JPH0562643A - 静電シヤツターを有する飛行時間型質量分析装置と分析方法 - Google Patents

静電シヤツターを有する飛行時間型質量分析装置と分析方法

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JPH0562643A
JPH0562643A JP3223919A JP22391991A JPH0562643A JP H0562643 A JPH0562643 A JP H0562643A JP 3223919 A JP3223919 A JP 3223919A JP 22391991 A JP22391991 A JP 22391991A JP H0562643 A JPH0562643 A JP H0562643A
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JP
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analyzer
ions
time
ion
electrostatic shutter
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Withdrawn
Application number
JP3223919A
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English (en)
Inventor
Shunichi Hayashi
林  俊一
Hidehiro Hashiguchi
栄弘 橋口
Joseph Mackintosh Bruce
ヨセフ マツキントシ ブルース
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FUAIZONZU PLC SCIENT EQUIP DEI
FUAIZONZU PLC SCIENT EQUIP DEIBIJIYON TOREIDEINGU ASU V G SCIENT
Fisons Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
FUAIZONZU PLC SCIENT EQUIP DEI
FUAIZONZU PLC SCIENT EQUIP DEIBIJIYON TOREIDEINGU ASU V G SCIENT
Fisons Ltd
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の飛行時間型質量分析装置がもっていた
次の欠点を改善する装置とその分析方法を提供する。
パルスイオン源に限られ、深さ方向分析に時間がかか
る。検出器の飽和が起こり、マススペクトルが歪み、
後段イオン化SNMSにおいて、後段イオン化された
イオンにスパッターイオンが混入して、精度・感度が劣
化する。 【構成】 飛行時間型質量分析装置に、引出し電極と分
析計との間に静電シャッターを設置するとともに、静電
シャッターの作動時期を分析計の測定開始時期あるいは
イオン生成時期に同期させる制御回路を設置する。これ
によりイオン検出する時期を任意に選択でき、必要なタ
イミングだけあるいは質量スペクトル範囲だけを選別し
て測定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被測定物質の元素組成
あるいは分子種あるいは同位体比を分析する質量分析装
置、特にイオン質量を飛行時間の違いから分離する飛行
時間型質量分析装置およびこれを用いる分析方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】質量分析法は被測定試料原子あるいは分
子をなんらかの手段でイオン化し、生成したイオンをそ
の質量の違いを利用して分離し検出する方法である。こ
の方法は迅速・高感度に試料の元素組成あるいは分子種
の同定・定量あるいは同位体比を測定するという特長か
ら広く利用されている。イオン種の分離には一般に、イ
オンを加速して電界あるいは磁界を通す時のイオンの飛
行挙動のイオン質量による違いを利用している。[文
献:応用物理学会編 応用物理ハンドブック、171
頁、丸善(1990)] イオン質量分離装置の一つに飛行時間型質量分析計があ
り、これは一定の電界で加速されたイオンが一定距離を
飛行するに要する時間がイオン質量の平方根に比例する
性質を利用している。この方法は試料の消費量が少なく
てすむという特徴と、広いイオン質量範囲を、言い換え
れば、全成分を瞬時に測定できるという特徴が有り、近
年、広く活用されるようになってきている。飛行時間型
質量分析計を用いる質量分析装置は、図2に示すよう
に、試料7をイオン化するイオン発生部1、放出される
イオン15を加速しつつ分析計に取入れる引出し電極
