JPH0577150B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 発明の背景 本発明は燃料電池に用いるグラフアイトプレー
トの製法に関する。

りん酸燃料電池において、グラフアイトプレー
トは例えば冷却プレート、支持プレート及びバイ
ポーラープレートのような種々のプレート構成に
用いられる。グラフアイトプレートを製造する１
つの技術において、グラフアイト粉末は溶解した
樹脂と混合しこの混合物を乾燥する。ついで乾燥
された混合物は鋳型内に入れられ、熱の存在下圧
力が加えられて所望のプレートを作成する。米国
特許第3634569号及び第3801374号はこの方式の製
法を開示している。

典型的に、燃料電地用のグラフアイトプレート
はかなりの大寸法であり、例えば通常プレート寸
法は、×Ｗが30cm×42.5cm、17.5cm×41.25cm、
12.5cm×37.5cmなどである。このような寸法のセ
ルでは、均一密度と所望平坦性のプレートを得る
ため、グラフアイトの正確な量を鋳型に入れるこ
とは極めて困難で時間がかかる。平滑治具がグラ
フアイト粒子のおし出しによりこれを達成するに
用いられているが、この手法は作業者による充填
量制御にたよつている。所望の均一密度と平坦性
を得る他の方法は、鋳型内を挿入物で多くの小面
積に区分し、ついでこの各小面積を正確に計量し
たグラフアイト粉末で満たすことである。しかし
この手順は極端に時間がかかり、特に異なる区分
に異なる計量を要するよき誤りを起こしやすい。

従つて本発明の目的は所望の平坦性と均一密度
をもち、且短時間で完成されるグラフアイトプレ
ートの製法を提供することである。

(ロ) 発明の概要 本発明の原理によれば、前記及びその他の目的
は、規定高さ、長さ及び巾のグラフアイトプレー
トが、前記規定高さ以上の高さ及び規定長さと巾
より小さい長さと巾寸法を夫々持つ複数の予備成
型グラフアイトケーキを利用することにより、且
前記グラフアイトケーキを鋳型内に間隔を存して
分散配置し、ついで前記グラフアイトプレートを
作成すべく圧力と熱を加えることにより達成され
る。前記グラフアイトケーキは、樹脂を含むグラ
フアイト粉末の予備成型体として又実質的に同一
寸法をもつものとして形成されることが望まし
い。グラフアイトプレートのこの作成技術で、圧
力印加中各グラフアイトケーキ相互間の流動によ
つて、プレートのよりすぐれた平坦性が実現され
る。

(ハ) 実施例 本発明の前記及びその他の特徴は、添付図面を
参照して以下の詳細な記述を読むことにより一層
明らかとなる。

第１図はりん酸・燃料電池のバイポーラープレ
ートとして用いられるグラフアイトプレート１を
模式的に示す。このプレートは規定高さｈ、規定
長さ及び規定巾Ｗをもち、その表裏各面２，３
に形成される各反応ガスチヤンネルは省略されて
いる。更にプレート１は熱処理後その大きい平坦
表裏各面２，３はその均一性からの偏差が約
0.625mm以下の平坦性と同じく偏差が約0.004g／
c.c.の密度を夫々もつ。

本発明の原理によればプレート１は多数のグラ
フアイトケーキ（その少なくとも１つは第２図Ａ
に示すグラフアイトケーキ１０の形状をもつ）か
らプレートを構成することにより、前述の平坦性
と密度をもつよう作成される。グラフアイトケー
キ１０は、規定高さｈより大きい高さｈ、規定
長さより小さい長さ及び規定巾Ｗより小さ
い巾Ｗをもつ。第３図は鋳型４内に間隔を存し
て配置された多数のグラフアイトケーキ１０の模
式図を示す。第２図Ｂ及び第３図に示すよう中心
のケーキは分割されてこれら分割ケーキ１０′，
１０′も間隔を存して配置される。

