JPH0569104A - アルミニウムホツトチヤンバダイカスト機の射出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミニウム溶湯の導通穴を無くして経路を
最短になるように構成し、ピストンを構成するプランジ
ャとシリンダスリーブの案内部の縦横比を十分に取った
構造簡単なアルミニウムホットチャンバダイカスト機の
射出装置を提供する。 【構成】 射出装置は主にシリンダスリーブとプランジ
ャとから構成され、シリンダスリーブの出口はノズルを
介して直に金型装置に接続するとともに直角方向に連結
管を介して溶湯保温炉に接続するように配設され、ダイ
カスト機の固定ダイプレートに斜め下方に傾斜して設置
されるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、アルミニウム溶湯を
溶湯保温炉からダイカストマシンの金型装置に射出する
ホットチャンバ形ダイカストマシンの溶湯射出装置に係
るもので、特に従来方式のものに比べ構造の単純化，品
質の安定化，操作および保守の容易さの向上を図ったも
のである。

【０００２】

【従来の技術】以下、図面を参照して従来のアルミニウ
ムホットチャンバダイカスト機の射出装置の一例を説明
する。図３は従来の射出装置の構成を示す断面図で、中
央上部に配設された射出シリンダ２６のロッド２０をカ
ップリング２１を介してプランジャ２２を駆動するよう
に設けられている。そして、上下に摺動するプランジャ
２２に嵌合するシリンダ２３が垂直に設けられ、ポンプ
装置を形成している。このシリンダ２３には、右側の溶
湯保温炉２９から給湯管２８を介してアルミニウム溶湯
が供給される。ブラケット１６は、シリンダ２３の底部
から左側上部に至るグースネック状の溶湯通路１８が形
成され、ノズル１４を介してダイカスト機の固定ダイプ
レート１１に取り付けられた金型装置１２に接続され、
射出シリンダ２６の駆動によりプランジャ２２を下降し
てシリンダ２３内のアルミニウム溶湯を金型装置１２へ
射出するように構成されている。

【０００３】このように構成されたアルミニウム合金用
の射出装置では、アルミニウム溶湯が金属を極めてよく
溶融侵食するため、金属製の射出装置本体のブラケット
１６を溶湯保温炉２９内に浸漬して配置することができ
ず、給湯管２８やノズル１４により接続した溶湯保温炉
２９に外付配置された横並びの構成となっている。ま
た、射出装置のブラケット１６内のシリンダ２３上部の
溶湯溜りやシリンダ２３をアルミニウム溶湯に耐食性の
あるセラミックス材で形成し、アルミニウム溶湯が通る
グースネック状の溶湯通路１８，給湯管２８およびノズ
ル１４などの導通穴を耐食性のセラミックス材あるいは
黒鉛材を鋳ぐるみして形成している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来のア
ルミニウムホットチャンバダイカスト機の射出装置は、
いずれもプランジャを射出シリンダにより垂直下方に押
すことによりアルミニウム溶湯を射出するように構成さ
れており、射出装置本体のブラケット内部のアルミニウ
ム溶湯の通路が複雑かつ長尺となり、この溶湯通路の製
造が極めて困難である。また、稼動中の溶湯詰まりや溶
湯洩れ等の各種の不具合を発生し易い欠点があった。

【０００５】さらに、プランジャによる溶湯の射出動作
は、高温下でかつ高圧となるため、従来の射出シリンダ
でプランジャを垂直下方に押す方式のものでは、プラン
ジャガイド部，プランジャと射出シリンダロッド間のカ
ップリング部等でこじれや座屈が起こりやすく、芯合わ
せ装置等に工夫をこらす必要があり、その製造，組立て
やメンテナンスにおいても不具合が存在していた。

【０００６】その上、アルミニウム溶湯に侵食されにく
いセラミックス材等を多く使用している関係上、加熱装
置の不具合やメンテナンスにおいて、アルミニウム合金
が凝固しないうちにセラミックス部材を取り出すことが
必要になり、従来の装置ではこれらに即座に対応するこ
とが困難である等の欠点があった。

