JPH0579385A - 内燃機関の制御方法 - Google Patents
内燃機関の制御方法Info
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- JPH0579385A JPH0579385A JP40352290A JP40352290A JPH0579385A JP H0579385 A JPH0579385 A JP H0579385A JP 40352290 A JP40352290 A JP 40352290A JP 40352290 A JP40352290 A JP 40352290A JP H0579385 A JPH0579385 A JP H0579385A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stress
- fuel injection
- strain
- internal combustion
- combustion engine
- Prior art date
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- Pending
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- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
- Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】内燃機関の各部品が有する強度を十分に活用し
て軽量、小型でありながら大出力の機関を実現すると共
に、安全性と耐久性をも与える。 【構成】ピストン、コンロッド、クランクシャフト等、
内燃機関の筒内圧の上昇によって破損するおそれのある
部品の、最大応力が発生すると考えられる位置に歪み発
信機6を取付け、その位置の歪み、従って応力に対応す
る信号を例えば電波の形で発信させ、受信機11で受信し
た信号を電子式制御装置12に入力して、燃料噴射量及び
噴射時期に補正を加え、安全領域内で可及的大きな応力
が発生するように筒内圧を制御する。
て軽量、小型でありながら大出力の機関を実現すると共
に、安全性と耐久性をも与える。 【構成】ピストン、コンロッド、クランクシャフト等、
内燃機関の筒内圧の上昇によって破損するおそれのある
部品の、最大応力が発生すると考えられる位置に歪み発
信機6を取付け、その位置の歪み、従って応力に対応す
る信号を例えば電波の形で発信させ、受信機11で受信し
た信号を電子式制御装置12に入力して、燃料噴射量及び
噴射時期に補正を加え、安全領域内で可及的大きな応力
が発生するように筒内圧を制御する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の制御方法に関
し、より詳しく言えば、内燃機関のピストン、クランク
シャフト、コンロッド等の、荷重によって破損する可能
性のある部品を、それらの安全限界内で効率よく作動さ
せるための、燃料噴射量及び燃料噴射時期の制御方法に
関する。
し、より詳しく言えば、内燃機関のピストン、クランク
シャフト、コンロッド等の、荷重によって破損する可能
性のある部品を、それらの安全限界内で効率よく作動さ
せるための、燃料噴射量及び燃料噴射時期の制御方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に内燃機関を新たに設計する場合、
気筒内の最高燃焼圧力や熱負荷等を主として考慮し、十
分な安全率をかけて材質や構造、寸法を決定し、更に試
作機を耐久試験にかけて安全性を確認した上で実用機と
して採用するか否かが決定されている。
気筒内の最高燃焼圧力や熱負荷等を主として考慮し、十
分な安全率をかけて材質や構造、寸法を決定し、更に試
作機を耐久試験にかけて安全性を確認した上で実用機と
して採用するか否かが決定されている。
【0003】実開昭60−141441号公報には、クランクシ
ャフトに発生する捩り振動を抑えるために、捩り振動の
振幅がもっとも大きくなるクランクプーリ寄りの気筒の
燃料噴射弁の駆動回路に付加抵抗を接続し、この気筒へ
の燃料噴射量を他の気筒よりも減少させて、捩り振動の
起振力を低下させる内燃機関の燃料噴射装置が記載され
ている。
ャフトに発生する捩り振動を抑えるために、捩り振動の
振幅がもっとも大きくなるクランクプーリ寄りの気筒の
