JPH0565668A - プレス加工性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
プレス加工性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法Info
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- JPH0565668A JPH0565668A JP22569091A JP22569091A JPH0565668A JP H0565668 A JPH0565668 A JP H0565668A JP 22569091 A JP22569091 A JP 22569091A JP 22569091 A JP22569091 A JP 22569091A JP H0565668 A JPH0565668 A JP H0565668A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 アルミニウム合金板の摺動性を向上させ、か
つ、リン酸塩処理性を損うことなくプレス加工性が著し
く改善されたアルミニウム合金板およびその製造方法を
提供する。 【構成】 表面に無機化合物が存在するアルミニウム合
金板であって、その摩擦係数が前記無機化合物を有しな
い場合の摩擦係数の80%以下であり、かつ、水洗ある
いはアルカリ脱脂による前記無機化合物の溶解残渣が1
mg/m2 未満であるプレス加工性に優れたアルミニウム合
金板。このアルミニウム合金板は、0.1wt%以上の
アルカリ金属のほう酸塩を含有する水溶液にアルミニウ
ム合金板を接触させた後、60〜400℃の温度範囲で
加熱乾燥する。
つ、リン酸塩処理性を損うことなくプレス加工性が著し
く改善されたアルミニウム合金板およびその製造方法を
提供する。 【構成】 表面に無機化合物が存在するアルミニウム合
金板であって、その摩擦係数が前記無機化合物を有しな
い場合の摩擦係数の80%以下であり、かつ、水洗ある
いはアルカリ脱脂による前記無機化合物の溶解残渣が1
mg/m2 未満であるプレス加工性に優れたアルミニウム合
金板。このアルミニウム合金板は、0.1wt%以上の
アルカリ金属のほう酸塩を含有する水溶液にアルミニウ
ム合金板を接触させた後、60〜400℃の温度範囲で
加熱乾燥する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として自動車用軽量
化素材として使用されるアルミニウム合金板、特にプレ
ス成形性に優れたアルミニウム板またはアルミニウム合
金板に関するものである。
化素材として使用されるアルミニウム合金板、特にプレ
ス成形性に優れたアルミニウム板またはアルミニウム合
金板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】省エネルギー、CO2 による地球環境間
題等の観点から自動車の軽量化が積極的に推進されてい
るが、その中でも材料の信頼性、加工性、リサイクル利
用等の面でアルミニウムあるいはアルミニウム合金が脚
光を浴び、近年になって多用されつつある。
題等の観点から自動車の軽量化が積極的に推進されてい
るが、その中でも材料の信頼性、加工性、リサイクル利
用等の面でアルミニウムあるいはアルミニウム合金が脚
光を浴び、近年になって多用されつつある。
【0003】しかしながら、アルミニウム合金板は従来
多用されている鋼板に比べ特性が異なるため、その自動
車車体への適用に際し多くの問題を抱えている。その代
表がプレス成形といえる。鋼板の代表としてSPCCを
例にとると伸び45%、r値1.4で限界絞りLDRは
2.15に達するが、一方アルミニウム合金板はJIS
A5182を例にとると伸び30%、r値0.7でL
DRは1.8にしか達しない。このようにアルミニウム
合金板の成形性が著しく劣るため、自動車車体への適用
には大きな制約があった。すなわち、アルミニウム合金
板の車体パネルへの適用例としてはフードのような軽加
工の部材に限定され、より複雑でかつ強加工を伴う部材
への適用は不可能であった。
多用されている鋼板に比べ特性が異なるため、その自動
車車体への適用に際し多くの問題を抱えている。その代
表がプレス成形といえる。鋼板の代表としてSPCCを
例にとると伸び45%、r値1.4で限界絞りLDRは
2.15に達するが、一方アルミニウム合金板はJIS
A5182を例にとると伸び30%、r値0.7でL
DRは1.8にしか達しない。このようにアルミニウム
合金板の成形性が著しく劣るため、自動車車体への適用
には大きな制約があった。すなわち、アルミニウム合金
板の車体パネルへの適用例としてはフードのような軽加
工の部材に限定され、より複雑でかつ強加工を伴う部材
への適用は不可能であった。
【0004】これらアルミニウム合金板のプレス加工性
を調査したところ、アルミニウム合金板は、冷延鋼板に
比べてプレス加工時の金型とアルミニウム合金板表面と
の摺動抵抗が大きく、このため、従来使用されてきた冷
延鋼板に比べてプレス成形性が劣るということが明らか
になった。
を調査したところ、アルミニウム合金板は、冷延鋼板に
比べてプレス加工時の金型とアルミニウム合金板表面と
の摺動抵抗が大きく、このため、従来使用されてきた冷
