JPH059088A - 高温性固形発熱体の着火具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 高温性固形発熱体を確実に着火・燃焼させ得
て、構造が簡単で、製作が容易な着火具を提供する。 【構成】 不燃性材料によって成型された着火筒１の上
層部に瞬発高温性着火剤５を、又その下層部には伝火剤
４を、それぞれ積層圧填し、この伝火剤の下端を着火筒
下縁から露出するマッチ頭薬３に接触させたことを特徴
とする。マッチ頭薬３を発火させると、その火炎が着火
筒１内の伝火剤４に転火して伝火剤を高温で燃焼させ、
次に上層の着火剤５に転火してこれを爆発的に燃焼さ
せ、更に高温の火炎を発生させるから、この着火剤に接
して設けられた着火点の高い高温性固形発熱体を確実に
着火、燃焼させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば缶容器の内容
物である穀類、麺類または液体飲料等の飲食料を、その
缶容器に内蔵された高温性固形発熱体によって煮沸乃至
は加熱するようにした装置において、その高温性固形発
熱体を確実に着火・燃焼させ得る着火具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、缶容器に収容された生食品や
飲料を随時煮沸、あるいは加熱し得るようにした所謂加
熱型缶容器は、種々の構造のものが知られている。そし
て、その固形発熱体自体として例えば、鉄粉、アルミ粉
またはフエロシリコン粉などに金属酸化物と過酸化物を
混合して、その燃焼によって発生する酸化熱を利用した
自己燃焼型の高温性固形発熱体などが広く利用されてい
るが、このような点火温度の高い高温性固形発熱体に対
する従来公知の着火手段は、発火石の摩擦による方法
（ライター方式）が一般的であった。

【０００３】

【発明を解決しようとする課題】上述した高温性固形発
熱体は、着火温度が１０００℃以上と非常に高く、発火
石を利用した従前の着火装置を用いるためには、固形発
熱体を圧縮成型する際に該発熱体の下面に適量の着火剤
を配置して同時成型する方法、或いは予め成型された着
火剤を固形発熱体の適所に埋め込む等の方法が講じられ
ていた。

【０００４】しかし、上述した従来の固形発熱体による
方法は、いづれもその製作に労力を要するところから、
量産性を考慮した場合、実用的ではなかった。又、上述
した発火石による着火手段では、その装置が大型化する
だけでなく、構造も複雑となり、しかも着火の信頼性も
劣り、生産コストの面でも使い捨ての着火具としては、
なお実用面で多くの課題を残していたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このような実情に鑑み、
本発明者らは主として着火具の合理的構造について鋭
意、実験、改良を重ねた結果、従来技術における着火具
の上記課題を解決することに成功したものである。

【０００６】即ち、不燃性材料によって成型された着火
筒の上層部に瞬発高温性着火剤を、又その下層部には伝
火剤を、それぞれ積層圧填し、この伝火剤の下端を着火
筒下縁から露出するマッチ頭薬に接触させるという手段
を用いた。

【０００７】上記構成に係る本発明の高温性固形発熱体
の着火具は、マッチ頭薬を擦り板などで摩擦して発火さ
せることにより、その火炎が着火筒内の伝火剤に転火し
て伝火剤を高温で燃焼させ、次に上層の着火剤に転火し
てこれを爆発的に燃焼させ、更に高温の火炎を発生させ
るから、この着火剤に接して設けられた着火点の高い高
温性固形発熱体を確実に着火、燃焼させるという格別の
作用を奏する。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の構成を図面に示す実施例に従
って更に詳述すると、図１において１は金属またはセラ
ミック等の不燃性材料からなる着火筒、２は上記着火筒
の下端に固着された金属製のハトメ、３は該ハトメ２の
先端に塗着されたマッチ頭薬である。また４は粉末状の
鉛丹５０重量％、ケイ素鉄２５重量％、三硫化アンチモ
ン２５重量％をそれぞれ混合してなる伝火剤、５は同じ
く粉末状の酸化鉄７０重量％、マグネシウム２５重量％
を配合し、酸化アルミニウム５重量％を配合し、バイン
ダーとして適量の水ガラスを配合してなる着火剤であっ
て、上記伝火剤８ｇに対して着火剤０．３ｇの割合で上
記着火筒１内に積層、圧填し、着火剤５の上面が着火筒
１の上端面と略一致するようにしたものである。

