JPH0569624B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は非鉄金属特に種々の合金組成のアルミ
ニウム溶湯を上部耐火物鋳型の一方向より溶湯保
持部へ水平に供給しビレツトを鋳造する縦型半連
続鋳造方法（ホツトトツプ鋳造方式）の改良に関
するもので、特に中空ビレツトを安全に鋳造する
方法を提供するものである。

〔従来の技術とその問題点〕

従来非鉄金属、例えばアルミニウムおよびアル
ミニウム合金などのビレツトの鋳造方式としては
ホツトトツプ鋳造方式およびダイレクトチルキヤ
ステイング方式がある。ホツトトツプ鋳造方式は
特公昭54−42847号などで知られているが、この
ホツトトツプ鋳造方式は、上部耐火物鋳型内に多
量の溶湯を保持し、下部外周の水冷鋳型により凝
固させてビレツトとするものである。

この方式は内部欠陥のない高品質のビレツトを
製造する方法で、主に押出用ビレツトの鋳造に用
いられているが、その形状は中実ビレツトに限ら
れている。

押出用ビレツトは、マンドレル押出による管の
製造では、中空ビレツトを使用した方が歩留りな
どの点で有利であることから中空ビレツトの鋳造
方法の確立が強く要求されている。このため上記
のホツトトツプ鋳造方式と水冷による中子との組
合わせにより中空ビレツトを鋳造する提案もある
（例えば特開昭57−127548号）。しかしこの方式に
おいては上部耐火物鋳型内に多量の溶湯が保持さ
れていることが特徴であり、ビレツトの凝固過程
では中空部分に凝固収縮が生じ中止鋳型は常にビ
レツトに引込まれる力が加わり、中空部内に溶湯
がもれた場合冷却水の上から多量の溶湯が覆い被
さり水蒸気爆発を起こすおそれがある。

一方ダイレクトチルキヤステイング方式により
中空ビレツト鋳造の試みもなされているが、この
方式の場合溶湯面レベル調節のための可動部分の
フローテイングデイストリビユーターやスパウト
などによりアルミニウム溶湯の乱流が引起こさ
れ、不可避的に発生する酸化物が中空ビレツト中
に混入し品質が低下するおそれがあつた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明は上記の問題点について検討の結果、中
空ビレツトを安全に、しかも内部欠陥のない高品
質の中空ビレツトを安定して鋳造できる方法を開
発したものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであ
る。即ち上部に溶湯保持のための耐火物鋳型を持
ち、下部に水冷部分とその中間部に潤滑界面を形
成させるための潤滑油供給口を組合わせた鋳型に
より、溶湯を上部耐火物鋳型の一方向より溶湯保
持部へ水平に供給して冷却する縦型半連続鋳造方
法において、鋳型の中心に、水冷しなくかつ下方
が小径のテーパーを持つた中子鋳型を上部耐火物
鋳型に固定して配置し、該中子鋳型の先端を、溶
湯が鋳型外周部からの冷却水による熱抽出により
進行する凝固先端部より充分に長くして、中子先
端によりビレツト内径部に相当する凝固先端部を
拘束し、徐冷することにより中空部を形成させる
ことを特徴とする中空ビレツトの縦型半連続鋳造
方法である。

