JPH056290Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は枚葉輪転印刷機において、給紙装置と
印刷ユニツトとの間のフイーダボード上へ送り込
まれる紙から不良紙を抜取る不良紙抜取り装置に
関するものである。

〔従来の技術〕

枚葉印刷機による印刷作業において、紙積台上
に積載された紙は、サツカ装置で上層から１枚ず
つ吸引され、印刷ユニツトとの間にやゝ傾斜して
架設されたフイーダボード上へ一部が重なつた状
態で送り込まれる。送り込まれた紙は、さらにフ
イーダボード前方の差板上へ送り込まれて天地方
向と左右方向とに見当を揃えられたのち、スイン
グ装置で印刷ユニツトに供給されて印刷が施され
る。

このような印刷作業においては、前記フイーダ
ボード上へ送り込まれる紙のなんらかの不良で給
紙が停止された場合には一般にフイーダボード上
へ送り込まれている紙のうちの先頭の１枚を取り
除かなければならないことが多い。

そこで従来、フイーダボード上において紙を押
えている紙押え装置のボード枠が、先端中心に揺
動して開閉できるように形成されており、先頭の
紙を取除く場合には、このボード枠を開いて固定
したのち行なつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、従来の装置においては、ボード
枠を開くときに先頭から２枚目以降の紙がずれな
いようにこれを片手で押えながら他方の手でボー
ド枠を開き、この開いた方の手で先頭の紙を取除
かなければならないので、操作性がきわめて悪
く、また押えていても紙がずれてしまい、このず
れを直すために長時間を要したり、あるいは多く
の紙を取除くことになつて損紙が多く発生すると
いう問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

このような問題点を解決するために本考案にお
いては、フイーダボードの紙対向面に開口し紙搬
送方向に延びる吸引孔を設け、吸引孔との間を吸
気管によつて吸気エア源に接続されてなり、フイ
ーダボード上の不良紙を検出しての給紙停止信号
で吸気状態となり、給紙開始信号により非吸気状
態となるように構成した。

〔作用〕

フイーダボード上で不良紙が発生すると、給紙
が停止すると同時に吸引孔からエア源が吸引され
るので、フイーダボード上の紙は吸引孔からのエ
アの吸引によりフイーダボードに吸着される。そ
こで、ボード枠を開いて不良紙を抜取るが、この
とき残りの紙が吸着されているのでずれることが
ない。抜取り後、ボード枠を閉じて給紙を開始す
ると吸引孔からのエアの吸引が停止する。

〔実施例〕

第１図ないし第４図は本考案に係る不良紙抜取
り装置の実施例を示し、第１図はこれを実施した
フイーダボード近傍の側面図、第２図は同じくフ
イーダボードの平面図、第３図は同じく側面図、
第４図は本考案を実施した２色刷枚葉輪転印刷機
の概要側面図である。図において、印刷機１は給
紙装置２と、印刷ユニツト３と、排紙装置４とを
備えており、給紙装置２には紙５を積載して自動
昇降する紙積台６と、紙５を上層のものから１枚
ずつ吸引して前方へ送り出すサツカ装置（図示せ
ず）とが設けられている。また、各印刷ユニツト
３には、版が装着された版胴７と、版にインキと
湿し水とを供給する図示しないインキ装置および
給水装置と、インキと湿し水とで版に形成された
画像が転写されるゴム胴８と、印刷時に印圧を加
える倍径圧胴９とが設けられており、隣接する圧
胴９間には、倍径の渡し胴１０が設けられてい
る。さらに、排紙装置４は、圧胴９と対接する紙
取胴１１と、これと同軸上のスプロケツト１２と
排紙フレーム前端のスプロケツト１３との間に張
架された左右一対の排紙チエーン１４とを備えて
おり、排紙チエーン１４の水平走行部下方には、
紙５を積載して自動昇降する紙積台１５が設けら
れている。

