JPH0593611U - Ｈ形鋼のフランジ冷却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ｈ形鋼のフランジ冷却装置において、冷却し
ようとするフランジサイズやフランジ面の温度分布に応
じた均一冷却が可能にする。 【構成】 フランジ外側面を垂直に立てたＨ形鋼に対向
させてこのＨ形鋼の長手方向に揃う冷却液の吹きつけノ
ズル列をそなえ、ガイドレールをＨ形鋼のフランジ外側
面に対して斜めに配設して上記吹きつけノズル列をこの
ガイドレールに沿って移動可能に組み合わせる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、Ｈ形鋼のフランジ部を熱間圧延時あるいは圧延後の搬送用ローラ ーテーブル上にて水冷するための装置に関し、特に冷却しようとするフランジサ イズやフランジ面の温度分布に応じた均一冷却が可能な冷却装置を提案しようと するものである。

【０００２】

【従来の技術】

Ｈ形鋼の冷却装置に関しては、特公昭60-37856号公報や特開昭64-75628号公報 に示されるように、Ｈ形鋼のフランジ外側面のフランジ幅方向に複数段の冷却液 吹きつけノズルを取り付けたものが提案されている。これらの装置において、冷 却しようとするＨ形鋼のフランジ幅を変更する場合は、フランジ幅を超える高さ に位置するノズルの冷却水吹きつけを停止することで、かかるフランジ幅の変化 に対応した冷却液吹きつけ範囲の制御が可能になる。

【０００３】 しかしながら上述した方法の場合は、冷却液吹きつけノズルを複数段に配置し ていることから、ノズル個数が増加したり、配管系統が複雑化したり、バルブ数 が増加するなど設備構成に関して設備費が増加するばかりでなく、設備のメンテ ナンス面からも苦労を強いられることになる。 また、上記の方法では冷却液の流量を設定する際に、フランジ幅の変化やフラ ンジ幅方向の温度分布に対応して給水バルブを開閉する制御の他、フランジ面に 沿って下方に流れる冷却液流量を考慮して設定しなければならないので冷却制御 が複雑化するという問題もあった。

【０００４】 なお上記の方法の他、実開昭57-1862 号公報、実開平１-87148号公報には、フ ランジ面に合わせてノズルの高さ及びフランジ面との距離をそれぞれ別途に調整 可能な装置が提案されている（例えば実開平１-87148号公報に示された装置を図 10に示す）が、これらの装置によってもノズル位置の調整用の駆動装置が複雑化 して、設備費用、メンテナンス費用ともに大きな負担となっていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

そこでこの考案は上記の問題点を有利に解決するもので、冷却しようとするフ ランジサイズやフランジ面の温度分布に応じた均一冷却が可能なＨ形鋼のフラン ジ部の冷却装置を提案することをその目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

考案者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、前記従来方法での 問題点を解決するためには、フランジを鉛直方向に位置させたＨ形鋼のフランジ 外側面に、冷却液吹きつけノズル列を一段設け、フランジ幅もしくはフランジ幅 方向温度分布の少なくとも一方の変化に合わせてウェブへの飛散が少ない状態を 維持したままで冷却液吹きつけノズルの位置を変化させ、冷却液吹きつけ範囲を 制御することが重要であることを見出し、そこからさらに、被冷却材であるＨ形 鋼に対して所定の角度を持たせて延伸するノズルレールを配設し、このノズルレ ールに沿ってノズルを移動可能に組み合わせることにより、単純な動きで上述し たようなノズルの昇降を行い、所定の冷却幅及び冷却水量密度を確保することが 可能であることを見出した。

【０００７】 この考案は、上記の知見に立脚するものである。 すなわちこの考案は、フランジ外側面を垂直に立てたＨ形鋼に対向させてこの Ｈ形鋼の長手方向に揃う冷却液の吹きつけノズル列をそなえるフランジ冷却装置 において、ガイドレールをＨ形鋼のフランジ外側面に対して斜めに配設し、上記 吹きつけノズル列をこのガイドレールに沿って移動可能に組み合わせてなること を特徴とするＨ形鋼のフランジ冷却装置である。