【０００７】この発明は、このような点に鑑みてなされ
たもので、上述した先行技術の欠点を改良し、加圧した
アルミニウム溶湯の導通穴を無くして経路を最短になる
ように構成し、ピストンを構成するプランジャとシリン
ダスリーブの案内部の縦横比を十分に取った射出装置を
構成する。また、射出装置へ供給されたアルミニウム溶
湯の大気との接触面をできるだけ小さくし、アルミニウ
ム溶湯の凝固層の生成を防ぐようにする。更に、射出装
置の部品点数をできるかぎり少なくして当接面を少なく
し、活性なアルミニウム溶湯による侵食をできるだけ防
止する。そして、射出装置の支持方法を単純化した射出
装置とする。その上、射出装置から容易にアルミニウム
溶湯が抜けるように構成し、射出装置の組み立て，分解
を容易にし、メンテナンスの容易な新規なホットチャン
バダイカストマシンの射出装置を提供することを目的と
する。

【０００８】

【課題を解決するための手段および作用】この発明は、
シリンダスリーブの軸方向を水平に対して下方に傾斜さ
せ、アルミニウム溶湯の射出の向きを下から上向きに
し、シリンダスリーブの吐出口を直接ノズルに当接する
ことにより、従来方式の導通穴を無くすとともに、ピス
トンを構成するプランジャとシリンダスリーブの案内部
の長さを十分にとることが可能になった。また、溶湯保
温炉から射出装置へ供給されたアルミニウム溶湯が大気
と接触する可能性のあるアルミニウム溶湯液面表面をノ
ズルの吐出口近くの小径穴部１か所のみにしている。さ
らに、連結管とノズルとの間で、アルミニウム溶湯の経
路に介在する部品はシリンダスリーブとプランジャのみ
とし、これらの当接面は連結管両端の球面座とノズル両
端の球面座のみとし液洩れを防止するようにしている。

【０００９】また、シリンダスリーブの外円筒面をテー
パとし、ヒータを内蔵した断熱材をテーパ面に挟んでク
ッション効果を持たせ、内円筒面をテーパとした金属製
のシリンダブラケットを固定ダイプレートひいては金型
装置へ引き付ける方向にバネで緊締することによりシリ
ンダスリーブを補強するとともに、ノズルをパッキンシ
ールを介して当接しただけで接続できる。さらに、金型
と射出装置、溶湯保温炉と射出装置との間に発生する振
動や位置ずれによる不具合を避けるため、ノズル両端と
連結管両端は球面座としている。そして、分解，保守な
どの理由で、射出装置からアルミニウム溶湯を抜く必要
が生じた場合には、プランジャを後退させた状態で溶湯
保温炉側でアルミニウム溶湯を減らすことにより、シリ
ンダスリーブの溶湯流入穴，連結管を通じてアルミニウ
ム溶湯を溶湯保温炉側に戻し、射出装置に残存するアル
ミニウム溶湯をわずかとし、常温に冷えてアルミニウム
溶湯が凝固しても差し支えないようにしている。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図１は実施例のアルミニウムホットチャンバダ
イカスト機の射出装置の中心軸に沿った断面図、図２は
その上面図である。即ち、溶湯保温炉２９のアルミニウ
ム溶湯３０は、連結管３１を通して直角方向の横方向か
らシリンダスリーブ３２へ溶湯流入穴３２ａを通して供
給されるように配置されている。

【００１１】上記シリンダスリーブ３２はファインセラ
ミックス材で形成されており、外面形状がテーパ面に形
成され、この外面にヒータ３３を内蔵した断熱材３４を
挟んでクッション効果を持たせ、内面にシリンダスリー
ブ３２の外形と同じテーパ面を形成した金属製のシリン
ダブラケット３５で支持させる。また、このシリンダス
リーブ３２は、図１に示されるように水平に対して傾斜
し、射出用油圧シリンダ側が下がった状態に配設されて
いる。

【００１２】サポートブラケット３６とシリンダブラケ
ット３５との間には皿バネ３７が皿バネ取付ボルト３８
によりサポートブラケット３６に固定されており、固定
ダイプレート１１ひいては金型装置１２へ引きつける方
向に皿バネ３７で緊締することによりシリンダスリーブ
３２を補強するとともに、ノズル１４の両端をパッキン
シール介して当接するだけでアルミニウム溶湯の液洩れ
を防止するようにしている。

