JPH0570369A - 避妊ワクチン - Google Patents

避妊ワクチン

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JPH0570369A
JPH0570369A JP8290691A JP8290691A JPH0570369A JP H0570369 A JPH0570369 A JP H0570369A JP 8290691 A JP8290691 A JP 8290691A JP 8290691 A JP8290691 A JP 8290691A JP H0570369 A JPH0570369 A JP H0570369A
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arg
pzp
vaccine
ala
ile
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JP8290691A
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English (en)
Inventor
Shinzou Isojima
晋三 礒島
Akiko Akatani
昭子 赤谷
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 避妊を効果的に達成することができる避妊ワ
クチンを提供する。 【構成】 ブタ卵透明帯PZP−4抗原を免疫原として
含む避妊ワクチン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト及び動物の避妊ワ
クチンに関する。
【0002】
【従来の技術】避妊ワクチンによる避妊法は従来の避妊
法であるピル、IUD、コンドーム、リズム法、不妊手
術等による方法とは異なり免疫学的避妊法である。従来
より、卵透明帯は避妊ワクチンのワクチン抗原に成り得
る可能性があることが知られている。すなわち、卵透明
帯をワクチン抗原として投与すると該抗原に対する抗体
が生成されることにより受精が阻害されて避妊が可能と
なるものである。
【0003】卵透明帯の中では一般的にブタの卵透明帯
がワクチン抗原として研究されている。ワクチンとして
は、ブタの卵透明帯の全成分(PZP−1;M. W. 80 -
90K、PZP−2;M. W. 60 - 65K、PZP−3;M.
W. 55K 、 PZP−4;M. W. 20 - 25K (Wassarman P
M. "ZONA PELLUCIDA GLYCOPROTEINS" Ann. Rev. Bioche
m. 1988, 57: 415 - 42))あるいはPZP−3成分のみ
を使用するものが研究されている(Sacco AG. "Zona Pe
llucida: Current Status as a CandidateAntigen for
Contraceptive Vaccine Development." AMERICAN JOURN
AL OFREPRODUCTIVE IMMUNOLOGY AND MICROBIOLOGY 198
7, 15: 122 - 130) 。
【0004】しかしながら、いずれにせよ卵透明帯は卵
巣中にしか存在しないために、ワクチンを生産するため
に必要な抗原を得るためには大量の卵巣を必要とし、こ
のため十分な抗原及び抗体を産生することができないと
いう問題があった。また、卵透明帯を精製する上で、他
の卵巣組織が混在することも考えられ、他の卵巣組織の
混在はこれをワクチンとして用いた場合、副作用を強く
する原因となることも考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】本発明の目的は、避
妊を効果的に達成することができる新規な避妊ワクチン
を提供することである。さらにまた、本発明の目的は、
生体以外の供給源から大量に調製することができる避妊
ワクチンを提供することである。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研
