JPH0590900U - X線発生装置 - Google Patents

X線発生装置

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JPH0590900U
JPH0590900U JP6656091U JP6656091U JPH0590900U JP H0590900 U JPH0590900 U JP H0590900U JP 6656091 U JP6656091 U JP 6656091U JP 6656091 U JP6656091 U JP 6656091U JP H0590900 U JPH0590900 U JP H0590900U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 医学的診断または治療、あるいは工業用試験
に適する範囲のX線を発生させる装置を提供することで
ある。 【構成】 狭帯域の周波数のX線を発生させて、所望の
個所にのみ最適範囲の放射線を照射し得るように、かつ
所望の範囲のX線ビームが電子的にも磁気的にもかつま
た光学的にも偏向されない非荷電粒子から成るものを発
生させるようにしたX線発生装置である。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、広義ではX線の発生技術に関し、より詳しく云うと、医学的診断及 び治療、又は工業用試験の目的に適する範囲の周波数において、コンプトン散乱 効果によりX線を発生させる装置に関する。更に詳しく云うと、本考案は、狭帯 域周波数特性を有するX線を対象物体に照射する装置の他に、X線ビームの方向 を、電子的に変化させるための新規な装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医学的診断を行うためには、通常、陰極管を用いて、電子流を金属板に向けて 衝突させ、前記金属板から、診断用の約20KeVから100KeVまでのX線 範囲内にある放射線を放射させることにより、X線を発生させている。この過程 は、前記金属の殻電子の励起、及び原子殻外被内の自然準位変化によって、X線 の形でのエネルギーを突然に解放させるから、個々のX線光子の特性を決定する ことは不可能である。
【0003】 従来のX線管は、X線ビーム内の光子の周波数又はエネルギー準位が、広い範 囲に分布しているような高発散性X線ビームを放射するようになっている。作業 者及び、又は患者を過度のX線被爆から保護するために、X線装置を遮蔽したり 、又は覆ったりして、放射されるX線ビームが、所望の区域のみを照射するよう にすることが必要である。放射角度を制御するためには、機械式開閉装置が使用 されている。
【0004】 医学的診断のための従来のX線管は、遮蔽が完全になされていることは、まれ であり、且つ、発生するX線の一部分しか、所望の目的に使用されず、従ってそ の使用状態は、理想からは全く程遠いものとなっている。この状況は、X線ビー ムが非常の広いX線スペクトル範囲に亘って分布するという事実のために、更に 悪化している。そのため、X線照射の対象物、すなわち、試験、検査、又は分析 のための物品、あるいは、検査又は放射線治療を受ける患者の肉体の一部分は、 最適エネルギー準位のX線のみでなく、最適範囲以外のエネルギー準位を有する X線にも曝されることとなる。
【0005】 このようにして、最適X線エネルギー準位の所望の放射線量を被爆するために は、同時に、最適範囲以外の相当なX線放射線量をも被爆することになるので、 前記物体のX線被爆、言い換えれば、X線放射線量は、必要な水準よりもはるか に過大となる。
【0006】 放射線治療の目的には、約10KeVから約250KeVの範囲のX線が使用 されるが、従来は、これより高いエネルギー範囲のX線には、直線形加速装置を 用いて電子流を加速し、金属板に衝突させて、X線を放射させている。しかし、 ここで発生する高エネルギーX線も又、広角度ビーム及び広帯域周波数特性を有 しているので、前述したと全く同様の欠点は、依然として存在している。
【0007】 元素分析の目的には、偏極X線が好都合である。従来、偏極X線は、不偏極X 線を黒鉛のような物質の中を通過させることによって得られている。しかし、こ の方法は、きわめて非能率的である。医学的放射線写真においては、われわれの 知る限り、偏極X線は全く使用されていないので、その潜在的実用性は、未開発 状態のままとなっている。
【0008】 物理学の研究分野では、閉ループの周囲に電子を加速する大型電子ストレイジ リングを使用して、電子の加速及び減速過程の副産物として、偏極X線を発生さ せている。しかし、これらの大型電子ストレイジリングは巨大な設備であって、 世界中でもきわめて僅かしか存在せず、医学上又は工業上に使用することは実際 的ではない。
【0009】 更に、従来のX線装置における上記した以外の欠点は、X線ビームの方向を電 子的に変化させることができないということである。患者のX線による走査は、 医学的技術として非常に好ましいものである。よく知られているように、従来は 、患者を機械的に動かしたり、X線管自体を機械的に動かしたり、又はX線装置 の放射口開閉装置を機械的に動かすことで走査していた。患者を台上に固定し、 所望の方向に動かしうるようにした巨大なX線装置を備えている病院もある。ま た、患者を固定したままで、その周囲にX線装置を動かすようにしたものもある 。
【0010】 これらの先行技術のものは、全て非常に面倒で扱い難く、しかも重大な欠点と して、速度が遅く、大体15−20秒又はそれ以上かかるので、患者の動きで、 X線にぶれを生じることである。
