JPH0596296A - 窒素欠乏性有機廃水の処理方法及び装置並びに該廃水からの共重合ポリエステルの生産方法 - Google Patents

窒素欠乏性有機廃水の処理方法及び装置並びに該廃水からの共重合ポリエステルの生産方法

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JPH0596296A
JPH0596296A JP3287214A JP28721491A JPH0596296A JP H0596296 A JPH0596296 A JP H0596296A JP 3287214 A JP3287214 A JP 3287214A JP 28721491 A JP28721491 A JP 28721491A JP H0596296 A JPH0596296 A JP H0596296A
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外部からの窒素源投与が不要な窒素欠乏性有
機廃水の処理並びに、有用な共重合ポリエステルの効率
的製造を同時に行う。 【構成】 窒素欠乏性有機廃水を生物処理する方法にお
いて、まず、該廃水20を酸発酵槽2に導き、廃水中の
有機物を低級カルボン酸にまで分解し、NH4 −N放散
槽5に導きNH4 −Nを揮散除去したのち、窒素固定菌
培養槽8に導入して処理するものであり、上記窒素固定
菌培養槽8における処理で窒素固定菌の菌体中には共重
合ポリエステル16が蓄積するから、これを分離精製1
3〜15するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パルプ製造廃水、アル
コール蒸留廃水、石油化学工場廃水等の窒素欠乏性有機
廃水の処理と、該廃水からの生物分解性バイオプラステ
ィック原料となる有用物質の生産に関し、処理と生産を
同時に達成させる省エネルギー創資源的技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、窒素欠乏性有機廃水(無窒素有機
廃水を含む)は活性汚泥法やメタン発酵法等の生物処理
技術により処理されていたが、微生物の活動に必要な栄
養源のバランスをとる必要から、BOD:N:P=10
0:5:1を基準として硫安、硝安、尿素等を廃水に添
加していた。このため、窒素源の費用と、必要以上の有
機性汚泥の処理を要するものであった。
【0003】また、微生物の代謝産物である各種ポリマ
をバイオプラスティック基材とする試みが行われ、例え
ばポリ−β−ハイドロキシ酪酸(以下PHBと略記す
る)は、約10年前に既に商品化されており、該物質は 生物分解性(特に廃棄物処理の面から注目される) 加水分解性 生体適合性 光学活性 耐紫外線性 に優れた機能性素材としての評価を得ている。しかしな
がら、 可塑性及び強度に欠ける 伸展性に欠ける 等加工しにくいだけでなく、何より人工基質を原料とす
る場合、石油系プラスティックに比して価格が桁違いに
高いという難点があった。このためバイオプラスティッ
クへの期待が高まるにもかかわらずその用途は狭いもの
であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、外部からの
窒素源投与が不要な窒素欠乏性有機廃水の処理ならびに
バイオプラスティック素材として有用な共重合ポリエス
テルの効率的製造に関する方法及び装置を提供すること
を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では酸発酵菌と窒素固定菌の夫々の機能と性
質を効果的に組合わせることで、エネルギー分野におけ
るコジェネレーションに相当する創資源的技術の創出を
図ったものである。すなわち、本発明は、窒素欠乏性有
機廃水を生物処理する方法において、まず、該廃水を酸
発酵工程に導き、廃水中の有機物を低級カルボン酸にま
で分解し、NH4 −N放散工程に導きNH4 −Nを揮散
除去したのち、窒素固定菌培養工程に導入して処理する
ことを特徴とする窒素欠乏性有機廃水の処理方法とした
ものである。上記処理方法において、窒素固定菌培養工
程における処理で窒素固定菌の菌体中には共重合ポリエ
ステルが蓄積するからこれを分離し、精製することとし
たものであり、また、上記において、窒素固定菌は、ア
ゾトバクター属( Azotobacter ) 、アゾモナス属( Azom
onas )、バイエリンキア属( Beijerinckia )の単一種又
は複数種を用いるのが好ましい。
