JPH056167U - 斜板式圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 空調使用を清閑に行い得る斜板式圧縮機を提
供するものである。 【構成】 支持部材７の凹部７ａに設けられたコイルス
プリング９と凹部７ａ内壁との隙間に対し、弾性を有す
る吸振材１０を設けている。これにより、凹部７ａ内で
のコイルスプリング９に対するがたつきを抑制し、コイ
ルスプリング９からのノイズ発生音の減衰を図り得る斜
板式圧縮機を構成している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、主として自動車用の空調装置等に含まれる斜板式圧縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の斜板式圧縮機は、図４にその一部を示す如く、円筒型ケーシン グ１の一端部に一体的に形成されたシリンダブロック３と、このシリンダブロッ ク３と円筒型ケーシング１の他端を閉塞したフロントハウジング（図示せず）と の間に画成されたクランク室２と、このフロントハウジングに軸受され、クラン ク室２内に延在し、傾斜面を有する回転斜板５を固着した回転主軸４と、回転斜 板５の傾斜面に対向した揺動板６と、この揺動板６の中央部を支持する支持部材 ７とを備えている。

【０００３】 支持部材７は、シリンダブロック３に形成された嵌合孔３１にキー１１によっ て、その軸回りの回転が規制され、且つ軸方向では可動であるように取り付けら れている。この支持部材７に形成された凹部７ａには、コイルスプリング９が設 けられ、これにより支持部材７は揺動板６に向けて付勢されている。又、支持部 材７には、傘歯車７１が設けられ、揺動板６にもこの傘歯車７１に噛み合う傘歯 車６１が設けられている。ここでは、支持部材７がコイルスプリング９によって 付勢されることによって、傘歯車６１，７１の噛み合いが保持されると共に、揺 動板６の回動が阻止されている。従って、コイルスプリング９を含む支持部材７ は、揺動板６に対する回転阻止機構と呼ばれても良い。

【０００４】 このような構成による斜板式圧縮機は、回転主軸４及び回転斜板５の回転に従 って揺動板６が揺動する。この揺動板６の揺動によってピストン２１が駆動され 、圧縮作用が得られる。尚、図４に示す斜板式圧縮機は、自動車用空調装置に適 するものである。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、コイルスプリング９が支持部材７の凹部７ａの内壁に対して隙 間を有している為、揺動板６の揺動時に振動が支持部材７を介してコイルスプリ ング９に伝わり、コイルスプリング９が凹部７ａ内でがたつき、振動してノイズ 音を生じる。この為、自動車の運転者に対し、空調使用時に不快感を与えてしま うという問題がある。

【０００６】 本考案は、かかる事情を鑑みなされたもので、その目的は、空調使用を清閑に 行い得る斜板式圧縮機を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案によれば、傾斜面を有し、回転駆動を受けて回転する回転斜板と、前記 回転斜板の傾斜面に対向して設けられ、前記回転斜板の回転に連動して揺動する 揺動板と、前記揺動板に係合して前記揺動板の回動を規制すると共に、凹部を有 する支持部材と、前記支持部材の凹部に配され、前記揺動板を前記傾斜面に向け て付勢する付勢部材とを備えた斜板式圧縮機において、前記付勢部材と前記支持 部材の内面との隙間に吸振材を備えた斜板式圧縮機が得られる。

【０００８】 又、実施態様としては、傾斜面を有し、回転駆動を受けて回転する回転斜板と 、前記回転斜板の傾斜面に対向して設けられ、前記回転斜板の回転に連動して揺 動する揺動板と、前記揺動板に係合して前記揺動板の回動を規制すると共に、凹 部を有する支持部材と、前記支持部材の凹部に配され、前記揺動板を前記傾斜面 に向けて付勢する付勢部材とを備えた斜板式圧縮機において、前記付勢部材を、 弾性及び吸振性を有するように形成された弾性吸振材にしても良い。