【0011】 原子物理学の研究分野では、ガンマ線、即ちMeVからGeVの領域の高エネ ルギー光子を発生するために、コンプトン後方散乱効果を使用することは公知で ある。簡単に要約すると、コンプトン効果は、次のような特徴をもっている。
【0012】 レーザのような光源より供給される入射光子は、電子加速装置によって供給さ れる入射電子と衝突を起す。この衝突の結果、前記電子はエネルギーを損失し、 光子はエネルギーを増加する。反跳電子又は偏倚電子は、非常に高エネルギー準 位を有しており、前述のガンマ線の領域に属している。われわれの知る限り、コ ンプトン効果は、生体医学及び工業的調査のためのX線発生には、使用されたこ とはない。
【0013】
【考案が解決しようとする課題】
最適範囲のエネルギー準位のX線のみを効果的に利用し得るようにし、作業者 及び患者を過度のX線被爆から保護し、かつ、コンプトン後方散乱効果を生体医 学及び工業的応用範囲に利用することであり、さらに試料内で散乱過程が発生し ている位置を、正確に見つけるようにすることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】 本考案は簡単に言えば、医学的診断及び治療、又は工業用試験の目的に適する 範囲のX線を発生させる装置にある。
【0015】 後で述べるように、この範囲は、約0.5KeVから約250KeVまである 。本発明によれば、多数の予め決められたエネルギー準位の入射電子は、一方向 から、予め決められた行路に沿って、相互作用領域を通過するようにされ、かつ 多数の予め決められたエネルギー準位の入射光子は、前記方向の実質的に反対方 向から、前記相互作用領域を通過するように送り出されて、前記入射電子と衝突 関係を生じるようになっている。
【0016】 コンプトン効果によれば、前記入射電子と入射光子との間に生じる相互作用に よって、とりわけエネルギー準位の増加した反跳光子は、X線放射の対象物体に 向かって概ね一つの方向に伝播する。前記物体は、生命体又は非生命体であって もよい。前記光子の増加したエネルギー準位は、前述したX線の所望の特性範囲 内にある。前記入射電子のエネルギー準位は、前記反跳光子をX線として伝播す るために、慎重に制御される。
【0017】 本考案は、広義では、入射電子のエネルギー準位を慎重に制御することによっ て、原子物理学研究において一般に得られる光子よりも、かなり低エネルギーの 光子を、コンプトン後方散乱効果を用いて発生させることにある。前記X線範囲 内の光子を発生することにより、その結果として発生するX線は、医学的診断、 放射線治療、元素分析、工業用放射線写真は勿論、それ以外の多くの分野で使用 することができる。
【0018】 本考案によって発生するX線は、非常に狭角のビームとして放射されるという ことである。X線が高度な方向性を有すると、機械式開閉装置、遮蔽装置等の必 要性は完全にはなくならないとしても、これを相当に減少させることができる。 なお本発明は、後述する走査機構と組合せると、きわめて有意義なものとなる。
【0019】 更に、本考案によって発生するX線は、非常に狭帯域の周波数にて放射される ということにある。従来装置で放射されるX線は、広帯域周波数特性を有してい るので、物体は、きわめて過度のX線量を被爆することになる。
【0020】 特定の照射には、特に狭い範囲のX線スペクトルのみでよいことは云うまでも ない。そのため、患者には、特定の最適範囲の放射線のみを照射すればよいこと となる。従来のX線は、最適範囲外の周波数をも含んでいるというので、甚だ好 ましくないものであり、かつ過剰放射線量被爆及び副作用問題の潜在的な原因と もなっている。本考案によって発生させられるX線の狭帯域周波数特性によれば 、これらの全ての欠点が克服される。
【0021】 上記以外の関連のある特徴は、同調可能性という点にある。それによって作業 員は、X線スペクトル内の特定の狭帯域周波数を選択することができる。例えば 、医者は、特定の処置のために、最適なX線周波数を選択することができる。先 行技術では、このような同調制御は全く見られなかった。
【0022】 本考案は、X線走査の分野に重要な進歩をもたらすものである。所望の範囲の X線ビームは、電子的にも、磁気的にも、又は光学的にも偏向されることのない 、電子とは異なる非荷電粒子からなっている。
【0023】 本考案は、前記X線ビームの方向を電子的に変化させて、前記相互作用領域の 空間内における位置を変化させることを提案している。好適な実施例においては 、非常に低エネルギーの前記入射光子は、電子的に制御される光走査装置によっ て光学的に偏向され、且つ前記入射電子は、磁気装置によって磁気的に偏向され るようになっている。前記光子及び電子の偏向は、常に一致した行路に沿うよう に、慎重に制御する必要がある。それ故、前記X線ビームは、X線ビーム自体を 偏向することによってではなく、相互作用領域を動かすことによって、動かされ ているのである。
【0024】 更に他の特徴は、コンプトン効果によるX線は、偏極されているという事実に 基くものである。医学放射線写真においては、偏極X線は全く使用されていない ので、その潜在的有用性は、未開発状態のままである。しかし、偏極X線を好適 とする医学の生体内微量元素分析への応用、および工業的応用において、本考案 によれば、前記装置の感度は高められ、かつ前述した従来の非能率的な黒鉛媒体 を用いた過程が排除されるのである。
【0025】 本考案の本質としての新規な特徴は、実用新案登録請求の範囲に記載されてい る。本考案による改良されたX線装置の構造及び操作要領並びに上記した以外の 特徴及び利点は、添付図面を参照しつつ、以下に行なう好適実施例の詳細な説明 により、容易に理解しうるものと思われる。
【0026】
【実施例】