概略以上のように構成された印刷機１の給紙装
置２と印刷ユニツト３との間には、長方形板状に
形成されたフイーダボード１６が、前後左右のフ
レーム１７，１８に支持されやゝ傾斜して架設さ
れており、このフイーダボード１６上には複数条
の搬送テープ１９が、幅方向に並列して前後のロ
ーラ２０，２１，２２間に張架されている。２３
はローラ２１上に添接され、サツカ装置で吸引さ
れて前方へ搬送された紙５をローラ２１との間で
捕捉する紙送りローラであつて捕捉された紙５は
第２図、第３図に示すように一部が重ねられたい
わゆるさしみ状となつてフイーダボード１６上へ
送り出され、搬送テープ１９と後述する押えブラ
シ３１とで搬送される。２４は搬送された紙５の
天地、左右方向を揃える見当装置を備えた長方形
板状の差板であり、また、２５は差板２４上へ送
り込まれた紙５を咥えて圧胴９の爪に咥え替えさ
せるスイング装置である。そして、フイーダボー
ド１６の上方には全体を符号２６で示すボード枠
が第１図に実線と鎖線とで示すように開閉自在に
設けられている。このボード枠２６は、フイーダ
ボード１６前端部のブラケツト２７に枢支され開
閉両位置において蝶ねじ２８，２９で固定される
上下２段の方形枠状に形成された枠体３０を備え
ており、この枠体３０には紙５を押える回転自在
な円形の押えブラシ３１が、前後、左右に並列し
て板ばね３２と支持金具３３とを介して装着され
ている。このように構成されていることにより、
ボード枠２６を実線位置へ閉じることにより紙５
は押えブラシ３１と搬送テープ１９とで上下に挾
持されて搬送される。なお、第２図において符号
５Ａで示すものは最小紙である。フイーダボード
１６には紙対向面に開口して紙５の搬送方向へ延
びる２列の吸引孔３４がフイーダボード１６の表
裏を貫通して設けられており、フイーダボード１
６の裏面には、吸引孔３４と連通する漏斗状のダ
クト３５が固定されている。一方、フイーダボー
ド１６の下方には、吸引エア源としての真空ポン
プ３６が配設されており、この真空ポンプ３６と
ダクト３５の下端開口との間は、ホース３７で接
続されている。真空ポンプ３６は、フイーダボー
ド１６上に設けた不良紙検出センサとの間を制御
装置を介して電気接続されており、このセンサが
不良紙を検出して発する信号により給紙動作が停
止すると同時に、真空ポンプ３６が作動し、フイ
ーダボード１６上で停止する紙５がフイーダボー
ド１６の紙滑行面へ吸着されるように構成されて
いる。

以上のように構成された印刷機の動作を説明す
る。紙積台６上に紙５を積載して機械を始動する
と紙５は上層のものから１枚ずつサツカ装置で吸
引されて前方へ送られ、上下のローラ２３，２１
に捕捉されてフイーダボード１６上へ送り出され
る。この紙５は複数条の搬送テープ１９と押えブ
ラシ３１とでさしみ状に一部を重ねられながら搬
送され、差板２４上へ送り出されて見当を揃えら
れる。そしてこの紙５はスイング装置２５で咥え
られて搬送され印刷ユニツト３で印刷されたのち
排紙チエーン１４で搬送、排紙されて紙積台１５
上へ積載される。

このような印刷作業においては、前述したよう
にフイーダボード１６上でなんらかの原因で不良
紙が発生することがあるが、この場合には検出セ
ンサがこれを検出して信号を発し、給紙が停止す
るとともに、真空ポンプ３６が作動してフイーダ
ボード１６上の大気を吸引孔３４から吸引するの
で、フイーダボード１６上に一部が重なり合つて
停止した紙５は、フイーダボード１６に吸着され
る。そこでボード枠２６を第１図に鎖線で示すよ
うに開いたのち、先頭の不良紙を抜取るが、この
とき２枚目以降の紙５はフイーダボード１６に吸
着されているので、開くボード枠２６や抜取り紙
に伴なわれてずれたりすることがない。不良紙除
去後はボード枠２６を閉め、押ボタン操作により
給紙を行なつて印刷作業を再開する。この押ボタ
ン操作による信号で真空ポンプ３６が停止し、フ
イーダボード１６上の紙５を吸引から解放する。

〔考案の効果〕

以上の説明により明らかなように、本考案によ
れば枚葉輪転印刷機において、フイーダボードの
紙対向面に開口して紙の搬送方向に延びる吸引孔
を設け、吸引孔との間を吸気管によつて吸気エア
源に接続されてなり、フイーダボード上の不良紙
を検出しての給紙停止信号で吸気状態となり、給
紙開始信号により非吸気状態となるように構成し
たことにより、不良紙発生時にボード枠を開いて
不良紙を抜き取つても、不良紙発生と同時に吸引
孔からのエア吸引によつて、不良紙以外の紙がフ
イーダボードに吸着されているので、ずれること
がない。したがつて損紙の発生量が減少し、また
不良紙以外の紙を手で押える必要がないので、操
作性が向上するとともに不良紙の除去時間が短縮
され、短時間で印刷を再開することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案に係る枚葉輪転印
刷機の不良紙抜取り装置の実施例を示し、第１図
はこれを実施したフイーダボード近傍の側面図、
第２図は同じくフイーダボードの平面図、第３図
は同じく側面図、第４図は本考案を実施した２色
刷枚葉輪転印刷機の概要側面図である。 １……印刷機、２……給紙装置、５……紙、１
６……フイーダボード、２６……ボード枠、３４
……吸引孔、３６……真空ポンプ、３７……ホー
ス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 給紙装置から送り込まれる紙を一部重ねて搬送
   させるフイーダボードと、このフイーダボード上
   の紙を押える開閉自在なボード枠とを備えた枚葉
   輪転印刷機において、前記フイーダボードの紙対
   向面に開口して紙の搬送方向に延びる吸引孔を設
   け、この吸引孔との間を吸気管によつて吸気エア
   源に接続されてなり、前記フイーダボード上の不
   良紙を検出しての給紙停止信号で吸気状態とな
   り、給紙開始信号により非吸気状態となることを
   特徴とする枚葉輪転印刷機の不良紙抜取り装置。