【０００９】

【作用】

本考案は、斜板式圧縮機が有する支持部材の凹部に設けられた付勢部材と凹部 内壁との隙間に対し、弾性を有する吸振材を設けている。これにより、凹部内に おける付勢部材のがたつきが抑制され、付勢部材の振動によるノイズ音発生を低 減できるようにしている。又、弾性及び吸振性を有する弾性吸振材を支持部材の 凹部に配した斜板式圧縮機を構成し、振動による弾性吸振材からのノイズ音の発 生を低減できるようにしている。

【００１０】

【実施例】

以下に実施例を挙げ、本考案の斜板式圧縮機について詳細に説明する。図１は 、本考案の一実施例である斜板式圧縮機の構成を断面により示したものである。

【００１１】 斜板式圧縮機は、図１に示す如く、ケーシング１内の一端側に別部品としての シリンダブロック１２を内包している。このケーシング１のシリンダブロック１ ２側の端部は、弁板８及び、吸入室１４と吐出室１５とを形成したシリンダヘッ ド１６によって閉塞されている。又、ケーシング１のシリンダブロック１２の反 対側の端部は、中央部に回転主軸４を支持したフロントハウジング１７によって 閉塞されている。

【００１２】 フロントハウジング１７の中央部には、ラジアルニードルベアリング１８を配 し、回転主軸４の回転を円滑に行い得るようにしている。又、回転主軸４のクラ ンク室２内側には、楔形の回転斜板５を嵌着固定させている。回転斜板５の傾斜 面には、揺動板６を対向させている。揺動板６の中央部には、鋼球１９の一部を 受ける球受部が形成され、この球受部の周囲には傘歯車６１が設けられている。 シリンダブロック１２の中央孔に固定された支持部材７は、鋼球１９の他部を受 ける球受部を有し、この球受部の周囲に傘歯車７１を有する。傘歯車６１，７１ の歯数は、互いに等しい。

【００１３】 支持部材７は、シリンダブロック３に形成された嵌合孔３１にキー１１によっ て、その軸回りの回転が規制されるが、軸方向では可動であるように取り付けら れている。この支持部材７には、凹部７ａが形成されている。凹部７ａにはコイ ルスプリング（付勢部材）９が設けられている。このコイルスプリング９は、支 持部材７を揺動板６に向けて押圧して傘歯車６１，７１の噛合を維持するもので ある。加えて、支持部材７の凹部７ａに設けられたコイルスプリング９と凹部７ ａ内壁との隙間に、弾性を有する吸振材１０を設けている。この吸振材１０は、 耐熱性のある合成ゴム若しくは樹脂を素材としている。これにより、揺動板６の 回動が阻止される。

【００１４】 更に、揺動板６は、ロッド２０を介してピストン２１に接続されている。この 結果、ピストン２１は、揺動板６の揺動に応じて連動し、シリンダ室２２内を往 復動する。フロントハウジング１７と回転斜板５との間には、スラスト軸受け２ ３が備えられ、これと同様に回転斜板５の傾斜面と揺動板６との間にもスラスト 軸受け２４が備えられている。

【００１５】 尚、回転主軸４への動力の伝達は、電磁クラッチ部２５を介して行われる。電 磁クラッチ部２５は、自動車のエンジン（図示せず）の回転力の回転主軸４への 伝達を掛け外しするものである。

【００１６】 次に、斜板式圧縮機の動作を説明する。先ず、エンジンの回転力を受けた回転 主軸４の回動により回転斜板５が回転し、これに伴って揺動板６が鋼球１９を支 点として揺動する。揺動板６の揺動はピストン２１を駆動するが、同時にそのと き生じる振動が鋼球１９を介して支持部材７に伝達される。回転主軸４の回動が 進行すると、ピストン２１が所定範囲で往復運動する。これにより、圧縮作用が 得られる。このとき、支持部材７はクランク室２内で回転軸方向に支持部材７と 係止ナット２６との間隔ｘ範囲内で微小な往復運動する。これに伴い、コイルス プリング９には支持部材７を介して振動が伝えられるが、その振動は吸振材１０ により吸振されて減衰される。

