JPH0586611A - 廃棄物最終処分場における遮水シート工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 堤壁で囲まれる産業廃棄物最終処分場の底を
遮水シートで覆い、該遮水シート上に廃棄物を投入して
いく埋立地における遮水シート工法において、埋立地内
外の水頭差に起因する遮水シートの膨れ、皺の発生を有
効に防止することを目的とする。 【構成】 沿岸１より埋立予定地境界に沿って設けたケ
ーソンなどの堤壁２に囲まれる部分の底面３を遮水シー
ト４で覆い、該遮水シート４上に産業廃棄物などの埋立
材料５を投入していく場合において、ケーソンなどの堤
壁２又は遮水シート４に、内部に逆止弁６Ａを有する通
水口６を設け外部より内部への通水のみを可能として埋
立てを行う手段より構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、埋立地における遮水
シート工法に関し、詳しくは、廃棄物を埋立材料とする
廃棄物最終処分場における遮水シート工法の改良に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】沿岸部の埋立てにおいて、管理型一般廃
棄物たとえば台所のごみ、布類、管理型産業廃棄物たと
えば、焼えがら、汚泥及び遮断型産業廃棄物を処分する
最終処分場の建設が行なわれている。このような産業廃
棄物の中には有害物質を含んだものも有り、埋立てられ
た廃棄物の保有水による付近水域及び地下水への有害物
質の溶出を防止する観点から図５に示すように埋立水域
を外部公有水面Ｄ及び地下水から完全に遮断することが
必要となる。この具体的手段として、埋立水域の境界に
沿って遮水堤壁Ａを設けると共に底面Ｂにゴムシートな
どの遮水シートＣを全面に敷設し、この遮水シートＣと
堤壁Ａとにより埋立水域を外部水域である公有水面Ｄか
ら完全に遮断することが行われる。

【０００３】

【従来の技術の問題点】しかしながら、海底に透水層Ｅ
がある場合、上記のように遮水堤壁Ａを立設し遮水シー
トＣを一面に敷設しても潮汐変動、波浪及び陸側地下水
による内外水頭圧力差により遮水堤壁基部Ａ’及び透水
層Ｅを通じて海水が出入することがありこれを防止する
ため矢板ａ及び腹付土ａ’の施行を行っても公有水面側
Ｄの潮位が埋立水域より高い場合とか公有水面側Ｄの波
浪による圧力差がある場合とか陸側地下水位が高い場合
等はその下方の透水層Ｅを介して埋立水域底面Ｂから湧
水し、この圧力によって遮水シートＣが持ち上げられ膨
れや皺を生じ、甚だしい場合はこれらに起因して遮水シ
ートＣが破断する場合があり折角のシートの遮水性が損
なわれる場合がある欠点があった。

【０００４】この対策として、矢板ａを不透水層である
Ｆまで打込み遮水する方法がとられるが透水層Ｅの厚さ
が厚い場合や、透水層Ｅの土質が強固である場合など
は、矢板ａの根入れが浅くなることがあり、遮水が不完
全となる結果前述のシートの膨れや、皺をおさえること
は出来ない場合がある。しかも、上述のような遮水シー
トＣの変形破断は、埋立土あるいはこれらにより埋立側
滞水が濁った状態となり視認することが殆どできず、気
付かずにそのまま埋立てを進めると後の溶出事故が生じ
た場合の対策が非常に困難となる欠点があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記問題
点に鑑み潮汐変動及び波浪で生じる浸水に起因する遮水
シートの膨れ、皺の発生を有効に防止しもって安全に埋
立作業が行える埋立地における遮水シート工法を提供す
ることを目的としたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】即ち、この発明の埋立地
における遮水シート工法は、堤壁で囲まれる廃棄物最終
処分場予定地底面に遮水シートを敷設し、該遮水シート
上に廃棄物を投入していく廃棄物最終処分場における遮
水シート工法において、外部への流出は防止するがその
逆は許容する通水口を設け、しかるのち廃棄物を投入し
ていくことを特徴とするものである。

【０００７】

【作用】この発明において、周囲水面から遮断された埋
立水域には外部からは水が流入し内部からは流出しない
通水口で連通されているので、埋立水域内は常に外部水
域の最高水位を保ち、この水頭圧により遮水シートが抑
えられ膨れや皺の発生が防止される。従って、遮水シー
トの破断に起因する有害物質の外部への流出が防止され
る。

