JPH0570768A - 蓄冷材料及び冷凍機 - Google Patents

蓄冷材料及び冷凍機

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JPH0570768A
JPH0570768A JP4019280A JP1928092A JPH0570768A JP H0570768 A JPH0570768 A JP H0570768A JP 4019280 A JP4019280 A JP 4019280A JP 1928092 A JP1928092 A JP 1928092A JP H0570768 A JPH0570768 A JP H0570768A
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明子 高橋
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陽一 東海
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/0009Antiferromagnetic materials, i.e. materials exhibiting a Néel transition temperature

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、例えば、反強磁性体のEr3 Ni
と強磁性体のEr3 Coの様に磁性のタイプが異なる系
の固溶体(Er3 Ni1-X CoX )を構成することで、
両者の磁気相転移点より低い磁気相転移点を有する物質
とし、より低い温度領域に比熱のピークを有するような
蓄冷材料を得ることができるというものである。 【効果】 本発明によれば低い温度領域にまで高比熱が
実現できるため、目的温度に応じた比熱特性を有する蓄
冷材料を得ることができ、気体冷凍の冷却効率を向上す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蓄冷材料及びこれを用
いた冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超伝導技術の発展は著しく、その
応用分野が拡大するに伴って小型で高性能の冷凍機の開
発が不可欠になってきている。かかる小型冷凍機は、軽
量・小型で熱効率の高いことが要求されている。このよ
うなことから、スターリングサイクルによる気体冷凍
や、磁気熱量効果を用いた磁気冷凍等の研究が盛んに行
われている。
【0003】前記スターリングサイクル等の熱サイクル
による気体冷凍の高性能化を図るには、蓄冷器、圧縮部
及び膨張部の改良が重要な課題となっている。特に、蓄
冷器を構成する充填物質である蓄冷材料はその性能を大
きく左右する。
【0004】蓄冷器においては従来より充填物質を鉛ま
たは青銅のボール、或いは銅、燐青銅の金網層から形成
している。しかしながら、かかる充填物質は比熱が10
K以下の低温で急激に小さくなるため、上述の気体冷凍
において低温(10K以下)で気体冷却効率が著しく低
下するという問題があった。
【0005】これに対して、蓄冷材料として20K以下
に比熱の最大値を有し、かつその値が単位体積あたりの
比熱(体積比熱)で充分に大きいR・Rhの金属間化合
物(R;Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、
Yb)を用いることが提案されている(特開昭51-52378
号)。
【0006】しかしながら、かかる蓄冷材料は一構成成
分であるRh(ロジウム)が極めて高価であるため、数
百グラムオーダで使用する蓄冷器の充填物質としては実
用化の点で問題である。
【0007】さらに、20K以下の比熱が充分に大きく
且つ安価である蓄冷材料R・MZ (R;Sc,Y,L
a,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,H
o,Er,Tm,Yb,Lu、 M;Ni,Co,C
u,Ag,Au,Mn,Fe,Al,Zr,Pd,B,
Si,P,C、 z;0.001≦z≦9.0)が提案
されている(特開平1-310269号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特に 4He冷凍機用を
考えた場合は、蓄冷材料が4〜5K付近に大きな比熱を
持つことが冷凍機の性能を左右する重要な鍵となってい
るが、使用される気体冷凍機の目的温度に応じた冷却効
率を持つ磁性蓄熱材料の提供は困難であった。
【0009】本発明は、比較的低い磁気相転移温度を持
つ2つの物質の固溶系に於いて、出発物質の両者より低
い磁気相転移温度を実現することのできる点に着目し、
高い冷却効率を実現できる蓄冷材料を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、例え
ば20K以下程度の極低温での磁気相転移に伴う比熱の
異常を用いた蓄冷材料において、その磁性のタイプが異
なる2種以上の物質の固溶系からなり、この固溶系の磁
気相転移点が、出発物質のそれより低いことを特徴とす
る磁性蓄冷材料である。
【0011】すなわち本発明は、磁性のタイプが異なる
2種以上の物質の固溶系を作り、磁性イオン間の相互作
用を競合させることにより、出発物質より磁気相転移温
