JPH0565275A - N−アシルアミノ酸化合物およびその製造方法 - Google Patents

N−アシルアミノ酸化合物およびその製造方法

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JPH0565275A
JPH0565275A JP4030462A JP3046292A JPH0565275A JP H0565275 A JPH0565275 A JP H0565275A JP 4030462 A JP4030462 A JP 4030462A JP 3046292 A JP3046292 A JP 3046292A JP H0565275 A JPH0565275 A JP H0565275A
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acid residue
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博宣 村瀬
Tsutomu Kunieda
勉 国枝
Akihiko Nagao
昭彦 長尾
Junji Terao
純二 寺尾
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(1) R−CO−(NH−X−CO)n OR1 (1) (ただし、式中(NH−X−CO)はアミノ酸残基を示
し、(NH−X−CO)中のXは用いるアミノ酸の種類
によって異なる。R−COは炭素原子数6〜24の飽和
または不飽和脂肪酸残基を示す。R1 は水素原子、ナト
リウム原子、カリウム原子またはメチル基を示す。また
nは1〜3の整数であり少なくとも1個のヒスチジンを
構成アミノ酸として含む。)で表わされるN−アシルア
ミノ酸化合物であり、N−ヒドロキシスクシンイミドエ
ステルを、アミノ酸ないしペプチドと反応させることに
より得られる。 【効果】 この化合物は、抗酸化力、乳化力、抗菌力、
キレート力、紫外線吸収力、保湿力等に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なN−アシルアミ
ノ酸化合物およびその製造方法に関するものである。詳
しく述べると、ヒスチジンおよび該ヒスチジンを含有す
るペプチドを長鎖の脂肪酸によりアシル化することによ
って得られる抗酸化力、乳化力、抗菌力、キレート力、
紫外線吸収力、保湿力等、多種の機能性を有する新規な
化合物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、活性酸素が種々の酸化反応を引き
起こし、老化、動脈硬化、癌などさまざまな疾病の重要
な原因となっていると考えられており、酸化反応を抑え
るための抗酸化剤の研究が盛んに行なわれている。例え
ば、食品業界においてBHT(3,5−t−ブチル−4
−ヒドロキシトルエン)、BHA(2,(3)−t−ブ
チル−4−ヒドロキシアニソール)等の合成抗酸化剤は
安価で効率のよい抗酸化剤として使用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の化合物、特にBHAは、発ガン作用が有ることが報告
されて以来、その安全性に関して懸念を抱かれるように
なってきた。天然由来の抗酸化剤として用いられている
トコフェロールは、優れた抗酸化力を有しているが水に
難溶であり、また高濃度で酸化を促進するため、化粧
品、食品などへの使用を考えた場合に制限を受ける。そ
の他の抗酸化力を有するポリフェノール類においては水
溶性であり油に解けにくい等の弱点をもつため、その応
用に関して制限を受ける。
【0004】したがって、本発明の目的は、新規なアシ
ル化合物およびその製造方法を提供することにある。
【0005】本発明の他の目的は、抗酸化力、乳化力、
抗菌力、キレート力、紫外線吸収力、保湿力等の機能性
を有する新規な化合物およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】これらの諸目的は、一般
式(1) R−CO−(NH−X−CO)n −OR1 (1) (ただし、式中(NH−X−CO)はアミノ酸残基を示
し、(NH−X−CO)中のXは用いるアミノ酸の種類
によって異なる。R−COは炭素原子数6〜24の飽和
または不飽和脂肪酸残基を示す。R1 は水素原子、ナト
リウム原子、カリウム原子またはメチル基を示す。また
nは1〜3の整数であり少なくとも1個のヒスチジンを
構成アミノ酸として含む。)で表されるN−アシルアミ
ノ酸化合物により達成される。
【0007】これらの諸目的は、一般式(2)