図1は、原子物理学の研究分野で、ガンマ線領域内の高エネルギー光子を発生 するのに利用されているコンプトン後方散乱効果の概略を示している。
【0027】 多量の入射電子e1 は、ある方向から、相互作用領域(A)に向けて送り出さ れる。多量の入射光子p1 は、反対方向から、相互作用領域(A)に向けて送り 出される。量子エネルギー準位ε1 を有する前記入射光子p1 は、運動エネルギ ー準位Eを有する前記入射電子e1 と衝突すると、衝突の相互作用によってエネ ルギーを損失する入射電子からエネルギーを得て、電子エネルギー準位ε2 まで 増加する。この相互作用の結果、非常に僅かであるがエネルギーを損失した入射 電子は反射電子e2 の図示された軌道に偏向し、かつエネルギーを増加した入射 光子p2 は、反跳光子p2 の図示された軌道に偏向する。
【0028】 前記反跳光子は、実質的に後方に、入射光子の方向の反対方向に伝播される。 第1図に示すように、反跳光子は、散乱角度θの範囲内に偏向されて円錘状ビー ムを形成する。前記散乱角度は、第1図では非常に誇張されているが、実際には 、零度に極めて近いので、前記反跳光子の軌跡は、入射光子の軌跡とほぼ同一線 上にある。更に、図面上の電子e2 軌跡も非常に誇張されている。実際には、後 述するエネルギー準位において、電子e1 は、光子p1 との衝突で、ほとんどエ ネルギーを損失しないので、光子p1 との衝突による偏向作用によって、電子e 1 は、光子p1 と衝突する前の狭い電子ビームから偏向することはない。
【0029】 前述のコンプトン効果は、従来、ガンマ線を用いて基礎的研究を行なう原子物 理学においてのみ使用されている。本考案は、広い意味において、X線はコンプ トン効果によって発生させうること、及びこれらのX線は様々な応用範囲に使用 しうること、特に医学的診断及び治療分野に応用することができるという知見に 基づいている。
【0030】 本明細書及び実用新案登録請求の範囲において使用されているX線の語は、約 0.5KeVから約250KeVの範囲に属する光子を指すものである。詳しく いえば、約20KeVから約100KeVの範囲の中、特に低い方の部分が医学 的診断のためには最適であって、例えば、40KeVが、胸部X線検査等の基本 的診断のための典型的な値である。放射線治療においては、10KeVから30 KeVの低エネルギー範囲は、軽度の腫瘍のX線放射治療又は光子照射治療に最 適であり、一方高い範囲の30KeVから250KeVの範囲は、重度の腫瘍治 療に使用される。X線放射による元素分析の場合、約0.5KeVから約100 KeVの範囲が最適である。
【0031】 前述した特定の応用分野での数値及び範囲は、単に好適例として挙げたもので あって、従来より好適な数値として知られているものである。この範囲が、多少 重複することはありうるし、また医学の進歩によって、これらの範囲が広がるこ ともありうる。
【0032】 図2に示すのは、医学上の診断及び治療、又は工業試験の目的に適した前述の 範囲内のX線を発生させるための本考案の装置であって、後部反射凹面鏡(2) 及び前部反射凹面鏡(3)で限定された光学的空間内に、光子を連続的に、又は パルス状に発生させうるようになっているレーザー発生源(1)を備えている。
【0033】 凹面鏡(2)及び(3)は、X線よりも低エネルギー準位の光子である低エネ ルギー光子を反射するようになっている。後述するように、前記凹面鏡は、両方 ともにX線に対して透過性を有している。前記低エネルギー光子は、凹面鏡(2 )及び(3)で反射して、その間を行ったり来たりするようになっている。前部 凹面鏡(3)で反射して、指定の相互用領域を横切り、図において右方から左方 に進行する前記光子は、図1においては、入射光子と一致する。
【0034】 電子に関して言えば、特に小型ストレイジリング(4)のような高流量、良好 な安定性、良質のビームを提供することのできるような電子加速器のみに限らず 、それ以外のいかなる電子加速器を使用して、電子を直線部分と円形部分とから なる言わゆるトラックに沿って加速することができる。
【0035】 前記トラックにおける互いに離れている各円形部分には、1対の扇形電磁石( M1)及び(M2)が配置され、電磁的に作用して、電子を予め決められたエネ ルギー準位Eをもって、閉ループに沿って繰り返えし回転運動させうるようにな っている。前記電磁石には巻線が巻かれており、電源(V)及び可変制御抵抗器 (R)と電気的に直列に接続されている。
【0036】 始動に際しては、様々な型式を有するインジェクタを用いて、電子を前記スト レイジリングに導入する。図において、インジェクタはマイクトロン(I)とし て示されており、低い初期運動エネルギー準位の電子を、次第に半径が大きくな り、かつ共通の1点で相互に正接するような多数の円からなる軌跡に沿って動か すようになっている。
【0037】 この電子の軌跡は、外向きに螺旋状に進んで、前記トラックと直線部分で交わ るようになっており、そこから、初期に比して高い運動エネルギーを有する電子 は、大体数時間の非常に長い時間に渡って、狭いビームの中をトラックに沿って 回転させられるようになっている。
【0038】 電子を繰返して送り込み、かつ複数の電子のパルスを積重ねることによって、 高いビーム流量を得ることができる。所望のビーム流量が得られると、前記イン ジェクタは遮断される。またインジェクタは、独自に使用して、対象物に電子流 を照射しうるようになっている。
【0039】 電子の回転による減衰損失は避けられないので、前記トラックの直線部分には 、無線周波空洞(5)を設けてあり、回転中の電子に、回転毎に失なわれるエネ ルギーを回復させるようになっている。位置検知器(図示せず)を使用して、前 記トラックに沿って、電子の位置を監視することもできる。