延鋼板に比べてプレス成形性が劣るということが明らか
になった。
【0005】この摺動抵抗が大であると、プレス加工時
にアルミニウム合金板を固定するためのプレス金型のビ
ード部などの摺動を激しく受ける箇所では、アルミニウ
ム合金板のスムーズな流入が妨げられ、極端な場合、ア
ルミニウム合金板が破断することがある。プレス加工に
おける適正クッション圧(アルミニウム合金板にシワが
発生せずかつ破断が生じないクッション圧の範囲)をア
ルミニウム合金板と冷延鋼板とで比較すると、アルミニ
ウム合金板の適正クッション圧は冷延鋼板に比べて著し
く範囲が狭いために、生産性が悪くなるので、アルミニ
ウム合金板の摺動性の改善が強く望まれている。
にアルミニウム合金板を固定するためのプレス金型のビ
ード部などの摺動を激しく受ける箇所では、アルミニウ
ム合金板のスムーズな流入が妨げられ、極端な場合、ア
ルミニウム合金板が破断することがある。プレス加工に
おける適正クッション圧(アルミニウム合金板にシワが
発生せずかつ破断が生じないクッション圧の範囲)をア
ルミニウム合金板と冷延鋼板とで比較すると、アルミニ
ウム合金板の適正クッション圧は冷延鋼板に比べて著し
く範囲が狭いために、生産性が悪くなるので、アルミニ
ウム合金板の摺動性の改善が強く望まれている。
【0006】アルミニウム合金板の摺動性が悪いのは、
アルミニウムおよびアルミニウム合金が低融点で、しか
も、他の金属、特にプレス金型に多様されている鋳鉄な
どとの親和力が強く、金型に凝着しやすい性質を有する
ことに起因すると考えられる。
アルミニウムおよびアルミニウム合金が低融点で、しか
も、他の金属、特にプレス金型に多様されている鋳鉄な
どとの親和力が強く、金型に凝着しやすい性質を有する
ことに起因すると考えられる。
【0007】プレス成形時の摺動性は、金型と直接接触
するアルミニウム合金板表面の物性により大きく影響を
受けるので、アルミニウム合金板表層を、例えば有機高
分子皮膜などで被覆し、アルミニウム合金板表層と金型
との直接接触を避け、潤滑性を与えることにより摺動性
を改善する試みがなされている。
するアルミニウム合金板表面の物性により大きく影響を
受けるので、アルミニウム合金板表層を、例えば有機高
分子皮膜などで被覆し、アルミニウム合金板表層と金型
との直接接触を避け、潤滑性を与えることにより摺動性
を改善する試みがなされている。
【0008】アルミニウム合金板表面の摺動性を良好に
することでその加工性を向上せしめるものとしては、所
定の有機高分子皮膜をアルミニウム合金板表面に形成さ
せる技術がある。さらに、潤滑処理アルミニウム合金板
としては、例えば金属石鹸、高級脂肪酸ワックスなどを
主成分とした皮膜で表面を被覆したものなどが提案され
ている。
することでその加工性を向上せしめるものとしては、所
定の有機高分子皮膜をアルミニウム合金板表面に形成さ
せる技術がある。さらに、潤滑処理アルミニウム合金板
としては、例えば金属石鹸、高級脂肪酸ワックスなどを
主成分とした皮膜で表面を被覆したものなどが提案され
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしこれらの有機系
皮膜を有するアルミニウム合金板には以下のような問題
点がある。
皮膜を有するアルミニウム合金板には以下のような問題
点がある。
【0010】通常アルミニウム合金板を自動車用として
使用する場合は、プレス成形後塗装前処理としてリン酸
塩処理を施すが、前記有機系皮膜が、リン酸塩処理の前
処理のアルカリ脱脂で完全に溶解除去されないまま、ア
ルミニウム合金板上に一部残存する。このためリン酸塩
処理時の正常なアルミニウム合金板のリン酸塩結晶の生
成が阻害される。この結果、塗膜の密着性が低下し、こ
れが、塗装後の耐食性を劣化させる要因となる。
使用する場合は、プレス成形後塗装前処理としてリン酸
塩処理を施すが、前記有機系皮膜が、リン酸塩処理の前
処理のアルカリ脱脂で完全に溶解除去されないまま、ア
ルミニウム合金板上に一部残存する。このためリン酸塩
処理時の正常なアルミニウム合金板のリン酸塩結晶の生
成が阻害される。この結果、塗膜の密着性が低下し、こ
れが、塗装後の耐食性を劣化させる要因となる。
【0011】特開平01−172578号には、分野は
異なるが、亜鉛系めっき鋼板上にホウ素、リン、ケイ
素、セレン、アンチモンおよびテルルから選ばれた1種
または2種以上の半金属の酸化物の無水アルカリ金属塩
を生成させることによりプレス成形時の摺動性を向上さ
せるという技術が開示されている。しかし、この技術は
前記半金属の酸化物のアルカリ金属塩が無水結晶である
ため、その溶解性は含水結晶の溶解性に比べて著しく劣
るため、リン酸塩処理の前処理のアルカリ脱脂で皮膜が
完全に溶解除去しきれずに一部アルミニウム合金板上に
残存し、前述した問題点が生じていた。
異なるが、亜鉛系めっき鋼板上にホウ素、リン、ケイ
素、セレン、アンチモンおよびテルルから選ばれた1種
または2種以上の半金属の酸化物の無水アルカリ金属塩
を生成させることによりプレス成形時の摺動性を向上さ
せるという技術が開示されている。しかし、この技術は
前記半金属の酸化物のアルカリ金属塩が無水結晶である
ため、その溶解性は含水結晶の溶解性に比べて著しく劣
るため、リン酸塩処理の前処理のアルカリ脱脂で皮膜が
