
要があり、また初めに澱粉等を処理するために塩基性化
合物を1−8重量部用いる必要があり、その後グリシジ
ル基を含んだ4級アンモニウム化合物を5−60重量部
加える必要があることを見出した。
【0011】また、上記添加割合のうちでも、初めに澱
粉等を塩基性化合物で処理する段階では、塩基性化合物
が上記混合溶媒に溶解して均一な溶液を生成するように
すると、澱粉等を塩基性化合物と均一に反応させること
ができることを見出した。また、その後グリシジル基を
含んだ4級アンモニウム化合物で処理する段階では、水
及び/又は低級アルコールを追加してグリシジル基を含
んだ4級アンモニウム化合物が同様に混合溶媒に溶解し
て均一な溶液を生成するようにすると、澱粉等を均一に
カチオン化できることを見出した。この発明はこのよう
な知見に基づいて完成されたものである。
【0012】この発明は、溶媒と塩基性化合物との存在
下に、澱粉等をカチオン化剤によりカチオン化する方法
において、溶媒として低級アルコールと水との混合溶媒
を使用し、カチオン化剤としてグリシジル基を含んだ4
級アンモニウム化合物を用い、澱粉等の100重量部に
対し、その中に含まれている水分も含めて水の量を4−
40重量部とし、低級アルコールの量を5−50重量部
とし、塩基性化合物の量を1−8重量部として、まず混
合溶媒中で澱粉等を塩基性化合物で処理し、次いでグリ
シジル基を含んだ4級アンモニウム化合物5−60重量
部を加えて反応させ、澱粉等を僅かに湿った状態でカチ
オン化することを特徴とする、カチオン化澱粉の製造方
法に関するものである。
【0013】この発明で用いることのできる澱粉等は、
前にも述べたように、澱粉とヒドロキシアルキル化澱粉
とである。澱粉としては、澱粉粒を持つものをすべて用
いることができる。とうもろこし澱粉、さつまいも澱
粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉等を
用いることができる。ヒドロキシアルキル化澱粉とは、
澱粉の水酸基にヒドロキシアルキル基を付加した構造を
持った化合物である。例えばヒドロキシエチル澱粉、ヒ
ドロキシプロピル澱粉等である。
【0014】澱粉等は、なるべく微細な粉末として用い
ることが好ましい。また、澱粉等は、よく精製し、でき
るだけ不純物を取り除いて使用することが好ましい。
【0015】この発明では、塩基性化合物を用いる。塩
基性化合物は、澱粉等とカチオン化剤とが反応すると
き、触媒として働くものである。塩基性化合物として
は、苛性アルカリのような無機化合物と、アルキルアミ
ンのような有機化合物とを用いることができる。苛性ア
ルカリの中では苛性ソーダや苛性カリが好適であり、ア
ルキルアミンの中ではトリメチルアミンやトリエチルア
ミンのような3級アミンが好適である。
【0016】使用する塩基性化合物の量は、澱粉等10
0重量部に対し、1−8重量部とするが、その中では1
−6重量部とするのが好ましい。このような割合に限定
した理由は、1重量部未満では澱粉等の表面で塩基性化
合物が不足し、均一にカチオン化反応が進行しなくなる
からであり、逆に8重量部より多いとカチオン化反応に
よって生成したカチオン化澱粉が部分的に糊化し、良好
なカチオン化澱粉を得ることができないからであり、ま
た反応終了後塩基性化合物を酸によって中和するとき多
量の塩が生成され、製品を悪くするからである。
【0017】この発明では、水と低級アルコールとの混
合溶媒を用いる。このうち、水について云えば、水は澱
粉等に含まれている水分も含めて、澱粉等100重量部
に対し4−40重量部を用いる。そのうちでも好ましい
のは10−30重量部である。一般に、水は乾燥した澱
粉中にも通常数%含まれているから、湿った澱粉を用い
る場合にはことさら水を加えなくてもよい場合がある。
