JPH0577982B2 - - Google Patents

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JPH0577982B2
JPH0577982B2 JP50669591A JP50669591A JPH0577982B2 JP H0577982 B2 JPH0577982 B2 JP H0577982B2 JP 50669591 A JP50669591 A JP 50669591A JP 50669591 A JP50669591 A JP 50669591A JP H0577982 B2 JPH0577982 B2 JP H0577982B2
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JP
Japan
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acl
2gpi
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antibody
plasma
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JP50669591A
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JPH04506415A (ja
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Suchiibun Ansonii Kuririsu
Hyuu Patoritsuku Matsukuneiru
Korin Nikoruson Chesutaaman
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Yamasa Shoyu KK
Original Assignee
Yamasa Shoyu KK
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Publication date
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Description

請求の範囲 1 サンプルを、カルジオリピンおよびβ−2−
2−グリコプロテイン−と接触させ、接触させ
たカルジオリピンおよびβ−2−グリコプロテイ
ン−に抗カルジオリピン抗体が結合したかどう
かを測定することからなる、サンプル中の抗カル
ジオリピン抗体の存在またはその存在量を測定す
る方法。 2 カルジオリピンがマイクロタイタープレート
上に固定化されている、請求項1記載の方法。 3 カルジオリピンがβ−2−グリコプロテイン
−とともにマイクロタイタープレート上に固定
化されている、請求項1記載の方法。 4 β−2−グリコプロテイン−が検体希釈液
中に含まれている、請求項1記載の方法。 5 β−2−グリコプロテイン−を反応液中に
1μg/mlを超える濃度で存在させる、請求項1記
載の方法。 6 β−2−グリコプロテイン−が哺乳動物由
来のものである、請求項1記載の方法。 7 サンプルがヒトの血液またはその分画物であ
る、請求項1記載の方法。 8 構成試薬としてβ−2−グリコプロテイン−
およびカルジオリピンからなる、サンプル中の
抗カルジオリピン抗体の存在またはその存在量を
測定する方法に用いられるキツト。 9 カルジオリピンがマイクロタイタープレート
上に固定化されている、請求項8記載のキツト。 10 カルジオリピンがβ−2−グリコプロテイ
ン−とともにマイクロタイタープレート上に固
定化されている、請求項8記載のキツト。 11 β−2−グリコプロテイン−が哺乳動物
由来のものである、請求項8記載のキツト。 12 β−2−グリコプロテイン−を含有する
検体希釈液を含む、請求項8記載のキツト。 技術分野 本発明は、サンプル中に抗リン脂質抗体が存在
するか否かを測定する方法およびキツト、ならび
にサンプル中に陰性に荷電したリン脂質が存在す
るか否かを測定する方法およびキツトに関する。 本発明はまた、サンプル中の抗リン脂質抗体が
自己免疫疾患に関する抗体なのか感染症に関する
抗体なのかを測定する方法、ならびに自己免疫疾
患に関する抗リン脂質抗体および感染症に関する
抗リン脂質抗体がサンプル中に存在するか否かを
測定する方法に関する。 背景技術 抗リン脂質(aPL)抗体は、抗原として陰性に
荷電したリン脂質、最も一般的にはカルジオリピ
ン(CL)を用いる固相免疫測定法で、血漿また
は血清中に検出できる自己抗体である。 血漿(または血清)からリン脂質アフイニテイ
ーおよび陽イオン交換クロマトグラフイーを連続
的に用いてaPL抗体を精製し、>95%の純度の特
異的免疫グロブリンを得る、簡単な2工程操作が
報告されている。これらの抗体は、CL−ELISA
で典型的な結合を示すが、リン脂質依存性凝血試
験においてループス抗凝固(LA)活性は示さな
い。最近、イオン交換クロマトグラフイーによつ
て、血漿を抗カルジオリピン(aCL)抗体または
LA活性をもつ抗体のいずれかを含有する分画に
分離できることも明らかにされた。これは、aCL
抗体とLA抗体が別個のaPL抗体亜群を与え、異
なる抗原に対し反応することを強く示唆するもの
である。 リン脂質抗原〔たとえば、カルジオリピン
(CL)〕に結合する血漿中または血清中の抗体を
検出するための固相免疫測定法は1980年代の半ば
に開発され、現在ではそのまま使用できる市販キ
ツトとして多数のバイオテクノロジー関連会社か
ら入手可能であり、多くの研究施設ではこれらを
使用するか、その代りに独自の自家検定法を採用
している。基本的には、CLをマイクロタイター
のウエルの底にコーテイングし、血漿または血清
のサンプルを添加する。抗カルジオリピン、aPL
抗体が結合し、酵素連結抗−ヒト(二次)抗体を
用いて検出できる。しかしながら、希釈した場
合、一部のサンプルは予想よりも低い結合を示す
ことがあり、その理由は明らかでない。しかし、
これは希釈効果によつて一部のサンプルでは偽陰
性を呈するという問題を生じる。 抗原としてカルジオリピン(CL)を使用する
固相酵素連結免疫測定法(ELISA)で検出され
る抗リン脂質抗体(aPL)は、抗カルジオリピン
抗体(aCL)と呼ばれる。aCLは、梅毒やその他
の感染症、自己免疫疾患の患者で、薬剤誘発状態
として、また正常個体群にある率で検出される。 自己免疫疾患患者におけるaCLの存在は、動脈
または静脈血栓、反復性自然流産および血小板減
少症の危険の増大を付与するとされている。しか
しながら、これらの臨床的特徴は梅毒やその他の
感染症で生じたaCLの場合には認められない。 これは、この2つの群にみられるaCLの間には
ある種の質的な差があることを示唆している。し
たがつて、サンプル中の抗リン脂質抗体が自己免
疫疾患に関する抗体なのか感染症に関する抗体な
のかを決定する方法、ならびに自己免疫疾患に関
する抗リン脂質抗体および感染症に関する抗リン
脂質抗体がサンプル中に存在するのかどうかを測
定する方法が求められている。 発明の目的 本発明の目的は、サンプル中に抗リン脂質抗体
(本明細書における定義による)が存在するか否
かを測定する検定法を提供することにある。 本発明の他の目的は、サンプル中に陰性に荷電
したリン脂質が存在するか否かを測定する検定法
を提供することにある。 本発明のさらに他の目的は、本発明の検定法に
用いられるキツトを提供することにある。 また、本発明の他の目的は、サンプル中の抗リ
ン脂質抗体が自己免疫疾患に関する抗体なのか感
染症に関する抗体なのかを決定する方法を提供す
ることにある。 またさらに、本発明の他の目的は、自己免疫疾
患に関する抗リン脂質抗体および感染症に関する
抗リン脂質抗体がサンプル中に存在するのかどう
かを測定する方法を提供することにある。 発明の開示 本明細書で用いられる抗リン脂質抗体の語は、
一般的にすべての陰性に荷電したリン脂質、とく
にカルジオリピンに結合する抗リン脂質抗体を称
するが、それらはループス抗凝固活性は示さな
