JPH0560942B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は採尿器に関する。さらに詳しくは、老
人や失禁者用の採尿器に関する。

［従来の技術］ 従来より寝たきり老人や失禁者用の看護を便な
らしめるため、人体に常時装着して用いられる採
尿器が病院などで多く使われている。

本発明者はそのような採尿器として、あらゆる
患者に対して用いることができ、着用時の違和感
やペニスを損傷するような不都合がなく、寝たき
り老人や病人などの世話に便利なように寝たまま
でも採尿することができ、なおかつ尿が外部に漏
れることなく衛生的に使用することができる採尿
器（特願昭61−51098号）をすでに提供している。

その採尿器は、ペニス挿入用の開口部が片方の
面に設けられた袋状の採尿袋と、、前記開口部よ
り小さな孔が穿設せられた膜状の逆流防止用遮蔽
膜と、前記開口部に対応する孔を有する柔軟な薄
板状のフランジとからなり、前記遮蔽膜とフラン
ジが採尿袋の開口部に対応するようにして採尿袋
に固着されていることを特徴としている。

本発明はかかる採尿器の改良発明にかかわるも
ので尿の外部への漏れを防止するための遮蔽膜に
ついて装着の手間を簡便ならしめた採尿器を提供
することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本発明の採尿器は、ペニス挿入用の開口部が片
方の面に設けられ、該開口部の周囲に一体に成形
された薄板状のフランジを有する袋状の採尿袋
と、前記開口部より小さな孔が穿設せられた着脱
自在のゴム状弾性体製薄膜状逆流防止用遮蔽膜と
からなり、前記遮蔽膜がキヤツプ状に形成されて
おり、前記フランジに弾性的に被せて装着しうる
ようにしたことを特徴としている。

［作用］ 本発明の採尿器において、ペニスから出た尿は
採尿袋内で一時的に溜つたり、はね返つたりする
ことがあるが、遮蔽膜により人体側への逆流が防
止される。

その遮蔽膜はフランジに被せるだけで装着しう
るので装着作業および取りはずし作業が極めて簡
単ある。したがつて数回使用するごとに遮蔽膜の
みを取り替えることができ衛生的に採尿器を使用
することができる。

［実施例］ つぎに本発明の実施例を説明する。

第１図は本発明の採尿器の一実施例の斜視図、
第２図は第１図に示す採尿器の分解斜視図、第３
図は第１図のＹ−Ｙ線拡大断面図、第４図は第１
図のＸ−Ｘ線拡大断面図、第５図は第１図に示す
採尿器を専用のインナーベルトに装着するときの
様子を示す説明図、第６図は採尿器をインナーベ
ルトに装着した状態をあらわす説明図、第７図は
寝た状態の患者が本発明の採尿器および専用のお
むつカバーを装着した状態を示す説明図、第８図
は立姿勢の患者が本発明の採尿器を装着した状態
を示す説明図である。

第１〜２図において、Ａは本実施例の採尿器
で、採尿袋１、着脱自在の薄膜状逆流防止用遮蔽
膜（以下、単に遮蔽膜という）２およびフランジ
３から構成されている。

採尿袋１はペニスからの排尿を受け入れる部分
であり、その片方の面にペニス挿入用の開口部４
が設けられている。また採尿袋１は一端が漏斗状
に狭窄せられており、この狭窄部に取りつけられ
た接続用パーツ７を介して一般に用いられている
導尿チユーブ３０に接続される。図示の接続用パ
ーツ７は先端がたけのこ状になつており、導尿チ
ユーブ３０に差し込んだ後、寝ががえりなどで容
易に抜けないようになつている。また導尿チユー
ブ３０の先端をたけのこ状に形成しておき、それ
を筒状の接続用パーツ７に挿入するようにしても
よい。

採尿袋１のペニス挿入用の開口部４と反対側の
面には、第３図に示されるように採尿袋１を使用
するに際し、ペニスを挿入しやすいように袋を膨
らませるための適宜の数のダーツ８が設けられて
いる。

採尿袋１は、エチレン−ビニルアセテート共重
合体（EVA）、軟質塩化ビニル樹脂（PVC）、ポ
リエチレン（PE）などの軟質の合成樹脂材料の
フイルムまたはシート状のものから形成されたも
ので、かなりの柔軟性を備えたものが好ましく、
かつ看護上（ペニスの挿入状態を確認する）透明
に作ることが好ましい。

前記フランジ３は採尿袋１の開口部４の周囲に
一体となるように形成されている。該フランジ３
は断面Ｌ字形のリング状部材であり、内側フラン
ジ３ａと外側フランジ３ｂとからなる。用いられ
る材料は採尿袋１と同様に軟質PVC、EVA、PE
などの軟質の合成樹脂を用いることができ、開口
部４の周囲に溶着あるいは接着などの適宜の手段
で固着される。