この水は、澱粉等が塩基性化合物と反応して、澱粉等と
塩基性化合物との付加物を一時的にまた一様に生成する
ために必要とされる。この水の量を4−40重量部に限
定した理由は、4重量部未満では上述の付加物が一様に
形成されにくくなるからであり、40重量部を越える
と、反応生成物が局部的に糊化して、不均一な製品を生
成することになるからである。
【0018】この発明では溶媒として低級アルコールを
用いることが必要とされる。低級アルコールは、澱粉等
を湿った状態に維持するために必要とされる。すなわ
ち、低級アルコールは、澱粉等に対する水の溶解力を減
殺し、澱粉等を膨潤した状態に維持するために必要とさ
れる。低級アルコールの使用量は、澱粉等100重量部
に対し5−50重量部の範囲内とする。そのうちでも好
ましいのは、10−40重量部である。低級アルコール
の好適な具体例は、メタノール、エタノール、プロパノ
ールである。これらは単独で又は混合して用いることが
できる。
【0019】水と低級アルコールとの混合割合は、澱粉
等に含まれている水分も含めて、重量で常に低級アルコ
ールの方が多くなるようにすることが好ましく、とくに
水1部に対して低級アルコールを4〜20部とすること
が好ましく、その中でも4−16部とすることが好まし
い。
【0020】水と低級アルコールとの混合溶媒は,澱粉
等を適度に膨潤させているだけでなく、塩基性化合物を
溶解して均一な溶液を形成し、またグリシジル基を含ん
だ4級アンモニウム化合物を溶解して、均一な溶液を形
成することが好ましい。すなわち、初めに澱粉等を塩基
性化合物で処理する段階では、混合溶媒が塩基性化合物
を溶解して、均一な溶液を形成するに足る量の混合溶媒
を用い、その後にグリシジル基を含んだ4級アンモニウ
ム化合物でカチオン化する段階では、混合溶媒がグリシ
ジル基を含んだ4級アンモニウム化合物を溶解して、均
一な溶液を形成するに足る量の混合溶媒を用いることが
好ましい。このために、グリシジル基を含んだ4級アン
モニウム化合物は、これを固体のまま添加しないで、低
級アルコール又は水に溶解して加えることが好ましい。
このようにすると、カチオン化反応を一様に行うことが
でき、従って透明度のよい均質のカチオン化澱粉を得る
ことができる。
【0021】例えば、イソプロパノール70重量%と水
30重量%とからなる混合溶媒100重量部に、苛性ソ
ーダ1重量部を添加するときは、苛性ソーダは均一に溶
解しないで2層に分離する。ところが、この溶液にメタ
ノール20重量部を加えると、全体は1つの均一溶液と
なる。このように、均一相を形成している苛性ソーダ溶
液を用いて澱粉等を処理すると、澱粉等は苛性ソーダに
よって均一に処理され、ここに均質のアルカリ付加澱粉
等を生成する。
【0022】この発明で用いられる塩基性化合物は、苛
性ソーダに限らず、有機アミンでも、水と低級アルコー
ルとからなる混合溶媒中で、なるべく高濃度を維持する
ことが好ましい。しかし、塩基性化合物が混合溶媒中で
飽和濃度以上にあって固相部分を持つときは、固相部分
が不均一な反応を起こすおそれがある。そこで、塩基性
化合物は、混合溶媒中で飽和濃度以下にあって、なるべ
く飽和濃度に近い高濃度を持つように、その量を調節し
て添加することが好ましい。
【0023】この発明では、カチオン化剤としてグリシ
ジル基を含んだ4級アンモニウム化合物を用いる。この
化合物は一般式
【0024】
【化1】
【0025】で表されるものであって、澱粉用カチオン
化剤としては公知のものである。ここで、R1は炭素数が
1−8の直鎖または分岐のアルキル基を表し、R2、R3
びR4は炭素数が1−8の直鎖若しくは分岐のアルキル基
又はアリール基を表し、Xはハロゲンを表している。ア
