JPH058209A - 粉体の成形方法 - Google Patents

粉体の成形方法

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JPH058209A
JPH058209A JP16174291A JP16174291A JPH058209A JP H058209 A JPH058209 A JP H058209A JP 16174291 A JP16174291 A JP 16174291A JP 16174291 A JP16174291 A JP 16174291A JP H058209 A JPH058209 A JP H058209A
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slurry
mold
dispersion medium
cast
pressure
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JP16174291A
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English (en)
Inventor
Michitaka Satou
道貴 佐藤
Akira Kato
加藤  明
Hiroaki Nishio
浩明 西尾
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】分散媒に金属またはセラミック粉を分散させた
スラリーを鋳込み成形により多孔質鋳型に鋳込む工程、
この多孔質鋳型を圧媒粒子に埋め込み、スラリー中に添
加した全ての分散媒が液体状態を保てる温度にスラリー
温度を保持した後、外部から1kg/cm2以上10000kg/cm2
以下の圧力で圧媒粒子ごと加圧してスラリー中の分散媒
の一部を多孔質鋳型に吸収せしめて除去することによ
り、スラリーに保形性を付与すると同時に粉体を圧密す
る工程、かかる処理を施した成形体中に残存する分散媒
を乾燥または加熱分解することによって除去する工程よ
りなる粉体の成形方法。 【効果】本発明の方法により、高密度、均一な密度分布
を持った成形体の作製が可能になった。また、実質的に
熱分解して除去する分散媒の量を減らすことができるた
め、後工程の乾燥や熱分解工程の時間を大幅に短縮する
ことが可能になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金属またはセラミッ
ク粉を分散させたスラリーを鋳込み成形により多孔質鋳
型に鋳込む、粉体の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属粉、セラミック粉、セラミックと金
属の混合粉を成形する方法として、鋳込み成形がある。
この鋳込み成形は金属粉、セラミック粉、セラミックと
金属の混合粉を水または有機物に分散させたスラリーを
作製し、このスラリーを非吸液性または多孔質性の鋳型
の中に鋳込む方法である。非吸液性の型の中に鋳込む場
合には、スラリー中の分散媒の凝固現象を利用してスラ
リーに保形性を与えており、多孔質性の鋳型の中に鋳込
む場合には、スラリー中の分散媒を多孔質性の鋳型に吸
収させることにより除去し鋳型内面に粉体の着肉層を形
成させている。その際、成形時間や乾燥時間の短縮を図
るために鋳込むスラリーを加圧して鋳込む場合もある。
このような操作を行うことは成形体の均一化にとっても
有効である。また、さらに均一性を向上させるために、
得られた成形体に冷間静水圧処理を施す方法も知られて
いる。成形が終了した成形体からスラリー中の分散媒は
脱脂工程で乾燥または熱分解によって除去される。乾燥
させて除去する場合には、雰囲気の温度や湿度を管理
し、非常に長い時間かけてゆっくりと分散媒を除去す
る。一方、熱分解除去する場合には、割れや欠陥のない
健全な成形体を作製するために脱脂雰囲気を加圧した