い。 カルジオリピン酵素連結免疫測定法(CL−
ELISA)で結合性を示す抗リン脂質(aPL)抗
体は、リン脂質アフイニテイーおよびイオン交換
クロマトグラフイーを連続的に用いて>95%の純
度に精製することができる。 本発明者らは、血漿のイオン交換クロマトグラ
フイーで得られたaPL抗体含有画分をホスフアチ
ジルセリン(PS)またはCLアフイニテイーカラ
ムにアプライした場合、これらの抗体を含む血漿
をこれらのカラムにアプライしてaPL抗体を精製
できたにもかかわらず、抗体の結合が起こらない
ことを見出したのである。リン脂質抗原への結合
は、正常ヒト血漿、血清またはウシ血清が存在す
る場合にのみ起こり、これは、aPL抗体のCLへ
の結合には血漿/血清中のコフアクターの存在が
必要なことを示唆している。正常(aPL抗体陰
性)血漿をイオン交換画分に添加するとカラムへ
のaPLの結合が起こり、この仮説が支持された。 リン脂質アフイニテイー、ゲル濾過およびイオ
ン交換クロマトグラフイーを連続的に用いて、本
発明者らはこのコフアクターを均質に精製し、
aPL抗体のCLへの結合にはこのコフアクターの
存在が用量依存性に要求されることを示した。 この分子のN−末端領域配列の分析により、こ
のコフアクターは、陰イオン性リン脂質に結合す
ることが知られている血漿蛋白質であるβ−2−
グリコプロテイン−(β−2GPI)(アポリポ蛋
白質H)(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.81,
pp.3640−3644,June 1984)と同定された。これ
らの所見は、β−2GPIまたはその同族体もしく
は類縁体の存在は抗体/リン脂質の相互作用に絶
対的な要件であり、結合したβ−2GPIがaPL抗
体の標的抗原を形成することを示唆している。 本発明は、陰性に荷電したリン脂質、とくに
CLを用いる標準検定法における血漿中でのaPL
抗体の結合を、検定系への精製β−2−グリコプ
ロテイン−の添加によつて有意に増大させうる
ことの発見に基づくものである。この感度の上昇
は大部分の検定における標準的希釈である1:50
の希釈でとくに顕著である。 本発明の第一の状態においては、サンプルを、
陰性に荷電したリン脂質、およびβ−2−グリコ
プロテイン−またはその同族体もしくは類縁体
と接触させ、接触したリン脂質およびβ−2−グ
リコプロテイン−に抗リン脂質抗体が結合した
かどうかを測定することからなる、サンプル中に
抗リン脂質抗体(本明細書における定義による)
が存在するか否かを測定する検定法が提供され
る。 リン脂質およびβ−2GPIへのaPL抗体の結合
の検出は、サンプル中にaPL抗体が存在すること
を示す。 サンプルは任意の哺乳動物からの血清または血
漿のような血液画分であつてよい。 この実施態様の方法においては、任意の陰性に
荷電したリン脂質、たとえば、カルジオリピン、
ホスフアチジルイノシトール、ホスフアチジルセ
リン、ホスフアチジルグリセロホスフエート、ホ
スフアチジン酸、またはそれらの同族体もしくは
類縁体が使用できる。通常はカルジオリピンが用
いられる。 本発明の第二の態様においては、サンプルを、
リン脂質に対する抗リン脂質抗体(本明細書にお
ける定義による)、およびβ−2−グリコプロテ
イン−Iまたはその同族体もしくは類縁体と接触
させ、接触した抗体およびβ−2−グリコプロテ
イン−Iに陰性に荷電したリン脂質が結合したか
どうかを測定することからなる、サンプル中に陰
性に荷電したリン脂質が存在するか否かを測定す
る方法が提供される。 陰性に荷電したリン脂質のβ−2GPIおよび
aPL抗体との結合の検出は、サンプル中に陰性に
荷電したリン脂質が存在することを示す。 サンプルは、任意の哺乳動物からの、全血、ま
たは血清もしくは血漿のような血液画分であつて
よい。本発明のアツセイはとくにヒトに適用でき
る。 本発明の方法においては、陰性に荷電したリン
脂質またはaPL抗体は通常、アフイニテイーカラ
ム充填材料またはプラスチツク表面、たとえばマ
イクロタイタープレートもしくはデイツプステイ
ツクのような適当な固相上に既知の技術で固定化
される。 適当なアフイニテイーカラム充填材料は、ビー
ズにしたアガロースマトリツクス、ポリアクリル
アミド、ガラス、セルロースまたは架橋デキスト
ランが包含される。 適当なプラスチツク表面には、ポリメチルアク
リレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリテ
レフタレート、エチレングリコール、ポリエステ
ル、ポリプロピレン等が包含される。一般的に
は、任意の標準的マイクロタイタープレートが使
用できる。 別法として、固相はゲルまたはマトリツクスの
形態でもよく、これにaPL抗体またはリン脂質が
所望によりβ−2GPIとともに導入される。 第一の実施態様の方法の他の形式では、リン脂
質が所望によりβ−2GPIとともにリポソームま
たはミセルに導入される。 β−2GPIは任意の哺乳動物からのものでよい。
実質的に純粋な形であることが望ましい。β−
2GPIは、血清または血漿から既知の方法で、た
とえばリン脂質クロマトグラフイーにより精製で
きる。しかしながら、組換えDNA技術またはペ
プチド合成で製造されたβ−2GPIも使用できる。 β−2GPIは、第一または第二の実施態様の方
法で使用されるサンプルを陰性に荷電したリン脂
質またはaPL抗体と接触させる前または後に、そ
のサンプルと接触させることができる。また、第
一の実施態様の検定では、β−2GPIを固相に抗
原とともに固定化しても、またリポゾームもしく
はミセルに導入してもよい。 抗リン脂質抗体のリン脂質およびβ−2−グリ
コプロテイン−Iへの結合は本技術分野でよく知
られた任意の適当な方法で測定できる。たとえ
ば、ELISA、ラジオイムノアツセイ(RIA)、免
疫蛍光法、化学ルミネツセンス法および比濁法を
使用できるが、これらに限定されるものではな
い。 通常は、標識抗体または抗原を用いる標準
ELISA法が採用される。標識は、酵素、蛍光物
質、化学発光物質、放射性同位元素または補酵素
とすることができる。一般的には、酵素標識、た
とえばアルカリホスフアターゼまたはβ−ガラク
トシダーゼがそれらの適当な基質とともに用いら
れる。酵素/基質反応は適当な手段たとえば分光
光度法によつて検出できる。 リン脂質がリポソームに導入された場合は、
Bonerji B,Lyon J A,Alving C R,
Biochim.Biophys.Acta,1982,689:319−328;
Alving C R,Richards R L,Guirgius A
A,J.Immunology.,1977,118:342に記載の
リポソーム分解アツセイが使用できる。 本発明の第三の態様においては、a)β−
2GPIまたはその同族体もしくは類縁体、および
b)陰性に荷電したリン脂質からなり、抗リン脂
質抗体(本明細書における定義による)がサンプ
ル中に存在するか否かを測定する検定法に用いら
れるキツトが提供される。 キツトはさらに、c)試験サンプル中に存在す
る抗リン脂質抗体のβ−2GPIおよび陰性に荷電
したリン脂質への結合を検出するための手段を包
含してもよい。 抗体の結合を検出するためには、任意の適当な
手段、たとえば標識抗−ヒト抗体を使用すること
ができる。この場合標識としては、酵素、蛍光物
質、化学発光物質、放射性同位元素または補酵素
が使用できる。一般に使用される標識は酵素であ
る。 本発明の第四の態様においては、a)β−
2GPIまたはその同族体もしくは類縁体、および
b)抗リン脂質抗体(本明細書における定義によ
る)からなり、サンプル中に陰性に荷電したリン
脂質が存在するか否かを測定する検定法に用いら
れるキツトが提供される。 キツトはさらに、c)抗体リン脂質抗体の、β
−2GPIおよび試験サンプル中に存在する陰性に
荷電したリン脂質への結合を検出するための手段
を包含してもよい。 aPL抗体の結合を検出するためには、任意の適
当な手段が使用できる。通常、酵素を標識とした
標識aPL抗体が使用される。使用できる他の適当
な標識には、蛍光物質、化学発光物質、放射性同