以下に本発明を図面を用いて説明する。

第１図においてアルミニウム合金溶湯１は図示
しない溶解保持炉、溶湯フイルターラインを経由
して鋳造トラフ２に導かれる。鋳造トラフは上部
耐火物鋳型３内の溶湯保持部４に直接に接続さ
れ、溶湯はフローテイングデイストリビユーター
やスパウトなどの湯面レベル調節のための可動部
分なしに、直接に上部耐火物鋳型の溶湯保持部流
入口５より水平に供給される。上部耐火物鋳型内
に供給された溶湯は凝固の進行とともに逐時下降
し、上部耐火物鋳型下部の水冷金属部分６に接触
することにより外側より凝固殻７の形成が開始さ
れ、それを厚化しつつ水冷金属部分下端に引出さ
れ、更に冷却水８の直接冷却によつて凝固が進行
する。凝固開始点は常に溶湯保持部（上部耐火物
鋳型）の下部であるために、上部耐火物鋳型３と
水冷金属部分６の間には潤滑界面を形成させるた
めの潤滑供給口９が必要とされる。中空部分を形
成するための水冷しない中子鋳型１０は、サポー
トバー１２により鋳型の中央部に位置するように
上部耐火物鋳型３に固定されるが、外側よりの直
接冷却により進行する凝固先端より充分に長く、
水冷しない中子鋳型の存在により、ビレツトの内
径となる中央部の存在により、ビレツトの内径と
なる中央部の凝固殻は拘束され、又徐冷されて中
空部分１３が形成され、中空ビレツト１４が製造
できる。本発明において使用される中子鋳型の形
状は下方が小径となるようなテーパーを持つもの
で、材質としてはマリナイト（商品名：ジヨーン
ズマンビル社製）、ルミボード−Ｌ（商品名：ニチ
アス社製）、レセパル（商品名：朝日石綿社製）
などのような耐火物あるいは黒鉛、窒化ケイ素、
窒化ボロンなどが使用できる。水冷しない中子鋳
型の構造は第１図に示すように耐火物あるいは黒
鉛などの一体構造としてもよく、また第２図に示
すように分割型としてもよい。即ち上部に耐火物
１０Ａ、下部に黒鉛あるいは窒化ケイ素、炭化ケ
イ素、窒化ボロンなど１０Ｂを用いる二重構造と
してもよい。更に中子鋳型は上記に限定されるこ
となく必要に応じて三重以上の構造の分割型とし
てもよい。しかしながら少なくとも金属凝固部付
近から先端は、熱伝導性と潤滑性の優れた黒鉛等
の材質が望ましい。本発明の目的とする溶湯レベ
ル調節機構を持たないホツトトツプ鋳造方法によ
る中空ビレツト鋳造のためには、上部に耐火物、
下部に黒鉛などを組合わせた構造のものの方が、
溶湯レベル変動の影響を受け難く、更に下部の黒
鉛などの潤滑作用により鋳肌が美麗に製造でき
る。

上記の黒鉛などは、「むく」のものでなくとも
よく中空、あるいは外張りとすることにより黒鉛
を節約でき経済的である他熱容量が小さくなるた
めにビレツトの内径が均一に製造できる効果があ
る。

更に本発明においては上記の水冷しない中止鋳
型により中空ビレツトの内面を形成した後、中子
鋳型の下方に別に水冷装置を設けてビレツト内面
を冷却することも可能である。

本発明は水冷のごとく特別の冷却を行わない中
子鋳型をズンプ（凝固先端）より更に長く突き出
して外側からの凝固進行に対して例えば黒鉛部先
端によりビレツト内径部に相当する凝固先端部を
拘束し、徐冷して、中空部分を形成させることを
最大の特徴とするもので、中止鋳型は水冷による
冷却を行わなく、徐冷するためホロー内側の鋳肌
が平滑で美麗なビレツトが鋳造できる。また万一
ホロー内で湯漏れが発生しても中子には水を使用
しないため水蒸気爆発は起らず安全上の問題がな
い。最終凝固部がホロー内側となるため、凝固収
縮巣やボイドなどの欠陥が発生したとしても内側
にのみ発生するので製品としての価値低下が少な
い。更に上部耐火物鋳型に溶湯を多量に保持する
ことができるのでポツト内溶湯レベルの変動が少
ないなど多くのメリツトを有するものである。

しかして本発明の実施に当つて上記の中子鋳型
の先端は、溶湯のビレツト内径部に相当する凝固
先端部より30mm以上長くするもので、これ未満で
あると湯漏れのおそれがあり、また余り長いと経
済的に不利である。またビレツトの降下速度、冷
却水量、溶湯温度などの鋳造条件もビレツトの品
質に関係するので調整が必要であり、溶湯の種類
によつて若干異なるがビレツトの降下速度は50
mm／min〜120mm／min、冷却水量150／min〜
350／min、溶湯温度は680℃〜730℃が適当で
ある。

また本発明の実施に際しては、第３図に示すよ
うに、本発明の鋳造装置を多数配置しておき（図
示はNo.１〜No.４までの４台）湯溜１５を介して桶
１６より溶湯を上部耐火物鋳型の一方向より溶湯
保持部へ供給して同時に多数本のビレツトを鋳造
できる。