り、有機物の蒸発速度が一定になるように加熱速度を工
夫するなど様々な手段が用いられている。例えば、特開
平3−24204号にはスラリーを多孔質鋳型に入れたまま
加熱して分散媒を蒸発させ、あるいは熱分解により除去
する方法が開示されている。脱脂工程において、乾燥ま
たは熱分解によって分散媒が除去された成形体は、焼結
工程で緻密化を図り焼結体とする。この工程の概要を図
4に示す。さらに、必要があれば機械加工を加えて切削
工具、機械構造部品として使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】金属粉、セラミック粉
またはセラミックと金属の混合粉を鋳込み成形して、特
に大型部品を成形する場合、スラリーを加圧することは
成形体密度の向上や均一性にとっては有効である。しか
しながら、成形に用いる型に高価な金型やBN型を用い
らざるを得ないこと、加圧が鋳込み口から行われるため
に印加できる圧力には限界があること、できた成形体の
密度にまだバラツキが生じ易いなどの問題点が残されて
いる。このように一度発生した密度の不均一性は、後工
程の乾燥や熱分解工程において改善することは困難であ
り、場合によっては乾燥時、熱分解時や焼成時に割れや
クラックを生じる原因になる。このような密度の不均一
性を解消するための手段として、例えば特開平1−2304
82号公報では脱脂後の成形体の表面に弾性皮膜をコーテ
ィングした後、冷間静水圧処理を施し内部欠陥の除去、
成形体密度の向上を図る方法について記述しているが、
脱脂後の成形体は強度が低下しているので成形体を壊さ
ずに冷間静水圧処理を施すことは困難であり、できれば
脱脂前にこのような密度の不均一性を解消しておいた方
が好ましい。
【0004】一方、成形が終了した成形体からの分散媒
の除去は前述の如く、乾燥させて除去する場合には雰囲
気の温度や湿度を厳重に管理し、非常に長い時間かけて
ゆっくりと分散媒を除去する必要があり、急速に乾燥し
たりすると毛管力による収縮のために確実に割れやクラ
ックが発生する。従って、乾燥のための非常に広大な場
所を必要とするため、生産性が高い方法とは言い難い。
また、熱分解除去する場合にも同様な問題点がある。す
なわち、割れや欠陥のない健全な成形体を作製するため
には、熱分解によって生じた分解ガスの発生速度よりも
成形体の外に排出される速度の方が速いことが必要であ
る。つまり、分解ガスの発生速度が速すぎる場合は、そ
れが成形体内部にたまって成形体の膨れ、割れ、剥離等
の原因になるためである。ゆえに、熱分解時の昇温速度
は極めて遅くせざるを得ず、ターボチャージャー程度の
大きさであっても通常3週間程度の長時間を要する。こ
れを短縮するため脱脂雰囲気を加圧したり、有機物の蒸
発速度が一定になるように加熱速度を工夫するなど様々
な手段が講じられているがまだ不十分である。
【0005】本発明は、このような粉体の鋳込み成形に
おける問題点を解決するべくなされたものであり、スラ
リーの鋳込み成形技術において得られる成形体に不都合
を与えることなく短時間に分散媒の一部を除去し、乾燥
または脱脂の一部を終了させると同時に、成形体密度の
向上と均一化を図り、さらに乾燥または脱脂時間を大幅
に短縮させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、分散媒に
金属またはセラミック粉を分散させたスラリーを鋳込み
成形により多孔質鋳型に鋳込む工程、この多孔質鋳型を
圧媒粒子に埋め込み、スラリー中に添加した全ての分散
媒が液体状態を保てる温度にスラリー温度を保持した
後、外部から1kg/cm2以上10000kg/cm2以下の圧力で圧
媒粒子ごと加圧してスラリー中の分散媒の一部を多孔質
鋳型に吸収せしめて除去することにより、スラリーに保
形性を付与すると同時に粉体を圧密する工程、かかる処
理を施した成形体中に残存する分散媒を乾燥または加熱
分解することによって除去する工程を経ることにより、
