JPH0580325B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はセラミツクス粉末、あるいは金属・非
金属粉末から形状が複雑な焼結用原形体を成形す
るのに好適な方法に関する。

（従来の技術及び発明が解決しようとする問題
点） 従来、例えばセラミツクス粉末から焼結用原形
体を成形するのに用いられている方法の一つに泥
しよう鋳込法、すなわち石膏型にセラミツクスス
ラリーを注入し、スラリー溶媒を石膏に吸いとら
せて原形体を得る方法がある。ところで前記石膏
型内の原形体は強度が弱く、また乾燥するにつれ
て収縮し、型に抱きついてしまうこともあり、こ
のため形状が複雑な原形体の場合は石膏型からの
離型の際、型崩れを起しやすい。

本発明は上記のような事情に鑑みてなされたも
のであり、形状が複雑な原形体であつても型崩れ
することなく離型可能な焼結用原形体の成形方法
を提供せんとするものである。

（問題点を解決するための手段） 本発明は上記の目的を達成するため、焼結用原
形体の成形型を、強磁性体粒子を磁力により固化
して造型することを要旨としている。すなわち本
発明は、原形部材の成形面にスラリー溶媒により
溶解可能な非通気性の遮蔽膜、あるいはスラリー
溶媒が浸透可能な多孔質の遮蔽膜を吸引被着し、
該遮蔽膜の表面に強磁性の塗型材を塗布し、前記
遮蔽膜の前記原形部材に対して反対側に造型枠体
を載置し、該造型枠体内に強磁性体粒子から成る
充填材を充填し、該充填材を磁力により固化して
前記遮蔽膜を該充填材側に吸着し、ついで前記原
形部材を前記遮蔽膜から離型して造型面を有する
成形型を成形し、該成形型を同様にして成形した
もう一つの成形型と型合せしてキヤビテイを形成
し、該成形型内を減圧すると共に前記キヤビテイ
内に焼結用原料を骨材とするスラリーを注入し、
所定時間経過後、前記成形型内の減圧状態を解除
し、更に所定時間経過後、該成形型内の硬化状態
を解除することを特徴としている。

以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。図面は本発明の一実施例を示し、第１図は成
形型の造型面成形時の状態を示す縦断図、第２図
は成形型のキヤビテイ成形及び減圧時の状態を示
す縦断図である。

図において１は上面及び下面を連通開口して形
成された平面が長方形状の造型枠体で、該造型枠
体１の内周面には磁石板２が取り付けられてお
り、該磁石板２は導線３を介して図示しない電源
に接続している。

次に４は木などから成る原形部材で、該原形部
材４の上面には成形面５が形成されていると共
に、該成形面５の一側部にはスラリー流路用突条
６が形成されている。更に前記原形部材４内には
中空室７が形成されていると共に、前記成形面５
には該中空室７に連通する複数の通気孔８が穿設
されている。前記中空室７の一端部には外部に通
じる連通孔９が設けられており、該連通孔９はホ
ース１１を介して図示しない吸引装置に連通接続
している。

更に１２は前記造型枠体１の上面開口を閉鎖可
能な吸引板であり、該吸引板１２の下面凹部には
多孔質部材１３が取り付けられている。前記凹部
の中央には外部に通じる連通孔１４が設けられて
おり、該連通孔１４はホース１５を介して図示し
ない吸引装置に連通接続している。

（作用） 上記のように構成された装置により焼結用原形
体を成形する工程を説明する。第１に原形部材４
の成形面５に、水溶性のポリビニールアルコール
から成る厚さ30μ程度の遮蔽膜１６を、加湿して
柔軟性を与えつつ添装する。第２に原形部材４側
の吸引装置（図示せず）を作動して連通孔９から
中空室７及び各通気孔８を介して原形部材４の成
形面５側の空気を吸引しながら成形面５に設けた
遮蔽膜１６を該成形面５に沿つて吸引密着し、該
遮蔽膜１６を成形面５及び該成形面５に設けたス
ラリー流路用突条６と同形状い成形する。第３
に、前記遮蔽膜１６の表面に強磁性体のソフトフ
エライト粉末、フエノール粉末、ポリビニールブ
チラール及びエタノールから成る塗型材１７を塗
付する。

第４に、前記原型部材４の遮蔽膜１６を有する
成形面５上に造型枠体１を載置し、該枠体１内に
上方から粒径100μ以下の金属粒（福田金属箔粉
工業製、PCパーマロイ）から成る充填材１８を
充填し、図示しないバイブレータによつて造型枠
体１及び原型部材４を一体的に振動させ、該充填
材１８を固く充填する。

第５に前記造型枠体１の磁石板２に通電して充
填材１８を磁化させ、該充填材１８の各粒子が相
対的に移動できないようにする。これによつて充
填材１８、塗型材１７及び遮蔽膜１６にて原型部
材４の成形面５と同形状の造型面１９を成形す
る。

第６に前記造型枠体１の背面開口を吸引板１２
により密閉し、該吸引板１２側の吸引装置（図示
せず）を作動して連通孔１４、多孔質部材１３を
通じて造型枠体１内を減圧し、一方、前記原形部
材４側の吸引装置の作動を停止し、かつ原形部材
４の成形面５側を大気に連通させた状態で該原形
部材４を造型枠体１から取り外すと、前記造型面
１９は造型枠体１側に保持された状態で原形部材
４の成形面５より離型される。

