JPH058267U - 積層板型熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は伝熱板を交互に隔てて隣合う断熱板
相互間が常に一続きの流路を形成して、偏流や圧損を生
じない積層板型熱交換器を提供することを目的とする。 【構成】 本考案は複数枚の多孔伝熱板の相互間に断熱
板を挟んで積層した積層体に、上記伝熱板と断熱板各々
に設けた流路により積層方向に２系統の流体通路を形成
し、２系統の流体間で上記伝熱板を介して熱交換させ、
さらに上記断熱板により積層方向の伝熱をしゃ断するよ
うにした積層板型熱交換器において、上記断熱板の相互
をその中心から放射状に複数個の区画に等分し、等分さ
れた各区画に所定の角度断熱板を回転させたとき完全に
一致するよう合同な形状の流路を穿設すると共に、上記
断熱板を相互に所定の角度回転させて多孔伝熱板と交互
に接合し、積層方向に隣り合う２枚の断熱板の複数の区
画に分けられた上記流路が高温側低温側それぞれにおい
て一続きの共有する流路を形成するよう構成してなるこ
とを特徴とする積層板型熱交換器を構成とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は例えばＨｅ液化／冷凍装置などの極低温機器に適用される積層板型熱 交換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図３に従来の積層板型熱交換器の一例を示す。１は多孔伝熱板（アルミニウム 製など）と断熱板（ＦＲＰ製など）を交互に接着シートを介して接着した積層体 、２，３はそれぞれ積層体１に設けた高温流体を通すための高温流路と低温流体 を通すための低温流路、４は上記高温流路２、低温流路３に高温流体、低温流体 をそれぞれ分配するためのヘッダであり、図中の矢印の様に低温流体、高温流体 が流入、流出する。５は積層体１およびヘッダ４を保持するためのステンレス製 などの外殻、６は積層体１を組み立てる際、伝熱板や断熱板の位置合わせを行う ための心棒である。

【０００３】 図４に図３の積層体１の構造を分解斜視図で示す。１１は高温流路２、低温流 路３を穿設した断熱板であり、通常断熱性の高いＦＲＰなどが用いられる。１２ は微小な孔を多数個穿設した伝熱板であり、伝熱性の良好なアルミニウムなどが 用いられる。断熱板１１と伝熱板１２は接着シート１３を介して交互に接着され る。図５は断熱板１１の正面図である。

【０００４】 高温流体と低温流体はそれぞれ高温流路２、低温流路３を通り、伝熱板１２を 介して熱交換する。また、伝熱板１２と交互に積層された断熱板１１の働きによ り積層方向の伝熱はしゃ断される。

【０００５】 断熱板１１に穿設する流体通路の形状としては例えば図４に示すように放射状 に扇形（低温流路３）と長方形（高温流路２）を交互に配置したものがある。（ 雑誌「住友重機械技報，Vol.３２，No. ９５」）

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

図４に示すような従来の積層板型熱交換器の断熱板１１に穿設した流体流路に は解決すべき次のような課題があった。 （１）流路が複数個に分割されているため、流体流路の製作精度や組立て精度が 悪い場合、流体の偏流が起こりやすい。 （２）上記（１）の原因により、熱交換器全体の圧力損失の増加や熱交換効率の 低下を招く。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記課題の解決手段として、複数枚の多孔伝熱板の相互間に断熱板を 挟んで積層した積層体に、上記伝熱板と断熱板各々に設けた流路により積層方向 に２系統の流体通路を形成し、２系統の流体間で上記伝熱板を介して熱交換させ 、さらに上記断熱板により積層方向の伝熱をしゃ断するようにした積層板型熱交 換器において、上記断熱板の相互をその中心から放射状に複数個の区画に等分し 、等分された各区画に所定の角度断熱板を回転させたとき完全に一致するよう合 同な形状の流路を穿設すると共に、上記断熱板を相互に所定の角度回転させて多 孔伝熱板と交互に接合し、積層方向に隣り合う２枚の断熱板の複数の区画に分け られた上記流路が高温側低温側それぞれにおいて一続きの共有する流路を形成す るよう構成してなることを特徴とする積層板型熱交換器。