【0006】また、本発明は、窒素欠乏性有機廃水を生
物処理する装置において、酸発酵槽、NH4 −N放散槽
及び窒素固定菌培養槽を有し、それらの装置を順次前記
廃水が流れるように連結することを特徴とする窒素欠乏
性有機廃水の処理装置としたものである。そして、上記
処理装置において、窒素固定菌培養槽の後に、菌体分離
装置を設けると共に、分離した窒素固定菌から共重合ポ
リエステルを分離精製する手段を設けることにより、廃
水の処理と同時に共重合ポリエステルを得ることができ
る。
【0007】さらに、本発明では、窒素欠乏性有機廃水
を原料とする共重合ポリエステルの生産方法において、
該廃水を酸発酵工程に導入して低級カルボン酸にまで分
解し、NH4 −N放散工程に導きNH4 −Nを揮散除去
したのち、窒素固定菌培養工程に供与することにより、
窒素固定菌の菌体中に共重合ポリエステルを蓄積させた
後、菌体中の共重合ポリエステルを分離精製することを
特徴とする窒素欠乏性有機廃水からの共重合ポリエステ
ルの生産方法としたものである。
【0008】次に、図1に従って本発明の構成を説明す
る。但し、本発明の実施態様は必ずしもこれに限定され
ない。まず、廃水20は流入量を貯槽1により平均化し
て、以後の工程に送られる。貯槽1は即ち流量調整槽で
ある。次の酸発酵槽2には固液分離手段3が設けられ、
分離された汚泥の一部は汚泥返送管4により酸発酵槽2
に返送され、余剰汚泥及び非分解性固形物は汚泥排出管
18により系外に排出される。固液分離手段3は任意
で、通常の重力式沈殿槽、遠心濃縮機等を適用するのが
よい。
【0009】酸発酵槽処理液は窒素固定菌培養槽8へ送
られるが、まず直前に設けられたNH4 −N放散槽5を
経由する。NH4 −N放散槽5はアルカリ性に調整され
ると共に曝気が行なわれ、酸発酵槽処理液及び返送され
た窒素固定菌培養槽処理液中のNH4 −Nが大気中に揮
散される。NH4 −Nを除去された処理液は窒素固定菌
培養槽8において窒素固定菌の作用を受ける。本発明に
おいては、窒素固定菌培養槽8のBOD容積負荷を大き
く設定することが望ましい。また、酸素供給装置9は供
給能力の大きい空気曝気装置でも良く、酸素富化空気に
よる曝気の適用も良い。前段のNH4 −N放散槽5での
曝気基体はN2 であっても良いことから、例えばPSA
式ガス分離装置によってNH4 −N放散槽5と窒素固定
菌培養槽8への供給ガスの組成を調整すれば効果的であ
る。さらに供給酸素の損失ができるだけ少ない反応槽を
用いることが望ましい。
【0010】窒素固定菌培養槽8からの流出液は菌体分
離工程10によって菌体12と処理水19に分離され
る。菌体分離工程は、例えばUF、MF等の膜及び/又
は遠心分離機等の手段で構成することができる。処理水
19は一部NH4 −N放散槽5に返送され、残りは系外
に放流される。分離された菌体12は共重合ポリマーの
生産工程に送られる。先ず洗浄工程13において水及び
/又は有機溶媒等を用いて洗浄する。次いで有機溶媒抽
出工程14に至り、クロロホルム、塩化メチレンなどの
有機溶媒による抽出後、メタノール/水混合後、n−ヘ
キサン等を加えて共重合ポリエステルを凝固し、これを
乾燥して最終的に共重合ポリエステル16製品を得る。
【0011】
【作用】次に本発明での作用を説明する。本発明の特徴
の1つは酸発酵菌、窒素固定菌による2段処理である。
窒素欠乏性有機廃水は先ず酸発酵槽2で、酸発酵菌等の
分解作用を受ける。酸発酵槽2は嫌気状態に維持され、
該廃水中の浮遊性有機物は溶解し、殆んどの有機物は酸
発酵菌により分解代謝され、最終的には酢酸、プロピオ
ン酸、n−酪酸、 iso−酪酸、n−吉草酸、 iso−吉草
酸等の各種低級カルボン酸が生成される。本発明によっ
て生成する低級カルボン酸は特に酢酸およびプロピオン
酸が大半を占める。
【0012】酸発酵槽2における廃水の滞留時間は、廃
水の組成により異なるが通常1日〜3日程度である。酸
発酵槽の流出液は該槽に付設された通常の固液分離手段
により分離され、一部汚泥は酸発酵槽に返送され繰り返
し使用される。余剰菌体及び非分解性固形物は系外に排
出される。続いて、前記の各種低級カルボン酸混液は窒
素固定菌分解槽8に導入されるが、窒素固定菌は炭素源
として糖類よりも低級カルボン酸の方が資化性が強く、
増殖速度、機能が増大することが知られている。この
為、より高速(効率)に処理が進行する。
【0013】窒素固定菌が大気中の窒素を固定するため
には多大のエネルギーを必要とする。このエネルギー獲
得のため、該細菌類は有機物を極めて高速に分解し、有