2、イオン質量を飛行時間の違いにより分離し検出する
飛行時間型分析計3、分析計の終端にイオンを検出する
検出器4、検出信号を質量スペクトルとして変換して表
示する計数記録部5、イオン生成とイオン計数開始時期
との同期をとる制御回路6から構成されている。イオン
発生部で瞬間的パルス状に生成されるイオンが検出器へ
到達するまでの遅延時間を測定してこれを横軸とし、検
出イオン個数を縦軸として質量スペクトルが得られる。
測定する質量スペクトルの信頼性を上げるために通常
は、イオン発生部でのイオン生成からイオン検出までを
繰り返して、多数回積算したスペクトルをもって一つの
質量スペクトルとしている。この装置では分析計へのイ
オンの導入を瞬間的に、一般的にはμsec 以上望ましく
は数10nsecの短時間で行うことが必要である。イオン
入射の時間幅が大きいと分析計通過後に得られる質量ス
ペクトルのスペクトル幅が広がり、異なるイオン種を分
離する能力(質量分解能)が劣化する。そのために分析
計へ入るイオンをパルス化する手段が講じられている。
通常はイオン発生部において瞬間的イオン生成が行われ
ている。例えば、短パルスのイオンビームまたはレーザ
ービーム、あるいは瞬間的電子衝撃を試料に加えて、試
料構成粒子(原子または分子)のイオン化を瞬間的に行
っている。また、分析計に入ったイオンが分析され終わ
るまで次のイオン生成ができないので、間欠的な分析と
なる。このことは微小量の試料の分析において試料の消
費を押さえて高感度に分析するには非常に好都合なこと
であるが、イオンビームあるいはレーザービームなどで
試料表面原子を剥離しつつ試料内部まで分析したい場合
には時間がかかりすぎるという欠点があった。さらに、
瞬間的に生成するイオンを分析するために、分析計の検
出器に試料マトリックスイオンが検出される際、同時に
大量のイオンが検出器に到達するために検出器が飽和
し、正常な質量スペクトルが得られないことがあった。
検出器に高時間分解能を有するTime-to-Digital Conver
ter (TDC)を使用してもこの問題は克服できない。
また、過剰なイオンの検出は検出器の劣化を早める原因
にもなっていた。
【0003】質量分析法の一種である二次イオン質量分
析法(SIMS法)は、高速の一次イオンビームを固体
試料表面に入射し、試料表面から放出される二次イオン
を検出して表面を構成する元素あるいは分子の情報を得
る表面分析法である。SIMS法は、その高感度に試料
表面の元素を検出できるという特長から半導体産業をは
じめとして広く利用されてきている。しかし、SIMS
法によって試料表面近傍の定量的な分析結果を得ること
は困難である。なぜなら、試料表面からスパッターされ
た粒子のイオン化の確率は当該表面の組成及び化学状態
に鋭敏に左右されるためである(マトリックス効果)。
この問題の改善策として、スパッターで放出された中性
粒子にレーザーを照射してイオン化し質量分析する方法
(レーザーイオン化SNMS)が開発されている[特公
表:昭60−500866]。この方法の利点は、レー
ザーイオン化のイオン化効率が高いため(1)定量性が
高い、(2)高感度化が期待できることである。その方
法には、パルスレーザーと飛行時間型質量分析計との組
合わせが最も好都合である。この場合、イオンビームに
より発生するスパッター粒子イオンとスパッター中性粒
子がレーザー照射でイオン化される(後段イオン化と呼
ぶ)イオンとは、生成時期および引出し電極により与え
られる運動エネルギーに差がある。よって、両者を一緒
に測ることは質量分解能の低下および定量性の低下とな
るので、両者を分離して測定する必要がある。この分離
法として、引出し電極により与えられる運動エネルギー
がスパッター粒子イオンと後段イオン化イオンとで異な
ることを利用する方法が用いられている。即ち、通常の
飛行時間型質量分析計の中にイオン入射口の反対側終端
に静電反射器を設置し、阻止電圧を印加することによ
り、イオンを反射させた後検出する方式によりイオンの
運動エネルギーを選別する方法がとられてきた。しか
し、これでも後段イオン化イオンからスパッター粒子イ
オンの信号を十分に除去できず、混入するスパッター粒
子イオンがバックグラウンドとなって十分な高感度化が
達成できていなかった。
【0004】従来既に、引出し電極と飛行時間型質量分
析計との間に静電的偏向板が設置されたものがある[文
献:工業分析(上),264頁,日本工業新聞社(19
69)]。しかし、これはイオンの飛行軌道を偏向調整
して検出器へのイオンの収率を高めることが主な目的で
あり、イオンの検出を高速に断続するものではないため
に、上記の問題の解決にはなっていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を改善できるものである。即ち、試料表面からイオンビ