前記の問題点を解決できることを見い出し、本発明を完
成させるに到ったのである。
【0007】本発明の方法で成形される粉体は、2%N
i−98%Fe混合物、SUS316粉、高速度鋼等の金属
粉、窒化珪素、炭化珪素等のセラミック粉、炭化タング
ステン−コバルト混合粉、炭化チタン−ニッケル混合粉
等の金属とセラミックスの混合粉である。これらの粉体
の粒径は0.1〜100μm程度である。
【0008】金属またはセラミックス粉を分散させる分
散媒は、粉末に流動性を付与する役割を担うが、従来の
ように成形用バインダーとしての役割は不要である。本
発明では、分散媒は液体状態で外部からの加圧によって
その一部が多孔質鋳型に吸収・除去されることによりス
ラリーは流動性が消失し、さらに保形性を生じて成形体
となるからである。また、分散媒は常温で液体でも固体
でも良いが、固体の場合、できれば150℃以下の融点を
持つか他の分散媒に溶解できるものであることが望まし
い。150℃を超える温度でのセラミック粉の分散あるい
は加圧操作には大がかりな装置を必要とするからであ
る。これらの目的に適合する分散媒としては、水、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール
などのアルコール類、アセトンなどのケトン類、オレイ
ン酸、ステアリン酸などのカルボン酸類、ヘキサン、ベ
ンゼン、パラフィンなどの炭化水素類等が挙げられる。
スラリーに適正な流動性を与えるために、これらの少な
くとも1種類に市販品の各種分散剤や滑剤あるいは増粘
剤としてのポリビニルアルコール、ポリビニルブチラー
ル、メチルセルロース、エチルセルロース、フェノール
類、アミン類、流動パラフィン等を組み合わせて流動性
や粘性を調整することができる。適正な流動性の目安と
しては、スラリーの粘度が50〜104センチポイズの範囲
にあることである。
【0009】スラリーは鋳込み成形ができる流動性を有
するものであれば良い。その濃度は20体積%以上、85体
積%以下であることが必要である。望ましくは45体積%
以上、75体積%以下である。20体積%に満たないと流動
性には優れるが、加圧によって分散媒を多孔質鋳型に吸
収させて外に排出する過程でスラリーの収縮率が著しく
大きくなり、成形体の寸法精度が低下する。また、85体
積%を超えると粉の粒度分布、分散剤等を工夫しても成
形に必要な流動性を与えるのは困難になる。
【0010】多孔質鋳型は、スラリーの鋳込み成形時の
保圧に耐える強度を有し、さらに鋳型の加圧時に分散媒
が外部に排出できる細孔を有していなければならない。
加えて鋳込み成形後、鋳型を圧媒粒子を介して等方的ま
たは疑似等方的に加圧する際、鋳型自身も等方的に圧縮
される強度である必要がある。また、鋳型の内面の形状
をスラリーに転写して肌の良好な成形体とするために
は、鋳型自身も良好な内面肌を有していなければならな
い。このような目的に合う鋳型を作製するためには精密
鋳造でいう、いわゆるシェル鋳型と同様な手法を用いる
ことができる。すなわち、鋳型のキャビティ形状に相当
するパターンをワックスや尿素等で作製し、このパター
ン表面にパターン除去のための開口部を除いて窒化珪素
粉、BN粉、シリカフラワー、ジルコンフラワー等のセ
ラミック粉をポリビニルアルコール、ポリビニルブチラ
ール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、パラフィンワックス、フェノール
樹脂、エポキシ樹脂等の有機物系バインダーの1種また
は複数種と共に、水または炭化水素類やアルコール類な
どの有機溶剤中に分散させたスラリーを塗布してからケ
イ砂、ジルコン砂、アルミナ砂、ガラス粉等のセラミッ
ク粉をサンディングする。この操作を繰り返すことによ
り、所定の厚みと強度を有するシェル鋳型を作ることが
できる。ここでサンディング用スラリーのバインダーは
有機物系バインダーである方が望ましい。なぜならエチ
ルシリケートまたはその加水分解液、コロイダルシリカ