【0008】
【化2】
【0009】(ただし、式中、R−COは炭素原子数6
〜24の飽和または不飽和脂肪酸残基である。)で表わ
されるN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを、一般
式(3) H−(NH−X−CO)n −OR1 (3) (ただし、式中(NH−X−CO)はアミノ酸残基を示
し、(NH−X−CO)中のXは用いるアミノ酸の種類
によって異なる。R−COは炭素原子数6〜24の飽和
または不飽和脂肪酸残基を示す。R1 は水素原子、ナト
リウム原子、カリウム原子またはメチル基を示す。また
nは1〜3の整数であり少なくとも1個のヒスチジンを
構成アミノ酸として含む。)で表わされるアミノ酸ない
しペプチドとを反応させることを特徴とする一般式
(1) R−CO−(NH−X−CO)n −OR1 (1) (ただし、His、X、R、R1 およびnは前記のとお
りである。)で表わされるN−アシルアミノ酸化合物の
製造方法によっても達成される。
【0010】 R−CO−(NH−X−CO)n −OR1 (1) (ただし、式中(NH−X−CO)はアミノ酸残基を示
し、(NH−X−CO)中のXは用いるアミノ酸の種類
によって異なる。R−COは炭素原子数6〜24の飽和
または不飽和脂肪酸残基を示す。R1 は水素原子、ナト
リウム原子、カリウム原子またはメチル基を示す。また
nは1〜3の整数であり少なくとも1個のヒスチジンを
構成アミノ酸として含む。)で表わされるN−アシルア
ミノ酸化合物を有効成分とする抗酸化剤によっても達成
される。
【0011】 また、R−CO−(NH−X−CO)n −OR1 (1) (ただし、式中(NH−X−CO)はアミノ酸残基を示
し、(NH−X−CO)中のXは用いるアミノ酸の種類
によって異なる。R−COは炭素原子数6〜24の飽和
または不飽和脂肪酸残基を示す。R1 は水素原子、ナト
リウム原子、カリウム原子またはメチル基を示す。また
nは1〜3の整数であり少なくとも1個のヒスチジンを
構成アミノ酸として含む。)で表わされるN−アシルア
ミノ酸化合物を有効成分とする乳化剤によっても達成さ
れる。
【0012】
【作用】本発明によるN−アシルアミノ酸、N−アシル
ペプチド化合物、それらの塩およびそれらのメチルエス
テル(以下、N−アシルアミノ酸化合物と表す。)は前
記のとおり一般式(1)で表わされる化合物であり、式
中、R−COは炭素原子数6〜24、好ましくは8〜2
0の飽和または不飽和脂肪酸残基であり、脂肪酸残基と
してはカプリロイル(C8 )、カプリノイル(C10)、
ラウロイル(C12)、ミリストイル(C14)、パルミト
イル(C16)、オレオイル(C18:1)、リノレイル(C
18:2)、リノレニル(C18:3)、ステアロイル
(C18)、アラキドイル(C20)等である。
【0013】(NH−X−CO)の部分はアミノ酸残基
でこの中のXは用いるアミノ酸によって異なり、アミノ
酸としては、ヒスチジン(His)、グリシン(Gl
y)、トリプトファン(Trp)、イソロイシン(Il
e)、フェニルアラニン(Phe)、メチオニン(Me
t)、システイン(Cys)、ロイシン(Leu)、リ
ジン(Lys)、アラニン、バリン、プロリン、セリ
ン、トレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミ
ン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、β−
アラニン、ドーパ、クレアチン、オルニチン、(D,L
体を有するものはどちらを用いても良い)等がある。上
記条件を満たしておれば分枝ペプチドであってもよい。
(以下文中において上記アミノ酸の内、()内に略号を
付したものについてはその略号を用いる。)また、nは
1〜3、好ましくは1〜2の整数であり少なくとも1個
のHisを構成アミノ酸として含む。したがって、nが
1のときはHis残基であり、nが2、3のときはペプ
チド残基で、nが2のときは−His−His、−Gl
y−His、−His−Gly、−His−Leu、−
Leu−His、−Trp−His、−His−Tr
p、−Ile−His、−His−Ile、−Phe−
His、−His−Phe、−Met−His、−Hi
s−Met、−Cys−His、−His−Cys、β
−アラニル−3−メチル−L−His、γ−アミノブチ
リル−L−His、カルノシン(β−アラニル−L−H
is)等であり、nが3のときは−His−His−H
is、−Gly−His−Lys、−Gly−His−
