JPH0591894A - ヒトの細胞質ゾルホスホリパーゼa2と反応する抗体 - Google Patents

ヒトの細胞質ゾルホスホリパーゼa2と反応する抗体

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JPH0591894A
JPH0591894A JP4043019A JP4301992A JPH0591894A JP H0591894 A JPH0591894 A JP H0591894A JP 4043019 A JP4043019 A JP 4043019A JP 4301992 A JP4301992 A JP 4301992A JP H0591894 A JPH0591894 A JP H0591894A
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Ruth Maria Kramer
ルース・マリア・クレーマー
Joseph Vincent Manetta
ジヨゼフ・ビンセント・マネツタ
John Richard Sportsman
ジヨン・リチヤード・スポーツマン
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Eli Lilly and Co
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    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/40Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against enzymes

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分子量約100kDaのヒト細胞質ゾルホス
ホリパーゼA2に特異的に結合する新規単クローン抗体
およびポリクローン抗体とその使用法を提供する。 【構成】 ヒト細胞質ゾルホスホリパーゼA2(cPL
2)に特異的に結合する単クローン抗体およびポリク
ローン抗体を調製して、該酵素に対するその特異的活性
を立証すると共に、これらを使用して新規な免疫アフィ
ニティーカラムを作成し、これがcPLA2の存在の検
出同定、および精製に使用できることを明らかにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は免疫学の一般的分野に属し、ヒト
の100kDaの細胞質ゾルホスホリパーゼA2(cP
LA2)酵素に対して反応性を有する単クローン抗体お
よびポリクローン抗体を包含する。また本発明は、本発
明の抗体を利用するcPLA2の精製および同定法をも
包含する。
【0002】ヒトcPLA2とその精製法は、米国特許
出願番号第07/573513号に記述されている。本
発明以前には、cPLA2に特異的な抗体は知られてい
なかった。さらに、cPLA2をほぼ均一に精製する簡
便な方法もなかった。また本発明以前には、複雑な生物
学的混合物中のcPLA2の存在を迅速かつ特異的に同
定する方法もなかった。本発明はcPLA2に特異的な
新規抗体を提供すると共に、cPLA2の迅速な精製お
よび同定法を提供する。
【0003】ホスホリパーゼA2(PLA2)は、ホスホ
グリセリド類のsn−2−アシルエステル結合の加水分
解を触媒し、等モル量のリソリン脂質および遊離脂肪酸
を生成させるホスファチド2−アシルヒドロラーゼの総
称である(Dennis,E.A.,TheEnzymes,第16巻,Academic
Press,New York(1983))。ホスホリパーゼA2酵素類は
あらゆる生物種に存在し、多様な酵素群を形成してい
る。現在までに研究された該酵素のほとんどは約14k
Daの分子量を有し、そのアミノ酸配列の相同性は著し
い。
【0004】最も豊富に存在し、一般に研究されている
PLA2酵素は分泌型酵素である。これらの酵素は細胞
内で生産され、分泌小胞中に封入されて、細胞の刺激に
応じて細胞外環境に放出され、そこで生物学的物質の消
化を助ける。これらの酵素とは対照的に、cPLA2
極めて少量しか存在せず、細胞内に止まって分泌型とは
全く異なる機能を果す。細胞内PLA2Sの詳細な研究は
これらの酵素の細胞内濃度が極めて低いことによって妨
げられてきた(VadasおよびPruzanski,Lab.Investigati
on,55,4:391(1986))。
【0005】受容体が仲介するcPLA2活性を特異的
な阻害剤によって調節可能にすることは望ましい目標で
あり、またこれは喘息、虚血症、関節炎、敗血性ショッ
ク、および皮膚の炎症性疾患の新規な治療法を導くこと
であろう。特定の疾患状態を伴うcPLA2活性の不活
化もしくは特異的阻害は、医学界にとって極めて有用に
なるであろう。この目標に到達するためには、ある疾患
の発生に関与するcPLA2をまず同定し、単離しなけ
ればならない。本明細書は、cPLA2に対する単クロ
ーン抗体およびポリクローン抗体の調製法および単離法
について記述する。本明細書において、抗体なる用語
は、その特異的結合能を保持する抗体断片をも包含す
る。また本明細書は、複雑な生物学的混合物からcPL
2を精製するための抗体使用法、および種々の調製物
における該酵素の存在の同定法をも明らかにするであろ
う。
【0006】本発明はcPLA2と反応し得る抗体、並
びに、cPLA2を単離するためのそのような抗体の使
用法を包含する。該使用法は次の各工程: a)該抗体をある表面に固定化する; b)該固定化抗体をcPLA2含有混合物と接触させ
る; c)cPLA2に結合した該固定化抗体を該混合物から
分離する; d)抗体に結合したcPLA2を該固定化抗体から溶離
させることによって、cPLA2を回収する; からなる。また本発明は、次の各工程: a)該抗体をある検定表面上に固定化する; b)該検定表面を、cPLA2を含有すると考えられる
液体と接触させ、適切な溶液でその検定表面を洗浄す
る; c)該検定表面を、検出基で標識した抗cPLA2抗体
と接触させ、その検定表面を適切な溶液で洗浄する; d)該検出基の存在を検出する; からなる、cPLA2の存在を同定するための、該抗体
の使用法をも包含する。
【0007】標的タンパク質に対する抗体の調製につい
ては、当該技術分野においてよく知られている。Galfre
およびMilstein,Methods in Enzymology,第73巻,Acad
emicPress,New York(1981);James W.Goding,Monoclona