ームあるいはレーザービームで試料を剥離しつつ試料内
部まで分析する場合にも連続あるいは長パルスのイオン
ビームあるいはレーザービームを使えるようにする。全
てのイオン種が多量に検出器に入るために起こる検出器
の飽和やそれによる検出器の劣化の問題を解消する。さ
らにスパッター中性粒子を後段イオン化する場合に起こ
る、後段イオン化で生成するイオンからスパッターで発
生するイオンを分離しきれない問題を解決することを目
的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、飛行時間型質量分析計へのイオン導入時期を、イオ
ン生成時期により規制するのではなく、これと独立にイ
オンの飛行軌道を断続的に偏向する機構を付加すること
によって、分析計へのイオンの導入時期を任意に選択す
るものである。この目的のために静電シャッターを分析
計の前に置き、この静電シャッターへの電圧の印加によ
って、通過するイオンに静電的斥力あるいは引力を与え
てイオンの飛行軌道を偏向させる。電圧の印加を制御回
路によって断続的に行うことによって、イオンの分析計
への導入時期を任意に選択する、つまり静電シャッター
としての機能をもつことになる。本発明の構成は試料構
成粒子をイオン化するイオン発生部と該イオン発生部か
らのイオンを分析する飛行時間型質量分析計と該イオン
発生部と該分析計との間に置かれイオンを加速しつつ分
析計に取入れる引出し電極を備えた質量分析装置におい
て、引出し電極と分析計との間に静電シャッターを設置
したことと、静電シャッターの作動時期に分析計の測定
開始時期を同期させる制御回路を設置したことを特徴と
する。
【0007】試料構成粒子をイオン化するイオン発生部
はパルス状にイオン化するものと、連続的にイオン化す
るものとがある。イオン化の手段としてはイオンビー
ム、レーザービーム、中性粒子ビームを照射する方法、
プラズマを利用する方法、表面電離による方法がある。
引出し電極は測定するイオン電荷と逆符号の電荷を与え
られており、測定イオンを静電的吸引力で引き込み、分
析計への導入を行うものである。
【0008】静電シャッターの形は通常、薄板状をな
し、イオンの通路からやや離れてこれに平行に置かれ
る。シャッターとして静電型が選ばれたのは迅速な応答
ができること、構造が簡単なためである。静電シャッタ
ーは飛行時間型質量分析計の内部入口付近に置かれる場
合もある。制御回路は静電シャッターの作動時期つまり
印加電圧の断続時期と分析計の測定開始時期およびイオ
ン発生部のパルス的イオン化時期との同期をとる役割を
持つ。
【0009】スパッター中性粒子を後段イオン化する方
法では、試料構成粒子をスパッターする手段としてはイ
オンビーム、レーザービーム、中性粒子ビームを照射す
る方法などがある。後段イオン化の手段はレーザービー
ムあるいは電子ビームの照射が有効である。スパッター
により生成するイオンと後段イオン化で生成するイオン
とを分離するために静電シャッターの作動時期を後段イ
オン化時期に対応させる。そのために後段イオン作動時
期と静電シャッターの作動時期とを制御回路により同期
をとる。
【0010】
【作用】本発明の作用を具体的に説明する。本発明によ
り連続イオン発生部を適用可能とする例を、図1の装置
構成図、図3の装置作動のタイムダイヤグラムを示す図
に基づき説明する。図1の実施例は測定試料7、これに
照射する一次イオン発生装置11からの一次イオンビー
ム8、生成する二次イオン9を加速しつつ分析計方向に
向かわせる引出し電極2、イオン質量を飛行時間の違い
により分離し検出する飛行時間型分析計3、分析計の終
端に設けられたイオンを検出する検出器4、引出し電極
と分析計との間に設けられた前記分析計へのイオンの取
り込み時期を制御する静電シャッター10、この静電シ
ャッターを作動させるとともに計数記録部5との同期を
とるための制御回路6から構成されている。試料構成粒
子のイオン化にイオンビームを使っているが、レーザー
ビーム、中性粒子ビームを照射する方法、プラズマを利
用する方法などの方法も採用可能である。また、ここで
は一次イオンビームは連続ビームが使われているが長パ
ルスのパルスイオンビームでもかまわない。この場合は
制御回路は一次イオンビームの発生と静電シャッターと
の同期をもとる。これらの一次イオンビームにより試料
原子は剥離され、一部の剥離原子はイオン化されて二次
イオンとなる。このイオンは引出し電極により加速され
つつ分析計の方向に向かう。図3の静電シャッターの
印加電圧に示すように通常静電シャッターには直流電圧
が印加されているので、イオンは静電シャッターの前を
通過する時点でその電界のために偏向され分析計に入ら
ない。即ち、静電シャッターは閉じている。間欠的かつ
瞬間的に静電シャッターへの印加電圧を解除し、静電シ
