JPH0572463B2 - - Google Patents

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JPH0572463B2
JPH0572463B2 JP24618088A JP24618088A JPH0572463B2 JP H0572463 B2 JPH0572463 B2 JP H0572463B2 JP 24618088 A JP24618088 A JP 24618088A JP 24618088 A JP24618088 A JP 24618088A JP H0572463 B2 JPH0572463 B2 JP H0572463B2
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JP
Japan
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tempering
hardness
carbides
steel
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Nakatsugu Abe
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Nippon Kokan Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野] この発明は、VTRのトツプカバー等の家電製
品、OA機器、エンジニアリングプラスチツク、
日用雑貨、玩具等、プラスチツクの成形用に使用
される金型用工具鋼に関する。 [従来の技術] プラスチツク成形用金型としては、従来、材料
メーカから供給された鋼材を金型メーカが加工し
た後に焼入れ・焼戻しする熱処理タイプのものが
一般的であつた。しかし、プラスチツク成形用金
型は彫り込みが深くかつ複雑形状のものが多いた
め、加工後の熱処理の際に焼入れひずみに起因す
る寸法変化が生じやすい。このようなことから、
材料メーカで調質し、金型メーカでは加工のみと
する材料、所謂プリハードン系金型材の要求が高
まつている。従つて、現在プラスチツク成形金型
用工具鋼としては、熱処理タイプのもの、及び前
述したプリハードン系のものの2種類ある。 前述のプリハードン系ではJIS G4051 S45C、
JIS G4105 SCM440(0.4%C−1%Cr−0.2%
Mo)、及び0.15%C−3%Ni−1%Cu−1%Al
−0.1%Sのものが主体であり、また、熱処理タ
イプではJIS G4404 SKD61(0.4%C−5%Cr−
1%Mo−1%V)、及びSKD11(1.5%C−12%
Cr−1%Mo−0.4%V)が主体である。また、成
形するプラスチツクが例えば塩化ビニルのように
腐蝕性の場合には、耐食性が良好な析出硬化タイ
プのJISG4303(0.05%C−4%Ni−17%Cr−4%
Cu−0.30%Nb)が使用されている。 [発明が解決しようとする課題] ところで、金型業界は、その納入先が競争の激
しい電器、電子、及び自動車産業を主体としてお
り、低コスト化、高精度化、及び短納期であるこ
とが要求されているため、金型加工の自動化が進
められている。この自動化の要求に伴い、金型の
加工方法として放電加工の採用が増加し、所謂バ
イトでの切削加工は少なくなりつつある。 ワイヤ放電加工により金型を加工する場合に
は、急熱・急冷により熱応力が発生するので、被
加工物の金型に焼入れ焼戻しに伴う内部ひずみが
残存していると、この内部ひずみとワイヤ放電加
工による熱応力とが重畳して金型材に著しいひず
みが生じ、寸法変化又は割れ等の原因となつてし
まい、また、放電加工による切断により内部ひず
みが順次解放され、同様に寸法変化等が生じてし
まう。更に、放電加工により加熱された部材はそ
の熱影響で材質が変化しやすい。特に、加工後に
熱処理をしないプリハードン系の場合にこの傾向
が著しいが、熱処理タイプの場合にも熱処理後に
更にワイヤ放電加工により精密加工が行われるこ
とが多いことから、同様の問題点が生じる。 従つて、プラスチツク成形用の金型材において
は、S、Pb等の元素を添加した快削性の金型材
よりも、内部ひずみが小さく、放電加工の際に高
温にさらされても材質変化が小さいものが要求さ