【０００８】 図１、図２に、この考案に係るフランジ冷却装置の一例を示す。 かかる冷却装置は、フランジ部を立てて用意したＨ形鋼の両フランジの各々に 対向させるものであって、図１、図２においては、その一方のみを示している。

【０００９】 Ｈ形鋼１は、その搬送方向に平行でフランジ２の外側面に対向配置するサイド ガイド３によって案内されつつ、この搬送方向に沿って間隙を隔てて複数個を配 置する搬送ローラ４上を搬送される。このようなＨ形鋼のフランジ２の外側面に 対向させて一段の冷却液吹きつけノズル５を配置する。 この冷却液吹きつけノ ズル５をフレキシブルホース６を介しスプレーヘッダー７に連結することで給水 を図る。 この冷却液吹きつけノズル５からの噴射水８がフランジ２に向かうように、上 記サイドガイド３には、図２に示すようにノズルピッチに合わせてスリット状の 開口を形成しておく。 また冷却液吹きつけノズル５は、冷却液がフランジ面に衝突した際に飛散水が ウェブに流入するのを抑制するために、好ましくは冷却液噴射方向が図１に示す ような片扇形若しくは斜方化されたノズルを採用する。

【００１０】 この考案においては冷却液吹きつけノズル５の位置を変化させるために、サイ ドガイド３の背後には、Ｈ形鋼のフランジ外側面に対して斜めにガイドレール９ を設け、冷却液吹きつけノズル５に組み合わせる。このガイドレール９は、ノズ ル噴射形状がノズルの上下位置に関わらず一定であるように斜めの角度を設定す る必要がある。図１の場合、ノズルからの冷却液噴射形状が片扇形であるため、 ノズル昇降のためのガイドレールは、ノズル５からフランジ２に向かう噴流の下 端線すなわち斜線Ａ−Ａに平行になるような角度に設置した。

【００１１】 ガイドレール９に沿って案内されるノズル５の移動は、このノズルを載置する ノズルガイド10を、上記レール９と平行に設置したスクリューシャフト11とねじ 結合して、このスクリューシャフト11を図示していないインバータ制御モーター を用いて回転させることでレールと平行に移動させるものである。

【００１２】

【作用】

上述した要領で、ノズルの位置をフランジ幅もしくはフランジ幅方向温度分布 に合わせてガイドレールに沿って移動させる。かくしてウェブへの冷却液の飛散 が少ない状態でノズルの位置を変化させることで、冷却液吹きつけ範囲が調節可 能となり、フランジ幅方向に一段のノズル列でフランジ幅の変化・フランジ幅方 向温度分布に対応した冷却が可能となった。

【００１３】 またガイドレールの設置角度と噴射パターン、噴射水の圧力を種々に組み合わ せることにより、フランジ温度分布に対応した種々のパターンの冷却を行うこと ができるのである。

【００１４】

【実施例】

この考案の冷却装置を用いて、Ｈ形鋼のフランジ部及びフランジ部に見立てた 板厚12mmの鋼板を高温加熱後に冷却した場合についての実施例を図３〜図９に示 す。

【００１５】 図３及び図４は、フランジ部に見立てた鋼板を、この考案の水冷装置を用いて 、高さの変化に対応させてノズル位置を変化させて冷却した場合の水冷面及び非 水冷面での高さ方向における温度分布を、水冷前（約900 ℃）及び15秒間水冷後 （約530 ℃）で示したものである。ここにノズルは、フランジに向かう噴流の下 端線が水平線となす角θが45°である片扇形噴射形状のものを用い、ガイドレー ルの傾きは、このθに平行にした。なお図３と図４とでは、冷却を行った鋼板の 高さが異なり、図３では高さ200mm の鋼板を、図４では150mm のについて冷却を 行ったものであるが、図３、図４から明らかなように、高さを異ならせても、均 一に冷却されていることがわかる。