リール基の好適な例はベンジル基であり、ハロゲンの好
適な例は塩素である。このカチオン化剤は常温で固体で
あって、水と低級アルコールによく溶解する性質を持っ
ている。カチオン化剤は、澱粉等の100重量部に対し
5−60重量部使用される。カチオン化剤の好適な例
は、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライドであ
る。
【0026】この発明では、カチオン化剤を混合溶媒に
溶解して澱粉等と反応させるが、そのときカチオン化剤
は混合溶媒と均一の溶液を形成することが好ましい。な
ぜならば、混合溶媒が2層に分かれると、前述の塩基性
化合物と同様に、カチオン化の反応が一様に進行しにく
くなるからである。例えば、カチオン化剤としてグリシ
ジルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた場合に
は、その75重量%の水溶液と、イソプロパノールとの
等量混合物は、低温で2層に分かれる。ところが、この
混合物も26℃以上になると均一相になる。そこで、こ
の場合には26℃以上でカチオン化反応を行うこととす
るのが好ましい。26℃以上で反応を行うとカチオン化
を一様に行うことができる。そのうちでも好ましいの
は、40−80℃に加熱して反応を進行させることであ
る。その理由は、40℃未満では反応速度が遅くて、反
応完了までに長時間が必要とされるからであり、逆に8
0℃を越えると、得られたカチオン化澱粉が褐色に着色
して品質を低下させるからである。
【0027】この発明では、まず澱粉等に混合溶媒と塩
基性化合物とを加え、その後にカチオン化剤を加える。
澱粉等に混合溶媒と塩基性化合物とを加える順序には、
格別制限がない。しかし、加える順序としては、最初塩
基性化合物を混合溶媒に溶解しておいて、得られた溶液
を澱粉等に加えるか、又は初めに混合溶媒を澱粉等に加
えておいて、あとで塩基性化合物を加えるのが好まし
い。
【0028】この発明では、澱粉等に混合溶媒と塩基性
化合物とを加えたのち、これを暫くよく撹拌する。塩基
性化合物として苛性アルカリを固体のまま加えた場合に
は、撹拌の間に澱粉等が苛性アルカリに擦られて微粉状
となり混合溶媒に溶解されて溶液を形成する。こうして
形成された溶液又は初めから溶液として加えられた溶液
は、澱粉等の粒子に付着してアルカリ付加物を形成す
る。このとき、加えた混合溶媒は、澱粉等の100重量
部に対して高々90重量部に過ぎないから、全体は僅か
に湿った状態に過ぎない。従って、撹拌は容易である。
【0029】この発明では、上述のようにして澱粉等を
塩基性化合物と反応させたあとで、カチオン化剤を加え
る。その後もさらに撹拌を続ける。そのとき、反応を円
滑に進行させるために適度に加熱し、例えば40−80
℃に保持する。すると、カチオン化剤は混合溶媒に溶解
し、澱粉等のアルカリ付加物と反応して、カチオン化澱
粉を生成する。こうして得られた生成物は、カチオン化
澱粉のほかに未反応の残留物を含んでいる。未反応の残
留物は主に塩基性化合物と混合溶媒とである。そこで、
反応生成物に酸、例えば酢酸を加えて塩基性化合物を中
和し、また減圧乾燥して混合溶媒を除く。こうして目的
とするカチオン化澱粉を得ることができる。
【0030】カチオン化澱粉は、冷水及び温水の何れに
も容易に溶解して安定な溶液を形成する。すなわち、そ
の溶液は粘稠であって、pH及び温度変化による粘度の
変化が少なく、多価金属イオンに出会ってもゲル化する
ようなことがない。従って、カチオン化澱粉は、乳化安
定剤、増粘剤などとして、化粧品、洗剤、捺染などに広
く使用できるものである。
【0031】
【発明の効果】この発明によれば、澱粉等100重量部
に対し、その中に含まれている水分も含めて、水の量を