などの無機系バインダーを用いると、シェル鋳型の強度
を大幅に高めることができる反面、加圧によって容易に
は変形せず、内部の成形体に型効果が表れるからであ
る。すなわち、コーナー部などシェル鋳型が潰れにくい
ところでは成形体は変形する。有機物系バインダーを使
用することによって、加圧による変形も容易になると共
に、後工程で分散媒を熱分解除去する際、同時に熱分解
されてシェル鋳型は強度低下または自己崩壊するので成
形体からの除去も容易になる。これらバインダーを熱分
解させるためには、400℃以上1200℃以下が適してい
る。しかしながら、シェル鋳型の形状や有機バインダー
の種類によっては、有機物系バインダーのみで所定の強
度が出せない場合もある。この場合は、無機系バインダ
ーを有機物系バインダーに混合して強度を調整すること
も可能である。一方、鋳型自身が良好な内面肌を持つた
めには通常、スラリー中の固形分濃度を調整したりバイ
ンダー量を適正化することによって凹凸や剥離の無い健
全な面を作製している。このような目的のためには、最
内層に塗布するセラミックスのスラリーの代わりに、多
孔質のウレタン膜等の有機膜を形成させても良い。この
ように、形成させた有機膜の上にスラリーの塗布とサン
ディングを繰り返すことにより、シェル鋳型を作製す
る。これにより、最内層は極めて平滑な皮膜が形成で
き、良好な転写性を実現し、また分散媒の熱分解の段階
で同時に、かつ完全に分解除去することも可能である。
こうしてできたシェル鋳型は水蒸気処理、熱分解、水
洗、有機溶剤による溶出等によって内部のワックス、樹
脂、尿素等を除去し、多孔質のシェル鋳型を得る。この
型は毎回使い捨てになるが、複雑な形状に対処できる利
点がある。
【0011】このようにしてできた多孔質鋳型の開口部
からスラリーを鋳込み成形する。この時のスラリーの温
度はスラリーが適正な流動性を持てる範囲にあれば良
く、鋳込み圧力、時間は多孔質鋳型中にスラリーが完全
に充填されるように調整すれば良い。
【0012】次いで、この多孔質鋳型を圧媒粒子に埋め
込み、スラリー中に添加した全ての分散媒が液体状態を
保てる温度にスラリー温度を保持後、外部から圧媒粒子
ごと等方的または疑似等方的に加圧する。圧媒粒子とし
ては、加圧処理中に変形できるものであれば粉体でも粉
体をワックスなどの可塑性を持つ材料中に分散したもの
でも良い。このような粉体の例としては、ジルコンフラ
ワー、シリカフラワー、ジルコンサンド、アルミナサン
ドなどの粒径が20〜1000μm程度の精密鋳造用材料、粉
末状ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、吸
水ポリマー、吸油ポリマーなどの粒径が100〜5000μm
程度の有機高分子材料、アルミナ、窒化珪素などの粒径
が0.1〜5μm程度のセラミック粉などが挙げられる。
これらの粉末は、スラリーと同じ温度になるように前も
って加熱しておくと、多孔質鋳型の温度低下の防止に有
効である。ここで、圧媒粒子を使用するのは3つの目的
がある。1つ目は、どんな複雑形状の多孔質鋳型であっ
ても圧媒粒子に埋込めば形状の制約がなくなり、シリン
ダーに装入後一軸プレスを施したり、単純形状のゴム型
等に封入後、静水圧プレスが出来ることである。2つ目
は、圧媒粒子により多孔質鋳型に等方的または疑似等方
的な加圧がかけられることにより、分散媒は多孔質鋳型
あるいは多孔質鋳型と圧媒粒子層に均一に吸収されるた
め変形等がなく、寸法精度が良好な成形体が得られるこ
とである。そして3つ目は、圧媒粒子によって多孔質鋳
型を加圧する際、加圧と同時に圧媒粒子の多孔質の層が
開口部にも形成され、スラリーの飛び出しを防止すると
共に、スラリー中の分散媒の一部を吸収させることであ
る。この多孔質鋳型の鋳込み口部は、加圧工程に先だっ
て塞いでおいてもかまわない。この操作は、たとえばシ
ェル鋳型を作製した時と同じ操作を開口部にも前もって
施しておくことにより、または開口部の大きさに見合っ