【0040】 電子は、図2における左方より右方に向って、相互作用領域(A)を横切るよ うになっており、図1における入射電子と一致する。前記相互作用領域(A)は 、前記トラックの直線部分に配置されている。入射電子及び入射光子は、反対方 向へ進行して、コンプトン衝突を起こすようになっている。
【0041】 相互作用領域内(A)でのコンプトン衝突後、反跳電子はエネルギーを損失す るが、いま問題としているエネルギー準位においては、電子がコンプトン衝突に よって損失するエネルギーは僅少であるので、衝突後の電子は、衝突前と同じ狭 い電子ビームの中を、前記ストレイジリングに沿って飛び続けることとなる。
【0042】 前記反跳光子は、エネルギーを得て、図において右方向に、特に0.573度 (0.01ラジアン)以下の小さな発散角度をもつ円錘状ビームの中を伝播する 。前記円錘状ビームの軸線は、相互作用領域において前記入射光子に一致する。 エネルギーの増大した前記反跳光子、即ちX線は、前部凹面鏡(3)を、図にお いて右方に通過して標的(6)に衝突する。
【0043】 生命体または非生命体のあらゆる対象物を、標的(6)の正面に置くことがで きる。この対象物は、試験、検査または分析のためのどのような物品であっても よく、あるいは、検査または照射治療を受ける患者の肉体の一部分であってもよ い。標的(6)の例としては、X線フィルム又はX線に感応する位置感和装置が あげられる。
【0044】 散乱または反跳光子のエネルギーε2 と、入射光子のエネルギーε1 との関係 は、次の等式によって表わさる。 ε2 =4ργ2 ε1 但し、ε2 =hν2 /mc2 ε1 =hν1 /mc2 γ =E/mc2 σ =(1+γ2 θ2 +4ε1 γ)-1 ここにおいて、h=プランク定数 ν2 =反跳光子の周波数 ν1 =入射光子の周波数 mc2 =電子の静止質量エネルギー(0.511MeV)
【0045】 前述の等式より、反跳光子のエネルギーは、電子エネルギーの関数として生変 することが分かる。このことにより、電子エネルギーを制御することによって、 例えば、連続可変抵抗器Rを調整することによって、電子の運動エネルギーは変 化し、この変化に付随して、前記反跳光子のエネルギーを、所望のX線範囲に調 整しうることが分かる。抵抗器Rの抵抗を変化させることによって、前記電磁石 の巻き線への電流は変化し、次に、電子に作用する磁界が変化して、前記無線周 波空胴は、前記磁界の変化と協働して、電子の運動エネルギーを変化させること になる。
【0046】 例をあげると、40KeVの光子、即ち胸部検査に使用するX線を発生させる 場合には、第I表に示すような電子エネルギー及びパラメータ値が、あらゆる型 式のレーザー発生源用として計算される。
【0047】 表1 あらゆるレーザ用の40KeVX線発生の ための電子エネルギー
【0048】 原子物理学の研究において使用される典型的なレーザは、約3ワットの連続電 力で可視光線を放射するアルゴンレーザである。この電力レベルは、医学の診断 またはは放射線治療技術に使用するには低すぎる。もちろん、原子物理学研究に は、これ以上の高電力は必要ではない。更に原子物理学研究においては、巨大で 、重く、大規模なストレイジリングは、約300MeVから約8GeVの入射電 子エネルギーの範囲で作動するようになっている。
【0049】 従来のストレンジリングは、大体50mの周長を有し、トラックの周囲に、8 個から48個の電磁石を配置しうるようになっている。発生するガンマ線は、数 MeVからGeVの領域のものである。
【0050】 しかし、これとは対照的に、本考案において使用されるレーザは、非常に高い 電力レベルで赤外線を放射する二酸化炭素レーザ、またはネオジムイットリウム −アルミニウム−ガーネット レーザであることが好ましい。二酸化炭素レーザ は、約10キロワットの平均電力で赤外線を放射することができ、ネオジム イ ットリウム−アルミニウム−ガーネット レーザは、約1キロワットの平均電力 で赤外線を放射することができる。更に第2図に示すように、電磁石としては、 僅か2個の扇形電磁石(M1)及び(M2)のみを使用する。
【0051】 従来の装置の周長は50mであるのに比して、本考案において使用する小型ス トレイジリングの周長は、約10mである。従来、電子を大体数十億電子ボルト のエネルギー準位に加速するのに比して、本考案においては、電子は非常に低い エネルギー準位に加速される。例えば第I表に示すように、40KeVのX線を 発生させるために必要な電子エネルギー準位は、表中の個々のレーザに対して、 32MeVから142MeVの範囲の間にある。
【0052】 前述のように、このレーザは、連続モード又はパルスモードで操作しうるよう になっている。パルスモードは、レーザの有効出力を増大させるので好都合であ る。前記ストレイジリングにおいて、電子は単数又は複数の電子束内に拘束され るようになっている。このことから、前記レーザパルスを電子流パルスと同期化 させて、最初から相互作用領域において、電子の各回転毎に衝突を起こしうるよ うにするのが好都合である。
【0053】 コンプトン衝突の発生は比較的少ないので、同じレーザパルスを1対の凹面鏡 (2)及び(3)の間の光学的空胴の中を、繰返し振動させることによって、何 度も使用し、前記有効出力を著しく改善することができる。これによって、レー ザ自体の繰返し率を減らすことができる。前記レーザは、相互作用領域の2倍の 長さのパルスを発生しうるようになっているのが好都合である。