究の結果、ブタ卵透明帯ZP−4成分(以下、PZP−
4ということがある)単独でも避妊ワクチンのワクチン
抗原となり得ることを見出した。さらにまた、PZP−
4中に含まれる、特定のアミノ酸配列を有するポリペプ
チドが避妊ワクチンの抗原として有用であることを見出
し本発明を完成した。すなわち、本発明は、ブタ卵透明
帯PZP−4抗原を免疫原として含む避妊ワクチンを提
供する。 さらに、本発明は、式[I] N側 Arg-Val-Arg-Gly-His-His-Gln-Met-Thr-Ile-Arg C側 [I] で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを免疫原と
して含む避妊ワクチンを提供する。
【0007】
【発明の効果】本発明により、PZP−4を免疫原とし
て含む新規な避妊ワクチンが提供された。この避妊ワク
チンは、下記の実施例において動物実験により証明され
たように、有効に動物及びヒトの避妊を達成することが
できる。また、本発明により、アミノ酸配列が特定され
たポリペプチドを免疫原とする新規な避妊ワクチンが提
供された。この避妊ワクチンは、そのアミノ酸配列が決
定されているので、化学的ペプチド合成法により、又は
該ポリペプチドをコードするDNAを化学合成し、これ
を市販のベクターに組み込んで宿主微生物中で増幅させ
る遺伝子工学的手法により、ブタ卵巣を必要とすること
なく、大量に調製することができる。
【0008】
【発明の具体的な説明】上述のように、本発明の第1の
避妊ワクチンは、PZP−4を免疫原として含む。PZ
P−4自体は公知であり、ブタの卵巣から、O'Farrell
の方法に準じた二次元電気泳動により調製することがで
きる。この調製方法は、下記実施例において詳述されて
いる。
【0009】本発明の第1の避妊ワクチンは、上記PZ
P−4をワクチン抗原とするものであり、常法に基づき
ワクチンに製剤することができる。例えば、PZP−4
をフロインド完全アジュバントに例えば10μg/mlないし
100 μg/ml程度の濃度に懸濁することにより避妊ワクチ
ンを製剤することができる。また、ワクチンの投与量、
投与回数及び投与時期は10μg ないし100 μg のPZ
P−4を1回の投与量とし、初回は完全フロイントアジ
ュバントに、また2回目以降は不完全フロイントアジュ
バントに懸濁して2週間ないし4週間の間隔で数回投与
することにより、抗体を産生することが可能である。な
お、投与の時期は問わない。
【0010】本発明の第2の避妊ワクチンは、上記式
[I]で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド
(以下、簡単のため「ポリペプチドI」ということがあ
る)を免疫原として含む。ポリペプチドIは、後述の実
施例において詳細に示されるように、PZP−4をエン
ドプロテイナーゼLys-C で消化して得られた断片のうち
高いワクチン抗原活性を有する断片のN側の1番から1
1番目までのアミノ酸領域であり、PZP−4をトリプ
シン及びエンドプロテイナーゼAsp-N 処理して得られる
フラグメントのアミノ酸配列とモノクローナル抗体5H
4に対する反応性から、この断片のポリペプチドIの部
分がモノクローナル抗体5H4の対応エピトープと考え
られる。
【0011】なお、ワクチン抗原として用いられるポリ
ペプチドは、上記式[I]で示されるアミノ酸配列から
なるポリペプチド(すなわちポリペプチドI)であって
もよいが、上記式[I]で示されるアミノ酸配列をその
一部として含むポリペプチドであってもよい。例えば、
下記実施例において確認されたように、N側 Arg-Val-
Arg-Gly-His-His-Gln-Met-Thr-Ile-Arg-Leu-Ile-Asp-As
p-Asn-Ala-Ala-Leu-Arg-Gln-Glu C側で示されるアミノ
酸配列を含むポリペプチド及びN側 Arg-Val-Arg-Gly-
His-His-Gln-Met-Thr-Ile-Arg-Leu-Ile-Asp-Asp-Asn-Al