l Antibodies:Principles and Practice,Academic Pres
s,Orlando,Florida(1986);Current Protocols in Mole
cular Biology,F.M.Ausubel等共編,Wiley Interscienc
e,New York,(1987)を参照のこと。
【0008】標的タンパク質との反応性を有する抗体を
調製するためには、まずそのタンパク質を精製しなけれ
ばならない。比較的不純なタンパク質抗原調製物を免疫
化に用いることもできるが、求めている単クローン抗体
(mab)をハイブリドーマが生産しているか否かを正
確に決定するためや、あるいは免疫血清の抗体力価を検
定するためには、高度に精製されたタンパク質が必要で
ある。したがって以下に、ヒトcPLA2を10000
倍以上、ほぼ均一に精製する方法、cPLA2に対する
mabおよび抗血清(ポリクローン抗体)の調製法、並
びに、ヒトcPLA2を一操作で精製するための該抗体
の使用法について記述する。
【0009】cPLA2の精製 cPLA2の精製法は米国特許出願番号第07/573
513号に記述されている。以下にその方法を要約し、
cPLA2がヒト白血病モノブラストイド(単芽球様)
U937細胞株からどのように単離されるかについて簡
潔に記述する。
【0010】U937細胞株はアメリカンタイプカルチ
ャーコレクション(ATCC)の永久保存株の1つであ
り、受託番号CRL1593の下で入手できる。U93
7細胞を生育させて回収し、これを、プロテアーゼ阻害
剤存在下、窒素キャビテーションによって溶解する。こ
の溶解液から超遠心分離によって可溶性分画を調製す
る。得られた細胞質ゾルタンパク質溶液にはcPLA2
が含まれており、これを一連の精製操作に付す。
【0011】この細胞溶解液の可溶性分画を一連のカラ
ムクロマトグラフィー操作にかける。アニオン交換クロ
マトグラフィーの後、疎水相互作用クロマトグラフィー
および分子量分画を行い、最後にもう一度、cPLA2
が樹脂に弱く結合するような条件の疎水相互作用技術を
用いる。各カラム精製を個別に行い、その溶出液の28
0nmの吸光度を監視しながら分画する。タンパク質ピ
ーク分画についてそのホスホリパーゼ活性を検定し、望
ましい活性を有する分画を、cPLA2の均一溶液が得
られるまで次のカラムにかける。
【0012】均一に精製した活性なcPLA2は、この
cPLA2を含有する最終カラムの緩衝液1体積に対し
て、2体積の75%グリセロール水溶液と、さらに2m
M 2−メルカプロエタノール(2−ME)を混合して
調製した溶液中で、−20℃で保存できる。この条件下
で、cPLA2は数カ月間酵素活性を維持する。
【0013】cPLA2を単離できたら、当該技術分野
においてよく知られている従来の方法でcPLA2に特
異的な抗体を産生させることができる。選択した宿主中
に数週間または数カ月にわたって注射を繰り返すと免疫
応答が引き出され、有意な抗cPLA2血清力価がもた
らされる。好ましい宿主は哺乳類種であり、より高度に
好ましい種はウサギ、ヤギ、ヒツジ、およびマウスであ
る。このように免疫化された動物から得た血液を、確立
された方法で加工することにより、cPLAに反応す
る抗血清(ポリクローン抗体)を得ることができる。次
に、この抗血清を当該技術分野において既知の技術に従
ってcPLAに吸着させることによりアフニティー精
製することができる。アフニティー精製した抗血清内の
免疫グロブリン分画を当該技術分野で既知の方法で単離
することにより、さらに精製することができる。得られ
た物質は、cPLA2に対して反応性を有する免疫グロ
ブリンの混成集団であろう。
【0014】また抗cPLA2抗体を、免疫原担体に共
役させたcPLA2合成ペプチド断片からなる半合成的
免疫原を調製することによって、生成させることもでき
る。ペプチド断片を調製するための工程および装置は当
該技術分野において数多く知られている。ウシ血清アル
ブミンやキーホールリムペットヘモシアニンなど、適切
な免疫原担体が当該技術分野において数多く知られてお
り、また2つのタンパク質を結合させる技術も同様によ
く知られている。半合成免疫原が構築したら、そのcP
LA2断片に特異的な抗体を製造する方法は、天然のc
PLA2に反応する抗体を製造するために用いた方法と
同一である。
【0015】抗cPLA2mabは、精製cPLA2を用
いて容易に調製される。mabを生産する方法は過去1
5年以上にわたって実施されてきており、当業者一般に
よく知られている。アジュバント中のcPLA2を繰り
返し腹腔内注射または皮下注射すれば、ほとんどの動物
中で免疫応答が起こるであろう。超免疫化したB−リン
パ球をその動物から取り出し、これを、無限に培養でき
る適切な融合相手となる細胞株と融合させる。B−リン
パ球を超免疫化し、それをmabの生産に使用するのに
好ましい動物は哺乳類である。より好ましい動物はラッ
トおよびマウスであり、最も好ましくはbalb/cマ
ウス株である。
【0016】数多くの哺乳類細胞株がハイブリドーマを
作成するための融合相手として適している。このような
株の多くはATCCおよび商業的な供給者から市販され
ている。融合相手となる好ましい細胞株はマウスの骨髄
腫であり、HL−1TMフレンドリー骨髄腫653細胞株
(HL-1 Friendly myeloma-653 cell line,Ventrex,Port
land,ME)が最も好ましい。
【0017】融合したら、得られたハイブリドーマを選
択生育培地中で1〜2週間培養する。未融合の骨髄腫細
胞、あるいは骨髄腫細胞同士の融合を、混合ハイブリド
ーマ培養物から除去するためには、2種類のよく知られ
た選択系が利用できる。選択系の選択は免疫化したマウ
スの株および融合相手として用いた骨髄腫の株に依存す
る。TaggartおよびSamloff,Science,219,1228(1982)に
記述されているAAT選択系を使用することもできる
が、Littlefield,Science,145,709(1964)に記述されて
いるHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジ
ン)選択系は、上述した好ましいマウス株および融合相
手との適合性を有するので、このHAT選択系が好まし
い。
【0018】次に、使用し終わった生育培地を、免疫特
異的mabの分泌に関してスクリーニングする。酵素結
合免疫吸収剤検定法(ELISA)がこの目的に最も適
しているが、大量のスクリーニングに適合させた放射免
疫検定法も使用し得る。無関係な培養またはあまり望ま
しくない培養を漸減させることを意図した複数のスクリ