完全に溶解除去しきれずに一部アルミニウム合金板上に
残存し、前述した問題点が生じていた。
【0012】本発明は、アルミニウム合金板の摺動性を
向上させ、かつ、リン酸塩処理性を損なうことなくプレ
ス加工性が著しく改善されたアルミニウム合金板および
その製造方法を提供することを目的とする。
向上させ、かつ、リン酸塩処理性を損なうことなくプレ
ス加工性が著しく改善されたアルミニウム合金板および
その製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルミニ
ウム合金板の摩擦係数とプレス加工性との関係について
検討した。その結果、プレス加工性に優れる通常の冷延
鋼板では、摩擦係数は0.10程度であるのに対し、ア
ルミニウム合金板では0.15以上の値を示すことがあ
ることを知見した。なお、本発明における摩擦係数は、
実施例のところで述べるドロービード引き抜き試験にお
いて、塗油状態で測定した値である。
ウム合金板の摩擦係数とプレス加工性との関係について
検討した。その結果、プレス加工性に優れる通常の冷延
鋼板では、摩擦係数は0.10程度であるのに対し、ア
ルミニウム合金板では0.15以上の値を示すことがあ
ることを知見した。なお、本発明における摩擦係数は、
実施例のところで述べるドロービード引き抜き試験にお
いて、塗油状態で測定した値である。
【0014】このように、アルミニウム合金板が高い摩
擦係数を有するのは、アルミニウム合金が低融点で、し
かも、他金属、特にプレス金型に多用されている鋳鉄な
どとの親和力が強く、金型に凝着しやすい性質を有する
ことに起因すると考えられた。そして、プレス成形時の
摺動性に影響を与えるのは、金型と直接接触するアルミ
ニウム合金板表面の物性であるため、アルミニウム合金
板表面と金型との直接接触を避け、潤滑性を与えること
で、摺動性は改善されると考えた。
擦係数を有するのは、アルミニウム合金が低融点で、し
かも、他金属、特にプレス金型に多用されている鋳鉄な
どとの親和力が強く、金型に凝着しやすい性質を有する
ことに起因すると考えられた。そして、プレス成形時の
摺動性に影響を与えるのは、金型と直接接触するアルミ
ニウム合金板表面の物性であるため、アルミニウム合金
板表面と金型との直接接触を避け、潤滑性を与えること
で、摺動性は改善されると考えた。
【0015】本発明者らは、さらに検討を続け、アルミ
ニウム合金板表面に特定の無機化合物を存在させ、その
際の摩擦係数を、アルミニウム合金板表面に何もない状
態での摩擦係数の80%以下、望ましくは摩擦係数の値
にして0.12以下とすることにより、先述のような実
プレス上の問題点を解決することができることを見出し
た。
ニウム合金板表面に特定の無機化合物を存在させ、その
際の摩擦係数を、アルミニウム合金板表面に何もない状
態での摩擦係数の80%以下、望ましくは摩擦係数の値
にして0.12以下とすることにより、先述のような実
プレス上の問題点を解決することができることを見出し
た。
【0016】ただし、この場合、プレス成形性とリン酸
塩処理性とを両立させるためには、自動車製造工程にお
いてアルミニウム合金板に施されるリン酸塩処理の前工
程の脱脂工程で、前記無機化合物の大部分が溶解除去さ
れる必要があることも見出した。
塩処理性とを両立させるためには、自動車製造工程にお
いてアルミニウム合金板に施されるリン酸塩処理の前工
程の脱脂工程で、前記無機化合物の大部分が溶解除去さ
れる必要があることも見出した。
【0017】本発明は、このような知見から完成された
ものであり、すなわち、表面に無機化合物が存在するア
ルミニウム合金板であって、その摩擦係数が前記無機化
合物を有しない場合の摩擦係数の80%以下であり、か
つ、水洗あるいはアルカリ脱脂による前記無機化合物の
溶解残渣が1mg/m2 未満であることを特徴とするプレス
加工性に優れたアルミニウム合金板を提供するものであ
る。前記摩擦係数は0.12以下であるのが望ましい。
ものであり、すなわち、表面に無機化合物が存在するア
ルミニウム合金板であって、その摩擦係数が前記無機化
合物を有しない場合の摩擦係数の80%以下であり、か
つ、水洗あるいはアルカリ脱脂による前記無機化合物の
溶解残渣が1mg/m2 未満であることを特徴とするプレス
加工性に優れたアルミニウム合金板を提供するものであ
る。前記摩擦係数は0.12以下であるのが望ましい。
【0018】前記無機化合物は、アルカリ金属の含水ほ
う酸塩であることが好ましい。その場合付着量は1〜1
000mg/m2 にするのがよい。
う酸塩であることが好ましい。その場合付着量は1〜1
000mg/m2 にするのがよい。
【0019】また、0.1wt%以上のアルカリ金属の
ほう酸塩を含有する水溶液にアルミニウム合金板を接触
させた後、60〜400℃の温度範囲でアルミニウム合
金板を加熱乾燥する方法がよく、特に、アルミニウム合
金板の温度が60〜400℃の範囲内にある時点で0.
1wt%以上のアルカリ金属のほう酸塩を含有する水溶
液を噴霧するのが好適である。
ほう酸塩を含有する水溶液にアルミニウム合金板を接触
させた後、60〜400℃の温度範囲でアルミニウム合
金板を加熱乾燥する方法がよく、特に、アルミニウム合
金板の温度が60〜400℃の範囲内にある時点で0.
