JPH0574669U - 超音波霧化器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 雑菌等の発生の問題のない衛生的な超音波霧
化器を得る。 【構成】 圧電磁器１の両面にそれぞれ電極３Ａ，３Ｂ
を形成した圧電振動子４を支持体５にて保持し、該圧電
振動子４の霧化作用面側に多孔乃至網状薄板７を配し、
前記圧電振動子４の霧化作用面と多孔乃至網状薄板７と
の隙間に吸液部材２０により液体を供給する構造を持
ち、前記吸液部材２０として、Ａgイオン又はＣuイオン
を発生する抗菌材料を用いることで、吸液部材中に雑菌
が繁殖するのを防止するようにしている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、小電力で小霧化量の吸入器等の用途に適した超音波霧化器に関する 。

【０００２】

【従来の技術】

従来、圧電磁器の厚さ方向の共振による超音波振動を利用した超音波霧化器と しては、室内加湿用の家庭用霧化器が知られている。このような室内加湿用の霧 化器は、水を入れた水槽の底部に圧電振動子を取り付けたもので、数１００cc程 度の比較的大きな霧化量を実現している。

【０００３】 しかし、最近になって、電池駆動に適した５Ｗ以下の小電力で小霧化量の超音 波霧化器が、薬液等を喉、気管、肺等に吸入するための吸入器等の用途に要求さ れるようになってきており、このような用途に好適なものとして本出願人は、特 願平３−１４９２５２号で圧電磁器に電極を形成した圧電振動子上に網状薄板を 配し、圧電振動子と網状薄板の隙間に液体を供給し、圧電磁器の厚さ方向の共振 により液体を霧化する超音波霧化器を提案している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、毛細管現象を利用した吸水布等の吸液部材で圧電振動子と網状薄板 の隙間に液体を供給するような構成を採用する場合、吸液部材中に常時水等の液 体が滞留することになり、吸液部材中に雑菌が繁殖する恐れがあり、さらに繁殖 した雑菌が霧化された液体粒子とともに外部に放出される可能性がある。

【０００５】 本考案は、上記の点に鑑み、雑菌等の発生の問題のない衛生的な超音波霧化器 を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本考案の超音波霧化器は、圧電磁器の両面にそれ ぞれ電極を形成してなる圧電振動子を支持体にて保持し、該圧電振動子の霧化作 用面側に多孔乃至網状薄板を配し、前記圧電振動子の霧化作用面と多孔乃至網状 薄板との隙間に吸液部材により液体を供給する構成を備えており、さらに前記吸 液部材が、Ａgイオン又はＣuイオンを発生する抗菌材料を用いかつ毛細管現象で 吸液自在な如く構成されている。

【０００７】

【作用】

本考案の超音波霧化器においては、吸液部材が、Ａgイオン又はＣuイオンを発 生する抗菌材料で構成されているため、水等の液体が吸液部材中に滞留したとし てもＡgイオン又はＣuイオンで雑菌の繁殖は抑制され、ひいては霧化粒子中に雑 菌が入るのを防止でき、衛生的な薬液吸入器等を実現できる。なお、Ａgイオン 及びＣuイオンが霧化粒子中に存在しても人体には無害である。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案に係る超音波霧化器の実施例を図面に従って説明する。

【０００９】 図１乃至図３において、１は円板状圧電磁器であり、この主面２Ａには霧化作 用側電極３Ａが、主面２Ａの反対面となる対向面２Ｂには対向電極３Ｂがそれぞ れめっき等で形成されて圧電振動子４を構成している。該圧電振動子４はゴム等 の弾性環状支持体５の振動子配置溝６に圧入又は接着剤等で固定され、振動子配 置溝６の内周面部は前記圧電振動子４の外周面に水密に対接している（液体によ って電極３Ａ，３Ｂ間が電気的に短絡されるのを防止）。そして、圧電振動子４ を装着した弾性環状支持体５は取付基板１１に固定される。この場合、圧電振動 子４は弾性環状支持体５を介して取付基板１１で縦置き(垂直)に保持されている 。

【００１０】 前記圧電振動子４の霧化作用面９側には、圧電振動子４の直径と同じ幅かやや 小さい幅を持つ帯状で、多数の微小穴８を有する多孔乃至網状薄板７が、霧化作 用面９に対して平行乃至傾斜して配置されている。その多孔乃至網状薄板７の一 端は、弾性環状支持体５に一体化された薄板取付具１２に螺子１３及びナット１ ４等によって取り付けられ、これにより、多孔乃至網状薄板７の他端部が圧電振 動子４の霧化作用面９に接触する如く保持されている。この多孔乃至網状薄板７ の接する部分は、静的には接触しているが、動的には圧電振動子４の振動で微小 間隔があいている場合であってもよい。ここで、圧電振動子４の霧化作用面９の 実際に霧化作用が行われる領域においては、圧電振動子４の霧化作用面９と多孔 乃至網状薄板７の内面間に毛細管現象で霧化すべき水、薬液等の液体が広がるこ とができるように微小な隙間が存在しており、この微小な隙間は圧電振動子４に 対して上記の如く平行乃至傾斜させて多孔乃至網状薄板７を配置することで実現 できる。前記多孔乃至網状薄板７はステンレス等で、その肉厚は数１０μmであ り、これに形成された多数の微小穴８の穴径は約１０μm乃至１００μm程度であ る。