ーニングを実施すべきである。cPLA2に対する反応
性を有するmabを分泌する培養を、既知のPLA2S
の交差反応性に関してスクリーニングするべきである。
cPLA2に対して優先的に結合するmabを、市販の
検定法を用いてアイソタイプに分類する。好ましいma
bはIgG群であり、より高度に好ましいmabはIg
1およびIgG2サブアイソタイプである。
【0019】求めるmabを分泌するハイブリドーマ培
養を数回サブクローニングすることによって、単クロー
ン性および安定性を確立するべきである。真核非付着性
細胞培養をサブクローニングするためのよく知られた方
法には、限界希釈、軟アガロースおよび蛍光活性化細胞
選別技術が含まれる。各サブクローニングの後、安定な
抗体分泌培養が確立されたことを確かめるために、得ら
れた培養の抗体分泌を再検定し、アイソタイプに分類し
なければならない。
【0020】本発明の抗cPLA2抗体は、本発明のc
PLA2単離法の実施には不可欠な免疫親和性表面を調
製するために必須の試薬である。この免疫親和性表面
は、抗cPLA2抗体をある物質に、少なくともその抗
体結合部位の幾つかが露出しており、その抗原を結合で
きるように固定化することによって形成される。抗体を
固定化するために用いる物質は、多孔性多糖ベースのビ
ーズからプラスチック重合体、無機物質までに及ぶ。好
ましい物質は、最大の表面積/体積比を有し、抗体もし
くはcPLA2に対して不利な影響を与えない物質であ
る。種々のサイズのビーズ中に形成された多糖マトリッ
クスは多孔性であり、高い表面積/体積比を有し、扱い
易く、生化学的精製技術分野においてよく知られており
またよく理解されているので、より高度に好ましい。Af
finity Chromatography Principles &Methods,Pharmaci
a Fine Chemicals,(1983)を参照のこと。
【0021】多くの種類の抗体固定化工程が、過去数十
年間にわたって開発されてきた。固定化は、抗体を望ま
しい物質に直接共有結合させるか、あるいは抗体を物質
に架橋することによって達成できる。
【0022】抗体の、セファロースTM(Pharmacia,Pist
cataway,NJ)のような多糖ベースのビーズへのCNBr
またはカルボジイミド結合は、本発明に合致する直接結
合法の例である。一般的には直接結合法が特定の様式で
抗体を配向させることはないが、直接結合法の幾つか
は、固定化物質上で抗体に再現性のある配向を取らせる
ことができる。
【0023】好ましい結合法は、抗原結合領域が露出す
るように抗体を配向させる。このような方法の1つは、
抗体の重鎖上の天然炭水化物を利用する。まずこの炭水
化物部分を対応するアルデヒドに酸化した後、このアル
デヒドを表面上の1級アミノ基と反応させることによ
り、抗体を有利な配向で結合させることができる。
【0024】多くの種類の架橋が考えられ、これらには
抗体を固定化物質に共有結合させる有機リンカーが含ま
れる。このようなスペーサーアーム(spacer arms)は
使用可能であり、架橋が形成された後でタンパク質と相
互作用しないことが好ましい。
【0025】もう1つの種類の架橋は、固定化物質に結
合したより大きな多価分子で、数個の抗体を結合できる
ものに基づく。固定化表面に結合し、非共有結合的に抗
体を結合できる特異的免疫吸着剤もまた別種類の架橋で
ある。プロテインAは、抗体を配向させる能力を有する
特異的免疫吸着剤の一例である。プロテインAを化学的
に固定化表面に結合させ、抗体をそれに結合させること
によって、そのFab抗体部分は免疫親和性表面から離
れて配向し、好ましい立体配置をもたらすであろう。
【0026】上記の議論は本発明の範囲の限定を意味す
るものではない。抗体を固定化表面に連結する方法は他
にも数多くよく知られており、これらもまた本発明に合
致する。
【0027】免疫親和性表面を調製したら、cPLA2
含有液体をこの表面に接触させなければならない。バッ
チ法も適当であるが、カラムクロマトグラフィーが好ま
しい。バッチ式分離は、濾過、遠心分離またはデカンテ
ーションによって達成できる。カラムクロマトグラフィ
ーを用いる場合は、簡単な洗浄工程で、固定化抗体から
混合物を分離できる。免疫親和性表面からのcPLA2
の除去は、表面に結合したcPLA2複合体を、抗体と
cPLA2との相互作用を破壊し得る溶液にさらすこと
によって達成できる。この溶液が、免疫親和性表面また
はcPLA2に不利な影響を与えないことが好ましい。
より好ましい溶液は、ミリモル/l濃度の2−MEを含
有するほぼ中性pHの緩衝化された生理的塩類溶液であ
る。最も高度に好ましい溶液は、cPLA2の酵素活性
に不利な影響を与えないものである。
【0028】検出基で標識された抗体を種々の環境中の
抗原の存在の同定に使用できることはよく知られてい
る。放射性同位体で標識された抗体は、様々な生物学的
液体中の抗原の存在を極めて正確に高感度で同定するた
めの放射免疫検定において、数十年来使用されてきた。
より最近では、酵素で標識した抗体が放射標識抗体の代
替物として一般的なELISA法で用いられてきた。
【0029】本発明の抗体をポリスチレン壁やポリスチ
レン粒子などの固定化物質に結合させて、被験試料中に
cPLA2が存在するか否かを決定するための免疫検定
に利用することができる。本発明のこの態様では、試料
をこの免疫親和性表面と接触させ、これをインキュベー
トする。洗浄工程の後、その表面を、検出基で標識した
本発明のもう1つの抗体と接触させることにより、免疫
親和性表面に結合しているcPLA2を検出することが
できる。
【0030】もう1つの方式の検定態様では、cPLA
2を含有すると思われる被験試料をある表面上に乾燥さ
せて固定化被験試料を形成させる。次いで、本発明の標
識抗体をこの固定化被験試料と接触させ、これをインキ
ュベートする。この試料がcPLA2を含有していれ
ば、標識抗体が固定化cPLA2に結合するであろう。
またまず本発明の非標識抗体を使用した後、既にcPL
2に結合している本発明の抗体に結合する標識した第
2抗体を使用することによって、この方法を行うことも
できる。洗浄後、検出基の存在を検出するために、固定
化被験試料を測定する
【0031】検出基の典型例は、アルカリホスファター
ゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、またはβ−ガラクト
シダーゼなどの酵素である。適切な基質がこの酵素と反
応すると、変色が起こる。このような系においては、分
光光度計を用いてその色強度を定量することができる。