【０００９】而して、伝火剤４の組成は上記実施例に示
したものの他、酸化剤として例えば粉状の酸化鉛、酸化
銅、酸化鉄の内の１又は複数を混合したもの、燃焼剤と
してアルミニュム、フエロシリコン、三硫化アンチモン
等の金属粉末の内の１又は複数を混合したもの及び燃焼
抑制剤としてタルク、酸化アルミニウム、炭酸カルシウ
ムの内の１または複数を混合したものを、それぞれ所望
の比率で配合、混淆したものが使用される。又、着火剤
５としては上記実施例の他、酸化剤として酸化鉄、酸化
銅などの粉末、燃焼剤としてジルコニウム、マグネシウ
ム、アルミニウムなどの粉末の１又は複数を混合したも
のを一定割合で配合し、更に水ガラス等の無機バインダ
ーで固めたものを用いればよい。

【００１０】次に上記構成の着火具を図２に示す自己燃
焼型の缶容器６に適応した場合について述べると、缶容
器６は底板７上に設けられた耐火、断熱体８の中心孔に
上述した構成の着火具９を、そのマッチ頭薬３が底板７
下面に露出するように貫挿し、その直上の発熱体収納室
１０内に直径５０mm、厚さ１５mmの円柱状にプレス成型
された約６０ｇの高温性固形発熱体１１を収納し、更に
缶内の収容部１２には２００ｇの飲料水１３を封入した
ものである。

【００１１】この缶容器６のマッチ頭薬３を擦り板（図
示せず）によって摩擦発火させると、その火炎は直ちに
伝火剤４に着火し、その燃焼が上方に伝播されて着火筒
１内に積層圧填された着火剤５に転火して瞬発的高温に
燃焼し、その高温火炎によって直上の高温性固形発熱体
１１が確実に着火燃焼するものである。

【００１２】この発熱体１１の着火燃焼開始後、約１分
で収容部１２の飲料水１３は１００℃になり、約３分間
沸騰状態を持続した。この試験を１０回繰り返し行った
ところ、発熱体への着火、燃焼は１００％であった。

【００１３】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係る高温性
固形発熱体の着火具によれば、固形発熱体への着火が確
実に得られ、該発熱体が瞬時に燃焼を開始するという着
火信頼性が著しく高く、さらに着火具自体が小型で廉価
に得られるため、特に使い捨ての用途に適した着火具を
提供することができる等、従来のこの種発熱体に対する
着火具または着火装置には期待できなっかた優れた効果
が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】着火具の中心部縦断面図、

【図２】高温性発熱体を内蔵する自己燃焼型の缶容器に
本発明の着火具を適用した実施例における缶容器の中心
部縦断面図、

【符号の説明】

１ 着火具 ２ ハトメ ３ マッチ頭薬 ４ 伝火剤 ５ 着火剤 ６ 缶容器 ７ 底板 ８ 断熱体 ９ 着火具 １０ 発熱体収納室 １１ 高温性固形発熱体 １２ 収容部 １３ 飲料水

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】不燃性材料からなる着火筒の一端にマッチ
   頭薬を配置し、上記着火筒内にマッチ頭薬に接して伝火
   剤を圧填し、更に該伝火剤の上層には瞬発高温着火剤を
   積層圧填したことを特徴とする高温性固形発熱体の着火
   具。
2. 【請求項２】伝火剤が酸化鉛、酸化銅、酸化鉄などの酸
   化物と、アルミニュム、フエロシリコン、三硫化アンチ
   モンなどの燃焼剤と、タルク、酸化アルミニュム、炭酸
   カルシウム中から選ばれた燃焼抑制剤を混合した物質か
   らなり、また着火剤が酸化鉄、酸化銅などの酸化物と、
   ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム等の燃焼剤
   と、水ガラス等の脇バインダーを配合してなる請求項１
   記載の高温性固形発熱体の着火具。