【０００８】

【実施例】次に、この発明の実施例を説明する。図１は
この発明の実施例の断面図、図２は他の実施例の断面
図、図３、図４はさらに他の実施例の要部断面図であ
る。

【０００９】この発明の埋立地における遮水シート工法
は、沿岸１より埋立予定地境界に沿って設けたケーソン
などの堤壁２に囲まれる部分の底面３を遮水シート４で
覆い、該遮水シート４上に廃棄物などの埋立材料５を投
入していく場合において、ケーソン、矢板及び腹付土な
どからなる堤壁２に、逆止弁６Ａを有する通水口６を外
部水面の最低水位ＬＷＬ付近に設け外部より内部への通
水のみを可能として埋立てを行う手段より構成されてい
る。

【００１０】従って、埋立水域外部の水位が実線で示す
ように埋立水域の水位より高くなれば外部より水が流入
するが、逆の関係となった場合は逆止弁６Ａにより埋立
地内面の水の流出が防止され付近外部水面の汚濁が防止
される。上記逆止弁６Ａは例えば図示のように、パイプ
等からなる通水口６の埋立水面側開口を下向き開口と
し、その開口６Ｂに球形状体の浮体６Ａをガイド６Ｃな
どにて上下方向に移動可能に支持した構造とされる。な
お埋立ての進行と共に上昇する埋立水域内の水は汚水処
理場（図示省略）を介して外部へと排出される。

【００１１】上記実施例として、堤壁２に通水口６を設
けた場合を示したが、図２に示すように、埋立水域底面
３に敷設した遮水シート４に逆止弁６Ａを有する通水口
６を設けることもできる。この場合、外部水域の潮位上
昇によって底面３より湧出する水は、弁６Ａを押し上げ
て埋立水域内に流入するので、このときに遮水シート４
全体加わる押し上げ圧力の緩和が図れ、さらに流入によ
り埋立地域内の地下水位が上昇すれば水頭圧により遮水
シート４の膨れ等が防止される。 図中６Ｄは弁６Ａの
ガイド、６Ｅは逆止弁６Ａ全体を覆う廃棄物５の流入防
止用ストレーナ、６ｅは海底土砂流入防止用のフィルタ
ーをそれぞれ示す。

【００１２】上記実施例における逆止弁６Ａの構造とし
て、円板体を弁体とした場合を示したが、図３に示すよ
うに球状弁６ａとすることもできる。この場合、球状弁
６ａと接する弁座６ｄはテーパ状となるので遮蔽時のシ
ール性が良い。さらに、上記逆止弁６Ａは図４に示すよ
うに遮水シート４に設ける通水口６周囲にフランジ状突
起６Ｄを設け、このフランジ６Ｄに逆止弁６Ａを取付け
る構造とすることもできる。この場合は逆止弁の取付け
が容易となって都合が良い。

【００１３】

【発明の効果】この発明は以上説明したように、埋立水
域底面３に遮水シート４を一面に敷設した場合、通水口
６に設けた逆止弁６Ａを介して埋立水域内へのみ水が流
入可能とされているので、流入した水の水頭圧により湧
出が完全に防止され、遮水シート４の膨れ，皺，さらに
は破断等の事故が完全に防止でき汚濁物質の流出の恐れ
なく廃棄物による埋立工事が可能となるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例の断面図である。

【図２】他の実施例の断面図である。

【図３】さらに他の実施例の断面図である。

【図４】さらに他の実施例の断面図である。

【図５】従来例の断面図である。

【符号の説明】

１ 沿岸 ２ 堤壁 ３ 底面 ４ 遮水シート ５ 埋立材料 ６ 通水口 ６Ａ 逆止弁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 堤壁で囲まれる廃棄物最終処分場予定地
   底面に遮水シートを敷設し、該遮水シート上に廃棄物を
   投入していく廃棄物最終処分場における遮水シート工法
   において、外部への流出は防止するがその逆は許容する
   通水口を設け、しかるのち廃棄物を投入していくことを
   特徴とする廃棄物最終処分場における遮水シート工法。