【0054】 前記ストレイジリングにおいて、ただ一つの電子束を操作する場合には、レー ザパルスと電子束を正確に同期化するために、前記光学的空胴の長さは、ストレ イジリングの周長の半分となる。1個のレーザパルスは、前記電子束と数回相互 に作用するが、前記凹面鏡による反射のみにより減衰する。前記レーザの波長に よって、一通過毎の減衰率は、何分の1%という程度まで、非常に小さくするこ とができるので、新しいパルスを発生させるまでに、相互作用領域を多数回通過 させることができる。コンプトン衝突による電子束の減衰率も非常に小さいので 、電子ビームの寿命は非常に長く、数時間程度にも及ぶ。
【0055】 図3は、図2の小型X線装置の簡単な透視図である。分かり易くするために、 いくつかの装置は省略され、かつ本考案の他の特徴を示すために、若干の装置が 付加されている。
【0056】 図3に示すように、レーザ発生源(1)は、真空閉鎖箱もしくは主ケース(8 )の一方の側面に固定支持された管状延長部(7)の中に配置されている。後部 凹面鏡(2)は、管状延長部(7)の主ケース(8)の反対側の外端部分に配置 されており、前記管状延長部(7)の他端には、後述する光学的走査装置(9) が配置されている。連通管(11)を備える真空イオンポンプ装置(10)は、 主ケース(8)の内部と連通しており、電子ビームの寿命を長くするために、前 記内部を、例えば1.3×10-12 気圧(10×-9トル)以下という極度の真空 状態にしうるようになっている。
【0057】 ストレイジリング(4)、無線周波空胴(5)、インジェクタ(I)及び1対 の扇形電磁石(M1)および(M2)は、図2に関連して前述したと同じように して作動する。前記相互作用領域(A)の両端には、1対の偏向磁石装置(12 )及び(13)が配置されているが、それらが光学的走査装置(9)と協働して 発揮する作用については、図4と関連して後述する。
【0058】 反対凹面鏡(3)は、主ケース(8)の内部に取付けてもよいし、主ケース( 8)の他方の側面に配置されたもう一つの管状延長部(14)内に取付けてもよ い。X線照射の試料(B)は、標的(6)の正面に配置される。この試料(B) は、患者であってもよい。また標的は、アナログX線フィルム又はデジタルX線 感知器であってもよい。
【0059】 前述の通り、前記電子流が所望のエネルギー準位に達した後は、前記インジェ クタの操作は不必要となる。しかしインジェクタは、その後も、独立した電子源 として電子の照射に応用しうるので、運転停止の必要はない。図示していないが 、インジェクタの出口に設置された抽出磁石装置に通電すると、電子は、前記閉 ループへの通常な進入路から偏向して、吐出口(22)を通って外にでる。
【0060】 複数の制御モジュールを有する制御装置(15)は、前記X線装置の個々の構 成要素と、電線によって接続(簡単化のため図示せず)されている。 例えば、モジュール(16)は、前記インジェクタに電力を供給し、モジュー ル(17)は、扇形電磁石(M1)及び(M2)に電力を供給し、モジュール( 18)は、無線周波空胴に電力を供給し、モジュール(19)は、前記レーザに 電力を供給し、モジュール(20)は、イオンポンプ(10)に電力を供給し、 モジュール(21)は、光学走査装置(9)及び偏向磁石(12)及び(13) に電力を供給するようになっている。制御装置(15)は、移動容易とするため 、車輪つき台上に置かれている。
【0061】 図3に示すX線装置は、空間部分を除いて、約2.8立方m(100立方フィ ート)から、5.7立方m(200立方フィート)の容積をもっている。前記X 線装置は、寸法が小さいので、病院又は工業用において、便利に使用することが できる。 図4は、相互作用領域(A)と、X線の伝播方向を変化させて対象物を走査し うるようにした、前記X線装置の構成要素とを拡大して示している。
【0062】 X線ビームは、電子的に、あるいは磁気的に偏向されることのない非荷電粒子 からなっているので、本考案は、X線ビームを電子的に動かすものとして最初の ものであると思われる。勿論、前述の通り、X線ビームは、あらゆる機械的走査 装置に使用されているが、それらは全て、非常に速度が遅く、面倒で扱いにくく 、かつ患者が動くと、ぶれを起し易いものである。図4に示す諸構成要素によれ ば、これらは全ての欠点を除去した非常に速度の速い電子走査装置が提供される 。
【0063】 本質的にX線走査は、相互作用領域(A)の空間的位置を変えることによって 行なわれる。前記相互作用領域(A)を動かすと、X線の伝播方向は変わる。X 線ビーム自体は偏向されないが、光子ビーム及び電子ビームは偏向される。
【0064】 詳しく言えば、偏向磁石(12)及び(13)は、前記相互作用領域(A)の 反対側の端部に電子路の近くに配置されており、制御モジュール(21)により 通電すると、電子は、相互作用領域(A)の正常な進路から、偏倚路に偏向させ られる。偏向磁石(13)は、水平に近い元の進路よりも、むしろ傾斜をもつ偏 倚路を画定しうるように、電子を偏向磁石(12)によりも偏向しうるようにな っているのが好都合である。電子は、磁気的に偏向される荷電粒子であることは 前述の通りである。
【0065】 同時に、前記光子は、光学的走査装置(9)によって光学的に偏向され、前記 入射光子は、電子と前記偏倚傾斜路上にて衝突する。光学的走査装置(9)と偏 向磁石(12)及び(13)は、光子路と電子路とを、各偏倚路の位置において 一致させるように、注意深く電子的に制御する必要がある。図に示すように、原 相互作用領域(A1 )及び偏倚相互作用領域(A2 )は、走査の両限界位置を表 わしている。図中の両限界位置の間に、中間相互作用領域が複数存在することは 、云うまでもない。