〔実施例〕

以下に本発明の一実施例について説明する。

実施例 １ 本実施例はJIS 6061合金の外径410mmφ、内径
120mmφの中空ビレツトを鋳造した場合を示す。

使用した第１図の装置構成を説明すると、銅合
金製の内径420mm、鋳型長さ75mmで、上端より1.0
mm下部に潤滑油供給のためのスリツトを持つ外側
水冷鋳型の上部に、溶湯保持のためにマリナイト
の耐火物鋳型３を積重ねた。この耐火物鋳型に
は、その一方向に、水平よりの溶湯流入経路５を
設けてある。水冷しない中子鋳型１０は黒鉛製の
一体構造で、全長400mm、テーパー角度5.5°のも
のを、耐火物鋳型３の上部に、サポートバー１２
にて支持、固定した。

鋳造条件は、降下速度70mm／min、冷却水量
260／min、溶湯温度685℃とした。

実施例１によると、上部耐火物鋳型に多量の溶
湯が存在しているにもかかわらず、水冷中子鋳型
を使用しないことにより、ホツトトツプ鋳造方法
による中空ビレツトの鋳造が安全にしかも比較的
容易に行えた。

実施例 ２ 実施例２においては、JIS 6063合金の外径350
mmφ、内径120mmφの中空ビレツトを鋳造した場
合を示す。

使用した装置構成は、第２図に示すものでアル
ミ合金製の内径360mm、鋳型長さ75mmの外側水冷
鋳型と、中子は分割中子であり、上部がマリナイ
ト製１０Ａで、下降が黒鉛製１０Ｂのものを組合
せたものである。

鋳造条件は、下降速度80mm／min、冷却水量
230／min、溶湯温度685℃とした。

実施例２によると、湯面レベル調節のための可
動部分を介さずに水平に供給するホツトトツプ鋳
造法固有の不可避的な溶湯レベル変動の影響を受
けずに、中空ビレツトの鋳造が比較的容易に安全
に行えるとともに、得られたビレツトを使用した
押出管を鏡面加工したところ、ビレツト内部に酸
化物や欠陥等の混入がなく、一般的な中実ホツト
トツプ鋳造ビレツトと同一の品質を有することが
確認された。

実施例 ３ 実施例３においては、JIS 5052合金の外径410
mmφ、内径220mmφの中空ビレツトを鋳造した場
合を示す。

使用した装置構成は第２図に示すアルミ合金製
の内径420mm、鋳型長さ75mmの外側水冷鋳型と、
中子は分割中子であり、上部がマリナイト製１０
Ａで、下降が窒化ケイ素製１０Ｂのものを組合せ
たものである。

鋳造条件は、降下速度100mm／min、冷却水量
200／min、溶湯温度680℃とした。

実施例３において、ホツトトツプ鋳造における
中空ビレツトの鋳造が容易に行えるとともに、定
常凝固部においては中空部の内面が非常に平滑な
中空ビレツトが得られた。

〔発明の効果〕

本発明によれば、溶湯レベル調節のための可動
部分がなく、水平に溶湯を供給するホツトトツプ
鋳造法により、中空ビレツトを安全にしかも内部
欠陥のない高品質の中空ビレツトを安定して製造
できるもので工業上極めて顕著な効果を発揮する
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明に係る鋳造装置の
一具体例を示す縦断面図、第３図は本発明の鋳造
例を示す模式図である。 １……溶湯、２……鋳造トラフ、３……上部耐
火物鋳型、４……溶湯保持部、５……溶湯流入
口、６……水冷金属部分、７……外側からの凝固
殻の形成開始点、８……冷却水、１０……中子鋳
型、１４……中空ビレツト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上部に溶湯保持のための耐火物鋳型を持ち、
   下部に水冷部分とその中間部に潤滑界面を形成さ
   せるための潤滑油供給口を組合わせた鋳型によ
   り、溶湯を上部耐火物鋳型の一方向より溶湯保持
   部へ水平に供給して冷却する縦型半連続鋳造方法
   において、鋳型の中心に、水冷しなくかつ下方が
   小径のテーパーを持つた中子鋳型を上部耐火物鋳
   型に固定して配置し、該中子鋳型の先端を、溶湯
   が鋳型外周部からの冷却水による熱抽出により進
   行する凝固先端部より充分に長くして、中子先端
   によりビレツト内径部に相当する凝固先端部を拘
   束し、徐冷することにより中空部を形成させるこ
   とを特徴とする中空ビレツトの縦型半連続鋳造方
   法。