JPH057598Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、原子力発電所の原子炉から取り出さ
れた使用済みの核燃料、即ち使用済み燃料集合体
を貯蔵するための貯蔵設備に関するものである。

［従来の技術］ 原子力発電所における原子炉内の核燃料集合体
は、一定期間燃焼した後、新しい核燃料集合体と
交換される。原子炉から取り出されたこの核燃料
集合体、即ち使用済み核燃料は、未だ幾分余熱を
持つているので、原子力発電所の敷地内に設けら
れた使用済み核燃料貯蔵設備に一旦貯蔵し、ここ
で十分に冷却した後、再処理工場へ運び出され
る。

使用済み核燃料貯蔵設備は、水が満たされる燃
料プールもしくはピツトと、このピツト内に設置
される核燃料貯蔵ラツクとを有するもので、本出
願人の実願昭57−148号及び実願昭58−164687号
明細書等にはその代表的な構造例が示されてい
る。

この構造例について第５図を参照して説明する
と、５は燃料ピツトであつて、そのピツト側壁５
ａに埋め込まれたアンカープレート７に、上下２
段の水平支持板１が、支柱２により溶接又はボル
ト締め等で相互に固定された状態で、取り付けら
れている。支柱２の下端は燃料ピツト５の底壁５
ｂに溶接により固定されている。各水平支持板１
には、矩形開口４が縦横に列状に穿設されてお
り、各矩形開口４内に、核燃料（図示せず）を収
納する収納セル３が挿設されるようになつてい
る。矩形開口４の大きさは、収納セル３の挿設を
容易にするように、収納セル３の外径寸法よりも
十分に大きく設計されており、従つて、矩形開口
４を画成する表面４ａと収納セル３の側面３ａと
の間には環状の隙間６がある。また、収納セル３
は支持板１の矩形開口４に単に挿入されているだ
けである。

［考案が解決しようとする問題点］ 従つて、隙間６が存在するために、地震時等に
は収納セル３が震動もしくは揺動して矩形開口４
の表面４ａに衝突し、収納セル３だけでなく支持
板１の開口部さえも損傷させる恐れがある。ま
た、収納セル３は単に矩形開口４内に隙間６を有
して挿入されているだけであるので、収納セル３
内の長い核燃料集合体を抜き出す時に、収納セル
３までが核燃料集合体と一緒に浮き上がる危険性
さえあつた。しかも、収納セルと同収納セルに収
納されている核燃料との間の地震性の振動は非線
形であるため、地震応答解析が非常に困難であ
り、正確な応力分布を知ることができなかつた。

従つて、本考案の目的は、収納セル及びその支
持板の損傷の恐れがなく、核燃料集合体を抜き出
す時に収納セルが浮き上がることがなく、しかも
地震応答解析の必要がない使用済み核燃料貯蔵設
備を提供することである。

［問題点を解決するための手段］ この目的を達成するために、本考案は、水が満
たされる燃料ピツトと、同燃料ピツト内に水平方
向に展延して設けられると共に収納セル用矩形開
口が多数穿設された水平支持板と、前記矩形開口
内に個別に挿設され鉛直方向に延びた多数の収納
セルとを有する使用済み核燃料貯蔵設備におい
て、前記収納セルの側面と前記矩形開口の縁との
間に隙間調整部材を介装し、前記収納セルの側面
に浮き上がり防止部材を突設してなることを特徴
としている。

［作用］ 収納セルの側面と矩形開口の縁との間に介装さ
れた隙間調整部材は収納セルと矩形開口との振動
性の接触を実質的になくすので、地震が生じても
収納セルを矩形開口を衝突させない。また、収納
セルが衝突しないことにより、地震応答解析の必
要がなくなる。しかも、収納セル内の使用済み核
燃料を抜き出す際、収納セルが浮き上がろうとし
ても、そのの側面に突設された浮き上がり防止部
材が支持板に係合して浮き上がりを防止する。