a-Ala-Leu-Arg-Gln-Glu-Ala-Leu-Met-Tyr-His-Ile-Ser-
Cys-Pro-Val-Met-Gly-Ala-Glu-Gly-Pro-Asp-Gln C側で
示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドも本発明にお
けるワクチン抗原として用いることができ、これらのア
ミノ酸配列から成るポリペプチドも本発明におけるワク
チン抗原として用いることができる。さらに、一般に何
らかの生理活性を有するポリペプチドは、そのアミノ酸
配列に少数のアミノ酸の付加、欠失又は置換が起きたも
のであっても同様な生理活性を有することがあることは
当業者において広く認識されているところである。従っ
て、上記式[I]で示されるアミノ酸配列に少数のアミ
ノ酸が付加され、少数のアミノ酸が欠失し又は少数のア
ミノ酸が他のアミノ酸に置換されたものであっても、ポ
リペプチドIと同様な避妊ワクチン抗原性を有するもの
は、式[I]で示されるアミノ酸配列と実質的に同一で
あり、特許請求の範囲における「アミノ酸配列」という
語は、このような実質的に同一のアミノ酸配列をも包含
するものとして解釈されなければならない。
【0012】本発明の第2の避妊ワクチンは常法に基づ
きワクチンに製剤することができる。例えば、ポリペプ
チドIをフロインド完全アジュバントに例えば10μg/
mlないし100 μg/ml程度の濃度に懸濁することにより避
妊ワクチンを製剤することができる。また、ワクチンの
投与量、投与回数及び投与時期は10μg ないし100 μ
g のPZP−4を1回の投与量とし、初回は完全フロイ
ントアジュバントに、また2回目以降は不完全フロイン
トアジュバントに懸濁して2週間ないし4週間の間隔で
数回投与することにより、抗体を産生することが可能で
ある。なお、投与の時期は問わない。
【0013】本発明の避妊ワクチンを接種して得られる
抗体は、精子と卵との結合を妨げることによって妊娠を
防止するものであるから、他の作用機序に基づく避妊方
法よりも安全性が高いと考えられる。また、後述の実施
例において明らかになるように、本発明の避妊ワクチン
を接種して誘導された抗体は、ブタのみならず、ヒト、
ウサギ、ネコ及びイヌの卵透明帯とも交叉反応性を有す
ることから、ヒト及びこれらの動物の避妊ワクチンとし
ても有効に機能するものと考えられる。特に、ヒトに関
しては、後述の実施例において、本発明の避妊ワクチン
を接種して得られた抗体によるヒト精子の受精阻害が確
認されている。従って、本発明の避妊ワクチンは、ヒト
の避妊手段として、また、ペットや家畜の増殖を抑制す
るための避妊手段として有効に用いることができる。
【0013】
【実施例】本発明を実施例により具体的に説明するが、
本発明の実施例はこれらに限定されるものではない。可溶化ブタ透明帯(SPZP)の調製 ブタ卵巣を電動カッターで破砕したものを200 μm メッ
シュ、150 μm メッシュ、75μm メッシュの各ナイロン
スクリーンをこの順番で用いて順次バッファー(PBS
(−)+2mM EDTA、2mM クエン酸ナトリウ
ム)で洗いながら通した。75μm メッシュ上に残った
卵はバッファーで洗い落し回収した。次に、3000rpm で
5分間遠心し、沈殿した卵を集め少量(5ml程度)のバ
ッファーに懸濁した後、ダウンスホモジナイザーで5ス
トロークして卵より卵透明帯を分離した。卵透明帯は、
150 μm メッシュ、続いて40μm メッシュに通し、40μ
mメッシュ上に残った透明帯を回収した後、3000rpm で
5分間遠心して沈殿した卵透明帯を集めた。得られた卵
透明帯に可溶化バッファー(50mM NaHCO3 - Na2CO3(p
H9.6))を加えて70℃で30分間インキュベートして卵
透明帯を可溶化した。可溶化後、10,000rpm で20分間
遠心し、上清を回収した。得られた上清(可溶化ブタ卵
透明帯;SPZP)は5mM NH4HCO3に透析した後、凍結
乾燥して保存した。