燃料噴射弁の駆動回路に付加抵抗を接続し、この気筒へ
の燃料噴射量を他の気筒よりも減少させて、捩り振動の
起振力を低下させる内燃機関の燃料噴射装置が記載され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】内燃機関を製造する場
合、それが非常に多くの部品から構成されるものである
以上、各部品の公差は僅かなものであっても、それが重
畳されて製品としてはかなり大きな強度上のバラツキを
生じることが考えられるので、安全率を十分に高くとっ
て信頼性を確保しようとするのと、各部品の寸法や強度
のバラツキを考慮して中央値を基準とした設計をするた
め、普通の状態では不必要と思われるほど丈夫な構造と
なる結果、いきおい構造が大型化し、重量が大きくコス
ト高のものとなりやすい。
合、それが非常に多くの部品から構成されるものである
以上、各部品の公差は僅かなものであっても、それが重
畳されて製品としてはかなり大きな強度上のバラツキを
生じることが考えられるので、安全率を十分に高くとっ
て信頼性を確保しようとするのと、各部品の寸法や強度
のバラツキを考慮して中央値を基準とした設計をするた
め、普通の状態では不必要と思われるほど丈夫な構造と
なる結果、いきおい構造が大型化し、重量が大きくコス
ト高のものとなりやすい。
【0005】また、上記公報記載の従来技術の場合、捩
り振動の振幅が大きくなる個所において駆動トルクを減
少させ、捩り振動の起振力を低下させるので、それによ
って捩り振動は減少するとしても、捩り振動が低レベル
にある運転状態でも内燃機関の出力が低下するので、機
関が持っている能力を限界まで引き出し、全体的に軽量
化を図りながら高性能化し、且つ高い信頼性をも得ると
いう、より高度の目的に応え得るものとは言えない。
り振動の振幅が大きくなる個所において駆動トルクを減
少させ、捩り振動の起振力を低下させるので、それによ
って捩り振動は減少するとしても、捩り振動が低レベル
にある運転状態でも内燃機関の出力が低下するので、機
関が持っている能力を限界まで引き出し、全体的に軽量
化を図りながら高性能化し、且つ高い信頼性をも得ると
いう、より高度の目的に応え得るものとは言えない。
【0006】本発明は、内燃機関の構成部品、特に荷重
のために破損する可能性のある部品が持っている強度を
積極的に限界まで活用して、軽量、小型、高性能の機関
を安価に実現すると共に、その機関に十分な信頼性、安
全性を備えさせるための手段を追求するものである。
のために破損する可能性のある部品が持っている強度を
積極的に限界まで活用して、軽量、小型、高性能の機関
を安価に実現すると共に、その機関に十分な信頼性、安
全性を備えさせるための手段を追求するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を解
決するための手段として、内燃機関を構成する部品のう
ち、気筒内燃焼圧力の増加による応力の増大によって破
損するおそれがあるものを選択し、それらの部品の中で
も最大応力が発生すると予測される部位に歪みセンサを
有する歪み発信機を取付けて、その部位の歪みに対応す
る信号を発信させると共に、内燃機関の燃料噴射量及び
噴射時期を制御することができる電子式制御装置に接続
された受信機によって前記の信号を受信し、前記の部位
の歪み従って応力が所定の適正値よりも小さいと判定さ
れたときは燃料噴射量の増量又は燃料噴射時期の進角を
許容し、前記の部位の歪み従って応力が所定の適正値よ
りも大きいと判定されたときは燃料噴射量の減量又は燃
料噴射時期の遅角を強制するように、前記電子式制御装
置によって燃料噴射弁を制御することを特徴とする内燃
機関の制御方法を提供する。
決するための手段として、内燃機関を構成する部品のう
ち、気筒内燃焼圧力の増加による応力の増大によって破
損するおそれがあるものを選択し、それらの部品の中で
も最大応力が発生すると予測される部位に歪みセンサを
有する歪み発信機を取付けて、その部位の歪みに対応す
る信号を発信させると共に、内燃機関の燃料噴射量及び
噴射時期を制御することができる電子式制御装置に接続
された受信機によって前記の信号を受信し、前記の部位
の歪み従って応力が所定の適正値よりも小さいと判定さ
れたときは燃料噴射量の増量又は燃料噴射時期の進角を
許容し、前記の部位の歪み従って応力が所定の適正値よ
りも大きいと判定されたときは燃料噴射量の減量又は燃
料噴射時期の遅角を強制するように、前記電子式制御装