機性廃水は一過性かつ短時間に処理される。窒素固定の
ために使用されるエネルギーは、有機物分解により獲得
したエネルギーの80〜85%と言われている。従っ
て、菌体増殖に使用されるエネルギーは僅かであり、余
剰菌体(汚泥)発生量は標準活性汚泥法の1/3〜1/
4である。
【0014】培養に供する窒素固定菌はアゾトバクター
ビネランディ( Azotobacter vinelandii )、アゾトバ
クター クロオコッカム( Azotobacter chroococcum )
及び/又はこれらの変異株が好ましい。これらの比増殖
速度はμ=0.1〜0.3(hr-1)程度であるので、
窒素固定菌培養槽8の滞留時間が3〜10時間の範囲で
あれば、分離した菌体を窒素固定菌培養槽8に返送せず
一過性で処理することができる。なお、これらの菌は弱
アルカリ性環境を好む。窒素欠乏性有機廃水(BOD=
1000〜5000mg/l)を滞留時間2〜5時間、p
H7.0〜7.5、BOD容積負荷6〜12kgBOD/
3 ・日で処理した場合、菌体分離後の除去率は95%
以上である。
【0015】本発明における窒素固定菌培養槽8のBO
D容積負荷は大きく設定することが好ましい。これは窒
素固定菌を対数増殖相で培養すると共に自己分解による
液側へのNH4 −N溶出を最小限に抑制するためであ
る。酸発酵槽2から窒素固定菌培養槽8の間にNH4
N放散槽5が設けられ、窒素固定菌の優占的増殖を確保
することがもう1つの本発明の特徴である。窒素欠乏性
とは言え廃水中の有機物中には幾分かの窒素成分があ
り、酸発酵槽で分解・脱アミノ化等の作用を受けNH4
−Nが形成される。窒素固定菌培養槽8に供給される廃
液中にN源となる栄養塩類等が含まれると、窒素固定菌
以外の微生物の増殖が起き安定した処理ができない。こ
のため、本発明ではNH4 −N放散槽5において、通常
pH4.0〜6.0で酸発酵槽から供給される廃水にア
ルカリ剤を投入し、曝気を行うことによりNH4 −Nを
大気中に揮散させる。曝気に用いるガスは、空気でもN
2 でもかまわない。
【0016】また次の工程の窒素固定菌は弱アルカリ性
環境を好むので中和設備を設ける必要はなく、プロセス
全体の処理水の一部を処理水返送管11でNH4 −N放
散槽5に返送することで使用アルカリ量を節約すること
ができる。本発明の異なる特徴は処理に用いる菌体の生
産物組成を処理プロセスの構成により好適なものとして
いることである。前述の様にバイオポリマーとして期待
されているポリ−β−ハイドロキシ酪酸(PHB)は、
窒素制限下において細菌類が糖質や酢酸等の単一種の有
機酸をC源とする場合に、飢餓時のエネルギー源として
菌体内に蓄積される。これに対し、C源が各種低級カル
ボン酸混液の場合、水素細菌アルカリゲネスユートロフ
ァス( Alcaligenes entrophus ) や種々の窒素固定菌は
菌体内貯蔵物質としてPHBだけでなく、ポリ−β−ハ
イドロキシバレリアン酸(PHV)、ポリ−β−ハイド
ロキシプロピオン酸(PHP)等の各種カルボン酸との
共重合ポリエステルを合成する。
【0017】本発明においては、窒素固定菌に供給され
る廃液は酸発酵槽において各種低級カルボン酸混液に調
整されており、菌体内貯蔵物質は主としてPHVとPH
Bの共重合ポリエステルとなっている。PHBは単独で
はP(−)−3−ハイドロキシ酪酸を1単位としてポリ
エステルP(3HB)を形成しているが、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸などが共存するとP(−)−3−ハイ
ドロキシバレリアン酸、即ちP(3HV)と次に示すよ
うな共重合ポリエステルが生成される。 P(3HB−co−3HV)。 この種の共重合ポリエステルは素材としてPHBが持つ
物理化学的な特性が改善され、原料が廃水であることか
ら石油系ポリマーと十分競合可能な価格が可能である。
本発明による菌体の収量は廃水の組成にもよるが大凡
0.1〜0.2kg cell/kgBODR の範囲にある。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 処理対象としての窒素欠乏性有機廃水として、馬鈴薯を
原料とするアルコール蒸留廃水(4倍希釈液)を選定し
た。この廃水(原水)の代表的な水質は、表1の通りで
ある。
【0019】
【表1】 この実験に使用した窒素固定菌はアゾトバクター ビネ
ランディー( Azotobacter vinelandii )の変異株であ
り、処理すべき廃水量は2リットル/日に固定した。