検出基が放射性同位体である場合は、適当なガンマ線あ
るいはベータ線検出装置を使用してその検出基を定量す
ることができる。検出基の強度は、被験試料中のcPL
2量と直接的に相関する。
【0032】以下の実施例は、本発明の実施法の記述を
補助し、本発明の抗cPLA2抗体の特徴を例示するで
あろう。
【0033】実施例1U937細胞培養 ヒト白血病モノブラストイド株化細胞U937をアメリ
カンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から入
手した。本株化細胞はATCCの永久保存株であり、受
託番号CRL1593の下で入手できる。U937細胞
培養を、5%胎生ウシ血清(HyClone Laboratories,Log
an,Utah)、4mM L−グルタミン(Tanabe USA,San
Diego,CA)、0.02% プルロニックF−68(BASF
Corporation,Parsippany,NJ)、1mM CaCl2
50μg/ml トブラマイシン(Eli Lilly and Co.,
Indianapolis,IN)、20mM Hepes(USB,Cleve
land,OH)、2.2g/l NaHCO3、100μM
エタノールアミン(SigmaChemical,St.Louis,MO)を補
足したD−MEM/F−12培地(Gibco Laboratories
Life Technologies,Inc.,Grand Island,NY)中で維持
した。
【0034】細胞懸濁液1mlの入ったATCCからの
アンプルをドライアイス容器から取り出し、37℃水浴
に設置して氷が融解するまで激しく撹拌した。この時点
以降すべての操作を滅菌技術を用いて行った。アンプル
を開封し、その内容物を取り出して15mlコニカル
(円錐型)滅菌遠心管中に入れた。培地(37℃)9m
lを加えた後、その遠心管を卓上型遠心機(Damon/IEC
Division,Needham Heights,MA)中、1000rpmで
10分間遠心分離した。培地をデカントして細胞ペレッ
トを培地(37℃)50ml中に再懸濁し、T−75組
織培養フラスコ(Corning Glass,Corning,NY)に移し
て、これを5% CO2、95% 空気で平衡化した3
7℃のインキュベーター(培養器)中に設置した。
【0035】コールターカウンター(Coulter Counter,
Coulter Electronics,Hialeah,FL)で計測した細胞計数
値が1〜1.5x106細胞/mlになったときに培養
物を500ml滅菌マイクロキャリアースピナーフラス
コ(microcarrier spinner flask)中の新鮮な培地45
0mlに移し(計500ml培地)、37℃の5%CO
2インキュベーター中、マイクロキャリアー磁石撹拌子
(Bellco)を用いて50rpmで撹拌した。細胞密度が
1〜1.5x106に達したときに、この500ml細
胞懸濁液を6lマイクロキャリアースピナー(Bellco)
中の培地(37℃)5.5l中に入れた。このスピナー
フラスコの上部空間に5% CO2、25% O2、70
% N2が連続的に通気するように、0.2ミクロン孔
フィルター(Gelman sciences,Ann Arbor,MI)を装着し
た。37℃、50rpmで撹拌した。細胞密度が1〜
1.5x106細胞/mlに達したときに、この5l細
胞懸濁液を、滅菌36lバイオテックオーバーヘッドド
ライブシステム(BiotechOverhead Drive System,Bellc
o)中の培地(37℃)約36l中に入れた。70%
2、25% O2、5% CO2を滅菌通気フィルター
を通してこの培養物に散布した。側面排出口の1つにパ
スツールピペットを装着し、ガス流量を5〜10泡/秒
に設定した。この培養物を6〜7rpmで撹拌し、37
℃でインキュベートした。毎日細胞数を計測し、細胞密
度が約1x106細胞/mlに達したとき、この培養物
に100% O2を極めてゆっくりした速度で散布し
た。
【0036】培養が2〜3x106細胞/mlに達した
とき、この生育容器中の内容物を滅菌50lカルボイ
(Nalgene,Rochester,NY)に移した。このカルボイに蓋
をして4℃で約48時間保存することによって、細胞を
容器の底に沈降させた。以降の工程はすべて4℃で行
い、滅菌操作を必要としなかった。培地のほとんどをカ
ルボイの上部から吸引して捨て、5〜6lの細胞懸濁液
が残った。このカルボイを振盪して細胞をその培地中に
再懸濁させ、その細胞懸濁液を1l遠心管(Nalgene)
6本に分注した。この遠心管をIEC遠心機(Damon/IE
C)中、2500rpmで30分間遠心分離した。上清
を捨て、細胞を140mM NaCl、5mMKCl、
2mM エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、2
5mM Tris−HCl(pH7.4)の溶液2l中
で洗浄した。洗浄した細胞ペレットを合わせて、150
mM NaCl、2mM EDTA、5mM Tris
−HCl、100μM ロイペプチンの溶液(pH8)
中に108細胞/ml(約10mg/mlタンパク質)
の密度で再懸濁し、約500mlの細胞懸濁液、または
約5gの細胞タンパク質を得た。
【0037】実施例2cPLAの精製 細胞にフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)お
よびペプスタチンAをそれぞれ1mMおよび100μM
濃度(メタノール中にそれぞれ200mMおよび20m
Mの混合ストック溶液として調製したものを使用した)
になるように加えた後、これを前以て冷却したパール細
胞破壊ボンベ(Paar cell disruption bomb,Parr Inst
r.Co.,Moline,IL)に移し、これを600psi窒素
下、4℃で磁石撹拌子を用いて20分間混合し、加圧を
解除することによって細胞を溶解した。この細胞溶解液
を遠心分離(150000xg、60分、4℃)し、得
られた上清を集めた。カラムクロマトグラフィーに先立
って、この細胞抽出物をまず綿布に通し、次いでミリパ
ック−40フィルター(Millipak-40 filter,0.22μm,M
illipore,Bedford,MA)を通して、可変速ペリスタポン
プを用いて濾過した。
【0038】この細胞質ゾル分画(2〜3gタンパク
質)を、150mM NaCl、2mM 2−ME、1
mM エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエ
ーテル)N,N,N’,N’−テトラ酢酸(EGT
A)、25mM Tris−HCl(pH8)で前平衡
した3.2x14cmファストフローセファロースQ
(ファルマシア)(Fast Flow Sepharose Q (Pharmaci
a))カラムに、6ml/分の流速で充填した。このカラ
ムを同緩衝液500mlで洗浄し、2mM 2−ME、
1mM EGTA、25mMTris−HCl(pH
8)中の150mM NaClから500mM NaC
lへの1500mlの直線的塩濃度勾配によって溶出さ
せ、各12mlの分画を分取した。このカラム溶出液の
280nmの吸光度(AUF2.0)を監視し、各分画
の2μlを用いてそのPLA2活性を検定した。PLA2
は約380mM NaClで、第47〜56分画(12
0ml)に溶出した。これらの分画をまとめ、YM30
膜を装着したアミコン(Amicon)限外濾過撹拌容器(st
irred cell)を用いて、25mlに濃縮した。
【0039】上記のアニオン交換カラムを経て濃縮した
ピーク分画(150mgタンパク質)を、500mM
NaCl、2mM 2−ME、1mM EGTA、25
mMTris−HCl(pH8)で前平衡したフェニル
−スーパーロースHR10/10カラム(Phenyl-Super
ose HR 10/10column,Pharmacia)に流速1ml/分で充
填し、各4mlの分画を分取した。同緩衝液120ml
でこのカラムを洗浄した後、カラム緩衝液1体積と溶出
緩衝液(50%エチレングリコール、2mM 2−M
E、1mM EGTA、25mM Tris−HCl、
pH8)1体積を用いて、流速0.75ml/分で12
0mlの直線的勾配をかけた。このカラム溶出液の28
0nmの吸光度を監視し、各分画の2μlを用いてその
PLA2活性を検定した。PLA2は15〜45%エチレ
ングリコールで、第32〜52分画(40ml)に、幅
広いピークとして溶出した。これらの分画をまとめ、ま
ずYM30膜を装着したアミコン撹拌容器で濃縮した
後、セントリコン−30微量濃縮器(Centricon-30 mic
roconcentrators,Amicon)を用いて<1mlに濃縮し、
これを15体積の30%エチレングリコール、2mM
2−ME、150mM NaCl、1mM EGTA、
25mM Tris−HCl(pH8)に再懸濁して、
再度2mlに濃縮した。
【0040】上記の疎水相互作用カラムを経て濃縮した
ピーク分画を集めて(約5mgタンパク質)、30%エ
チレングリコール、2mM 2−ME、150mM N
aCl、1mM EGTA、25mM Tris−HC
l、pH8で前平衡した直列スーパーロース12カラム
(各1.6x50cm)に、流速0.15ml/分で充
填し、各1.5mlの分画を分取した。このカラム溶出
液の280nmの吸光度を監視し、各分画の2μlを用
いてcPLA2活性を検定した。この酵素活性は第38
〜47分画(15ml)に溶出した。これらの分画を合
わせて、セントリコン−30微量濃縮器(Amicon)を8
つ並列させて、<650μlに濃縮した。この濃縮試料
(1濃縮器あたり約80μl)をそれぞれ2.5mlの
150mM NaCl、2mM 2−ME、1mM E
GTA、25mM Tris−HCl、pH8に再懸濁
し(得られた溶液のエチレングリコール最終濃度は<1
%)、再度約80μlに濃縮した後、これらをまとめて
最終体積<650μlにした。
【0041】上記のゲル濾過カラムを経て濃縮した試料
(約1mgタンパク質)を、150mM NaCl、2
mM 2−ME、1mM EGTA、25mM Tri
s−HCl、pH8を用いて1mlに希釈した。この試
料を、希釈に用いたものと同じ緩衝液で前平衡したフェ
ニル−セファロースHR5/5(Pharmacia)に、流速
0.25ml/分で充填し、各0.5mlの分画を集め
た。同緩衝液8mlでこのカラムを洗浄した後、カラム
緩衝液1体積と溶出緩衝液(50%エチレングリコー
ル、2mM 2−ME、1mM EGTA、25mM
Tris−HCl、pH8)1体積を用いて、10ml
の直線的勾配を、0.25ml/分の流速でかけた。前
述のように、溶出は、カラムを次の使用のために再度条
件化するために必要なだけである。このカラム溶出液の
280nmの吸光度を監視し、各分画の2μlを用いて
cPLA2活性を検定した。cPLA2活性は第7〜20
分画(7ml)に認められた。これらの分画をまとめ、
まずセントリコン−30微量濃縮器(Amicon)で濃縮
し、次いでウルトラフリー−MC10000NMWLフ
ィルターユニット(Ultrafree-MC 10,000 NMWL filter
unit,Millipore)を用いて約60μlに濃縮した。回収
されたタンパク質は約100μgであった。
【0042】実施例3cPLA酵素活性検定 基質:1−パルミトイル−2−[14C]−アラキドノ
イル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン([14C]
PC、55mCi/mmol、NEN Research Products
から入手)およびsn−1,2−ジオレオイルグリセロ
ール(DG、Avanti Polar Lipids,Birmingham,AL)を
モル比2:1で含有する超音波処理したリポソーム、を
以下のように調製した。[14C]PC(20nmo
l、1x106dpm、100μCi/ml、トルエン
/エタノール溶液)およびDG(10nmol、100
μg/ml、クロロホルム溶液)を窒素下で乾燥した。
この脂質を、マイクロソンプローブ−ソニケーター(Mi
croson probe-sonicator,Heat-sysytems,Ultrasonics)
を用い、4℃で、4x15秒、45秒休止の超音波処理
にかけることによって、150mM NaCl、50m
M Hepes、pH7.5の検定緩衝液1ml中に分
散させた。ウシ血清アルブミン(本質的に脂肪酸非含
有、100mg/ml水保存溶液、Sigma)を加えて最
終濃度4mg/mlにした。cPLA2活性を検定する
試料を、リポソーム(DG 0.25nmolを含む
[14C]PC 0.5nmol(50000cp
m))50μlと共に、1mM CaCl2および1m
M 2−MEを含む検定緩衝液(総体積0.2ml)中
でインキュベートした。このインキュベーションを37
℃で15分間行い、ドールズ試薬(Dole's reagent:1
0μg/mlステアリン酸を含有する2−プロパノール
/ヘプタン/0.5M 硫酸の40/10/1混合物)
2mlを加えることによって停止させた。混合した後、