置によって燃料噴射弁を制御することを特徴とする内燃
機関の制御方法を提供する。
【0008】
【作用】内燃機関が高負荷運転された時に、気筒内燃焼
圧力(筒内圧)の増加によって応力が増大して破損する
おそれのある部品の、特に最大応力が発生すると考えら
れる部位に歪みセンサを備えた歪み発信機を取付けてい
るので、筒内圧の変化に伴う応力の変化に対応して歪み
が変化すると、その信号は受信機によって捕えられ、電
子式制御装置に入力される。
圧力(筒内圧)の増加によって応力が増大して破損する
おそれのある部品の、特に最大応力が発生すると考えら
れる部位に歪みセンサを備えた歪み発信機を取付けてい
るので、筒内圧の変化に伴う応力の変化に対応して歪み
が変化すると、その信号は受信機によって捕えられ、電
子式制御装置に入力される。
【0009】検出された歪みが所定の値よりも小さい時
は、応力が限界値よりも小さく部品の強度に余裕がある
ものと判断され、燃料噴射量の増量や噴射時期の進角が
許容されるので、機関は出力を増大することが可能とな
り、部品の強度を十分に活用して、小型・軽量であるに
もかかわらず大きな出力を発生することができる。検出
された歪みが所定の値よりも大きい時は、応力が限界値
に近いものと判断され、強制的に燃料噴射量の減量や噴
射時期を遅くする制御が実行され、危険な応力状態にな
るのを回避させて部品を保護し、安全圏での運転が行な
われる。
は、応力が限界値よりも小さく部品の強度に余裕がある
ものと判断され、燃料噴射量の増量や噴射時期の進角が
許容されるので、機関は出力を増大することが可能とな
り、部品の強度を十分に活用して、小型・軽量であるに
もかかわらず大きな出力を発生することができる。検出
された歪みが所定の値よりも大きい時は、応力が限界値
に近いものと判断され、強制的に燃料噴射量の減量や噴
射時期を遅くする制御が実行され、危険な応力状態にな
るのを回避させて部品を保護し、安全圏での運転が行な
われる。
【0010】
【実施例】図1(a)は、内燃機関において最も苛酷な
条件下におかれ、一般的に強度上の問題を生じやすいピ
ストン1、コンロッド2及びクランクシャフト3の組立
体を分解して示した図である。4及び4′はクランクピ
ン5に嵌装される軸受メタルを示す。
条件下におかれ、一般的に強度上の問題を生じやすいピ
ストン1、コンロッド2及びクランクシャフト3の組立
体を分解して示した図である。4及び4′はクランクピ
ン5に嵌装される軸受メタルを示す。
【0011】本発明の特徴に対応して、これらのピスト
ン1、コンロッド2、クランクシャフト3のいずれか
(2つあるいは全部でもよい)の適所には歪み発信機6
が設けられる。ピストン1、コンロッド2、及びクラン
クシャフト3のそれぞれに設けられた歪み発信機6を、
図1中にそれぞれ6′,6″、及び6''' として示す。
歪み発信機6は、機関部品の中で最大の応力が発生する
と考えられる個所、すなわち応力集中の生じやすい個所
に設置され(一例として図1(b)及び(c)参照)、
その応力による局部的な歪みを、図2に示すように内蔵
している抵抗線のような歪みセンサ7によって検出し、
歪みの大きさに対応する信号を後述の受信機に向って発
信する。図1(b)は、クランクシャフト3のクランク
ピン5とクランクウエブ8との境界部分に埋め込むよう
にして設置した歪み発信機6'''を拡大した断面として
示したもので、その斜視図は図1(c)として示されて
いる。
ン1、コンロッド2、クランクシャフト3のいずれか
(2つあるいは全部でもよい)の適所には歪み発信機6
が設けられる。ピストン1、コンロッド2、及びクラン
クシャフト3のそれぞれに設けられた歪み発信機6を、
図1中にそれぞれ6′,6″、及び6''' として示す。
歪み発信機6は、機関部品の中で最大の応力が発生する
と考えられる個所、すなわち応力集中の生じやすい個所
に設置され(一例として図1(b)及び(c)参照)、
その応力による局部的な歪みを、図2に示すように内蔵
している抵抗線のような歪みセンサ7によって検出し、
歪みの大きさに対応する信号を後述の受信機に向って発
信する。図1(b)は、クランクシャフト3のクランク
ピン5とクランクウエブ8との境界部分に埋め込むよう
にして設置した歪み発信機6'''を拡大した断面として
示したもので、その斜視図は図1(c)として示されて
いる。
【0012】図1(b)及び(c)に図示した歪み発信
機6''' は、クランクピン5とクランクウエブ8にそれ