位元素、または補酵素が包含される。 本発明の検定法の利点は、過剰のβ−2GPIの
添加により陰性に荷電したリン脂質へのaPL抗体
の至適な結合が可能となり、定常的に使用されて
いる検定法に比較して感度の有意な増大が生じる
ことである。 この感度の増大の結果として、定常的なaPL検
定では「陰性」のサンプルが本発明の検定では陽
性であることがわかる場合があり、「偽陰性」を
最小限にすることができる。 aPL抗体の検出は、体内におけるその存在が血
栓症、流産および他の臨床的に重要な症候群に関
連することから、臨床的に極めて重要である。し
たがつて、これらの抗体の検定の感度の上昇は臨
床的意義が大きい。 自己免疫疾患患者および感染症患者から精製し
た抗リン脂質抗体(aCL)の、リン脂質結合血漿
蛋白質、β−2−グリコプロテイン−I(β−
2GPI)への結合特異性の検討により、本発明者
らは、自己免疫疾患患者からのaCLの結合特異性
が感染症患者からのaCLの場合とは異なることを
発見した。とくに、本発明者らは、自己免疫疾患
患者12例中11例でaCL抗体はβ−2GPIの存在下
にのみカルジオリピン(CL)と結合することを
見出した。これに反し、マラリア、感染性単核
症、結核、A型肝炎および梅毒患者からの精製
aCLはβ−2GPIがなくてもCLに結合した。 血栓症の合併は自己免疫疾患で存在するaCLに
関連し、感染症に伴うaCLには関係がないようで
ある。本発明者らは、自己免疫疾患群における血
栓症の危険の増大は、抗凝固活性をもつ血漿蛋白
質、β−2GPIに関連してCLに結合するaCL抗体
の存在によるものと想像している。 本発明は第五の態様においては、(i)サンプルの
一部をβ−2−グリコプロテイン−Iまたはその
同族体もしくは類縁体と接触させることなく、陰
性に荷電したリン脂質と接触させ、サンプル中の
抗リン脂質抗体の第一の量を測定し、(ii)サンプル
の別の一部を陰性に荷電したリン脂質およびβ−
2−グリコプロテイン−Iまたはその同族体もし
くは類縁体と接触させて、サンプル中の抗リン脂
質抗体の第二の量を測定し、(iii)第一の量が第二の
量よりも実質的に小さい場合は測定されたサンプ
ル中の抗リン脂質抗体は自己免疫疾患に関するも
のであり、第一の量が第二の量よりも実質的に大
きい場合は測定されたサンプル中の抗リン脂質抗
体は感染症に関するものであることから、第一の
量と第二の量を比較して、測定されたサンプル中
の抗リン脂質抗体が自己免疫疾患に関するもので
あるか感染症に関するものであるかを決定するこ
とからなる、サンプル中の抗リン脂質抗体が自己
免疫疾患に関するものであるか感染症に関するも
のであるかを決定する方法が提供される。 本発明は第六の態様においては、(i)サンプルの
一部をβ−2−グリコプロテイン−Iまたはその
同族体もしくは類縁体と接触させることなく、陰
性に荷電したリン脂質と接触させ、サンプル中の
抗リン脂質抗体の第一の量を測定し、(ii)サンプル
の別の一部を陰性に荷電したリン脂質およびβ−
2−グリコプロテイン−Iまたはその同族体もし
くは類縁体と接触させて、サンプル中の抗リン脂
質抗体の第二の量を測定し、(iii)第一の量が第二の
量と実質的に等しい場合には測定されたサンプル
中の抗リン脂質抗体は自己免疫疾患および感染症
に関するものであることから、第一の量と第二の
量を比較して、測定されたサンプル中の抗リン脂
質抗体が自己免疫疾患および感染症に関するもの
であるか否かを決定することからなる、サンプル
中の抗リン脂質抗体が自己免疫疾患および感染症
に関するものであるか否かを決定する方法が提供
される。 以下の注釈は、第五および第六の実施態様の両
者に適用される。 第一の量が第二の量よりも実質的に小さいと
は、第二の量が第一の量の少なくとも1.1倍より
大であることを意味する(第二の量が第一の量の
100000倍またはそれ以上になることもある)。第
一の量が第二の量よりも実質的に大きいとは、第
一の量が第二の量の少なくとも1.1倍より大であ
ることを意味する(第一の量が第二の量の100000
倍またはそれ以上になることもある)。 第一の量が第二の量と実質的に等しいとは、第
一の量が第二の量の0.9倍より大きく、第二の量
の約1.1倍より小さいことを意味する。この場合、
第一の量は第二の量と実質的に等しいとする。 サンプルは、任意の哺乳動物からの、全血、ま
たは血清もしくは血漿のような血液画分であつて
よい。本発明の方法はとくにヒトの体液に適用で
きる。 本発明の方法においては、陰性に荷電したリン
脂質は通常、アフイニテイーカラム充填材料また
はプラスチツク表面、たとえばマイクロタイター
プレートもしくはデイツプステイツクのような適
当な固相上に既知の技術で固定化される。 適当なアフイニテイーカラム充填材料には、ビ
ーズにしたアガロースマトリツクス、ポリアクリ
ルアミド、ガラス、セルロースまたは架橋デキス
トランが包含される。 適当なプラスチツク表面には、ポリメチルアク
リレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリテ
レフタレート、エチレングリコール、ポリエステ
ル、ポリプロピレン等が包含される。一般的に
は、任意の標準的マイクロタイタープレートが使
用できる。 別法として、固相はゲルまたはマトリツクスの
形態でもよく、工程(ii)の方法ではこれに陰性に荷
電したリン脂質がβ−2GPIとともに導入される。 第五および第六の実施態様の方法工程(ii)におい
ては、他の形式として、リン脂質をβ−2GPIと
ともにリポソームまたはミセルに導入できる。 β−2GPIは任意の哺乳動物からのものでよい。
実質的に純粋な形であることが望ましい。β−
2GPIは、血清または血漿から既知の方法で、た
とえばリン脂質クロマトグラフイーにより精製で
きる。しかしながら、組換えDNA技術またはペ
プチド合成で製造されたβ−2GPIも使用できる。 工程(ii)の方法においては、β−2GPIは、試験
されるサンプルを陰性に荷電したリン脂質と接触
させる前または後に、そのサンプルと接触させる
ことができる。また、工程(ii)の方法においては、
β−2GPIは、抗原とともに固相に固定化しても、
またリポソームもしくはミセルに導入してもよ
い。 抗リン脂質抗体のリン脂質〔工程(ii)においては
さらにβ−2−グリコプロテイン−〕への結合
は、本技術分野でよく知られた任意の適当な方法
で測定できる。たとえば、ELISA、ラジオイム
ノアツセイ(RIA)、免疫蛍光法、化学ルミネツ
センス法および比濁法を使用できるが、これらに
限定されるものではない。 通常、標識抗体または抗原を用いる標準
ELISA法が採用される。標識は、酵素、蛍光物
質、化学発光物質、放射性同位元素または補酵素
とすることができる。一般的には、酵素標識、た
とえばアルカリホスフアターゼまたはβ−ガラク
トシダーゼがそれらの適当な基質とともに用いら
れる。酵素/基質反応は適当な手段たとえば分光
光度法によつて検出できる。 リン脂質がリポソームに導入された場合は、
Bonerji B,Lyon J A,Alving C R,
Biochim.Biophys.Acta,1982,689:319−328;
Alving C R,Richards R L,Guirgius A
A,J.Immunology.,1977,118:342に記載の
リポソーム分解アツセイーが使用できる。 aPL抗体の結合を検出するためには、任意の適
当な手段、たとえば標識を酵素、蛍光物質、化学
発光物質、放射性同位元素または補酵素とした標
識抗−ヒト抗体が使用できる。一般に、使用され
る標識は酵素である。 工程(ii)の方法においては、サンプルへの過剰の
β−2GPIの添加により、陰性に荷電したリン脂
質へのaPL抗体の至適な結合が可能となり、定常
的に使用されている検定法に比較して感度の有意
な増大が生じる。 【図面の簡単な説明】 図1には、標準および改良CL−ELISAにおけ
る様々なサンプルの結合を例示する。サンプル
は、aCL含有イオン交換画分(IE.F);アフイニ
テイー精製aCL抗体(AP.AB);正常血漿(N.