1wt%以上のアルカリ金属のほう酸塩を含有する水溶
液を噴霧するのが好適である。
【0020】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
のアルミニウム合金板は、そのアルミニウム合金板上に
無機化合物が存在するものである。
のアルミニウム合金板は、そのアルミニウム合金板上に
無機化合物が存在するものである。
【0021】本発明者らは、先述のアルミニウム合金板
が有する問題点を解決すべくアルミニウム合金板の表面
に存在した場合にその摺動性を著しく改善し、かつリン
酸塩処理の前に施されるアルカリ脱脂工程で完全に溶解
除去される物質を種々の無機物質について調査研究した
結果、結晶水を含むアルカリ金属のほう酸塩を代表例と
する無機物質がこれに該当することを見いだした。
が有する問題点を解決すべくアルミニウム合金板の表面
に存在した場合にその摺動性を著しく改善し、かつリン
酸塩処理の前に施されるアルカリ脱脂工程で完全に溶解
除去される物質を種々の無機物質について調査研究した
結果、結晶水を含むアルカリ金属のほう酸塩を代表例と
する無機物質がこれに該当することを見いだした。
【0022】アルカリ金属のほう酸塩などの無機物質が
アルミニウム合金板の摺動性改善に有効な理由として
は、これを含有する水溶液をアルミニウム合金板と接触
させ加熱乾燥することで所定の付着量の皮膜を生成させ
た場合、アルミニウム合金板表面上でアルカリ金属のほ
う酸塩などが網目組織の強固な皮膜を形成し、この皮膜
によるアルミニウム合金板とプレス金型との直接接触防
止の効果および皮膜自体が有する潤滑特性により摺動性
が一段と向上する。
アルミニウム合金板の摺動性改善に有効な理由として
は、これを含有する水溶液をアルミニウム合金板と接触
させ加熱乾燥することで所定の付着量の皮膜を生成させ
た場合、アルミニウム合金板表面上でアルカリ金属のほ
う酸塩などが網目組織の強固な皮膜を形成し、この皮膜
によるアルミニウム合金板とプレス金型との直接接触防
止の効果および皮膜自体が有する潤滑特性により摺動性
が一段と向上する。
【0023】本発明において、アルミニウム合金板とし
ては、記載の簡便のためアルミニウム板を含むものと
し、これらは圧延ままの板はもとより、その表面を酸
洗、アルカリ洗浄等により表面の酸化皮膜を除去した板
や陽極酸化処理等により表面酸化物を調整したアルミニ
ウム合金板も含まれる。
ては、記載の簡便のためアルミニウム板を含むものと
し、これらは圧延ままの板はもとより、その表面を酸
洗、アルカリ洗浄等により表面の酸化皮膜を除去した板
や陽極酸化処理等により表面酸化物を調整したアルミニ
ウム合金板も含まれる。
【0024】また、無機化合物は、アルミニウム合金板
上に存在した場合に摩擦係数を低減でき、かつ、水洗あ
るいはアルカリ脱脂によってその大部分が溶解除去され
るものでなければならないが、この条件を満足すれば、
どのような無機化合物であっってもよい。
上に存在した場合に摩擦係数を低減でき、かつ、水洗あ
るいはアルカリ脱脂によってその大部分が溶解除去され
るものでなければならないが、この条件を満足すれば、
どのような無機化合物であっってもよい。
【0025】なお、本発明に好適な無機化合物として
は、Na、Kなどのアルカリ金属、Ca、Mgなどのア
ルカリ土類金属、Fe、Ni、Co、Al、Ti、Si
などの金属または半金属のほう酸塩、炭酸塩、リン酸
塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物、酸化物などが
挙げられる。
は、Na、Kなどのアルカリ金属、Ca、Mgなどのア
ルカリ土類金属、Fe、Ni、Co、Al、Ti、Si
などの金属または半金属のほう酸塩、炭酸塩、リン酸
塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物、酸化物などが
挙げられる。
【0026】ところで、後述するように、本発明のアル
ミニウム合金板は、該アルミニウム合金板を上記無機化
合物の水溶液と接触させ、これを乾燥することによって
容易に製造し得る。従って、製造上の点からは、無機化
合物は、水溶性であることが求められる。また、コスト
の点からは、廉価なもの程好ましく、さらに、無機化合
物は、アルミニウム合金板の加工工程において、水洗あ
るいはアルカリ脱脂によって溶解除去されるのであるか
ら、水あるいは塩基性水溶液に対する溶解性に優れるも
のが好ましい。
ミニウム合金板は、該アルミニウム合金板を上記無機化
合物の水溶液と接触させ、これを乾燥することによって
容易に製造し得る。従って、製造上の点からは、無機化
合物は、水溶性であることが求められる。また、コスト
の点からは、廉価なもの程好ましく、さらに、無機化合
物は、アルミニウム合金板の加工工程において、水洗あ
るいはアルカリ脱脂によって溶解除去されるのであるか
ら、水あるいは塩基性水溶液に対する溶解性に優れるも
のが好ましい。
【0027】これらの点も考慮すると、先に例示した無
機化合物のうち、特に、アルカリ金属の塩が好ましい。
中でも、摺動性の改善に著しく効果的であるのは、アル
カリ金属のほう酸塩であり、実用可能な化合物として
は、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸のNa塩、K塩、
Li塩などが挙げられる。なお、このようなアルカリ金
属のほう酸塩は、含水するものと無水のものとがある
が、アルミニウム合金板上に存在する無機化合物が含水