ぞれ埋め込んで固定される2つの部分からなるL形の外
形を有し、その中に抵抗線からなる歪みセンサ7と、歪
みの大きさに応じて変化する周波数の発振を起こすLC
発振回路9及び電源である小型の電池10等を収容してい
る。図1 (b), (c) に示す歪み発信機6''' は、L形
に交わる2つの面の間のせん断応力による歪みを検出す
ることになるが、本発明における歪み発信機6はL形で
ある必要はなく、ピストン1やコンロッド2に設けられ
る歪み発信機6′及び6″は、引張応力や圧縮応力によ
る歪みを検出するので、外形が平板形のものとなる。
機6''' は、クランクピン5とクランクウエブ8にそれ
ぞれ埋め込んで固定される2つの部分からなるL形の外
形を有し、その中に抵抗線からなる歪みセンサ7と、歪
みの大きさに応じて変化する周波数の発振を起こすLC
発振回路9及び電源である小型の電池10等を収容してい
る。図1 (b), (c) に示す歪み発信機6''' は、L形
に交わる2つの面の間のせん断応力による歪みを検出す
ることになるが、本発明における歪み発信機6はL形で
ある必要はなく、ピストン1やコンロッド2に設けられ
る歪み発信機6′及び6″は、引張応力や圧縮応力によ
る歪みを検出するので、外形が平板形のものとなる。
【0013】歪みセンサ7が検出した対象個所の歪みの
大きさは、発振回路9によってその発振周波数の変化、
したがって波長の変化に変換され、歪み発信機6から発
射される。内燃機関のクランクケース壁面の一部等の適
所には、歪み発信機6が発する電波を捕える受信機11が
設けられ、受信した電波の信号を内燃機関の電子式制御
装置(ECUと略称する)12に入力する。ECU 12は例え
ば後述のような手順による演算を行なって、燃料噴射弁
13の燃料噴射量及び噴射時期を制御し、強度上最大限の
出力の運転状態を実現可能とする。
大きさは、発振回路9によってその発振周波数の変化、
したがって波長の変化に変換され、歪み発信機6から発
射される。内燃機関のクランクケース壁面の一部等の適
所には、歪み発信機6が発する電波を捕える受信機11が
設けられ、受信した電波の信号を内燃機関の電子式制御
装置(ECUと略称する)12に入力する。ECU 12は例え
ば後述のような手順による演算を行なって、燃料噴射弁
13の燃料噴射量及び噴射時期を制御し、強度上最大限の
出力の運転状態を実現可能とする。
【0014】歪み発信機6は対象個所の歪みの大きさに
応じた周波数(又は波長)の電波を発射し、受信機11は
それを捕えるものであるが、その具体的な内容について
は、既に確立しているテレメータの技術を応用すること
ができ、部品の類についても市販品を利用することがで
きる場合もある。歪み量の信号の伝達媒体としては、電
波を利用するのが現状では最適と考えられるが、場合に
よっては超音波や光、磁気等を利用することもでき、そ
の場合には発信機6及び受信機11がそれぞれ対応したも
のとなることは言うまでもない。
応じた周波数(又は波長)の電波を発射し、受信機11は
それを捕えるものであるが、その具体的な内容について
は、既に確立しているテレメータの技術を応用すること
ができ、部品の類についても市販品を利用することがで
きる場合もある。歪み量の信号の伝達媒体としては、電
波を利用するのが現状では最適と考えられるが、場合に
よっては超音波や光、磁気等を利用することもでき、そ
の場合には発信機6及び受信機11がそれぞれ対応したも
のとなることは言うまでもない。
【0015】次に、本発明の制御方法の具体例を説明す
る。図3の(a)に示すように、歪み発信機6が取付け
られた対象個所の歪みeは、弾性限界内ではその部分に
発生する応力σと比例しているので、これらを横軸にと
り、縦軸に歪み発信機が発射する信号電波の周波数fを
とって、応力σ又は歪みeに比例するように周波数fを
直線的に変化させる。つまり、応力σに比例して歪みe
が大きくなると、それを歪みセンサ7によって検出する
歪み発信機6が発射する電波の周波数fが大となり、波
長λが短かくなる。
る。図3の(a)に示すように、歪み発信機6が取付け
られた対象個所の歪みeは、弾性限界内ではその部分に
発生する応力σと比例しているので、これらを横軸にと
り、縦軸に歪み発信機が発射する信号電波の周波数fを
とって、応力σ又は歪みeに比例するように周波数fを
直線的に変化させる。つまり、応力σに比例して歪みe
が大きくなると、それを歪みセンサ7によって検出する
歪み発信機6が発射する電波の周波数fが大となり、波