ヘプタン1.2mlおよび水1mlを加えた。この混合
物を簡単にボルテックスし、その上層を、ヘプタン2m
lおよび使用前に130℃で活性化したバイオ−シル
(Bio-Sil,Bio-Rad Laboratories)150mgの入った
チューブに移した。このチューブを完全にボルテックス
し、遠心分離(1000xg、5分間)した。その上清
をシンチレーションバイアル中にデカントした。シンチ
レーションカクテル液(Ready Protein+
Beckman)10mlを加えた後、パッカード液体シンチ
レーション計数器モデル1500(Packard liquid sci
ntillation counter Model 1500)を用いて放射活性を
計数した。高放射活性計数値は酵素活性に相関する。
【0043】実施例4抗cPLA2単クローン抗体の
調製 実施例1および2の教示にしたがって単離した細胞質ゾ
ルPLA2を、すべての免疫化および検定に使用した。
8週齢の雌のbalb/cマウスを、フロンド完全アジ
ュバント中に乳化したcPLA2 8μgで、腹腔内
(i.p.)に免疫化した。この動物に、フロンド不完
全アジュバント中の追加免疫8μg、8μg、4μg
を、3週間おきに腹腔内に与えた。融合の3日前に、最
後の追加免疫cPLA2 9μgをアジュバントなしで
腹腔内に行った。
【0044】最後の追加免疫の3日後にこのbalb/
cマウスを殺し、その脾臓を無菌的に摘出した。この脾
臓を、生育培地(GM:10%胎生ウシ血清(Hyclone,
A-1111D)、HEPES(GIBCO,380-2400AJ)含有45
%RPMI−1640、45%HL−1(Ventrex,VBPG
001))5mlの入ったペトリ皿に入れた。平滑なプロー
ブ(探り針)を用いて脾臓細胞を器官からそいだ後、こ
れを総体積10mlのGMが入った15ml試験管に移
した。細胞を22℃で1時間保持した後、その懸濁細胞
を別の15ml試験管に移した。この脾臓細胞試料を
0.85%NH4Clに入れ、細胞数を計数した。次い
で、この細胞を約200xgで5分間遠心分離すること
によりペレット状にした後、これを新鮮なGM5mlに
懸濁した。
【0045】HL−1TMフレンドリー骨髄腫653細胞
(Ventrex,VBPG007653)を、cPLA2反応性脾臓細胞
調製物の融合相手として使用した。使用前に、対数増殖
を確実にするために、この細胞をGM中に維持した。細
胞数計測を行い、19.7x106細胞を遠心分離によ
ってペレット化し、これを新鮮なGM5ml中に再懸濁
した。
【0046】GM5ml中の197x106脾臓細胞を
19.7x106骨髄腫細胞と混合し、これを37℃で
5分間インキュベートした。次いで遠心分離によってこ
の細胞をペレット化し、すべての液体を除去した。次
に、軽くたたいて細胞をほぐした。融合培地(HEPE
S含有RPMI−1640中の43% PEG4000
(ATCC))1.5mlを37℃で、1分間隔で加えた
後、これを1分間撹拌した。37℃に加温したHEPE
S含有RPMI−1640を、一定に撹拌しながら、約
1ml/分の速度で2分間添加し、次いで8ml/分で
1分間添加した。次いで遠心分離によってこの細胞をペ
レット化した。液体を吸引し、容器を軽くたたいてペレ
ットをほぐした。
【0047】融合操作で得た細胞を、10%ハイブリド
ーマ促進補足剤(hybridoma enhancing supplment;Sigm
a H8142)、20%胎生ウシ血清(Hyclone)、35%
RPMI−1640/HEPES(GIBCO)、35%
HL−1(Ventrex)、1xHAT(Sigma:5mM ヒ
ポキサンチン、0.02mMアミノプテリン、0.8m
M チミジンの溶液200ml中に懸濁した。この細胞
を96穴クラスター皿に1ウェルあたりに200μl分
注し、これを5% CO2雰囲気の湿潤化した37℃イ
ンキュベーターに設置した。
【0048】実施例5CPLA2ELISA−抗cP
LA2分泌ハイブリドーマの選択 顕微鏡的コロニーが見え始めた後(7〜10日)、使用
済みの組織培養培地50μlを各培養から無菌的に取り
出し、ELISA法を用いてそのcPLA2反応性を検
定した。ポリスチレン微量滴定プレートのウェルを、5
0μg/mlBSA(Sigma)を添加した500ng/
ml cPLA2/TBS(20mMTris(pH7.
4)、0.15M NaCl)溶液100μlで被覆
し、4℃で終夜インキュベートすることにより、検定用
プレートを調製した。次に、このプレートを洗浄緩衝液
(WB:0.05%ツヴィーン20(Sigma)/TBS
溶液)で1回洗浄した。次いで、このプレートをTBS
中の0.5%ミルク溶液で遮断した。各生育培養から得
た使用済みの培地50μlを1検定ウェルに添加し、こ
れを22℃で1時間インキュベートした。次に、このプ
レートをWBで4回洗浄した。ペルオキシダーゼで標識
したヤギの抗マウスIgG、ガンマ鎖特異的(Sigma,A-
3673)(1mg/ml BSA含有TBSで1:500
の希釈率で希釈したもの)50μlを各ウェルに添加
し、これを22℃で1時間インキュベートした。次にこ
のプレートをWBで4回洗浄した。検定を進行させるた
めに、0.012%過酸化水素を含むクエン酸緩衝液
(pH5)中のOPD基質(Sigama,P-6912)50μl
を添加した。20分後、1N HCl 50μlで反応
を停止させ、490nmの吸光度を96穴読み取り機を
用いて測定した。融合後に接種した960穴の内、2培
養ウェルの使用済み培地がバックグラウンドより少なく
とも0.2大きい読みを与え、これらがcPLA2反応
性の最初の検索において陽性であると考えた。これら2
つの親ハイブリドーマ培養と、それぞれに対応する抗体
を#132 PL12および#132 PC3−1と命
名した。
【0049】実施例6抗cPLA2抗血清の調製 8週齢の雌のbalb/cマウスに、実施例1および2
に記述したcPLA28μg(フロインド完全アジュバ
ント中に乳化したもの)を腹腔内投与した。この動物
に、フロインド不完全アジュバント中のそれぞれ8μ
g、8μg、4μgの追加免疫を、3週間おきに3回腹
腔内投与した。最後に9μgの腹腔内注射をアジュバン
トなしで行った。数回採血し、そのcPLA2反応性を
検定した。採血#132−1は最初の免疫化の4週間後
に行い、採血#132−Tは最初の免疫化の12週間後
に行った。
【0050】採血した血液から血清を調製し、これをE
LISA法でcPLA2に対して滴定した。このELI
SA法を実施例5に準じて行い、その結果を図1に要約
する。図1のグラフでは、免疫化したマウスの血清と対