結晶であるほうが、水洗あるいはアルカリ脱脂時の溶解
性にはより優れている。代表的なアルカリ金属の含水ほ
う酸塩としては、工業的に量産可能で低廉なほう砂(四
ほう酸ナトリム:Na2B4O7・10H2O)を挙げることができ
る。
機化合物のうち、特に、アルカリ金属の塩が好ましい。
中でも、摺動性の改善に著しく効果的であるのは、アル
カリ金属のほう酸塩であり、実用可能な化合物として
は、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸のNa塩、K塩、
Li塩などが挙げられる。なお、このようなアルカリ金
属のほう酸塩は、含水するものと無水のものとがある
が、アルミニウム合金板上に存在する無機化合物が含水
結晶であるほうが、水洗あるいはアルカリ脱脂時の溶解
性にはより優れている。代表的なアルカリ金属の含水ほ
う酸塩としては、工業的に量産可能で低廉なほう砂(四
ほう酸ナトリム:Na2B4O7・10H2O)を挙げることができ
る。
【0028】本発明では、アルミニウム合金板上に存在
する無機化合物の形態は、特に限定されないが、皮膜
状、微粒子状などが例示される。
する無機化合物の形態は、特に限定されないが、皮膜
状、微粒子状などが例示される。
【0029】また、本発明では、アルミニウム合金板の
表面の無機化合物付着量は、特に限定されないが、無機
化合物が存在するアルミニウム合金板の摩擦係数が、無
機化合物を有しないアルミニウム合金板の摩擦係数の8
0%以下、望ましくは摩擦係数の値で0.12以下とな
り、かつ、水洗あるいはアルカリ脱脂による溶解除去後
の残渣が1mg/m2 未満となる量とする。
表面の無機化合物付着量は、特に限定されないが、無機
化合物が存在するアルミニウム合金板の摩擦係数が、無
機化合物を有しないアルミニウム合金板の摩擦係数の8
0%以下、望ましくは摩擦係数の値で0.12以下とな
り、かつ、水洗あるいはアルカリ脱脂による溶解除去後
の残渣が1mg/m2 未満となる量とする。
【0030】摩擦係数が無機化合物を有しないアルミニ
ウム合金板の摩擦係数の80%超の場合、プレス加工性
が改良されたとはいえない。また、無機化合物の溶解残
渣は、リン酸塩処理時において、良好なリン酸塩の結晶
の生成を阻害させないために、リン酸塩処理工程の前の
脱脂工程終了時において、1mg/m2 未満である必要があ
る。
ウム合金板の摩擦係数の80%超の場合、プレス加工性
が改良されたとはいえない。また、無機化合物の溶解残
渣は、リン酸塩処理時において、良好なリン酸塩の結晶
の生成を阻害させないために、リン酸塩処理工程の前の
脱脂工程終了時において、1mg/m2 未満である必要があ
る。
【0031】本発明において、アルミニウム合金板上に
生成せしめるアルカリ金属の含水ほう酸塩皮膜の付着量
は1〜1000mg/m2 と規定したが、これは次の理由に
よる。即ち、付着量1mg/m2 未満では、本発明に示した
ような摺動性改善の十分な効果が得られず、また付着量
が1000mg/m2 を越えると摺動性改善効果が飽和する
だけでなく、上述のリン酸塩処理前の脱脂工程で皮膜が
完全に除去されずに一部残存し、その後に施されるリン
酸塩処理に悪影響を与えるからである。
生成せしめるアルカリ金属の含水ほう酸塩皮膜の付着量
は1〜1000mg/m2 と規定したが、これは次の理由に
よる。即ち、付着量1mg/m2 未満では、本発明に示した
ような摺動性改善の十分な効果が得られず、また付着量
が1000mg/m2 を越えると摺動性改善効果が飽和する
だけでなく、上述のリン酸塩処理前の脱脂工程で皮膜が
完全に除去されずに一部残存し、その後に施されるリン
酸塩処理に悪影響を与えるからである。
【0032】また、アルカリ金属の含水ほう酸塩の付着
量を必要量以上にすることは、リン酸塩処理前の脱脂液
の脱脂性を低下させる要因になる。ほう砂の付着量が1
mg/m 2 以上1000mg/m2 以下の場合に、良好なリン酸
塩処理性を維持したまま摺動性を顕著に改善することが
可能である。確実に摺動性を改善するためにはほう砂付
着量10〜1000mg/m2 が望ましい。
量を必要量以上にすることは、リン酸塩処理前の脱脂液
の脱脂性を低下させる要因になる。ほう砂の付着量が1
mg/m 2 以上1000mg/m2 以下の場合に、良好なリン酸
塩処理性を維持したまま摺動性を顕著に改善することが
可能である。確実に摺動性を改善するためにはほう砂付
着量10〜1000mg/m2 が望ましい。
【0033】本発明で用いるアルカリ金属のほう酸塩と
しては、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸のNa塩、K
塩、Li塩などがある。ほう酸塩の中でも、特にアルカ
リ金属のほう酸塩と限定した理由は、アルカリ金属の塩
は普通結晶水を有し水に可溶であるため、アルミニウム
合金板を水溶液と接触させて製造する本方法において有
利であるためである。代表的なアルカリ金属の含水ほう
酸塩としては、工業的に量産可能で低廉なほう砂(四ほ
う酸ナトリウム:Na2B4O7・10H2O)を挙げることができ
る。
しては、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸のNa塩、K
塩、Li塩などがある。ほう酸塩の中でも、特にアルカ
リ金属のほう酸塩と限定した理由は、アルカリ金属の塩
は普通結晶水を有し水に可溶であるため、アルミニウム