た鉄やアルミニウムなどの金属や窒化珪素や炭化珪素な
どのセラミックスの緻密質材料、または多孔質アルミナ
石膏、ステンレス製多孔質板などの多孔質材料を開口部
に埋込むことにより達成できる。いずれにしても開口部
の面積は後工程の加圧で吸液が進行する全体の表面積に
比べて無視し得る程小さいので、開口部を塞ぐ材質はス
ラリーの飛び出しが防止できる限り緻密質でも多孔質で
もかまわない。
【0013】スラリーの温度は、少なくとも加圧の初期
においてはスラリー中に添加した全ての分散媒が液体状
態を保てる温度である必要がある。なぜなら、添加した
分散媒の種類によらず分散媒が液状である限り多孔質鋳
型への吸収は毛細管現象により進行するからである。こ
れは、加圧によってさらに促進される。液状である条件
は以下のような条件で達成できる。すなわち、分散媒が
複数種類の混合物である場合、分散媒の温度がこれら混
合物の融点とみなせる温度(通常は添加した分散媒のう
ち最も高い融点)以上になっている場合や単独では固体
でしか存在出来ない温度でも同時に添加した別の分散媒
に相互溶解している場合などである。前者の場合、混合
物の粘度は融点近傍で著しく変化するので、分散媒の温
度はこの融点より高温側に設定する必要がある。この範
囲は5℃以上100℃以下とすべきである。5℃未満だと
ほとんどの場合粘度が著しく上がり、毛細管現象による
吸収効率が低下するためであり、また100℃を超えると
分散媒の蒸気圧が高くなり、これが成形体中の欠陥の原
因になるためである。この場合、設定温度が常温付近に
ある場合は問題なく加圧操作できるが、常温より高い場
合は多孔質鋳型を加熱炉中で所定の温度まで加熱した
後、加圧操作を行う。加圧にバッチ式の炉を用いる場
合、温度変化をゼロにするのは困難であるが、処理温度
に見合う温水中で行うことによりこれを最少限に抑える
ことができる。さらに抑える場合には、加熱装置付の加
圧炉を用いれば良い。
【0014】また、加圧は実質的に等方加圧であるので
通常の方法のように、1方向から圧力を加える方法(鋳
込み成形、可塑成形)とは比較にならないような高圧の
適用も可能である。圧力は1kg/cm2以上10000kg/cm2
下の範囲から選ばれる。この理由は、1kg/cm2以下の圧
力では加圧による分散媒の多孔質鋳型への吸収の効果は
ほとんど無いか、極めて長時間の処理が必要とされるた
めであり、10000kg/cm 2以上の圧力は分散媒の吸収には
過剰であり、装置も大型化するので実用的ではない。従
って5kg/cm2以上5000kg/cm2以下の圧力がより望まし
く、被処理物の大きさや厚さによって適宜選べば良い。
このような条件下ではきわめて短時間の加圧によっても
スラリー中の分散媒が多孔質鋳型あるいは多孔質鋳型と
圧媒粒子層に吸収・排出され、スラリーは流動性を失っ
て保形性を発現する。この効果は、いわゆるスリップキ
ャストと同様の現象と考えられるが、本発明では高濃度
のスラリーが使えるため、分散媒がわずかに排出するだ
けで保形性が発現できること、高圧の使用が可能なため
より短時間で成形体の中心部分まで分散媒の排出が終了
できるなどのメリットがある。また、加圧中はスラリー
中に存在する分散媒の可塑剤としての効果によって粒子
が再配列し、密度分布のない高密度化な成形体の作製が
可能となる。さらに、かかる操作は成形体中に存在する
分散媒の絶対量を減少させるので、後工程の熱分解工程
に要する時間の短縮にも有効である。
【0015】加圧装置は特に限定されるものではない。
圧媒粒子に圧力を印加できるものであれば良く、一軸プ
レス装置、CIP装置、ガスを圧力媒体とした通常の加
圧炉などが使用できる。また、鋳込み成形とこれに引き
続く加圧操作が同一装置でできるように、鋳込み成形装
置と加圧装置が組み合わさった装置を用いても良い。
【0016】本発明の方法においては、鋳込み工程から
加圧工程までを可能な限り温度を変動させないことが望