ャッターを開く。その短い時間だけイオンを分析計に導
入させる。静電シャッターへの電圧印加パルスに同期し
た同期パルスが制御回路を介して計数記録部に伝えら
れ、検出器で検出されるイオンの計数を開始し、横軸を
遅延時間、縦軸をイオンカウント数として質量スペクト
ルを表示記録する。これにより、連続イオンビームを使
って試料原子を早い速度で剥離しつつ、飛行時間型質量
分析計による分析を可能にしている。静電シャッターへ
の電圧印加パルス幅は通常のパルスイオン化のパルス幅
(望ましくは通常数10nsec)に等しいことが必要であ
る。
【0011】次に本発明により、測定するイオン質量範
囲を選択する例について説明する。図1と同じ装置構成
を用いる。ただし試料構成粒子のイオン生成には、例え
ばパルスイオンビームを試料に照射するようなパルスイ
オン発生部を用いる。パルス状に生成するイオンは試料
と引出し電極との間に印加された電圧に相当する運動エ
ネルギーを与えられ、分析計へ導入されるが、それぞれ
イオンはその質量の違いのために静電シャッターに到達
する時間が異なる。この到達時間差を利用して、静電シ
ャッターの開閉により測定するイオン質量範囲を任意に
選択できる。例えばシリコン中の重金属を測定する場
合、二次イオンパルスが静電シャッターの前を通過する
時期の内、早い時期は静電シャッターを閉じて置き、通
常より遅れて静電シャッターを開く。図4にこの場合の
装置作動のタイムダイヤグラムを示す。マトリックスで
あるシリコンの大量のイオンを偏向させて分析計への侵
入を阻止し、かつ注目している重元素は測定することが
できる。これにより注目していないイオン種が多量に検
出器に入るために起こる検出器の飽和やそれによる検出
器の劣化の問題を解消することができる。
【0012】さらにスパッター中性粒子をレーザー照射
して後段イオン化する方法(後段レーザーイオン化SN
MS)において、レーザーによる後段イオン化により生
成するイオンとスパッターで発生する二次イオンとを分
離しきれない問題を解決する本発明の作用を図5、図6
を参照して説明する。図5に示すように被測定試料7
に、パルス化した一次イオンビーム8を照射し、スパッ
ター現象により中性粒子と二次イオン14が放出され
る。二次イオンは試料と引出し電極2との間に印加され
た電圧に相当する運動エネルギーを与えられ、引出し電
極2を通過する。静電シャッター10を通過する時点
で、静電シャッター10は電圧が印加されているので、
二次イオン9は偏向され、分析計3の入口に到達できな
い。スパッター中性粒子は引出し電極2による電界を感
知しないのでイオンスパッターで与えれる緩やかな速度
で飛行した後、レーザービーム12の照射により後段イ
オン化される。その後、引出し電極の電界により加速さ
れ引出し電極を通過し、静電シャッター10上に到達す
る。その時点では、静電シャッターの印加電圧は0にな
り、レーザーイオン化されたイオンは偏向せずに分析計
に到達できる。図6に後段レーザーイオン化SNMSの
場合の装置作動のタイムダイアグラムを示す。一次イオ
ンビームパルスが試料に入射開始される時点からレー
ザーパルスが照射されるまでは静電シャッターは電圧
印加されており、静電シャッターを通過する二次イオ
ンは偏向され分析計には到達しない。二次イオンが通過
後、低速度で飛行してくる中性粒子にレーザービームが
照射されるようレーザーパルスが発振される。レーザ
ーで後段イオン化されたイオンが引出し電極の電圧によ
り加速され、静電シャッターを通過する時には静電シャ
ッターに印加電圧はなく、イオンは直進して分析計に導
入される。レーザーパルスから一定時間遅れて計数記録
部はスペクトルの記録を開始する。このようにレーザー
イオン化SNMSにおいて、測定すべき中性粒子がレー
ザーイオン化されたイオンから二次イオンを確実に分離
し測定することができる。
【0013】
【実施例】以下に、発明の実施例について説明する。最
初に、飛行時間型質量分析計を用いて二次イオン質量分
析法により深さ方向分析するのに、一次イオンビームと
して連続ビームを使った例を示す。被測定試料としてニ
ッケル/クロム多層膜標準試料(NIST SRM 2
135)を用いた。各層厚はクロム64nm、ニッケル5
3nmで、クロム層を最表層として交互に計9層積層され
ている。一次イオンビームを試料表面に照射し、生成す
るCrおよびNiの各正イオンを検出して、その時間変
化をもって深さ方向分布とする。一次イオンビームとし
て酸素イオンビームを、加速エネルギー7keV 、イオン
電流1μA 、ビーム径20μm 、試料上を200×20
0μ m2で走査しつつ照射する。このイオンビームをパ
ルス幅50nsec,周波数20kHz のパルスビームとして
試料に照射し、表面から深さ方向分析を行うと、最初の
1層を測定するのに18時間を要し、とてもこの種の厚