合金板を水溶液と接触させて製造する本方法において有
利であるためである。代表的なアルカリ金属の含水ほう
酸塩としては、工業的に量産可能で低廉なほう砂(四ほ
う酸ナトリウム:Na2B4O7・10H2O)を挙げることができ
る。
【0034】前述のようなアルカリ金属の含水ほう酸塩
皮膜を表面に有するアルミニウム合金板を製造するため
には、0.1wt%以上のアルカリ金属のほう酸塩を含
有する水溶液にアルミニウム合金板を浸漬、噴霧、また
はロールコーターなどによる塗布などの方法で接触させ
た後、引き続きこれを60〜400℃の温度範囲で加熱
乾燥すればよい。
皮膜を表面に有するアルミニウム合金板を製造するため
には、0.1wt%以上のアルカリ金属のほう酸塩を含
有する水溶液にアルミニウム合金板を浸漬、噴霧、また
はロールコーターなどによる塗布などの方法で接触させ
た後、引き続きこれを60〜400℃の温度範囲で加熱
乾燥すればよい。
【0035】アルカリ金属のほう酸塩濃度を0.1wt
%以上としたのは、この濃度より低い濃度ではアルミニ
ウム合金板上に生成させるアルカリ金属のほう酸塩皮膜
の必要最小付着量1mg/m2 を得るためにはアルミニウム
合金板に付着させる乾燥前の水溶液量が多くなり、水溶
液と接触させた後加熱乾燥させる本方法においては、ラ
インスピードの低下など操業上不利になるためである。
%以上としたのは、この濃度より低い濃度ではアルミニ
ウム合金板上に生成させるアルカリ金属のほう酸塩皮膜
の必要最小付着量1mg/m2 を得るためにはアルミニウム
合金板に付着させる乾燥前の水溶液量が多くなり、水溶
液と接触させた後加熱乾燥させる本方法においては、ラ
インスピードの低下など操業上不利になるためである。
【0036】また、加熱乾燥時の温度範囲の下限を60
℃としたのは、これより低い温度では、先述したような
摺動性改善に有効な強固な皮膜が生成されないためであ
る。さらに、上限を400℃としたのは、これを越える
温度で加熱乾燥した場合アルカリ金属のほう酸塩が含水
結晶から無水結晶へと変わり、リン酸塩処理前のアルカ
リ脱脂時の溶解性が低下するためである。
℃としたのは、これより低い温度では、先述したような
摺動性改善に有効な強固な皮膜が生成されないためであ
る。さらに、上限を400℃としたのは、これを越える
温度で加熱乾燥した場合アルカリ金属のほう酸塩が含水
結晶から無水結晶へと変わり、リン酸塩処理前のアルカ
リ脱脂時の溶解性が低下するためである。
【0037】熱間圧延後や連続焼鈍後のアルミニウム合
金板温度は高温であるため、アルミニウム合金板温度が
60〜400℃の温度範囲にある時点で前述のアルカリ
金属のほう酸塩などの無機化合物を含有する水溶液を噴
霧し、ミスト状態で水溶液とアルミニウム合金板とを接
触させることで、室温で同水溶液に接触させその後加熱
乾燥する方法で得られる皮膜と同様の皮膜を著しく低廉
なコストで製造することが可能である。アルカリ金属の
ほう酸塩を含有する水溶液の噴霧地点としては上記のア
ルミニウム合金板温度範囲の場所であればいずれの場所
でも良い。
金板温度は高温であるため、アルミニウム合金板温度が
60〜400℃の温度範囲にある時点で前述のアルカリ
金属のほう酸塩などの無機化合物を含有する水溶液を噴
霧し、ミスト状態で水溶液とアルミニウム合金板とを接
触させることで、室温で同水溶液に接触させその後加熱
乾燥する方法で得られる皮膜と同様の皮膜を著しく低廉
なコストで製造することが可能である。アルカリ金属の
ほう酸塩を含有する水溶液の噴霧地点としては上記のア
ルミニウム合金板温度範囲の場所であればいずれの場所
でも良い。
【0038】
【実施例】以下に、本発明を、実施例に基づき具体的に
説明する。
説明する。
【0039】(実施例) (1)試料の作製 (発明例1)JIS A5182アルミニウム合金板に
四ほう酸ナトリウム(Na2B4O7・10H2O) を0.6wt%溶
解させた水溶液を、ロールコーターで塗布した後に、こ
れを最高到達板温200℃で加熱乾燥した。
四ほう酸ナトリウム(Na2B4O7・10H2O) を0.6wt%溶
解させた水溶液を、ロールコーターで塗布した後に、こ
れを最高到達板温200℃で加熱乾燥した。
【0040】(発明例2)JIS A5182アルミニ
ウム合金板にリン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4・2H2O)を
10wt%溶解させた水溶液に浸漬した後に、これを最
高到達板温60℃で温風乾燥した。
ウム合金板にリン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4・2H2O)を
10wt%溶解させた水溶液に浸漬した後に、これを最
高到達板温60℃で温風乾燥した。
【0041】(発明例3)JIS A5182アルミニ
ウム合金板にリン酸水素二カリウム(K2HPO4)を5wt%
溶解させた水溶液を噴霧した後に、これを70℃の温風
乾燥した。
ウム合金板にリン酸水素二カリウム(K2HPO4)を5wt%
溶解させた水溶液を噴霧した後に、これを70℃の温風
乾燥した。
【0042】(発明例4)JIS A5182アルミニ
ウム合金板に四ほう酸カリウムを5wt%溶解させた水
溶液を噴霧し、380℃で加熱乾燥した。
ウム合金板に四ほう酸カリウムを5wt%溶解させた水
溶液を噴霧し、380℃で加熱乾燥した。
【0043】(発明例5)JIS A5182アルミニ
ウム合金板にメタほう酸ナトリウム(NaBO2・4H2O)を0.