ましい。温度変動は、スラリーの膨脹または収縮をひき
起こし、成形体の内部歪みの原因となるからである。従
って、この問題を回避するためには鋳込み温度と加圧時
の温度の差は40℃以下とし、室温から大きく離れること
がないよう0℃以上、150℃以下の温度範囲で両工程を
実施するのが望ましい。
【0017】次に、加圧処理の終了したシェル鋳型は乾
燥または熱分解工程にまわす。これらの方法には特に制
約はない。乾燥は温度、湿度、雰囲気の制御ができる室
内で行えばよい。熱分解は、分散媒およびシェル鋳型中
のバインダーの熱分解ができる温度が達成でき、雰囲気
の制御ができる炉であればよい。乾燥工程を終了したシ
ェル鋳型は引き続き熱分解工程にまわし、シェル鋳型の
強度低下もしくは自己崩壊させて鋳型を除去し、成形体
を得る。一方、直接熱分解工程にまわされたシェル鋳型
は、熱分解中に被処理物中の残留分散媒の除去とシェル
鋳型の強度低下もしくは自己崩壊が同時に起こり、鋳型
の除去が容易になる。次いで、脱型工程を経て成形体を
得る。
【0018】成形体は焼結工程を経て緻密な焼結体とす
る。本発明の工程のフロー図を図1に示す。
【0019】
【作用】本発明の粉体の鋳込み成形においては、従来法
のように一方向からの鋳込みとは異なり、多孔質鋳型に
スラリーを鋳込んだ後、鋳型ごと圧媒粒子層の外部から
加圧しているので等方的または疑似等方的に加圧されて
強制的に分散媒を鋳型壁面を通して外部に排出させるこ
とにより、スラリーに保形性を付与している。従って、
圧媒粒子層は加圧の前工程を通じて多孔質層となってい
なければならず、しかも該多孔質層の空隙は毛管現象で
鋳型から滲み出してきた分散媒を吸引しうる程度になる
ことが好ましい。分散媒の排出と同時に粉体は圧密され
高密度、均一な密度分布を持った成形体が作製される。
このように、スラリー中の分散媒の量は低減されている
ため乾燥または脱脂に要する時間を大幅に低減すること
ができ、また成形体密度が高いため、乾燥速度や脱脂速
度の影響を受けにくく、健全な脱脂体を得られ易い。
【0020】
【実施例】
実施例1 窒化珪素製のターボチャージャーローターを作製した。
まず、平均粒径0.7μmのSi34 93.0重量部、平均粒
径0.5μmのAl23 2.0重量部、平均粒径0.5μmのY2
3 5.0重量部に融点44℃のパラフィン10.5重量部、オ
レイン酸3.5重量部、市販エステル系分散剤2.0重量部を
加えて24hr真空下で混練した。一方、図2に示すターボ
チャージャーローターに対応するキャビティ形状のシェ
ル鋳型を同上のSi34粉末100.0重量部にポリビニルア
ルコール5重量部を水に分散したスラリーとアルミナサ
ンドによって作製した。このシェル鋳型に上記スラリー
を60℃、鋳込み圧力3kg/cm2で鋳込んだ。鋳込み開始に
伴って、鋳込み圧力は一次的に低下したが3kg/cm2まで
回復してから10分間保持した後、直ちに前もって70℃に
保温しておいたシリカフラワーの中に埋没させた。これ
らを薄ゴム袋の中に入れ真空吸引後、すぐ70℃の温水の
入った厚ゴム型の中に沈め、しっかりと蓋を閉めた。ゴ
ム型をCIP装置の中に入れ、3000kg/cm2で5分保持し
てから取り出したところ、厚ゴム型の中の水温は58℃ま
で低下していが、ゴム型から取り出したシェル鋳型は等
方的に圧縮されている様子がうかがわれた。また、シェ
ル鋳型の鋳込み口はシリカフラワーが圧密されてできた
層で完全に塞がれていた。シリカフラワーの層を除去し
た後、室温で加圧脱脂炉に装入した。雰囲気は窒素と
し、ガス圧5kg/cm2で流通させながら100℃/hrの昇温速
度で昇温した。500℃に到達後1hrそのまま保持してか
ら放冷し、大気圧に戻した。この結果、鋳型は極めて脆
いものとなっていて容易に除去でき、健全な成形体が得
られた。鋳型寸法と得られた成形体各部A、B、C、D
(図2参照)の寸法測定の結果を比較して表1に示す。
どの位置においても収縮率は4.6〜4.7%であり、成形体