該フランジ部３は後述する遮蔽膜２を弾性的に
伸びた状態で被せて保持するためのもので、そう
するに必要な剛直性と、遮蔽膜２を被せたり外し
たりするときにある程度撓んで作業をやりやすく
するための柔軟性を備えていなければならない。
しかして、用いられる材質にもよるが、通常その
厚さは0.5〜２mm程度とされ、適度の剛直性と適
度の柔軟性を備えるようにしておくことが好まし
い。

前記遮蔽膜２は、第３図に示されていように断
面形状Ｃ形のキヤツプ状部材であり、第２図に示
されているように円盤状の前壁２ａとその周囲の
周縁部２ｂと周縁部２ｂから内方へ少し延びる後
縁部２ｃとから構成されている。前壁２ａの中央
には前記開口部４より径の小さなベニス挿入用の
孔９が形成されており、周縁部２ｂの内径はフラ
ンジ３の外形より若干小さくされている。

この遮蔽膜２の前壁２ａは排尿時の逆流を防止
する機能を果すものであり、周縁部２ｂと後縁部
２ｃはフランジ３に遮蔽膜２を取りつける機能を
果たすために設けられている。しかして前壁２ａ
は尿の逆流や飛散をはねかえることができ、しか
も孔９の内周がペニスの外周にフイツトするよう
に適度に伸びるとともに柔かく接触することが要
求され、また周縁部２ｂと後縁部２ｃはしつかり
と遮蔽膜２をエチレン３に保持しうる強度を有す
ることが要求される。そのため遮蔽膜２は全体的
に充分な弾力性を有することを要し、かつ薄肉化
が可能な材料、たとえば反発弾性の大きいゴム状
弾性体である天然ゴム、イソプレンゴム、ウレタ
ンゴム、シリコーンゴムなどが用いられる。

遮蔽膜２を採尿袋１に装着するばあいは、第４
図に示されるように、遮蔽膜２の周縁部２ｂと後
縁部２ｃがフランジ３に外側フランジ３ｂの外表
面に密着するように被せるとよい。このばあい遮
蔽膜２はそれ自体の弾力性で伸じて、フランジ３
に密着し、容易に離脱しないように保持される。

既述のごとく遮蔽膜２の前壁２ａに排尿時の逆
流を防止する機能を果すものであり、周縁部２ｂ
と後縁部２ｃはフランジ３に取りつける保持機能
を果すものである。したがつて前者はとくに柔軟
性が要求され、後者はある程度の強度が要求され
る。そのため具体的には前壁２ａの膜厚は0.05〜
0.2mm、好ましくは0.05〜0.1mm以下の厚さとする
のがよい。そうしたばあい前壁２の孔９の内周が
ペニスの外周に軽くフイツトするように適度に伸
びながら、なおかつ尿の逆流を阻止するだけの抵
抗力をもたせることができる。また周縁部２ｂや
後端部２ｃはその膜厚を0.5〜1.5mm、好ましくは
約１mmとするのが好ましい。

前記孔９は適度に伸び縮みするが、種々の大き
さのペニスを挿入しやすくするため、たとえば直
径が15〜20mm、好ましくは約18mmとするのがよ
い。

なお採尿袋１には、第２図に示されるように、
開口部４の両側においボタン孔６を有する耳部５
が設けられており、それにより後述するインナー
ベルトＢに装着しうるようになつている本発明の
採尿器Ａは、排尿の都度これを人体に装着しても
よいが、たとえば寝たきり老人や重病人のばあい
は、常時体に装着した状態で使用すると不意の失
禁にも対処でき看護人の手間も省けて便利であ
る。

つぎに第５図に基づき、本実施例の採尿器Ａの
インナーベルトＢへの装着方法を説明する。第５
図において、Ｂはインナーベルト、２０はインナ
ーベルト本体、２１は雄ボタン、２２は雌ボタ
ン、２３は紐である。採尿器Ａはインナーベルト
Ｂに装着するには、まず採尿器Ａを本体２０に当
てて、ボタン孔６に雄ボタン２１を通すようにす
る。ついで雄ボタン２１に雌ボタン２２を嵌める
と、採尿器Ａの耳部５が紐２３で閉じられて、イ
ンナーベルトＢに装着される。

取り外すばあいは、前記と逆の操作をすればよ
い。なお採尿器ＡとインナーベルトＢとの係合
は、前記したボタンのほかに、ホツクやマジツク
テープなどを利用したものであつてもよく、要は
装着が確実であり、脱着操作が容易に行いうるも
のであればどのようなものでもよい。

第６図は、叙上の方法により採尿器Ａをインナ
ーベルトＢに装着した状態をあらわす説明図であ
る。採尿器Ａは導尿チユーブ３０に接続される側
が下方を向くようにインナーベルトＢに装着され
る。