【００１７】 このように図１に示す斜板式圧縮機は、コイルスプリング９の周囲の隙間に弾 性を有する吸振材１０を設けているので、コイルスプリング９のがたつきが抑制 されるばかりでなく、コイルスプリング９の振動が減衰される。この結果、コイ ルスプリング９の凹部７ａ内におけるノイズ音が殆ど発生しなくなる。

【００１８】 図２は、支持部材７の凹部７ａに設けられた吸振材１０を説明するために示す ものである。吸振材１０は、コイルスプリング９の外周を凹部７ａ内において隙 間無く覆うものである。吸振材１０の弾性は基本的にコイルスプリング９の回転 主軸方向における弾性変位を妨げないことが望ましい。

【００１９】 図３は、上述したコイルスプリング９及び吸振材１０の機能を、一体的に得ら れるようにした弾性吸振材１００を示したものである。この弾性吸振材１００も 、耐熱性のある合成ゴム若しくは樹脂を素材とするものである。但し、この弾性 吸振材１００の場合、支持部材７を付勢するための弾性を有することの他、耐久 性の向上を図り得る硬質材料であることが望ましい。例えば図３に示す弾性吸振 材１００は、弾性及び硬質を保持するために、蛇腹型の構造を成している。即ち 、この弾性吸振材１００を凹部７ａに設け、本考案の他の実施例としての斜板式 圧縮機を構成した場合も、図１に示した斜板式圧縮機と同様の効果が得られる。

【００２０】

【考案の効果】

以上に述べた通り、本考案によれば、支持部材の凹部に設けられる弾性機能を 改良し、がたつき及び振動を抑制できるようにしているので、ノイズ発生音を大 幅に低下させ得る斜板式圧縮機が得られる。これにより、本考案の斜板式圧縮機 を含む空調装置を備えた車両における空調使用の清閑化が図られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例である斜板式圧縮機を示す断
面図である。

【図２】図１の斜板式圧縮機の要部のみを示した図であ
る。

【図３】本考案の他の実施例である斜板式圧縮機に含ま
れる支持部材に装着可能な弾性吸振材の一例を示したも
のである。

【図４】従来の斜板式圧縮機の一部を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ケーシング ２ クランク室 ３ シリンダブロック ４ 回転主軸 ５ 回転斜板 ６ 揺動板 ７ 支持部材 ８ 弁板 ９ コイルスプリング １０ 吸振材 ２６ 係止ナット １００ 弾性吸振材

フロントページの続き (72)考案者 阿久澤 仁志 群馬県伊勢崎市寿町20番地 サンデン株式 会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 傾斜面を有し、回転駆動を受けて回転す
   る回転斜板と、前記回転斜板の傾斜面に対向して設けら
   れ、前記回転斜板の回転に連動して揺動する揺動板と、
   前記揺動板に係合して前記揺動板の回動を規制すると共
   に、凹部を有する支持部材と、前記支持部材の凹部に配
   され、前記揺動板を前記傾斜面に向けて付勢する付勢部
   材とを備えた斜板式圧縮機において、前記付勢部材と前
   記支持部材の内面との隙間に吸振材を備えたことを特徴
   とする斜板式圧縮機。
2. 【請求項２】 傾斜面を有し、回転駆動を受けて回転す
   る回転斜板と、前記回転斜板の傾斜面に対向して設けら
   れ、前記回転斜板の回転に連動して揺動する揺動板と、
   前記揺動板に係合して前記揺動板の回動を規制すると共
   に、凹部を有する支持部材と、前記支持部材の凹部に配
   され、前記揺動板を前記傾斜面に向けて付勢する付勢部
   材とを備えた斜板式圧縮機において、前記付勢部材は、
   弾性及び吸振性を有する弾性吸振材で形成されたことを
   特徴とする斜板式圧縮機。