JPH0579863U - クラッド式密閉鉛蓄電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造が容易で長寿命のクラッド式密閉鉛蓄電
池を提供する。 【構成】 正極板７にクラッド式極板を使用し、シリカ
によりゲル状とした電解液１３を用いたクラッド式密閉
鉛蓄電池において、前記正極板７の芯金１の材質をＰｂ
−Ｓｂ系合金とし、該芯金１上部の連結部３を樹脂４被
覆したことを特徴とする。 【効果】 芯金上部の連結部３を樹脂４被覆したことに
よりＳｂの析出を防止でき、製造が容易で長寿命のクラ
ッド式密閉鉛蓄電池が得られる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ゲル状電解液を用いたクラッド式密閉鉛蓄電池の改良に関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

クラッド式開放鉛蓄電池は、正極板のクラッド芯金の材質にＰｂ−Ｓｂ系合金 が使用されているが、密閉形鉛蓄電池のクラッド芯金にＰｂ−Ｓｂ系合金を使用 すると、正極板からＳｂが析出し、水素過電圧を著しく低下させ、寿命性能が悪 くなるため従来からクラッド式密閉鉛蓄電池の芯金にはアンチモンを含まない鉛 −カルシウム系合金が用いられていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、芯金にＰｂ−Ｃａ系合金を用いると、Ｐｂ−Ｓｂ系合金に比べ、強度 が劣るなどのため製造工程上特殊な管理が必要となり、しかも、この種の電池は 深い充放電で芯金の腐食や伸びが発生しやすく、また、芯金表面に硫酸鉛の被服 （一般にバリヤーと称している）が発生しやすいため早期に容量が低下するとい う問題点を有していた。

【０００４】 本考案は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは 、製造が容易で、長寿命のクラッド式密閉鉛蓄電池を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は正極板にクラッド式極板を使用し、シリ カによりゲル状とした電解液を用いたクラッド式密閉鉛蓄電池において、前記正 極板の芯金の材質をＰｂ−Ｓｂ系合金とし、該芯金上部の連結部を樹脂被覆した ことを特徴とするものである。すなわち芯金の材質をＰｂ−Ｓｂ系合金とし、芯 金上部のＳｂの析出が多い部分を樹脂により被覆したものである。

【０００６】

【作 用】

芯金の材質をＰｂ−Ｓｂ系合金とすることにより、強度の優れた芯金とするこ とが出来、芯金下部が正極作用物質で覆われているためＳｂの析出が少なく、上 部が樹脂で覆われているためＳｂが析出しなくなる。

【０００７】

【実施例】

本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。 図１は本考案に係るクラッド式正極板を示す一部切欠正面図で、１はＰｂ−Ｓ ｂ系合金からなる芯金、２は正極作用物質、３は芯金上部の連結部、４はポリオ レフィン系樹脂の被覆でクラッド管５の上部を連結する上部連座を兼ねている。 ６はクラッド管５の下部を連結し、正極作用物質の脱落を防ぐ下部連座である。 図２は本考案のクラッド式密閉鉛蓄電池を示す断面図で、８は電槽で上部に排 気部９が形成された蓋１０が取付けられている。正極板７とＰｂ−Ｃａ系合金製 格子体を使用した負極板１１との間にはセパレータ１２が介在しており、ゲル状 電解液１３で満たされ、負極板１１のガス吸収を可能としている。また、１４は ストラップであり、１５は極柱である。 尚、図３は従来のクラッド式正極板を示す一部切欠正面図であり、３ａは芯金 上部の連結部、４ａは上部連座である。

【０００８】 図３の如く、従来の正極板では芯金上部の連結部３ａが露出しており、この部 分からＳｂが析出し、水素過電圧の低下となり、短寿命となる。しかし、図１の ように本考案に係る正極板７では、芯金上部の連結部３が樹脂４により被覆され ており、金属の露出部が耳部に僅かにあるのみであり、Ｓｂが殆ど析出しない。

【０００９】 次に、１０時間率容量２００Ａｈの図２の本考案鉛蓄電池Ａと図３に示す正極 板を用いた従来の鉛蓄電池Ｂとを寿命試験に供した。その結果を図４に示す。 尚、試験条件は、放電を５０Ａで３時間行い、充電を２．５Ｖ（但し、最大電 流を５０Ａに規制）で９時間行い、放電容量が初期容量の８０％以下になった時 をもって寿命とした。

【００１０】 図４より従来の電池Ｂは、充放電回数が約２５０回で寿命に達したが、本考案 電池Ａは充放電回数が５００回の時点でも初期容量の９０％以上で従来電池Ｂの ２倍以上の寿命を達成することがてきた。 尚、上記実施例では、耳部に金属露出部がある構成としたが、ストラップ１４ を形成後、金属露出部全てに樹脂を塗布する構成としてもよい。

【００１１】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案は、芯金上部の連結部３を樹脂被覆することによ り、Ｐｂ−Ｓｂ系合金の芯金１を使用することが可能となり、Ｐｂ−Ｃａ系合金 のように、製造工程上の問題及び深い放電での芯金１の腐食や伸び、また、バリ ヤーによる早期容量低下をなくすことができ、長寿命のクラッド式密閉鉛蓄電池 を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るクラッド式正極板を示す一部切欠
正面図である。

【図２】本考案の一実施例を示す断面図である。

【図３】従来のクラッド式正極板を示す一部切欠正面図
である。

【図４】本考案品Ａと従来品Ｂとのサイクル寿命特性を
比較したグラフである。

【符号の説明】

１ 芯金 ３ 芯金上部の連結部 ４ 樹脂 １３ ゲル状電解液

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 正極板にクラッド式極板を使用し、シリ
   カによりゲル状とした電解液を用いたクラッド式密閉鉛
   蓄電池において、前記正極板の芯金の材質をＰｂ−Ｓｂ
   系合金とし、該芯金上部の連結部を樹脂被覆したことを
   特徴とするクラッド式密閉鉛蓄電池。