PL);成熟ウシ血清(ABS);精製コフアクター
(COF);患者血漿(P.PL)である。ABSおよび
COFは単独で試験した場合、陰性である(デー
タは示していない)。 図2は、正常血漿のCLアフイニテイーカラム
クロマトグラフイーからの溶出液のPharmacia
Superose 12HR10/30カラムによるゲル濾過を
例示する。緩衝液:0.01Mリン酸塩1M NaCl。
コフアクター活性は太い矢印で示した大きなピー
クに検出された。 図3は、図2のコフアクター含有画分の
Pharmacia Mono SHR5/5カラムによる陽イ
オン交換の結果である。開始緩衝液:0.05M 酢
酸塩0.05M NaCl PH4.8。溶出緩衝液:0.05M酢
酸塩0.65M NaCl PH5.2。破線:溶出緩衝液の勾
配。コフアクター活性は太い矢印で示した遅いピ
ークに検出された。 図4は、非還元条件下、5〜15%の直線勾配ゲ
ルによるSDS−PAGEのクーマシーブルー染色を
例示する。レーン1:aCL陽性血漿のCLアフイ
ニテイーカラムクロマトグラフイーからの溶出
液、IgG−aCL(150kDa)およびコフアクター
(50kDa)の広いバンドを含む。レーン2:正常
血漿から連続的なCLアフイニテイー、ゲル濾過
(図2)および陽イオン交換クロマトグラフイー
(図3)によつて得られた精製コフアクター。 図5は、精製コフアクターのアミノ末端アミノ
酸配列を示す。Xは残基が確定できていない配列
中位置を示す。図6a:・――・アフイニテイー
精製aCL抗体の希釈系列の、コフアクターの希釈
系列の存在下での改良CL−ELISAにおける結
合、・……・抗体およびコフアクター両者の希釈
に基づく外挿結合曲線。 図6b:aCL抗体陽性血漿の希釈系列の、標準
CL−ELISA・――・および改良CL−ELISA・…
…・における結合 図7は、緩衝液中、または50μg/mlのコフア
クターの存在下における、改良CL−ELISAでの
IgG、aPL抗体の希釈系列の結合を示す。 図8は、緩衝液中、または50μg/mlのコフア
クターの存在下における、改良CL−ELISAでの
IgM、aPL抗体の希釈系列の結合を示す。 図9は、抗カルジオリピン抗体を有する患者か
らの透析血漿サンプルの典型的なイオン交換クロ
マトグラフイー像を示す。実線=280nmにおける
吸光度、点線=aCL活性(405nmの吸光度)、破
線=β−2GPI(μg/ml)。 図10は、感染に関連したaCLを有する患者に
ついて実施した改良CL−ELISA(IgG)の結果を
示す。A=β−2GPI非添加、B=β−2GPI添
加。 図11A〜Dは、自己免疫疾患に関連したaCL
を有する患者について実施した改良CL−ELISA
(IgG)の結果を示す。AおよびBはβ−2GPI非
添加、CおよびDはβ−2GPI添加。図11Aお
よび図11C:患者番号24−31=IgG、32−35=
多価、図11Cおよび図11D:患者番号24−31
=IgA。 図12は、自己免疫血清でのβ−2GPIの増強
の結果を示す。 本発明の実施における最良の様式および他の様式 以下に、第一の実施態様の方法を、サンプル中
のaPL抗体の検出に関して説明する。 β−2−グリコプロテイン−は、正常ヒト血
漿または血清からリン脂質クロマトグラフイーに
よつて精製する。 β−2GPIの保存溶液を調製し、血漿または血
清サンプルに添加して希釈サンプル(通常は検定
緩衝液1:50)中50μg/mlの最終濃度とする。 サンプルは、ついで以下のようにCL−ELISA
法でaPL抗体を検定する。 CLをエタノール溶液としてマイクロタイター
プレートに添加して、プレートの底にCLにコー
テイングする。エタノールを蒸発させるとプレー
トの表面にCLのコーテイングが残る。 コーテイングしたマイクロタイタープレートを
上述のようにして調製した1:50希釈血清または
血漿サンプルとインキユベートし、洗浄し、アル
カリホスフアターゼ連結抗−ヒト抗体とインキユ
ベートする。次にプレートを2度目の洗浄に付
し、基質とインキユベートする。酵素反応の生成
物を分光光度法によつて検出する。 次に、本発明の方法を二抗体サンドイツチアツ
セイによるサンプル中の陰性に荷電したリン脂質
の検出に関して説明する。 β−2−グリコプロテイン−Iは上述のように
調製し、血清または血漿サンプルに添加し、希釈
サンプル(通常は検定緩衝液1:50)中50μg/
mlの最終濃度とする。aPL抗体をマイクロタイタ
ープレート上に吸着させ、血清または血漿サンプ
ルを1:50に希釈して加える。プレートを洗浄
し、アルカリホスフアターゼ連結aPL抗体とイン
キユベートする。ついでプレートを洗浄に付し、
基質とインキユベートする。酵素反応の生成物を
分光光度法によつて検出する。 サンプル中の抗リン脂質抗体が自己免疫疾患に
関する抗体および/または感染症に関する抗体で
あるか否かを決定する方法は、以下の方法で実施
できる。 第一には、サンプルの一部をβ−2−グリコプ
ロテイン−またはその同類体もしくは類縁体と
接触させることなく、陰性に荷電したリン脂質と
接触させ、サンプル中の抗リン脂質抗体の量
(「第一の量」という)を測定することによるサン
プルの一部の分析でサンプル中の抗リン脂質抗体
を測定する。通常、この測定はCL固相酵素免疫
測定法(ELISA)を用いて行われる。CLをエタ
ノール溶液としてマイクロタイタープレートに添
加して、プレートの底にCLをコーテイングする。
エタノールを蒸発させるとプレートの表面にCL
のコーテイングが残る。プレートを、ミルク粉末
1%/0.3%ゼラチン含有PBSでブロツクする。
コーテイングしたマイクロタイタープレートを検
定緩衝液1:50希釈血清または血漿サンプルとイ
ンキユベートし、洗浄し、アルカリホスフアター
ゼ連結抗−ヒト抗体とインキユベートする。次に
プレートを2度目の洗浄に付し、基質とインキユ
ベートする。酵素反応の生成物は分光光度法によ
つて検出する。 第二には、サンプル中の抗リン脂質抗体を、改
良CL固相酵素免疫測定法(改良ELISA)を用い
て測定する。一般的に、これは、サンプルの他の
一部を陰性に荷電したリン脂質およびβ−2−グ
リコプロテイン−またはその同類体もしくは類
縁体と接触させ、サンプル中の抗リン脂質抗体の
量(「第二の量」という)を測定する。さらに詳
しくは、β−2−グリコプロテイン−は正常ヒ
ト血漿または血清からリン脂質クロマトグラフイ
ーによつて精製する。β−2GPIの保存溶液を調
製し、血漿または血清サンプルに添加して希釈サ
ンプル(通常は検定緩衝液1:50)中50μg/ml
の最終濃度とする。サンプルはついで以下のよう
に、CL−ELISAアツセイでaPL抗体を検定する。
CLをエタノール溶液としてマイクロタイタープ
レートに添加してプレートの底にCLをコーテイ
ングする。エタノールを蒸発させるとプレートの
表面にCLのコーテイングが残る。プレートを、
ミルク粉末1%/0.3%ゼラチン含有PBSでブロ
ツクする。コーテイングしたマイクロタイタープ
レートを上述のようにして調製した1:50希釈血
清または血漿サンプルとインキユベートし、洗浄
し、アルカリホスフアターゼ連結抗−ヒト抗体と
インキユベートする。次にプレートを2度目の洗
浄に付し、基質とインキユベートする。酵素反応
の生成物は分光光度法によつて検出する。 次に、第一の量と第二の量と比較することによ
り、測定されたサンプル中の抗リン脂質抗体が自
己免疫疾患に関する抗リン脂質抗体であるか感染
疾患に関する抗リン脂質抗体であるかを決定す
る。第一の量が第二の量より実質的に小さい場合
は、測定されたサンプル中の抗リン脂質抗体は自
己免疫疾患に関する抗体であり、第一の量が第二
の量より実質的に大きい場合は、測定されたサン
プル中の抗リン脂質抗体は感染疾患に関する抗体
である。 また、第一の量と第二の量と比較することによ
り、測定されたサンプル中の抗リン脂質抗体が自
己免疫疾患に関する抗リン脂質抗体および感染疾
患に関する抗リン脂質抗体であるかを決定する。
第一の量が第二の量と実質的に等しい場合は、測