照マウスの血清のcPLA2反応性を比較している。こ
の3つの滴定曲線は、免疫化したマウスの血清がcPL
2に反応するポリクローン抗体を含んでおり、一方、
対照血清はこれを含まないという事実を、明確に示して
いる。
【0051】実施例7cPLA酵素活性の免疫吸着 ハイブリドーマ#132 PL12、#132 PC3
−1から得た使用済みの培地および抗血清#132−T
を用いて、これらが既知のcPLA2溶液からcPLA2
活性を除去する能力を検定した。無関連の抗体を分泌す
るハイブリドーマを負対照(ネガティブコントロール)
として使用した。フルオロテック抗マウスIgGビーズ
(Fluorotec anti-mouse IgG beads,Baxter-Pandex,Mun
delein,IL)を使って、使用済みハイブリドーマ培養培
地また血清400μl中の抗体を固定化した。この混合
物を穏やかに振盪しながら22℃で終夜インキュベート
した。次に遠心分離によってこのビーズをペレット化
し、液体を捨てた。次いでこのビーズを、1mg/ml
BSAを含むTBS 1mlで洗浄することにより、
未結合の抗体を除去した。次に1.25μg/ml(1
mg/ml BSA中)のcPLA2溶液100μlを
このペレットに加え、これを22℃で4時間インキュベ
ートした。次にこのビーズをペレット化し、その液体の
cPLA2活性を、実施例3に準じて検定した。このビ
ーズをさらに洗浄することにより、未結合のcPLA2
を除去した後、そのcPLA2活性を検定した。
【0052】図2はこの検定結果を示しており、両ma
bと抗血清が共にcPLA2酵素活性を既知の酵素溶液
から除去できることを明確に立証している。第1欄は負
対照;第2欄は抗血清#132−T;第3欄はmab#
132 PL12;第4欄はmab#132 PC3−
1である。ここで、酵素活性を減少させる能力がmab
#132 PC3−1では低く、このことが、天然型の
cPLA2立体配座では容易に接近できないcPLA2
子上のエピトープにこの抗体が結合することを示唆して
いる、ということに注目すべきである。
【0053】したがって、両mabと抗血清が共にcP
LA2酵素活性を既知の溶液から除去できるがゆえに、
これらがいずれもcPLA2反応性であることが確認さ
れた。次にこの2種類のハイブリドーマ培養を限界希釈
によってサブクローニングし、cPLA2反応性を再検
定し、市販のキットを用いてサブアイソタイプに分類し
た。得られた単クローン抗体分泌ハイブリドーマを#1
32 PL12 SC−D1および#132 PC3−
1 SC−E8と命名した。各培養はcPLA2に反応
するmabを分泌する。mab#132 PL12 S
C−D1はIgG1サブクラスに属し、mab#132
PC3−1 SC−E8はIgG2aサブクラスに属す
ることがわかった。
【0054】実施例8交差反応性分析 実施例5に記述した方法に準じてELISA法を実施
し、プロテインA精製した本発明の2種類のmabおよ
び抗血清が、よく知られており、低分子量で、分泌型の
2種類のPLA2との交差反応するか否かを決定した。
3種類の検定ウェルを調製した。それぞれの検定ウェル
は、異なった型のPLA2を含有している。このELI
SA法で目標分子(ターゲット)として使用した3種類
のPLA2は、実施例1および2に記述したcPLA2
リュウマチ様関節炎滑液から単離した分泌型滑液PLA
2(sPLA2:Kramer等,J.Biological Chem.264,5768
(1989))、並びに、コブラ(Naja naja)毒から単離さ
れたPLA2(Sigma)である。
【0055】試験した抗体は、実施例6および7に記述
したmab#132 PL12 SC−D1および#1
32 PC3−1 SC−E8、並びに、実施例6に記
述した抗血清#132−1である。本実験で使用した対
照抗体は、sPLA2に対して生じさせ、プロテインA
精製したmab#129 C2および#129 D3、
並びに、抗血清#128−Tである。各試料を、滴定に
よって予め決定しておいた最大結合濃度で試験した。
【0056】このELISA法を二連で実施し、その結
果を表1に要約した。表1に列挙した値は各検定ウェル
について得られた吸光度の読みの平均値である。
【表1】 試料番号 目標分子 cPLA sPLA Naja 132-1 (1:2000希釈) 0.791 0.054 0.053 132 PL12 SC-D1 (8μg/ml) 0.579 0.010 0.008 132 PC3-1 SC-E8 (2.6μg/ml) 0.975 0.017 0.013 128-T (1:2000希釈) 0.021 0.638 0.014 129 C2 (21μg/ml) 0.025 0.336 0.017 129 D3 (3μg/ml) 0.022 0.564 0.017
【0057】表1は、本発明の抗体が、単クローン抗体
およびポリクローン抗体のどちらも、cPLA2と特異
的に反応し、2種類の低分子量型PLA2とは交差反応
しないことを立証している。
【0058】実施例9免疫アフィニティー(親和性)
クロマトグラフィー イムノピュアRAg/Abイモビライゼーションキット
#3(ImmunoPureR Ag/Ab Immobilization Kit #3)を
ピアス(Pierce,P.O.Box 117,Rockford,IL 61105)から
購入した。このキットには、抗体アフィニティーカラム
を製造するための試薬が、抗cPLA2単クローン抗体
を除いて、すべて含まれている。プロテインA精製した
抗体#132 PL12 SC−D1 0.8mg上の
炭水化物部分を過ヨウ素酸ナトリウムを用いて酸化し
た。次に、酸化した抗体を上記のキット中のアガロース
ビーズと反応させた。280nmの吸光度(OD)(最
終ODを最初のODで割って100倍する)により、8
0%結合アフィニティーが測定された。この免疫アフィ
ニティービーズの約半分を1mlカラムに注ぎ、これを
緩衝液A(1mg/ml ウシ血清アルブミン(BS
A)、0.04M Tris(pH7.4)、0.15
M NaCl、2mM 2−ME)約10mlで平衡化
した。
【0059】実施例2Aに記述したU937の高速上清
(high-speed supernatant)約6mlを、上述の免疫ア
フィニティーカラムに0.05ml/分の流速で室温
(4℃が好ましい)で充填した。その後、このカラムを
緩衝液A約4mlで洗浄した。結合したcPLA2を、
100%緩衝液Aから始めて、100%緩衝液B(1m
g/ml BSA、0.04MTris(pH7.
4)、0.15M NaCl、2mM 2−ME、2.