つぎに第７図に基づき、本実施例の採尿器の実
際の使用方法を説明する。患者がベツド上に寝た
ままの状態で使用するばあいは、インナーベルト
Ｂにより患者の体に装着された採尿器Ａと床に置
かれた採尿ボルト２６とを導尿チユーブ３０で接
続する。この状態で排尿を始めると尿は採尿袋１
で集められて、導尿チユーブ３０を通つて採尿ボ
トル２６に排出される。このときペニスＰから出
た尿は採尿袋１内で一時的に溜つたり、はね返つ
たりすることがあるが、遮蔽膜により人体側へは
逆流しないようになつているので、尿を外部に漏
らすことなく完全に採尿することができる。

なお第７図において３５は大便採取用のおむつ
カバーであり、本発明の採尿器Ａと併せて使用す
ることで、尿と大便を別々に取ることが患者の看
護をさらに便ならしめ、介護時間および費用を大
きく軽減することができる。

本発明の採尿器は、尿の排出経路がほぼ密閉さ
れていため、使用姿勢に自由度があり、たとえば
歩行中の人や車椅子を使用する人にも使用するこ
とができる。そのばあい第８図に示すように貯尿
袋３４を足などに取りつけ、導尿パイプ３０で接
続しておけば不意の失禁にも対処することができ
る。

本実施例は叙上のごとくして使用されるが、遮
蔽膜２はフランジ３に被せてあるだけである。し
たがつて、その脱着は極めて容易である。たとえ
ば遮蔽膜２は指で少し拡げればフランジ３に簡単
に被せることができ、被せたあとは遮蔽膜２自体
の弾性でフランジ３に密着する。また装着された
遮蔽膜２は指でつまんで引きはがすだけでフラン
ジ３から取り外すことができる。

このように遮蔽膜２はその着脱が容易であるの
で、使用の都度、取り外してあたらしいものと交
換するとか消毒したりする作業がやりやすくな
り、また数回使用すると廃棄するなどの使い方も
可能である。

さらに本実施例の採尿器は寝たきり老人や失禁
者用の採尿器として用いるとき、つぎのような利
点がある。すなわち極端にペニスの萎縮している
患者などを含めあらゆる患者に対して有効に用い
ることができる。着用時にペニスを圧迫すること
がないので、違和感を感じたり、ペニスを傷つけ
たりすることがなくなる。逆流防止用遮蔽膜の働
きにより尿の排出経路がほぼ密閉されており、外
部に漏れることがほぼ完全に防止される。そのた
め寝たままの姿勢であつても使用することがで
き、使用者の体が汚れないので非常に衛生的であ
る。ペニスを強く密着する部分がないので勃起し
ていないペニスにも楽に装着することができ、従
来着用が困難であつた病人などでも使用すること
ができる。使用姿勢の自由度が高いので立つた姿
勢や車椅子に座つた姿勢などでも使用することが
でき、しかも常時人体に装着しておくことができ
るので使用する際に手間がかからず、使用者にと
つても看護人にとつても非常に便利である。採尿
器をペニスにはめ込むばあいに、採尿器を固定す
るインナーベルトをはずす必要がない。採尿袋は
単純な袋なのでコストダウンを図ることができ
る。またコストダウンにより、安価でデイスポー
ザブルな採尿器を提供することができ、常に清潔
な状態で採尿を行なうことができる。

［発明の効果］ 本発明の採尿器は遮蔽膜の着脱が極めて容易で
あるので、装着に際してわずらわしさがなく、頻
繁に交換することにより採尿器を衛生的に使用す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の採尿器の一実施例の斜視図、
第２図は第１図に示す採尿器の分解斜視図、第３
図は第１図のＹ−Ｙ線拡大断面図、第４図は第１
図のＸ−Ｘ線拡大端面図、第５図は第１図に示す
採尿器を専用のインナーベルトに装着するときの
様子を示す説明図、第６図は採尿器をインナーベ
ルトに装着した状態をあらわす説明図、第７図は
寝た状態の患者が本発明の採尿器および専用のお
むつカバーを装着した状態を示す説明図、第８図
は立姿勢の患者が本発明の採尿器を装着した状態
を示す説明図である。 図面の主要符号、Ａ……採尿器、１……採尿
袋、２……逆流防止用遮蔽膜、３……フランジ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ペニス挿入用の開口部が片方の面に設けら
   れ、該開口部の周囲に一体に成形された薄板状の
   フランジを有する袋状の採尿袋と、前記開口部よ
   り小さな孔が穿設せられた着脱自在のゴム状弾性
   体製薄膜状逆流防止用遮蔽膜とからなり、前記遮
   蔽膜がキヤツプ状に形成されており、前記フラン
   ジに弾性的に被せて装着しうるようにしてなる採
   尿器。