れるようになつてきている。 ところが、金型材の変態温度が低い場合には、
放電加工の際に材料の変態点温度以上に加熱され
ることにより、部分的にオーステナイト相が生成
し、これが焼入れの際に急冷されてマルテンサイ
ト組織になることから、変態に伴う内部応力が生
じ、これが内部ひずみの原因となる。また、焼戻
し温度が低い金型材の場合には、焼戻しによつて
その内部ひずみを有効に解放することが困難であ
り、しかも焼戻し温度以上に加熱された部分は硬
度が低下してしまう。 従つて、この種の金型材は、高変態温度を有
し、高温焼戻しが可能なことが要求される。 また、プラスチツク成形用金型に用いられる工
具鋼は、一般的に焼入れを空冷で行なうことが要
求される。油焼入れではこのような複雑形状のも
のを焼入れる場合に、油の温度及び冷却速度の管
理等が繁雑であり、焼入れ材の硬度を確保するこ
とが困難であると共に不均一な組織になりやす
く、また、水焼入れでは焼きが不均一に入り、焼
き割れが生じやすいからである。特に、熱処理タ
イプの金型材については、前述のようにプラスチ
ツク成形用の金型は彫りが深くかつ形状が複雑な
ものが多いため、空冷焼入れが必須である。 しかしながら、前述した従来の材料は上述のプ
ラスチツク成形用金型に要求される特性を十分に
満足しているとは言えない。 すなわち、プリハードン系として使用されてい
るS45C、及びSCM440は一般に焼入れ性が小さ
いため、板厚が大きい場合には、空冷焼入れで所
定の硬度(28〜40HRC)を確保することが困難で
ある。また、SCM440は、場合によつては焼入れ
のままで使用されるような材料であり、焼戻し温
度の上限が500℃であつて、高温焼戻しに適さな
い。 0.15%C−3%Ni−1%Cu−1%Al−1%S
系の鋼種は、850〜900℃に加熱後空冷焼入し、そ
の後500℃で時効処理を施して硬度を確保するも
のであるが、成分としてNiが多いためAC1点(す
なわち変態点)が約650℃と低いという欠点があ
る。 熱処理用のSKD61及びSKD11については、あ
る程度の特性を保持しているが、生産性向上の観
点から更に特性が優れたものが要求されている。 析出硬化タイプの鋼についても、耐食性以外の
特性が十分とはいえない。 また、プリハードンタイプ、熱処理タイプ、及
び耐食性のもの全てに都合のよい材料は未だ開発
されていない。 この発明は、かかる事情に鑑みてなされたもの
であつて、変態点温度が高く、高温焼戻しが可能
で、空冷焼入れが可能で、耐食性が優れたプラス
チツク成形用工具鋼を提供することを目的とす
る。 [課題を解決するための手段及び作用] この発明に係るプラスチツク成形用工具鋼は、
重量%で、炭素が0.25乃至0.50%、珪素が0.005乃
至0.5%、マンガンが0.1乃至2.0%、クロムが8.0
乃至10.0%、モリブデンが0.05乃至2.0%、酸可溶
アルミニウムが0.005乃至0.050%、全窒素が0.002
乃至0.035%であり、0.01乃至0.50%のV、0.005
乃至0.25%のNb、及び0.01乃至0.25%のWのうち
少なくとも2種を含み、残部が鉄及び不可避不純
物からなることを特徴とする。 以下、この発明について詳細に説明する。 前述したように、プラスチツク成形用金型に用
いられる工具鋼に特に要求される特性は、変態
点温度が高いこと、高温焼き戻しが可能なこ
と、空冷焼入れが可能なこと、耐食性が優れ
ていることの4つである。 先ず、変態点温度すなわちAC1点については、
鋼に添加される成分との関係において以下に示す
式が広く知られている。 AC1(℃)=723+22Si−14Mn −14.4Ni+23.3Cr この式から明らかなように、変態点温度を上昇
させるためには、Si又はCrを多量に添加するこ
とが有効である。これらの元素中Crは、ここで
要求されている耐食性をも向上させる元素であ
り、Crの添加量を増加させて変態温度を高める
ことが現実的である。Crを多量に含有させて変
態点温度を上昇させたものとして、例えば、
SUS420J2(Cが0.26〜0.40%、Crが12.0〜14.0%)
がある。従つて、本願発明についても基本的に
Cr含有量を多くしている。しかし、Cr量が多過
ぎると、圧延加熱温度においてα+γ相となり、