【0014】PZP−4の調製 上記で得られたSPZPを二次元電気泳動にかけた。泳
動条件は、O'Farrellの方法に準じて下記の条件で行な
った。 一次元目ゲル組成 アクリルアミド(ビス) 4%(0.2 %) 尿素 8.5 M 両性担体(ファルマライト) 2%(pH 3-10) (NH4)2S2O8 0.01% TEMED 0.056 % 一次元目電極液 陽極; 0.01N H3PO4 陰極; 0.02N NaOH 一次元目通電条件 予備通電;200V 15 分、300V 30 分、400V 30 分 本通電; 300V 15時間、 600V 1時間 二次元目の泳動条件は、Laemmli のSDS電気泳動法に
従って下記の条件で行なった。 二次元目ゲル組成 濃縮ゲル アクリルアミド(ビス) 5% (0.133%) トリス塩酸緩衝液(pH 6.8) 0.125 M SDS 0.1 % (NH4)2S2O8 0.08% TEMED 0.05% 分離ゲル アクリルアミド(ビス) 10% (0.0665%) トリス塩酸緩衝液(pH 8.8) 0.375 M SDS 0.1 % (NH4)2S2O8 0.08% TEMED 0.05% 二次元目電極液 0.1 %SDS含有0.192 M トリスグリシン(pH 8.3) 二次元目通電条件 濃縮ゲル内;15mA 2時間 分離ゲル内;30−40mA 3時間 二次元目平衡化緩衝液 トリス塩酸緩衝液(pH 6.8) 0.0625 M 2−メルカプトエタノール 5% SDS 2% SPZPを8.5M尿素、2%ファルマライト(pH3〜1
0) 、5%メルカプトエタノールに可溶化後、二次元電
気泳動にかけた。その結果を図1aに示す。次に、分離
したPZP−4画分のゲルを切り出し電気抽出法を用い
てゲルからPZP−4のみを抽出した。抽出したPZP
−4は5mM NH4HCO3に透析した後、凍結乾燥した。PZ
P−4の二次元電気泳動の結果を図1bに示す。PZP
−1、PZP−2及びPZP−3の混在は認められなか
った。
【0015】免疫及び細胞融合 上記のようにして得られたPZP-4 10μg を完全フロイン
トアジュバントでエマルジョン化したものを雄Balb
/cマウスに2週間間隔で2回背部皮下免疫した。さら
に2週間後から10μg のPZP−4のみを緩衝液中に
含む溶液を隔日に3回腹腔内投与した。最終免疫から4
日後にマウス脾臓を摘出し、脾細胞をポリエチレングリ
コール1000を用いて、マウスミエローマ細胞P3U1
(文献:Kohler, G and MilsteinC, Eur. J. Immunol.,
6, 511 (1976))と常法(J. Reprod.Immunol. 7:187-19
8, 1985 Koyama, K., Hasegawa, A., Tsuji, Y., and I
sojima, S., "Productionand Characterization of Mon
oclonal Antibody to Cross-reactive Antigens of Hum
an and Porcine Zonae Pellucidae.")に基づき細胞融
合した。増殖してきたハイブリドーマ培養上清の抗体の
検索はELISA法により行なった。抗体陽性のものは
ブタ卵を用いた間接抗体法により抗ブタ卵抗体陽性を示
すものをピックアップした。得られたハイブリドーマは
限界希釈法を用いてクローニングを行ない安定なハイブ
リドーマ5H4を樹立した。ハイブリドーマ5H4が産
生するモノクローナル抗体5H4の抗体クラス検定をオ
クタロニー法により行なったところIgG2b であった。
【0016】モノクローナル抗体5H4によるSPZP
のウェスタンブロッティング SPZPを上記と同様にして二次元電気泳動を行ない泳
動終了後、ゲルに現われたパターンをエレクトロトラン
スブロッターを使ってニトロセルロース膜にトランスブ
ロットした。SPZPのブロッティングされたニトロセ
ルロース膜は3%BSAでブロッキングを行ないモノク
ローナル抗体5H4と反応させた。洗浄後、パーオキシ
ダーゼ標識抗マウス抗体で反応させ、4−クロロ−1−