His、−Gly−Gly−His、−Ile−His
−His、−Ile−Ile−His、−Phe−Hi
s−His、−Phe−Phe−His、−Met−H
is−His、−Met−Met−His、−Cys−
His−His、−Cys−Cys−His、−Trp
−His−His、−Trp−Trp−His等であ
る。
【0014】即ち、本発明のN−アシルアミノ酸化合物
は、前記の脂肪酸残基とアミノ酸残基を構成要素として
含む化合物、それらの塩およびそのメチルエステルで、
特に、N−カプリロイル−His、N−カプリロイル−
His−His、N−カプリロイル−His−Leu、
N−カプリロイル−Leu−His、N−カプリロイル
−β−アラニル−3−メチル−L−His、N−カプリ
ロイル−γ−アミノブチリル−L−His、N−カプリ
ロイル−カルノシン、N−カプリロイル−His−Hi
s−His、N−カプリロイル−Gly−His−Ly
s、N−カプリロイル−Gly−His−His、N−
カプリロイル−Gly−Gly−His、N−カプリノ
イル−His、N−カプリノイル−His−His、N
−カプリノイル−His−Leu、N−カプリノイル−
Leu−His、N−カプリノイル−β−アラニル−3
−メチル−L−His、N−カプリノイル−γ−アミノ
ブチリル−L−His、N−カプリノイル−カルノシ
ン、N−カプリノイル−His−His−His、N−
カプリノイル−Gly−His−Lys、N−カプリノ
イル−Gly−His−His、N−カプリノイル−G
ly−Gly−His、N−ラウロイル−His、N−
ラウロイル−His−His、N−ラウロイル−His
−Leu、N−ラウロイル−Leu−His、N−ラウ
ロイル−β−アラニル−3−メチル−L−His、N−
ラウロイル−γ−アミノブチリル−L−His、N−ラ
ウロイル−カルノシン、N−ラウロイル−His−Hi
s−His、N−ラウロイル−Gly−His−Ly
s、N−ラウロイル−Gly−His−His、N−ラ
ウロイル−Gly−Gly−His、N−ミリストイル
−His、N−ミリストイル−カルノシン、N−パルミ
トイル−His、N−パルミトイル−His−His、
N−パルミトイル−His−Leu、N−パルミトイル
−Leu−His、N−パルミトイル−β−アラニル−
3−メチル−L−His、N−パルミトイル−γ−アミ
ノブチリル−L−His、N−パルミトイル−カルノシ
ン、N−パルミトイル−His−His−His、N−
パルミトイル−Gly−His−Lys、N−パルミト
イル−Gly−His−His、N−パルミトイル−G
ly−Gly−His、N−オレオイル−His、N−
オレオイル−His−His、N−オレオイル−His
−Leu、N−オレオイル−Leu−His、N−オレ
オイル−β−アラニル−3−メチル−L−His、N−
オレオイル−γ−アミノブチリル−L−His、N−オ
レオイル−カルノシン、N−オレオイル−His−Hi
s−His、N−オレオイル−Gly−His−Ly
s、N−オレオイル−Gly−His−His、N−オ
レオイル−Gly−Gly−His、N−リノレイル−
His、N−リノレイル−カルノシン、N−リノレニル
−His、N−リノレニル−カルノシン、N−ステアロ
イル−His、N−ステアロイル−His−His、N
−ステアロイル−His−Leu、N−ステアロイル−
Leu−His、N−ステアロイル−β−アラニル−3
−メチル−L−His、N−ステアロイル−γ−アミノ
ブチリル−L−His、N−ステアロイル−カルノシ
ン、N−ステアロイル−His−His−His、N−
ステアロイル−Gly−His−Lys、N−ステアロ
イル−Gly−His−His、N−ステアロイル−G
ly−Gly−His、N−アラキドイル−His、N
−アラキドイル−カルノシン等である。
【0015】本発明によるN−アシルアミノ酸化合物
は、前記のように、一般式(2)で表わされるN−ヒド
ロキシスクシンイミドエステルを、一般式(3)で表わ
されるアミノ酸ないしペプチドと反応させることにより
得られる。
【0016】このN−ヒドロキシスクシンイミドエステ
ルは、有機溶媒、例えば酢酸エチル中で炭素原子数6〜
24の飽和または不飽和脂肪酸とN−ヒドロキシスクシ
ンイミドとをジクロロヘキシルカルボジイミドの存在下
に反応させることにより得られる。
【0017】このN−ヒドロキシスクシンイミドエステ
ルとアミノ酸ないしペプチドとを有機溶媒、例えばテト
ラヒドロフラン中において、室温、アルカリ条件下で反
応させることにより容易に高収率でN−アシルアミノ酸
化合物が得られる。このときのアミノ酸ないしペプチド