長λが短かくなる。
【0016】燃料噴射量や噴射時期を変化させると、図
3(b)の3つの場合A,B,Cのように、内燃機関の
気筒内の燃焼圧力(筒内圧)Pの変化を示す曲線の形が
変化し、到達する最高圧力Pa , Pb , Pc の値にも差
が生じる。各部品に発生する最大の応力σの値は、筒内
圧Pの最高値(Pa , Pb , Pc 等)と対応しており、
図3(b)に示すAの場合よりもBの場合の方が応力σ
や歪みλが大きく、Cの場合は更に大きくなる。過度に
安全を見て応力σや歪みeが小さい状態で使用すると、
部品の強度は十分活用されず、機関は出力の割には重く
て大きいものとなるので、安全な限界内で、部品の強度
を十分に活かす設計が望まれることは、従来技術とその
問題点について述べた通りである。
3(b)の3つの場合A,B,Cのように、内燃機関の
気筒内の燃焼圧力(筒内圧)Pの変化を示す曲線の形が
変化し、到達する最高圧力Pa , Pb , Pc の値にも差
が生じる。各部品に発生する最大の応力σの値は、筒内
圧Pの最高値(Pa , Pb , Pc 等)と対応しており、
図3(b)に示すAの場合よりもBの場合の方が応力σ
や歪みλが大きく、Cの場合は更に大きくなる。過度に
安全を見て応力σや歪みeが小さい状態で使用すると、
部品の強度は十分活用されず、機関は出力の割には重く
て大きいものとなるので、安全な限界内で、部品の強度
を十分に活かす設計が望まれることは、従来技術とその
問題点について述べた通りである。
【0017】図3の(a)の中にσp として示した限界
応力は、それ以上応力が増大すると部品の材料が弾性限
界を越えて、部品に永久歪みが残るおそれがある限界値
のことであるが、安全に使用可能で、しかも部品の強度
を十分に活用し得る応力σの値は、限界値σp よりは若
干低いσ1 からσ2 の範囲に設定するのが望ましい。こ
れを適正応力範囲と呼ぶことにし、その時に歪み発信機
6が発射する電波の周波数をそれぞれ下限値f1 及び上
限値f2 と定める。したがって、特に高負荷運転の状態
において、受信機11が常に周波数f1 からf2 までの範
囲の電波を受信することができるように、ECU 12によっ
て燃料噴射弁13を制御し、燃料噴射量と噴射時期を変化
させて、筒内圧Pの最高値を調節すれば、機関は最大限
の出力を安全に発生することができるようになる。
応力は、それ以上応力が増大すると部品の材料が弾性限
界を越えて、部品に永久歪みが残るおそれがある限界値
のことであるが、安全に使用可能で、しかも部品の強度
を十分に活用し得る応力σの値は、限界値σp よりは若
干低いσ1 からσ2 の範囲に設定するのが望ましい。こ
れを適正応力範囲と呼ぶことにし、その時に歪み発信機
6が発射する電波の周波数をそれぞれ下限値f1 及び上
限値f2 と定める。したがって、特に高負荷運転の状態
において、受信機11が常に周波数f1 からf2 までの範
囲の電波を受信することができるように、ECU 12によっ
て燃料噴射弁13を制御し、燃料噴射量と噴射時期を変化
させて、筒内圧Pの最高値を調節すれば、機関は最大限
の出力を安全に発生することができるようになる。
【0018】その制御の手順を、図4として例示したフ
ローチャートによって具体的に説明する。機関の負荷の
大きさを示すアクセル開度等により、負荷が所定値を越
えたとき、ECU 12のマイクロプロセッサにより各部品の
応力制御のプログラムがステップ (Sと略記する)100に
おいてスタートする。このプログラムは、たとえば機関
のクランク軸の1回転に1回の割合で、燃料噴射を制御
するメインルーチンプログムに割込んで実行される。
ローチャートによって具体的に説明する。機関の負荷の
大きさを示すアクセル開度等により、負荷が所定値を越
えたとき、ECU 12のマイクロプロセッサにより各部品の
応力制御のプログラムがステップ (Sと略記する)100に
おいてスタートする。このプログラムは、たとえば機関
のクランク軸の1回転に1回の割合で、燃料噴射を制御
するメインルーチンプログムに割込んで実行される。
【0019】まずS101 において、歪み発信機6が発射
し受信機11が捕えた電波の周波数fが、前述のようにし
て予め定められた適正応力範囲に対応する下限値f1 と
上限値f2 の間にあるかどうかが判定される(この場
合、周波数fでなく、信号電波の波長λを適正応力範囲
の上下限値に対応する所定の波長λ1 及びλ2 と比較し