【００１１】 前記取付基板１１には液体槽１５が固定的に保持され、該液体槽１５は霧化す べき水、薬液等の液体Ｗを収容している。

【００１２】 また、上端が前記多孔乃至網状薄板７上に接触し、下端が液体槽１５内の液体 Ｗに浸るように吸液部材２０が当該液体槽又は取付基板側にて支えられている。 該吸液部材２０は、毛細管現象で液体槽１５内の液体Ｗを吸い上げて多孔乃至網 状薄板７上に供給するためのもので、多孔乃至網状薄板７上に供給された液体は 多孔乃至網状薄板７にあけられた多数の微小穴８を通して圧電振動子４の霧化作 用面９と多孔乃至網状薄板７の隙間に広がようになっている。

【００１３】 前記吸液部材２０は、Ａgイオン又はＣuイオンを発生する抗菌材料を用いかつ 毛細管現象で吸液自在な如く構成されている。該吸液部材２０の１例としては、 図３に示す如く、繊維２１の表面に銅被膜２２をコーティングし、これを布状に 織ったりフェルト状に重ね（束ね）たりしたものが使用できる。さらに、Ａgイ オンを付着したゼオライトを混入した樹脂繊維を布状に織ったりフェルト状に重 ね（束ね）たりしたものや、銅繊維や銀繊維を混紡した吸水布等も使用可能であ る。

【００１４】 さて、圧電振動子４の電極３Ａ,３Ｂ間に高周波電圧 (例えば２.４ＭＨz）を 印加して圧電振動子４に厚さ方向の共振による超音波振動を行わせておき、かつ 吸液部材２０より霧化すべき水、薬液等の液体を圧電振動子４の霧化作用面側に 給液すると、給液された液体は圧電振動子４の霧化作用面９と多孔乃至網状薄板 ７の内面間の微小な隙間に毛細管現象で入って広がり、さらに圧電振動子４の厚 さ方向の超音波振動で霧化されて霧化粒子として空中に放出される。

【００１５】 このような霧化動作の際、液体槽１５内の液体Ｗは吸入器等の用途では１０cc 以下で頻繁に交換、補充されるため、液体Ｗ自体の腐食の問題は考慮しなくとも よいが、吸液部材２０には継続的に液体が滞留する場合もある。吸液部材２０に 抗菌対策が施されていない場合には、吸液部材２０内での雑菌の繁殖の問題が発 生するが、本実施例のように、吸液部材２０としてＣuイオン又はＡgイオンを発 生可能な抗菌材料を使用することで、吸液部材に残った液体中にＣuイオン又は Ａgイオンが溶け出し、雑菌の繁殖を効果的に抑制することができる。また、雑 菌の繁殖を抑制できる結果、吸液部材２０が不快な臭いを発生することも無い。

【００１６】 なお、上記実施例では、圧電振動子４を縦置き(垂直)に配置する構成としてい たが、水平乃至傾斜させた配置としてもよい。また、圧電振動子４の上方又は側 方に配置された液体収納タンクから吸液部材で液体を供給する場合にも本考案は 適用可能である。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の超音波霧化器によれば、圧電振動子の霧化作用 面側に霧化すべき液体を供給する吸液部材をＡgイオン又はＣuイオンを発生可能 な抗菌材料で構成したので、吸液部材に残った液体中に雑菌が繁殖するのを防止 でき、雑菌が霧化粒子と共に外部に放出される事態を未然に防止でき、衛生面で の改善を図り得る。また、雑菌繁殖に起因する不快な臭いの発生も防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る超音波霧化器の実施例を示す正断
面図である。

【図２】実施例の要部拡大断面図である。

【図３】吸液部材の１例を示す部分拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 圧電磁器 ４ 圧電振動子 ５ 支持体 ６ 振動子配置溝 ７ 多孔乃至網状薄板 ８ 微小穴 ９ 霧化作用面 １１ 取付基板 ２０ 吸液部材 ２１ 繊維 ２２ 銅被膜

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧電磁器の両面にそれぞれ電極を形成し
   てなる圧電振動子を支持体にて保持し、該圧電振動子の
   霧化作用面側に多孔乃至網状薄板を配し、前記圧電振動
   子の霧化作用面と多孔乃至網状薄板との隙間に吸液部材
   により液体を供給する超音波霧化器であって、前記吸液
   部材が、Ａgイオン又はＣuイオンを発生する抗菌材料を
   用いかつ毛細管現象で吸液自在な如く構成されているこ
   とを特徴とする超音波霧化器。