【0066】 X線を電子的に動かすことによって、作業者は、対象部分を、高い走査速度で 正確に走査することができる。X線のぶれは、走査速度の速さだけではなく、後 述する新デジタル検知技術によっても、減少させることができる。ビームの角度 が狭いため、走査特性と相まって、患者の安全のために精密な制御が必要とされ る診断と、放射線治療の改善のために、非常に正確かつ精密に位置制御をするこ とが可能である。
【0067】 前述の通り、コンプトン効果によるX線は、散乱角度θが特に0.573度( 0.01ラジアン)を超えない非常に狭角の円錘ビームとして放射されるように なっている。円錘立体角ビーム内で単位時間に発生する反跳光子数nは、電子と 相互作用を起こす入射光子数NL ,電子数NE ,衝突頻度f,散乱過程での断面 積σに正比例し、かつ電子ビームと光子ビームとの共通幾何学的断面積ηに反比 例する。 これらの中の4個の数を用いて、次の等式により、視感度(L)の特性値を定 義する。 L=(NeNL)f/η 単位時間に発生する反跳光子数は、次の通り定義する。 n=Lσ
【0068】 これらによって、コンプトン断面積は、前記散乱角度θの関数であり、電子エ ネルギーが高ければ高いほど、θ=0度近辺の狭い円錘内に含まれる前記散乱光 子の数は多くなることが理解される。
【0069】 例をあげて説明すると、電子エネルギーが142MeVである二酸化炭素レー ザ(第I表参照)の場合には、反跳X線光子の約93%を、約0.573度(0 .01ラジアン)の半角の円錘状ビームの中に含んでいることになる。
【0070】 本考案において発生させられるX線の高度な方向性は、遮蔽の必要性を完全に 排除するわけではないが、相当に減少させる傾向をもっている。また、従来のX 線装置の広い指向性パターンと対照的に、高度に方向性を有するビームの位置を 確実に知ることができるので、走査モード中に前記ビームを動かすことは、非常 に重要である。
【0071】 好適な実施例によれば、標的(6)は、X線感応式検知器のマトリックスから なる検知器アレイであって、個々の検知器に衝突する単位時間当たりの光子束又 は光子数に比例して、電気的計数信号を発生するようになっている。同時に、X 線ビームを運転するために使用する光学的走査装置(9)及び偏向磁石(12) および(13)は、前記X線ビームの位置を指示する電気的運転信号を発生する ようになっている。
【0072】 前記計数信号及び運転信号は、データ収集計算機(23)に伝達され、かつ処 理されて、調査中の前記試料内に発生している散乱相互作用を表示するデータに 転換される。このデータは、印字装置(24)のような適宜の表示装置に表示さ れるようになっている。
【0073】 前述したX線を発生させるためのコンプトン相互作用とは別に、他のコンプト ン相互作用が前記試料内に発生し、前記X線光子は、試料内の電子に衝突して、 コンプトン反応を起していると思われる。従来は、前記走査ビーム中の個々の光 子のエネルギーを探知することはできなかったので、試料内の散乱相互作用の位 置を正確に知ることはできなかった。本考案によれば、個々の光子のエネルギー を決めることは不可能であり、これによって、三次元放射線写真の分野は、著し く進歩することになる。
【0074】 前記検知器アレイは、対象物の後方に配置されて、二次元放射線写真を形成す るようになされた実質的に平面の主検知器又は平板(6)を構成している。他の 実施例では、複数の実質的に平面の軸方向検知器(6a)を、三次元放射線写真 を形成しうるように、前記対象物の周囲のあらゆる位置に配置している。1対の 軸方向検知器(6a)を患者の両側に配置し、かつ主検知器(6)を、前記患者 の後方に配置することができる。
【0075】 更に他の実施例においては、複数の平面検知器の代わりに、患者の周囲を、完 全に又は部分的に覆うようになっている円筒形検知器を使用している。
【0076】 図5に示すように、通常のX線管から放射されたX線は、広帯域周波数特性を 有している。図において、通常のX線管の出力は、周波数の連続体に、特定周波 数又は特定エネルギー準位における言わゆる特性曲線を重ねるようにして示され ている。
【0077】 図6は、前記特性曲線を含まない同様の広帯域周波数特性を示しており、従来 のシンクロトロンの出力を示している。
【0078】 従来のX線管又はシンクロトロンを用いて、医者が胸部X線検査を実施するた めに、患者に40KeVの放射線を照射しようとすると、患者は、ほぼ40Ke Vをもって、有効領域内の周波数の放射線を被爆するだけでなく、有効領域外の 周波数の放射線をも被爆することになる。従って、患者は、無益なかつ不必要な 照射を受けることになる。そのため、望ましくない副作用及び過量放射線量被爆 を招くこととなる。
【0079】 これとは対照的に、本考案によって発生されるX線は、狭帯域周波数特性を有 している。図7に示すように、40KeV周辺の周波数帯域は非常に狭く、大体 ±0.5%の範囲である。X線の出力は、広帯域周波数の連続体になっていない 。患者は、不必要な無益の放射線を被爆することはなく、所望の放射線のみを被 爆することになる。
【0080】 更に、本考案の重要な他の特徴は、X線の同調能力、即ち選択したエネルギー を有するX線を発生しうることである。例えば、40−50KeV及び90−1 00KeVのX線を用いて影像を合成し、胸部骨格構造又は軟組織のどちらかを 表わすような胸部放射線写真、もしくはその両方を同一の影像に重ねて表わすよ うな胸部放射線写真を製作することができる。
【0081】 2つ以上のX線エネルギーを選択して、それぞれのX線エネルギーのもつそれ ぞれの減衰特性によって、骨格、軟組織、又は脂肪部分を表わしうるように影像 を合成することができる。また、造影剤を注入し、そのk吸収限界の上下のエネ ルギーにおいて影像を製作することによって、患者に対する照射放射線量を最小 として、強いコントラストを提供することもできる。複合式エネルギー影像は、 不純物又は瑕疵を検知する必要のある工業用放射線写真においても、利用するこ とができる。