度を低下させた蓄冷物質を与えるものである。
【0012】上記蓄冷材料の磁気相転移を担う磁性イオ
ンとしては、例えば希土類(Ce、Pr、Nd、Pm、
Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b)イオン、または遷移金属(Fe、Co、Ni、M
n、Cr)イオンが挙げられる。希土類磁性イオンの磁
性を担っているのは4f電子であるが、4f電子は、非
常に局在性が強く波動関数の広がりが狭いため、4f電
子間相互作用は波動関数の重なりによる直接相互作用(d
irect exchange)ではなく、伝導電子を媒介としたRK
KY相互作用で良く記述できる。以下、RKKY相互作
用によって良く記述できる様な物質系で、磁性イオン間
の相互作用とその競合の方法について詳しく述べる。
【0013】まず、ミクロな視点から考える。いま、i
番目の格子点にあるにある1つの磁性イオンに属する局
在電子のスピンの総和をsi とすると、一般に、磁性イ
オン間に働く交換相互作用は、−Jij・si ・sj (s
i ;i番目の磁性イオンの全スピン,sj ;j番目の磁
性イオンの全スピン,Jij;i番目とj番目の磁性イオ
ンのスピン間に働く交換相互作用の大きさを表す係数)
と表すことができ、この相互作用係数Jijの符号の正負
により、磁性イオンのスピン間の相互作用のタイプが異
なる。即ち、Jij>0のとき、モーメントは互いに平行
にCoupleし(強磁性的)(図1参照)、Jij<0
のとき、モーメントは互いに反平行にCoupleする
(反強磁性的)(図2参照)。
【0014】しかし、実際の系は莫大な数の磁性イオン
から成っているため、より複雑である。物質系全体の磁
気的相互作用の強さを表す量(磁気相転移点に比例した
量)J(Q)を、次式で定義することができる。 J(Q)=ΣZi ・Jij・e-iQR (1) 但し、Qは物質系の磁気構造を表すベクトルであり、R
はi番目磁性イオンからj番目の磁性イオンへ向かうベ
クトルである。さらに、Ai =ΣZi ・e-iQR とおく
と、(1)式は、 J(Q)=A1 ・J1 +A2 ・J2 +A3 ・J3 +・・ (2) と展開することができる。
【0015】ここで、磁性を担う電子のスピン間相互作
用がRKKY相互作用であるような系に於いては、Jij
(磁性イオンのスピン間の交換相互作用の大きさを表す
係数)は、i−jスピン間の距離Rとフェルミ波数kF
の積kF ・Rの関数である。J(kF ・R)を図3に示
す。図3から分かるように、磁性物質中での磁性イオン
間の相互作用は、最近接磁性イオン間の相互作用が最も
強く、第2近接、第3近接、・・と高次の相互作用にな
るに連れ、スクリーニング効果によって弱くなる。 こ
のような、RKKY的な振動する長距離秩序の相互作用
によって、強磁性的相互作用(Ferro coupling),反強
磁性的相互作用(Antiferro coupling)という符号が異
なる磁性イオン間相互作用が競合し、その結果、相互作
用の大きさが小さくなり磁気相転移温度を低下させるこ
とができる。
【0016】例えばJ2 ,J3 に比べてJ1 が支配的な
系に於いて、図4の様なJ1 (正)を持つ反強磁性物質
と、図5の様なJ1 (負)を持つ強磁性物質を固溶させ
ることによってkF ・Rを制御し、0近傍のJ1 を実現
するとき(図6)、相互作用が弱まり、磁気相転移点を
下げることができる。
【0017】また、J1 に比してJ2 ,J3 も無視でき
ないような(高次の相互作用まで重要な)系に於いて
も、J1 が殆ど0で、J2 ,J3 が図7の様な系と、図
8の様な系の固溶系に於いて、J2 ,J3 がキャンセル
したかたちを実現させた場合や(図9)、J1 ,J2
3 が全体で丁度キャンセルするようにkF ・Rを制御
した場合、相互作用が弱まり、磁気相転移点を下げるこ
とができる。磁性のタイプが異なる2種以上の物質の組
み合わせの具体な例として、以下の様な組み合わせを挙
げることができる。
【0018】1.強磁性物質(TC =13K)であるE
3 Coと、反強磁性物質(TN =6K)であるEr3
Niの擬二元系Er3 (Ni1-X CoX )。
【0019】2.強磁性物質(TC =33K)であるH
3 Al2 と反強磁性物質(TN =9K)であるEr3
Al2 の擬二元系(Er1-X HoX 3 Al2 。 3.強磁性物質(TC =26K)であるHoAlと反強
磁性物質(TN =13K)であるErAlの擬二元系
(Er1-X HoX )Al。
【0020】上述のように、本発明の技術は、低温の磁
気相転移に伴う比熱異常(大きな比熱)を利用する蓄冷
材料において、その磁性のタイプが異なる2種以上の物
質(例えば;強磁性物質と反強磁性物質,強磁性物質と
フェリ磁性物質,フェリ磁性物質と反強磁性物質など)
を合金化することによって、異なるタイプの磁気的相互
作用を競合させ、磁気相転移温度(比熱がピークを示す
温度)を出発物質の両者より低下させ、これを適宜制御
して、搭載される気体冷凍器の目的温度に応じた比熱の
形を提供することができる。
【0021】また、上記蓄冷材料が、デバイ温度が15
0K以下であり、10K乃至40Kの温度領域でも、そ
の格子比熱が充分に(Pbと同程度に)大きければ、2
0K近傍の温度領域に於いては、従来の蓄冷物質である
Pbなみの蓄冷効率を持ち、且つ、10K以下の低温領
域でも、上述の磁気相転移に伴う大きな比熱を持ち、し