〔グラフアイトケーキの高温圧縮〕

本発明によれば圧力が熱の存在下鋳型４内のグ
ラフアイトケーキ１０に加えられる。これはケー
キの各々を流動化して間隙を満たすことになる。
そして連続的圧力の印加は第１図のプレート１の
形成をもたらす。鋳型４内でケーキ１０に加わる
圧力は作成されるプレートの寸法にもとづく。典
型的に400トン、250トン及び200トンの圧力は、
長さと巾Ｗ寸法が30cm×42.5cm、17.5cm×41.25
cm及び12.5cm×37.5cmをもつ各プレートの作成に
夫々用いられる。一方温度はこの圧力印加中一般
に177℃程度である。

プレート１を得るために用いるケーキ１０の最
適寸法、数量及び配置状態は、一般にどんな場合
でも経験的に決めることができる。その長さ
と巾Ｗの各寸法がいづれも10cmに等しく、厚み
ｈが1.8cmであるグラフアイトケーキ１０は、
その長さ×巾Ｗの各寸法が30cm×42.5cm、17.5
cm×41.25cm及び12.5cm×37.5cm、厚みｈが3.4mm
〜6.3mm範囲をもつプレート１を作成するに用い
うることがわかつた。又等しい重量をもつよう各
ケーキ１０を作成するのが望ましく、この重量は
プレート作成に用いるケーキ１０の数でプレート
重量を割ることにより簡単に決められる。

〔グラフアイトケーキの形成〕

前記の如くケーキ１０の各々は、樹脂被覆グラ
フアイト粒子の成型物であり、まずフエノール樹
脂（例えばバルカム・レジン社発売のバルカム
29703である）を例えばイソプロピルアルコール
の如き溶媒と混合し、ついでグラフアイト粉末
（例えば、Asbury Graphite Mills，INC.のアズ
ベリーＡ−99グラフアイト粒子）の必要量が液状
の前記溶解樹脂と共に練りミキサーで混練され
る。混合物中の樹脂は通常約32重量％である。得
られた混練物は乾燥されて溶媒を除去後、例えば
８メツシユのフルイ通る粒子塊（粒径２〜2.5mm）
に砕かれ、ついで予備成型治具内に入れられる。
その後治具内を満す粒子塊は、所望寸法の予備成
型物１０を形成するに充分な圧力が室温下で加え
られる。粒子塊に加える好ましい圧力は72Kg／cm²
〜360Kg／cm²の範囲の圧力である。

本発明により作成したプレートの特別例は次の
通りである。この例では第４図に示す２つのバイ
ポーラプレート１（Ｗ×＝30cm×42.5cm）が作
成される。プレート１は表裏各面２，３に各反応
ガスのチヤンネル５，６を有する。各プレートは
680gのグラフアイト粉末と500mlのイソプロピル
アルコールで溶解される320gのフエノール樹脂
との混合物を要する。かくて総計1360gのグラフ
アイトと640gのフエノール樹脂が標準練りブレ
ンダー内に入れられた。これに1000mlのイソプロ
ピルアルコールが加えられた。ついでブレンダー
は前記材料を混練物にするよう作動されるが、こ
のとき周期的にブレンダーを停止して均一混合を
得るようボール側壁から混合物をかきおとす。つ
いで混練物はちぎられてガラス皿におかれ、この
皿は一晩中強制対流オーブンに入れられて混練物
を乾燥する。

この乾燥混合物はついで多数のケーキ１０に形
成された。この場合５つのケーキ１０が各プレー
ト１を作成するに用いられた。従つて各プレート
の重量は５つに分けられて各ケーキ１０の重量を
決めた。ケーキ１０は乾燥混合物をまづ砕き、そ
の後、治具開口が所望重量のケーキ１０を得る容
積に設定された自動予備成型機に混合物を入れる
ことにより作成された。この予備成型機は２つの
プレートを作るための10ケのケーキ１０を成型す
るよう作成した。

その後総重量で1000gの５ケのケーキ１０は、
これらを所定位置に保つため枠を用いて高温圧縮
鋳型４（各反応ガスのチヤンネルを形成するため
の溝列を有する）内に分散配置される。中央は分
割ケーキ１０′，１０′を第５図の如く配置する。
枠の使用は次のプレートを作る場合ケーキ１０を
同じ位置に配置されることを保障する。鋳型４内
での熱と圧縮は、５つのケーキ１０相互の流れを
引きおこし、前記寸法のプレートを形成する。こ
の際良好なプレーと形成を助長するため鋳型から
30gの過剰物が押し出されて鋳型４からとり出し
たプレート１の総重量は970gとなる。ついで残
り５つのケーキ１０は次のプレートを形成するた
め同様に鋳型４内で圧縮される。各プレート１は
寸法が×Ｗ＝30cm×42.5cm、ｈ（厚み）＝4.5mm、
重量が970gであり、密度が1.786〜1.789g／c.c.の
範囲であつた。