定されたサンプル中の抗リン脂質抗体は自己免疫
疾患に関する抗体および感染疾患に関する抗体で
ある。 次に、本発明を以下の実施例によりさらに詳細
に説明するが、これは本発明を限定するものでは
ない。 例 1 aPL(aCL)抗体および血漿コフアクターの精
製血漿および患者 静脈穿刺により採取した新しい血液を、最終容
量の1/10の0.11Mクエン酸三ナトリウムを含むチ
ユーブに取り、直ちに2500gで15分間遠心分離
し、0.22μm Millipore Millexフイルターで濾過
して、クエン酸処理血小板不含血漿を調製した。
aCL抗体は、血漿が高レベルのaCL抗体を含有
し、強いLA活性を示す抗リン脂質症候群の2例
の患者から精製した。全身性エリテマトーデスで
あるが血栓症の既往はない、さらに2例の患者か
らの血漿をイオン交換クロマトグラフイーに付し
た。血漿コフアクターは、aCL抗体およびLA活
性陰性の31歳の男性健常者から精製した。 患者血漿のイオン交換クロマトグラフイー 患者血漿を、0.05M酢酸塩0.05M NaCl PH4.8
に対して完全に透析し、遠心分離し、ついで
Pharmacia Fast Protein Liquid
Chromatography(FPLC)システムを用い、前
述のように、5時間にわたり溶出緩衝液(0.05M
酢酸塩0.65M NaCl PH5.2)1500mlを0〜100%
の直線勾配でSepharose Fast Flow陽イオン交
換カラム(Pharmacia)にかけた。各画分につ
いて標準CL−ELISAを用いてaCL抗体を検出し、
aCL抗体陽性画分は、0.01Mリン酸緩衝0.15M食
塩溶液PH7.2(PBS)(Dulbecco A)に対して透
析した。 CL−アフイニテイークロマトグラフイー 前述したPSアフイニテイークロマトグラフイ
ー法を改良して使用した。エタノール中5.6mgの
CL(Sigma)をガラスシンチレーシヨンバイアル
に取り、窒素気流下に溶媒を蒸発させた。2.32mg
のコレステロール(BDH CHemicals)と0.44mg
のリン酸ジセチル(Sigma)を加え、脂質をクロ
ロホルムに再溶解させた。溶媒を再び蒸発させ、
エタノール500μを加え、バイアルに栓をして
沸騰水に浸し、脂質が溶解するまで振盪した。15
%アクリルアミド、5%BIS(Biorad)溶液5ml
をそれぞれ加え、脂質/アクリルアミド混合物を
旋回させて激しく混合し、ついで100μの過硫
酸アンモニウム(140mg/ml)、2.5μのTEMED
(いずれもBioradより)を加えて急速に重合さ
せ、ついで室温に一夜放置した。堅いゲルを手操
作の緩く嵌合するテフロン乳棒を用いてホモジナ
イズし、空のPharmacia FPLC HR 10/10ガラ
スカラムに充填し、0.01Mリン酸塩 0.05M
NaCl PH7.2で平衡化した。血漿をこの緩衝液で
1:5最終容量に希釈し、0.5ml/minでカラム
に注入し、ついで通過液の280nmにおける吸光度
が<0.01単位になるまで、カラムを0.8ml/minで
洗浄した。溶出緩衝液(0.01Mリン酸塩 1.0M
NaCl PH7.2)40mlを0〜100%直線勾配で50分
で適用し、蛋白質を含む溶出画分を集めた。イオ
ン交換画分は非希釈で適用し、上述のようにクロ
マトグラフイーに付した。 標準aCL抗体免疫測定法 McNeil et al:Thromb.Res.,52:609−619
の記載に従いわずかに改変したaCL抗体の
ELISAを使用した。多価第二抗体を用いる場合
は、各プレートに既知陽性血漿を包含させた。試
験サンプルのaCL抗体レベルは、aCL抗体単位で
表した。100単位は、1:50希釈における陽性サ
ンプルの405nmの吸光度である。 改良aCL抗体免疫測定法 上述の標準CL−ELISAを次のように改良し
た。1%ミルク粉末(Diploma)/0.3%ゼラチ
ン(Ajax)/PBSをブロツキング工程に使用し、
サンプルは0.3%ゼラチン/PBSに希釈して加え、
第二の抗体は標準アツセイにおいて各上記工程に
使用した10%成熟ウシ血清(ABS)/PBSに代
えて1%ウシ血清アルブミン(BSA)/PBSに
希釈した。他の細部はすべて上述の標準CL−
ELISAと同じにした。 aCL抗体のアフイニテイー精製 aCL抗体レベルの高い患者からの血漿を上述の
ようにアフイニテイーカラムによるクロマトグラ
フイーに付した。このカラムから溶出した蛋白質
は0.05M酢酸塩 0.05M NaCl PH4.8に対して一
夜透析し、ついでFPLCシステムを用いてMono
−S陽イオン交換カラム(Pharmacia)にアプ
ライした。溶出緩衝液(0.05M酢酸塩 0.65M
NaCl PH5.2)15mlを0〜100%直線勾配で30分
で適用したところ、30%溶出緩衝液で高度に精製
されたaCL抗体蛋白質が溶出した。 血漿コフアクターの精製 上述のように、正常血漿をCLアフイニテイー
カラムを用いるクロマトグラフイーに付した。溶
出した蛋白質を含む画分を、YM10膜を用いる
Amicon濃縮装置により圧200kPaで濃縮し、
0.01Mリン酸塩 1M NaCl PH7.2に対して透析
し、さらにPA−10膜を用いるMicro−Pro−
DiCon透析濃縮装置(Bio−Molecular
Dynamics)により200μに濃縮した。濃縮した
CLカラム溶出液をFPLCシステムで操作した
Pharmacia Superose 12 10/30ゲル濾過カラム
に0.01Mリン酸塩 1M NaCl PH7.2中、0.4ml/
minでアプライした。コフアクター活性が認めら
れたこのカラムからの画分を集め(結果の項参
照)、0.05M酢酸塩 0.05M NaCl PH4.8に対し
て一夜透析し、ついでPharmacia Mono−S陽
イオン交換カラムにアプライし、上述したと同じ
様式で0.05M酢酸塩 0.65M NaClで溶出し、
aCL抗体を精製した。コフアクター活性が認めら
れた画分を集め、PBSに対して透析し、小分け
して−70℃で保存した。 アミノ酸配列 オンライン・フエニルチオヒダントインアミノ
酸分析装置(120A型)に接続したApplied
Biosystemsシクエンサー(477A型)を用いて精
製コフアクターの自動エドマン分解を行つた。シ
クエンサーからの全アミノ酸誘導体を別に述べる
改良サンプル移送装置を用いて液体クロマトグラ
フに注入した。担体としてはポリブレンを使用し
た。 ヘパリンアフイニテイーカラムクロマトグラフ
イー aCL抗体陽性血漿、またはアフイニテイー精製
aCL抗体、および/または精製コフアクターを、
0.01Mリン酸塩 0.05M NaCl PH7.2緩衝液中
heparin−Sepharose CL−4B(Pharmacia)40ml
を充填したカラムにアプライし、結合した蛋白質
を0.01Mリン酸塩 1M NaCl PH7.2で溶出した。 他の方法 SDS−PAGEのためのサンプルは3%重積ゲル
を含む5〜15%直線勾配ゲルにかけた。電気泳動
後、ゲルをクーマシーブルーで染色した、蛋白質
の定量にはLowryの方法を使用した。50%水酸
化アルミニウム懸濁液(BDH Chemicals)0.1ml
を血漿1mlと混合し、チユーブを15分間、毎分倒
立させたのち沈殿を遠心分離してビタミンK依存
性凝固因子枯渇血漿を調製した。 例 2 血漿からのaCL抗体含有イオン交換分画のCL
アフイニテイークロマトグラフイー 前述のように、aCL抗体およびLA活性を含む
血漿は陽イオン交換クロマトグラフイーで亜群に
分離できる。aCL抗体含有画分をCLアフイニテ
イーカラムに通しても結合は認められず、カラム
の通過液は適用画分と同量のaCL抗体を含んでい
た。正常血漿をイオン交換画分に1:10v/vの
割合で加え、この混合物をCLアフイニテイーカ
ラムに注入すると、アプライしたaCL抗体の約30
%がカラムに吸着され、カラムから溶出させるこ
とができた(表1)。水酸化アルミニウムと混合
してビタミンK依存性凝固因子を除去した正常血
漿も類似の結果を生じた。最後に、正常血漿に由