α相が熱間加工性を劣化させると共に、室温にお
いてδフエライトとなつて硬度低下の原因となる
ので、Cr量の上限を10%としている。 一方、前述したようにプラスチツク成形用金型
の加工方法がバイトによる切削加工からワイヤカ
ツト放電加工等へと移行しつつあり、金型材が加
工中に熱履歴を受ける。この熱履歴による不都合
を解消するために、高温焼戻しを行なつて、安定
な炭化物を析出させると共に内部ひずみを少なく
することが必要である。 しかし、上述のSUS420J2等の高Cr鋼は確かに
変態温度が高いが、高温焼戻しを行なつた場合
に、凝集・粗大化したCr系のM23C6型の炭化物が
析出するため、所望の硬度を確保することが困難
であるという問題点を有している。そして、従来
はこの種の鋼として高温焼戻しが可能なものを得
ることができなかつた。 その理由は、プラスチツク成形用金型材として
工具鋼という枠内でしか考えていなかつたためで
ある。すなわち、従来の工具鋼は、焼入れ時の末
固溶炭化物、又は低温焼戻しにより析出する二次
硬化炭化物によつて耐摩耗性を維持することを意
図したものであり、共析鋼又は過共析鋼の範囲の
高C鋼であるが、このような高C鋼においてワイ
ヤ放電加工温度である600〜700℃程度の高温焼戻
しを行なえば、前述のような炭化物の凝集・粗大
化が生じ硬度低下は免れないのである。 従来の工具鋼においては、150〜300℃という低
温焼戻しが一般的であり、このような低温焼戻し
では、マルテンサイトが十分に焼戻されないこと
により、必要な硬度を維持しているのであつて、
極めて不安定な状態である。このような工具鋼
は、その硬化機構からして、焼戻し温度以上に加
熱された場合に必要な硬度を維持することができ
ないことは明らかである。また、この種の工具鋼
は、加工時に温度が上がらないことを前提として
開発されたものであるが、使用時に摩擦等により
温度があがることも考えられ、使用中の硬度低下
による寿命低下の要因ともなる。 本願発明者は、従来の工具鋼における未固溶炭
化物又は二次硬化炭化物で鋼を硬化させるという
考え方ではなく、C量をより低減した領域におい
て高温焼き戻しによつても安定した炭化物を維持
するためにはとうすべきかという観点から鋭意研
究を進めた。つまり、高温焼戻しを行なうことに
より、焼入れ時に生じたひずみが十分に解放され
るという利点を有するが、マルテンサイトの硬さ
の低下は免れない。しかし、高温焼戻しにより安
定な炭化物を析出させることができれば、その析
出硬化により、必要な硬度を確保することができ
る。 このような観点から、鋼を軟化させずに高温焼
戻しすることを可能にするためには、第1に、焼
入れ加熱温度において未固溶炭化物を極力なくす
ることが必要であり、工業的に可能な焼入れ温度
である1200℃前後において十分に炭化物が固溶す
ることができるように、C量及び炭化物生成元素
の量を設定する必要がある。第2に、高温焼戻し
によつてCr系炭化物が凝集・粗大化しないよう
に、V、Nb、W等のCとの結合力がCrよりもは
るかに強い元素を添加する必要がある。 冷間工具鋼の高温焼戻しに関しては、伊藤らの
論文(伊藤、須藤、常陸、松田:「高C・高Cr系
冷間工具鋼の高温焼戻し硬さに及ぼすC及びCr
量の影響」、電器製鋼第55巻第4号248〜256ペー
ジ)が知られている。 この論文において示されている鋼は、第1表に
示すような組成を有している。
【表】
【表】 この第1表に示すように、ここに示されている
鋼はC量が0.6〜1.43%と本願発明よりも高く、
また、安定な炭化物を生成するための元素がVの
みである。このようにC量が多いので、前述した
ように高温焼戻しにより炭化物の凝集・粗大化が
生じやすく、しかも炭化物安定化元素がVのみで
あるので安定な炭化物の生成量が少ないと考えら
れる。この論文においては、本願発明において意
図するような600〜700℃という高温の焼き戻しは
行なつていないが、ここで示されている鋼を600
〜700℃程度の高温焼戻しをすることにより、V
より添加量が圧倒的に多いCrとCとが主に結合
するので、V系の炭化物が少なく、軟化抵抗が低
下すると推測される。事実、第3図に示すよう
に、伊藤らの論文に示されている鋼は、いずれも
焼戻し温度が520℃で硬さのピークを生じており、