の高密度化が達成されていると同時に、収縮の異方性も
無いことがわかる。これをAIN50重量%、BN50重量
%の詰粉に埋めて焼結炉に装入し、真空中で1350℃まで
昇温し、2hr保持した。続いて窒素ガスをガス圧9.5kg/
cm2で流通させながら、さらに1750℃まで昇温して5hr
保持した。ガス圧を保持しながら1200℃まで冷却し、さ
らに常圧まで戻して放冷した。この結果、理論密度比で
98.5%の健全な焼結体が得られた。
【0021】比較例1 実施例1と同一形状、同一寸法のターボチャージャーロ
ーターを作製した。まず実施例1と同一配合の原料粉10
0重量部に融点44℃のパラフィン10.5重量部、オレイン
酸3.5重量部、市販エステル系分散剤2.0重量部を加えて
24hr真空下で混練し、スラリーとした。一方、実施例1
と同一のシェル鋳型を作製し、これに上記スラリーを60
℃、鋳込み圧力3kg/cm2で鋳込んだ。鋳込み開始に伴っ
て、鋳込み圧力は一次的に低下したが3kg/cm2まで回復
してから10分間保持してから取り出し放冷した。これを
室温で加圧脱脂炉に装入した。雰囲気は窒素とし、ガス
圧5kg/cm2で流通させながら100℃/hrの昇温速度で昇温
した。500℃に到達後1hrそのまま保持してから放冷
し、大気圧に戻した。この結果、鋳型は極めて脆いもの
となっていて容易に除去できるが成形体も全体として脆
く、鋳型を除去する過程で羽の薄肉部分はほとんど崩壊
した。また、軸の付け根の平坦部分には一部クラックが
認められた。実施例1と同様に鋳型寸法と得られた成形
体各部A、B、C、Dの寸法測定の結果を比較して表1
に示す。どの位置においても収縮率は0%であり、成形
体は全く収縮していないことがわかる。これをAIN50
重量%、BN50重量%の詰粉に埋めて焼結炉に装入し、
真空中で1350℃まで昇温し2hr保持した。続いて窒素ガ
スをガス圧9.5kg/cm2で流通させながら、さらに1750℃
まで昇温して5hr保持した。ガス圧を保持しながら1200
℃まで冷却し、さらに常圧まで戻して放冷した。この結
果、理論密度比は98.3%と高い焼結体が得られたが、本
体には密度が低いことが原因とみられる大きな亀裂が認
められた。
【0022】
【表1】
【0023】比較例2 実施例1と全く同一の操作で鋳込み成形を行ない、ター
ボチャージャーローターの成形体を3個作製した。これ
をCIP処理を行うことなしに加圧脱脂炉に装入し、成
形体の健全性に及ぼす脱脂時の昇温速度の影響を調べ
た。昇温速度は実施例1の100℃/hrに対して50℃/hr、1
0℃/hr、5℃/hrまで低下させた3水準を選んだ。雰囲
気は窒素とし、ガス圧5kg/cm2で流通させながら各昇温
速度で昇温した。500℃に到達後1hrそのまま保持して
から放冷し、大気圧に戻した。この結果、昇温速度が50
℃/hrおよび10℃/hrの場合には、100℃/hrの場合と同様
な亀裂が認められたが、5℃/hrの場合には健全な成形
体が得られた。従って、CIP処理を行うことは脱脂時
間の短縮に大きな効果があることがわかる。
【0024】実施例2 次に、超硬合金のボルトを作製した例を示す。平均粒径
1.5μmのWC90重量部、平均粒径1.3μmのCo 10重量
部にトルエン8.0重量部、ステアリルアルコール0.20重
量部を加えて超硬ボール、超硬ライニングの小型ボール
ミルで48hr混合した。得られたスラリーにエチルセルロ
ース0.5重量部、ステアリン酸0.5重量部、流動パラフィ
ン1.0重量部を加えて2hr攪拌混合し、室温に保持し
た。一方、図3に示すボルト形状のワックスパターンを
作製し、この表面に厚さ約50μmの多孔質ウレタン膜を
形成させた。これとは別に、ジルコンフラワー100.0重
量部をイソプロピルアルコール30重量部、エチルシリケ
ートの加水分解液5重量部およびポリビニルブチラール
1.5重量部の混合溶液に分散したスラリーを作製した。
これをウレタン膜表面に塗布した後、粒径0.5mmのジル