めの試料の深さ方向分析には適用できなかった。同じイ
オンビームを連続ビームとして用い、本発明による静電
シャッターを適用した。静電シャッターの条件はシャッ
ター開時間を30nsec,シャッターの開閉サイクルを1
0kHz で測定した。全9層を測定するのに10分で終了
した。この様に飛行時間型質量分析計を使っても、深さ
方向分析を迅速に実施することができた。
【0014】次にパルス状に生成したイオンの全てを検
出するのではなく、検出するイオン質量範囲を選別して
検出することにより、特別に強いイオンの検出による検
出器の飽和を回避する例を示す。被測定試料として高純
度アルミニウム標準試料(NIST SRM C125
7)を用いた。これは不純物としてFeを1ppm 含んで
いる。この試料の不純物の測定のために二次イオン質量
分析法により質量スペクトルを測定した。一次イオンビ
ームとして酸素イオンパルスビーム(加速エネルギー7
kev ,イオン電流1.5μA 、パルス幅50nsec)を用
いた。この場合、極低濃度であるFeを検出するために
多量の試料原子をスパッターする必要があり、一次イオ
ンビームはできるだけ強くしてある。そのため、静電シ
ャッターを使わない場合は、マトリックス元素でしかも
この方法でイオン化効率の高いAlイオン(質量数2
7)が大量に生成し、これが検出器に入ると検出器の飽
和が起こるとともにその履歴のために正確な質量スペク
トルが得られなかった。本発明を適用して、静電シャッ
ターによる生成する二次イオンの選別測定を行った。試
料と引出し電極との間の印加電圧は4kVとした。静電シ
ャッターを開く時期を、Alイオン(質量数27)が通
過した後でしかも注目しているFeイオン(質量数5
6)が到達する前の質量数40前後のイオンが通過する
時期として質量スペクトルをとる。不純物元素のイオン
強度を規格化するためには、得られる質量スペクトルの
中から、Alイオンピークの代用としてAlピークに比
べて強度の弱いAl2 (質量数54)イオンピーク強度
で他の重元素例えば質量数56のFeイオンとのピーク
強度を規格化する。このように全てのイオンを検出する
と検出器の飽和がおこる場合にも、検出するイオン質量
範囲を静電シャッターで選別することができた。
【0015】最後に本発明をレーザーイオン化SNMS
に適用して得た分析結果を示す。被測定試料として鉄鋼
標準試料(NIST SRM 463)を用いた。当試
料にはTa 1500ppm 、W 1050ppm 、Pb
120ppm などが含まれている。測定条件は、一次イオ
ンとしてAr+ (3μA 、パルス幅2.0μsec )を用
い、後段イオン化用レーザにはArFエキシマーレーザ
ー(波長193nm、パルス幅18nsec、100mJ)を用
いた。質量スペクトルを得る積算回数は、10000パ
ルスとした。図7に本発明を適用し静電シャッターを用
いた場合の質量スペクトル(160〜220 atomic m
ass unit)を(A)に、静電シャッターを用いない場合
の質量スペクトルを(B)に示す。181 a.m.u.は1
81Ta+ を、182、183、184、186はW+
に相当し、197はTao+ 、206、207、208
はPb+ に相当する。ピーク強度は、静電シャッターを
用いても用いなくても変化しない。それに対してバック
グラウンドノイズは静電シャッターを用いないと、10
倍近く高くなっている。これは二次イオンが分離されな
いためにバックグラウンドに検出されているものであ
る。図7の結果は静電シャッターを用いることによっ
て、バックグラウンドが減少し、検出限界が大幅に改善
されることを示している。
【0016】
【発明の効果】本発明により、従来、飛行時間型質量分
析装置が持っていた短パルスイオン発生部に限られると
いう欠点を改善し、長パルスイオン発生部あるいは連続
イオン発生部も採用できるようになった。固体試料表面
の深さ方向分析にも飛行時間型質量分析装置を適用して
迅速な測定を可能にした。また、測定するイオン質量範
囲の選択ができるようになり、検出器の飽和の問題も改
善した。特にスパッター中性粒子を後段イオン化する方
法に適用するとスパッターイオンを除外して後段イオン
化イオンだけを測定でき、より高感度・高精度分析を可
能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による装置構成を示す図である。
【図2】従来の飛行時間型質量分析装置を示す図であ
る。
【図3】本発明を連続イオン発生部に適用した場合の装
置作動のタイムダイヤグラムを示す図である。
【図4】検出イオンの範囲を選択する場合の装置作動の
タイムダイヤグラムを示す図である。
【図5】レーザーイオン化SNMSへの本発明の実施例
を示す図である。
【図6】レーザーイオン化SNMSへ本発明を適用する