560℃では急激に硬度が低下している。従つて、
焼戻し温度が600℃、700℃と上昇した際には硬度
低下が著しいことは明白である。 この発明においては、C量をこの論文の示され
ている範囲よりも少なくし、また、炭化物安定化
元素としてV、Nb、Wのうち2種以上を適当量
添加するので、600〜700℃という高温焼戻しにお
いて、凝集、粗大化した炭化物の生成を抑制する
ことができ、しかも安定な炭化物の生成量を多く
することができる。従つて、高温焼戻しによつて
も必要な硬度を維持することができる。 第3に要求される「空冷焼入れが可能なこと」
を達成するためには、焼入れ性が良好であること
が必須である。このため、C、Mn、Moの含有
量の下限を焼入れ性を低下させない観点から決定
した。 次に、組成の限定理由について説明する。 C量は0.25〜0.50重量%である。C量が0.25%
より少ないと必要な焼入れ性を確保することがで
きなくなり、0.50%よりも多いと不必要な未固溶
炭化物が増加する。未固溶炭化物が増加すると、
靭性が低下すると共に、高温焼戻しにより炭化物
の凝集・粗大化が生じる。また、C量が多い場合
には、炭化物を固溶させるために、焼入れ加熱温
度を著しく上昇させなければならない。 Si量は0.005〜0.05重量%である。Si量が0.005
%よりも少ないと脱酸が不十分となり、0.05%よ
りも多いと必要以上に焼入れ性が増加して靭性が
低下してしまう。 Mn量は0.1〜2.0重量%である。下限を0.1%と
したのは焼入れ性を確保するためである。また、
2.0%より多くなると、必要以上に硬度が上昇し
て靭性が低下してしまい、また、焼入れ時の残留
オーステナイトが増加してしまう。 Crは、前述したようにこの発明の重要なポイ
ントであり、その量は8.0〜10.0重量%である。
8.0%よりも少ない場合には、変態温度が低過ぎ、
また耐食性が不十分となる。また、10.0%より多
い場合には、前述したようにCr系炭化物の凝
集・粗大化を招きやすくなり、α+γの二相凝固
が生じやすくなる。 Moの量は0.05〜2.0重量%である。下限の0.05
%は、焼入れ性を確保するためと、Mo系炭化物
を確保するために必要な量であり、上限の2.0%
は、これを超えても硬度上昇が飽和することと、
経済性とを考慮して決定した。 Al及びNは、AlNを形成して焼入れ時のオー
ステナイト粗大化を抑制するために必要な元素で
ある。すなわち、焼入れ加熱時に炭化物を完全固
溶させるためには、焼入れ温度を高める必要があ
るが、そうするとオーステナイト粒が粗大化して
マトリツクスの靭性劣化を招くため、これを防止
するためにAlNを形成するAl及びNが必要とな
る。 酸可溶Alの量は0.005〜0.05重量%である。こ
の量が0.005%より少なければ必要量のAlNを確
保することができず、0.05%より多ければAl系の
介在物が増加してしまう。 全窒素量は0.002〜0.035重量%である。この量
が0.002%より少なければ必要量のAlNを確保す
ることができず、0.035%より多ければAlNが粗
大化してしまいピーニング効果が消失する。 V、Nb、Wは、前述したように、炭化物形成
元素としてこの発明において重要な役割を果たす
ものである。この発明においては、0.01〜0.50重
量%のV、0.005〜0.25重量%のNb、0.01〜0.25重
量%のWのうち2種以上を含んでいることが必須
である。焼戻し段階では、先ずM23C6型のCr系炭
化物が形成されるが、上述の範囲でV、Nb、W
のうち少なくとも2種が含まれていると、これら
の炭化物が生成することによりCr系炭化物の生
成が抑制され、結果的に炭化物の凝集・粗大化を
防止する。上述したこれら元素の下限より含有量
が少ない場合には必要な量の炭化物を確保するこ
とができず、上限を超えると炭化物を完全固溶さ
せるための焼入れ加熱温度が著しく上昇してしま
う。 以上説明したように成分を調整することによ
り、前述したように、変態温度が高く、高温焼戻
しが可能で、空冷焼入れが可能であり、耐食性に
優れたプラスチツク成形用工具鋼を得ることがで
きる。 [実施例] 以下、この発明の実施例について具体的に説明
する。 第2表に検討したサンプルの組成及び厚みを示
す。
【表】 第2表中サンプル1〜9はこの発明の組成範囲