の量はN−ヒドロキシスクシンイミドエステル1モルに
対して0.1〜5モル、好ましくは0.5〜2モルであ
る。
【0018】アルカリ条件はpH7〜12、好ましくは
8〜11であり、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を用いて調整され
る。このようにして得られたN−アシル−Hisおよび
N−アシル−His含有ペプチド、(特にN−アシル−
カルノシン(カルノシン:β−アラニル−L−His、
人の脳および筋肉中に高濃度に存在する。))は両親媒
性物質であり、以下に示す機能性を有する。例えば非水
系のヘキサン−イソプロピルアルコール溶液中において
高級脂肪酸メチルエステルの過酸化速度を抑えることが
できる。また水系において生体膜をモデルとして卵黄レ
シチンでリポソームをつくり第一鉄−アスコルビン酸で
酸化反応を促進させた際、リポソームにこのN−アシル
化合物を取り込ませておくことで酸化速度を抑えること
ができる。これらのことよりN−アシル−Hisおよび
N−アシル−His含有ペプチド(特に、N−アシル−
カルノシン)が過酸化物の生成を抑える抗酸化力の他
に、例えば鉄イオンのキレート力をも有していることが
確認できた。また同化合物を用い、油−水系で乳化力を
測定したところ、同条件下において市販の乳化剤である
カゼイン、シュガーエステル、トライトンX100等よ
りも強い乳化力を有していることが判った。また同化合
物はアミノ酸残基側に多数の二重結合を有していること
より、当然のごとく紫外線吸収力を有していることは判
る。
【0019】
【実施例】次に実施例により本発明を説明するが、これ
らにより本発明の範囲がなんら制限されるものでないこ
とは言うまでもない。
【0020】参考例1 酢酸エチル130mlにN−ヒドロキシスクシンイミド
3.45g(30mmol)を溶かし、次にオレイン酸
3.45g(30mmol)を溶かす。この溶液に酢酸
エチル10mlにジシクロヘキシルカルボジミド6.1
8g(30mmol)を溶かした溶液を加え、室温にお
いて、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら1
5時間反応させた。このようにして得られた反応液から
目的物質であるオレイン酸のN−ヒドロキシスクシンイ
ミドエステルをエタノールを用いた結晶化法を繰り返し
行なうことにより約7gの高純度なオレイン酸のN−ヒ
ドロキシスクシンイミドエステルを得た。他の脂肪酸に
関しても上記と同様の方法で合成および精製ができる。
【0021】実施例1 カルノシン226mg(1mmol)、炭酸水素ナトリ
ウム84mg(1mmol)を水10mlに溶かす。こ
の溶液にテトラヒドロキシフラン10mlに参考例で得
られた高純度なオレイン酸のN−ヒドロキシサクシニミ
ドエステル380mg(1mmol)を溶かした溶液を
加え、室温において、マグネチックスターラーを用いて
攪拌しながら15時間反応させた後、6N塩酸を用いて
反応液を酸性にし、酢酸エチル抽出後、ヘキサン/酢酸
エチル(4:1,v:v)で結晶化を繰り返すことによ
り高純度のN−オレオイル−カルノシン約200mgを
得た。N−オレオイル−カルノシンのIR、 1H−NM
R、13C−NMRの結果を示す。赤外スペクトルにおい
てオレイン酸由来の吸収ピークが2920cm-1、28
50cm-1(CH伸縮)付近に確認でき、カルノシンの
イミダゾール由来の吸収ピーク1650〜1400cm
-1(C=C,C=N伸縮)も確認できた。また、カルノ
シンのチャートに見られた1580cm-1(NH変角)
が著しく減少したことが認められた。 1H−NMRスペ
クトルにおいてオレイン酸由来C9 、C10シス形のプロ
トンの化学シフト値5.30ppmが確認できた。積分
比よりオレイン酸とカルノシンのアミド結合が考えられ
る。オレイン酸の−COOHからα位の炭素のプロトン
の化学シフト値が2.30ppmから2.00ppmに
シフトし、そしてβ位の炭素のプロトンの化学シフト値
も1.60ppmから1.45ppmにシフトしたこと
が認められた。13C−NMRスペクトルにおいてオレイ
ン酸の−COOHの炭素の化学シフト値が180.40
ppmから170.59ppmにシフトしたことが認め
られた。これらのことより、オレイン酸がカルノシンの
β−アラニン残基とアミド結合していることが確認でき
た。その赤外線吸収スペクトル図を、図1に示す。
【0022】実施例2 実施例1と同様の方法で高純度のN−オレオイル−Hi
s約150mgを得、赤外スペクトルを検討した。オレ