7wt%溶解させた水溶液を噴霧し250℃で加熱乾燥
した。
ウム合金板にメタほう酸ナトリウム(NaBO2・4H2O)を0.
7wt%溶解させた水溶液を噴霧し250℃で加熱乾燥
した。
【0044】(比較例1)JIS A5182アルミウ
ム合金板の未処理材。
ム合金板の未処理材。
【0045】(比較例2)JIS A5182アルミニ
ウム合金板にアルミナゾル(Al2O3) を5wt%溶解させ
た水溶液をロールコーターで塗布した後に、これを最高
到達板温50℃で加熱乾燥した。
ウム合金板にアルミナゾル(Al2O3) を5wt%溶解させ
た水溶液をロールコーターで塗布した後に、これを最高
到達板温50℃で加熱乾燥した。
【0046】(比較例3)JIS A5182アルミニ
ウム合金板に、硝酸コバルト(Co(NO3)2)を3wt%溶解
させた水溶液を噴霧し300℃で加熱乾燥した。
ウム合金板に、硝酸コバルト(Co(NO3)2)を3wt%溶解
させた水溶液を噴霧し300℃で加熱乾燥した。
【0047】(比較例4)JIS A5182アルミニ
ウム合金板に、硫化モリブデン(MoS2)を10wt%含有
する防錆油2g/m2 を塗布した。
ウム合金板に、硫化モリブデン(MoS2)を10wt%含有
する防錆油2g/m2 を塗布した。
【0048】(比較例5)JIS A5182アルミニ
ウム合金板に、四ほう酸ナトリウム(Na2B4O7・10H 2O) を
0.8wt%溶解させた水溶液を噴霧し420℃で加熱
乾燥した。
ウム合金板に、四ほう酸ナトリウム(Na2B4O7・10H 2O) を
0.8wt%溶解させた水溶液を噴霧し420℃で加熱
乾燥した。
【0049】(2)試験評価方法 下記の方法で試験評価を行ない、結果は表1に示した。
【0050】a)無機化合物皮膜の形態および付着量 発明例1〜5、比較例1〜5について、アルミニウム合
金板上に生成された無機化合物皮膜を、薄膜X線回折法
により同定した。また、皮膜付着量は次の方法で測定し
た。すなわち表層の皮膜を硫酸に溶解した後、この液を
ICP分光分析に供し、各元素の分析を行なった。この
元素分析値と上記薄膜X線回折結果から得られた皮膜の
化学組成から、アルミニウム合金板上の無機化合物皮膜
付着量を決定した。
金板上に生成された無機化合物皮膜を、薄膜X線回折法
により同定した。また、皮膜付着量は次の方法で測定し
た。すなわち表層の皮膜を硫酸に溶解した後、この液を
ICP分光分析に供し、各元素の分析を行なった。この
元素分析値と上記薄膜X線回折結果から得られた皮膜の
化学組成から、アルミニウム合金板上の無機化合物皮膜
付着量を決定した。
【0051】b)無機化合物の脱脂溶解性 日本パーカライジング社製脱脂液FC−4460(40
℃)にて、スプレー方式にて、120秒間の脱脂処理を
行なった。処理後のサンプルについて、無機化合物の残
渣を、a)に示した方法で分析した。
℃)にて、スプレー方式にて、120秒間の脱脂処理を
行なった。処理後のサンプルについて、無機化合物の残
渣を、a)に示した方法で分析した。
【0052】c)摺動性 摺動性の評価は、図1の(a)および図1の(b)に示
すドロービード引き抜き試験により行なった。
すドロービード引き抜き試験により行なった。
【0053】すなわち、図1において、ロールを固定し
た場合のサンプルの引き抜きに要する力DF とロールを
回転可能な状態にした場合の引き抜きに要する力DR を
求め、この両者から、次式によってサンプルの摩擦係数
μを算出し、摺動性を評価した。また、無機化合物皮膜
を有する試料については、同様のアルミニウム合金板
(未処理材)の摩擦係数を100%とした摩擦係数比も
算出した。
た場合のサンプルの引き抜きに要する力DF とロールを
回転可能な状態にした場合の引き抜きに要する力DR を
求め、この両者から、次式によってサンプルの摩擦係数
μを算出し、摺動性を評価した。また、無機化合物皮膜
を有する試料については、同様のアルミニウム合金板
(未処理材)の摩擦係数を100%とした摩擦係数比も
算出した。
【0054】
【数1】 したがって μ=(DF −DR )/(πPF ) ここで、μ :ロールとサンプル間の摩擦係数 p :ロールの径方向に負荷される力 R :ロール半径 θ :中心角 PF :中央ポンチの押さえ荷重
【0055】なお、試験条件は以下の通りである。 サンプルサイズ 20×400 mm 摺動速度 500 mm/sec. 摺動距離 100 mm 中央ポンチの押え荷重 100 kgf 洗浄油 0.5 g/m2塗油 ここで、各実施例での評価は、摩擦係数は ○:μが0.12以下 ×:μが0.12超える とし、摩擦係数比は ○:80%以下 ×:80%超える とした。
【0056】d)リン酸塩処理性 日本パーカライジング社製パルボンドL3020処理液
にて、リン酸塩処理を施し、X1500でSEMによる
リン酸塩結晶の観察を行なった。リン酸塩処理性は、結
晶粒の大きさから以下の判定基準に従い評価した。 ○:平均結晶径が15μm 未満 ×:平均結晶径が15μm 以上
にて、リン酸塩処理を施し、X1500でSEMによる
リン酸塩結晶の観察を行なった。リン酸塩処理性は、結
晶粒の大きさから以下の判定基準に従い評価した。 ○:平均結晶径が15μm 未満 ×:平均結晶径が15μm 以上
【0057】e)耐水二次密着性 リン酸塩処理後、カチオン電着塗装、中塗り、上塗り塗
装を施したサンプルを、40℃の純水に10日間浸漬し
た後、セロテープによる碁盤目剥離試験を行ない、耐水
二次密着性を塗膜残存率で、以下の基準で評価した。 ○:塗膜残存率が95%以上 ×:塗膜残存率が95%未満
装を施したサンプルを、40℃の純水に10日間浸漬し
た後、セロテープによる碁盤目剥離試験を行ない、耐水
二次密着性を塗膜残存率で、以下の基準で評価した。 ○:塗膜残存率が95%以上 ×:塗膜残存率が95%未満