【0082】 本考案によれば、電磁石(M1)及び(M2)の磁束を変化させて、前記スト レイジリング内の入射電子のエネルギーを変化させることにより、この同調能力 を発揮させることができる。このことは、ある好ましい実施例においては、可変 抵抗器R(第2図参照)の抵抗値を変化させ、それにより、次に前記電磁石の巻 き線への電流を変化させて、磁束を変化させることによりなされる。他の技術に よれば、分割した永久磁石を使用し、機械式駆動装置によって、前記永久磁石の 各々の半分を相互に接近させたり遠ざけたりするようになっている。
【0083】 また、図7において矢印によって示しているように、作業者は、X線装置の出 力を、自由に28KeV又は40KeV、あるいはいかなるエネルギー準位にも 同調させることができる。前記可変抵抗器は、微調整しうるようにアナログ制御 式のものである。必要に応じ、頻繁に使用される特定のエネルギー準位を選択し うるように、デジタル制御装置を使用することもできる。
【0084】 前記同調能力の特徴により、1台のX線装置で様々なX線を発生させて、多目 的に使用することができる。一人の作業者が、同一装置を、診断及び放射線治療 の両方に使用することができる。この多様性は、予算が少なく、かつ作業面積の 制限されている医者、病院及び産業にとって、非常に経費節減効果のある解決策 となる。
【0085】 本考案により発生されるX線は、ほぼ完全に偏極している。偏極度Pは、前述 の通り定義されたγ、及び前記散乱角度の視準半角であるθcを用いて、次式に よって計算される。 P≒1−(rθc)4
【0086】 例をあげて説明すると、γ=284(第I表中、二酸化炭素レーザの欄参照) 及び視準角度θcを約2.865×10-5度(0.5×10-6ラジアン)とした 場合、偏極度は100%となる。従来のX線管は偏極X線を発生しないので、医 学的放射性写真には全く使用されていない。しかし、医学、工業、微量元素分析 には、偏極X線が必要であり、本考案は、特に有用である。
【0087】 例えば、微量元素の測定が可能となり、そのX線スペクトル特性から、生体内 及び生体外での分布を予想しうるようになる。偏極X線の使用によって、厚い試 料(人体の一部分)内で発生する散乱放射線を排除することが可能となるので、 生体内測定の感度は、著しく高められることになる。甲状線内のヨウ素の測定は 、k殻電子の結合エネルギー(約32KeV)に近似するX線エネルギーを用い ることにより、最適に実行される。適切に選択したX線エネルギーを用いて、人 体内の全ゆる高原子番号元素の検出及び計量方法を確立することができる。
【0088】 このようにして、鉛、カドミウム、水銀、砒素等の元素を、様々な励起源を用 いて測定しうる。同調エネルギー偏極X線を用いることによって、工業用材料と 同様に生物学的材料に対しても、最適化多素子微量元素分析を実施することがで きる。 前述したように、不偏極X線に、例えば黒鉛内を通過させて、偏向X線を発生 させる従来技術は、非常に非能率的である。本考案は、これらの欠点を除去して いる。
【0089】 要約すると、本考案によれば、X線が新規な方法によって発生させられるのみ でなく、このX線は、高度の方向性を有し、同調可能であり、狭帯域であるとと もに、単色であり、走査能力を有し、かつ偏極している。
【0090】 全ゆる標準的なX線の応用分野に、本考案によるX線を使用することができる 。胸部X線乳房造影法、小児用X線等には、前記X線の走査能力を、特に好都合 に利用することができる。心臓及び血管の研究は、固定モード又は非走査モード を操作することによって、有益なものになしうる。癌の研究においては、チミジ ンの前駆物質ヨウ素化ヌクレオチドを投与して、ヨウ素等の元素を核酸内にとり 込むことにより、所定の癌細胞腫を選択して照射しうるようになる。この点(光 子放射療法)においても、X線の同調能力は、特に重要性をもっており、特に個 々の腫瘍によって異なった元素を必要とするような場合には、個々の腫瘍に対し て、異なったエネルギーのX線を使用すればよい。
【0091】 医学又は工業用非破壊試験に使用される計算機断面放射線撮影装置は、単数又 は複数のX線エネルギーの差動伝送によって、電子密度の三次元分布状態を影像 化する。これらの装置は、人体に対して多数の角度から照射したX線を伝送する こと、及び比較的長時間(2秒以上)を要する重い装置を、前記対象物の周囲に 回動させることを必要とする。
【0092】 人体から放射される前記コンプトン散乱放射線の測量は、同調可能なX線で構 成される走査ビームの照射中に行なわれる。各X線のエネルギーは、正確に知り うるようになっているので(電子の発生に協働する電子エネルギーの測量による 。)、前記患者又は励磁源を動かすことはなく、人体内の電子密度の三次元分布 を再現することが可能である。標準的射影放射線写真について前述したように、 多量エネルギーを使用することによって、異なった肉体組織を選択して影像化す ることができる。
【0093】 好適実施例のパラメータは、次の通りである。 前記ストレイジリングにおける電子エネルギーは、約142MeVである(第 I表、二酸化炭素レーザ参照)。平均ビーム電流は、300mAである。相互作 用断面積η=1mm2である。ストレイジリングの周長は6mであり、電子繰返 し時間To=20×10-9秒である。相互作用領域の長さは1.5mであり、前 記相互作用領域の相互作用時間Ti=5×10-9秒である。各電子束の長さは3 0cmであり、そのパルス幅時間Te=1×10-9秒である。前記相互作用領域 における衝突頻度fは50MHzである。各電子束内の電子数Ne=1.9×1 09個である。