コンサンドをサンディングする操作を繰り返して鋳型を
作製した。その後、鋳型中のワックスパターンを圧力6
kg/cm2の水蒸気で溶出させて、ボルト形状のキャビティ
を持つシェル鋳型を得た。次に、この鋳型中に400torr
で真空脱泡した超硬合金組成のスラリーを室温にて鋳込
み圧力6kg/cm2で鋳込んだ。鋳込み圧力が6kg/cm2まで
回復したことを確認後、さらに20分間保持してから取り
出したところ、鋳型内面近傍のスラリーは既に流動性を
失っていた。保圧中にスラリー中の分散媒の一部はシェ
ル鋳型に吸収されていることがわかる。次いで鋳込み口
を先のサンディングと同じ操作により塞いだ後、ジルコ
ンサンドに埋込んで円筒状の金型中に装入した。これを
常温で上下のパンチで200kg/cm2になるよう20分間、一
軸方向に加圧し取り出した。これを実施例1と同一の条
件で脱脂処理を行った後、鋳型を除去したところボルト
形状の健全な成形体が得られた。
【0025】
【発明の効果】本発明の粉体の鋳込み成形においては、
多孔質鋳型に鋳込まれたスラリー中の分散媒が液体状態
を保てる温度以上にスラリー温度を保持した後、外部か
ら圧媒粒子にて等方的または疑似等方的に加圧し、スラ
リー中の分散媒の一部を多孔質鋳型に吸収せしめて除去
し、スラリーに保形性を付与すると同時に、粉体を圧密
するので高密度、均一な密度分布を持った成形体の作製
が可能になった。また、このような加圧処理によってス
ラリー中の分散媒の一部は多孔質鋳型、さらには圧媒粒
子層に吸収されて除去されるので、実質的に熱分解して
除去する分散媒の量を減らすことができるため、後工程
の乾燥や熱分解工程の時間を大幅に短縮することが可能
になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工程のフロー図である。
【図2】実施例で作製したターボチャージャーの形状を
示す側面図である。
【図3】実施例で作製したボルトの形状を示す図であ
る。
【図4】従来の工程のフロー図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A)分散媒に金属またはセラミック粉を分散
    させたスラリーを鋳込み成形により多孔質鋳型に鋳込む
    工程 B)該多孔質鋳型を圧媒粒子に埋め込み、前記スラリー中
    に添加した全ての分散媒が液体状態を保てる温度に保持
    した後、外部から1kg/cm2以上10000kg/cm2以下の圧力
    で圧媒粒子ごと加圧してスラリー中の分散媒の一部を多
    孔質鋳型あるいは多孔質鋳型と圧媒粒子に吸収せしめて
    除去することにより、スラリーに保形性を付与すると同
    時に粉体を圧密する工程 C)かかる処理を施した成形体中に残存する分散媒を乾燥
    または加熱分解することによって除去する工程 よりなることを特徴とする粉体の成形方法
  2. 【請求項2】 スラリー中の固形分濃度が20体積%以
    上、85体積%以下であることを特徴とする請求項1に記
    載の粉体の成形方法
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6458863B1 (en) 1999-12-09 2002-10-01 Sanwa Kako Company Limited Vibration damping, resinous, open cell cellular bodies

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6458863B1 (en) 1999-12-09 2002-10-01 Sanwa Kako Company Limited Vibration damping, resinous, open cell cellular bodies

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