JPH056993B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は喫煙物品に関し、特に巻紙に包装され
た発煙素材のタバコロツドとフイルターとからな
る喫煙物品に関する。

紙巻タバコの主流煙中に排出される一酸化炭素
（CO）の対タール重量比は、場合により0.9程度
の低さのこともあるが、通常は１又はそれ以上で
ある。ここにいう「タール」とは、水分とニコチ
ンとを含まない状態で測定された粒状物質をい
う。ところで、紙巻タバコの設計においてある新
規な構成に従うときは、CO：タール排出重量比
を顕著に低下させることがわかつた。しかも、本
発明によれば、紙巻タバコの煙から発生する一酸
化炭素を化学的手段で除去するために従来提案さ
れている物質の使用にもとづく、費用や製造上の
問題を生じることなく、低いCO：タール比を実
現することができる。

本発明は、巻紙に包装された発煙素材のタバコ
ロツドとフイルターとからなる喫煙物品であつ
て、前記発煙素材が少なくとも２重量％のニコチ
ンを含有する葉身部タバコを80乃至100重量％含
んでいること、前記巻紙は20乃至120コレスタ単
位の範囲内の空気透過性を有すること、前記フイ
ルターが最高35％までのタール濾過効率を有する
低効率フイルターであること、および、前記低効
率フイルターの外周面に、15乃至90％の通気度を
有する通気孔が設けられていることを特徴とする
喫煙物品を提供するものである。

本発明に従つた紙巻タバコは、約0.3程度の低
いCO：タール比を示しうるが、この比の値は0.9
よりも小さいことが必要であり、0.5乃至0.75の
範囲内にあれば好適である。

本発明においては、前記低効率フイルターに、
マウスピース、又は英国特許出願第80.14455号に
開示される流れ抵抗装置を付加してもよい。

従来のセルローズ・アセテート系フイルターに
おいてタール濾過効率が35％を上回らないように
するためには、フイルターの圧力低下が水柱約50
mmを超えないようにしなければならない。

上記において、「通気度」とは、喫煙物品の吸
口端から喫煙者の口腔内に吸い込まれた煙と空気
の混合物の量に対する、巻紙および、またはフイ
ルター・チツプ・ペーパーを通じてタバコロツド
および、またはフイルターの内部に取り入れられ
た空気の量の比を、百分率であらわしたものをい
う。本発明では、通気孔の通気度が60乃至80％で
あることか特に好ましい。通気度がこの範囲であ
ると、CO：タール比は上述のように0.9よりも小
さいという所期の値を達成できる。しかし、この
範囲を越えると、CO：タール比が所期の値より
も大きくなるため、不適当である。

巻紙の「空気透過性」とは、1.0kPaの一定差
圧で１分間に巻紙１cm²の面積を通過する空気の量
（cm³）を測定してコレスタ単位で算定したものを
いう。本発明では、巻紙が20乃至60コレスタ単位
の範囲内の空気透過性を有することが特に好まし
いが、20乃至120コレスタ単位の範囲内でその最
適空気透過性値を設定することが可能である。空
気透過性値が最適数値の範囲内であればCO：タ
ール比を所期の小さな値とすることができるが、
この最適数値の範囲よりも上下すると、CO：タ
ール比が所期の値よりも大きくなる結果となる。

タバコロツドは、ニコチン含有量の相対的に高
い、例えば乾燥重量で２〜５重量％のニコチンを
含有する葉身部タバコを、80〜100重量％という
高い割合で含んでいなければならない。

もし葉身部タバコの含有量が80重量％に満たな
い場合には、たとえば残部に葉柄を含むと、一酸
化炭素のレベルが高くなつてしまう。また葉身部
タバコにおけるニコチン含有量が２重量％に満た
ない場合には、通気作用にもとづくニコチンの低
下を補償することができず、よつてCO：タール
比が所期の値よりも大きくなつてしまう。

好適には、ロツドのタバコは荒切りのタバコ、
すなわち１インチ当り30カツト以下程度のタバコ
がよい。葉柄を一部含む場合には、葉柄は荒切り
又は細断されたものでなければならない。

発煙素材は、好便には膨張タバコを約50〜60重
量％まで含むものであつてよい。ここで「膨張タ
バコ」とは、たとえばアメリカ再発行特許第
30693号公報ならびにイギリス特許出願第1570270
号および同第2160408A号に記載されているよう
な、大きな膨張率で膨張させられたタバコをい
う。このように処理したタバコは、充填比を75％
増やすことも可能である。通常の場合、小さな膨
張率を達成するにすぎない膨張工程は、実際には
乾燥工程である。この乾燥工程では、水処理した
タバコを加熱することによつて、「膨張剤」とし
ての水を除去する。このように処理したタバコ
は、充填比を10〜15％増やすことができるにすぎ
ない。小さな膨張率で膨張させられたタバコの膨
張状態は、通常の場合、長持ちしないが、高レベ
ル膨張工程によつて達成された高レベルの膨張
は、長持ちし、残存膨張として残る。

現在、紙巻タバコ紙に燃焼促進剤、たとえばく
えん酸ナトリウムを添加すると、一酸化炭素生成
量が増加するという考え方がなされている。しか
し、本発明の紙巻タバコでは、この種の薬剤を低
水準で添加することによつて、一酸化炭素生成量
の低下をもたらすほか、CO：タール比をも低下
させることが認められる。