来する画分を精製し(下記参照)、この「コフア
クター」画分(蛋白質濃度200μg/ml)を1:
5v/vの割合で加えると、適用したaCL抗体の約
74%の吸着が生じた。 例 3 改良aCL抗体免疫測定法におけるaCL抗体含有
イオン交換画分およびアフイニテイー精製aCL
抗体の結合 例2で得られた結果は、アフイニテイーカラム
のCLへのaCL抗体の結合が血漿依存性であるこ
とを示唆している。しかしながら、これらのaCL
抗体含有画分およびアフイニテイー精製aCL抗体
は、標準固相CL免疫測定法において、血漿の非
存在下に典型的な結合を示す。これらのアツセイ
では、ブロツキング剤および希釈剤としてCLへ
の抗体の結合に必要な血漿因子を含んでいた可能
性も考えられるウシ血清を使用した。これを試験
するため、ウシ血清を、希釈剤としてゼラチン、
ブロツキング剤としてミルク粉末/ゼラチンに置
換した。aCL抗体含有イオン交換画分またはアフ
イニテイー精製aCL抗体をこの改良CL免疫測定
法で試験したところ、結合は全く起こらなかつ
た。1:50希釈ではaCL抗体陽性血漿は標準CL
−ELISAの場合と同じ結合を示し、正常血漿は
陰性であつた。イオン交換画分またはアフイニテ
イー精製プレパレーシヨンにおける抗体の結合
は、正常血漿を1:50希釈で添加した場合には認
められた。同じ効果が、これらの画分にウシ血清
を添加した場合にもみられた(図1)。すなわち、
コフアクターがウシ血清によつて与えられている
ので、精製aCL画分は標準CL−ELISAで結合を
示すことになる。 この改良CL−ELISAは、アフイニテイー精製
aCL抗体と未知量のコフアクターを含有する画分
の混合物を含むサンプルを試験することによつ
て、正常血漿に由来する画分中のコフアクター活
性を検出する便利な方法を提供する。コフアクタ
ーが存在しないと、アフイニテイー精製aCL抗体
は結合せず、結合があれば試験画分中のコフアク
ター活性の証明になつた。以下に記載するよう
に、コフアクター活性を正常血漿から精製し、こ
の画分をアフイニテイー精製aCL抗体またはaCL
抗体含有イオン交換画分に添加すると改良CL−
ELISAにおいてこれらの抗体の結合を生じた
(図1)。 アフイニテイークロマトグラフイーシステムに
おいて、血漿のイオン交換に由来する画分に含ま
れるaCL抗体は、血漿の存在下とは異なり、固定
化CLに結合しなかつたが、イオン交換画分に正
常血漿を加えたところ結合が起こつた。これは、
血漿コフアクターがaCL抗体−CL相互作用に関
与することの最初の示唆であり、これは、このコ
フアクター活性を単一の血漿蛋白質、β−2GPI
に単離することによつて確認された(表1)。こ
の要求が証明されたことから、これらのイオン交
換画分が何故、標準CL−ELISAでCLを結合した
かが問題となつた。一つの説明は、免疫測定法に
使用したウシ血清希釈剤におけるコフアクターま
たは類似分子の存在である。これは、CL−
ELISAを、ウシ血清を省いて、希釈剤としてゼ
ラチンを用いて改変することによつて確認され
た。このアツセイでは、aCL抗体含有イオン交換
画分およびアフイニテイー精製aCL抗体は正常血
漿またはウシ血清を加えないとCLを結合しなか
つた(図1)。この系でも、コフアクター活性は
β−2GPIに単離された。これは、連続的に検討
された4例の患者からの11の別個のaCL抗体含有
イオン交換画分および3種のアフイニテイー精製
aCL抗体プレパレーシヨン(2つはIgG、1つは
IgM)における所見と一致した(データは示して
いない)。 例 4 正常血漿におけるコフアクターの精製と同定 正常血漿をCLアフイニテイーカラムを用いて
クロマトグラフイーに付し、各画分について改良
CL−ELISAを用いて上述のようにコフアクター
活性を試験した。コフアクター活性は溶出蛋白質
中に見出され、これは、この因子がaCL抗体の非
存在下でも陰イオン性リン脂質に結合することを
示している。これらの画分を濃縮し、1M NaCl
緩衝液中Superose 12ゲル濾過カラムによるクロ
マトグラフイーに付した。コフアクター活性は、
このカラムでは見掛けの分子量67kDaに相当する
Kav 0.350のピークに認められた(図2)。この
ビークを含む画分を集め、イオン交換開始緩衝液
に対して透析し、Mono−Sカラムによるクロマ
トグラフイーに付した。コフアクター活性は、約
0.5M NaClで溶出する遅いピークに見出された
(図3)。 イオン交換カラムからの最終プレパレーシヨン
は、SDS−PAGE上、還元条件下でも非還元条件
下でも見掛けの分子量50kDaの単一のバンドを示
し、高度に精製されていることがわかつた(図
4)。このバンドは、血漿含有aCL抗体をCLまた
はPS−アフイニテイーカラムによるクロマトグ
ラフイーに付した場合に、それらのカラム溶出液
中に認められたバンドに相当した(図4にも示し
てある)。コフアクターのN末端アミノ酸配列を
図5に示す。現時点での公開されたデーターベー
スのコンピユーター検索により、この配列はアポ
リポ蛋白質Hとしても知られている血漿蛋白質、
β−2−グリコプロテイン−Iのアミノ酸末端配
列と一致することがわかる。この配列にホモロジ
ーを示す蛋白質は、Canfield & Kisiel(J.Clin.
Invest.,70:1260−1272,1982)によつて精製
され、活性化プロテインC結合蛋白質と呼ばれ、
その後β−2GPIと同一であることが報告された
血漿蛋白質以外になかつた。 IgG−aCL抗体含有血漿をCLまたはPS−アフ
イニテイーカラムによるクロマトグラフイーに付
した場合、2つの大きな蛋白質バンドが溶出す
る。これらの一つはIgGで、他はβ−2GPIであ
る(図4)。β−2GPIはCLアフイニテイーカラ
ムを用いて正常血漿から精製されたことから、β
−2GPIはaCL抗体の存在下にも非存在下にも陰
イオン性リン脂質カラムに結合することは明らか
である。しかしながら、これらの抗体はβ−
2GPIの非存在下にはCLに結合しない。精製β−
2GPIはヘパリン−Sepharoseカラムに結合し、
aCLは結合しなかつたが、aCL抗体は結合β−
2GPIの存在下でもこのカラムに結合しなかつた。
すなわち、aCL抗体は陰イオン性リン脂質に結合
したβ−2GPIは認識するが、ヘパリンに結合し
たβ−2GPIは認識しない。これは、リン脂質お
よびグリコプロテインはいずれもこれらの抗体が
標的とするエピトープを構成することを示してい
る。これらの結果は、aCL抗体が陰イオン性リン
脂質に結合したβ−2GPIからなる複合体または
β−2GPIのリン脂質との相互作用の間に形成さ
れた潜在エピトープを標的とするが、リン脂質の
存在と無関係なβ−2GPIは標的としないことを
示唆している。 例 5 改良CL−ELISAにおける精製β−2GPIとアフ
イニテイー精製aCL抗体の相互作用 アフイニテイー精製aCL抗体は、β−2GPIが
存在しないと改良CL−ELISAにおいてCLを結合
しない(図1)ので、上述のように精製した糖蛋
白質の希釈系列の存在下に、この抗体の希釈系列
の結合を調べた。結果は図6aに示す。8μg/
mlのβ−2GPIの存在下に、aCL抗体の希釈系列
は標準CL−ELISAでみられる典型的な結合曲線
を示す。β−2GPIの希釈の増大とともに、抗体
のすべての希釈で、結合は劇的に低下して、グリ
コプロテインが1μg/mlに低下すると実質的に
結合は認められなかつた。図6aに示した破線は
両因子の希釈系列を説明するものである。aCL抗
体陽性血漿の希釈は図6bに示す。実線は、
ABSの存在がすべての抗体希釈で適当なコフア
クターを保証する場合の、標準CL−ELISAにお
いて見慣れた結合曲線を示している。破線は、
aCL抗体陽性血漿を改良CL−ELISAにおいて希
釈した場合の結合曲線を示している。血漿がβ−
2GPIレベル1μg/mlに相当する1:200に希釈さ
れると、抗体の結合は事実上認められない。 改良CL−ELISAは、コフアクター効果をさら
に詳細に調べるのに便利な系であることがわかつ
