JPH0595179U - 高速回転電機の冷却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案はターボ機械や工作機械主軸等を駆動す
る高速回転電機の冷却装置に関する。特に、回転子の均
一な冷却と回転子強度の維持を同時に解決することを目
的とする。 【構成】内周に固定子巻線３を収納する複数の開口スロ
ット４を設けたリング状の固定子鉄心５と、この固定子
鉄心５の内側に空隙を介して対向する回転子７とよりな
る高速回転電機の冷却装置において、前記開口スロット
内部に軸方向に設けた複数の冷媒通路８と、この冷媒通
路８の途中に設けた複数個のノズル１１と、この冷媒通
路８を軸方向・両端面で連絡する円環状の連絡パイプ９
と、この連絡パイプ９と径方向に連絡する供給パイプ１
０とで回転子７表面の全面にわたって、冷媒をミスト状
に吐出するようにしたものである。

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案はターボ機械や工作機械主軸等を駆動する高速回転電機の冷却装置に関 する。

【０００１】

【従来の技術】

従来、例えばターボ機械や工作機械主軸等を駆動する高速回転電機は、例えば 、回転子の冷却に関して、いろいろな方法が施されている。第３図は、その方法 の一つで、固定子鉄心５の中央に空気吹き出し口１２を設け、外部の空気源から 冷却空気を冷却空気供給口１３と連絡通路１４と径方向ダクト１５を介し空気吹 き出し口１３に冷却空気を送り込んで、回転子表面を直接冷却する方法がある。 また、他の方法として、固定子および回転子に径方向の複数個のダクトを設け、 冷却風を回転子表面に吹き付ける方法（例えば、特開昭５８ー１５４３４８）や 回転子中央に円板を設け、円板の径方向通風穴と回転子鉄心の軸方向通風穴とを 連通させて、回転子の冷却効果を高める方法（例えば、特開平２ー２９９４３６ ）がある。

【０００２】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、回転電機の回転軸の周速が２００ｍ／Ｓ以上となるような高速回転 の場合、固定子と回転子間の空隙部で、空気が撹拌されて、空気のせん断により 発熱を生じ、発熱の主体が固定子鉄心の内周面や軸受表面、回転子の表面に集中 して生じる風損が大きくなる。高速に回転すればするほど、風損の発生により回 転子の温度が異常に上昇し、回転子は熱変形を起こして、不釣り合いを生じ、安 定した高速運転ができないなどの問題を引き起こしていた。 前記のいくつかの方法は、回転子表面を直接冷却方法であるが、固定子の中央 から回転子の表面に空気を吹き付ける方法は回転子の一部分しか冷却できず、冷 却効率が悪く、空気との摩擦による風損を減らせないなどの問題があり、固定子 や回転子内部に複数個のダクトを設ける方法は、回転子の冷却性能を高めること には効果があるが、回転子の強度を低下させ、最高回転数が下がり、回転電機の 性能を低下させていた。そこで、本考案は上記の課題を解決するために回転子の 均一な冷却と回転子強度の維持を同時に解決することを目的とする。

【０００３】

【課題を解決するための手段】

本考案は、内周に固定子巻線３を収納する複数の開口スロット４を設けたリン グ状の固定子鉄心５と、この固定子鉄心５の内側に空隙を介して対向する回転子 ７とよりなる高速回転電機の冷却装置において、前記開口スロット内部に軸方向 に設けた複数の冷媒通路８と、この冷媒通路８の途中に設けた複数個のノズル１ １と、この冷媒通路８を軸方向・両端面で連絡する円環状の連絡パイプ９と、こ の連絡パイプ９と径方向に連絡する供給パイプ１０とで回転子７表面の全面にわ たって、冷媒をミスト状に吐出するようにしたものである。

【０００４】

【作用】

上記手段により、ミスト状に逐次吐出された冷媒は回転子表面の全面を覆って 冷却するため、冷却性能が上がり、高速回転時に発生する風損が低減し、回転軸 の熱的なアンバランスなどを除去することができる。

【０００５】

【実施例】

以下、本考案の具体的実施例を第１図と第２図に示して説明する。図１は回転 電機の軸方向断面図であり、図２は正断面図である。回転電機１の円筒状のフレ ーム２の内側に固定子巻線３を装入する複数の開口スロット４を設けた固定子鉄 芯５を固定してある。固定子鉄芯５の内周には、空隙６を介して対向させ、ソリ ッド・ロータ等円筒状の表面をもつ回転子７を設ける。回転子７はフレーム２の 内側に設けられた軸受け（図示せず）により支持されている。 固定子鉄芯５の開口スロット４の開口部のおのおのに、軸方向に伸びる管状の 冷媒通路８を挿入し、この冷媒通路８の軸方向・途中には、複数個のノズル１１ を設けてある。 冷媒通路８のおのおのの両端は、固定子巻線３のコイル・エンド３１の内径に 設けた、リング状の連絡パイプ９に連通されている。 連絡パイプ９は、コイル・エンド３１間もしくはコイル・エンド３１の軸方向 端部に径方向に設けた、冷媒の供給パイプ１０に連通されている。 供給パイプ１０は、フレーム２を貫通して、回転電機１の外部に設けた冷媒供 給装置（図示せず）に接続してある。 上記の構成において、回転子７が回転しているとき、供給パイプ１０と連絡パ イプ９を介して、冷媒通路８に冷媒を供給すると、冷媒通路８の軸方向に配設さ れた複数個のノズル１１を通って、冷媒液がミスト状に回転子７と固定子の間の 空隙部６に吐出されて、回転子７の表面の全面にわたって流れ、回転子を冷却し たのち、回転子７の両端から排出される。

【０００６】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案は複数個のノズルを持った冷媒通路を固定子鉄芯の 開口部に設けることにより、冷媒がミスト状に回転子と固定子の間の空隙部に吐 出されて、回転子の表面の全面にわたって流れ、回転子を冷却すことにより、回 転子を均一に冷却するので、高速回転時に発生する回転子の熱的なアンバランス を除去でき、回転子にダクト等強度低下のもととなるものを必要としないので、 安定した高速回転を実現する効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す側断面図。

【図２】本考案の実施例を示す正断面図。

【図３】従来例を示す側断面図。

【符号の説明】 １ 回転電機 ２ フレーム ３ 固定子巻線 ３１ コイル・エンド ４ 開口スロット ５ 固定子鉄芯 ６ 空隙 ７ 回転子 ８ 冷媒通路 ９ 連絡パイプ １０ 供給パイプ １１ ノズル １２ 空気吹き出し口 １３ 冷却空気供給口 １４ 連絡通路 １５ 径方向ダクト

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項 １】 内周に固定子巻線３を収納する複数の
   開口スロット４を設けたリング状の固定子鉄心５と、こ
   の固定子鉄心５の内側に空隙を介して対向する回転子７
   とよりなる高速回転電機の冷却装置において、前記開口
   スロット内部に軸方向に設けた複数の冷媒通路８と、こ
   の冷媒通路８の途中に設けた複数個のノズル１１と、こ
   の冷媒通路８を軸方向・両端面で連絡する円環状の連絡
   パイプ９と、この連絡パイプ９と径方向に連絡する供給
   パイプ１０よりなることを特徴とする高速回転電機の冷
   却装置。