【0094】 前記レーザについては、二酸化炭素レーザを使用し、その光子エネルギーhν 1=0.124eVである。光子パルス幅は10×10-9秒、繰返し時間は、周 波数100KHzにおいて10×10-6秒である。前記パルスエネルギーは20 ジュール、パルス出力は10MWであり、平均出力は10KWである。各パルス 毎の光子数は5×1018個である。前記光学的空胴内の凹面鏡間の減衰率は、一 通過毎に約2%であり、パルス毎の通過回数は50回である。
【0095】 前記相互作用領域については、視感度は5×1041/m2secである。エネ ルギービーム分解能0.5%に対する散乱断面積σは2.4×10-302である 。視準半角θc=2.865×10-2度(0.5×10-3ラジアン)である。4 0KeVにおける毎秒の光子数は1.2×1012個/秒である。発生するX線持 続時間は1×10-6であり、毎繰返し発生しうる。発生する各X線のパルス毎の 光子数は1.2×106個である。偏向度は1−2.5×10-5≒100%であ る。
【0096】 500mm×500mmの面積に典型的な二次元走査を行なうには、前記円錘 ビーム内で0.5%のエネルギー分解計数を得るために、約1010個の光子を必 要とする。これは、上述の具体的数値例で言えば、104個のX線パルスを使用 して達成される。完全な走査は、約100×10-3秒で完了するようになってい る。これは、従来の機械式走査投影式放射線撮影装置では、走査に15秒から2 0秒要するのに比べて、対照的である。
【0097】 上述の各要素は、あるいは更に2個又は2個以上の要素を加えて、上述の型式 とは異なった構造をもつ他の型式においても有益に応用しうるものであることは 明らかである。
【0098】 以上、X線発生装置の実施例をあげて、本考案を図示し、かつ詳細に説明して きたが、本考案は、これらの詳細な説明及び図面に限定されるものではなく、本 考案の精神から逸脱することなしに、様々な修正及び構造の変化を行ないうるも のである。
【0099】 これ以上付言するまでもなく、前述の説明によって、本考案の本質は完全に明 らかになっているので、第三者は、従来の知識を利用することによって、本考案 の特有の、又は特異な面の本質的な特徴を構成している数々の要件を省略するこ となく、本考案を、様々な応用範囲に容易に適応させることが可能である。従っ て、そのように適応させることは、すべて本考案の技術的範囲に含まれるところ である。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンプトン後方散乱効果の原理を示す線図であ
る。
【図2】本考案によるX線装置の概略図である。
【図3】図2に示す装置を具体化した例を示す透視図で
ある。
【図4】図2の装置の主要構成要素、及び走査実行中の
各構成要素の働きを線図で示す平面図である。
【図5】従来のX線管による放射特性曲線図である。
【図6】従来のシンクロトロンによる放射特性曲線図で
ある。
【図7】本考案による装置による放射特性曲線図であ
る。
【符号の説明】
(1)レーザ発生源 (2)後部反射
凹面鏡 (3)前部反射凹面鏡 (4)ストレイ
ジリング (5)無線周波空胴 (6)標的、主
検知器 (6a)軸方向検知器 (7)管状延長
部 (8)主ケース (9)光学的走
査装置 (10)真空イオンポンプ装置 (11)連通管 (12)(13)偏向磁石装置 (14)管状延長
部 (15)制御装置 (16)〜(21)モ
ジュール (22)吐出口 (23)データ収
集計算機 (24)印字装置 (I)マイクロ
トロン (M1)(M2)扇形電磁石 (R)可変制御
抵抗器 (V)電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 アルフレド ユー ルチオ アメリカ合衆国 ニューヨーク ショアハ ム グリドレイロード ピー.オー.ボッ クス 211 (72)考案者 バートランド エイ ブリル アメリカ合衆国 ニューヨーク ショアハ ム ダートマスロード 37

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の予め決められたエネルギー準位の
    入射電子を、ある一方向に予め決められた行路に沿って
    相互作用領域を通過させる装置と、多数の予め決められ
    たエネルギー準位の入射光子を、前記方向の実質的に反
    対方向に前記相互作用領域を通過するように送り出し、
    かつ前記入射電子と衝突関係を生じるようにすることに
    よって、コンプトン散乱効果によりエネルギー準位の増
    加した反跳光子を、X線放射の対象物体に向けて実質的
    に前記方向に伝播させる装置と、前記入射電子のエネル
    ギー準位を制御して、前記反跳光子を所望の範囲のX線
    に転換する装置とからなることを特徴とする医学的診断
    及び治療、又は工業用試験等の目的に適する範囲のX線
    発生装置。
  2. 【請求項2】 電磁的にX線の伝播方向を変化させるこ
    とによって、X線放射の対象物体を走査する装置を更に
    含んでおり、かつこの走査装置は、電磁的に電子を偏向
    して前記行路の空間的位置を偏倚行路に動かす装置と、
    前記偏倚行路の電子と一致する行路をなすように、前記
    入射光子を動かす装置とを含んでいることを特徴とする
    請求項1記載のX線発生装置。
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