てもよい。)。YES、つまりf1 ≦f≦f2 であっ
て、歪み発信機6が設けられた部品の位置における応力
σが適正応力範囲にあると判定された時は、図3におけ
るBのような状態であり、補正制御の必要がないので、
S102 でプログラムは終了する。
し受信機11が捕えた電波の周波数fが、前述のようにし
て予め定められた適正応力範囲に対応する下限値f1 と
上限値f2 の間にあるかどうかが判定される(この場
合、周波数fでなく、信号電波の波長λを適正応力範囲
の上下限値に対応する所定の波長λ1 及びλ2 と比較し
てもよい。)。YES、つまりf1 ≦f≦f2 であっ
て、歪み発信機6が設けられた部品の位置における応力
σが適正応力範囲にあると判定された時は、図3におけ
るBのような状態であり、補正制御の必要がないので、
S102 でプログラムは終了する。
【0020】もしS101 でf<f1 と判定された時は、
その部品が適正応力範囲よりも低い応力状態で使用され
ており、部品の強度に余裕があって、言わば無駄な使い
方をしている状態(図3のAのような状態)であるか
ら、S103 に進んで、ECU 12に内蔵されるマップ等から
適正な応力範囲の下限値σ1 に対応する燃料噴射量及び
噴射時期を算出する。この計算は、マップから読み出し
た乗率を、機関回転数及び吸気流量等に基づいて別に算
出される基本燃料噴射量や、基準となる噴射時期の数値
に乗算することによって行なわれる。そして算出された
燃料噴射時期に対して機関の現在の噴射時期が遅いかど
うかがS104 で判定される。YES、つまり遅いと判定
された時はS105 に進み、所定値(たとえば2°)だけ
燃料噴射時期を進角させ、新たな噴射時期による燃料噴
射がS106 で実行される。噴射時期を漸次進角させるこ
とによって機関の出力が目標値を越えた時は、燃料噴射
量を減少させる制御が別に行なわれるので、噴射時期の
進角により燃費率も改善される。
その部品が適正応力範囲よりも低い応力状態で使用され
ており、部品の強度に余裕があって、言わば無駄な使い
方をしている状態(図3のAのような状態)であるか
ら、S103 に進んで、ECU 12に内蔵されるマップ等から
適正な応力範囲の下限値σ1 に対応する燃料噴射量及び
噴射時期を算出する。この計算は、マップから読み出し
た乗率を、機関回転数及び吸気流量等に基づいて別に算
出される基本燃料噴射量や、基準となる噴射時期の数値
に乗算することによって行なわれる。そして算出された
燃料噴射時期に対して機関の現在の噴射時期が遅いかど
うかがS104 で判定される。YES、つまり遅いと判定
された時はS105 に進み、所定値(たとえば2°)だけ
燃料噴射時期を進角させ、新たな噴射時期による燃料噴
射がS106 で実行される。噴射時期を漸次進角させるこ
とによって機関の出力が目標値を越えた時は、燃料噴射
量を減少させる制御が別に行なわれるので、噴射時期の
進角により燃費率も改善される。
【0021】S104 においてNO、つまり現在の噴射時
期がS103で算出された噴射時期よりも遅くないと判定
された時は、S107 に進んで現在の燃料噴射量がS103
で算出した燃料噴射量にくらべて少ないかどうかが判定
される。S107 で判定結果がYES(少ない)ならば、
S108 でECU 12は燃料噴射量を所定値だけ増量させて出
力を増加させる。またNO(少なくない)であってもS
109 で燃料噴射量を所定値だけ増量させる。もっとも、
S109 における増量の程度は、S108 における増量より
も少なくてよい。これらの変化した燃料噴射量による噴
射は、やはりS106 で実行され、S116 で図示されない
メインルーチンプログラムに戻る。
期がS103で算出された噴射時期よりも遅くないと判定
された時は、S107 に進んで現在の燃料噴射量がS103
で算出した燃料噴射量にくらべて少ないかどうかが判定
される。S107 で判定結果がYES(少ない)ならば、
S108 でECU 12は燃料噴射量を所定値だけ増量させて出
力を増加させる。またNO(少なくない)であってもS
109 で燃料噴射量を所定値だけ増量させる。もっとも、
S109 における増量の程度は、S108 における増量より
も少なくてよい。これらの変化した燃料噴射量による噴
射は、やはりS106 で実行され、S116 で図示されない
メインルーチンプログラムに戻る。
【0022】S101 において受信された周波数fが適正
応力範囲の上限値に対する周波数f 2 を越えていると判