かも搭載される気体冷凍気の目的温度に応じた比熱の形
を提供するように磁気相転移温度を制御した蓄冷材料を
与えることができる。
【0022】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面を参照して説
明する。
【0023】図10はR3 Ni系及びR3 Co系(R:
希土類元素)の磁気相転移温度を3次元的に示したもの
である。この中から、反強磁性的相互作用をもつEr3
Niと強磁性的相互作用をもつEr3 Coに着目した。
【0024】まず、アーク溶解炉を用いてEr75atom
%、Ni12.5atom%、残部Coからなる金属間化合物及
びEr75atom%、Ni 18.75atom%、残部Coからなる
金属間化合物及びEr75atom%、Ni20atom%、残部C
oからなる金属間化合物を調整し、この合金を 700℃、
10-3torr程度の真空中で 100時間の均一化熱処理を施
し、Er3 NiとEr3Coの擬二元系を得た。得られ
た物質のX線回折実験によれば、Er3CoとEr3
iの中間的な結晶構造を持つ金属間化合物の単相が形成
されていることが分かった。Er3 CoのTc は約13
K,Er3 NiのTN は約6Kであり、この磁気相転移
点で比熱のピークを有する。
【0025】ここで、蓄冷効率を考えた場合、冷凍は、
蓄冷材料と作業物質であるHeとのエントロピー交換に
より行われるので、これを直接的に見る物理量であるC
/T(各温度での比熱をその温度で割った値)の温度依
存のグラフを図11、12、13、14、15に示す。
【0026】これにより、Ni12.5%の試料ではC/T
−Tのピーク位置は約 5.5K、Ni18.5%及び20%の試
料では磁気的相互作用の競合の結果山は2つのこぶを持
つ様なやや複雑な形を有するが、その低温側のピークの
位置は約 5.7K及び約4Kと何れも出発物質の両者より
低下しており、より低温でのC/Tが大きい蓄冷材料を
得ることができた。なおこのピークはCのピークとほぼ
一致する。
【0027】またEr3 NiとEr3 Coの擬二元系に
おける磁気相転移温度の組成依存を図16に示す。Xが
0.5 以上の領域で転移点の下がる領域のあることがわか
る。好ましくは、0.65≦x≦0.85である。従ってこの様
な材料を用いることにより所望の温度域に有効な蓄冷器
を得ることができ、結果として高効率の冷凍機を得るこ
とができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、低
温の磁気相転移に伴う比熱異常(大きな比熱)を利用す
る蓄冷材料において、その磁性のタイプが異なる2種以
上の物質(例えば;強磁性物質と反強磁性物質,強磁性
物質とフェリ磁性物質,フェリ磁性物質と反強磁性物質
など)を合金化することによって、異なるタイプの磁気
的相互作用を競合させ、磁気相転移温度(比熱がピーク
を示す温度)を出発物質の両者より低下させ、これを微
妙に制御して、搭載される気体冷凍気の目的温度に応じ
た比熱を持つ蓄冷材料を提供することができる。従って
より気体冷却効率の高い蓄冷材料を設計することが可能
となり、工業的に寄与するところ大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 2つのスピン系の平行配列図(Jij>0)
【図2】 2つのスピン系の反平行配列図(Jij<0)
【図3】 RKKY相互作用の強さを表す関数J(kF
・R)を示す図
【図4】 相互作用の強さとkF ・Rの関係図
【図5】 相互作用の強さとkF ・Rの関係図
【図6】 相互作用の強さとkF ・Rの関係図
【図7】 相互作用の強さとkF ・Rの関係図
【図8】 相互作用の強さとkF ・Rの関係図
【図9】 相互作用の強さとkF ・Rの関係図
【図10】 磁気相転移温度を示す図
【図11】 C/T特性図
【図12】 C/T特性図
【図13】 C/T特性図
【図14】 C/T特性図
【図15】 C/T特性図
【図16】 磁気相転移温度の組成依存性を示す図
【符号の説明】
1 i番目のスピンsi 2 j番目のスピンsj 3 最近接磁性イオン間の相互作用の大きさJ1 4 第2近接磁性イオン間の相互作用の大きさJ2 5 第3近接磁性イオン間の相互作用の大きさJ3

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気相転移に伴う比熱の異常を用いた蓄
    冷材料において、その磁性のタイプが異なる2種以上の
    物質の固溶系からなり、この固溶系の磁気相転移点が、
    出発物質のそれより低いことを特徴とする蓄冷材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の蓄冷材料が充填された蓄
    冷機を用いたことを特徴とする冷凍機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012052755A (ja) * 2010-09-02 2012-03-15 Toyama Univ 磁気冷却材料およびそれを用いた極低温生成方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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