ナフトールで発色させた。その結果を図2に示す。モノ
クローナル抗体5H4はPZP−4だけでなくPZP−
1の一部(−極側)とも反応することが分かった。ま
た、PZP−2及びPZP−3とは反応しない。
【0017】5H4抗原の蛋白質分解酵素処理及び脱糖
鎖処理による変化 50μg/mlのSPZPをそれぞれ1μg/mlのトリプシ
ン、キモトリプシン(37℃、60分間)10U/ml N
−グリカナーゼ(37℃、15時間)、トリフルオロメ
タンスルホン酸(TFMS)/アニソール(2/1)溶
液(4℃、8時間)で処理した後、ニトロセルロース膜
にスポットした。膜を乾燥させた後、上述のウエスタン
ブロッティングと同様に発色させた。その結果を図3に
示す。モノクローナル抗体5H4と反応する物質はN−
グリカナーゼやTFMSといった脱糖鎖処理によっては
その抗原性は破壊されない。しかし、キモトリプシンの
ような蛋白質分解酵素処理ではその抗原性が破壊され
た。これよりこの抗体は、糖鎖ではなく蛋白を認識して
いると考えられる。
【0018】モノクローナル抗体5H4の他種卵透明帯
との反応性 ブタ、ハムスター、ウサギ、イヌ(卵ではなく卵巣の凍
結切片を使用)、ネコ、ヒト(手術摘出卵巣より採取し
た)の卵巣よりそれぞれの卵を採取し、その採取した卵
とモノクローナル抗体5H4とを反応させた。反応終了
後、PBS(−)で5回洗浄し、さらにフルオレッセイ
ンイソチオシアネート(FITC)標識抗マウス抗体と
反応させた。反応終了後洗浄操作を行ない蛍光顕微鏡で
検鏡した。イヌの場合は卵ではなくイヌ卵巣の凍結切片
上で卵の場合と同様な間接蛍光抗体法を行なった。その
結果、ブタ、ウサギ、ネコ、ヒト、イヌ(イヌの場合で
は卵巣中の卵透明帯がリング状に蛍光染色で染まってい
るのが認められた)で蛍光染色が認められ、モノクロー
ナル抗体5H4がこれらの種の卵透明帯とも結合するこ
とが明らかとなった。
【0019】モノクローナル抗体5H4の組織特異性 各組織のパラフィン切片をVECTASTAIN ABCキット(フナ
コシより市販)で染色した。以下の手順で処理すること
により脱パラフィンと染色を行なった。 (1) キシレン(3分間) (2) キシレン(3分間) (3) 100%エタノール (4) 0.3% H2O2−メタノール(30分間) (5) 水(3分間×3回) (6) PBS(10分間) (7) 2%正常ウマ血清−PBSでブロッキング(30分
間) (8) モノクローナル抗体5H4の培養上清(60分間、
室温) (9) PBS(5分間×3回) 以後、第2抗体での反応から発色、ヘマトキシリン対比
染色、封入までの操作は上記キットのマニュアルに従っ
た。その結果、ブタ卵巣を染めたものでは、リング状の
透明帯のみが茶色く染まった。同様な方法でヒト−副
腎、肝臓、唾液線、脾臓、肺、腎臓を染めたものである
が染色は認められなかった。このように、モノクローナ
ル抗体5H4が特異的に結合する物質は今回調べた範囲
内では唯一卵透明帯だけで他の組織中には存在が確認さ
れなかった。
【0020】モノクローナル抗体5H4によるヒト精子
のヒト卵透明帯への結合阻害試験 手術摘出卵巣より患者の承諾を得て採取した卵を10%
ヒト血清を含むHam'sF10 で48時間成熟培養した後、
モノクローナル抗体5H4を加え37℃、60分間処理
した。その後、1×106 /mlに数を調製した精子浮遊液
を加え15時間後、卵に結合している精子の数をカウン
トした。表1に示す通り、卵一個当たりの結合精子数は
対照の55前後から13前後へと減少が認められた。
【0021】PZP−4のフラグメント化とその精製、
アミノ酸配列の決定 (1) エンドプロテイナーゼLys-C 処理 上記のようにして得られたPZP−4を25mM Tris-HC
l (pH8.5)及び1mMEDTAに溶解した後、エンドプロ
テイナーゼ Lys-CをPZP−4の1/40 量を加え、37
℃、1時間反応させた。反応終了後、逆相HPLC(μ
Bondapak C18(ウォーターズ社製)にかけて分離精
製した。HPLCで用いた溶媒は、0.1% TFA水溶液と0.