【００１６】 図５、図６は、Ｈ形鋼のフランジ部を、この考案の水冷装置を用いて、フラン ジ幅の変化に対応させてノズル位置を変化させて冷却した場合の、水冷面及び非 水冷面でのフランジ幅方向における温度分布を、水冷前（約900 ℃）及び15秒間 水冷後（約530 ℃）で示したものである。ここにノズルは、図３、図４に示して あるのと同一のノズルを用い、ガイドレールの傾きも同一である。なお図５と図 ６とでは冷却を行ったＨ形鋼のフランジ幅が異なり、図５ではフランジ幅200mm 、図６ではフランジ幅150mm のＨ形鋼について冷却を行った場合であるが、図５ 、図６から明らかなように、フランジ幅の異なる水冷面については、温度が均一 に低下していることがわかる。

【００１７】 しかし、非水冷面では温度は均一に低下していない。この理由は、Ｈ形鋼のフ ランジ幅方向の温度分布の一例を図７に示すように、フランジ幅方向中央部で温 度が高く、またフランジ幅方向上部に比べて下部では 温度が高いためである。

【００１８】 そこで、フランジ外側面に対向させて一列に配置したノズルを、図８に示すよ うに上下の位置を変化させることで冷却を行った。その結果、図９に示すように 非水冷面でも均一に冷却された。

【００１９】

【考案の効果】

この考案は、ガイドレールをＨ形鋼のフランジ外側面に対して斜めに配設し、 上記吹きつけノズル列をこのガイドレールに沿って移動可能に組み合わせてなる ことから、フランジ幅が異なったり、幅方向で不均一な温度分布をもつＨ形鋼に 対して、冷却液吹きつけ範囲を調整することが可能になり、ひいてはこれらのＨ 形鋼を均一に冷却することが可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、この考案のフランジ冷却装置の一例を
示す説明図である。

【図２】図２は、この考案のフランジ冷却装置の一例の
要部を示す説明図である。

【図３】図３は、この考案の水冷装置を用いた場合の水
冷面及び非水冷面での高さ方向における温度分布を示し
たグラフである。

【図４】図４は、この考案の水冷装置を用いた場合の水
冷面及び非水冷面での高さ方向における温度分布を示し
たグラフである。

【図５】図５は、この考案の水冷装置を用いた場合の水
冷面及び非水冷面でのフランジ幅方向における温度分布
を示したグラフである。

【図６】図６は、この考案の水冷装置を用いた場合の水
冷面及び非水冷面でのフランジ幅方向における温度分布
を示したグラフである。

【図７】図７は、Ｈ形鋼のフランジ幅方向の温度分布の
一例を示すグラフである。

【図８】図８は、この考案の他の実施例を示す説明図で
ある。

【図９】図９は、Ｈ形鋼のフランジ幅方向の温度分布の
一例を示すグラフである。

【図１０】図１０は、従来のＨ形鋼のフランジ冷却装置
の一例を示す説明図である。

【符号の説明】

１ Ｈ形鋼 ２ フランジ ３ サイドガイド ４ 搬送ローラ ５ 冷却液吹きつけノズル ６ フレキシブルホース ７ スプレーヘッダー ８ 噴射水 ９ ガイドレール 10 ノズルガイド 11 スクリューシャフト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 畠中 淳 岡山県倉敷市水島川崎通１丁目（番地な し） 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)考案者 藤木 洋二 岡山県倉敷市水島川崎通１丁目（番地な し） 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フランジ外側面を垂直に立てたＨ形鋼に
   対向させてこのＨ形鋼の長手方向に揃う冷却液の吹きつ
   けノズル列をそなえるフランジ冷却装置において、 ガイドレールをＨ形鋼のフランジ外側面に対して斜めに
   配設し、上記吹きつけノズル列をこのガイドレールに沿
   って移動可能に組み合わせてなることを特徴とするＨ形
   鋼のフランジ冷却装置。