定された時は、図3におけるCのような状態であり、そ
のままでは部品の応力σが限界値σp を越えるおそれが
あるので、直ちに応力σを減少させる必要がある。この
場合はS110 に進み、前述のS103 と同様な方法で、し
かし今度は安全な応力の上限値σ2 をもたらす燃料噴射
量及び噴射時期が算出される。この噴射時期に対して現
在の燃料噴射時期が進んでいるかどうかがS111 で判定
され、YES(進んでいる)ならばS112 で噴射時期を
所定値だけ遅らす制御が行なわれる。
応力範囲の上限値に対する周波数f 2 を越えていると判
定された時は、図3におけるCのような状態であり、そ
のままでは部品の応力σが限界値σp を越えるおそれが
あるので、直ちに応力σを減少させる必要がある。この
場合はS110 に進み、前述のS103 と同様な方法で、し
かし今度は安全な応力の上限値σ2 をもたらす燃料噴射
量及び噴射時期が算出される。この噴射時期に対して現
在の燃料噴射時期が進んでいるかどうかがS111 で判定
され、YES(進んでいる)ならばS112 で噴射時期を
所定値だけ遅らす制御が行なわれる。
【0023】S111 においてNO(進んでいない)であ
れば、S113 で現在の燃料噴射量がS110 において算出
された適正燃料噴射量よりも多いかどうかが判定され
る。YES(多い)であればS114 で燃料噴射量が所定
値だけ減少され、NO(多くない)であればS115 に進
んで燃料噴射時期が所定値だけ遅角される。このように
して機関の筒内圧Pは減少し、第3図のCのような状態
はBのような状態に移行して、部品の破損が回避され
る。本実施例の制御方法は、燃料噴射量、噴射時期によ
って機関の出力を制御することが容易なディーゼルエン
ジンに特に適している。
れば、S113 で現在の燃料噴射量がS110 において算出
された適正燃料噴射量よりも多いかどうかが判定され
る。YES(多い)であればS114 で燃料噴射量が所定
値だけ減少され、NO(多くない)であればS115 に進
んで燃料噴射時期が所定値だけ遅角される。このように
して機関の筒内圧Pは減少し、第3図のCのような状態
はBのような状態に移行して、部品の破損が回避され
る。本実施例の制御方法は、燃料噴射量、噴射時期によ
って機関の出力を制御することが容易なディーゼルエン
ジンに特に適している。
【0024】なお、図4に示す各ステップ105, 108, 10
9, 112, 114, 115における燃料噴射量や噴射時期の制御
は一つの例を示したものであって、機関の運転状態等に
応じて図示例とは違った処理が行なわれてもよい。要
は、各部品の歪みを歪み発信機6によって直接に調べ
て、応力σに余裕があると判定した時は燃料噴射量の増
加、噴射時期の進角、したがって筒内圧P及び出力の上
昇を許し、応力σが限界σ p に近づいていると判定した
時は、筒内圧Pが低くなるように、燃料噴射量を減少さ
せるか、又は噴射時期を遅角させて、応力σ及び歪みe
を減少させ、部品の破損を回避するように制御するもの
である。
9, 112, 114, 115における燃料噴射量や噴射時期の制御
は一つの例を示したものであって、機関の運転状態等に
応じて図示例とは違った処理が行なわれてもよい。要
は、各部品の歪みを歪み発信機6によって直接に調べ
て、応力σに余裕があると判定した時は燃料噴射量の増
加、噴射時期の進角、したがって筒内圧P及び出力の上
昇を許し、応力σが限界σ p に近づいていると判定した
時は、筒内圧Pが低くなるように、燃料噴射量を減少さ
せるか、又は噴射時期を遅角させて、応力σ及び歪みe
を減少させ、部品の破損を回避するように制御するもの
である。
【0025】
【発明の効果】破損の危険性のある部品に直接歪み発信
機を取付けて、歪み、従って応力を検出し、それが限界
を越えないようにすると共に、応力に余裕がある時には
燃料噴射量の増量や噴射時期の進角を許容するので、部
品の強度に過大な安全率を見込む必要がなく、比較的軽
量で小型の機関であっても、各部品の強度を十分に活用
して大出力を発生させ得ると共に、過大な気筒内燃焼圧
力による部品の破損を未然に防止して、機関の安全性と
耐久性、従って信頼性を高めることができる。
機を取付けて、歪み、従って応力を検出し、それが限界
を越えないようにすると共に、応力に余裕がある時には
燃料噴射量の増量や噴射時期の進角を許容するので、部
品の強度に過大な安全率を見込む必要がなく、比較的軽