1% TFAのアセトニトリル溶液の15%〜60%直線勾配
(120分)であり、流速は0.85 ml/分であった。分離
された各フラクションはコーティングバッファー(0.05
M 重炭酸緩衝液 pH 9.6)で100倍希釈して96穴プレ
ートに加え4℃、一晩放置して吸着させた。PBS
(−)でプレートを洗浄後、1%BSAで室温、1時間
ブロッキングした。洗浄操作後、モノクローナル抗体5
H4を加え室温で2時間反応させた。洗浄後、ペルオキ
シダーゼ標識抗マウス抗体を加え室温で30分間反応さ
せた後、再度洗浄した。これに0.2mg/mlオルトフェニレ
ンジアミン、0.02% H2O2、0.15M クエン酸−リン酸緩衝
液pH 5.0を加えて発色させた。定量はマイクロプレート
光度計で492nm の吸光度を測定することにより行なっ
た。図4aに逆相HPLCの分離パターンと各フラクシ
ョンの5H4−ELISAの結果を示す。40分あたり
に溶出されてくるフラクションの#63〜#71のピー
クに抗原性が認められた。この抗原ポジティブ・フラク
ションの#64〜#71を再度逆相HPCにかけた時の
分離パターンを図4bに示す。さらにフラクション#1
4〜#16を逆相HPLCにかけた時の分離パターンが
図4cである。最終的にこの2回のリクロマトグラム操
作を行なって得られたピークフラクションをアミノ酸シ
ークエンサー(Applied Biosystem 477A)でシークエンス
を行ない、アミノ酸配列を決定した。その結果、このポ
リペプチド断片は以下に示すアミノ酸配列を有してい
た。 N側 Arg-Val-Arg-Gly-His-His-Gln-Met-Thr-Ile-Arg-
Leu-Ile-Asp-Asp-Asn-Ala-Ala-Leu-Arg-Gln-Glu C側 さらに、同じ実験を試料の量を増やして追試したとこ
ろ、上記の配列よりも7アミノ酸長い、下記配列が決定
された。 N側 Arg-Val-Arg-Gly-His-His-Gln-Met-Thr-Ile-Arg-
Leu-Ile-Asp-Asp-Asn-Ala-Ala-Leu-Arg-Gln-Glu-Ala-Le
u-Met-Tyr-His-Ile-Ser C側
【0022】(2) トリプシン処理 上記のようにして得られたPZP−4 100μg に対
してTPCK処理トリプシン(シグマ社製;#T−86
42)0.5 μg を 500μlのPBS(−)で1時間反応
させた。反応終了後、逆相HPLC(μBondapak C−
18(ウォーターズ社製)にかけて分画した。HPLC
で用いた溶媒は0.1% TFA水溶液と0.1% TFAのアセトニト
リル溶液の25%−45%直線勾配(120分)であ
り、検出は波長220nmの吸光度を測定することによ
り行った。図5に逆相HPLCの分離パターンを示す。
分離されたフラクションのアミノ酸配列をアミノ酸シー
クエンサーでシークエンスを行ない決定した。その結
果、フラクション#76、77(M.W.5000)よ
りLeu-Ile-Asp-Asp-Asn-Ala-Ala-Leu-Arg-Gln のアミノ
酸配列を有するフラグメントが得られた。この配列は先
にエンドプロテイナーゼLys- C処理によって得られた
モノクローナル抗体5H4陽性フラグメント(M.W.
7000)の12番目から21番目までのアミノ酸配列と一
致した。また、このトリプシン処理フラグメントにはモ
ノクローナル抗体5H4に対する反応性が認められなか
った。
【0023】(3) エンドプロテイナーゼ Asp−N処理 上記で得られたPZP−4 100μg を50mMリン酸
緩衝液(pH 8.0) に溶解した後、エンドプトテイナーゼ
Asp−N(Behringer-Mannheim;#1054589)を
2μg量加え、37℃、6時間反応させた。反応終了
後、逆相HPLC(μ Bondapak C−18(ウォーター
ズ社製)にかけて分画した。HPLCで用いた溶媒は、
0.1% TFA水溶液と0.1% TFAのアセトニトリル溶液の5%
−45%直線勾配(120分)であり、検出は、波長2
20nmの吸光度を測定することにより行った。図6に
逆相HPLCの分離パターンを示す。分離されたフラク
ションのアミノ酸配列をアミノ酸シークエンサーでシー