4−40重量部とし、低級アルコールの量を5−50重
量部とした混合溶媒を用いることとしたので、用いる溶
媒の量は高々90重量部であって少量であるから、澱粉
等の重量の割合に小さな容量の容器内でカチオン化反応
を進めることができ、従って手軽に実施できる。また、
溶媒として水と低級アルコールとの混合溶媒を用いたの
で、混合溶媒が澱粉等を適度に膨潤させるにとどまり、
さらに混合溶媒が少量であるために撹拌が容易となり、
従って容易にカチオン化反応を進行させることができ
る。その上に、カチオン化剤としてグリシジル基を含ん
だ4級アンモニウム化合物を用いることとしたので、カ
チオン化反応を効率よく進行させることができる。ま
た、カチオン化剤の量を5−60重量部とし、苛性アル
カリの量を1−8重量部としたので、全体として効率よ
く均一にカチオン化反応を進行させることができ、しか
もカチオン化反応の終了後は残留物を容易に除去するこ
とができて、品質のよいカチオン化澱粉を容易に製造す
ることができる。この点で、この発明は大きな利益を与
えることとなる。
【0032】以下に、実施例と比較例とを挙げて、この
発明のすぐれている所以を具体的に明らかにする。以下
の実施例と比較例とにおいて、単に部と云うのは、重量
部を意味している。また、そこで得られた水分率、p
H、灰分、置換度及び透明度は、以下に述べるような測
定方法に従って得られた値である。
【0033】(a)水分率: 赤外線水分計を用いて測
定した。 (b)pH : 1重量%の水溶液を調製し、10分後
にpHメーターで測定した。 (c)灰分 : 絶乾資料を電気炉に入れ、700℃に
加熱して分解し、残留分の重量を測定した。 (d)置換度: 70重量%のメタノール水溶液で充分
洗浄し、乾燥したのち、食品添加物公定書窒素定量法
(2)のセミケルダール法によって窒素量を測定し、こ
れから算出した。 (e)透明度: 0.5重量%の水溶液を調製し、2時
間経過してのち、JIS K 0101−9に規定する
方法に従い、濁度透視度計を用いて、二重十字を識別で
きる水層の高さを測定した。
【0034】
【実施例1】V型ブレンダーに馬鈴薯澱粉(水分14
%)1000gを加えた後、メタノール100gを加え
て撹拌した。この混合物に固体状態の苛性ソーダ10g
を加えて室温で2時間撹拌した。この混合物を撹拌装置
の付いた密閉出来る容器に移し、容器内の圧力が100
mmHgになるまで減圧脱気した。その後、グリシジル
トリメチルアンモニウムクロライドの75%水溶液を4
00gとイソプロパノール100gとメタノール100
gとの混合溶液を注入し、60℃まで昇温させて5時間
撹拌した。この間、反応容器内の温度を60℃に保持し
た。反応終了後、酢酸で中和し、真空ポンプで容器内を
減圧し、水とアルコールを除去して乾燥して、カチオン
化澱粉を得た。
【0035】得られたカチオン化澱粉は、pHが6.6
で均一にカチオン化されていた。また、その置換度は
0.33で高く、灰分は1.1%で少なく、透明度は3
0cm以上ですぐれており、反応効率は88%という高
い値であった。
【0036】なお、苛性ソーダ10gはメタノール10
0g中に溶解して均一溶液を生成し、またグリシジルト
リメチルアンモニウムクロライドの75%水溶液400
gとイソプロパノール100gとメタノール100gと
の混合溶液も均一溶液を生成した。
【0037】
【比較例1】この比較例は混合溶媒中に澱粉をスラリ状
に分散して実施したものである。
【0038】実施例1で用いたのと同じ馬鈴薯澱粉(水
分14%)1000gを、水2010gとイソプロピル
アルコール2150gとの混合溶液に分散させ、苛性ソ
ーダの15重量%水溶液283.5gを加えて、40℃
で2時間撹拌した。その後、グリシジルトリメチルアン