【００１３】上記シリンダスリーブ３２には複数個のフ
ァインセラミックス製のピストンリング４１を外周溝に
嵌められたファインセラミックス製のプランジャ４０が
嵌合し、カップリング４２を介して射出用油圧シリンダ
４３に接続され、射出用油圧シリンダ４３の駆動により
シリンダスリーブ３２内のアルミニウム溶湯をノズル１
４を介して金型装置１２の給湯口１２ａへ上向きに射出
するようになっている。

【００１４】上記ノズル１４および連絡管３１の両端は
共に凸球形状に形成されている。そして、金型装置１２
の給湯口１２ａ，シリンダスリーブ３２の溶湯出口３２
ｂ，シリンダスリーブ３２の溶湯流入穴３２ａおよび溶
湯保温炉２９の溶湯出口２９ａにはそれぞれ凹球面座４
４，４５，４６，４７が形成され、これらの間をシール
パッキンを介して接合しただけで液密構成となるように
している。そして、このノズル１４および連絡管３１の
外周にはヒータ４８，４９を内蔵した断熱材５０，５１
で覆い、この中を流れるアルミニウム溶湯を保温するよ
うに構成している。これらのノズル１４および連絡管３
１の材料としては窒化ケイ素セラミックスが望ましい
が、連絡管３１の方は低圧なので、例えば炭素繊維コア
を鋳ぐるみした管などであってもよい。また、連絡管３
１は２本のコイル状スプリング３９によりシリンダスリ
ーブ３２の溶湯流入穴３２ａの端部の球面座４６へ押当
力が加えられ、液漏れを防止するようになっている。

【００１５】次に、このように構成されたアルミニウム
ホットチャンバダイカスト機の射出装置の射出動作を説
明する。射出用油圧シリンダ４３のポートに圧油を送
り、その作動ロッドを引っ込めると、カップリング４２
で連結されたプランジャ４０が後退し、溶湯保温炉２９
内のアルミニウム溶湯３０は大気圧により溶湯保温炉２
９から連結管３１を経てシリンダスリーブ３２の溶湯流
入穴３２ａを通して流入し、シリンダスリーブ３２内お
よびノズル１４内に残存溶湯とともに充填される。その
際、溶湯の液面レベルが図１に示す溶湯充填時液面上限
Ａと溶湯充填時液面下限Ｂの範囲内にあるように溶湯保
温炉２９内の溶湯３０の液面レベルを維持しておく。

【００１６】大気に接する可能性のある溶湯の液表面
は、ノズル１４の穴径分であり、この面積は小さい。連
結管３１，シリンダスリーブ３２，ノズル１４はいずれ
もヒータ４９，３３，４８で加熱保温されているので、
アルミニウム溶湯は凝固することなく流動性を保ってい
る。

【００１７】次に、射出用油圧シリンダ４３のポートに
圧油を送り、その作動ロッドを突出させてプランジャ４
０を前進させると、シリンダスリーブ３２内およびノズ
ル１４内のアルミニウム溶湯は金型装置１２のキャビテ
ィ内へ射出される。射出後、射出用油圧シリンダ４３の
ポートに圧油を送り、その作動ロッドを再び引っ込め
る。この工程を自動的に繰り返すことになる。

【００１８】ノズル１４を取り外すときには、溶湯保温
炉２９内のアルミニウム溶湯３０を減らして射出装置内
のアルミニウム溶湯を溶湯保温炉２９内へ戻し、皿バネ
圧縮用油圧シリンダ５３のポートに圧油を送り、そのロ
ッドを突出させ、ロッド先端で皿バネ取付ボルト３８の
頭部を押し、皿バネを圧縮してサポートブラケット３６
に対しシリンダブラケット３５を右側に移動させること
によりノズル１４の緊締力を解放し、さらに、シリンダ
スリーブ３２と金型装置１２間をノズルを取り外すに十
分な距離だけ引き離すことができ、容易にノズル１４を
取り外すことができる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したとおり、この発明のホット
チャンバダイカストマシンの射出ポンプは、次に列挙す
る優れた作用・効果を奏する。