第７に、このようにして成形した成形型２２
を、内部の磁化状態及び減圧状態を保つたまま第
２図に示すように上下に対設し、被成形体と同形
状のキヤビテイ２１及び一端が該ギヤビテイ２１
に開口すると共に他端が成形型２２，２２の外壁
に開口するスラリー流路２３を形成する。

第８に、図示しない貯槽から、アルミナ粉末
（昭和電工製、AL−170）にアクリル樹脂系ワツ
クスエマルジヨン、蒸留水を加えて混合、脱気し
て成るセラミツクススラリーを、前記スラリー流
路２３を介して前記キヤビテイ２１内へ注入す
る。この時該セラミツクススラリー中の水分は造
型面１９の遮蔽膜１６に接触してこれを溶解し、
更に充填材１８内を吸引板１２方向へ吸引されて
気化し、その結果、キヤビテイ２１内にはスラリ
ー骨材より成るセラミツクスの原形体が形成され
る。

なおこの時、セラミツクススラリーは図示しな
い高圧ポンプにより圧力と流量を制御されてキヤ
ビテイ２１内へ注入されるため、原形体は高密度
で充填され、内部の空隙はより少なく、かつより
小さくなる。

第９に、所定時間経過後前記原形体がある程度
固まつた時点で前記吸引板１２，１２側の吸引装
置の作動を停止すると共に該吸引板１２，１２を
取り外す。第10に、前記原形体を成形型２２，２
２内に保持したままの状態で所定時間放置してこ
れを乾燥・固化させた後、電磁石２への通電を停
止して該型２２，２２内の磁化状態を解除する
と、充填材１８の各粒子の移動が自由になり、造
型面１９が崩壊するから、該型２２，２２内から
原形体を容易に取り出すことができる。

なお実施例では、セラミツクススラリーの骨材
としてアルミナ粉末を使用したが、その他のセラ
ミツクス粉末を使用してもよい。また実施例の方
法はセラミツクスのみならず、金属・非金属を用
いた粉末冶金にも応用できる。

また実施例では、強磁性体粒子として鉄とニツ
ケルとの合金（商品名、PCパーマロイ）を使用
したが、純鉄、鉄とシリコンとの合金、アルミニ
ウムとシリコンとの合金等から成る金属粒を使用
してもよい。なおこの場合、粒径が小さく、残留
磁気の小さいものほど良い。

また実施例は、原形部材の成形面に被着する水
溶性の遮蔽膜としてポリビニールアルコール組成
物を使用したが、この他にポリエチレングリコー
ル、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル
酸ソーダ、ポリビニールピロリドン、ポリビニー
ルブチラール等から成る物を使用してもよい。

更に実施例では、水溶性の遮蔽膜を使用した
が、スラリー中の溶媒が浸透可能な多孔質の遮蔽
膜（例えばポリプロピレンの高分子分離膜）を使
用してもよい。

また実施例では、遮蔽膜を原形部材の成形面に
被着する際、可撓性を増すため加湿処理を施した
が、加熱軟化させてもよい。

また実施例では、あらかじめ成形された遮蔽膜
を原形部材の成形面に被着させたが、遮蔽膜原料
を該成形面に塗布し、これを固化して膜状にして
もよい。

更に実施例では、原形部材を造型枠体から離型
する際に造型枠体内を減圧しているが、これは必
須要件ではなく、成形型を型合せして形成された
キヤビテイ内へセラミツクススラリーを注入する
際に成形型内を減圧してもよい。

（発明の効果） 上記のような本発明によれば、成形型内へ注入
されたセラミツクススラリー中の溶媒（水分）は
遮蔽膜を溶解し、あるいはこれを浸透通過して速
やかに成形型中の充填材に吸収されるから、スラ
リーの脱水固化が迅速に行われる。

また前記成形型キヤビテイ内の原形体がある程
度乾燥して固化した時点で、成形型を構成してい
る金属粒子を磁力による固化状態から解放するた
め造型面も崩壊し、原形体が乾燥収縮して型に抱
きつくことがなく、また強度が弱い原形体でも型
崩れすることなく型から取り出すことができる。
従つて本発明は形状が複雑な焼結用原形体の成形
に好適である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は成形
型の造型面成形時の状態を示す縦断図、第２図は
成形型のキヤビテイ成形及び減圧時の状態を示す
縦断図である。 １……造型枠体、４……原形部材、５……成形
面、１６……遮蔽膜、１７……塗型材、１８……
充填材、２１……キヤビテイ、２２……成形型。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 原形部材４の成形面５にスラリー溶媒により
   溶解可能な非通気性の遮蔽膜１６、あるいはスラ
   リー溶媒が浸透可能な多孔質の遮蔽膜１６を吸引
   被着し、該遮蔽膜１６の表面に強磁性の塗型材１
   ７を塗布し、前記遮蔽膜１６の前記原形部材４に
   対して反対側に造型枠体１を載置し、該造型枠体
   １内に強磁性体粒子から成る充填材１８を充填
   し、該充填材１８を磁力により固化して前記遮蔽
   板１６を該充填材１８側に吸着し、ついで前記原
   形部材４を前記遮蔽膜１６から離型して造型面１
   ９を有する成形型２２を成形し、該成形型２２を
   同様にして成形したもう一つの成形型２２と型合
   せしてキヤビテイ２１を形成し、該成形型２２，
   ２２内を減圧すると共に前記キヤビテイ２１内に
   焼結用原料を骨材とするスラリーを注入し、所定
   時間経過後、前記成形型２２，２２内の減圧状態
   を解除し、更に所定時間経過後、該成形型２２，
   ２２内の磁化状態を解除することを特徴とする焼
   結用原形体の成形方法。