イン酸由来の吸収ピークが2920cm-1、2850c
-1(CH伸縮)付近に確認でき、His由来の吸収ピ
ーク1650〜1400cm-1(C=C,C=N伸縮)
も確認できた。また、アミドの吸収ピーク3400〜3
100cm-1(NH伸縮)が確認できたことより、N−
オレオイル−Hisの構造は明らかとなった。その赤外
線吸収スペクトル図を、図2に示す。
【0023】実施例3〜7 実施例1と同様な方法によりN−カプリノイルカルノシ
ン(実施例3)、N−オレイルカルノシンメチルエステ
ル(実施例4)、N−カプリノイルヒスチジン(実施例
5)、N−オレオイルヒスチジルロイシン(実施例6)
およびN−オレオイルグリシルグリシルヒスチジン(実
施例7)を調製した。これらの赤外線吸収スペクトル図
を図3(実施例3)、図4(実施例4)、図5(実施例
5)、図6(実施例6)および図7(実施例7)にそれ
ぞれ示す。
【0024】他のペプチドにおいても同様の方法でN−
アシル−ペプチドを容易に合成し、また、その構造を解
析することができる。
【0025】実施例8 実施例1、3および4によって得られたN−オレオイル
カルノシン、N−カプリノイルカルノシンおよびN−オ
レオイルカルノシンメチルエステルの抗酸化力をリノー
ル酸メチルのラジカル連鎖自動酸化反応の抑制により評
価した。100mMリノール酸メチル、10mM脂溶性
ラジカル発生剤(2,2´−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル))、各種濃度のN−オレオイルカル
ノシン,N−カプリノイルカルノシンまたはN−オレオ
イル−カルノシンメチルエステルを含むヘキサン/イソ
プロピルアルコール(1:1,v/v)を37℃でイン
キュベート後、経時的にサンプリングし、高速液体クロ
マトグラフィーでリノール酸メチルハイドロパーオキサ
イドの生成量を測定したところ、図8に示したように抗
酸化力を有することが明らかになった。
【0026】実施例9 実施例2および5によって得られたN−オレオイルヒス
チジンおよびN−カプリノイルヒスチジンの抗酸化力
を、実施例8と同様の方法によって測定したところ、図
9に示したように抗酸化力を有することが明らかになっ
た。
【0027】実施例10 実施例6および7によって得られたN−オレオイルヒス
チジルロイシンおよびN−オレオイルグリシルグリシル
ヒスチジンの抗酸化力を、実施例8と同様の方法によっ
て測定したところ、図10に示したように抗酸化力を有
することが明らかになった。
【0028】実施例11 実施例1および2によって得られたN−オレオイル−カ
ルノシンおよびN−オレオイル−ヒスチジンの抗酸化力
を多重層リポソームのラジカル連鎖自動酸化反応の抑制
により評価した。10mMトリス−塩酸緩衝液(pH
7.4)を用い4mM卵黄ホスファチジルコリン、0.
4mM卵黄ホスファチジルコリンハイドロパーオキサイ
ド、10μMN−オレオイル−カルノシンまたはN−オ
レオイル−ヒスチジンで多重層リポソームを形成させ
0.1mM硫酸第一鉄、1mMアスコルビン酸を加え、
37℃でインキュベート後、経時的にサンプリングし、
TBA反応により過酸化脂質の分解で生じるマロンジア
ルデヒドを発色させ、その生成量を高速液体クロマトグ
ラフィーで測定したところ、図11に示したように抗酸
化力およびキレート能をも有することが明らかとなっ
た。
【0029】実施例12 実施例1および2によって得られたN−オレオイル−カ
ルノシンおよびN−オレオイル−ヒスチジンの乳化力を
調べた。N−アシル化合物または市販の乳化剤を50m
Mリン酸緩衝液(pH7)に0.2%溶かし、この溶液
に大豆油を1/2容量加え、30℃条件下において超音波
処理を行い、所定時間30℃で放置後、分離した下層の
濁度をO.D(500nm)で測定することにより乳化
力を評価したところ、N−オレオイル−カルノシンおよ
びN−オレオイル−ヒスチジンの優れた乳化力が認めら
れた。その結果を表1に示す。表1中の乳化力はN−オ
レオイル−カルノシンの乳化力を100とした相対乳化
活性で表した。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】本発明によるN−アシルアミノ酸化合物
およびその製造方法は、前記のとおりであるから新規で
あるばかりでなく、極性および非極性溶媒中で抗酸化力
を示す新規な抗酸化剤であり、またこれらの化合物は非
常に強い乳化力を有し、さらに抗菌力、キレート力、紫
外線吸収力、保湿力等をも有しているので、化粧品、食