た。aCLへのCL抗体の結合に対するβ−2GPIの
作用は、急峻な希釈効果をもつ用量依存性を示
し、β−2GPIの存在が1μg/mlまたはそれ未満
になつた場合、抗体の結合はいずれの希釈でも事
実上認められないことがわかつた(図6a)。β
−2GPIの正常血漿レベルが200μg/mlであるか
ら、この数字は改良CL−ELISAにおけるaCL抗
体陽性血漿の希釈結果に正確に一致し、この場
合、かなりの量のaCL抗体が存在していても、結
合は急速に低下し、1:200の希釈では、すなわ
ちβ−2GPIレベル1μg/mlでは認められなくな
つた(図6b)。 例 6 ヘパリン・アフイニテイークロマトグラフイー アフイニテイー精製aCL抗体は、ヘパリン−
Sepharoseアフイニテイーカラムには結合せず、
適用したaCL抗体の約60%が通過画分中に回収さ
れたが、抗体は1M NaClで溶出されなかつた。
精製β−2GPIは、ヘパリン−Sepharoseカラム
に適用した場合、それに結合した。アフイニテイ
ー精製aCL抗体と精製β−2GPIの混合物をヘパ
リン−Sepharoseカラムに注入すると、通過液は
aCLを含むがβ−2GPIは含まず、溶出された蛋
白質にはβ−2GPIを含むが、aCLは含まれなか
つた。aCL抗体含有血漿をヘパリン−Sepharose
カラムに注入すると、通過液は適用血漿に相当す
る量のaCL抗体を含み、溶出された蛋白質にはβ
−2GPIを含むが、aCL抗体は含まれなかつた。 【表】 【表】 aPL抗体がβ−2GPIを包含する抗原を標的と
するとの所見は、これらの自己抗体の理解に新し
い道を開くものである。それは、構造が様々に変
化するにもかかわらず、すべての陰イオン性リン
脂質に等しくaPL抗体が結合することの説明を提
供する。さらに、β−2GPIは、凝固の内的経路
およびADP依存性血小板凝集を阻害すると考え
られるので、これらの所見は、aPL抗体がin
vivoにおいてβ−2GPIの機能に干渉し、前血栓
性素因を与える可能性も考えさせる。さらにま
た、β−2GPIが陰イオン性巨大分子を結合する
ならば、これには感染微生物に由来する巨大分子
も包含されることが考えられる。β−2GPIと複
合体を形成した異種抗原であれば、aPL抗体の産
生の免疫原性刺激となることが考えられ、これは
多くの感染疾患でよく認められていることであ
る。 例 7 サンプル 血液は静脈穿刺で、最終容量の1/10の0.1Mク
エン酸三ナトリウムを含むチユーブに採取し、
2,3回倒立させて、2500gで15分間遠心分離し
た。血漿を吸引し、ついでMillipore Millex GS
22μMフイルターで濾過して血小板屑を除去し、
−20℃で保存した。 A型肝炎、結核、感染性単球症、マラリヤおよ
び梅毒患者からの血漿または血清は他の研究所か
ら入手した。 標準抗カルジオリピン抗体アツセイ 以前に報結1され、McNellら2によつて改良さ
れた酵素連結免疫測定法を用い、サンプルのaCL
抗体を検定する。サンプルは1:50希釈で検定し
た。第二の抗体としては、ヤギ抗−ヒトIgG、
IgMもしくはIgA特異的および/または多価のア
ルカリホスフアターゼ接合免疫グロブリン
(Sigma)を使用した。多価またはIgA第二抗体
を使用する場合は、各プレートに既知陽性血漿の
希釈系列を包含させた。試験サンプルのaCLレベ
ルは、aCL単位で表した。100単位は、1:50希
釈における陽性サンプルの405nmの吸光度であ
る。IgGまたはIgM特異的第二抗体を使用する場
合は、各プレートにRayne Institute標準(St.
Thomas病院、London、より提供される)に対
して検量した陽性サンプルの希釈液を包含させ
た。aCLレベルは対数−対数プロツトを用い対照
血清から読取り、それぞれGPLまたはMPL単位
(IgGリン脂質またはIgMリン脂質単位。1単位
はアフイニテイー精製aCL 1μgの活性に相当す
る)で表す3。記録されたレベルが16個の対照平
均から3標準偏差以上大きい場合にaCL陽性とみ
なした。 イオン交換クロマトグラフイー 血漿サンプル(0.5ml)を開始緩衝液(0.05M
酢酸塩 0.05M NaCl PH4.8)に対して透析し、
5000gで5分間遠心分離し、ついでPharmacia
FPLCシステムを用い、Pharmacia Mono−S
HR5/5陽イオン交換カラムに0.5ml/minの流
速でアプライした。緩衝液、流速および勾配条件
は、以前に記載された通りである18。吸収は
280nmでモニタリングし、1mlの画分を集めた。 各画分について上述の標準aCL−ELISAを用
い、1/5希釈でaCL抗体を検定した。 改良CL−ELISA 上述の標準CL−ELISAをオーストラリア特許
出願PJ9549号に記載のように改良した。この記
載は参考として本明細書に導入する。略述すれ
ば、ウエルを10%成熟ウシ血清(ABS)/PBS
に代えて0.3%ゼラチン/1%ミルク粉末
(Diploma)/リン酸緩衝食塩溶液(0.01M リ
ン酸塩0.15M食塩PH7.3)(PBS)でブロツクし
た。サンプルを0.3%ゼラチン/PBFに希釈し、
第二抗体は、標準CL−ELISAの全工程の希釈剤
である10%ABS/PBSに代えて、1%ウシ血清
アルブミン(BSA)/PBSに希釈した。 改良CL−ELISAにおける精製β−2GPIのaCL抗
体の結合に対する影響 標準CL−ELISAにおいて陽性であつたイオン
交換画分を精製β−2GPI(8μg/ml)の存在下お
よび非存在下に、改良 CL−ELISAシステムで
検定した。精製β−2GPIはPJ9549号に記述のよ
うにして得た。 β−2GPIのラジオイムノアツセイ 本発明者らの2名ほか4によつて開発された125I
−β−2GPIおよびβ−2GPIに対するポリクロー
ナルウサギ抗体を使用する固相RIAを用いて、イ
オン交換カラムからの画分を検定した。各サンプ
ル中のβ−2GPIのレベルは、4パラメーター算
定曲線適合プログラム5を用いて読み取つた。こ
のRIAの感度は75ng/ml4であつた。 結 果 血漿のaCL−ELISA 研究対象とした患者中、23例は感染症(梅毒6
例、マラリア9例、A型肝炎2例、結核2例、感
染症単球症4例)、12例は自己免疫疾患〔原発性
抗リン脂質症候群(PAPS)7例および全身性エ
リテマトーデス(SLE)5例〕の診断であつた。
表2および3は対象患者の臨床特性およびaCL状
態の一覧である。数値の範囲およびアイソタイプ
の分布には変動がある。感染症の患者は、IgG
(梅毒)、IgM(感染性単球症および結核)ならび
にIgG、MおよびA(マラリアおよびA型肝炎)
に対してとくに強い陽性をしめしたが、一方、
PAPSまたはSLEと診断された患者では3種のす
べてのアイソタイプについてより一様な傾向を示
した。 血漿のイオン交換クロマトグラフイー 前述のように5、aCL抗体を含有する血漿は陽
イオン交換クロマトグラフイーによつて亜群に分
離することができる。患者血漿の典型的なイオン
交換像を例示した図9から明らかなように、β−
2GPIは、早い画分に溶出したaCL活性とは離れ
て、単一ピーク(画分17および18)として溶出し
た。 同じ操作を用いたイオン交換クロマトグラフイ
ーでaCL活性の回収は70%を越えるとの以前の報
6がある。 精製β−2GPIの存在下および非存在下、改良CL
−ELISAにおけるaCL抗体含有イオン交換画分
の結合 改良CL−ELISAシステムにおけるイオン交換
画分からのaCL抗体の結合の結果を図10A〜B
および図11A〜Dにまとめる。 感染に関連したaCLを有する患者 aCL抗体が感染に関連している患者からのイオ
ン交換画分は、β−2GPIを添加しない改良CL−
ELISAシステムにおいて、例外なくCLを結合し
た。β−2GPIの添加はaCL結合の中程度の阻害
を生じた。aCLのCLへの結合は、平均、IgGで34
%、IgMで33%、IgAで46%低下した。 自己免疫に関連したaCLを有する患者 自己免疫疾患を有する患者からのaCL抗体含有