【００２０】加圧したアルミニウム溶湯の経路が最短
に構成されているため、アルミニウム溶湯による侵食や
溶湯漏れが起きず、また、ホットチャンバ方式の利点が
より生かされたものとなる。

【００２１】シリンダスリーブとプランジャの案内の
縦横比が十分あるため、プランジャの往復運動が円滑に
できる。

【００２２】充填された溶湯の大気との接触面積が小
さいため、凝固層の生成が少なく鋳造品の品質が良い。

【００２３】アルミニウム溶湯に接する部品の点数が
少なく、当接面も少ないため、アルミニウム溶湯による
侵食や溶湯漏れが起こりにくい。

【００２４】射出装置がシリンダスリーブとプランジ
ャとからなる極めて単純な構造で、ダイカスト機本体か
らの支持方法が簡単になる。

【００２９】射出装置から容易にアルミニウム溶湯を
抜き出せるため、保守が極めて楽になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例のアルミニウムホットチャンバ
ダイカストマシンの射出装置の構成を示す側面図（中心
軸に沿った断面図）、

【図２】「図１」の上面図（中心軸に沿った断面図）、

【図３】従来例のアルミニウムホットチャンバダイカス
トマシンの射出装置の構成を示す断面図である。

【符号の説明】

１１ 固定ダイプレート １２，１３ 金型装置 １４ ノズル １５ 移動ダイプレート ２９ 溶湯保温炉 ３０ アルミニウム溶湯 ３１ 連結管 ３２ シリンダスリーブ ３３，４８，４９ ヒータ ３４，５０，５１ 断熱材 ３５ シリンダブラケット ３６ サポートブラケット ３７ 皿ばね ３８ 皿ばね取付ボルト ４０ プランジャ ４１ ピストンリング ４２ カップリング ４３ 射出用油圧シリンダ ５３ 皿バネ圧縮用油圧シリンダ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 射出装置本体は主にシリンダスリーブお
   よびプランジャとから構成され、上記シリンダスリーブ
   の出口はノズルを介して直に金型装置に接続するととも
   に直角方向に連結管を介して溶湯保温炉に接続するよう
   に配設され、ダイカスト機の固定ダイプレートに斜め下
   方に傾斜して設置されるように構成されていることを特
   徴とするアルミニウムホットチャンバダイカスト機の射
   出装置。
2. 【請求項２】 外面の大部分がテーパで内面の大部分が
   円筒形状をなし、内外面を貫通するアルミニウム合金の
   溶湯流入穴が設けられ、射出穴先端がパッキンシールを
   介して両端球面座のノズルに当接するフアインセラミッ
   クス製のシリンダスリーブと、このシリンダスリーブ内
   部で摺動し、複数個のファインセラミックス製のピスト
   ンリングが外周溝に嵌められたファインセラミックス製
   のプランジャと、射出用油圧シリンダを支持し、金型の
   方向へバネ力で押し付けられ、内面の一部がテーパの金
   属製のシリンダブラケットと、シリンダスリーブ中心軸
   と直角方向からシリンダスリーブに溶湯を導く両端球面
   座の連結管とで構成したアルミニウム合金の溶湯を射出
   するホットチャンバ式ダイカスト機の射出装置。
3. 【請求項３】シリンダスリーブの射出穴先端部の方を後
   端部よりも高い位置とし、シリンダスリーブの中心軸を
   水平に対して傾斜させた構造の請求項１および請求項２
   記載のホットチャンバ式ダイカスト機の射出装置。
4. 【請求項４】 連結管の外周とノズルの外周を電熱ヒー
   タと断熱材でくるみ、シリンダスリーブのテーパ外面と
   シリンダブラケットのテーパ内面との間に挟む断熱材の
   内部に電熱ヒータを埋め込み、アルミニウム合金の溶湯
   を常時保温するようにした構造の請求項１ないし請求項
   ３記載のホットチャンバ式ダイカスト機の射出装置。