内である実施例であり、サンプル10〜12はこの発
明の組成範囲から外れる比較例である。なお、比
較のため、従来材であるSKD61及びSKD11の組
成についても示す。 第1図は、横軸に焼戻しパラメータをとり、縦
軸に硬度(HRC)をとつて、これらの間の関係を
示す図である。図中白丸は第2表における実施例
を示し、四角はSKD61を示す。また、黒丸、黒
三角及びxは、夫々比較例であるサンプル10、
11、12を示す。なお、図中に焼戻しパラメータに
おける焼戻し保持時間及び焼戻し温度を示した。
また、焼戻しパラメータPは、温度をT、焼戻し
保持時間をtとすると、P=T・(log t+20)×
10-3で示される。 この図に示すように、この発明の実施例の場合
には、焼戻し温度が高くても、図中破線で示す範
囲のプリハードン鋼として適した硬度を得ること
ができることが確認された。例えば、この図に示
すようにプリハードン鋼としてHRC=40を確保し
たい場合には焼戻し保持時間2時間で焼戻し温度
が600〜650℃、HRC=31を確保したい場合には焼
戻し温度が700℃と、焼戻し温度を極めて高くす
ることができる。これに対し、比較例及び従来材
は、焼戻し温度が600〜700℃と高くなると、極端
に硬度が低下している。 第2図は、実施例のサンプル4における焼入れ
加熱温度と硬度(HRC)との関係を示す図であ
る。この図に示すように、焼入れ加熱温度が1200
℃で十分な硬度特性を得ることができることか
ら、圧延のままの状態から焼入れても硬度特性上
十分であり、上述の第1図をもとにプリハードン
鋼として要求される所定の硬度にするための焼戻
し条件を設定することができる。 耐食性については、この発明の実施例であるサ
ンプル2、4、5、9を耐食鋼のSUS420J2と比
較した。その結果を第3表に示す。
【表】 ここで耐食性は、0.5%HCl中に4時間、及び
0.5H2SO4に1時間保持した後の腐蝕減量によつ
て評価した。なお、液温は25℃とした。この第3
表に示すように、本発明の範囲内であれば13Cr
系の耐食鋼SUS420J2と同程度の耐食性を保持し
ていることが確認された。 第4表には、この発明の範囲内であるサンプル
5、9、及びSKD61、SKD11における熱処理条
件と衝撃試験値とを示す。なお、衝撃値は、長さ
2mmのUノツチを形成した試験片でシヤルピー衝
撃試験を行なうことにより求めた。
【表】 この表から明らかなように、SKD61、11は焼
戻し温度600℃、500℃で極めて衝撃値が低いのに
対し、サンプル5、9では焼戻し温度が650℃で
も高い衝撃値を示した。これは、本発明の範囲内
であれば粗大な未固溶炭化物が存在せず、マルテ
ンサイトが十分焼戻しされているためである。 [発明の効果] この発明によれば、変態温度が高く、高温焼戻
しにおいても炭化物が凝集・粗大化せず、空冷焼
入れが可能であり、しかも耐食性が優れた項を得
ることができる。従つて、極めて特性が優れたプ
ラスチツク成形用工具鋼を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は焼戻しパラメータと硬度との関係を示
すグラフ、第2図は焼入れ温度と硬度との関係を
示すグラフ、第3図は伊藤らの文献における焼戻
し温度と硬度との関係を示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 重量%で、炭素が0.25乃至0.50%、珪素が
    0.005乃至0.5%、マンガンが0.1乃至2.0%、クロ
    ムが8.0乃至10.0%、モリブデンが0.05乃至2.0%、
    酸可溶アルミニウムが0.005乃至0.050%、全窒素
    が0.002乃至0.035%であり、0.01乃至0.50%のV、
    0.005乃至0.25%のNb、及び0.01乃至0.25%のWの
    うち少なくとも2種を含み、残部が鉄及び不可避
    不純物からなることを特徴とするプラスチツク成
    形用工具鋼。
JP24618088A 1988-09-30 1988-09-30 プラスチック成形用工具鋼 Granted JPH0293043A (ja)

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