品、医薬品等の原料として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明によるN−アシルペプチドであるN−
オレオイルカルノシを示す赤外線吸収スペクトル図、
【図2】は本発明によるN−アシルアミノ酸であるN−
オレオイルヒスチジンを示す赤外線吸収スペクトル図、
【図3】はN−カプリノイルカルノシンの赤外線吸収ス
ペクトル図、
【図4】はN−オレオイルカルノシンメチルエステルの
赤外線吸収スペクトル図、
【図5】はN−カプリノイルヒスチジンの赤外線吸収ス
ペクトル図、
【図6】はN−オレオイルヒスチジルロイシンの赤外線
吸収スペクトル図、
【図7】はN−オレオイルグリシルグリシルヒスチジン
の赤外線吸収スペクトル図、
【図8】は本発明によるN−アシルアミノ酸化合物の抗
酸化力を示すグラフ、
【図9】は本発明によるN−アシルアミノ酸化合物の抗
酸化力を示すグラフ、
【図10】は本発明によるN−アシルアミノ酸化合物の
抗酸化力を示すグラフであり、また
【図11】は本発明によるN−アシルアミノ酸化合物の
抗酸化力を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 5/08 8318−4H C09K 15/22 6917−4H // C09K 3/00 108 9049−4H (72)発明者 寺尾 純二 茨城県つくば市吾妻2丁目810−103

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) R−CO−(NH−X−CO)n −OR1 (1) (ただし、式中(NH−X−CO)はアミノ酸残基を示
    し、(NH−X−CO)中のXは用いるアミノ酸の種類
    によって異なる。R−COは炭素原子数6〜24の飽和
    または不飽和脂肪酸残基を示す。R1 は水素原子、ナト
    リウム原子、カリウム原子またはメチル基を示す。また
    nは1〜3の整数であり少なくとも1個のヒスチジンを
    構成アミノ酸として含む。)で表されるN−アシルアミ
    ノ酸化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(2) 【化1】 (ただし、式中R−COは炭素原子数6〜24の飽和ま
    たは不飽和脂肪酸残基である。)で表わされるN−ヒド
    ロキシスクシンイミドエステルを、一般式(3) H−(NH−X−CO)n −OR1 (3) (ただし、式中(NH−X−CO)はアミノ酸残基を示
    し、(NH−X−CO)中のXは用いるアミノ酸の種類
    によって異なる。R−COは炭素原子数6〜24の飽和
    または不飽和脂肪酸残基を示す。R1 は水素原子、ナト
    リウム原子、カリウム原子またはメチル基を示す。また
    nは1〜3の整数であり少なくとも1個のヒスチジンを
    構成アミノ酸として含む。)で表わされるアミノ酸ない
    しペプチドとを反応させることを特徴とする一般式
    (1) R−CO−(NH−X−CO)n −OR1 (1) (ただし、His、X、R、R1 およびnは前記のとお
    りである。)で表わされるN−アシルアミノ酸化合物の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(1) R−CO−(NH−X−CO)n −OR1 (1) (ただし、式中(NH−X−CO)はアミノ酸残基を示
    し、(NH−X−CO)中のXは用いるアミノ酸の種類
    によって異なる。R−COは炭素原子数6〜24の飽和
    または不飽和脂肪酸残基を示す。R1 は水素原子、ナト
    リウム原子、カリウム原子またはメチル基を示す。また
    nは1〜3の整数であり少なくとも1個のヒスチジンを
    構成アミノ酸として含む。)で表わされるN−アシルア
    ミノ酸化合物を有効成分とする抗酸化剤。
  4. 【請求項4】 一般式(1) R−CO−(NH−X−CO)n −OR1 (1) (ただし、式中(NH−X−CO)はアミノ酸残基を示
    し、(NH−X−CO)中のXは用いるアミノ酸の種類
    によって異なる。R−COは炭素原子数6〜24の飽和
    または不飽和脂肪酸残基を示す。R1 は水素原子、ナト
    リウム原子、カリウム原子またはメチル基を示す。また
    nは1〜3の整数であり少なくとも1個のヒスチジンを
    構成アミノ酸として含む。)で表わされるN−アシルア
    ミノ酸化合物を有効成分とする乳化剤。
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