場合の装置作動のタイムダイヤグラムを示す図である。
【図7】レーザーイオン化SNMSにおいて静電シャッ
ターを動作させた時(A)およびさせない時(B)の質
量スペクトルである。
【符号の説明】
1 イオン発生部 2 引出し電極 3 飛行時間型質量分析計 4 検出器 5 計数記録部 6 制御回路 7 測定試料 8 一次イオンビーム 9 二次イオン 10 静電シャッター 11 一次イオンを生成するイオン銃 12 レーザービーム 13 レーザーイオン化イオン 14 中性粒子と二次イオン 15 イオン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 俊一 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式会社第1技術研究所内 (72)発明者 橋口 栄弘 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式会社第1技術研究所内 (72)発明者 ブルース ヨセフ マツキントシ 英国ウエスト サセツクス アールエツチ 19 1イージー、イースト グリーンステ ツド、レオナルド パーク ストリート 133

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料構成粒子をイオン化するイオン発生
    部と該イオン発生部からのイオンを分析する飛行時間型
    質量分析計と該イオン発生部と該分析計との間に置かれ
    イオンを加速しつつ分析計に取入れる引出し電極を備え
    た質量分析装置において、前記引出し電極と前記分析計
    との間に静電シャッターを設置したことと、該静電シャ
    ッターの作動時期に前記分析計の測定開始時期を同期さ
    せる制御回路を設置したことを特徴とする質量分析装
    置。
  2. 【請求項2】 イオン発生部が試料構成粒子をスパッタ
    ーする手段とスパッターされた試料中性粒子に照射しイ
    オン化する後段イオン化の手段からなるイオン発生部で
    あり、スパッター中性粒子のイオン生成時期と静電シャ
    ッターとを同期させる制御回路を設置したことを特徴と
    する請求項1記載の質量分析装置。
  3. 【請求項3】 試料構成粒子を連続あるいは長パルス状
    にイオン化するイオン発生部と、該イオン発生部からの
    イオンを分析する飛行時間型質量分析計と、該イオン発
    生部と該分析計との間に置かれイオンを加速しつつ分析
    計に取入れる引出し電極と、該引出し電極と該分析計と
    の間に設置した静電シャッターと、該静電シャッターの
    作動時期に前記分析計の測定開始時期を同期させる制御
    回路を設置した質量分析装置を用いて、間欠的かつ瞬間
    的に静電シャッターを開きその短い時間だけイオンを分
    析計に導入させるとともに、制御回路により静電シャッ
    ターの作動と同期して分析計の検出を開始させることを
    特徴とする質量分析方法。
  4. 【請求項4】 試料構成粒子をパルス状にイオン化する
    イオン発生部と、該イオン発生部からのイオンを分析す
    る飛行時間型質量分析計と、該イオン発生部と該分析計
    との間に置かれイオンを加速しつつ分析計に取入れる引
    出し電極と、該引出し電極と該分析計との間に設置した
    静電シャッターと、該静電シャッターの作動時期に前記
    分析計の測定開始時期を同期させる制御回路を設置した
    質量分析装置を用いて、生成イオンが静電シャッターを
    通過する時間のイオン質量による違いに対応させて静電
    シャッターを開く時期を制御して、検出するイオン質量
    範囲を選択することを特徴とする質量分析方法。
  5. 【請求項5】 試料構成粒子をスパッターする手段とス
    パッターされた試料中性粒子に照射しイオン化する後段
    イオン化の手段からなるイオン発生部と、該イオン発生
    部からのイオンを分析する飛行時間型質量分析計と、該
    イオン発生部と該分析計との間に置かれイオンを加速し
    つつ分析計に取入れる引出し電極と、該引出し電極と該
    分析計との間に設置した静電シャッターと、スパッター
    中性粒子のイオン生成時期と静電シャッターの作動時期
    と分析計の測定開始時期とを同期させる制御回路を設置
    した質量分析装置を用いて、後段イオン生成時期に静電
    シャッターの作動時期および分析計の測定開始時期を同
    期させて後段でイオン化されたイオンからスパッターで
    生成したイオンを分離して検出することを特徴とする質
    量分析方法。
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