【0020】実験1 アルコール蒸留廃水(4倍希釈液)を滞留2日間(有効
容積4リットル)の有機酸(低級カルボン酸)発酵槽2
に導入し、SSの可溶化と可溶性高分子物質を有機酸発
酵したのち、重力沈殿3によって生物分解(可溶化)で
きないSSを除去した。次に酸発酵液に苛性ソーダを添
加してpHを8.0付近に調整したのち、約20〜30
分の緩慢曝気によりNH4 −Nを大気中に放散し、この
液を曝気時間6時間の有効容積(0.5リットル)をも
つ窒素固定菌培養槽8に連続的に供給した。該槽8に予
め特定の培養液で濃厚培養したアゾトバクター ビネラ
ンディ( Azotobacter vinelandii )の変異株を800〜
1,000mg/lとなるように添加した。なお、運転当
初は、遠心分離機で回収した菌体を添加したが、運転が
定常状態となり、処理効率が安定してきた時点でこの操
作は中止した。
【0021】また、該槽8のpHは7.0〜7.5の範
囲に調整し、かつ強力に曝気を行なった。また、実験期
間中(定常状態に達してから50日間)の窒素固定菌培
養槽8のBOD容積負荷は18〜24kg/m3 ・日の範
囲で変動した。本発明の最終工程として、アゾトバクタ
ー ビネランディ(Azotobacter vinelandii )変異株を
含む混合培養液は菌体分離工程(遠心分離機を使用)1
0により、増殖菌体12と処理水19に分離した。
【0022】実験2 本実験は、本発明の対照として実施したものである。処
理対象液は実験1と同じく、4倍に希釈したアルコール
蒸留廃水(馬鈴薯原料)であるが、本発明の有効性を確
保するために、有機酸(低級カルボン酸)発酵工程及び
NH4 −N放散工程での処理は省略し、前記の廃水を直
接窒素固定菌培養槽8に連続的に導入した。その他の条
件は、全て実験1と実質的に同じである。有機酸発酵液
及び実験1、実験2の処理水水質を、それぞれ表2に示
す。
【0023】
【表2】
【0024】*1:有機酸発酵液A中のT−Nの95%
はNH4 −Nである。 *2:4倍希釈アルコール蒸留廃水にはBOD:P=1
00:1となるように「リン」を添加した。 *3:実験1と2の酢酸は全有機酸を酢酸に換算したも
のである。 *4:実験2では、廃水に可成りのNH4 −Nが含まれ
ているため、外部から雑菌が混入し、安定した処理が行
なえなかった。
【0025】実施例2 窒素固定菌はアゾトバクター ビネランディ( Azotobac
ter vinelandii )に限定されることなく、一般に基質と
して糖質成分が与えられるよりも、有機酸基質を与える
ほうが増殖速度が加速される。一般に連続培養系におい
て、培養装置内が完全混合されていると、流入した基質
は瞬間的に混合される。そこで培養装置内における細胞
濃度についての収支を考えると、増殖速度の時間変化
は、培養装置内における増殖速度と、装置外への流出速
度の差で表現することができる。即ち、 V(dx/dt)=V(dx/dt)gr−FX (1)
【0026】ここで、X:細胞濃度(mg/l) F:基質の流入速度(l/hr) V:装置の有効容量(l) t:時間(hr) V(dx/dt):見かけの(純)増殖速度 V(dx/dt)gr:真の(総)増殖速度 式(1)を書き換えると、 dx/dt=(μ−D)x (2) ここで、μ:細胞の比増殖速度(1/x)(dx/d
t)gr D:希釈率=F/V(hr-1) 定常状態においては、細胞濃度と基質濃度の時間的変化
はないから、dx/dt=0、ds/dt=0、従っ
て、式(2)からμ=Dとなる。 ここにS:基質濃度(mg/l)
【0027】そこでケモスタット方式のアゾトバクター
ビネランディ( Azotobacter vinelandii )の連続培養
装置を組み、供給基質を表1の4倍希釈アルコール蒸留
廃水(対照)と表2の有機酸発酵液〔(A)からNH4
−Nを大気中に放散した廃水〕の2種類を選定して、希
釈率(D,hr-1) と細胞濃度(X,mg/l)及び基質
濃度(S,mg/l)の関係を求めた。それぞれの実験結
果を図2及び図3に示す。実施例2の実験結果から理解
できるように、前者の比増殖速度はμ20≒0.15(h
-1) 、後者の比増殖速度はμ20≒0.3(hr-1) と
なり、窒素固定菌の増殖にとって、有機酸基質がはるか
に有利であることが確認された。
【0028】実施例3 実施例1の実験1及び実験2の各プロセスから発生する
汚泥、即ち余剰菌体について、その発生率及び菌体内に
生成される共重合ポリエステルの種類、PHB/PHV