量で小型の機関であっても、各部品の強度を十分に活用
して大出力を発生させ得ると共に、過大な気筒内燃焼圧
力による部品の破損を未然に防止して、機関の安全性と
耐久性、従って信頼性を高めることができる。
【図1】本発明の方法の対象となる内燃機関の部品に歪
み発信機を取付けた状態を示すもので、(a)は機関の
一部の分解斜視図、(b)はクランクシャフトの一部の
拡大断面図、(c)は(b)の拡大斜視図である。
み発信機を取付けた状態を示すもので、(a)は機関の
一部の分解斜視図、(b)はクランクシャフトの一部の
拡大断面図、(c)は(b)の拡大斜視図である。
【図2】本発明方法を実施するための装置の全体構成を
略示する概念図である。
略示する概念図である。
【図3】本発明の実施例の作用を説明するための線図で
あって、(a)は応力(又は歪み)と発信周波数の関係
を示し、(b)は運転状態の違いによる筒内圧の変化を
示す。
あって、(a)は応力(又は歪み)と発信周波数の関係
を示し、(b)は運転状態の違いによる筒内圧の変化を
示す。
【図4】本発明の実施例における制御の手順を示すフロ
ーチャートである。
ーチャートである。
1…ピストン 2…コンロッド 3…クランクシャフト 4,4″…軸受メタル 5…クランクピン 6,6′,6″,6''' …歪み発信機 7…歪みセンサ 8…クランクウエブ 9…発振回路 10…電池 11…受信機 12…電子式制御装置(ECU) 13…燃料噴射弁
Claims (1)
- 【請求項1】 内燃機関を構成する部品のうち、気筒内
燃焼圧力の増加による応力の増大によって破損するおそ
れがあるものを選択し、それらの部品の中でも最大応力
が発生すると予測される部位に歪みセンサを有する歪み
発信機を取付けて、その部位の歪みに対応する信号を発
信させると共に、内燃機関の燃料噴射量及び噴射時期を
制御することができる電子式制御装置に接続された受信
機によって前記の信号を受信し、前記の部位の歪み従っ
て応力が所定の適正値よりも小さいと判定されたときは
燃料噴射量の増量又は燃料噴射時期の進角を許容し、前
記の部位の歪み従って応力が所定の適正値よりも大きい
と判定されたときは燃料噴射量の減量又は燃料噴射時期
の遅角を強制するように、前記電子式制御装置によって
燃料噴射弁を制御することを特徴とする内燃機関の制御
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40352290A JPH0579385A (ja) | 1990-12-19 | 1990-12-19 | 内燃機関の制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40352290A JPH0579385A (ja) | 1990-12-19 | 1990-12-19 | 内燃機関の制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0579385A true JPH0579385A (ja) | 1993-03-30 |
Family
ID=18513252
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP40352290A Pending JPH0579385A (ja) | 1990-12-19 | 1990-12-19 | 内燃機関の制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0579385A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013217354A (ja) * | 2012-04-12 | 2013-10-24 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の点火時期制御装置 |
-
1990
- 1990-12-19 JP JP40352290A patent/JPH0579385A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013217354A (ja) * | 2012-04-12 | 2013-10-24 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の点火時期制御装置 |
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