【０００８】

【作用】

本考案は上記のように構成されるので次の作用を有する。

【０００９】 即ち、本考案による積層板型熱交換器では、積層方向に隣り合う２枚の断熱板 の流体通路が高温側低温側それぞれにおいて、一続きとなるため、流路が分割さ れていることによる偏流が起こりにくく、従って偏流による圧力損失や熱交換効 率の低下を防止することができる。

【００１０】

【実施例】

本考案の一実施例を図１、図２により説明する。

【００１１】 図１は本実施例に係る積層板型熱交換器用断熱板の正面図である。図において 、１１は断熱性の高いＦＲＰ製などの断熱板である。断熱板１１には全く同一形 状の高温流路２が３か所、また同様に、全く同一形状の低温流路３が３か所、図 に示す様に、中心から放射状に穿設されている。高温流路２は２つの長方形孔２ ａ，２ｂとこれらを結ぶバイパス孔２ｃより構成され、低温流路３は２つの扇形 孔３ａ，３ｂとこれらを結ぶバイパス孔３ｃより構成される。２１，２２は断熱 板１１と伝熱板１２（図２に示す）を積層する際、位置合わせのため用いる切り 欠きである。

【００１２】 本断熱板１１は図２に示すように伝熱性の良好なアルミニウム製などの多孔伝 熱板１２と交互に接着シートなどにて接合され、（なお、図２に接着シートは図 示しない）積層体を作る。

【００１３】 図２に於て、第１の断熱板１１Ａに対し第２の断熱板１１Ｂは図の様に６０° 回転して配置する。即ち、第１の断熱板１１Ａの位置合わせ用切り欠き２１と第 ２の断熱板１１Ｂの位置合わせ用切り欠き２２の位置が一致するように配置する 。

【００１４】 断熱板の形状および配置を上記の様にすることによって、第１の断熱板１１Ａ の高温流路２は第２の断熱板１１Ｂの高温流路２の一部及び２′の一部と対向す ることとなり、第１の断熱板１１Ａと第２の断熱板を合わせたものは、高温流路 が一続きとなる。また低温流路３についても同様に、第１の断熱板１１Ａの低温 流路３の一部及び３″の一部は第２の断熱板１１Ｂの低温流路３と対向すること になり第１の断熱板１１Ａと第２の断熱板１１Ｂを合わせたものは低温流路３が 一続きとなる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案は上記のように構成されるので次の効果を有する。

【００１６】 即ち、本考案による断熱板の流体流路形状を持つ積層板型熱交換器では任意の 相隣り合う２つの断熱板では流体流路が一続きとなるため流体の偏流が起こりに くい。

【００１７】 また、上記のような理由により、従来の積層型熱交換器に比べ圧損が小さく、 熱交換効率も向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る積層板型熱交換器用断
熱板の正面図である。

【図２】上記実施例に係る積層体の構造を示す図で、
（ａ）は分解斜視図、（ｂ）は（ａ）のＡ矢視図、
（ｃ）は（ａ）のＢ矢視図である。

【図３】従来の積層型熱交換器を示す斜視図である。

【図４】従来の積層型熱交換器用積層体の構造を示す分
解斜視図である。

【図５】従来の積層型熱交換器用断熱板の正面図であ
る。

【符号の説明】

２ 高温流路 ３ 低温流路 ３ａ，３ｂ 扇形孔 １１ 断熱板 １２ 多孔伝熱板

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 複数枚の多孔伝熱板の相互間に断熱板を
   挟んで積層した積層体に、上記伝熱板と断熱板各々に設
   けた流路により積層方向に２系統の流体通路を形成し、
   ２系統の流体間で上記伝熱板を介して熱交換させ、さら
   に上記断熱板により積層方向の伝熱をしゃ断するように
   した積層板型熱交換器において、上記断熱板の相互をそ
   の中心から放射状に複数個の区画に等分し、等分された
   各区画に所定の角度断熱板を回転させたとき完全に一致
   するよう合同な形状の流路を穿設すると共に、上記断熱
   板を相互に所定の角度回転させて多孔伝熱板と交互に接
   合し、積層方向に隣り合う２枚の断熱板の複数の区画に
   分けられた上記流路が高温側低温側それぞれにおいて一
   続きの共有する流路を形成するよう構成してなることを
   特徴とする積層板型熱交換器。