［実施例］ 次に、本考案の好適な実施例について添付図面
を参照して詳細に説明するが、図中、同一符号は
同一又は応答部分を示すものとする。

第１図は、本考案による貯蔵設備の全体構成を
示す側面図、第２図は、第１図の一部の平面図で
あつて、符号１〜７は、第５図に関連して説明し
た従来の貯蔵設備と同様に、それぞれ、支持板
１、支柱２、収納セル３、矩形開口４、燃料ピツ
ト５、隙間６及びアンカープレート７を示してお
り、それ等自体の構造は同様のものとすることが
できるので、重複を避けるためにここでは更に説
明しない。

さて、本考案によれば、第３Ａ図〜第３Ｃ図及
び第４図に明瞭に示されているように、水平支持
板１に縦横に穿設された多数の矩形開口４の各々
に関連して、いずれも板状の隙間調整部材８ａ，
８ｂと浮き上がり防止部材９とが設けられてい
る。隙間調整部材８ａ，８ｂは、矩形開口４に収
納セル３を挿入した後、同矩形開口４内において
収納セル３の隣接する２側面３ａが矩形開口４の
隣接する２表面４ａに好ましくは隙間の生じない
ように密着状態で当接するように（第３Ａ図）、
矩形開口４の上縁４ｂ（下縁でもよい）近傍に例
えば溶接により取り付けられる。また、浮き上が
り防止部材９は、同様に収納セル３を各矩形開口
４に挿入した後、上下の支持板１のいずれか一方
の若干下方の高さのレベルにおいて、例えば溶接
により取り付けられる。支持板１の下面と浮き上
がり防止部材９の上面との間には、使用済み核燃
料の崩壊熱による収納セル３の熱膨張に対する吸
収代を考慮した長さａの間隔をあけておくのが好
適である。即ち、長さａは、原子炉から取り出し
たばかりの高温の使用済み核燃料を収納セル３に
収容した時に、個々の収納セル３が燃料ピツト５
の底壁５ｂを基点として熱膨張しても、浮き上が
り防止部材９が支持板１に干渉して損傷を生じな
いような十分な寸法、例えば５〜20mm程度に設定
するのが良い。

更に、収納セル３の熱膨張を極力阻害しないよ
うに、収納セル３の側面３ａに対する隙間調整部
材８ａ及び８ｂの接触面は、第４図に示すように
円弧状の曲面としておくのが好ましい。

［考案の効果］ 以上のように、本考案による使用済み核燃料貯
蔵設備においては、支持板の矩形開口の縁と収納
セルの側面との間に隙間調整部材が配設されてい
るため、収納セルが矩形開口の表面もしくは周縁
に衝突することがなくなるので、支持板及び収納
セルの損傷の恐れがなくなると共に、非線形解析
の必要がなくなつて応力分布を知ることが容易に
なり、地震に対する安全性を容易に立証もしくは
確認することができる。しかも、浮き上がり防止
部材が収納セルに取り付けられているので、使用
済み核燃料を収納セルから抜き出す時に、収納セ
ルが使用済み核燃料と共に一緒に抜け出るような
こともない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案による使用済み核燃料貯蔵設
備の全体構成を一部断面で示す概略側面図、第２
図は、第１図の貯蔵設備の一部の概略平面図、第
３Ａ図は、第１図の３Ａ−３Ａ線における断面
図、第３Ｂ図は、第３Ａ図を紙面において下方か
ら見た側面図、第３Ｃ図は、第３Ａ図を紙面にお
いて右方から見た側面図、第４図は、本考案によ
る貯蔵設備の要部を拡大して示す断面図、第５図
は、従来の使用済み核燃料貯蔵設備の全体構成を
一部断面で示す概略側面図である。 １……水平支持板、３……収納セル、３ａ……
収納セルの側面、４……矩形開口、４ｂ……縁
（上縁）、５……燃料ピツト、８ａ，８ｂ……隙間
調整部材、９……浮き上がり防止部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 水が満たされる燃料ピツト、同燃料ピツト内に
   水平方向に展延して設けられると共に収納セル用
   矩形開口が多数穿設された水平支持板、及び前記
   矩形開口内に個別に挿設され鉛直方向に延びた多
   数の収納セルを有し、 前記収納セルの側面と前記矩形開口の縁との間
   に隙間調整部材を介装し、前記収納セルの側面に
   浮き上がり防止部材を突設してなることを特徴と
   する使用済み核燃料貯蔵設備。