第６図は他の実施例として、×Ｗ＝12.5cm×
37.5cmのプレートを作成するため、鋳型４内に２
ケのグラフアイトケーキ１０を配置したものであ
り、各部配置間隔の具体的数値が示されている。

本発明の重要な利点は、この製法により湾曲し
ておらず且均一平坦性からの偏差が0.625mm以下
の平坦度と均一密度からの偏差が約0.004g／c.c.の
密度をもつプレート１の得られることである。更
にプレート作成に要する時間が前記で言及した従
来法に比し著しく短縮される。かくてプレートは
従来法が20分もしくはそれ以上要したのに対し５
分間で作ることが可能となつた。他の利点はケー
キ１０が簡便に貯蔵され後日用いうることであ
る。かくて本発明法はグラフアイトプレート作成
のための極めて有効な方法を提供する。

プレート１を作成するに用いるケーキ１０は、
同一寸法であることが好ましいが、必ずしも同一
寸法である必要のないことに注目されたい。例え
ば少なくとも１つのグラフアイトケーキ１０が、
プレート１の所望高さｈよりも大きい高さを持つ
かぎり、他のケーキは異なる高さであつてもよ
く、それでもなお前記のようなプレート１を提供
しうる。しかしこの場合ケーキの各々は、プレー
トの巾Ｗと長さより夫々小さい巾と長さ寸法を
もつことが望ましい。

すべての場合において前記構成は本発明の適用
を示す多くの可能な実施例の単なる説明であるこ
とが了解される。本発明の意途と範囲を逸脱する
ことなしに、本発明の原理にもとづいて多くの他
の変形構成を容易に考えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明法によつて作られたグラフアイ
トプレートの概要図、第２図は第１図のプレート
作成に利用されるグラフアイトケーキの斜面図、
第３図はプレート作成のため鋳型内にケーキを配
置した状態を示す概要図、第４図は本発明法によ
り作成されたバイポーラプレートの斜面図、第５
図はグラフアイトケーキを鋳型内に配置した状態
を示す斜面図、第６図は他実施例によるケーキの
配置状態を示す鋳型の平面図である。 １……グラフアイトプレート、２，３……プレ
ートの表裏各面、４……鋳型、５，６……各反応
ガスのチヤンネル、１０……グラフアイトケー
キ、１０′……２分割グラフアイトケーキ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 規定高さ（厚み）、規定長さ及び規定巾寸法
   をもつ燃料電池用グラフアイトプレートの製法で
   あつて、 前記規定高さより高く前記規定長さ及び巾より
   夫々小さい巾及び長さ寸法をもち、樹脂とグラフ
   アイト粒子との混合物から成る予備成型体複数を
   予め用意し、前記予備成型体の各々を鋳型内に互
   に間隔を存して配置し、前記鋳型内の予備成型体
   に圧力と熱を加えてグラフアイト粒子の流動をお
   こし、前記規定寸法をもつグラフアイトプレート
   を作成することを特徴とする燃料電池用グラフア
   イトプレートの製法。 ２ 前記予備成型体の作成は、溶媒中に樹脂を溶
   解してこの溶液中にグラフアイト粉末を混合し、
   ついで混合物を混練して後乾燥し、この乾燥混合
   物を所定粒度の粒子塊に砕き、前記粒子塊を予備
   成型治具内に充填して常温下圧力を加えることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の燃料電池
   用グラフアイトプレートの製法。 ３ 前記予備成型治具への印加圧力は72Kg／cm²及
   至360Kg／cm²の範囲であることを特徴とする特許
   請求の範囲第２項記載の燃料電池用グラフアイト
   プレートの製法。 ４ 前記鋳型に加えられる圧力は200トン及至400
   トン（300Kg／cm²及至430Kg／cm²）の範囲であるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の燃料
   電池用グラフアイトプレート製法。