クエンスを行ない決定した。その結果、フラクション#
68、69(M.W.2200)よりGlu-Ala-Leu-Met-
Tyr-His-Ile-Ser-Cys-Pro-Val-Met-Gly-Ala-Glu-Gly-Pr
o-Asp-Gln のアミノ酸配列を有するフラグメントが得ら
れた。この配列のうちGlu からSer までの配列はエンド
プロテイナーゼ Lys−C処理で得られたフラグメントノ
N側22番目から29番目までのアミノ酸配列と一致し
た。また、このエンドプロテイナーゼ Asp−N処理によ
って得られたフラグメントにもモノクローナル抗体5H
4に対する反応性は認められなかった。 (1)、 (2)、 (3) の酵素処理フラグメントのアミノ酸配列
をつなぎ合わせることによりPZP−4内の下記40個
のアミノ酸配列が明らかとなった。 N側 Arg-Val-Arg-Gly-His-His-Gln-Met-Thr-Ile-Arg-
Leu-Ile-Asp-Asp-Asn-Ala-Ala-Leu-Arg-Gln-Glu-Ala-Le
u-Met-Tyr-His-Ile-Ser-Cys-Pro-Val-Met-Gly-Ala-Glu-
Gly-Pro-Asp-Gln C側 また、モノクローナル抗体5H4に対するこれらフラグ
メントの反応性からモノクローナル抗体5H4の認識領
域がエンドプロテイナーゼ Lys−C処理によって得られ
たフラグメントのN側の1番目から11番目までのアミ
ノ酸領域内にあることがわかった。
【0024】PZP−4を用いたワクチン実験 エストラジオールを測定して正常な発情周期を示すこと
を確認したゴールデンハムスター(♀)を、フロインド
完全アジュバント中に20μg のPZP−4を含むワク
チン(PZP−4濃度:40μg/ml)で免疫した。3週
間後から数回追加免疫注射を繰り返し、発情期に相当す
る日に採血を行ない発情周期を調べた。また、妊孕性を
確認した雄と同居させ妊娠の有無を検討した。免疫動物
の卵巣の組織学的検査を行なうと共に抗血清のPZP抗
原に対する反応性を間接抗体法、ウエスタンブロット法
により調べた。結果はPZP−4を免疫した雌ハムスタ
ー3匹を免疫開始後7週から12週にかけて雄と同居さ
せたが妊娠には至らなかった。その後一匹は13週目に
妊娠した。表2は免疫していない正常なハムスターの発
情周期と血中エストラジオール値を測定しグラフ化した
ものである。ハムスターの発情周期は4日周期である。
図7は、免疫したハムスターより第4日に相当する日に
採血を行ない抗透明帯抗体価とエスタジオール値を測定
しグラフ化したものである。抗透明帯抗体価の上昇に従
いエストラジオール値の低下が認められ発情周期の乱れ
が観察された。なお、図7において、抗体価は492nm
における吸光度がプラトーを示す最大希釈倍数で表わし
た。また、エストラジオール濃度は、ハムスターが最高
値を示す発情期に採血して測定した。なお、12週及び
48週におけるPZP−4免疫ハムスターのエストラジ
オール濃度は測定しなかった。
【0025】卵巣の組織検査では、免疫開始7週後の卵
巣をアジュバントのみで免疫したもの(コントロール)
とPZP−4で免疫したものとを比較すると卵胞の発育
状況及び顆粒膜細胞層の状態に大きな違いが認められ
た。すなわち、対照の卵巣は顆粒膜細胞層の形成を伴っ
た卵胞の発育が認められるのに対して免疫したハムスタ
ーの卵巣には発育過程にあるべき卵胞が見当たらなかっ
た。免疫開始3週目の卵巣では発育卵胞が認められてい
たことから3週目以降に卵胞の発育に障害が生じたもの
と考えられる。また、免疫抗血清を用いてブタの卵とハ
ムスターの卵を間接蛍光抗体法で染めてみたところ、ブ
タの卵、ハムスターの卵ともよく染まりっており、抗透
明帯抗体が作られていることが確認された。同じ抗血清
を用いてウエスタンブロットを行なった結果が図8であ
る。PZP−4に対する抗体が強く作られていることが
見てとれる(図8b)。一方、PZP−2、PZP−3
に対しては全く反応が認められない(図8b)。PZP
−1には弱いながらも反応が認められる。なお、図8a
は対照として抗SPZPハムスター血清を用いて行なっ
たウェスタンブロッティングの結果を示す図である。
【図面の簡単な説明】