0MMgCl2)で終わる100分間の直線的勾配
(0.2ml/分)を用いて溶出させた。各約2mlの
分画を分取し、5つのグループにわけて、その酵素活性
を実施例3に準じて検定した。
【0060】cPLA2は極めて希少な酵素であるの
で、免疫アフィニティー精製によって微量しか回収され
なかった。この溶出液中の酵素活性を検出するために
は、溶出緩衝液中に担体タンパク質としてBSAを加え
る必要があった。大量の酵素を精製する場合には、外来
の担体タンパク質を精製したばかりのcPLA2に添加
することが望ましくないことを、当業者は認識するであ
ろう。
【0061】表2に、免疫アフィニティー精製の結果を
記載する。最終結果は最右欄に示されており、予備精製
した試料に対する酵素活性の率(%)として表現されて
いる。出発試料中に認められる全cPLA2活性の80
%以上がこのカラムに吸着し、活性酵素として回収され
た。
【表2】 分画番号 体積 試料体積あたり 総計数値 回収率 (ml) の計数値 (%) 充填試料 6.0 3575/ 1μl 21.5E6 100.0 通過 12.5 2303/20μl 1.44E6 6.7 1〜3 6.0 2184/20μl 0.65E6 3.0 4〜6 6.0 1536/ 2μl 4.61E6 21.4 7〜9 6.0 3918/ 2μl 11.75E6 54.7 10〜12 6.0 2027/20μl 0.61E6 2.8
【0062】実施例10ウエスタンブロット分析 実施例2で記述したように精製したcPLA2約80n
gを、8〜16%SDSゲルの4レーンのそれぞれに充
填した。このゲルを25mAで、染料がゲルの下端に達
するまで泳動した。サートブロット(Sartblot,Sartori
us Filters,Inc.,30940 San Clemente St.,Hayward,CA
94544)装置とそれに与えられている操作法を用いて、
このゲル中のタンパク質をニトロセルロース(Novex,P.
O.Box 1158,Encintas,CA 92024)に転移させた。転移条
件は30V一定電圧1.5時間であった。このブロット
の展開には、リンス緩衝液(0.01M Tris(p
H7.5)、0.001M EDTA、0.15M N
aCl、0.1% トリトンX−100)を中心緩衝化
系(central buffering sysytem)として使用した。
【0063】タンパク質を含有するニトロセルロース
を、SDSゲルのレーンに対応する4切片に切断した。
各切片を個別に1次抗体溶液5ml中、4℃で終夜イン
キュベートした。この1次抗体溶液は、mab#132
PC3−1 SC−E8および#132 PL−12
SC−D1の使用済み生育培地とした。実施例6に記
述した抗血清132−Tを0.3% BSA/リンス緩
衝液で1:500に希釈して、これを陽対照(ポジティ
ブコントロール)として使用し、また0.3%BSA/
リンス緩衝液のみの溶液を負対照として使用した。次
に、各切片をリンス緩衝液中で各10分間、4回洗浄し
た。次いでその切片を、I125−標識したヒツジ抗マウ
スIg(Amersham Corp.,Arlington Heights,IL)の
1:250希釈液約30ml中、室温で4時間インキュ
ベートした。最後にこの切片を前回と同様に4回洗浄
し、これをオートラドカセット(autorad cassette)中
のX線フィルムの下に、切断前の状態で隣合わせて並べ
た。このフィルムを−70℃で16時間、上記の切片に
暴露した後、取り出して現像した。
【0064】図3は免疫ブロットの結果を表している。
第1レーンは負対照であり、第2レーンは陽対照:抗血
清#132−Tである。第3レーンはmab#132
PL12 SC−D1であり、第4レーンはmab#1
32 PC3−1SC−E8である。第3レーンにはバ
ンドが認められず、このことは、mab#132PL1
2 SC−D1が変性状態にあるcPLA2を結合でき
ないことを意味している、ということに注目すべきであ
る。
【0065】図2および図3を比較すると、mab#1
32 PL12 SC−D1が天然型立体配座のcPL
2を最もよく結合できることは明らかであり、このこ
とは、活性な天然型の状態にあるcPLA2を精製する
ときにはこのmabを使用することが好ましい、という
ことを示している。逆に、mab#132 PC3−1
SC−E8は、変性状態にあるcPLA2を最もよく
結合できる。
【0066】ハイブリドーマ#132 PL12 SC
−D1(寄託者参照Id.Z−48−5MG−63)お
よびハイブリドーマ#132 PC3−1−SC−E8
(寄託者参照Id.Z48−5−MG−70)はブタペ
スト条約に基づきATCCに、それぞれ受託番号HB1
0563およびHB10564の下で寄託された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 免疫化したマウスおよび対照マウスから得た
血清のcPLA2反応性を示す。図中の3つの滴定曲線
は、免疫化したマウスの血清がcPLA2と反応するポ
リクローン抗体を含有しており、一方、対照血清はこれ
を含有しないことを明確に示している。
【図2】 免疫吸着検定の結果を示す。これによって抗
cPLA2mabおよび抗血清が、cPLA2酵素活性を
含有する既知の溶液からcPLA2酵素活性を除去し得
ることを明白に立証している。第1欄は負対照;第2欄
は抗血清#132−T;第3欄はmab#132 PL
12;第4欄はmab#132 PC3−1である。
【図3】 免疫ブロットの結果を示す。第1レーンは負
対照であり、第2レーンは陽対照;抗血清#132−T
である。第3レーンはmab#132 PL12SC−
D1であり、第4レーンはmab#132 PC3−1
SC−E8である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/573 A 9015−2J 33/577 B 9015−2J // C12N 15/06 (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 ジヨゼフ・ビンセント・マネツタ アメリカ合衆国46256インデイアナ州イン デイアナポリス、ノース・リチヤード・ア ベニユー8134番 (72)発明者 ジヨン・リチヤード・スポーツマン アメリカ合衆国46268インデイアナ州イン デイアナポリス、クレイバーン・ドライブ 4725番

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト細胞質ゾルホスホリパーゼA2(c
    PLA2)に対して特異的に結合する抗体。
  2. 【請求項2】 ATCCに受託番号HB10563の下
    で寄託されているハイブリドーマ#132 PL12
    SC−D1。
  3. 【請求項3】 請求項2のハイブリドーマが分泌する単
    クローン抗体。
  4. 【請求項4】 ATCCに受託番号HB10564の下
    で寄託されているハイブリドーマ#132 PC3−1
    SC−E8。
  5. 【請求項5】 請求項4のハイブリドーマが分泌する単
    クローン抗体。
JP4043019A 1991-03-01 1992-02-28 ヒトの細胞質ゾルホスホリパーゼa2と反応する抗体 Pending JPH0591894A (ja)

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US663335 1991-03-01

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WO2001042462A2 (en) * 1999-12-08 2001-06-14 National University Of Singapore Phospholipase a2 inhibitory peptides from python reticulatus
CN114767859A (zh) * 2022-04-11 2022-07-22 山东大学齐鲁医院 靶向cPLA2在放射诱导的肺损伤防治中的应用

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PROC.NATL.ACAD.SCI.USA,87=1990 *

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