画分を改良IgG CL−ELISAで試験したところ、
8例中5例(#24,26,27,28および30)ではβ
−2GPIを添加しないと結合を生じなかつた(図
11A)。β−2GPIを添加すると劇的な結合の上
昇が起こつた〔β−2GPI非添加の場合の450nm
における平均吸光度±SD(n=5):0.072±
0.058;β−2GPI添加の場合:1.186±0.430〕(図
11B)。残りの3例の患者中2例のサンプル
(#29および31)は、β−2GPIを添加しないでも
有意な結合を示し、β−2GPIを添加した場合結
合のわずかな上昇を示した。1例の患者サンプル
(#25)のみがβ−2GPIを添加しないでも有意な
結合を示し、β−2GPIを添加した場合には結合
の阻害を生じた(図11Aおよび11C)。 一般的に、自己免疫群はIgM−aCLに対しては
弱い陽性を示すのみで、わずかに4例のサンプル
が改良aCL−ELISAで試験できる十分なIgM−
aCL活性をもつイオン交換画分を与えたにすぎな
かつた。1例の患者サンプル(#29)ではβ−
2GPIを添加した場合にのみCLを結合した。3例
の患者サンプルはβ−2GPI非添加である程度の
CLへの結合を示したが、β−2GPIを添加すると
2例の患者サンプル(#25および27)では結合の
わずかな上昇を、1例の患者サンプル(#24)で
は緩和な阻害を認めた(データは示していない)。 IgA改良CL−ELISAでは、4例のイオン交換
精製aCL画分(患者#24,25,26および27)が、
β−2GPI非添加では殆どまたは全く結合を示さ
ず、β−2GPI添加で有意な結合の上昇を示した
〔β−2GPI非添加の場合の450nmにおける平均吸
光度±SD:0.10±0.03;β−2GPI添加の場合:
0.50±0.25〕。4例の患者ではβ−2GPIの非添加
で中程度の結合を示した。これらの患者中、2例
(#29および30)はβ−2GPIを添加すると結合の
上昇を、1例(#28)ではわずかな変化を、1例
(#31)では結合の中程度の阻害を示した(図1
1BおよびD)。 自己免疫疾患を有する患者4例からのaCL陽性
イオン交換画分が多価二次抗体を用いるCL−
ELISAで以前に試験されている。4例全例
(#32,33,34および35)がβ−2GPI非添加では
結合を生じなかつたが、β−2GPIを添加すると
劇的な結合の上昇が起こつた〔β−2GPI非添加
の場合の平均吸光度±SD:0.05±0.05;β−
2GPI添加の場合:0.40±0.09〕(図11Aおよび
11C)。 結果の考察 例7では、自己免疫疾患およびさまざまの感染
症を有する患者からのイオン交換精製aCL抗体に
ついて検討した。感染症患者からのaCL抗体は例
外なくβ−2GPIの添加を必要とせず、改良CL−
ELISAでCLを結合した。感染症患者からの試験
サンプルはすべて、β−2GPIの添加により、改
良CL−ELISAでのaCL結合に中程度の低下を生
じた(図11Aおよび図11B)。 これに反して、自己免疫疾患患者12例中11例か
らのイオン交換精製aCL抗体は(少なくとも1種
のアイソタイプにおいて)CLの結合にβ−2GPI
の存在を要求した。1例の自己免疫疾患患者で
は、IgG−aCL抗体はCLへの結合にβ−2GPIの
存在を要求しなかつたが、同じ患者で、IgA−
aCLはβ−2GPIを必要とした。この、β−2GPI
の非存在下におけるリン脂質結合特性の明らかな
差異は、個々の患者にaCL抗体の亜型があること
を明瞭に示唆している。感染に関連したaCLと
SLE/PAPS関連aCLの間に、CLへの結合に再
しての要求に差があるのみでなく、後者の群内で
は異なる結合特異性を有する異なるアイソタイプ
をもつ亜集団も存在するものと考えられる。 改良CL−ELISA、精製aCL抗体のCLへの結合
β−2GPI要求性を調べるための便利なシステム
であることがわかつた。改良CL−ELISAにおい
ては、コーテイングしていないウエルに対する
aCL抗体の結合は殆どまたは全く認められなかつ
た(結果は示していない)。aCLのCLへの結合に
対するβ−2GPIの影響は用量依存性で、β−
2GPIの量が1μg/mlまたはそれ未満の場合には、
aCL抗体の結合はいずれの希釈においても認めら
れなかつた。β−2GPIのRIAは75ng/mlまでの
感度を示し4、したがつて、イオン交換精製aCL
抗体画分はCLへの結合を支持するだけの濃度の
β−2GPIを含んでいない。 β−2GPIを結合するaCLがSLE/PAPS群に
しか見出されなかつたという事実は、臨床的に重
要な意味がある。血栓塞栓合併症が記録されてい
るのは、この患者群である。大部分の報告は、
aCLが梅毒または他の感染源に関連する患者には
これらの合併症がみられないことを示している。7
文献の広範囲な再調査から8、本発明者らは、
aCLをもつSLE患者における血栓合併症の発症率
は42%であることを見出した。非SLEのaCL陽性
患者が包含されると、発症率は31%に低下する。
これは、特異的非血栓サブクラス、すなわち感染
型のaCLで血栓症の危険の少ない群の包含による
ものである。さらに、本研究で示されたように、
感染症のaCL抗体が自己免疫疾患患者に存在存際
することもある。 抗体がβ−2GPI/リン脂質複合体またはβ−
2GPI単独のいずれを標的とするかで凝血障害の
予測が可能となる機構については明らかにされて
いない。しかしながら、β−2GPIはADP誘発血
小板凝集9および活性化血小板のプロトロンビナ
ーゼ活性10の両者を阻害することが以前に報告さ
れている。 結論として、本発明の一方法はβ−2GPI(単独
もしくはリン脂質複合体として)を結合するaCL
抗体が自己免疫疾患群の患者にのみ見出されるこ
とを明らかにした。感染に関連するaCL抗体は固
相ELISAにおけるCLの結合にβ−2GPIを必要と
しなかつた。これは、凝血障害が自己免疫疾患関
連aCLにおいて共通に報告されていて、感染に関
連するaCLには認められていないことから、臨床
的に重要である。 自己免疫血清によるβ−2GPIの増強 図12に、自己免疫血清によるβ−2GPIの増
強結果を示す。血漿は自己免疫疾患の患者から得
られ、1:50〜1:6400に希釈された。抗リン脂
質抗体は、カルジオリピンELISA法を用い、β
−2GPIは非添加および濃度を3.125μg/mlから
50μg/mlまで上昇させて測定された。この場合、
ELISA法は、プレートのブロツクに10%成熟ウ
シ血清を添加し、サンプルは10%成熟ウシ血清
PBSに希釈した標準的なものであつた。図12
から、ウシ血清の存在下でさえも、血漿希釈1:
400までは増強の明白なことが明らかである。 工業的応用性 本発明の第一および第二の実施態様の方法は、
それぞれ、サンプル中に抗リン脂質抗体または陰
性に荷電したリン脂質が存在するか否かを検出す
るのにとくに有用である。本発明の第五および第
六の実施態様の方法は、それぞれ、サンプル中に
存在する抗リン脂質抗体が、自己免疫疾患に関す
る抗体であるかもしくは感染症に関する抗体であ
るかを決定するために、またはサンプル中に自己
免疫疾患に関する抗リン脂質抗体および感染症に
関する抗リン脂質抗体が存在するか否かを決定す
るために有用である。 参考文献 1 Ghaiavi AE,Harris EN, Asherson
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anticardiolipin antibody test:report of an
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platelets is inhibited by β2−Glycoprotein−
.Biochem.Biophys.Acta.1986;884:142
−149. 表2および3は、研究対象患者の臨床特性およ
びaCL状態の一覧である。 【表】 【表】 【表】
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