【図1a】SPZPの二次元電気泳動の結果を示す図。
【図1b】図1aに示す二次元電気泳動により分離され
たZP−4画分を再度二次元電気泳動にかけた結果を示
す図。
【図2】モノクローナル抗体5H4によるSPZPのウ
ェスタンブロッティングの結果を示す図。
【図3】SPZPをタンパク質分解酵素処理又は脱糖鎖
処理した後、モノクローナル抗体5H4との反応をドッ
トイムノアッセイで調べた結果を示す図。
【図4a】PZP−4のエンドプロテイナーゼLys-C の
消化物を逆相HPLCにかけて得られた画分のモノクロ
ーナル抗体5H4との反応性を示す図。
【図4b】図4aで得られた#64〜#71のピーク画
分を再度逆相HPLCにかけて得られた結果を示す図。
【図4c】図4aで得られた#14〜#16の画分を再
度逆相HPLCにかけて得られた結果を示す図。
【図5】PZP−4のトリプシンの消化物を逆相HPL
Cにかけて得られた結果を示す図。
【図6】PZP−4のエンドプロテイナーゼ Asp−Nの
消化物を逆相HPLCにかけて得られた結果を示す図。
【図7】本発明の避妊ワクチンで免疫したハムスターよ
り第4日に相当する日に採血を行ない抗透明抗体価とエ
スタジオール値を測定しグラフ化した図。
【図8a】は、抗SPZPハムスター血清を用いて行な
ったウェスタンブロッティングの結果を示す図。
【図8b】抗PZP−4ハムスター血清を用いて行なっ
たウェスタンブロッティングの結果を示す図。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブタ卵透明帯PZP−4成分を免疫原と
    して含む避妊ワクチン。
  2. 【請求項2】 N側 Arg-Val-Arg-Gly-His-His-Gln-Me
    t-Thr-Ile-Arg C側で示されるアミノ酸配列を含むポリ
    ペプチドを免疫原として含む避妊ワクチン。
  3. 【請求項3】 N側 Arg-Val-Arg-Gly-His-His-Gln-Me
    t-Thr-Ile-Arg-Leu-Ile-Asp-Asp-Asn-Ala-Ala-Leu-Arg-
    Gln-Glu C側で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチ
    ドを免疫原として含む請求項2記載の避妊ワクチン。
  4. 【請求項4】 N側 Arg-Val-Arg-Gly-His-His-Gln-Me
    t-Thr-Ile-Arg-Leu-Ile-Asp-Asp-Asn-Ala-Ala-Leu-Arg-
    Gln-Glu-Ala-Leu-Met-Tyr-His-Ile-Ser-Cys-Pro-Val-Me
    t-Gly-Ala-Glu-Gly-Pro-Asp-Gln C側で示されるアミノ
    酸配列を含むポリペプチドを免疫原として含む請求項3
    記載の避妊ワクチン。
  5. 【請求項5】 N側 Arg-Val-Arg-Gly-His-His-Gln-Me
    t-Thr-Ile-Arg C側で示されるアミノ酸配列から成るポ
    リペプチドを免疫原として含む請求項2記載の避妊ワク
    チン。
  6. 【請求項6】 N側 Arg-Val-Arg-Gly-His-His-Gln-Me
    t-Thr-Ile-Arg-Leu-Ile-Asp-Asp-Asn-Ala-Ala-Leu-Arg-
    Gln-Glu C側で示されるアミノ酸配列から成るポリペプ
    チドを免疫原として含む請求項3記載の避妊ワクチン。
  7. 【請求項7】 N側 Arg-Val-Arg-Gly-His-His-Gln-Me
    t-Thr-Ile-Arg-Leu-Ile-Asp-Asp-Asn-Ala-Ala-Leu-Arg-
    Gln-Glu-Ala-Leu-Met-Tyr-His-Ile-Ser-Cys-Pro-Val-Me
    t-Gly-Ala-Glu-Gly-Pro-Asp-Gln C側で示されるアミノ
    酸配列から成るポリペプチドを免疫原として含む請求項
    4記載の避妊ワクチン。
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