の重量比等について、定量的に検討を加えた。先ず、そ
れぞれのプロセスについて、余剰菌体を10日間集め
(氷室に保存)、これらを遠心分離したのち、水とアセ
トンで洗浄し、クロロホルムを用いて菌体から共重合ポ
リエステルを抽出、常法により凝固してから乾燥し、除
去BOD当りの菌体発生量、菌体中の含有量を算出し
た。
【0029】次に、余剰菌体の乾燥試料に含まれるPH
B及び/又は〔PHB+PHV〕及びその構成比を知る
ために、試料を加水分解して液体クロマトグラフ質量分
析計、さらに核磁気共鳴分析計(NMR)により測定し
た。以上の結果を表3に要約した。
【表3】
【0030】
【発明の効果】本発明によると、次のような効果を奏す
ることができる。 (1)窒素欠乏性有機廃水の処理に、窒素固定菌を利用
することにより、菌体を返送することなく、一過性で放
流可能な水質にまで、極めて高速かつ経済的、省資源的
に浄化することができる。 (2)該廃水を予め有機酸発酵して高分子物質を各種の
低級カルボン酸の混合液に質的転換をすることにより、
窒素固定菌の増殖速度を加速することができる。 (3)窒素固定菌を使用するため、余剰菌体発生量が少
なく、例えば活性汚泥法の余剰汚泥発生率の1/3〜1
/4に過ぎない。 (4)酸発酵工程において発生するNH4 −Nを大気中
に放散することにより、他の細菌の混入を防衛すること
ができ、本発明プロセスを極めて安定した状態で運転す
ることができる。 (5)廃液を原料として酸発酵により、各種高分子有機
物を低級カルボン酸に変換し供給するため、窒素固定菌
の作用により加工性、強度、伸展性に優れた、PHBと
PHVの共重合ポリエステルを安価に生産することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理装置のフロー工程図である。
【図2】4倍希釈アルコール蒸留廃水の希釈率と細胞濃
度X及び基質濃度Sの関係を示すグラフである。
【図3】有機酸発酵液の希釈率と細胞濃度X及び基質濃
度Sの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:貯槽、2:酸発酵槽、3:固液分離装置、4:汚泥
返送管、5:NH4−N放散槽、6:空気、7:NH3
ガス、8:窒素固定菌培養槽、9:酸素源、10:菌体
分離装置、11:処理水返送管、12:増殖菌体、1
3:洗浄工程、14:有機溶媒抽出工程、15:凝固工
程、16:共重合ポリエステル、17:pH調整、1
8:汚泥排出管、19:処理水、20:窒素欠乏廃水

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素欠乏性有機廃水を生物処理する方法
    において、まず、該廃水を酸発酵工程に導き、廃水中の
    有機物を低級カルボン酸にまで分解し、NH4 −N放散
    工程に導きNH4 −Nを揮散除去したのち、窒素固定菌
    培養工程に導入して処理することを特徴とする窒素欠乏
    性有機廃水の処理方法。
  2. 【請求項2】 前記処理方法において、窒素固定菌培養
    工程における処理で窒素固定菌の菌体中に蓄積した共重
    合ポリエステルを分離し、精製することを特徴とする請
    求項1記載の窒素欠乏性有機廃水の処理方法。
  3. 【請求項3】 窒素欠乏性有機廃水を生物処理する装置
    において、酸発酵槽、NH4 −N放散槽及び窒素固定菌
    培養槽を有し、それらの装置を順次前記廃水が流れるよ
    うに連結することを特徴とする窒素欠乏性有機廃水の処
    理装置。
  4. 【請求項4】 前記処理装置において、窒素固定菌培養
    槽の後に、菌体分離装置を設けると共に、分離した窒素
    固定菌から共重合ポリエステルを分離精製する手段を設
    けることを特徴とする請求項3記載の窒素欠乏性有機廃
    水の処理装置。
  5. 【請求項5】 窒素欠乏性有機廃水を原料とする共重合
    ポリエステルの生産方法において、該廃水を酸発酵工程
    に導入して低級カルボン酸にまで分解し、NH4 −N放
    散工程に導きNH4 −Nを揮散除去したのち、窒素固定
    菌培養工程に供与することにより、窒素固定菌の菌体中
    に共重合ポリエステルを蓄積させた後、菌体中の共重合
    ポリエステルを分離精製することを特徴とする窒素欠乏
    性有機廃水からの共重合ポリエステルの生産方法。
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