モニウムクロライドの75%水溶液400gを加えて昇
温し、50℃で8時間撹拌した。反応終了後、塩酸で中
和し、室温で1時間撹拌した後、8600gのメタノー
ル中に反応液を注入し、反応物を沈殿させ、濾過した。
得られた沈殿物を、8600gのメタノール中で3回洗
浄した後、生成物を減圧乾燥して、カチオン化澱粉を得
た。
【0039】得られたカチオン化澱粉はpHが6.8
で、均一にカチオン化されていた。また、その置換度は
0.32で高く、灰分は0.9で少なく、透明度は30
cm以上ですぐれており、反応効率は85%という高い
値であって、何れもすぐれていた。
【0040】ところが、馬鈴薯澱粉1000gに対し、
水2010gとイソプロピルアルコール2150gを使
用してカチオン反応を行い、反応終了後34400gの
メタノールで洗浄しなければならなかったので、全体操
作は煩瑣であった。
【0041】
【実施例2】実施例1で用いたと同じV型ブレンダーに
同じ馬鈴薯澱粉(水分14%)1000gを加えた後、
メタノール100gと苛性ソーダ10gを加えて室温で
1時間撹拌した。この混合物に、グリシジルトリメチル
アンモニウムクロライドの75%水溶液400gとメタ
ノール200gとの混合溶液を加えて、そのまま30分
撹拌した。この混合物を撹拌装置の付いた密閉出来る容
器に移し、70℃で5時間撹拌した。この間、反応容器
内の温度を70℃に保持した。反応終了後、リン酸で中
和し、乾燥してカチオン化澱粉を得た。
【0042】得られたカチオン化澱粉はpHが6.5で
あり、均一にカチオン化されていた。その置換度は0.
32で高く、灰分が1.1%で低く、透明度は30cm
以上で良好であり、反応効率は85%と高かった。
【0043】
【比較例2】この比較例は低級アルコールを使用しない
で、ただ水だけを使用して澱粉をカチオン化した例であ
る。
【0044】馬鈴薯澱粉は、澱粉100g当たり1.3
g以上の苛性ソーダを加えると糊化するので、苛性ソー
ダの添加量を少なくしなければならない。なぜならば、
馬鈴薯澱粉は糊化すると撹拌が困難になり、大量の水で
うすめなければ均一に撹拌出来なくなるからである。そ
こで、苛性ソーダの使用量を1.3g以下とすることと
した。実際には次のようにして実施した。
【0045】水1700gの中に、実施例1で用いたの
と同じ馬鈴薯澱粉1000g(水分14%)を加え、室
温で1時間撹拌した。次に、このスラリを撹拌しなが
ら、苛性ソーダ10gと水290gとの混合溶液をゆっ
くり加えて一晩撹拌した。翌日、グリシジルトリメチル
アンモニウムクロライドの75%水溶液400gを加え
て、30℃で10時間撹拌した。反応終了後、酢酸で中
和し濾過後、脱水、乾燥してカチオン化澱粉を得た。
【0046】得られたカチオン化澱粉はpHが6.5で
あった。また、カチオン化澱粉の置換度は0.22と低
く、灰分は0.8%と少なかったが透明度は16cmで
あって劣り、反応効率は58%と低かった。
【0047】
【実施例3】この実施例は、澱粉中に含まれている水分
以外には水を加えないで実施した例である。
【0048】撹拌装置の付いた密閉出来る容器に実施例
1で用いたのと同じ馬鈴薯澱粉(水分14%)1000
gを入れた後、容器内の圧力が100mmHgになるま
で減圧した。その後、撹拌しながら、トリエチルアミン
10gを加えて室温で2時間撹拌した。次に、グリシジ
ルトリメチルアンモニウムクロライドの75重量%水溶
液400gと、メタノール150gとの混合溶液を注入
し、70℃まで昇温して5時間撹拌した。この間、反応
容器内の温度を70℃に保持した。反応終了後、真空ポ
ンプを用いて反応容器内を減圧にし、酢酸で中和した。
その後、再び真空ポンプで容器内を減圧にし、水とアル
コールを除去して乾燥した。こうしてカチオン化澱粉を
得た。