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明により、そのリン酸塩処理性を損
なうことなくプレス加工性が著しく改善されたアルミニ
ウム合金板が提供される。
なうことなくプレス加工性が著しく改善されたアルミニ
ウム合金板が提供される。
【0060】本発明のアルミニウム合金板は、その表面
に、アルミニウム合金板の摺動性を向上させ、かつ、リ
ン酸塩処理前のアルカリ脱脂工程あるいは水洗でほぼ完
全に溶解除去される無機化合物を有しているために、リ
ン酸塩処理性とプレス加工性が両立されるようになっ
た。本発明のアルミニウム合金板を用いることにより、
プレス成形時における生産性が飛躍的に向上する。
に、アルミニウム合金板の摺動性を向上させ、かつ、リ
ン酸塩処理前のアルカリ脱脂工程あるいは水洗でほぼ完
全に溶解除去される無機化合物を有しているために、リ
ン酸塩処理性とプレス加工性が両立されるようになっ
た。本発明のアルミニウム合金板を用いることにより、
プレス成形時における生産性が飛躍的に向上する。
【0061】さらに、上記アルミニウム合金板を0.1
wt%以上のアルカリ金属のほう酸塩を含有する水溶液
と接触させ60〜400℃の温度範囲で加熱乾燥するこ
とにより、簡単かつ低廉に製造することが可能であり、
製品製造上も極めて有益である。
wt%以上のアルカリ金属のほう酸塩を含有する水溶液
と接触させ60〜400℃の温度範囲で加熱乾燥するこ
とにより、簡単かつ低廉に製造することが可能であり、
製品製造上も極めて有益である。
【図1】摺動性の評価を説明する図であり、(a)は、
ドロービード引き抜き型摺動性試験機の線図、(b)は
この試験機での解析方法を示す図である。
ドロービード引き抜き型摺動性試験機の線図、(b)は
この試験機での解析方法を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 戸 延 行 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 橋 口 耕 一 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 松 本 義 裕 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 飛 山 洋 一 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内
Claims (5)
- 【請求項1】表面に無機化合物が存在するアルミニウム
合金板であって、その摩擦係数が前記無機化合物を有し
ない場合の摩擦係数の80%以下であり、かつ、水洗あ
るいはアルカリ脱脂による前記無機化合物の溶解残渣が
1mg/m2 未満であることを特徴とするプレス加工性に優
れたアルミニウム合金板。 - 【請求項2】前記摩擦係数が0.12以下である請求項
1に記載のプレス加工性に優れたアルミニウム合金板。 - 【請求項3】前記無機化合物がアルカリ金属の含水ほう
酸塩である請求項1または2に記載のプレス加工性に優
れたアルミニウム合金板。 - 【請求項4】アルミニウム合金板表面に1〜1000mg
/m2 のアルカリ金属の含水ほう酸塩皮膜を有することを
特徴とする請求項3に記載のプレス加工性に優れたアル
ミニウム合金板。 - 【請求項5】0.1wt%以上のアルカリ金属のほう酸
塩を含有する水溶液にアルミニウム合金板表面を接触さ
せた後、60〜400℃の温度範囲でアルミニウム合金
板を加熱乾燥することを特徴とするプレス加工性に優れ
たアルミニウム合金板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22569091A JPH0565668A (ja) | 1991-09-05 | 1991-09-05 | プレス加工性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22569091A JPH0565668A (ja) | 1991-09-05 | 1991-09-05 | プレス加工性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0565668A true JPH0565668A (ja) | 1993-03-19 |
Family
ID=16833267
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22569091A Withdrawn JPH0565668A (ja) | 1991-09-05 | 1991-09-05 | プレス加工性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0565668A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005099838A (ja) * | 1997-07-24 | 2005-04-14 | Optonix Seimitsu:Kk | X線マスクおよびこの製造方法およびこれを用いて製作したマイクロ部品 |
-
1991
- 1991-09-05 JP JP22569091A patent/JPH0565668A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005099838A (ja) * | 1997-07-24 | 2005-04-14 | Optonix Seimitsu:Kk | X線マスクおよびこの製造方法およびこれを用いて製作したマイクロ部品 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19981203 |