以上のように、巻紙の空気透過性を20乃至120
コレスタ単位の範囲内という中程度とするととも
に、フイルターの通気孔の通気度を15乃至90％と
いう中から高程度とすることで、一酸化炭素の発
生を最大限に低下させることができる。一方、発
煙素材が、少なくとも２重量％という高ニコチン
を含有する葉身部タバコを80乃至100重量％含み、
さらにフイルターが最高35％までのタール濾過効
率を有する低効率フイルターであるため、上記巻
紙とフイルターの通気作用にもとづくタールとニ
コチンとの低下を補償することができる。このこ
とは、高ニコチンを含有する発煙素材はタール発
生性も高いという点にもとづく。特に、葉柄が含
まれない場合にその傾向が顕著であり、葉柄は、
葉身部よりも一酸化炭素の発生レベルが高くしか
もタール発生性が低い。

次に本発明の実施例のいくつかを示す。

実施例 １ 空気透過性45コレスタ単位の巻紙で長さ64mmの
タバコロツドを包装し、長さ20mmのセルローズ・
アセテートの自立型フイルターを設け、かつ機械
的に形成した通気孔の輪を介して通気度70％とな
るように構成した紙巻タバコを試作した。発煙素
材の充填物はすべて葉身部タバコとし、うち30重
量％は膨張させたものを使用した。充填タバコ
は、１インチ30カツトでカツトした。充填タバコ
のニコチン含有量は2.6重量％であつた。巻紙に
くえん酸ナトリウムを１重量％レベルで添加し
た。このタバコを１分間あたり35c.c.かつ２秒間パ
フの割で、吸い残り長さ８mmまで喫煙した。ター
ル生成量の測定値は7.3mgであつた。また、ニコ
チンと一酸化炭素の生成量は、それぞれ1.0mg、
1.9mgであつた。従つて、CO：タール比は0.26で
あつた。フイルターのタール濾過効率は24％であ
つた。

実施例 ２ 巻紙の空気透過性42コレスタ単位、フイルター
の通気度77％のほかは、実施例１の場合と同じ設
計の紙巻タバコを、実施例１と同じ要領で喫煙し
た。紙巻タバコ１本当りのタール、ニコチン、一
酸化炭素の排出量は、それぞれ5.1mg、0.8mg、1.5
mgであつた。従つて、CO：タール比は0.29であ
つた。

実施例 ３ 次の諸点で実施例１と異なる紙巻タバコを試作
した。すなわち、巻紙は空気透過性45コレスタ単
位で、くえん酸ナトリウムその他の燃焼促進剤を
含有しないものを用いた。また、フイルターは通
気度74％のものとした。使用した葉身部タバコの
うち、40重量％は膨張させたものであつた。この
紙巻タバコ１本当りのタール、ニコチン、一酸化
炭素の排出量は、それぞれ7.6mg、1.1mg、2.8mgで
あつた。従つて、CO：タール比は0.37であつた。

実施例 ４ 巻紙のくえん酸ナトリウムの添加レベルが２重
量％であるとともに多孔チツピングを使用したほ
かは、実施例３のものと同じ紙巻タバコを製作し
た。タール、ニコチン、一酸化炭素の１本当り排
出量は、それぞれ7.2mg、1.06mg、2.3mgであつた。
従つてCO：タール比は0.32であつた。

実施例 ５ タバコロツド長さ64mm、巻紙の空気透過性50コ
レスタ単位、セルロース・アセテートを包装した
フイルター長さ20mmの紙巻タバコを製作した。フ
イルターは機械でレーザー穿孔し、通気度18％の
ものとした。発煙素材に選別葉身部80重量％と乾
燥処理した混合葉柄20重量％とを使用し、葉身
部、葉柄はそれぞれインチ当り30カツト、150カ
ツトでカツトした。ニコチン含有量は2.0重量％
であつた。巻紙には、くえん酸ナトリウムを0.8
重量％レベルで添加した。喫煙の方法は実施例１
の要領に従つた。１本当りタール排出量は17.0mg
であつた。ニコチン、一酸化炭素の生成量は、そ
れぞれ1.43mg、12.4mgであつた。従つて、CO：タ
ール比は0.73であつた。フイルターのタール濾過
効率は34％であつた。

以上述べたように本発明によれば、関連パラメ
ータを変化させることにより、所望に応じて
CO：タール比を低減することができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 巻紙に包装された発煙素材のタバコロツドと
   フイルターとからなる喫煙物品であつて、前記発
   煙素材が少なくとも２重量％のニコチンを含有す
   る葉身部タバコを80乃至100重量％含んでいるこ
   と、前記巻紙は20乃至120コレスタ単位の範囲内
   の空気透過性を有すること、前記フイルターが最
   高35％までのタール濾過効率を有する低効率フイ
   ルターであること、および、前記低効率フイルタ
   ーの外周面に、15乃至90％の通気度を有する通気
   孔が設けられていることを特徴とする喫煙物品。 ２ 前記巻紙が20乃至60コレスタ単位の範囲内の
   空気透過性を有することを特徴とする特許請求の
   範囲第１項記載の喫煙物品。 ３ 前記通気孔が60乃至80％の通気度を有するこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の喫煙
   物品。 ４ 前記発煙素材中のタバコは荒切りしたもので
   あることを特徴とする特許請求の範囲第１項乃至
   第３項のいずれかに記載の喫煙物品。 ５ 前記発煙素材が、荒切りしたタバコ葉柄を含
   んでいることを特徴とする特許請求の範囲第１項
   乃至第４項のいずれかに記載の喫煙物品。 ６ 前記発煙素材は最高50重量％までの膨張タバ
   コを含むことを特徴とする特許請求の範囲第１項
   乃至第５項のいずれかに記載の喫煙物品。 ７ 前記巻紙に燃焼促進剤を添加したことを特徴
   とする特許請求の範囲第１項乃至第６項のいずれ
   かに記載の喫煙物品。 ８ タール生成量に対する一酸化炭素生成量の比
   が0.5乃至0.75であることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載の喫煙物品。