【0049】得られたカチオン化澱粉は、pHが6.5
であり、均一にカチオン化されていた。カチオン化澱粉
の置換度は0.29で、灰分は0.1%と少なく、透明
度は30cm以上であって良好であり、反応効率は80
%と高かった。
【0050】
【比較例3】この比較例は、カチオン化剤としてグリシ
ジル基を含まないで代わりにクロロアルキル基を含んだ
4級アンモニウム化合物を用いた例である。
【0051】実施例1で用いたのと同じV型ブレンダー
に、馬鈴薯澱粉(水分14%)1000gを加えた後、
メタノール150gを加えて撹拌した。この混合物に、
固体状態の苛性ソーダ79gを加えて室温で1時間撹拌
した。この混合物を、撹拌装置の付いた密閉出来る容器
に移し、容器内の圧力が100mmHgになるまで減圧
した。その後、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルト
リメチルアンモニウムクロライドの50%水溶液740
gとメタノール300gとの混合溶液を注入し、60℃
まで昇温させて5時間撹拌した。この間、反応容器内の
温度を60℃に保持した。反応終了後、真空ポンプを用
いて容器内を減圧にし、酢酸で中和した。その後、再び
真空ポンプで容器内を減圧にし、水とアルコールを除去
して乾燥し、カチオン化澱粉を得た。
【0052】得られたカチオン化澱粉は、pHが6.5
であり、置換度は0.26であって低く、灰分は10.
1%と多く、透明度は16cmであって劣り、反応効率
は68%とやや低かった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶媒と塩基性化合物との存在下に、澱粉
    又はヒドロキシアルキル化澱粉をカチオン化剤によりカ
    チオン化する方法において、溶媒として低級アルコール
    と水との混合溶媒を使用し、カチオン化剤としてグリシ
    ジル基を含んだ4級アンモニウム化合物を用い、上記澱
    粉又はヒドロキシアルキル化澱粉100重量部に対し、
    その中に含まれている水分も含めて水の量を4−40重
    量部とし、低級アルコールの量を5−50重量部とし、
    塩基性化合物の量を1−8重量部として、まず混合溶媒
    中で澱粉又はヒドロキシアルキル化澱粉を塩基性化合物
    で処理し、次いでグリシジル基を含んだ4級アンモニウ
    ム化合物5−60重量部を加えて反応させ、澱粉又はヒ
    ドロキシアルキル化澱粉を僅かに湿った状態でカチオン
    化することを特徴とする、カチオン化澱粉の製造方法。
  2. 【請求項2】 低級アルコールがメタノール、エタノー
    ル又はプロパノールであることを特徴とする、特許請求
    の範囲第1項に記載するカチオン化澱粉の製造方法。
  3. 【請求項3】 塩基性化合物で処理する段階では、塩基
    性化合物が混合溶媒に溶解して均一溶液を生成する割合
    になっており、カチオン化剤を反応させる段階では、グ
    リシジル基を含んだ4級アンモニウム化合物が混合溶媒
    に溶解して均一溶液を生成する割合になっていることを
    特徴とする、特許請求の範囲第1項又は第2項に記載す
    るカチオン化澱粉の製造方法。
  4. 【請求項4】 澱粉又はヒドロキシアルキル化澱粉を塩
    基性化合物で処理したのち、水及び/又は低級アルコー
    ルを追加して、グリシジル基を含んだ4級アンモニウム
    化合物が混合溶媒に溶解して均一溶液を生成する割合に
    することを特徴とする、特許請求の範囲第1−3項の何
    れか1つの項に記載するカチオン化澱粉の製造方法。
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